JP4167299B2 - 生物剤組成物 - Google Patents
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Description
本発明は、特に、(1)化学療法剤用の薬剤組成物及び方法および(2)生物剤(biological agent)に対する、特に標的細胞または組織が生物剤に対して耐性のあるひとに対する薬剤組成物に関するものである。
数多くの化学療法剤は、生理学的液体において低い溶解性及び安定性を有する。また、化学療法剤は細胞膜を介して運搬されにくいことが多い。さらに、これらの薬剤のうち多くは、標的となる癌に到達する前に、血漿タンパク質に結合したり、さらには血流中でさらに非特異的に相互作用したりする。
多くの腫瘍や微生物による感染を発達させる生物剤に対する耐性が、有効な化学療法処置に対する主要な障害である。抗癌剤に対する腫瘍細胞の感受性は、化学療法による摂生中103という高い因数で減少し得る。このような耐性が一つの薬剤に関して発生すると、標的細胞は従来さらされたことのない数多くの他の生物剤に対しても耐性を有することが多いことが発見された。ゴールドスタイン(Goldstein)ら、クリット レブ オンコル ヘマトル(Crit. Rev. Oncol. Hematol.)、12:243〜253、1992年;グッドマン(Goodman)及びギルマン(Gilman)による、ザ ファーマコロジカル ベイシス オブ テラピューティクス(The Pharmacological Basis of Therapeutics)、第8版、マックグロー−ヒル(McGraw-Hill)、ニューヨーク、1994年を参照。このような耐性が発生する機構の一つとしては、膜ポンプタンパク質gp−170(糖タンパク質PまたはP−gpタンパク質)が係わっていると考えられる。ゴールドスタイン(Goldstein)ら、クリット レブ オンコル ヘマトル(Crit. Rev. Oncol. Hematol.)、12:243〜253、1992年を参照。
ここで、これらの欠点は以下の特性を有する一以上のブロック共重合体のミセルを含む配合物において生物剤を投与することによって克服できることを発見した。さらに、これらのブロック共重合体のある種のサブセットでは薬剤をデリバリーするのにさらには生物剤に対する耐性を逆転するのに特に有効であることが発見された。
発明の要約
一実施態様によると、本発明は、以下よりなる薬剤組成物を提供するものである:
(a)生物剤;および
(b)B−タイプの直鎖状の重合体セグメントに一方の末端が結合したA−タイプの直鎖状の重合体セグメントからなるポリエーテルブロック共重合体において、A−タイプのセグメントは比較的親水性の特性を有し、その繰り返し単位は約−0.4以下の平均ハンシュ−レオ断片定数を有しかつ約30〜約500の分子量を有し、B−タイプのセグメントは比較的疎水性の特性を有し、その繰り返し単位は約−0.4以上の平均ハンシュ−レオ断片定数を有しかつ約30〜約500の分子量を有し、さらに各重合体セグメントの繰り返し単位をつなぐ結合の少なくとも約80%がエーテル結合からなるポリエーテルブロック共重合体。好ましい第一の実施態様によると、上記ポリエーテルブロック共重合体は以下の式の重合体からなる群より選ばれる:
ただし、A及びA’はA−タイプの直鎖状の重合体セグメントであり、B及びB’はB−タイプの直鎖状の重合体セグメントであり、およびR1、R2、R3及びR4は式(I)、(II)または(III)のブロック共重合体または水素であり、およびLは連結基(linking group)であり、この際、R1、R2、R3またはR4の2以下が水素である。
好ましい実施態様によると、本組成物は、投与中またはそれ以降ではブロック共重合体のミセルからなるまたはブロック共重合体のミセルを形成する。好ましくは、少なくとも約0.1%の生物剤、より好ましくは、少なくとも約1%の生物剤、さらにより好ましくは、少なくとも約5%の生物剤がミセル中に含まれる。
好ましい実施態様によると、組成物の共重合体の疎水性部(hydrophobe)の割合(%)は、少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約60%、さらにより好ましくは、少なくとも約70%である。
他の好ましい実施態様によると、共重合体の疎水性部(hydrophobe)の重量は、少なくとも約900、より好ましくは少なくとも約1700、さらにより好ましくは、少なくとも約2000、さらにより好ましくは、少なくとも約2300である。
さらなる好ましい実施態様によると、疎水性部(hydrophobe)の重量が少なくとも約2000でありかつ疎水性部(hydrophobe)の割合(%)が少なくとも約20%、好ましくは約35%である;または疎水性部(hydrophobe)の重量が少なくとも約2300でありかつ疎水性部(hydrophobe)の割合(%)が少なくとも約20%、好ましくは約35%である。
さらに他の好ましい実施態様によると、組成物の一共重合体または複数の共重合体は、等張水溶液中で37℃で約0.5%(重量/容積)以下、好ましくは約0.05%(重量/容積)以下、より好ましくは約0.01%(重量/容積)以下、さらにより好ましくは約0.003%(重量/容積)以下の臨界ミセル濃度(CMC)を有する。
好ましくは、組成物の共重合体は以下に記載される式(V)で表される。これらの共重合体のうち、約1500から約2000、好ましくは約1710から約1780の疎水性部の重量、および約85%から約95%、好ましくは約88%から約92%の疎水性部の割合(%)を有するものが特に好ましい。また、これらの共重合体のうち、約3000から約3500、好ましくは約3200から約3300の疎水性部の重量、および約15%から約25%、好ましくは約18%から約22%の疎水性部の割合(%)を有するものもまた特に好ましい。さらに、これらの重合体のうち、約3500から約4000、好ましくは約3700から約3800の疎水性部の重量、および約25%から約35%、好ましくは約28%から約32%の疎水性部の割合(%)を有するものもまた特に好ましい。
好ましい実施態様によると、組成物は化学療法剤からなる。
第二の実施態様によると、本発明は、重合体ミセル中に可溶化される細胞毒からなる薬剤組成物を提供するものである。
他の実施態様によると、本発明は、第一または第二の実施態様の薬剤組成物を投与することによる微生物による感染または腫瘍の処置方法を提供するものである。
さらなる他の実施態様によると、本発明は、(a)組織が耐性を有する、第一の生物剤と同じであってもまたは異なってもよい、第二の生物剤および(b)本発明の第一または第二の実施態様として記載されるミセルを形成する共重合体組成物からなる組成物を投与することからなる、生物剤または他の生物剤の処置中の該生物剤に対して耐性を有する病変組織の処置方法を提供するものである。
他の実施態様によると、本発明は、本発明の抗癌組成物の一つを投与することによる腫瘍の転移の予防または限定方法を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
図は、遊離またはミセル形態を有するダウノルビシンで処理されたSK耐性細胞またはSK細胞に関する細胞毒性を示すものである。
図2は、遊離またはミセル形態を有するダウノルビシンでそれぞれ処理されたSK耐性細胞またはSK細胞に関するダウノルビシンの蓄積の動態を示すものである。
図3A及び3Bは、様々な濃度のドキソルビシン及びプルロニックL61と共にインキュベートされたMCF7−ADR細胞の阻害率を示すものである。
図3Cは、MCF7−ADR細胞に対するプルロニックL61の細胞毒性を示すものである。
図4は、血液からの[3H]−プルロニックP85のクリアランスおよび肝臓における蓄積のタイムコースを示すものである。
図5は、静脈内または経口で投与された[3H]−プルロニックP85の血中濃度の比較を示すものである。
図6Aは、ダウノルビシンの肝臓中の濃度を示すものである。
図6Bは、注射後の時間にわたるダウノルビシンの血中濃度を示すものである。
図6Cは、注射後の時間にわたるダウノルビシンの血中濃度を示すものである。
図7は、処置期間中の、BALB/cマウスの多薬剤耐性(multidrugresistance)SP2/0dnr骨髄腫瘍の容積の変化を示すものである。
容積は、処置の初日における平均容積(V0)に対する所定の日における腫瘍の平均容積(V)として示した。
図8は、処置期間中の、BALB/cマウスの多薬剤耐性Sp2/0dnr骨髄腫瘍の容積の変化を示すものである。
図9は、ドキソルビシンとプルロニックP85で処置したマウス対ドキソルビシン単独で処置したマウスにおける腫瘍の転移の阻害を示すものである。
定義
以下に列挙されることばまたは節は下記意味を有する:
・生物剤:以下に限られるものではないが、細胞、器官または生物の機能を変化させる薬剤(製薬)等の、診断若しくはイメージングに有用であるまたは細胞、器官または生物に作用できる薬剤。このような薬剤としては、以下に限られるものではないが、核酸、ポリヌクレオチド、抗細菌剤、抗ウィルス剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤、殺腫瘍若しくは抗癌剤、タンパク質、毒素、酵素、ホルモン、神経伝達物質、糖タンパク質、免疫グロブリン、免疫修飾物質、染料、放射線標識物質、放射線不透過化合物、蛍光化合物、多糖、細胞レセプター結合分子、抗炎症剤、抗緑内障剤、散瞳化合物及び局所麻酔薬が挙げられる。
・化学療法剤:腫瘍性若しくは病原性の微生物細胞の成長を阻害するまたはこのような細胞の生存を抑制するまたはウィルスの増殖(以下に制限されるものではないが複製、ウィルスのアセンブリーまたは細胞の感染を含む)を阻害する生物剤。
・細胞毒:特に迅速に分裂する細胞に対して、細胞毒性を有する癌を処置するのに有用である化学療法剤。
・疎水性部の割合(%):B−タイプのブロックから構成されるブロック共重合体の分子量の割合(%)。この値は、「疎水性部の重量比(%)」とも称する。
・疎水性部の重量:ブロック共重合体のB−タイプのブロックが占める分子量。この値は、「疎水性部の分子量」とも称する。
・IC50:50%細胞毒性が得られる際の濃度。細胞毒性は、アレイ(Alley)ら、キャンサー レス(Cancer Res.)、48:589〜601、1988年またはスクディエロ(Scudiero)ら、キャンサー レス(Cancer Res.)、48:4827、1988年の方法によって測定できる。特に、ミトコンドリアの酵素の活性の50%の減少が観察される際の薬剤濃度を基礎として測定できる。
・親油性部:標的部位に結合し、共重合体ミセルの親油性部分に分けて標的部位をこのようなミセルと会合させる親油性置換基。
・微生物:細菌、マイコプラズマ、酵母または真菌(fungi)、ウィルスまたは寄生虫(マラリア原虫等)。
・MDR:MDR細胞の親である細胞系に作用する生物剤の活性に対して耐性がある際には、細胞は多薬剤耐性(multidrug resistant)(MDR)がある。
・標的部分:細胞表面レセプターまたはアクセプター分子等の細胞、組織、ウィルスまたは基層成分によって認識される分子構造。
詳細な説明
本発明のブロック共重合体が化学療法剤の効力を向上させMDRを逆転させる(reverse)際の有効性は、(a)疎水性部の割合(%)におよび(b)疎水性部の重量に非常に依存することが発見された。この有効性は、割合(%)(a)の増加または重量(b)の増加、または双方に伴って改善される。これらの疎水性部の割合(%)及び疎水性部の重量はまた、上記共重合体に関するミセルの形成が低濃度で起こるという改善されたミセル形成特性と関連がある。ハーター(Hurter)ら、マクロモレキュールズ(Macromolecules)、26:5030、1993年;ハーター(Hurter)ら、マクロモレキュールズ(Macromolecules)、26:5592、1993年;アレキサンドリス(Alexandris)ら、マクロモレキュールズ(Macromolecules)、27:2414、1994年を参照。特定の理論に制限されるものではないが、ミセルの形成が生物剤のデリバリー性能を向上させる物性を測定するための代用物としての役割を果たすと考えられる。繰り返すが、特定の理論に制限されるものではないが、生物剤の有効性を向上させ、多薬剤耐性を逆転させるのはミセル自体ではないと考えられる。ドキソルビシンをモデル生物剤として使用して、(b)遊離(free)ドキソルビシンなしの場合のIC50(有効細胞毒性濃度の測定結果)に対する(a)共重合体含有組成物の場合のIC50の割合を共重合体の濃度に対してプロットすると、プロットは2相性を有し、即ち、割合は共重合体の濃度の増加に従って急速に減少するが、共重合体のCMCで一様になる。CMCを超えると、割合が急速に水平になっていく(leveling off)のが観察される。図6Bを参照。生物剤の活性の最大の促進は、促進活性が共重合体プルロニックL61では0.0001%(wt/vol)またはそれ未満という低い濃度で観察されるにもかかわらず、CMCを超えると生じる。ミセル形態はまた、以下に記載されるように、他の理由により共重合体を薬剤デリバリーに使用する際に重要であると考えられる。
下記図は、共重合体の疎水性部の割合(%)及び疎水性部の重量と本発明の様々な概念との関係を理解する上で有用である。下記図では、疎水性部(ポリ(オキシプロピレン))の及び共重合体の重量が各共重合体名の下に直接示される。各共重合体の疎水性部の割合(%)の値はこれらの値の近くに記載される。
プルロニックF68は、生物剤の効力を促進するのには控えめな活性しか有さないことが分かった。プルロニックF68と同等の疎水性部の重量を有するが疎水性部の割合(%)がかなりより高い、プルロニックL61は、通常、図に記載されるブロック共重合体のうち最も効果的である。プルロニックF68と同等の疎水性部の割合(%)を有するが疎水性部の重量がかなりより大きい、プルロニックF108もまた、プルロニックL61に比べると有効性はかなり低いものの、効果的な共重合体である。プルロニックP85はプルロニックF68より大きい疎水性部の重量及びより高い疎水性部の割合(%)を有するが、各値の差はプルロニックF108及びL61の差よりそれぞれ小さい。プルロニックP85の生物剤の効力を促進する有効性はプルロニックF108及びプルロニックL61の有効性の中間である。これらの有効性の相違は、CMCを超える濃度での、様々な共重合体、及びドキソルビシンを薬剤耐性細胞と共にインビトロでインキュベートする際に例証される。共重合体の存在下でのドキソルビシンに関するIC50値に対する共重合体の不存在下でのドキソルビシンに関するIC50値の割合を「耐性逆転指数(rasistance reversion index)」と称する。様々な共重合体に関する耐性逆転指数値は以下のとおりである:
生物剤のデリバリーにおけるミセル形態の重要性はまたインビボ実験でも示される。ミセルの形態では、生物剤は、ミセルの疎水性の中心部に位置するため、ミセルを取り囲む親水性の外皮(A−タイプセグメントから構成される)によってマスクされる。このマスキングにより、肝臓、血漿タンパク質、他の標的とされない組織及び生物剤と結合するまたは生物剤を不活性化するまたは生物剤を毒性のある代謝産物に変換してしまう他の分子との相互作用が抑制される。例えば、肝臓によるアンスラサイクリン(anthracycline)系抗生物質の迅速な代謝によりC13の位置で修飾される心臓毒性代謝産物が形成される。マシュリン(Mushlin)ら、ビーアール ジェー ファーマコル(Br. J. Pharmacol.)、110:975〜982、1993年を参照。ドキソルビシンをモデル薬剤として使用することにより、ミセル形態は肝臓による吸収を抑止し、ドキソルビシノール(doxorubicinol)への変換を抑制し、さらにドキソルビシンの血中濃度が減少する速度を抑制する。図4及び5を参照。
(a)ミセルを形成する(CMCの減少に伴い有効性がより大きくなる)及び(b)様々な生物剤を遊離形態ではなくミセル形態に分配しようとすることにおける共重合体の有効性は同様の様式に従って(即ち、疎水性部の重量または疎水性部の割合(%)の増加に従って)向上する。これにより、有効性の階層は、再度、L61>P85>F108>>F68である。低濃度でのミセルの存在は、生物剤がミセルと会合し続け、生物剤及び共重合体が一緒に標的組織に到達するという考えを確実に起こるよう補助すると考えられる。ミセルの形態をとるような分配係数は、生物剤がミセルと会合し続けるという仮定が確実に実現するよう補助する。生物剤のミセル形態はまた、生物剤が、生物剤を効果的でないまたは毒性のある代謝産物に代謝する非標的組織によって吸収されたり、血液成分や細胞成分等に非特異的に吸着されないように保護すると考えられる。
同様のパターンの共重合体の有効性が、実施例に記載されるように、抗癌剤による実験上の腫瘍の処置に適用される。
高濃度では、ブロック共重合体は、被験者の肝臓、腎臓または他の細胞に毒性を有する。ビーエーエスエフ コーポレイション(BASF Corp.)、プルロニック マテリアル セイフティー データ シート アンド ドラッグ マスター ファイルズ(Pluronic Material Safety Data Sheet and Drug Master Files)を参照。ブロック共重合体の毒性は、生物剤の効能を上げる際の有効性の増加で見られるのと同様のパターンに従ってブロック共重合体の疎水性パラメーターと共に増加する。幸い、これらの疎水性パラメーター変化としての効能の増加速度は共重合体の毒性の増加よりかなり大きい。例えば、実施例8に示されるように、BALB/cマウスにおけるプルロニックL61のLD50はプルロニックF108のLD50より10倍低い。しかしながら、最適な治療投与量の差はプルロニックL61対プルロニックF108では100倍以上高い(実施例9Bを参照)。したがって、生物剤の活性を向上する有効性を共重合体による毒性を回避しつつ維持できる濃度範囲は、プルロニックL61対プルロニックF108では増加する。
膜タンパク質の糖タンパク質P系統群に属するものは、本発明の組成物を用いることにより耐性が逆転できる多くの腫瘍の多薬剤耐性に応答すると考えられる。ゴールドスタイン(Goldstein)ら、キャンサー トリートメント レス(Cancer Treatment Res.)、57:101〜119、1991年を参照。これらのタンパク質は腫瘍が耐性を有することになった生物剤を排出するポンプとして機能すると考えられる。同様のタンパク質の系統群に属するものは、脳の血管の内層を形成する内皮細胞の膜に存在すると、さらに有効量の多くの生物剤が脳に入らないようにする「血液−脳バリア(blood-brain barrier)」(BBB)に応答すると考えられる。例えば、タツタ(Tatsuta)ら、ジェー バイオル ケム(J. Biol. Chem.)、267:20383〜20391を参照。本発明の組成物は、本出願と同時に1995年6月7日に出願され、発明の名称が「生物剤をターゲットするための組成物」であり、整理番号が313257−103Aである、米国出願番号 号でより詳細に記載されているように、薬剤の脳への透過性を高めるために使用できる。なお、上記米国出願は参考のため本明細書中に引用される。さらに、上記タンパク質系統群に属するものは、カンジダ(Candida)、マラリア及び他の微生物による感染によっては薬剤耐性に応答すると考えられる。特定の理論に結びつけるものではないが、本発明の組成物は糖タンパク質P系統群のものが介在する流出機構や他の薬剤耐性機構を逆転させる。
本発明をハンシュ(Hansch)及びレオ(Leo)によって開発された断片定数(fragmental constant)を参照しながら説明する。ハンシュ(Hansch)及びレオ(Leo)、サブスティテュエント コンスタンツ フォー コレレイション アナリシス イン ケミストリー アンド バイオロジー(Substituent Constants for Correlation Analysis in Chemistry and Biology)、ウィリー(Wiley)、ニューヨーク、1979年;ジェームズ(James)、ソルビィティー アンド リレイテッド プロパティーズ(Solubility and Related Properties)、マーセル デッカー(Marcel Dekker)、ニューヨーク、1986年、頁320〜325を参照。これらの定数は、オクタノール−水の混合液によって形成される相間の分子の分配傾向に関する一部分子の寄与を評価するのに使用するために開発された。これらの定数は、通常、ハンシュ−レオ断片分配定数(Hansch-Leo fragmental partition constant)(以下、「ハンシュ−レオ断片定数(Hansch-Leo fragmental constant)」)と称する。
本発明の組成物は、通常、溶解される生物剤の実質的な部分と予め形成されるミセル、または生物剤の患者への投与中若しくはその以降に溶解される生物剤の実質的な部分とミセルを形成する共重合体組成物を含む。標的部位がミセルと会合する本発明の実施態様では、標的部位はミセルと予め会合されるまたは投与中にミセルと会合される。生理学的な温度において等張溶液中のCMC値が低いブロック共重合体が特に好ましいブロック共重合体である。このようなブロック共重合体は、処置患者の血液などの生理学的な液体中にかなり希釈された後でさえ生物剤のミセル状のデリバリーの媒介体(vehicle)を維持する。このような低いCMC値により、より少ない量のブロック共重合体を本発明の薬剤組成物に使用することが可能になる。
1995年1月17日に出願された、米国特許出願番号08/374,406号のすべての開示は本明細書中に参考のため導入される。
ポリエーテル共重合体の全親水性(A−タイプ)ブロックまたは全疎水性(B−タイプ)ブロックの繰り返し単位の数は、好ましくは、約4〜約400である。より好ましくは、繰り返し単位の数は、約4〜約200であり、さらに好ましくは約5〜約80である。ブロック、即ち、A−及びB−ブロックからなる繰り返し単位は、通常、約30〜約500、好ましくは約30〜約100、より好ましくは約30〜約60の分子量を有する。通常、各A−タイプまたはB−タイプのブロックにおいて、繰り返し単位間の結合の少なくとも約80%がエーテル結合であり、好ましくは少なくとも約90%がエーテル結合であり、より好ましくは少なくとも約95%がエーテル結合である。エーテル結合は、本出願の目的を達成するために、グリコシド結合(即ち、糖結合)を含む。しかしながら、一概念によると、単なるエーテル結合が好ましい。
好ましくは、A−タイプのブロックからなるすべての繰り返し単位は、約−0.4未満の、より好ましくは約−0.5未満の、さらにより好ましくは約−0.7未満のハンシュ−レオ断片定数を有する。好ましくは、B−タイプのブロックからなるすべての繰り返し単位は、約−0.30以上の、より好ましくは約−0.20以上のハンシュ−レオ断片定数を有する。
本発明の第一の実施態様による重合体としては、以下の式を有するブロック共重合体が例示される:
ただし、x、y、z、i及びjは、上記ポリエーテル共重合体に関するパラメーターと一致する値を有し、R1、R2対に関しては、一方が水素でありかつ他方はメチル基である。式(V)〜(VII)は、実際、Bブロック内のイソプロピレンラジカルの配向は任意であるという点で単純化されている。このような任意な配向性は、より完全な式(VIII)において示される。このようなポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)化合物は、サントン(Santon)、アム パーフューマー コスメト(Am. Perfumer Cosmet.)、72(4):54〜58(1958年);シュモルカ(Schmolka)、上記引用文、82(7):25〜30(1967年);ノン−イオニック サーファクタンツ(Non-ionic Surfactants)、シック(Schick)、著(デッカー(Dekker)、ニューヨーク、1967年)、頁300〜371に記載される。数多くのこのような化合物は、「ポロキサマー(poloxamer)」、「プルロニック(pluronic)」及び「シンペロニック(synperonic)」という一般的な商標名で市販されている。式B−A−Bのプルロニック重合体は、「逆」プルロニック、「プルロニックR」または「メロキサポール(meroxapol)」と称されることが多い。式(VIII)の「ポリオキサミン(polyoxamine)」重合体は、テトロニックTM(TetronicTM)という名でビーエーエスエフ(BASF)(ウィアンドット,エムアイ(Wyandotte, MI))から市販されている。式(VIII)で表されるポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンのブロックの順番は逆でもよく、これはテトロニックRTM(Tetronic RTM)という名でビーエーエスエフ(BASF)からやはり市販されている。シュモルカ(Schmolka)、ジェー アム オイル ソク(J. Am. Oil Soc.)、59:110(1979年)を参照。ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体は、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの繰り返し単位の任意な混合物からなる親水性ブロックを有するように設計されてもよい。ブロックの親水特性を維持するためには、エチレンオキシドが主である(predominate)。同様にして、疎水性ブロックはエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの繰り返し単位の混合物であってもよい。このようなブロック共重合体はプルラドットTM(PluradotTM)という名でビーエーエスエフ(BASF)から市販されている。
数多くのプルロニックが下記式に合うように設計される:
いうまでもなく、当業者は、m及びnの値は一般的に統計平均を表し、目的とする分子の第一のブロックの繰り返し単位の数は通常第三のブロックの繰り返し単位の数と全く同一ではないと認識するであろう。式(IX)で記載される多くのプルロニックの特性は以下のとおりである:
これらのCMC値は、カバノフ(Kabanov)ら、マクロモレキュールズ(Macromolecules)、28:2303〜2314、1995年に記載される表面張力法によって測定された。
本発明に係るさらなる特定のポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)ブロック共重合体としては、以下が挙げられる:
式(VIII)のジアミン結合プルロニックはまた、下記式のジアミン結合ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン重合体の系統群に属するものであってもよい:
ただし、点線は二番目の窒素から伸張するポリエーテルの対称的なコピーを表し、R*は炭素原子が約2〜約6のアルキレン、炭素原子が約5〜約8のシクロアルキレンまたはフェニレンであり、R1及びR2に関しては、(a)双方が水素であるまたは(b)一方が水素であり他方はメチルであり、R3及びR4に関しては、(a)双方が水素であるまたは(b)一方が水素であり他方はメチルであり、R3及びR4の双方が水素である際には、R5及びR6の一方は水素であり他方はメチルであり、R3及びR4の一方がメチルである際には、R5及びR6の双方は水素である。式(VIII)の−NH2−CH2CH2−NH2−基及び式(X)のN−R*−Nは、式(IV)の連結基Lの例である。
当業者は、本明細書の記載を鑑みて、本発明の実施が例えばポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)化合物に限定される際でも、上記例示される式は限定を十分付していることが分かる。A−タイプのブロックの単量体の平均ハンシュ−レオ断片定数が約−0.4以下であることが重要な態様である。したがって、第一のブロックを構成する単位はエチレンオキシドのみからなる必要はない。同様にして、必ずしもすべてのB−タイプのブロックがプロピレンオキシドのみからなる必要はない。ブロックに、第一の実施態様のパラメーターが維持される限り、式(V)〜(X)で規定される単量体以外の単量体が含まれてもよい。したがって、最も簡単な例としては、ブロックAの少なくとも一の単量体が前記した側鎖基で置換されてもよい。
他の概念によると、本発明は、A−タイプ及びB−タイプのブロックが実質的に式−O−R5の繰り返し単位から構成され、この際、R5は以下のいずれかである、少なくとも一の式(I)〜(X)のブロック共重合体から構成される薬剤組成物に関するものである:
(1)−(CH2)n−CH(R6)−、但し、nは0または約1〜約5の整数であり、およびR6は水素、約3〜約8の炭素原子を有するシクロアルキル、約1〜約6の炭素原子を有するアルキル、フェニル、アルキルが約1〜約6の炭素原子を有するアルキルフェニル、ヒドロキシル、アルキルが約1〜約6の炭素原子を有するヒドロキシアルキル、約1〜約6の炭素原子を有するアルコキシ、約2〜約7の炭素原子を有するアルキルカルボニル、アルコキシが約1〜約6の炭素原子を有するアルコキシカルボニル、アルコキシ及びアルキルがそれぞれ独立して約1〜約6の炭素原子を有するアルコキシカルボニルアルキル、各アルキルがそれぞれ独立して約1〜約6の炭素原子を有するアルキルカルボキシアルキル、アルキルが約1〜約6の炭素原子を有するアミノアルキル、各アルキルがそれぞれ独立して約1〜約6の炭素原子を有するアルキルアミンまたはジアルキルアミノ、各アルキルがそれぞれ独立して約1〜約6の炭素原子を有するモノ−またはジ−アルキルアミノアルキル、クロロ、アルキルが約1〜約6の炭素原子を有するクロロアルキル、フルオロ、アルキルが約1〜約6の炭素原子を有するフルオロアルキル、シアノ、またはアルキルが約1〜約6の炭素原子を有するシアノアルキルまたはカルボキシルである;
(2)約3〜約8の環状炭素原子を有する炭素環基、但し、該基は、例えば、シクロアルキルまたは芳香族基であってもよく、および約1〜約6の炭素原子を有するアルキル、約1〜約6の炭素原子を有するアルコシキ、約1〜約6の炭素原子を有するアルキルアミノ、各アルキルがそれぞれ独立して約1〜約6の炭素原子を有するジアルキルアミノ、アミノ、スルホニル、ヒドロキシル、カルボキシル、フルオロまたはクロロ−置換基を含んでいてもよい;または
(3)約3〜約8の環状炭素原子を有する複素環基、該基は、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアロマティック(heteroaromatic)基を含んでいてもよく、酸素、窒素、硫黄及びこれらの混合物からなる群より選ばれる約1〜約4のヘテロ原子を含んでいてもよく、および約1〜約6の炭素原子を有するアルキル、約1〜約6の炭素原子を有するアルコシキ、約1〜約6の炭素原子を有するアルキルアミノ、各アルキルがそれぞれ独立して約1〜約6の炭素原子を有するジアルキルアミノ、アミノ、スルホニル、ヒドロキシル、カルボキシル、フルオロまたはクロロ置換基を含んでいてもよい。
好ましくは、nは、約1〜約3の整数である。R5を構成する炭素環または複素環基は、好ましくは、約4〜約7の、より好ましくは約5〜約6の環状炭素原子を有する。複素環は約1〜約2のヘテロ原子を有することが好ましく、複素環は約1のヘテロ原子を有することがより好ましい。好ましくは、複素環は炭化水素または炭化水素類似体である。
当業者は、これらの重合体を作製するのに必要な単量体は合成により得られることを認識しているであろう。バウン(Vaughn)ら、ジェー アム オイル ソク(J. Am. Oil Soc.)、28:294、1951年を参照。当業者には認識されるが、場合によっては、単量体の重合には適当な保護基の使用が必要である。通常、A−及びB−タイプのブロックは、少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、さらに好ましくは少なくとも約95%が−OR5−の繰り返し単位から構成される。
他の概念によると、本発明は、A−タイプ及びB−タイプのブロックが式−OR7−[但し、R7はC1〜C6のアルキレン基である]の繰り返し単位から構成されることを必須とする、式(I)〜(X)の一のブロック共重合体から構成される薬剤組成物に関するものである。
有機分子に関するオクタノール−水の分配係数(P)のハンシュ−レオ評価は以下の式によって算出される:
ただし、fn値は分子の様々な基に関する断片定数であり、an値は分子のいずれかのタイプの基の数であり、Fm値は単結合または二重結合等の特定の分子の特徴に関する因数であり、およびbm値はこのような分子の特徴の数である。例えば、エチレンオキシドの繰り返し単位(−CH2CH2O−)に関するハンシュ−レオ断片定数は下記のとおりである:
プロピレンオキシドの繰り返し単位(−CH2CH(CH3)O−)に関するハンシュ−レオ断片定数は下記のとおりである:
当業者には、ハンシュ−レオ断片定数が適用される分配定数を評価するハンシュ−レオ法では正確な経験的な分配定数は得られないことは認識される。ハンシュ(Hansch)及びレオ(Leo)、サブスティテュエント コンスタンツ フォー コレレイション アナリシス イン ケミストリー アンド バイオロジー(Substituent Constants for Correlation Analysis in Chemistry and Biology)、ウィリー(Wiley)、ニューヨーク、1979年;ジェームズ(James)、ソルビィティー アンド リレイテッド プロパティーズ(Solubility and Related Properties)、マーセル デッカー(Marcel Dekker)、ニューヨーク、1986年、頁320〜325を参照。しかしながら、この方法は重合体のデリバリーの媒介体の疎水特性を定義するには十分正確である。
本発明で使用されるブロック共重合体は、生理学的な温度で等張水溶液中で約10nm〜約100nmの直径を有するミセルを形成することが好ましい。ミセルは、両親媒性物質の無極性部分のミクロフェーズ分離(microphase separation)により水溶液中で形成する特定の両親媒性分子の超分子複合体(supermolecular complex)である。両親媒性物質の濃度が、所定の温度で、両親媒性物質の特徴であるCMCに到達すると、ミセルが形成する。ブロック共重合体の親水性及び疎水性セグメントの大きさを変えることによって、共重合体の生理学的な条件でのミセルの形成しやすさ、さらには生理学的な条件で形成されるミセルの平均サイズが変化する。これらの傾向はまた、疎水性及び親水性ブロックの様々な混合物との共重合体のブレンドによっても調節できる。ミセルは、Bブロックの水不溶性の繰り返し単位及び溶解する生物剤の親油性部分によって形成される密なコア、およびAブロック及び生物剤の疎水性部分によって形成される親水性の外皮を有する。ミセルは、水性環境下で翻訳(translational freedom)及び回転の自由(rotational freedom)を有し、ミセルを含む水性環境は水と同様の低粘度を有する。ミセルの形成は、具体的には、約0.0001〜5%(w/v)の共重合体濃度で起こる。
本発明のブロック共重合体によって形成されるミセルの大きさが小さいことによって、これらのミセルは小さな毛細管に浸透して細胞によって吸収されると考えられる。また、ミセルに、大量の適当な生物剤を含ませてもよい。例えば、プルロニックL61によって形成されるミセルに、2mgの共重合体当たり少なくとも1mgのドキソルビシンを含ませてもよい。
本発明のミセル内の薬剤の有効な保持量は下記式を用いて決定される分配係数(P)として定量化できる:
ただし、[Agent]aqはミセルの外側の水性環境中の生物剤の濃度であり、[Agent]mはミセル内の生物剤の濃度である。場合によっては、Pは、水性対より疎水性の環境における際の特定に薬剤の蛍光特性の差に基づいて容易にかつ正確に測定される。
場合によっては、非共有結合によって標的分子を含ませることが望ましい場合がある。例えば、カバノフ(Kabanov)ら、ジェー コントロールド リリース(J. Controlled Release)、22:141(1992年)および本出願と同時に1995年6月7日に出願され、発明の名称が「生物剤をターゲットするための組成物」であり、整理番号が313257−103Aである、米国出願番号 号を参照。組成物と会合できる標的分子は、細胞部位及び親油性部分に対して親和性を有する標的部分を有することが好ましい。標的分子は、自然にミセルと会合し、親油性部分を介してこれに「固着する(anchor)」。これらの標的分子は、例えば、組成物において10%以下の共重合体からなる。
標的分子において、親油性部分は、特に、脂肪アシル基等の脂質基(lipid group)を有していてもよい。好ましい実施態様によると、親油性部分は、約3〜約41の炭素原子を有する炭化水素、より好ましくは約5〜約25の炭素原子を有する炭化水素、さらにより好ましくは約9〜約17の炭素原子を有する炭化水素である。または、親油性部分は、ブロック共重合体または他の天然の合成重合体であってもよい。標的分子の標的となる基(targeting group)は、抗体、特に特定の細胞表面抗原に対して特異性を有する抗体からなることが多い。また、例えば、細胞表面レセプターと特異的な相互作用を有するホルモン、または細胞表面レセプターを有する薬剤であってもよい。例えば、糖脂質は、多糖レセプターを標的とするよう作用する。標的部分は、制限されないが、チェコニン(Chekhonin)ら、エフイービーエス レター(FEBS Lett.)、287:149〜152、1991年に記載される、脳のグリア細胞(α2−糖タンパク質)に対する抗α2GP抗体である。
ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド共重合体では、親水性/疎水性特性、およびブロック共重合体のミセル形成特性は、割合、n、の値に関連する。この割合、n、は以下のように定義される:
ただし、|B|及び|A|は、それぞれ、共重合体の疎水性及び親水性ブロックにおける繰り返し単位の数であり、b及びaは、それぞれ、繰り返し単位の分子量である。nの値は、例えば、約0.2〜約9.0、より好ましくは約0.2〜約1.5である。ブロック共重合体の混合物を使用する際には、値Nが使用され、この値は各共重合体のnの加重平均(weighted average)であり、この平均は成分共重合体の重量部分(weight portion)を基礎とする。値Nは共重合体の混合物のミセル形成特性を評価するのに使用できる。ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド共重合体共重合体以外の共重合体を使用する際には、同様の方法が、そのクラスの重合体の一員の疎水性/親水性特性を該クラスの他の一員の特性に対して関連付けるのに使用できる。
第二の実施態様によると、重合体ミセルは無毒性の製薬上許容できる重合体から形成されることが好ましい。
本発明の薬剤組成物は、以下に限られるものではないが、経口で、局所的に、直腸内に、経膣で、肺による経路によって、例えば、エアロゾルを用いることによって、または非経口で、例えば、以下に限られるものではないが、筋肉内に、皮下に、腹膜内にまたは静脈内になど、様々な経路によって投与できる。組成物は、単独で投与しても、または標準的な薬事の実施に従って製薬上許容できる担体若しくは賦形剤と合わせてもよい。経口による投与では、組成物は、錠剤、カプセル、ロゼンジ、トローチ、粉末、シロップ、エリキシル、水溶液や懸濁液などの形態で使用できる。錠剤の場合には、使用できる担体としては、ラクトース、クエン酸ナトリウム及びリン酸塩が挙げられる。スターチ等の様々な崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルク等の潤滑剤が一般的に錠剤に使用される。カプセル形態での経口投与では、ラクトースや高分子量のポリエチレングリコールが有用な希釈剤である。水性懸濁液が経口で使用されなければならない際には、組成物は乳化剤や懸濁剤と共に使用できる。必要であれば、甘味剤および/または着香剤を添加してもよい。非経口投与では、共役(conjugate)の滅菌溶液が一般的に調製され、溶液のpHを適当に調節し緩衝化する。静脈内で使用する際には、溶質の全濃度は、調製物が等張になるように制御されなければならない。眼に投与する際には、軟膏または滴下可能な液体を、アプリケーターや点眼びん等の既知の眼球デリバリーシステムによってデリバリーされる。このような組成物としては、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはポリ(ビニルアルコール)等のムコミメティックス(mucomimetics)、ソルビン酸、EDTAまたは塩化ベンジルクロム(benzylchronium chloride)等の防腐剤、及び有効量の希釈剤および/または担体を含んでいてもよい。肺に投与する際には、希釈剤および/または担体は、エアロゾルを形成するのに適当なものを選択する。
本発明の組成物の坐剤形態は、膣への、尿道への及び直腸への投与に有用である。このような坐剤は、通常、室温では固体であるが体温では融解する物質の混合物から構成される。このような媒介体を作るのに一般的に使用される物質としては、カカオ脂、グリセロゼラチン、硬化植物油、様々な分子量のポリエチレングリコール及びポリエチレングリコールの脂肪酸エステルの混合物が挙げられる。坐剤の投与形態をさらに詳細に説明するために、レミントンズ ファーマシューティカル サイエンセス(Remington’s Pharmaceutical Sciences)、第16版、マック パブリッシング,イーストン,ピーエー(Mack Publishing, Easton, PA)、1980年、頁1530〜1533を参照。類似のゲルまたはクリームを膣への、尿道への及び直腸への投与に使用してもよい。
本発明に好ましく使用される化学療法剤としては、以下に制限されるものではないが、ビンクリスチンやビンブラスチン等のビンカアルカロイド、マイトマイシンCやN−メチルマイトマイシンC等のマイトマイシン系抗生物質、ブレオマイシンA2等のブレオマイシン系抗生物質、メトトレキセート、アミノプテリン、及びジデアザ−テトラヒドロ葉酸(dideaza-tetrahydrofolic acid)等のアンチフォレート(antifolate)、コルヒチン、デメコリン(demecoline)、エトポシド(etoposide)、パクリタキセル(paclitaxel)(タキソルR(TaxolR))等のタキサン(taxane)、アンスラサイクリン抗生物質などが挙げられる。アンスラサイクリン抗生物質は、低い安定性、標的組織における薬剤耐性の発生、または迅速な代謝に帰因するデリバリーの問題を有する薬剤の好適な例である。これらの抗生物質としては、具体的には、ダウノルビシンに7−の位置で結合する溶融テトラサイクリンアグリコンリングシステム(fused tetracycline aglycone ring system)が挙げられる。これらとしては、例えば、下記式によって表される化合物が挙げられる:
ただし、R1はヒドロキシルまたはメトキシであり;R2は水素またはヒドロキシルであり;およびR3はエチル、アセチル、ヒドロキシアセチル、またはヒドロキシアセチルのエステルである。これらのテトラサイクリン抗生物質は、多くの抗腫瘍剤と同様、DNAの平面芳香環構造間でのインターカレーション(intercalating)よって作用し、これによりDNAの複製を阻害すると考えられる。ナイドル(Neidle)及びウァーリング(Waring)、モレキュラー アスペクツ オブ アンチ−キャンサー ドラッグ アクション(Molecular Aspects of Anti-Cancer Drug Action)、ピットマン プレス(Pitman Press)、1983年を参照。腫瘍細胞は、活性化されて複製することによりDNAのレプリカコピーを合成するため、通常、特に感受性が高い。このようなテトラサイクリン抗生物質としては、以下に制限されないが、ドキソルビシン、ダウノルビシン、カルミノマイシン、エピルビシン、イダルビシン(idarubicin)、ミトキサントロン(mithoxanthron)、4−デメトキシ−ダウノマイシン(4-methoxy-daunomycin)、11−デオキシダウノルビシン(11-deoxydaunorubicin)、13−デオキシダウノルビシン(13-deoxydaunorubicin)、アドリアマイシン−14−ベンゾエート(adriamycin-14-benzoate)、アドリアマイシン−14−オクタノエート(adriamycin-14-octanoate)またはアドリアマイシン−14−ナフタレンアセテート(adriamycin-14-naphthaleneacetate)が挙げられる。
生物剤(化学療法剤を含む)の好ましいクラスとしては、抗腫瘍剤、抗細菌剤、抗寄生虫剤、抗真菌剤、CNS剤、免疫修飾物質及びサイトカイン、毒素及びニューロペプチド(neuropeptide)が挙げられる。標的細胞が耐性メカニズムを有しやすい生物剤もまた好ましい。特に好ましい生物剤としては、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン(idarubicin)、ミトキサントロン(mithoxanthron)またはカルミノマイシン等のアンスラサイクリン、ビンカアルカロイド、マイトマイシン系抗生物質、ブレオマイシン系抗生物質、フルコナゾール(fluconazole)等のアゾール抗真菌剤、アンホテリシンB等のポリエン抗真菌剤、パクリタキセル(paclitaxel)等のタキサン(taxane)関連抗腫瘍剤および腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、インターフェロン及びサイトカイン等の免疫修飾物質が挙げられる。
さらに、好ましい生物剤(化学療法剤を含む)としては、以下に限られないが、アンホテリシンB、フルシトシン、ケトコナゾール(ketoconazole)、ミエナゾール、イトラコナゾール(itraconazole)、グリセオフルビン、クロトリマゾール、エコナゾール、ターコナゾール(terconazole)、ブトコナゾール(butoconazole)、シクロピロックス、オラマイン(olamine)、ハロプロジン、トルナフテート、ナフチファイン(naftifine)、ナイスタチン、ナタマイシン、ウンデシレン酸、安息香酸、サリチル酸、プロピオン酸及びカプリン酸等の抗真菌剤が挙げられる。このような薬剤としては、さらに、以下に限られないが、ジドブジン(zidovudine)、アシクロビア、ガンシクロビア(ganciclovir)、ビダラビン、イドクスウリジン、トリフルリジン(trifluridine)、フォックスカーネット(foxcarnet)、アマンタジン、リマンタジン(rimantadine)及びリバビリン等の抗ウィルス剤が挙げられる。このような薬剤としては、さらに、以下に限られないが、β−ラクタム抗生物質、広域抗生ペニシリン及びペニシリナーゼ耐性ペニシリン(メチシリン、ナフシリン(nafcillin)、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、アモキシシリン、アンピシリン、アンピシリン−スルバクタム、アゾシリン(azocillin)、バカンピシリン、カルベニシリン、カルベニシリンインダニル、シクラシリン、メズロシリン、ペニシリンG、ペニシリンV、ピペラシリン、チカルシン、イミペネム(imipenem)及びアズトレオナム(aztreonam)など)等のペニシリン関連化合物、セファロスポリン(セファロスポリンとしては、セファピリン、セファキソリン(cefaxolin)、セファレキシン、セフラジン及びセファドロキシル等の第一世代のセファロスポリン(first generation cephalosporin);セファマンドール、セホキシチン、セファクロール、セフロキシム、セフロキシムアクセチル(cefuroximeaxetil)、セフォニシド(cefonicid)、セフォテタン及びセフォラニド(ceforanide)等の第二世代のセファロスポリン(second generation cephalosporin);セフォタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セホペラゾン及びセフタジジム等の第三世代のセファロスポリン(third generation cephalosporin)が挙げられる)、テトラサイクリン(デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、メタサイタリン、ミノサイクリン及びオキシテトラサイクリンなど)、ベータ−ラクタマーゼ阻害剤(クラブラン酸など)、アミノグリコシド(アミカシン、ゲンタマイシンC、カナマイシンA、ネオマイシンB、ネチルマイシン、ストレプトマイシン及びトブラマイシンなど)、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、クリンダマイシン(clindamycin)、スペクチノマイシン、バンコマイシン、バシトラシン、イソニアジド、リファンピン、エタンブトール、アミノサリチル酸、ピラジンアミド、エチオナミド、サイクロセリン、ダプソン、スルホキソンナトリウム、クロファミジン、スルホンアミド(スルファニルアミド、スルファメトキサゾール、スルファセタミド、スルファジアジン、及びスルフィソキサゾールなど)、トリメトプリンム−スルファメトキサゾール、キノロン(quinolone)(ナリジクス酸、シノキサシン、ノルフロキサシン及びシプロフロキサシン(ciprofloxacin)など)、メテナミン、ニトロフラトインおよびフェナゾピリジンなどの抗細菌剤が挙げられる。このような薬剤としては、さらに、クロロキン、ジロキサニドフロエート、エメチン若しくはデヒドロエメチン、8−ヒドロキシキノリン、メトロニダゾール、キナクリン、メラルソプロール、ニフルチモックス(nifurtimox)、ペンタミジン、スチボグルコネートナトリウム及びスラミンなどの原虫感染に対して活性を有する薬剤が挙げられる。
ミセル組成物における生物剤の投与量は生物剤単独の量とおおよそ同じであることが多い;投与量は、患者の年齢、体重及び状態および薬剤の薬物動態等の多くの因子を考慮して処方の医療専門家によって設定される。有効な処置に必要なミセル形態の薬剤の量は、大抵、遊離生物剤を用いる際に必要な量に比べて少ない。ダウノルビシンを癌を処置するのに使用する際には、具体的な投与量は、体重1kg当たり約1mgである。ビンブラスチンは、体重1kg当たり0.1〜0.2mgの投与量で投与されることが好ましい。
通常、本発明で使用される生物剤は有効量動物に投与される。有効性に関する組成物中で使用される共重合体の効果は、有効量を決定して考慮されなければならない。通常、有効量とは、(1)処置しようとする病気の症状を軽減するまたは(2)処置しようとする病気を処置するのに関連した薬理学的な変化を誘導するのに効果的な量である。癌に関しては、有効量としては、腫瘍の大きさを減少させる;腫瘍の成長を遅延させる;転移の形成を予防または阻害する;または冒された動物の寿命の見込みを延ばすのに効果的な量が挙げられる。
多くの場合、様々な生物剤の代謝産物は、薬剤を投与することにより得られる望ましない作用を発生させるまたは促す。これは、代謝産物が心臓毒を引き起こすと考えられる、アンスラサイクリン系薬剤の場合があてはまる。マシュリン(Mushlin)ら、ビーアール ジェー ファーマコル(Br. J. Pharmacol.)、110:975〜982、1993年を参照。本発明の共重合体組成物は、生物剤の代謝速度を減少させ、これにより有害な副作用の潜在性を抑制することができる。
様々な抗真菌剤は、良好にヒトの真菌による感染を処置する。しかしながら、治療量は有効な薬剤レベルが得られるのと毒性のある副作用を防止するのとの境にあることが多い。近年、カンジダ アルビカンス(Candida albicans)等の本来感受性のある種の中の薬剤耐性の発現およびカンジダ クルセット(Candida kruset)等の元々薬剤耐性のある種の発生率の増加が新規な抗真菌剤に関する研究を促した。
フルコナゾールは副作用の発生率が低いものの、耐性の発生が大きな問題である。したがって、化学療法活性を促進し、このような薬剤に対する耐性を逆転させるのに有効なデリバリー媒介体は、このような薬剤に関して、さらには他の抗微生物剤に対して望ましい。
本発明をさらに詳細に説明するが、以下の実施例は本発明を何等制限するものではない。
実施例1−脂肪酸アシル共役(fatty acyl conjugate)
0.1Mホウ酸塩緩衝液(pH8.5)におけるグリア細胞のα2−糖タンパク質(チェコニン(Chekhonin)ら、エフイービーエス レター(FEBS Lett.)、287:149〜152、1991年)に特異的な抗α2GP抗体(2mg/ml)50μlの溶液を、オクタンにおける2mlの0.1M AOT▲R▼{ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム[sodium bis(2-ethylhexyl)sulfosuccinate]、セルバ ケミカルズ(Serva Chemicals)、ドイツから市販}に混合した。オクタンにおける0.1M AOT▲R▼ 0.2mlにおける2倍モル濃度超(ポリペプチドに対して)のステアリン酸クロリド(stearic acid chloride)を上記混合物に添加することによって、反応を開始した。ステアリン酸クロリドは、カバノフ(Kabanov)ら、モレク バイオロジア(ロシア)[Molek Biologiya(Russian)]、22:473〜484(英語版:382〜391)、1988年に記載される、ステアリン酸(staric acid)(リーキン(Reakhim)、ロシアから市販)から得た。反応を25℃で一晩行った。生成物を冷アセトンで3回沈殿させ、RPMI 1640培地に溶解し、0.22μmのフィルターで滅菌濾過した。(本実験で使用されたポリクローナル抗体もまた神経膠線維酸性タンパク質と反応した。)
実施例2−ヨウ素化標的部位
抗α2GP抗体を、スレプネブ ブイアイ(Slepnev V.I.)ら、バイオコンジュゲイト ケム(Bioconjugate Chem.)、3:273〜274(1992年)に記載されるのと同様にしてオクタンにおけるAOT▲R▼の逆ミセルのシステムにおいてボールトン−ハンター試薬(Bolton-Hunter reagent)を用いて125Iで標識した。125Iで標識されたタンパク質の特異的な放射活性は19〜21Ci/モルの範囲である。
ウィスターラット(Wistar rat)(80g体重、8匹/群)に、RPMI 1640培地に溶解された1.5%(w/v)共重合体プルロニックP85及び2.5%(w/v)共重合体プルロニックL64の混合物に溶解される125Iで標識された抗α2GP抗体(1mCi/ml)からなる組成物を腹腔内注射した(0.1ml/10g体重)。これらの共重合体、及び実施例中で記載される共重合体のすべては、セルバ ケミカルズ(Serva Chemicals)、ドイツから得た。RPMI 1640培地に溶解した125Iで標識されたポリペプチドを同濃度で投与した。3日後、動物を殺し、組織サンプルを放射活性アッセイ用に採取し、チェコニン(Chekhonin)ら、エフイービーエス レター(FEBS Lett.)、287:149〜152(1991年)に記載されるのと同様にして組織分布を分析した。放射活性の分布は液体シンチレーション計測によって定量した。実験は少なくとも2回繰り返したところ、結果は10%未満の変動で再現性があった。結果は、所定の組織における放射活性に対する脳の放射活性の割合(±S.D.)として表したが、以下に示す:
実施例3A−耐性癌細胞に対する細胞毒性
プルロニックP85を最終濃度1%にまでRPMI 1640培地(アイシーエヌ バイオメディカルズ インコーポレイテッド(ICN Biomedicals Inc.)、コスタ メサ,シーエー(Costa Mesa, CA))に溶解した後、溶液を濾過滅菌し、細菌または真菌混入物を除去した。このプルロニックP85溶液を用いて、下記の細胞培養実験用の滅菌薬剤溶液の適当な希釈液を作製した。
本細胞毒性研究では、形質転換細胞のSKOV3系(以下、「SK細胞」と称する)および上記由来のSKVLB細胞系(以下、「SK耐性細胞」と称する)を用いた。これらの細胞系は、ドクター ブイ リング(Dr. V. Ling)、トロント大学(University of Toronto)によって提供された。このSK耐性細胞系は、ビンブラスチンの存在下で長期間培養することによってSK細胞系から誘導された多薬剤耐性細胞系である。
多くの抗癌剤の様々な希釈液をRPMI 1640培地または上記プルロニックP85溶液で作製した。細胞を、96ウェルのミクロタイタープレート(96-well microtiter plate)(コスター(Coster)、ケンブリッジ,エムエー(Cambridge, MA))のウェル中に等容の細胞懸濁液(2000〜3000細胞)を播種することによって本実験に使用するために調製し、2日間培養した。全細胞培養を、37℃で5%CO2の雰囲気下で行った。培養後、100μl/プレートの新鮮な培地(10%ウシ胎児血清が添加されたRPMI 1630培地)を添加した。遊離抗癌剤または共重合体と抗癌剤とを合わせた希釈液を100μl容、ウェルに添加した。細胞を2時間遊離またはミセル形態の薬剤にさらした。インキュベーション後、細胞を新鮮な培地で3回洗浄した。次に、細胞をさらに4日間新鮮な培地で培養した。
各培養についての生存細胞数を、ミトコンドリア酵素の活性を測定する、標準的なXTT分析によって測定した。スタディエロ(Scudiero)ら、キャンサー レス(Cancer Res.)、48:4827、1988年を参照。5μl/mlのPBSにおけるフェナジンメタサルフェート(シグマ(Sigma))(1.54mg/ml)を含むRPMI 1640における滅菌1mg/ml XTT(2,3−ビス[2−メトキシ−4−ニトロ−5−スルホフェニル]−2H−テトラゾリウム−5−カルボキサニリドイナーサルト(2,3-bis[methoxy-4-nitro-5-sulfophenyl]-2H-tetrazolium-5-carboxanilide inner salt)、シグマ(Sigma)、セント ルイス,エムオー(St. Louis, MO))50μl/ウェルを細胞に加えた。細胞を16時間インキュベートした後、各ウェルの450nmでの吸光度を測定した。測定された値のSEM(3測定値の平均)は常に値の10%以内であった。IC50値(即ち、50%阻害が達成される濃度)を、細胞に添加された薬剤濃度に対して生存細胞数(即ち、ミトコンドリア酵素活性)をプロットしたグラフから推定することによって決定した。SK耐性細胞に関する結果は下記のとおりであった:
上記チャートにおいてダウノルビシンデータに関する生のデータを図1にグラフで示すが、図1において、薬剤濃度は遊離形態の薬剤(ライン1)及びミセル形態の薬剤(ライン2)に関するSK耐性細胞のミトコンドリア活性の阻害率(%)に対してプロットされる。SK細胞に関する相当するデータは、遊離及びミセル形態のダウノルビシン(それぞれ、ライン3及び4)として図1に示す。
実施例3B−様々な薬剤で処理されるSK耐性細胞
実施例3Aに記載される方法をSK耐性細胞で使用した。これらの細胞は、ドクター ブイ リング(Dr. V. Ling)、トロント大学(University of Toronto)によって提供された。結果は下記のとおりであった:
実施例3C−ダウノルビシンの蓄積の動態
SK細胞及びSK耐性細胞におけるダウノルビシンの蓄積の動態を、細胞中に蓄積されるダウノルビシンの蛍光(λex=471nm、λem=556nm)を測定することによって10ng/mlのダウノルビシンで処理された細胞について測定した。SK耐性細胞に関する薬剤の蓄積データを図2(ライン1:遊離薬剤;ライン2:ミセル形態)を示し;SK細胞に関するデータもまた図2に示す(ライン3:遊離薬剤;ライン4:ミセル形態)。
実施例3D−様々なプルロニックを用いたダウノルビシンの滴定(titration)
本実験は、チャイニーズマムスター卵巣癌細胞のCHrC5系(ドクター ブイ リング(Dr. V. Ling)、トロント大学(University of Toronto)によって提供)および実施例3Aの方法を用いた。プルロニックL61では、細胞への共重合体の添加濃度は0.01%(w/v)であり;プルロニックP85では、濃度は0.01%(w/v)であり;プルロニックF108では、濃度は0.01%(w/v)であり;プルロニックF68では、濃度は5.0%(w/v)であった。IC50値は下記のとおりであった:
実施例3E−共重合体滴定
以下の2箇所以外は実施例3Aの方法を用いた。第一の相違点は、ドキソルビシン耐性MCF7細胞(MCF7−ADR細胞、さらに実施例21に記載される)をSK細胞の代わりに使用する点であった。第二には、様々なドキソルビシン濃度に加えて、共重合体の濃度を変化させた。ドキソルビシン濃度の変化に伴う阻害率(%)を、様々な濃度のプルロニックL61の存在下で維持される培養物について図3Aに示す。ライン1は遊離ドキソルビシンについてであり;ライン2は0.61×10-6MプルロニックL61の存在下でのドキソルビシンについてであり;ライン3は0.3×10-5MプルロニックL61の存在下でのドキソルビシンについてであり;ライン4は0.16×10-4MプルロニックL61の存在下でのドキソルビシンについてであり;ライン5は0.8×10-4MプルロニックL61の存在下でのドキソルビシンについてであり;ライン6は0.4×10-3MプルロニックL61の存在下でのドキソルビシンについてであり;ライン7は0.4×10-1MプルロニックL61の存在下でのドキソルビシンについてである。図3Bにおいて、これらのデータは、図が各濃度のプルロニックL61の存在下で細胞に添加されるドキソルビシンのIC50値を示すように整理された。
実施例4−共重合体の細胞毒性
MCF7−ADR細胞(実施例21において記載されるドキソルビシン耐性細胞)を様々な濃度のプルロニックL61と共にインキュベートし、実施例3Aに記載されるのと同様にして細胞毒性を測定した。結果を図3Cに示す。
実施例5A−重合体の生体内分布
プルロニックP85重合体の放射活性を有するトリチウム含有誘導体を、カーチャトフ インスティテュート オブ アトミック エナジー(Kurchatov Institute of Atomic Energy),モスクワ,ロシアから得た。100μl/20g体重の放射活性共重合体の1%(w/v)等張溶液(2×107cpm/20g体重)を、(a)BALB/cマウス(クリウコボ ベテリナリー デパートメント オブ ロシアン アカデ メディカル サイエンセス(Kriukovo Veterinary Dept. of Russian Acad. Medical Sciences),モスクワ,ロシアから)及び(b)3×106 SP2/0dnrマウスのミエローマ細胞(実施例9Aに記載)を予め6週間前に皮下注射されたBALB/cマウスに静脈内投与した。放射活性を有する共重合体の注射後の様々な時間での重合体の生体内分布を、様々な時間で処理されたマウスを殺し、下記表に列挙された組織を取り出し、液体シンチレーション計測によって放射活性を定量することによって測定した。液体シンチレーション計測用の組織サンプルを調製するために、サンプルを1mlの組織可溶化剤(セルバ ケミカルズ(Serva Chemicals)、ドイツから市販)に入れ、冷却しながら均質化した。ホモジネートを室温で14時間インキュベートし、50μlの30%過酸化水素で脱色し、室温で一晩インキュベートした。
腫瘍細胞を注射しなかったBALB/cマウスに関する結果は下記のとおりであった:
腫瘍細胞を注射したBALB/cマウスに関する結果は下記のとおりであった:
本実験セットから誘導されるさらなる考察としては、(1)重合体の分解産物は重合体投与後24時間までは観察されなかったおよび(2)投与後250〜300時間でマウスから重合体が完全に浄化されたことが挙げられた。
実施例6A−共重合体の血中濃度
100μl/20g体重の実施例4の[3H]−プルロニックP85を6週齢のBALB/cマウスに静脈内注射によって投与した。図4は、注射後の様々な時間でのマウスの血中(黒線)において及び肝臓(点線)において見つかった放射活性量を示すものである。
実施例6B−共重合体の血中濃度
100μl/20g体重の実施例4の[3H]−プルロニックP85を6週齢のBALB/cマウスに静脈内注によってまたは経口で投与した。注射後の様々な時間でのマウスの血中において見つかった放射活性量を図5に示すが、各対のうち最初の棒は静脈内注射された重合体に関するものであり、次の棒は経口投与された重合体に関するものである。
実施例7−ダウノルビシン及びダウノルビシノールの薬物動態
ダウノルビシンの代謝をHPLCによってモニターした。ダウノルビシン(シグマ(Sigma)、セント ルイス,エムオー(St. Louis, MO))を、生理食塩水媒介体(saline vehicle)または1%(w/v)のプルロニックP85を含む生理食塩水媒介体を用いて7週齢のC57B1/6マウスに10mg/kg体重量を静脈内注射した。注射容積は100μl/20g体重であった。注射後様々な時間で、動物を殺して、血及び肝臓のホモジネートをクロロホルム:メタノール(9:1)で抽出した。抽出物を乾燥し、0。1%トリフルオロ酢酸(TFA)水溶液に再溶解した。可溶化された抽出物を4.6×150mm C18の逆相HPLCカラム(15ミクロンウルトラスフェアー(15 micron Ultrasphere),ベックマン,シーエー(Beckman, CA))にのせた。カラムを0.1%TFAにおける0から40%アセトニトリル勾配で発色させ、ダウノルビシン及びその代謝産物であるダウノルビシノールのピークを同定し定量した。図6Aは、注射してから150分後の肝臓におけるダウノルビシンの濃度を示すものであり、バーAは遊離ダウノルビシンの量(μg/10μg肝臓組織)を示し、バーBは共重合体配合物の量を示す。図6Bは、遊離ダウノルビシン(ライン1)または共重合体形態(ライン2)を投与されたマウスの血液中のダウノルビシノールの蓄積量の経時変化を示すものである。図6Cは、遊離ダウノルビシン(ライン1)または共重合体形態(ライン2)を投与されたマウスの血液中のダウノルビシンの蓄積量の経時変化を示すものである。
実施例8−急性毒性
プルロニックF108、P85及びL61の急性毒性を5週齢のBALB/cマウスで調べた。マウスの各実験群は6匹のマウスからなった。様々な投与量の等張プルロニック溶液を腹腔内投与した。動物の死亡を14日間毎日調べた。LD50及び最大耐量(maximum tolerated dosage)(「MTD」、即ち、6匹の同様に処理された動物のうち死んだ動物のいない際の最大投与量)をプロビット解析によって算出した。チャン(Chan)及びヘイズ(Hayes)、プリンシプルズ アンド メソッズ オブ トキシコロジー(Principles and Methods of Toxicology)、ヘイズ エーダブリュー(Hayes, A.W.)著、レーベン プレス(Raven Press)、ニューヨーク、1989年、頁169〜189を参照。結果は下記のとおりであった:
実施例9A−腫瘍の処置
100ng/mlのダウノルビシンの存在下でマウスのミエローマSP2/0細胞系を多重に継代(multiple passaging)することによって、多薬剤耐性細胞系を作製した。耐性細胞系、SP2/0dnr、は、エピルビシンに対して10倍以上耐性があった(親細胞系でIC50=0.7μg/ml;SP2/0dnr系でIC50=8.0μg/ml)。これらの耐性細胞を用いてマウスで腫瘍を形成させ、固体の腫瘍が発生してから50日後に、細胞を腫瘍から回収したところ、回収された細胞は同様の耐性を有していた。
SP2/0dnr細胞(3×106細胞)を6週齢のBALB/cマウスに皮下注射した。腫瘍細胞の注射から14日目である、処置0日目に、マウスを、20μl/20g体重の(1)生理食塩水、(2)エピルビシンの等張溶液(5mg/kg体重)または(3)1%プルロニックP85に溶解したエピルビシンの等張溶液(1mg/kg体重)を静脈内注射することにより処置した。結果は、60日間の処置中の処置0日目の腫瘍の平均容積(V0)に対する腫瘍の平均容積(V)の割合の変化として表すが、図7に示す。同様の結果がダウノルビシンで及びプルロニックL61及びF108で得られた。
実施例9B−最適な治療投与量
親の細胞系(SP2/0、非耐性細胞系)を用いかつ下記共重合体及び濃度を使用する以外は、実施例9Aに記載されるのと同様の方法を用いた:
プルロニックF108では、最適な抗腫瘍効能が10%共重合体を用いると達成された。プルロニックP85では、最適な抗腫瘍効能が1%共重合体を用いると達成された。プルロニックL61では、最適な抗腫瘍効能が0.1%共重合体を用いると達成された。これらの値を、各共重合体の最適な治療投与量(OTD)と称する。
実施例9C−OTD量の共重合体を用いたタイムコース
OTD量のプルロニックF108、プルロニックP85及びプルロニックL61をエピルビシンの媒介体として使用する以外は実施例9Bと同様の方法を使用した。
実施例10
プルロニックF68を4℃で最終濃度2.0%までRPMI 1640培地で希釈した。この混合物を37℃で30分間インキュベートした後、0.22μmのフィルターで滅菌濾過した。等容のRPMI 1640における200μgのダウノルビシンの溶液を添加し、混合物を37℃で30分間インキュベートした。
ヒトの卵巣癌細胞(CRL157細胞)を10%ウシの胎児血清を添加したRPMI 1640培地におけるプルロニックF68の1%溶液中で予め培養した。ダウノルビシン/プルロニック溶液を添加し、混合物を37℃で60分間インキュベートした後、細胞をRPMI 1640培地で3回洗浄し、10%ウシの胎児血清を添加したRPMI 1640培地で3日間培養した。アレイ(Alley)ら、キャンサー レス(Cancer Res.)、48:589〜601(1988年)の方法を用いて、上記調製物及び遊離ダウノルビシンの同様の調製物の双方について、細胞毒性を測定した。結果は下記のとおりであった:
同様の方法に従って、ヒトのTリンパ腫(ジャーカット(Jurkat))細胞に対する細胞毒性を測定した:
同様の方法に従って、ヒトの肺小細胞癌(H−69)に対する細胞毒性を測定した:
実施例11
下記に示されるポリ(オキシエチレン)に対するポリ(オキシプロピレン)の割合を有するポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)のブロック共重合体を、下記濃度でRPMI 1640培地に分散させた。混合物を30℃で40分間インキュベートした。平均のミセルの直径を準弾性光散乱によって測定した。カバノフ(Kabanov)ら、マクロモレキュールズ(Macromolecules)、28:2303〜2314、1995年を参照。結果は下記のとおりであった:
実施例12
(オキシエチレン)ブロックに対する(オキシプロピレン)ブロックの割合(n)がそれぞれ1.00及び1.50であり、合わせた値(combined value)(N)が1.30であるプルロニックP85及びプルロニックL64の1:1.5の混合物を、4℃で最終濃度2.0%までRPMI 1640培地で希釈した。この混合物を37℃で30分間インキュベートした後、0.22μmのフィルターで滅菌濾過した。等容のRPMI 1640培地における200μgのダウノルビシンの溶液を添加し、混合物を37℃で30分間インキュベートした。
ヒトの卵巣癌細胞(CRL157細胞)に対する細胞毒性を、実施例3Aに記載されるのと同様にして、上記調製物及び遊離ダウノルビシンの同様の調製物の双方について、測定した。結果は下記のとおりであった:
ダウノルビシン組成物について、(i)ヒトのTリンパ腫(ジャーカット(Jurkat))細胞及び(ii)正常なヒトの単核細胞における細胞毒性を評価した。結果は下記のとおりであった:
実施例13
(i)ヒトのTリンパ腫(ジャーカット(Jurkat))細胞及び(ii)正常なヒトの単核細胞に関するIC50値を、実施例12のダウノルビシン組成物について測定し、遊離ダウノルビシンの値と比較した。測定は下記表に示される間隔で薬剤を細胞と接触させて行った。結果は下記のとおりであった:
実施例14
抗腫瘍剤であるビンブラスチンを実施例12のブロック共重合体混合物中に添加した。SK細胞に対するこの調製物のIC50値を測定したところ、0.121μg/mlであった;SK耐性細胞に対するIC50値は0.0012μg/mlであった。遊離ビンブラスチンに関するIC50値を測定したところ、SK細胞に対しては0.095μg/mlであり、SK耐性細胞に対しては0.615μg/mlであった。
実施例15
抗腫瘍剤であるマイトマイシンCを実施例12のブロック共重合体混合物中に添加した。SK細胞に対するこの調製物のIC50値を測定したところ、0.265μg/mlであった;SK耐性細胞に対するIC50値は0.005μg/mlであった。SK細胞に対する遊離マイトマイシンCのIC50値を測定したところ、0.320μg/mlであった;SK耐性細胞に対するIC50値は1.120μg/mlであった。
実施例16
抗腫瘍剤であるメトトレキセートを実施例12のブロック共重合体混合物中に添加した。SK細胞に対するこの調製物のIC50値を測定したところ、0.880μg/mlであった;SK耐性細胞に対するIC50値は0.0175μg/mlであった。SK細胞に対する遊離メトトレキセートのIC50値を測定したところ、1.090μg/mlであった;SK耐性細胞に対しては1.340μg/mlであった。
実施例17
抗腫瘍剤であるコルヒチンを実施例12のブロック共重合体混合物中に添加した。SK細胞に対するこの調製物のIC50値を測定したところ、0.720μg/mlであった;SK耐性細胞に対するIC50値は0.045μg/mlであった。SK細胞に対する遊離コルヒチンのIC50値を測定したところ、0.950μg/mlであった;SK耐性細胞に対しては7.450μg/mlであった。
実施例18
抗腫瘍剤であるダウノルビシンを実施例12のブロック共重合体混合物中に添加した。SK細胞に対するこの調製物のIC50値を測定したところ、0.600μg/mlであった;SK耐性細胞に対するIC50値は0.0068μg/mlであった。SK細胞に対する遊離コルヒチンのIC50値を測定したところ、0.620μg/mlであった;SK耐性細胞に対しては5.850μg/mlであった。
実施例19
リン酸緩衝生理食塩水におけるウシ血清アルブミンの20mg/ml溶液30μlに、実施例12に記載されるブロック共重合体混合物におけるダウノルビシン溶液30μlを加えた。第二の配合物を遊離ダウノルビシンを用いて同様にして調製した。
これらの調製物を25℃で10分間インキュベートした後、0.3M塩化ナトリウム及び5%アセトニトリルを含むPBSにおけるTSK−3000SWゲル瀘過カラムによるHPLCによって分析した。280nm及び470nmで検出した。BSAと結合した薬剤の割合を以下のようにして測定した:
Db=Sb/Sf
ただし、Sbは280nmでのピーク(BSAに相当)に対する保持時間が一致する470nmでのピーク(ダウノルビシンに相当)の相対的な面積であり;および
SfはBSAのピークの保持時間が一致しないダウノルビシンに相当する一ピーク(または複数のピーク)の相対的な面積である。
結果は下記のとおりであった:
実施例20
実施例12に記載されるのと同様にして得られたミセル状のダウノルビシン及び遊離ダウノルビシンを暗所で37℃でインキュベートした後、CRL157細胞(ヒトの卵巣癌細胞)に対する細胞毒性を実施例1と同様にして測定した。
結果は下記のとおりであった:
実施例21
実施例12のダウノルビシン組成物及び遊離ダウノルビシンを、ダウノルビシン感受性ヒトの乳癌細胞(MCF7細胞)及び以下の2種の薬剤耐性細胞系に対して評価した:P−170を発現しないダウノルビシン/ベラパミル耐性細胞(MCF−7AU細胞)系、およびP−170を発現するダウノルビシン耐性、ベラパミル感受性細胞(MCF7−ADR細胞)系。これらの細胞は、セル バンク オブ ザ モスクワ リサーチ センター オブ モレキュラー ダイアグノスティックス(Cell Bank of the Moscow Research Center of Molecular Diagnostics),モスクワ,ロシアによって提供された。結果は下記のとおりであった:
遊離ダウノルビシンは、双方の耐性系に対してより高いIC50値(より毒性が低い)を示した。ブロック共重合体中に添加されたダウノルビシンは、双方の耐性系に対してより低いIC50値(より毒性が高い)を示した。
実施例22
C57B1/6の7週齢のメスのマウス群(6匹動物/一投与点)に、実施例12に記載されるのと同様の遊離またはミセル状のダウノルビシンを腹腔内接種した。マウスを14日間観察した。薬剤濃度を、最大容積0.5mlを各マウスに注射するように調節した。
MTDを、ダウノルビシンにより死亡しない最大投与量(これより高い投与量では1群当たり少なくとも1匹の動物がダウノルビシンに関連して死亡する)として規定した。本実験は2回繰り返した。結果は、10%未満の変動で再現性があった。
遊離及びミセル状のダウノルビシンのMTDを測定したところ、それぞれ、2.0及び1.0μg/kg体重であった。
実施例23
ダウノルビシンは、骨髄抑制(bone marrow repression)を引き起こすため、これにより、可逆性白血球減少、即ち、薬剤の投与中の白血球の数(白血球数)の減少が起こる。ダウノルビシンの、骨髄抑制(bone marrow suppression)、さらには抗癌作用は、DNA挿入活性(DNA-intercolating activity)によるものであると考えられ、アンスラサイクリンの最も有害な副作用である、心臓毒は、主に代謝産物(低い抗癌活性を有し、骨髄に顕著な作用を及ぼさない)から生じると考えられる。したがって、MTDのダウノルビシンのインビボの投与中の白血球の計測により、薬剤の特異的な(DNA挿入(DNA-intercalation))活性及び非特異的な毒性の間の割合が評価できる。
C57B1/6の7週齢のメスのマウス群(6匹動物/群)に、実施例12に記載されるのと同様にして得られた遊離またはミセル状のダウノルビシンを腹腔内接種した。MTDの各配合物からなる薬剤の配合物を、最大容積0.5mlを各マウスに注射するように調節した。血液サンプルを集め、生存白血球を、ミチッシュ(Michisch)ら、プロック ナショル アカデ サイ ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)、88:547〜551(1991年)に記載されるのと同様にして計測した。0.1ml PBSの投与後のWBCの数をコントロールとして用いた。この値は、15,000,000〜16,000,000細胞/mlであった。本実験は2回繰り返した。結果は、10%未満の変動で再現性があった。
結果は下記のとおりであった:
実施例24
白血球数に関する実施例12に記載されるのと同様にして得られた遊離またはミセル状のダウノルビシンの効果を、実施例23と同様にして投与してから3日後に測定した。
結果は下記のとおりであった:
実施例22〜24に示される結果から、ブロック共重合体ミセル中へのダウノルビシンの可溶化は薬剤の全体の毒性には顕著に影響を与えない(遊離及びミセル状の薬剤に関して、それぞれ、MTDが2mg/kg及び1mg/kg)が、可溶化により骨髄の抑制が向上することから抗癌能が上昇することが示される。
実施例25
抗腫瘍活性を、試験組成物を接種した哺乳動物の血漿の細胞毒性活性を評価することによって測定した(バレリオラ(Valeriola)ら、キャンサー ケモテラ ファーマコル(Cancer Chemoter. Pharmacol.)、29:133〜140、1991年を参照)。
C57B1/6の7週齢のメスのマウス群(6匹動物/群)に、実施例12に記載されるのと同様にして得られた遊離またはミセル状のダウノルビシンを静脈内(尾静脈を介して)接種した。MTDの各配合物からなる薬剤配合物を、最大容積0.1mlを各マウスに注射するように調節した。本実験は2回繰り返した。結果は、10%未満の変動で再現性があった。
血漿サンプルを得るために、血液(10μl)を薬剤を投与してから1時間後に尾動脈から集め、滅菌RPMI 1640培地で1:10で希釈し、さらに、400gで15分間遠心した。得られた上清を、薬剤を接種しないマウスから同様にして得られた血漿(薬剤が接種されないマウスの血漿はH−69細胞に顕著な細胞毒性作用を生じない)で下記表に示されるようにして希釈し、10%ウシ胎児血清を加えたRPMI 1640培地における等容のH−69細胞懸濁液と混合した。細胞を37℃、5%CO2で2時間インキュベートした後、RPMI 1640で3回洗浄した。このようにして予め処理された細胞を、10%ウシ胎児血清を加えたRPMI 1640培地中で、37℃、5%CO2で3日間インキュベートした後、実施例10と同様にして細胞毒性を測定した。
結果は下記のとおりであった:
これより、ミセル状の配合物で処理されたマウスの血清はかなりより高い細胞毒性能を有していた。
実施例26
SK細胞及びSK耐性細胞を用いて実施例25の方法を繰り返した。
結果は下記のとおりであった:
a)ダウノルビシンの配合物のMTDと同等の投与量をマウスに導入し、得られた血漿の細胞毒性を測定した際、結果は下記のとおりであった:
b)10mg/kgのダウノルビシンを各マウスに導入した際の、得られた血漿の細胞毒性は下記のとおりであった:
実施例27−カンジダ(candida)のフルコナゾール処理
培養培地
感受性試験に使用される培地は高分解(high resolution)(HR)培地であった。この培地は、フルコナゾールの試験に最適であり、以下のようにして2部分に分けて調製される。A部分は、オートクレーブにより滅菌されるNa2HPO4を用いた0.2Mリン酸緩衝液(pH7.5)からなる。B部分は、100mlの脱イオン水に溶解される2.93gのHR粉末(ユニパス(Unipath))及び0.2gの重炭酸ナトリウムからなり、これはさらに瀘過滅菌され、4℃で貯蔵される。使用する前に、等量のA及びB部分を混合する。
生物
本研究に使用される生物は、カンジダ種(Candida species)の新たな臨床分離株または抗真菌剤の定常的な感受性試験に使用されるコントロール生物であった。これらの分離株としては、フルコナゾール感受性(最小発育阻止濃度(MIC)が0.2μg/ml)からフルコナゾール耐性(MICが100μg/ml)までの範囲のフルコナゾール感受性の範囲をカバーするようなものが選択された。すべての分離株をサブロー寒天培地上で継代培養し、感受性試験前に48時間インキュベートした。
酵母懸濁液の調製
酵母の懸濁液を、5個のそれぞれのコロニーをさわり、滅菌水に懸濁することによりやや濁った懸濁液を得ることによって調製した。次に、この懸濁液をHR培地中で1:100に希釈し、2×104生物/mlを含む懸濁液を得た。
重合体/フルコナゾール複合体
重合体は、セルバ ケミカルズ(Serva Chemicals)、ドイツから得た。重合体のフルコナゾールとの複合体(complex)を調製した。使用する前に、各溶液を0.4μmのフィルター(サルトリウス(Sartorius))で濾過することにより、滅菌した。
フルコナゾール/重合体希釈液の調製
5種のポリエーテルブロック共重合体について、まず、重合体の存在下での及び不存在下でのフルコナゾールの効能を試験し、評価した。フルコナゾール/重合体溶液の希釈液を同様の共重合体を含む溶液で作製した。このように希釈することによって、1250μg/mlフルコナゾールを含むストック溶液を作製した。さらに、フルコナゾール濃度の範囲が1250〜2.5μg/mlとなるように、このストック溶液を重合体中で希釈した。コントロールとしては、1250〜2.5μg/mlの範囲の濃度となるように、フルコナゾールを水に溶解した。
最小発育阻止濃度(MIC)試験
MIC試験を目的として、8μlの重合体におけるまたは水における各フルコナゾールの希釈液を滅菌ミクロタイタープレート(microtitre plate)のウェルに添加した。また、8μlの水または8μlのフルコナゾール遊離重合体のいずれかを含む2セットのコントロールを確立した。前者は薬剤非含有(free)コントロールとしての役割を有する;後者については酵母における重合体の効果を評価した。次に、HR培地を各ウェルに添加して、容積を100μlとした。最後に、100μlの各酵母懸濁液をフルコナゾール希釈液の各列に添加した。各酵母懸濁液を血液寒天培地及びサブロー寒天培地上に接種し、純化させ接種サイズのチェックとした。したがって、各酵母を、5種の異なる重合体におけるまたは水における50μl/ml〜0.1μg/mlの最終濃度でのフルコナゾールに対して試験した。各ウェルの最終的な重合体濃度は4%であり、最終的な酵母濃度は1×104生物/mlであった。プレートを緩やかに混合した後、湿潤雰囲気下で37℃で48時間インキュベートした。プレートを24時間後に目視した。48時間後、プレートを5分間ロータリーミキサーで振盪して、酵母細胞を培地中で懸濁した後、OD490を滅菌培養培地をブランクとして測定した。
MICの解釈
各生物について、成長を薬剤を含まないポジティブコントロールウェル中で評価した後、これを重合体コントロールと比較し、重合体含有ウェルのOD490がコントロールウェルのOD490の90%未満(<90%)である際には、重合体は生物について内因性の阻害作用を有すると評価し、MIC結果を無効とした。重合体コントロールのOD490がポジティブコントロールの90%超(>90%)である際には、阻害作用は起こらないと評価され、残りの結果は判断された。
各重合体及び生物について、MICは、ポジティブコントロールのOD490の50%以上(≧50%)成長(OD490)を抑制する最小のフルコナゾール濃度としてとらえた。以下の区切りを本研究の分離株に使用した:<6.2μg/ml−感受性あり;6.2〜12.5μg/ml−中程度の感受性あり;および>12.5μg/ml−耐性あり。結果は下記のとおりであった:
実施例28−TNFαの活性
耐性SK細胞に関するTNFαの細胞毒性活性を実施例3Aに記載されるのと同様のXTTアッセイを用いて測定した。TNFαを以下の様々な濃度で24時間細胞に添加した:a)遊離TNFα;b)0.1%プルロニックP85におけるTNFα;およびc)0.01%プルロニックL61におけるTNFα。24時間TNFαと共にインキュベーション後、細胞をRPMI−1640で洗浄して、XTTアッセイで分析した。すべての実験は3連で行った。データは平均±SEMであった。結果は下記のとおりであった:
実施例29−実験神経膠腫の処置
GFAP及びα2−糖タンパク質に対する抗体(Ab)を実施例1と同様にしてステアリン酸残基で修飾した。これらをまた、カバノフ(Kabanov)ら、ジェー コントロールド リリース(J. Controlled Release)、22:141(1992年)によって記載されるのと同様にしてプルロニックP85に共有結合させた。
神経膠腫の処置におけるドキソルビシンの治療効果を調べた。C6神経膠腫細胞を、クリウコボ デパートメント オブ ナーサリー オブ ロシアン アカデミー メディカル サイエンセス(Kriukovo Department of Nursery of Russian Academy of Sciences)から得たオスのスプラグー−ダウレイラット(Sprague-Dawley rat)(280〜300g)の群(n=25)の脳内に接種した。接種してから10、15、20及び25日後、(a)10mg/kgの遊離ドキソルビシン;(b)1%プルロニックP85におけるドキソルビシン;(c)0.1mg/mlのステアリン酸クロリド(stearic acid chloride)で修飾されたAbを含む10%プルロニックP85におけるドキソルビシン;および(d)0.1mg/mlのプルロニックP85に連結されたAbを含む10%プルロニックP85におけるドキソルビシンを腹腔内投与した(容積1ml/300g体重)。コントロールは等容の生理食塩水を腹腔内注射した。臨床上の観察を毎日行った。動物の体重を、初めの2ヶ月間は毎週及びそれ以降は毎月測定した。バイタルサインを確かめ、動物が死にだら動物が死んでから5分以内に剖検を開始した。生存に関するデータを分析して腫瘍の発生率及び潜在性に関する薬剤の効果を評価した。データは、処置群(T)及びコントロール(C)における50%生存期間(median survival time)の割合として表した。剖検では、すべての主要な器官を貯めておき、そのまま固定した。尾(生存中(in-life phase)動物の同定に研究で使用された)を動物組織と共にホルマリン中に貯めた。すべての脳を除去して3つのそれぞれの部位に分けた(trim)。頸部、胸部及び腰部の3つの脊髄のセクションを集めた。トリミングされた検体を、ティッシュー テック カセット(Tissue Tek cassette)に入れ、組織作製器(tissue processor)で加工した。組織切片をミクロトームを用いて4〜6mmの厚さに切断し、ヘマトキシリン−エオジンで染色した。脳の病理組織学的試験を以下のように評価した:(i)動物の腫瘍の全体数;(ii)腫瘍を有する動物の数;および(iii)腫瘍の病理組織学的分類及び格付。実験結果は下記のとおりである:
また、病理組織学的試験から、1)遊離ダウノルビシンはコントロールと比べて腫瘍の大きさ及び数に影響を及ぼさない;2)すべての3種のミセル状配合物は腫瘍の大きさ及び数を有意に減少させる;3)最も顕著な効果がミセル状ドキソルビシン+ステアロイル化(stearoylated)抗体の場合観察され、この場合、腫瘍は実際観察されなかったこともまた、示された。
実施例30−転移プロセスの阻害
ルイス肺癌H59細胞(Lewis lung carcinoma H59 cell)(2×105)を6週齢のオスのC57B1/6マウスに皮下注射した。21日目に、マウスを過剰のCO2にさらして殺し、ウィルマンス シー(Wilmanns, C.);ファン ディー(Fan, D.);オーブライアン シーエー(O’Brian, C.A.)ら(1992年)、イント ジェー キャンサー インスト(Int. J. Cancer Inst.)、52:98〜104に記載されるのと同様にして、転移性腫瘍の数及び大きさを測定した。癌細胞の注射によって、注入部位に固形の腫瘍、および肺及び肝臓に転移性腫瘍が形成された。2匹のマウスからの腫瘍サンプルを集め、これを用いて、ドングゼット(Dong, Z.);ラディンスキー アール(Radinsky, R.);ファンディー(Fan, D.);ツァン アール(Tsan, R.);ブカナ シーディー(Bucana, C.D.);ウィルマンス シー(Wilmanns, C.);及びフィルダー アイジェー(Filder, I.J.)(1994年)、イント ジェー キャンサー インスト(Int. J. Cancer Inst.)、86:913〜920に記載されるのと同様にして、培養した。遊離及びミセル状ダウノルビシン(0.01%プルロニックL61における)に対する細胞サンプルのインビトロの感受性を実施例3Aに記載されるのと同様のXTTアッセイを用いて測定した。結果を図9に示す。肺の転移性細胞は遊離ドキソルビシンに対して耐性を有するという特性を有していた。この耐性はミセル状薬剤では逆転した。肝臓の転移性細胞は遊離薬剤に対して感受性を有しており、そのIC50は親のH59細胞系で観察されるIC50とほぼ同じであった。肝臓の転移性細胞に関するミセル状薬剤の細胞毒性は、依然として遊離薬剤の細胞毒性よりかなり高かった。
実施例31
非経口投与に適した組成物を、4℃で400mgのプルロニックP85及び600mgのプルロニックL64を50mlのRPMI 1640に溶解することによって調製した。この混合物を37℃で30分間インキュベートした後、0.22μmのフィルターで瀘過滅菌した。濾液を、50mlのRPMI 1640に溶解した10mgの滅菌凍結乾燥ダウノルビシン粉末の溶液と混合し、37℃で30分間インキュベートした。
この組成物は、失活することなく7日間室温で貯蔵できるまたは凍結乾燥して室温で暗所で少なくとも1年間貯蔵できる。
実施例32
非経口投与にさらに適した組成物を、4℃で400mgのプルロニックP85及び600mgのプルロニックL64を50mlのPBSに溶解することによって調製した。この混合物を37℃で30分間インキュベートした後、0.22μmのフィルターで瀘過滅菌した。濾液を、50mlのPBSに溶解した1mgの滅菌凍結乾燥ダウノルビシン粉末及び5mgのグルコースの溶液と混合し、この混合物を37℃で30分間インキュベートした。
この組成物は、失活することなく7日間室温で貯蔵できるまたは凍結乾燥して室温で暗所で少なくとも1年間貯蔵できる。
実施例33
非経口投与にさらに適した組成物を、100mgのアスコルビン酸ナトリウムを100mlの9%塩化ナトリウム水溶液に溶解することによって調製した。この溶液の半分に、4℃で400mgのプルロニックP85及び600mgのプルロニックL64を添加した。この混合物を37℃で30分間インキュベートした後、0.22μmのフィルターで瀘過滅菌した。別に、10mgの滅菌凍結乾燥ダウノルビシン粉末及び5.0mgのグルコースを残りのアスコルビン酸ナトリウム−塩化ナトリウム溶液に溶解して、これらの2溶液を混合し、37℃で30分間インキュベートした。
この組成物は、失活することなく室温で暗所で30日間貯蔵できるまたは凍結乾燥して室温で暗所で少なくとも1年間貯蔵できる。
実施例34
非経口投与にさらに適した組成物を、100mgのアスコルビン酸ナトリウムを100mlの9%塩化ナトリウム水溶液に溶解することによって調製した。この溶液に、4℃で10mgのプルロニックL64を添加した。この混合物を37℃で30分間インキュベートした後、0.22μmのフィルターで瀘過滅菌した。この溶液を10mgのダウノルビシンの容器と一緒にパーケージした。
Claims (34)
- 以下よりなる組成物:
(a)化学療法抗癌剤;および
(b)分子量が30〜500である繰り返し単位を有するB−タイプの直鎖状の重合体セグメントに一方の末端が結合した分子量が30〜500である繰り返し単位を有するA−タイプの直鎖状の重合体セグメントからなり、かつ各重合体セグメントの繰り返し単位をつなぐ結合の少なくとも80%がエーテル結合からなるポリエーテルブロック共重合体であって、該ポリエーテルブロック共重合体が下記式を有する:
ただし、n及びmは4〜400の整数であり、等張水溶液中で37℃で0.5%(重量/容積)以下の臨界ミセル濃度(CMC)を有し、さらに、共重合体の疎水性部の重量比(%)が少なくとも70%であり、および該ミセルが生理学的な温度で等張水溶液中で10nm〜100nmの直径を有する。 - 該組成物が(i)ポリエーテルブロック共重合体からなるミセルからなる、または(ii)動物への投与中またはそれ以降にポリエーテルブロック共重合体からなるミセルを形成する、請求の範囲第1項に記載の組成物。
- 少なくとも0.1%の生物剤が投与前にまたは投与中にミセルの形態を有する、請求の範囲第1または2項に記載の組成物。
- 少なくとも1%の生物剤が投与前にまたは投与中にミセルの形態を有する、請求の範囲第1〜3項のいずれか1項に記載の組成物。
- A−タイプの重合体セグメント及びB−タイプの重合体セグメントの繰り返し単位は30〜100の分子量を有する、請求の範囲第1〜4項のいずれか1項に記載の組成物。
- A−タイプの重合体セグメント及びB−タイプの重合体セグメントの繰り返し単位をつなぐ結合の少なくとも90%がエーテル結合からなる、請求の範囲第1〜5項のいずれか1項に記載の組成物。
- B−タイプの重合体セグメントを構成するすべての繰り返し単位が−0.30以上のハンシュ−レオ断片定数を有する、請求の範囲第1〜6項のいずれか1項に記載の組成物。
- A−タイプの重合体セグメントを構成するすべての繰り返し単位が−0.5以下のハンシュ−レオ断片定数を有する、請求の範囲第1〜7項のいずれか1項に記載の組成物。
- 該ポリエーテルブロック共重合体の疎水性部の分子量が少なくとも900である、請求の範囲第1〜8項のいずれか1項に記載の組成物。
- 該ポリエーテルブロック共重合体の疎水性部の分子量が少なくとも1700である、請求の範囲第1〜9項のいずれか1項に記載の組成物。
- 該組成物を構成するポリエーテルブロック共重合体が等張水溶液中で37℃で0.05%(重量/容積)以下のCMCを有する、請求の範囲第1〜10項のいずれか1項に記載の組成物。
- 該組成物を構成するポリエーテルブロック共重合体が等張水溶液中で37℃で0.01%(重量/容積)以下のCMCを有する、請求の範囲第1〜11項のいずれか1項に記載の組成物。
- 該ポリエーテルブロック共重合体の疎水性部の分子量が1500〜2000であり、疎水性部の重量比(%)が85〜95%である、請求の範囲第1〜12項のいずれか1項に記載の組成物。
- 該化学療法抗癌剤がビンカアルカロイド、マイトマイシン系抗生物質、ブレオマイシン系抗生物質、アンチフォレート、コルヒチン、デメコリン、エトポシド、タキサンまたはアンスラサイクリン抗生物質である、請求の範囲第1〜13項のいずれか1項に記載の組成物。
- 該化学療法抗癌剤がドキソルビシン、ダウノルビシン、カルミノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、4−デメトキシ−ダウノマイシン、11−デオキシダウノルビシン、13−デオキシダウノルビシン、アドリアマイシン−14−ベンゾエート、アドリアマイシン−14−オクタノエートまたはアドリアマイシン−14−ナフタレンアセテートである、請求の範囲第1〜14項のいずれか1項に記載の組成物。
- 以下よりなり:
(a)生物剤;および
(b)分子量が30〜500である繰り返し単位を有するB−タイプの直鎖状の重合体セグメントに一方の末端が結合した分子量が30〜500である繰り返し単位を有するA−タイプの直鎖状の重合体セグメントからなり、かつ各重合体セグメントの繰り返し単位をつなぐ結合の少なくとも80%がエーテル結合からなるポリエーテルブロック共重合体であって、該ポリエーテルブロック共重合体が下記式を有する:
ただし、n及びmは4〜400の整数であり、さらに、
(i)該ポリエーテルブロック共重合体が少なくとも70%の疎水性部の重量比(%)を有する;
(ii)該ポリエーテルブロック共重合体が少なくとも900の疎水性部の分子量を有する;または
(iii)該組成物が一以上のポリエーテルブロック共重合体からなり、該組成物を構成するポリエーテルブロック共重合体が等張水溶液中で37℃で0.5%(重量/容積)以下のCMCを有する、組成物。 - A−タイプの重合体セグメント及びB−タイプの重合体セグメントの繰り返し単位は30〜100の分子量を有する、請求の範囲第16項に記載の組成物。
- A−タイプの重合体セグメント及びB−タイプの重合体セグメントの繰り返し単位をつなぐ結合の少なくとも90%がエーテル結合からなる、請求の範囲第16または17項に記載の組成物。
- B−タイプの重合体セグメントを構成するすべての繰り返し単位が−0.30以上のハンシュ−レオ断片定数を有する、請求の範囲第16〜18項のいずれか1項に記載の組成物。
- A−タイプの重合体セグメントを構成するすべての繰り返し単位が−0.5以下のハンシュ−レオ断片定数を有する、請求の範囲第16〜19項のいずれか1項に記載の組成物。
- 該ポリエーテルブロック共重合体の疎水性部の分子量が少なくとも1700である、請求の範囲第16〜20項のいずれか1項に記載の組成物。
- 該組成物を構成するポリエーテルブロック共重合体が等張水溶液中で37℃で0.05%(重量/容積)以下のCMCを有する、請求の範囲第16〜21項のいずれか1項に記載の組成物。
- 該組成物を構成するポリエーテルブロック共重合体が等張水溶液中で37℃で0.01%(重量/容積)以下のCMCを有する、請求の範囲第16〜22項のいずれか1項に記載の組成物。
- 該生物剤がアンホテリシンB、フルシトシン、トリアゾール、イミダゾール、β−ラクタム抗生物質、セファロスポリン、テトラサイクリン、ベータ−ラクタマーゼ阻害剤、アミノグリコシド、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、クリンダマイシン、スペクチノマイシン、バンコマイシン、バシトラシン、イソニアジド、リファンピン、エタンブトール、アミノサリチル酸、ピラジンアミド、エチオナミド、サイクロセリン、ダプソン、スルホキソンナトリウム、クロファミジン、スルホンアミド、トリメトプリンム−スルファメトキサゾール、キノロン、メテナミン、ニトロフラトインまたはフェナゾピリジンである、請求の範囲第16〜23項のいずれか1項に記載の組成物。
- 以下よりなる組成物:
(a)生物剤;および
(b)分子量が30〜500である繰り返し単位を有するB−タイプの直鎖状の重合体セグメントに一方の末端が結合した分子量が30〜500である繰り返し単位を有するA−タイプの直鎖状の重合体セグメントからなり、かつ各重合体セグメントの繰り返し単位をつなぐ結合の少なくとも80%がエーテル結合からなるポリエーテルブロック共重合体であって、該ポリエーテルブロック共重合体が下記式を有する:
ただし、n及びmは4〜400の整数であり、等張水溶液中で37℃で0.5%(重量/容積)以下の臨界ミセル濃度(CMC)を有し、さらに、共重合体の疎水性部の重量比(%)が少なくとも70%であり、および該ミセルが生理学的な温度で等張水溶液中で10nm〜100nmの直径を有する、
を投与することからなる、生物剤に対して耐性を有する患者を処置することを目的として使用される組成物。 - 該共重合体組成物が等張水溶液中で37℃で0.05%(重量/容積)以下のCMCを有する、請求の範囲第25項に記載の組成物。
- 該共重合体組成物が等張水溶液中で37℃で0.01%(重量/容積)以下のCMCを有する、請求の範囲第25または26項に記載の組成物。
- 投与される組成物のポリエーテルブロック共重合体の疎水性部の分子量が少なくとも900である、請求の範囲第25〜27項のいずれか1項に記載の組成物。
- 投与される組成物のポリエーテルブロック共重合体の疎水性部の分子量が少なくとも1700である、請求の範囲第25〜27項のいずれか1項に記載の組成物。
- 該癌が白血病、乳癌、卵巣癌、膵臓癌、肺癌、骨髄腫、黒色腫、神経膠腫または神経膠星状細胞腫である、請求の範囲第25〜29項のいずれか1項に記載の組成物。
- 該癌が悪性リンパ腫、非悪性リンパ腫、急性リンパ性リンパ腫、急性骨髄性リンパ腫、急性非リンパ性白血病、カポジ肉腫、肺小細胞癌、非肺小細胞癌または神経膠星状細胞腫である、請求の範囲第25〜30項のいずれか1項に記載の組成物。
- 無毒性の、製薬上許容できる重合体ミセルに可溶化されるアンスラサイクリン及び多薬剤耐性に関連した薬剤からなる群より選ばれる少なくとも一の有効量の細胞毒からなる、細胞毒に対する癌細胞における多薬剤耐性を克服する組成物;
この際、前記重合体ミセルが、以下の重合体からなる;
分子量が30〜500である繰り返し単位を有するB−タイプの直鎖状の重合体セグメントに一方の末端が結合した分子量が30〜500である繰り返し単位を有するA−タイプの直鎖状の重合体セグメントからなり、かつ各重合体セグメントの繰り返し単位をつなぐ結合の少なくとも80%がエーテル結合からなるポリエーテルブロック共重合体であって、該ポリエーテルブロック共重合体が下記式を有する:
ただし、n及びmは4〜400の整数であり、等張水溶液中で37℃で0.5%(重量/容積)以下の臨界ミセル濃度(CMC)を有し、さらに、共重合体の疎水性部の重量比(%)が少なくとも70%であり、および該ミセルが生理学的な温度で等張水溶液中で10nm〜100nmの直径を有する。 - 無毒性の、製薬上許容できる重合体ミセルに可溶化される少なくとも一の有効量の細胞毒を化学療法中の患者に投与することからなる、細胞毒による癌の処置中の細胞毒に対する癌細胞における多薬剤耐性を克服する組成物;
この際、前記重合体ミセルが以下の重合体からなる;
分子量が30〜500である繰り返し単位を有するB−タイプの直鎖状の重合体セグメントに一方の末端が結合した分子量が30〜500である繰り返し単位を有するA−タイプの直鎖状の重合体セグメントからなり、かつ各重合体セグメントの繰り返し単位をつなぐ結合の少なくとも80%がエーテル結合からなるポリエーテルブロック共重合体であって、該ポリエーテルブロック共重合体が下記式を有する:
ただし、n及びmは4〜400の整数であり、等張水溶液中で37℃で0.5%(重量/容積)以下の臨界ミセル濃度(CMC)を有し、さらに、共重合体の疎水性部の重量比(%)が少なくとも70%であり、および該ミセルが生理学的な温度で等張水溶液中で10nm〜100nmの直径を有する。 - 以下よりなる組成物:
(a)化学療法抗癌剤;および
(b)分子量が30〜500である繰り返し単位を有するB−タイプの直鎖状の重合体セグメントに一方の末端が結合した分子量が30〜500である繰り返し単位を有するA−タイプの直鎖状の重合体セグメントからなり、かつ各重合体セグメントの繰り返し単位をつなぐ結合の少なくとも80%がエーテル結合からなるポリエーテルブロック共重合体の混合物であって、該ポリエーテルブロック共重合体が下記式を有する:
ただし、n及びmは4〜400の整数であり、等張水溶液中で37℃で0.5%(重量/容積)以下の臨界ミセル濃度(CMC)を有し、さらに、共重合体の疎水性部の重量比(%)が少なくとも70%であり、および該ミセルが生理学的な温度で等張水溶液中で10nm〜100nmの直径を有しうる、共重合体の混合物。
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