JP4168435B2 - 発電機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スタータの駆動力を一方向クラッチを介して回転子に伝達する発電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えば内燃機関(以下、「内燃機関」をエンジンという)において、電気部品の増大に伴い発電機の出力を増加する必要が生じている。また、クランクシャフトとともに回転する発電機の回転子に一方向クラッチを介してスタータの駆動力を伝達することによりエンジンの部品点数を低減し、エンジンを小型軽量化する発電機が製造されている。
【0003】
発電機の出力増加は、回転子とともに回転する磁石量を増加することで実現できる。しかし、出力増加に伴いコイルに発生する熱量が上昇し、コイルの耐熱限界を超える恐れがある。そこで、実公昭60−19508号公報に開示されている発電機では、回転子である鉄椀と別体に形成したボス部が鉄椀に形成した空気穴の一部を塞ぐことにより、回転子の回転に伴い鉄椀内部の空気を撹乱しコイルを含む発電機全体を冷却しようとしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、実公昭60−19508号公報に開示されている発電機では、固定子およびコイルを囲む鉄椀と、クランクシャフト等と結合するボス部とが別体に形成されているので部品点数が増加する。また一方向クラッチを設ける構成が開示されていないので、一方向クラッチを回転子に取り付けた場合、どのようにコイルを冷却するかについて記載されていない。回転子に一方向クラッチを取り付けると一方向クラッチが回転子を覆うので、回転子に空気穴を形成しても一方向クラッチが空気流れを妨げ、コイルの温度上昇を低減することが困難である。
本発明の目的は、部品点数を増加することなくコイルの温度上昇を低減する発電機を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の発電機によると、一方向クラッチを嵌合する環状突部の内周側および外周側を跨いで回転部を貫通する貫通孔が形成されている。貫通孔の回転中心側は一方向クラッチにより塞がれ、貫通孔の外周側は開放されている。回転子が回転することにより貫通孔の回転中心側の空気が遠心力により一方向クラッチで塞がれていない貫通孔の外周側に移動する。その結果、貫通孔の回転中心側が負圧になりコイルを収容する回転部の凹部側の空気が貫通孔の回転中心側に吸引される。貫通孔の回転中心側から貫通孔の外周側に移動した空気は貫通孔を通り回転部の反凹部側に流出する。このように、回転部の凹部側の空気が、貫通孔の回転中心側から外周側を通り回転部の反凹部側に流出することにより、回転部の凹部側に配設されたコイルが空気流れにより冷却される。例えば回転子とともに回転する磁石量を増加させることにより発電機の出力が増加しコイルの発熱量が上昇してもコイルが効果的に冷却されるので、コイルの耐熱限界を超えることなく発電機の出力を増加できる。また、回転部とボス部とを一体に形成して回転子を構成するとともに、回転部に形成する空気穴としての貫通孔の形成位置を工夫することにより、部品点数を増加することなくコイルを冷却できる。
【0006】
本発明の請求項2記載の発電機によると、貫通孔を形成する回転部の内周壁は、反凹部側において反凹部側に向かうにしたがい拡径するテーパ状に形成されている。貫通孔を通る空気がテーパ面に沿って回転部の反凹部側に流出するので、回転部の反凹部側に流出する空気に渦流が発生せず、回転部の凹部側から貫通孔を通り回転部の反凹部側に空気が滑らかに移動する。したがって、コイルを効果的に冷却することができる。
【0007】
本発明の請求項3記載の発電機によると、回転部の凹部側に形成されたボス部の外周壁は滑らかな曲面状に形成されている。回転部の凹部側を流れる空気がボス部の外周壁に沿って滑らかに流れ貫通孔から回転部の反凹部側に流出するので、コイルを効果的に冷却することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を示す実施例を図に基づいて説明する。
本発明の発電機の一実施例を図1に示す。発電機10は、所謂フライホイール型磁石発電機である。発電機10の回転子20は、ボス部21、および回転部としての椀部22を有し一体に形成されている。固定子としての鉄心40およびコイル42は椀部22の凹部22a内に収容されている。椀部22の反凹部側に反凹部側に突出する環状突部23が椀部22と一体に形成されている。ボス部21は椀部22の凹部22a側に突出して形成されており、クランクシャフト1とボルト5により固定されている。一方向クラッチ11は環状突部23の内周側に嵌合し、ボルト6により椀部22に固定されている。一方向クラッチ11はフリーホイルギア2とスクラブ12を介し結合している。フリーホイルギア2は図示しないスタータとギア結合しており、スタータの駆動力を一方向クラッチ11を介し回転子20に伝達する。フリーホイルギア2はベアリング3を介しクランクシャフト1に嵌合しており、クランクシャフト1に対し回動自在である。
【0009】
椀部22には、図2に示すように環状突部23の内周側および外周側を跨ぎ椀部22を貫通する貫通孔24が複数形成されている。図1に示すように、貫通孔24を形成する椀部22の内周壁に、椀部22の反凹部側において反凹部側に向かうにしたがい拡径するテーパ面25が形成されている。一方向クラッチ11は、環状突部23を境にし、椀部22の回転中心側である貫通孔24の内周側を塞ぎ、貫通孔24の外周側を開放している。永久磁石30は、凹部22aの内周壁にケース31、32を用いて取り付けられている。
回転子20の凹部22a側内周に、固定子としての鉄心40が永久磁石30と対向して配設されている。鉄心40はボルト7によりカバー4に固定されている。コイル42は鉄心40に取り付けたスプール41に巻回されている。
【0010】
次に、発電機10の作動について説明する。
エンジン始動時、イグニションキーをオンにしスタータが回転すると、フリーホイルギア2、一方向クラッチ11を介しスタータの駆動力が回転子20に伝達する。そして、回転子20からクランクシャフト1にスタータの駆動力が伝達され、エンジンが始動する。エンジンが通常運転を開始すると、一方向クラッチ11はフリーホイルギア2に対し空回りする。
【0011】
回転子20が回転すると、図3に示すように貫通孔24の内周側Bの空気が遠心力により貫通孔24の外周側Cに移動する。すると、内周側Bが負圧になり椀部22の凹部22a側Aの空気が内周側Bに流入する。外周側Cに移動した空気は、内周側Bに流入する空気に押され椀部22の反凹部側Dに流出する。
【0012】
このように、椀部22の凹部22a側Aの空気が貫通孔24の内周側B、貫通孔24の外周側Cを通り椀部22の反凹部側Dに流出することにより、凹部22aの内周に配設されている鉄心40およびコイル42が空気流れにより冷却される。また、貫通孔24を形成する椀部22の内周壁の反凹部側にテーパ面25を形成しているので、貫通孔24から流出する空気に渦流が発生することを低減し、空気が貫通孔24から滑らかに流出する。さらに、ボス部21の外周壁が滑らかな曲面状に形成されているので、椀部22の凹部22a内を流れる空気の抵抗が少なくボス部21の外周壁に沿って滑らかに空気が流れる。したがって、鉄心40およびコイル42が良好に冷却される。
【0013】
このように本実施例では、ボス部21と椀部22とを一体に形成して回転子20を構成するとともに、椀部22に形成する貫通孔24の位置を工夫することにより、部品点数を増やすことなくコイル42を効果的に冷却することができる。したがって、発電機10の出力を増加するために回転子20に取り付ける永久磁石30の量を増やした結果コイル42の発熱量が増加しても、コイル42が耐熱限界を超えることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による発電機を示す断面図である。
【図2】図1のII方向からみた回転子の矢視図である。
【図3】貫通孔周囲を示す断面図である。
【符号の説明】
10 発電機
11 一方向クラッチ
20 回転子
21 ボス部
22 椀部(回転部)
22a 凹部
24 貫通孔
25 テーパ面
30 永久磁石
40 鉄心(固定子)
42 コイル

Claims (3)

  1. コイルと、
    前記コイルを収容する凹部を有し、反凹部側に突出する環状突部を有する回転部、および前記回転部の回転中心に配設されているボス部を一体に形成している回転子と、
    前記回転部とともに回転する永久磁石と、
    前記環状突部の内周側に嵌合し、スタータの駆動力を前記回転子に伝達する一方向クラッチとを備え、
    前記環状突部の外周側および内周側に跨がり前記回転部を貫通する貫通孔を前記回転部に形成し、前記一方向クラッチは前記貫通孔の回転中心側を塞いでいることを特徴とする発電機。
  2. 前記貫通孔を形成する前記回転部の内周壁は、前記回転部の反凹部側において反凹部側に向かうにしたがい拡径するテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の発電機。
  3. 前記ボス部は前記回転部の前記凹部側に形成され、前記ボス部の外周壁は滑らかな曲面状に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の発電機。
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