JP4168374B2 - ウレタンエラストマー形成用組成物およびウレタンエラストマーの製造方法 - Google Patents

ウレタンエラストマー形成用組成物およびウレタンエラストマーの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウレタンエラストマー形成用組成物およびウレタンエラストマーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
弾性が要求される産業機器の部品として、熱硬化性のウレタンエラストマーの成型物が好適に使用されている。
かかるウレタンエラストマーを製造する方法としては、有機ポリイソシアネートと、長鎖(分子量500以上)のポリオールと、短鎖(分子量500未満)の活性水素化合物とを同時に反応させるワンショット法;有機ポリイソシアネートと、長鎖のポリオールとを反応させてイソシアネート基末端プレポリマーを得、このプレポリマーからなる主剤と、短鎖の活性水素化合物からなる硬化剤とを反応させるプレポリマー法が知られている。
【0003】
近年、産業機器の部品に付与される負荷(破断、欠損などの発生原因)の増大に伴って、ウレタンエラストマーからなる成型物には、従来に増して高い機械的強度(引張強度)が要求されている。
このような要求に対し、多官能性(3官能以上)の活性水素化合物を高い割合で配合することによって架橋密度を増加させ、得られる成型物(ウレタンエラストマー)における引張強度などを向上させることが考えられる。
【0004】
しかしながら、多官能性の活性水素化合物を高い割合で配合して得られる成型物は、伸びが極端に低下して脆性を示すようになり、産業機器の構成部品に要求される柔軟性を具備することができないという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような事情に基いてなされたものである。
本発明の目的は、産業機器の構成部品に要求される柔軟性(伸び特性)を維持し、かつ、高い引張強度を有するウレタンエラストマーを形成することのできる新規な組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、一定以上の伸びを維持し、引張強度の高いウレタンエラストマーを確実に製造することのできる方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、ウレタンエラストマーを構成するポリオールの分子中に、スルホナト基などのアニオン性の基を導入するとともに、架橋剤となる活性水素化合物の分子中に、第四級アンモニウム基などのカチオン性の基を導入することにより、両者の間に擬似架橋が形成され、得られるウレタンエラストマーにおいて、所期の伸び特性を維持しながら引張強度の向上が図れることを見出し、かかる知見に基いて本発明を完成するに至った。
【0007】
請求項1乃至請求項6に係る形成用組成物は、ワンショット法によるウレタンエラストマーの製造に供される組成物である。
請求項1に係る形成用組成物は、有機ポリイソシアネート、アニオン性のポリオール、およびカチオン性の活性水素化合物を含有する組成物であって、前記アニオン性のポリオールの有するアニオン性の基の含有量(全構成成分中の濃度)が0.03〜0.8mmol/gであり、前記カチオン性の活性水素化合物の有するカチオン性の基の含有量(全構成成分中の濃度)が0.05〜3mmol/gであり、前記アニオン性の基と、前記カチオン性の基とのモル比率が1:0.9〜1:2.6であることを特徴とする。
請求項2に係る形成用組成物は、有機ポリイソシアネート、スルホナト基(−SO3 - )を有するポリエステルポリオール、および分子中に2〜4個の活性水素原子を有する第四級アンモニウム塩を含有する組成物であって、前記ポリエステルポリオールの有するスルホナト基の含有量(全構成成分中の濃度)が0.03〜0.8mmol/gであり、
前記第四級アンモニウム塩の有する第四級アンモニウム基の含有量(全構成成分中の濃度)が0.05〜3mmol/gであり、前記スルホナト基と、前記第四級アンモニウム基とのモル比率が1:0.9〜1:2.6であることを特徴とする。
請求項3に係る形成用組成物は、前記ポリエステルポリオールが、スルホン酸ナトリウム基(−SO 3 Na)を有する二塩基酸またはそのエステルと、アジピン酸、アゼライン酸、コハク酸、スベリン酸、フタル酸、イソフタル酸から選ばれた二塩基酸と、短鎖ジオールとを反応させて得られるポリエステルポリオールであることを特徴とする。
請求項4に係る形成用組成物は、前記ポリエステルポリオールが、下記一般式〔I〕で示される基本構造を有する数平均分子量が500〜10,000のポリエステルポリオールであり、前記第四級アンモニウム塩が、ヨウ化ジメチルジエタノールアンモニウムであることを特徴とする。
【0008】
【化2】
Figure 0004168374
(式中、mおよびnは数平均分子量が500〜10,000となる数を表す。上記2つの繰り返し単位は、ランダムに配列されていても、ブロック的に配列されていてもよい。)
【0009】
請求項5に係る形成用組成物は、数平均分子量が500〜10,000であるノニオン性のポリオールを含有することを特徴とする。
請求項6に係る形成用組成物は、数平均分子量が500未満であるノニオン性の活性水素化合物を含有することを特徴とする。
【0010】
請求項7乃至請求項13に係る形成用組成物は、プレポリマー法によるウレタンエラストマーの製造に供される組成物である。
請求項7に係る形成用組成物は、有機ポリイソシアネートと、アニオン性のポリオールとを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー、およびカチオン性の活性水素化合物を含有する組成物であって、前記イソシアネート基末端プレポリマーの有するアニオン性の基の含有量(全構成成分中の濃度)が0.03〜0.8mmol/gであり、前記カチオン性の活性水素化合物の有するカチオン性の基の含有量(全構成成分中の濃度)が0.05〜3mmol/gであり、前記アニオン性の基と、前記カチオン性の基とのモル比率が1:0.9〜1:2.6であることを特徴とする。
請求項8に係る形成用組成物は、有機ポリイソシアネートと、アニオン性のポリオールと、数平均分子量が500〜10,000であるノニオン性のポリオールとを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー、およびカチオン性の活性水素化合物を含有する組成物であって、前記イソシアネート基末端プレポリマーの有するアニオン性の基の含有量(全構成成分中の濃度)が0.03〜0.8mmol/gであり、前記カチオン性の活性水素化合物の有するカチオン性の基の含有量(全構成成分中の濃度)が0.05〜3mmol/gであり、前記アニオン性の基と、前記カチオン性の基とのモル比率が1:0.9〜1:2.6であることを特徴とする。
請求項9に係る形成用組成物は、有機ポリイソシアネートと、スルホナト基(−SO3 - )を有するポリエステルポリオールとを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー、および分子中に2〜4個の活性水素原子を有する第四級アンモニウム塩を含有する組成物であって、前記イソシアネート基末端プレポリマーの有するスルホナト基の含有量(全構成成分中の濃度)が0.03〜0.8mmol/gであり、前記第四級アンモニウム塩の有する第四級アンモニウム基の含有量(全構成成分中の濃度)が0.05〜3mmol/gであり、前記スルホナト基と、前記第四級アンモニウム基とのモル比率が1:0.9〜1:2.6であることを特徴とする。
請求項10に係る形成用組成物は、有機ポリイソシアネートと、スルホナト基(−SO3 - )を有するポリエステルポリオールと、数平均分子量が500〜10,000であるノニオン性のポリオールとを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー、および分子中に2〜4個の活性水素原子を有する第四級アンモニウム塩を含有する組成物であって、前記イソシアネート基末端プレポリマーの有するスルホナト基の含有量(全構成成分中の濃度)が0.03〜0.8mmol/gであり、前記第四級アンモニウム塩の有する第四級アンモニウム基の含有量(全構成成分中の濃度)が0.05〜3mmol/gであり、前記スルホナト基と、前記第四級アンモニウム基とのモル比率が1:0.9〜1:2.6であることを特徴とする。
請求項11に係る形成用組成物は、前記ポリエステルポリオールが、スルホン酸ナトリウム基(−SO 3 Na)を有する二塩基酸またはそのエステルと、アジピン酸、アゼライン酸、コハク酸、スベリン酸、フタル酸、イソフタル酸から選ばれた二塩基酸と、短鎖ジオールとを反応させて得られるポリエステルポリオールであることを特徴とする。
請求項12に係る形成用組成物は、前記ポリエステルポリオールが、上記一般式〔I〕で示される基本構造を有する数平均分子量が500〜10,000のポリエステルポリオールであり、前記第四級アンモニウム塩が、ヨウ化ジメチルジエタノールアンモニウムであることを特徴とする。
請求項13に係る形成用組成物は、数平均分子量が500未満であるノニオン性の活性水素化合物を含有することを特徴とする。
【0011】
本発明の製造方法は、有機ポリイソシアネートと、スルホナト基(−SO3 - )を有するポリエステルポリオールと、数平均分子量が500〜10,000であるノニオン性のポリオールとを反応させてイソシアネート基末端プレポリマーを得る工程;および得られたイソシアネート基末端プレポリマーと、分子中に2〜4個の活性水素原子を有する第四級アンモニウム塩と、数平均分子量が500未満であるノニオン性の活性水素化合物とを反応させる工程を含み、前記イソシアネート基末端プレポリマーに由来するスルホナト基の含有量が0.03〜0.8mmol/gであり、前記第四級アンモニウム塩に由来する第四級アンモニウム基の含有量が0.05〜3mmol/gであり、前記スルホナト基と、前記第四級アンモニウム基とのモル比率が1:0.9〜1:2.6であるウレタンエラストマーを製造することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
ワンショット法によるウレタンエラストマーの製造に利用される本発明の形成用組成物には、
(1)有機ポリイソシアネート、アニオン性のポリオール、およびカチオン性の活性水素化合物を含有する組成物;
(2)有機ポリイソシアネート、アニオン性のポリオール、ノニオン性のポリオール、およびカチオン性の活性水素化合物;
(3)有機ポリイソシアネート、アニオン性のポリオール、カチオン性の活性水素化合物、およびノニオン性の活性水素化合物を含有する組成物;
(4)有機ポリイソシアネート、アニオン性のポリオール、ノニオン性のポリオール、カチオン性の活性水素化合物、およびノニオン性の活性水素化合物を含有する組成物が含まれる。
【0013】
プレポリマー法によるウレタンエラストマーの製造に利用される本発明の形成用組成物には、
(1)有機ポリイソシアネートと、アニオン性のポリオールとを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー(主剤)、およびカチオン性の活性水素化合物(硬化剤)を含有する二液硬化性の組成物;
(2)有機ポリイソシアネートと、アニオン性のポリオールと、ノニオン性のポリオールとを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー(主剤)、およびカチオン性の活性水素化合物(硬化剤)を含有する二液硬化性の組成物;
(3)有機ポリイソシアネートと、アニオン性のポリオールとを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー(主剤)、並びに、カチオン性の活性水素化合物(硬化剤)、およびノニオン性の活性水素化合物(硬化剤)を含有する二液硬化性の組成物;
(4)有機ポリイソシアネートと、アニオン性のポリオールと、ノニオン性のポリオールとを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー(主剤)、並びに、カチオン性の活性水素化合物(硬化剤)、およびノニオン性の活性水素化合物(硬化剤)を含有する二液硬化性の組成物が含まれる。
【0014】
以下、本発明の形成用組成物の構成成分について説明する。
<有機ポリイソシアネート>
有機ポリイソシアネートは、本発明の組成物の構成成分として使用される。
また、有機ポリイソシアネートは、本発明の組成物の構成成分であるイソシアネート基末端プレポリマーを得るために使用される。
【0015】
本発明で使用される有機ポリイソシアネートとしては、特に限定されるものではなく、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、キシリレン−1,3−ジイソシアネート、キシリレン−1,2−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’−MDI)、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジフェニルプロパン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルプロパンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;
テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート(LDI)などの脂肪族ジイソシアネート;
水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネト、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などの脂環式ジイソシアネート;
これらの有機ジイソシアネートのウレタン変性体、アロファネート変性体、ウレア変性体、ビウレット変性体、カルボジイミド変性体、ウレトンイミン変性体、ウレトジオン変性体、イソシアヌレート変性体などを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのうち、芳香族ジイソシアネートが好ましく、特に好ましくは2,4−TDIおよび2,6−TDIである。
【0016】
<アニオン性のポリオール>
アニオン性のポリオールは、本発明の組成物の構成成分として使用される。
また、アニオン性のポリオールは、本発明の組成物の構成成分であるイソシアネート基末端プレポリマーを得るために使用される。
【0017】
本発明で使用されるアニオン性のポリオールの数平均分子量は、通常500〜10,000とされ、好ましくは700〜6,000とされる。
数平均分子量が500未満であると、ソフトセグメントを形成することができず、最終的に得られるポリウレタンに所期の弾性(柔軟性)を付与することができない。
数平均分子量が10,000を超えるポリオールは実質的に固体であり、有機ポリイソシアネートとのウレタン化反応に供することができない。
【0018】
アニオン性のポリオールの平均官能基数(分子中の活性水素原子の数)は、通常2〜4とされ、好ましくは2〜3、特に好ましくは2とされる。
平均官能基数が4を超えると、最終的に得られるポリウレタンの伸びが極端に低下して脆さを示すようになる。
【0019】
アニオン性のポリオールとしては、スルホナト基(−SO3 - )を有するポリエステルポリオール、カルボキシラト基(−COO- )を有するポリエステルポリオールを挙げることができる。
【0020】
スルホナト基(−SO3 - )を有するポリエステルポリオールとしては、スルホン酸金属塩基(−SO3 - ・M+ )を有する二塩基酸またはそのエステルと、二塩基酸と、短鎖ジオールとを反応させて得られるポリエステルポリオールを挙げることができる。
【0021】
スルホナト基を有するポリエステルポリオールの合成に供される「スルホン酸金属塩基(−SO3 - ・M+ )を有する二塩基酸」としては、スルホン酸ナトリウム基(−SO3 Na)で置換されたイソフタル酸(スルホイソフタル酸ナトリウム)、スルホン酸ナトリウム基(−SO3 Na)で置換されたフタル酸(スルホフタル酸ナトリウム)、スルホン酸ナトリウム基で置換されたコハク酸(スルホコハク酸ナトリウム)などを挙げることができる。
また、スルホン酸金属塩基を有する二塩基酸の「エステル」としては、これらのジメチルエステル、ジエチルエステルなどを挙げることができる。
【0022】
スルホナト基を有するポリエステルポリオールの合成に供される「二塩基酸」としては、アジピン酸、アゼライン酸、コハク酸、スベリン酸、フタル酸、イソフタル酸などを挙げることができる。
【0023】
スルホナト基を有するポリエステルポリオールの合成に供される「短鎖ジオール」としては、エチレングリコール(EG)、1,2−プロピレングリコール(1,2−PG)、1,3−プロピレングリコール(1,3−PG)、1,3−ブタンジオール(1,3−BD)、1,4−ブタンジオール(1,4−BD)、ネオペンチルグリコール(NPG)、1,6−ヘキサンジオール(1,6−HD)などを挙げることができる。
【0024】
スルホナト基を有するポリエステルポリオールとして特に好ましいものとしては、上記一般式〔I〕で示される基本構造を有するポリエステルポリオールを挙げることができる。
このポリエステルポリオールは、スルホン酸ナトリウム基で置換されたイソフタル酸ジメチルエステル(ジメチル−5−スルホイソフタル酸ナトリウム,略称:DMIS)と、1,6−ヘキサンジオールと、アジピン酸とを反応させることにより調製することができる。
ここに、調製方法の一例としては、DMISと1,6−ヘキサンジオールとをエステル交換し、当該DMISの脱メタノール反応を行った後、これにアジピン酸を添加してエステル化反応(重縮合)を行う方法を挙げることができる。
上記一般式〔I〕において、繰り返し数(m:n)の平均値は、3.795:0.05〜2.030:1.20の範囲にあることが好ましい。
【0025】
スルホナト基を有するポリエステルポリオールにおける当該スルホナト基(−SO3 - )の含有割合(平均濃度)としては、0.05〜1.20mmol/gであることが好ましく、更に好ましくは0.1〜0.8mmol/gとされる。スルホナト基の含有割合が過小である場合には、カチオン性の活性水素化合物との間で十分な擬似架橋を形成することができず、目的とする強度の向上を図ることができない。一方、この含有割合が過大であるポリエステルポリオールは、粘度が高過ぎて実用的なものではない。
【0026】
カルボキシラト基(−COO- )を有するポリエステルポリオールとしては、式:R1 −C(CH2 OH)2 −COOH(式中、R1 は、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を示す。)で表されるα,α−ジメチロールアルカン酸またはその金属塩と、置換または未置換の二塩基酸とを反応させて得られるポリエステルポリオールを挙げることができる。
ここに、「α,α−ジメチロールアルカン酸」としては、2,2−ジメチロール酢酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロールペンタン酸など挙げることができ、α,α−ジメチロールアルカン酸の「金属塩」としては、α,α−ジメチロールアルカン酸のナトリウム塩が好適である。
【0027】
カルボキシラト基を有する好ましいポリオールとしては、2,2−ジメチロールプロピオン酸ナトリウムと、アジピン酸(二塩基酸)とを反応させて得られるポリエステルポリオールを例示することができる。
【0028】
<カチオン性の活性水素化合物>
カチオン性の活性水素化合物は、本発明の組成物を構成する架橋剤(鎖延長剤)として使用される。
カチオン性の活性水素化合物の数平均分子量は、通常500未満とされ、好ましくは100〜450とされる。
【0029】
カチオン性の活性水素化合物の平均官能基数(分子中の活性水素原子の数)は、通常2〜4とされ、好ましくは2〜3、特に好ましくは2とされる。
平均官能基数が4を超えると、最終的に得られるポリウレタンに所期の弾性(柔軟性)を付与することができない。
【0030】
カチオン性の活性水素化合物としては、分子中に2〜4個の活性水素原子を有する第四級アンモニウム塩を挙げることができる。
かかる第四級アンモニウム塩における第四級アンモニウム基(=N+ =)の含有割合(平均濃度)としては、2.2〜10mmol/gであることが好ましく、更に好ましくは2.5〜6mmol/gとされる。
第四級アンモニウム基の含有割合が過小である場合には、アニオン性のポリオールとの間で十分な擬似架橋を形成することができず、目的とする強度の向上を図ることができない。一方、この含有割合が過大である場合には、得られる組成物の安定性が低下したり、最終的に得られるポリウレタンエラストマーの物性が低下したりするおそれがある。
【0031】
分子中に2〜4個の活性水素原子を有する第四級アンモニウム塩(カチオン性の活性水素化合物)の具体例としては、下記式〔C−1〕で示されるヨウ化ジメチルジエタノールアンモニウム、下記式〔C−2〕で示されるヨウ化ジエチルジエタノールアンモニウム、下記式〔C−3〕で示されるヨウ化ジプロピルジエタノールアンモニウム、下記式〔C−4〕で示されるヨウ化ジベンジルジエタノールアンモニウム、下記式〔C−5〕で示されるヨウ化ジ(t−ブチル)ジエタノールアンモニウムなどを例示することができ、これらのうち、ヨウ化ジメチルジエタノールアンモニウムが好ましい。
【0032】
【化3】
Figure 0004168374
【0033】
上記式〔C−1〕で示されるヨウ化ジメチルジエタノールアンモニウムは、メチルジエタノールアミン〔N(CH3 )(CH2 CH2 OH)2 〕と、ヨウ化メチル(ICH3 )とを反応(メンシュトキン反応)させることにより容易に調製することができる。
なお、分子中に2〜4個の活性水素原子を有する第四級アンモニウム塩(カチオン性の活性水素化合物)は、上記式〔C−1〕〜式〔C−5〕で示したようなヨウ化物に限定されるものではなく、フッ化物、塩化物、臭化物などであってもよい。
【0034】
<ノニオン性のポリオール>
ノニオン性のポリオールは、本発明の組成物の任意成分として使用することができる。
また、ノニオン性のポリオールは、本発明の組成物の構成成分となるイソシアネート基末端プレポリマーを得るために、アニオン性のポリオールとともに使用することができる。
ノニオン性のポリオールを併用することにより、ポリオール全体(アニオン性のポリオールおよびノニオン性のポリオール)に含まれるアニオン性の基の割合を調整することができる。
また、ノニオン性のポリオールを併用することにより、得られるイソシアネート基末端プレポリマーの粘度を、活性水素化合物(硬化剤)との混合操作を容易に行える程度に調整する(低下させる)ことができる。
【0035】
本発明に使用するノニオン性のポリオールの数平均分子量は、通常500〜10,000とされ、好ましくは700〜6,000とされる。
また、ノニオン性のポリオールの平均官能基数(分子中の活性水素原子の数)は、通常2〜4とされ、好ましくは2〜3、特に好ましくは2とされる。
【0036】
本発明に使用するノニオン性のポリオールとしては、ポリオキシエチレングリコール(PEG)、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)などのポリエーテルポリオール、ヘキサンアジペートなどのアジペート系ポリオール(ポリエステルポリオール)、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオールなどを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのうち、PTMGなどのポリエーテルポリオール、ヘキサンアジペートなどのアジペート系ポリオールが好ましい。
【0037】
<ノニオン性の活性水素化合物>
ノニオン性の活性水素化合物は、本発明の組成物を構成する任意の架橋剤(鎖延長剤)として、カチオン性の活性水素化合物とともに使用することができる。
かかるノニオン性の活性水素化合物の数平均分子量は、通常500未満とされる。
また、ノニオン性の活性水素化合物の平均官能基数(分子中の活性水素原子の数)は、通常2〜4とされ、好ましくは2〜3、特に好ましくは2とされる。
平均官能基数が4を超えると、最終的に得られるポリウレタンに所期の弾性(柔軟性)を付与することができない。
ノニオン性の活性水素化合物として、官能基数が2である化合物と、官能基数が3である化合物とを併用することが好ましい。
【0038】
ノニオン性の活性水素化合物の具体例としては、エチレングリコール(EG)、1,2−プロピレングリコール(1,2−PG)、1,3−プロピレングリコール(1,3−PG)、1,3−ブタンジオール(1,3−BD)、1,4−ブタンジオール(1,4−BD)、ネオペンチルグリコール(NPG)、1,6−ヘキサンジオール(1,6−HD)などの短鎖ジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン(TMP)、ヘキサントリオールなどの短鎖トリオールを挙げることができる。
これらのうち、1,4−BDとTMPとを併用することが好ましい。
【0039】
<他の任意成分>
本発明の形成用組成物には、触媒、可塑剤、離型剤、補強剤、充填剤(無機充填剤・有機充填剤)、安定剤、着色剤(顔料・染料)、難燃性向上剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤など、ウレタンエラストマーを形成するための従来公知の組成物に使用されている各種の物質を任意成分として含有することができる。
【0040】
<構成成分の配合割合>
ワンショット法によるウレタンエラストマーの製造に利用される本発明の形成用組成物(請求項1乃至請求項6に係る組成物)において、有機ポリイソシアネートの有するイソシアネート基の数をa、ポリオール(アニオン性のポリオールおよびノニオン性のポリオール)の有する水酸基の数をb、活性水素化合物(カチオン性の活性水素化合物およびノニオン性の活性水素化合物)の有する活性水素原子の数をcとするとき、比〔a:(b+c)〕が0.5:1〜1.5:1であることが好ましく、更に好ましくは0.6:1〜1.4:1、特に好ましくは0.7:1〜1.3:1とされる。
また、比(b:c)が1:0.05〜1:10であることが好ましく、更に好ましくは1:0.5〜1:5、特に好ましくは1:0.3〜1:3とされる。
【0041】
プレポリマー法によるウレタンエラストマーの製造に利用される本発明の形成用組成物(請求項7乃至請求項13に係る組成物)において、イソシアネート基末端プレポリマーにおけるイソシアネート基の含有割合は1.0〜30質量%であることが好ましく、更に好ましくは3.0〜28質量%とされる。
イソシアネート基の含有割合が1.0質量%未満のプレポリマーは粘度が高過ぎて、組成物の構成成分として使用することが困難である。一方、この割合が30質量%を超えるプレポリマーは安定性に劣る。
イソシアネート基末端プレポリマーにおけるイソシアネート基の含有割合は、これを得るために使用する有機ポリイソシアネートと、ポリオール(アニオン性のポリオールおよびノニオン性のポリオール)との割合を調整することにより、制御することができる。
また、主剤であるイソシアネート基末端プレポリマーと、硬化剤である活性水素化合物(カチオン性の活性水素化合物およびノニオン性の活性水素化合物)の含有割合としては、イソシアネート基末端プレポリマーの有するイソシアネート基の数をa’、活性水素化合物の有する活性水素原子の数をc’とするとき、比(a’:c’)が0.5:1〜1.5:1であることが好ましく、更に好ましくは0.6:1〜1.4:1、特に好ましくは0.7:1〜1.3:1とされる。
【0042】
任意成分であるノニオン性のポリオールを併用する本発明の形成用組成物(請求項5,請求項8および請求項10に係る組成物)において、アニオン性のポリオールと、ノニオン性のポリオールとの合計使用量に対する、アニオン性の基の割合(全ポリオール中のアニオン性基の濃度)としては、0.001〜1.2mmol/gであることが好ましく、更に好ましくは0.05〜1.0mmol/gとされる。
また、本発明の形成用組成物において、アニオン性の基の割合(全構成成分中のアニオン性基の濃度)としては、0.03〜0.8mmol/gとされる。
【0043】
アニオン性の基の割合が過小であると、カチオン性の活性水素化合物との間で十分な擬似架橋を形成することができず、目的とする強度の向上を図ることができない。
【0044】
任意成分であるノニオン性の活性水素化合物を併用する本発明の形成用組成物(請求項6および請求項13に係る組成物)において、カチオン性の活性水素化合物とノニオン性の活性水素化合物との合計使用量に対する、カチオン性の基(第四級アンモニウム基)の割合(硬化剤中のカチオン性基の濃度)としては、0.1〜10mmol/gであることが好ましく、更に好ましくは0.3〜9mmol/g、特に好ましくは0.5〜8mmol/gとされる。
また、本発明の形成用組成物において、カチオン性の基の割合(全構成成分中のカチオン性基の濃度)としては、0.05〜3mmol/gとされる。
【0045】
カチオン性の基の割合が過小であると、アニオン性のポリオールまたはイソシアネート基末端プレポリマーとの間で十分な擬似架橋を形成することができず、目的とする強度の向上を図ることができない。
【0046】
本発明の形成用組成物において、ポリオールに含まれるアニオン性の基(例えばスルホナト基)と、活性水素化合物に含まれるカチオン性の基(例えば第四級アンモニウム基)とのモル比率は、1:0.9〜1:2.6とされる。
【0047】
<ウレタンエラストマーの製造方法>
請求項1乃至請求項6に係る組成物は、構成成分(必須成分および任意成分)を均一に攪拌混合することにより調製される。
そして、得られた形成用組成物を予熱された型に注入し、型内において加熱してウレタン化反応を行わせ、型から取り出した後、必要に応じて後加熱(ポストキュア)することにより、ウレタンエラストマーからなる成型物を得ることができる。
【0048】
請求項7乃至請求項13に係る組成物は、ポリオール(必須成分であるアニオン性のポリオールおよび任意成分であるノニオン性のポリオール)と、有機ポリイソシアネートとの混合液を加熱してウレタン化反応を行わせることによりイソシアネート基末端プレポリマー(主剤)を合成し、このイソシアネート基末端プレポリマーを減圧脱泡した後、活性水素化合物(必須成分であるカチオン性の活性水素化合物および任意成分であるノニオン性の活性水素化合物からなる硬化剤)を添加することにより調製される。
そして、得られた形成用組成物を予熱された型に注入し、型内において加熱してウレタン化反応を行わせ、型から取り出した後、必要に応じて後加熱することにより、ウレタンエラストマーからなる成型物を得ることができる。
【0049】
<本発明の製造方法>
本発明の製造方法は、有機ポリイソシアネートと、スルホナト基を有するポリエステルポリオール(アニオン性のポリオール)と、ノニオン性のポリオールとをウレタン化反応させて、主剤となるイソシアネート基末端プレポリマーを得る工程(以下、「プレポリマーの合成工程」という。);および
得られたイソシアネート基末端プレポリマー(主剤)と、分子中に2〜4個の活性水素原子を有する第四級アンモニウム塩(硬化剤)と、ノニオン性の活性水素化合物(硬化剤)とを反応させる工程(以下、「硬化工程」という。)を含む。
【0050】
「プレポリマーの合成工程」における反応条件としては、窒素雰囲気下、60〜110℃で30分間〜8時間とされ、好ましくは65〜100℃で1〜5時間とされる。
「硬化工程」の一例を示せば、主剤(イソシアネート基末端プレポリマー)と、硬化剤(前記第四級アンモニウム塩および前記ノニオン性の活性水素化合物)との混合液(本発明の組成物)を型に注入し、80〜130℃で10分間〜6時間にわたり型内で加熱し、型から取り出した後、80〜130℃で1〜48時間にわたり加熱(後加熱)する。
これにより、一定以上(400%以上)の伸びを維持し、引張強度の高いウレタンエラストマーからなる成型物を得ることができる。
【0051】
<エラストマーの用途>
本発明の形成用組成物により得られるエラストマーは、柔軟性(伸び特性)を維持し、かつ、高い引張強度を有しているので、ロール類、ベルト類、チューブ・ホース類、ギア類、パッキン類など、産業機器の構成部品(弾性部品)として特に好適に使用することができる。
【0052】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例および比較例において、構成成分を示す符号は以下の物質を意味する。
【0053】
(1)TDI:
トリレンジイソシアネート(2,4−TDIの割合:99%以上)
【0054】
(2)HA(SO3 Na):
ジメチル−5−スルホイソフタル酸ナトリウム(DMIS)0.395モルと、1,6−ヘキサンジオール4.519モルと、アジピン酸3.161モルとを反応させることにより得られた、上記一般式〔I〕で示される基本構造を有するポリエステルポリオール(アニオン性のポリオール)。
数平均分子量(Mn)=1,020、スルホン酸ナトリウム基濃度=0.405mmol/g、上記一般式〔I〕中の(m:n)の平均値=3.161:0.395
【0055】
(3)HA−1000:
1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸とを反応させて得られた、数平均分子量(Mn)が1,011のアジペート系ポリエステルポリオール(ノニオン性のポリオール)。
【0056】
(4)PTG−1000:
数平均分子量(Mn)が1,014のPTMG(ノニオン性のポリオール)
「PTG−1000SN」(保土ヶ谷化学(株)製)。
【0057】
(5)MEAI:
上記式〔C−1〕で示されるヨウ化ジメチルジエタノールアンモニウム(カチオン性の活性水素化合物)、分子量=261.1,第四級アンモニウム基の濃度=3.84mmol/g。
【0058】
(6)1,4−BD:1,4−ブタンジオール(ノニオン性の活性水素化合物)
【0059】
(7)TMP:トリメチロールプロパン(ノニオン性の活性水素化合物)
【0060】
(8)BES−Na:
下記の式〔c−1〕で示されるN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸ナトリウム(アニオン性の活性水素化合物)。
【0061】
【化4】
Figure 0004168374
【0062】
<実施例1>
下記表1に示す配合処方に従って、30,600gのHA(SO3 Na)(OH基のモル数=60)と、20,220gのHA−1000(OH基のモル数=40)との混合液に、17,420gのTDI(NCO基のモル数=200)を添加し、窒素雰囲気下、80℃で3時間加熱してウレタン化反応を行わせることにより、主剤となるイソシアネート基末端プレポリマーを合成した。ここに、ウレタン化反応の終点はアミン当量法によって確認した。
次いで、このイソシアネート基末端プレポリマー(主剤)を減圧脱泡した後、2,872gのMEAI(OH基のモル数=22)と、1,847gの1,4−BD(OH基のモル数=41)と、1,208gのTMP(OH基のモル数=27)とを混合してなる硬化剤(鎖延長剤)を添加し、100℃に予熱された金型に注入し、型内において100℃で3時間加熱してウレタン化反応を行わせた。型から取り出した後、100℃で24時間にわたり後加熱することにより、ウレタンエラストマーからなる成型物を得た。
【0063】
<実施例2〜3>
下記表1に示す配合処方に従って、硬化剤の組成を変更したこと以外は実施例1と同様にしてウレタンエラストマーからなる成型物を得た。
【0064】
<比較例1>
下記表1に示す配合処方に従って、50,550gのHA−1000(OH基のモル数=100)に、17,420gのTDI(NCO基のモル数=200)を添加して、主剤となるイソシアネート基末端プレポリマーを合成し、このイソシアネート基末端プレポリマー(主剤)に、2,839gの1,4−BD(OH基のモル数=63)と、1,208gのTMP(OH基のモル数=27)とを混合してなる硬化剤(鎖延長剤)を添加したこと以外は実施例1と同様にしてウレタンエラストマーからなる成型物を得た。
この比較例1は、アニオン性のポリオールおよびカチオン性の活性水素化合物の何れをも使用しなかった比較例である。
【0065】
<比較例2〜5>
下記表1に示す配合処方に従って、硬化剤の組成を変更したこと以外は実施例1と同様にしてウレタンエラストマーからなる成型物を得た。
比較例2は、ノニオン性の活性水素化合物のみからなる硬化剤を使用した比較例であり、比較例3〜5は、カチオン性の活性水素化合物に代えて、アニオン性の活性水素化合物を使用した比較例である。
【0066】
<実施例4〜5>
下記表1に示す配合処方に従って、HA−1000に代えて、20,280gのPTG−1000を使用したこと以外は実施例1〜2と同様にしてウレタンエラストマーからなる成型物を得た。
【0067】
<比較例6>
下記表1に示す配合処方に従って、硬化剤の組成を変更したこと以外は実施例1と同様にしてウレタンエラストマーからなる成型物を得た。
この比較例6は、ノニオン性の活性水素化合物のみからなる硬化剤を使用した比較例である。
【0068】
<成型物の評価>
実施例1〜5および比較例1〜6により得られたウレタンエラストマー成型物の各々について、硬度(JIS−A型硬さ計による)、引張強度および破断伸びをJIS K 7312に準拠して測定した。これらの結果を下記表2に示す。
【0069】
【表1】
Figure 0004168374
【0070】
【表2】
Figure 0004168374
【0071】
【発明の効果】
本発明の組成物によれば、アニオン性のポリオール(当該ポリオールを使用して得られるイソシアネート基末端プレポリマー)と、カチオン性の活性水素化合物との間に擬似架橋が形成されることにより、多官能性の活性水素化合物を高い割合した場合には達成することのできない所期の伸び特性(破断伸びが400%以上)を維持しながら、多官能性の活性水素化合物を高い割合した場合と同等程度の高い引張強度を有するウレタンエラストマーを製造することができる。
本発明の製造方法によれば、所期の伸び特性を維持し、引張強度の高いウレタンエラストマーを確実に製造することができる。

Claims (14)

  1. 有機ポリイソシアネート、アニオン性のポリオール、およびカチオン性の活性水素化合物を含有する組成物であって、
    前記アニオン性のポリオールの有するアニオン性の基の含有量(全構成成分中の濃度)が0.03〜0.8mmol/gであり、
    前記カチオン性の活性水素化合物の有するカチオン性の基の含有量(全構成成分中の濃度)が0.05〜3mmol/gであり、
    前記アニオン性の基と、前記カチオン性の基とのモル比率が1:0.9〜1:2.6であるウレタンエラストマー形成用組成物。
  2. 有機ポリイソシアネート、
    スルホナト基(−SO3 - )を有するポリエステルポリオール、および
    分子中に2〜4個の活性水素原子を有する第四級アンモニウム塩
    を含有する組成物であって、
    前記ポリエステルポリオールの有するスルホナト基の含有量(全構成成分中の濃度)が0.03〜0.8mmol/gであり、
    前記第四級アンモニウム塩の有する第四級アンモニウム基の含有量(全構成成分中の濃度)が0.05〜3mmol/gであり、
    前記スルホナト基と、前記第四級アンモニウム基とのモル比率が1:0.9〜1:2.6であるウレタンエラストマー形成用組成物。
  3. 前記ポリエステルポリオールが、スルホン酸ナトリウム基(−SO3 Na)を有する二塩基酸またはそのエステルと、アジピン酸、アゼライン酸、コハク酸、スベリン酸、フタル酸、イソフタル酸から選ばれた二塩基酸と、短鎖ジオールとを反応させて得られるポリエステルポリオールである請求項2に記載のウレタンエラストマー形成用組成物。
  4. 前記ポリエステルポリオールが、下記一般式〔I〕で示される基本構造を有する数平均分子量が500〜10,000のポリエステルポリオールであり、
    前記第四級アンモニウム塩が、ヨウ化ジメチルジエタノールアンモニウムである請求項2に記載のウレタンエラストマー形成用組成物。
    Figure 0004168374
    (式中、mおよびnは数平均分子量が500〜10,000となる数を表す。上記2つの繰り返し単位は、ランダムに配列されていても、ブロック的に配列されていてもよい。)
  5. 数平均分子量が500〜10,000であるノニオン性のポリオールを含有する請求項1乃至請求項4の何れかに記載のウレタンエラストマー形成用組成物。
  6. 数平均分子量が500未満であるノニオン性の活性水素化合物を含有する請求項1乃至請求項5の何れかに記載のウレタンエラストマー形成用組成物。
  7. 有機ポリイソシアネートと、アニオン性のポリオールとを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー、およびカチオン性の活性水素化合物を含有する組成物であって、
    前記イソシアネート基末端プレポリマーの有するアニオン性の基の含有量(全構成成分中の濃度)が0.03〜0.8mmol/gであり、
    前記カチオン性の活性水素化合物の有するカチオン性の基の含有量(全構成成分中の濃度)が0.05〜3mmol/gであり、
    前記アニオン性の基と、前記カチオン性の基とのモル比率が1:0.9〜1:2.6であるウレタンエラストマー形成用組成物。
  8. 有機ポリイソシアネートと、アニオン性のポリオールと、数平均分子量が500〜10,000であるノニオン性のポリオールとを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー、およびカチオン性の活性水素化合物を含有する組成物であって、
    前記イソシアネート基末端プレポリマーの有するアニオン性の基の含有量(全構成成分中の濃度)が0.03〜0.8mmol/gであり、
    前記カチオン性の活性水素化合物の有するカチオン性の基の含有量(全構成成分中の濃度)が0.05〜3mmol/gであり、
    前記アニオン性の基と、前記カチオン性の基とのモル比率が1:0.9〜1:2.6であるウレタンエラストマー形成用組成物。
  9. 有機ポリイソシアネートと、スルホナト基(−SO3 - )を有するポリエステルポリオールとを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー、および
    分子中に2〜4個の活性水素原子を有する第四級アンモニウム塩
    を含有する組成物であって、
    前記イソシアネート基末端プレポリマーの有するスルホナト基の含有量(全構成成分中の濃度)が0.03〜0.8mmol/gであり、
    前記第四級アンモニウム塩の有する第四級アンモニウム基の含有量(全構成成分中の濃度)が0.05〜3mmol/gであり、
    前記スルホナト基と、前記第四級アンモニウム基とのモル比率が1:0.9〜1:2.6であるウレタンエラストマー形成用組成物。
  10. 有機ポリイソシアネートと、スルホナト基(−SO3 - )を有するポリエステルポリオールと、数平均分子量が500〜10,000であるノニオン性のポリオールとを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー、および
    分子中に2〜4個の活性水素原子を有する第四級アンモニウム塩
    を含有する組成物であって、
    前記イソシアネート基末端プレポリマーの有するスルホナト基の含有量(全構成成分中の濃度)が0.03〜0.8mmol/gであり、
    前記第四級アンモニウム塩の有する第四級アンモニウム基の含有量(全構成成分中の濃度)が0.05〜3mmol/gであり、
    前記スルホナト基と、前記第四級アンモニウム基とのモル比率が1:0.9〜1:2.6であるウレタンエラストマー形成用組成物。
  11. 前記ポリエステルポリオールが、スルホン酸ナトリウム基(−SO3 Na)を有する二塩基酸またはそのエステルと、アジピン酸、アゼライン酸、コハク酸、スベリン酸、フタル酸、イソフタル酸から選ばれた二塩基酸と、短鎖ジオールとを反応させて得られるポリエステルポリオールである請求項9または請求項10に記載のウレタンエラストマー形成用組成物。
  12. 前記ポリエステルポリオールが、下記一般式〔I〕で示される基本構造を有する数平均分子量が500〜10,000のポリエステルポリオールであり、
    前記第四級アンモニウム塩が、ヨウ化ジメチルジエタノールアンモニウムである請求項9または請求項10に記載のウレタンエラストマー形成用組成物。
    Figure 0004168374
    (式中、mおよびnは数平均分子量が500〜10,000となる数を表す。上記2つの繰り返し単位は、ランダムに配列されていても、ブロック的に配列されていてもよい。)
  13. 数平均分子量が500未満であるノニオン性の活性水素化合物を含有する請求項7乃至請求項12の何れかに記載のウレタンエラストマー形成用組成物。
  14. 有機ポリイソシアネートと、スルホナト基(−SO3 - )を有するポリエステルポリオールと、数平均分子量が500〜10,000であるノニオン性のポリオールとを反応させてイソシアネート基末端プレポリマーを得る工程;および
    得られたイソシアネート基末端プレポリマーと、分子中に2〜4個の活性水素原子を有する第四級アンモニウム塩と、数平均分子量が500未満であるノニオン性の活性水素化合物とを反応させる工程を含み、
    前記イソシアネート基末端プレポリマーに由来するスルホナト基の含有量が0.03〜0.8mmol/gであり、
    前記第四級アンモニウム塩に由来する第四級アンモニウム基の含有量が0.05〜3mmol/gであり、
    前記スルホナト基と、前記第四級アンモニウム基とのモル比率が1:0.9〜1:2.6であるウレタンエラストマーを製造するウレタンエラストマーの製造方法。
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