JP4168121B2 - 苗の順化・移植方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は培養されたインビトロ苗を順化させてからポット等の栽培容器に移植する苗の順化・移植方法に関し、特にイチゴ苗の順化・移植に適する方法である。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、インビトロ苗の培養環境は無菌状態であり、自然環境よりも湿度が高いので、培養されたインビトロ苗は耐菌性、耐候性等が低い。そこで、インビトロ苗に耐菌性、耐候性をもたせるべく順化させてから、自然環境下で生育している。培養されたインビトロ苗は培養容器から根ごと取り出して株分けし、育苗トレーや育苗ポット等の栽培容器に移植して順化環境内で順化させている。
【0003】
イチゴ苗の培養を行なう培養容器は、上方開口であり、深さ方向途中のくびれ部分に金網が着脱可能にセットされており、金網より下方に培養液が収納可能である。この種の培養容器を使用してイチゴ苗を培養する場合は、イチゴ苗の生長点を含む複数のシュートを前記金網の上に置いて培養する。培養されたインビトロ苗は金網ごと培養容器から取り出して株分けし、育苗トレーや育苗ポット等の栽培容器に移植し、順化環境下に1週間程度おいて順化させている。詳しくは特許文献1参照。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−220022号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記した従来のイチゴ苗の順化・移植方法には次のような課題があった。
(1)育苗ポット等への移植の際にインビトロ苗の根を切除するので、苗が弱ったり、苗にストレスが掛かったりして、その後の苗の生長が遅くなるとか、小さな苗は成長できずに枯死するといったことがある。
(2)前記課題を解決するためには、培養期間を長くしてインビトロ苗を培養容器内で生育させることが考えられるが、前記問題が発生しない程度にまで生育させるには培養容器が小さ過ぎる。培養容器の容積を大きくしても、培養容器内は通気性、その他の面で生育には適さない。
(3)順化中に湿度維持のために、ミスト噴霧しなければならず、順化環境の管理や維持に手間がかかり、コストアップになる。
(4)分離したイチゴ苗は茎や根が細く、柔らかいので、扱い難く、分離作業に多くの手間が掛かった。
(5)分離しても、移植に適さないほど未成熟な苗は移植できないので、移植できるインビトロ苗の本数が少ない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は前記課題を解決した、苗の順化・移植方法を提供することにある。
【0007】
本発明の請求項1記載の苗の順化・移植方法は、 培養容器内で培養されたインビトロ苗を順化してポット等の栽培容器に移植する順化・移植方法であって、インビトロ苗が培養容器内で網の上で培養され、多数本のインビトロ苗を根のついたまま網ごと培養容器から取り出して網ごと水耕栽培装置に移して水耕栽培し、水耕栽培中に苗をシートで覆って保湿して順化させ、順化させた多数本の苗を網ごと水耕栽培装置から取り出し、網の下に突出している根の下方部分を切断してインビトロ苗を分離し、分離された各苗をポット等の栽培容器に移植する方法である。
【0008】
【0009】
本発明の請求項2記載の苗の順化・移植方法は、前記した苗の順化・移植方法において、順化後に分離された苗を縦横に多数連結された栽培容器に移植することを特徴とする方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本発明の実施形態を図に基づいて説明する。この実施形態は培養したイチゴ苗を順化して移植する場合の一例である。この実施形態では相対湿度がほぼ100%(少なくとも80%以上)、温度23〜25℃の培養容器1内で多数のイチゴのシュートを培養してインビトロ苗5とする。インビトロ苗5の本数は培養容器1の大きさによっても異なるが、通常は270〜280本である。培養容器1は蓋2を備えた有底の透明容器であり、深さ方向途中にくびれ部3があり、そのくびれ部3に金網4を係止させてセット可能としてある。図1(b)に示されているようなイチゴのインビトロ苗5を培養するには、同図(a)に示すように、培養容器1内に培養液を入れて液体培地6を形成すると共に、前記金網4の上にイチゴのランナーから取り出した生長点を含むシュート7を複数載せて培養する。このとき、液体培地6の液面は金網4より下として、シュート7が気液両方に接触可能としておく。前記金網4は合成樹脂製の網や多数の通孔を備えた金属板、プラスチック板等に替えることもできる。要は、培養容器1内のシュート7を気液両方に接触可能に支持可能であれば如何なるものであってもよい。液体培地は寒天培地に替えることもできる。
【0011】
次に、培養容器1内のインビトロ苗5を根のついたまま金網4ごと取り出して順化させる。順化は水耕栽培装置(例えばみかど水耕栽培装置等)を利用して行う。具体的には、図2に示すような水耕栽培用ベット8の上の蓋10に設けられた穴9にインビトロ苗5を金網4ごと差し込んで(セットして)水耕栽培する。このとき、穴9の径を金網4の径より多少小さくして、金網4の外周部が穴9の周縁に係止して落下しないようにするのが望ましい。また、蓋10の全ての穴9にインビトロ苗5をセットするのではなく、一部の穴9にはセットせずにその孔をあけたままにして、ベッド内への通気性を確保するのが苗の生育上好ましい。水耕栽培装置による順化中は図3に示すように水耕栽培ベット8をシート13で覆ってインビトロ苗5を保湿する。順化期間はシート13内の順化環境によっても異なるが、一般的には順化環境が湿度60〜80%、温度15℃〜25℃の範囲で、7〜8日行うのが好ましい。温度が極端に低すぎると低温障害が発生し、高すぎると高温障害が発生する。外気温度が高い時期は斜光率の高いシートを使用し、外気温度が低い時期は斜光率の低いシートを使用して温度を可及的に所定温度に維持することが望ましい。シートは二枚以上を上下に間隔をあけて被せるようにしてもよい。その場合、同種又は異種のシートを使用することができる。前記シートは樹脂製のものが適する。
【0012】
水耕栽培装置で順化されたインビトロ苗5を金網4ごと前記水耕栽培ベット8から取り出し、図4に示すように、金網4の下に突出しているインビトロ苗5aの根11の下方部分を切除し、インビトロ苗5を個々の苗5aごとに分離する。
【0013】
分離された夫々のイチゴ苗5aを図5に示すようにポットやプラグトレー等の栽培(育苗)容器12に移植する。図5に示す栽培容器12は単独の育苗ポットであるが、イチゴ苗5aは多数のポットが縦横に連結された連結ポット、例えば、プラグトレー(セルトレー)等に移植することもできる。本発明は、イチゴ苗に限らず、他の植物の苗の順化・移植にも利用可能である。
【0014】
【発明の効果】
本発明はインビトロ苗を水耕栽培装置を利用して順化させると共に十分に成長させてから分離して移植をするので、次のような効果がある。
(1)インビトロ苗を順化させ、十分に成長させてから根を切断するので、根の切除によって苗が受けるストレスが軽減され、その後の生育に支障を来すことが少ない。
(2)順化に水耕栽培装置を利用するので従来のようにミスト噴霧の手間が不要となり、順化にかかる手間、コストが低減される。
(3)水耕栽培装置を利用した順化により、茎や根が十分に成長し、太くなり、丈夫になってから苗を分離するので、苗が扱い易くなり、株分け作業が容易となり、作業時間も短縮される。また、苗の無駄が少なくなり、一つの培養容器で培養したインビトロ苗から取り出せる苗の本数が多くなる(歩留まりが向上する)。
具体的には、従来方法では1つの一つの培養容器で培養したインビトロ苗から取れる苗は120本程度であったが、本発明によれば200本程度の苗を取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)(b)は栽培容器内でのイチゴ苗の培養過程を示す説明図。
【図2】 イチゴ苗を水耕栽培装置で順化する工程の説明図。
【図3】 イチゴ苗を順化させる水耕栽培装置をシートで被覆した状態の説明図。
【図4】 順化させたインビトロ苗の分離状態を示す説明図。
【図5】 分離されたイチゴ苗を栽培容器に移植した状態の説明図。
【符号の説明】
1 培養容器
2 培養容器の蓋
3 培養容器のくびれ部
4 金網
5 インビトロ苗
6 液体培地
7 シュート
8 水耕栽培ベット
9 水耕栽培ベットの穴
10 水耕栽培ベットの蓋
11 苗の根
13 シート
Claims (2)
- 培養容器内で培養されたインビトロ苗を順化してポット等の栽培容器に移植する順化・移植方法であって、インビトロ苗が培養容器内で網の上で培養され、多数本のインビトロ苗を根のついたまま網ごと培養容器から取り出して網ごと水耕栽培装置に移して水耕栽培し、水耕栽培中に苗をシートで覆って保湿して順化させ、順化させた多数本の苗を網ごと水耕栽培装置から取り出し、網の下に突出している根の下方部分を切断してインビトロ苗を分離し、分離された各苗をポット等の栽培容器に移植することを特徴とする苗の順化・移植方法。
- 順化後に分離された苗を縦横に多数連結された栽培容器に移植することを特徴とする請求項1記載の苗の順化・移植方法。
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