JP4166931B2

JP4166931B2 - 発熱フォーム化粧料

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Publication number: JP4166931B2
Application number: JP2000234128A
Authority: JP
Inventors: 顕吉松原; 慎也岡部
Original assignee: Pola Chemical Industries Inc
Current assignee: Pola Chemical Industries Inc
Priority date: 2000-08-02
Filing date: 2000-08-02
Publication date: 2008-10-15
Anticipated expiration: 2020-08-02
Also published as: JP2002047136A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡化粧料に関し、更に詳しくは、パック化粧料やシェービング化粧料に好適な、発泡化粧料に関する。
【０００２】
【従来の技術】
パック或いはマッサージなどの化粧行為時に重要な要素の一つに、温感を感じることがある。これは、この様な化粧行為に於いて期待される効果に血行促進作用があり、温感を感じることにより、この様な効果の実感が具現され、その結果、この化粧行為そのものに大いなる満足を感じるためと、適度な温感が使用時の心地よさを具現し、この快感によって、個人的な生態系の環境を整え、健康上好ましい効果を発揮するためである。この様な温感の具現化方法としては、従来知られていた技術としては、多量のグリセリン等の多価アルコールを化粧料中に含有させ、このグリセリンが生体の水と混和するときに生じる溶解熱を利用する方法や還元性酸化鉄を含有させ、生体が有している水により酸化されるときに生じる化学反応熱を利用する方法などが知られているが、溶解熱はその熱の発生量が小さいため、感じる温感は充分ではないという欠点を有し、酸化反応による化学反応熱によるものは、熱の発生量のコントロールがしにくく、アレルギーなどを引き起こす可能性のある鉄イオンを多量に放出する欠点があったため、この様な欠点を改良した温感化粧料の開発が望まれていた。
【０００３】
更に、パック化粧料という観点に於いては、使用時の延展に於ける心地よさを有する剤形として、発泡タイプのパック料が知られている。この様な発泡タイプのものとしては、外殻形成剤として高級アルコールを用い、フロンガス或いは液化天然ガスなどを用いたものが知られているが、これらには環境的な問題や爆発の危険性等の問題があり、年々使用しづらい環境になりつつある。又、外殻形成剤として高級アルコールを用い、用時に炭酸ガスを発生させて使用する発泡タイプの上記発泡パックの欠点を改良したパック料は未だ知られていないし、この様なタイプで温感を有するパックも知られていない。
【０００４】
加えて、シェービングフォームは、シェーバーの滑りを良くし、シェーバーの食い込みに起因する肌の損傷を防ぐものであるが、発熱作用を有し、髭を軟化させる作用を併せ持ったシェービングフォームは未だ知られていない。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この様な状況下為されたものであって、使用感、安全性に優れる、温感を有する発泡化粧料を提供することを課題とする。
【０００６】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、使用感、安全性に優れる、温感を有する発泡化粧料を求め、鋭意研究努力を重ねた結果、２つの組成物を構成要素とする発泡化粧料であって、該２つの組成物が、１）特定の金属酸化物を含むことを特徴とする組成物と、２）特定の酸性物質を含むことを特徴とする組成物であり、１）及び／又は２）の組成物中に特定の発泡剤を含有することを特徴とする、発泡化粧料にその様な作用を見いだし、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示す技術に関するものである。
（１）２つの組成物を構成要素とする発泡化粧料であって、該２つの組成物が、１）酸化マグネシウム及び／又は酸化亜鉛である金属酸化物を含む組成物と、２）有機酸である酸
性物質を含む組成物であり、１）及び／又は２）の組成物中に液化天然ガス、ノルマルブタン、イソブタン、プロパン、ジメチルエーテルから選択される少なくとも１種以上の発泡剤を含有することを特徴とする、発泡化粧料。
（２）酸性物質が、クエン酸であることを特徴とする、（１）に記載の発泡組成物。
（３）１）酸化マグネシウム及び／又は酸化亜鉛と液化天然ガスを含む組成物と、２）クエン酸を含む組成物、の２つの組成物を耐圧容器に充填した発泡化粧料であって、該耐圧容器が１）及び２）の組成物充填用のそれぞれ独立したチャンバーと、該２つのチャンバーの出口が吐出口で合一している吐出口を有するものであることを特徴とする、（１）又は（２）に記載の発泡化粧料。
（４）噴出時ジェル状であり、塗布時に発泡することを特徴とする、（１）〜（３）何れか１項に記載の発泡化粧料。
（５）パック化粧料又はシェービング化粧料であることを特徴とする、（１）〜（４）何れか１項に記載の発泡化粧料。
以下、本発明について、実施の形態を中心に更に詳細に説明を加える。尚、以下本発明の発泡化粧料を単に化粧料と称す。
【０００７】
（１）本発明の化粧料の必須成分である金属酸化物
本発明の化粧料は、酸化マグネシウム及び／又は酸化亜鉛である金属酸化物を必須成分として含有することを特徴とする。これは、この様な金属酸化物が酸性成分と混合したときに発生する熱量が、化粧料に於ける温感と良く一致しているためである。本発明の化粧料に於いて、この様な酸化マグネシウム及び／又は酸化亜鉛である金属酸化物は唯一種を含有することもできるし、二種を組み合わせて含有させることもできる。これら金属酸化物の本発明の化粧料に於ける好ましい含有量は、塗布直前の化粧料全量に対して総量で０．１〜２０重量％であり、更に好ましくは、１〜１０重量％である。これは、少なすぎると好ましい温度となる熱量が得られない場合があり、多すぎると、化粧料の温度が高くなりすぎるためである。
【０００８】
（２）本発明の化粧料の必須成分である酸性物質
本発明の化粧料は、有機酸である酸性物質を必須成分として含有することを特徴とする。この様な有機酸は、発泡用に組成物全体が酸性になるのであれば、遊離の有機酸の形態であっても、一部が塩になった酸性の緩衝組成物の形態であってもかまわない。好ましい形態は、泡が持続的に発生することから、一部が塩となった緩衝組成物の形態である。この様な有機酸（イオン）としては、クエン酸（イオン）、蓚酸（イオン）、グリコール酸（イオン）、乳酸（イオン）、リンゴ酸（イオン）等が例示でき、これらは唯１種を含有することも出来るし、２種以上を組み合わせて含有することも出来る。この様な中で特に好ましい形態は、塗布直前の組成物全量に対して、クエン酸及び／又は、クエン酸イオンをクエン酸に換算して１〜１５重量％、更に好ましくは４〜１０重量％含有することである。
又、かかる酸性物質と金属酸化物の重量比は３：５〜５：３が特に好ましい。
【０００９】
（３）本発明の化粧料の必須成分である発泡剤
本発明の化粧料は発泡剤を必須成分として含有することを特徴とする。本発明で言う発泡剤とは２５℃１気圧の条件下で気体であり、加圧下においては液体の性状を有するものであり、具体的には、液化天然ガス、ノルマルブタン、イソブタン、プロパン、ジメチルエーテルが挙げられる。これらの内、特に好ましいものは液化天然ガスである。これは使用実績から高圧ガスとしての安全性も皮膚に対する安全性もともに充分に確保されているからである。この様な発泡剤の好ましい含有量は、発泡剤の種類にもより異なるが、０．１〜１０重量％が好ましく、１〜５重量％が更に好ましい。これは、多すぎると泡の形態が化粧料として好ましくない場合があり、少なすぎると発泡が充分でない場合があるからである。
【００１０】
（４）本発明の化粧料
本発明の化粧料は、上記必須成分である金属酸化物を含む組成物と酸性物質を含む組成物とを保存状態に於いては隔壁された状態で構成されるものであり、この２つの組成物のどちらかに発泡剤を含有することを特徴とする。この様な構成成分の内、発泡剤は通常の状態に於いては気体であるため、本発明の組成物の内、この様な発泡剤を含有する部分は、加圧状態で保存されることが好ましい。この様なことを実現する手段としては、吐出口で連結された、２つの独立されたチャンバーを有する、耐圧容器である。この様な耐圧容器としては、例えば、特開昭５７−１８３９７８号、特開昭６２−２２０４７１号、特開平７−３０８７２５号などに記載された容器が好ましく例示できる。この様な容器の２つのチャンバーに前記２種の組成物を充填し、密閉することにより、使用時にかかる２種の組成物を混合させ吐出させることができ、吐出時にはジェル乃至はクリーム状で、その後フォームを形成する形態を具現できる。この様な形態をとることにより、フォーム状化粧料の持つなめらかな感触と密閉性の良さというメリットを生かしながら、温感を付与できる優れた化粧料が具現化できる。この様な特質を生かす化粧料としては、例えば、フォーム状パック或いはフォーム状ひげ剃り化粧料などが好ましく例示できる。この様なフォーム状パックに於いては、パック効果に加えて温熱効果を付与できるし、フォーム状ひげ剃り料に於いては、毛を柔軟化し、ひげ剃りを効果的に行うことができる。
【００１１】
本発明の化粧料に於いては、上記に示した成分以外に、通常化粧料で使用される任意の成分を含有することができる。この様な成分としては、例えば、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、ホホバ油、カルナウバワックス，オレイン酸オクチルドデシル等のエステル類、オリーブ油、牛脂、椰子油等のトリグリセライド類、ステアリン酸、オレイン酸、リチノレイン酸等の脂肪酸、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール、スルホコハク酸エステルやポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤類、アルキルベタイン塩等の両性界面活性剤類、ジアルキルアンモニウム塩等のカチオン界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、これらのポリオキシエチレン付加物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、１，３−ブタンジオール等の多価アルコール類、増粘・ゲル化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色剤、防腐剤、粉体等を好ましく例示することができる。これらの内、特に好ましい成分は、高級アルコールであり、中でもステアリルアルコールやセチルアルコールが特に好ましい。これら高級アルコールの好ましい含有量は０．１〜１０重量％であり、更に好ましくは１〜５重量％である。これは、この様な量範囲に於いて、使用時極めて心地よいなめらかなフォームが形成されるからである。本発明の化粧料はこれらの成分を常法に従って処理することにより製造することができる。
【００１２】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がこれら実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【００１３】
＜実施例１＞
以下に示す処方に従って、本発明の化粧料である、フォーム状パックを作成した。即ち、（１液）の成分を良く混練りし組成物１を作成した。又、（２液）の成分を攪拌可溶化し組成物２を作成した。特開昭６２−２２０４７１号の図２に示されたダブルチェンバーエアゾール容器の１つのチェンバーに組成物１を５重量部の液化天然ガスとともに充填し、残りの１つのチェンバーに組成物２を充填した。このものの吐出物は、吐出時はジェル状で、徐々に発泡し泡状になった。このもののパック効果について、パック後２時間の皮膚平均温度を測定し比較した。即ち、パネラーの右半顔を本発明のフォーム状パックでパックし、左半顔を液化天然ガスを加えず、発泡しない形態の組成物１と組成物２を使用直前に混合して調製したパック料でそれぞれ１０分間処理し、洗顔した２時間後、サーモグラフィーにより、顔上の２４点の温度を計測し、その平均を取り、それぞれの平均皮膚温とした。結果は、本発明のフォーム状パックでの処理側（右半顔）が３７．３℃であり、発泡しないタイプのパックでの処理側（左半顔）が３６．２℃であり、本発明のフォーム状パック料により、血行促進がなされ、処理後２時間でも体温上昇効果が認められた。尚、下記処方は吐出して塗布前の状態のものである。
（１液）
ポリオキシエチレン（４５）フィトステロール０．４５重量部
セタノール２．６重量部
ステアリン酸０．９重量部
デカグリセリンモノオレート１．９重量部
１，３−ブタンジオール９．７重量部
ポリエチレングリコール４００３７．０３重量部
酸化マグネシウム４．５重量部
カオリン２．６重量部
無水珪酸４．５重量部
黄色酸化鉄０．０２重量部
液化天然ガス３．２重量部
（２液）
クエン酸５．２重量部
メチルパラベン０．０１重量部
水２７．０９重量部
【００１４】
＜実施例２＞
実施例１のフォーム状パックに更に、増粘剤である、キサンタンガムを添加し、同様に本発明のフォーム状パックを作成した。結果は、実施例１よりも更にきめの細かいフォームが生成し、保温力も良好で更に温感効果を持続することができた。これより、増粘剤、キサンタンガムを０．０１〜０．５重量％程度含有させることが更に好ましい形態であることが判明した。
（１液）
ポリオキシエチレン（４５）フィトステロール０．４５重量部
セタノール２．６重量部
ステアリン酸０．９重量部
デカグリセリンモノオレート１．９重量部
１，３−ブタンジオール９．７重量部
ポリエチレングリコール４００３７．０３重量部
酸化マグネシウム４．５重量部
カオリン２．６重量部
無水珪酸４．５重量部
黄色酸化鉄０．０２重量部
液化天然ガス３．２重量部
（２液）
クエン酸５．２重量部
メチルパラベン０．０１重量部
水２６．９９重量部
キサンタンガム０．１重量部
【００１５】
＜実施例３＞
実施例１の酸化マグネシウムの量とクエン酸の量を変えて本発明の化粧料であるフォーム状パック料を作成した。このものは、温感が若干強すぎた。
（１液）
ポリオキシエチレン（４５）フィトステロール０．４５重量部
セタノール２．６重量部
ステアリン酸０．９重量部
デカグリセリンモノオレート１．９重量部
１，３−ブタンジオール９．７重量部
ポリエチレングリコール４００３２．０３重量部
酸化マグネシウム９．５重量部
カオリン２．６重量部
無水珪酸４．５重量部
黄色酸化鉄０．０２重量部
液化天然ガス３．２重量部
（２液）
クエン酸１０．２重量部
メチルパラベン０．０１重量部
水２２．０９重量部
【００１６】
＜実施例４＞
実施例３と同様に酸化マグネシウムとクエン酸の量を変えて検討したが、このものは若干温感が弱すぎた。実施例３の結果も考えあわせると、金属酸化物の本発明の化粧料に於ける好ましい含有量は、塗布直前の化粧料全量に対して総量で０．１〜２０重量％であり、更に好ましくは、１〜１０重量％であり、塗布直前の組成物全量に対して、クエン酸及び／又は、クエン酸イオンをクエン酸に換算して１〜１５重量％、更に好ましくは４〜１０重量％含有することが好ましいことがわかる。
（１液）
ポリオキシエチレン（４５）フィトステロール０．４５重量部
セタノール２．６重量部
ステアリン酸０．９重量部
デカグリセリンモノオレート１．９重量部
１，３−ブタンジオール９．７重量部
ポリエチレングリコール４００４０．０３重量部
酸化マグネシウム１．５重量部
カオリン２．６重量部
無水珪酸４．５重量部
黄色酸化鉄０．０２重量部
液化天然ガス３．２重量部
（２液）
クエン酸２．２重量部
メチルパラベン０．０１重量部
水３０．０９重量部
【００１７】
＜実施例５＞
実施例１〜４と同様に、本発明の化粧料である、シェービングフォームを作成した。このものの酸化マグネシウムをカオリンに置換した比較例２を作成し、半顔でひげ剃り試験を行ったところ、実施例５の本発明の化粧料ではそり残しがほとんどないのに比し、比較例２は明らかにこれよりそり残しが目立った。これより、ひげ剃りに於ける温熱効果が確かめられた。
（１液）
ポリオキシエチレン（４５）フィトステロール０．４５重量部
セタノール２．６重量部
ステアリン酸０．９重量部
デカグリセリンモノオレート１．９重量部
１，３−ブタンジオール９．７重量部
ポリエチレングリコール４００３７．０３重量部
酸化マグネシウム４．５重量部
カオリン２．６重量部
無水珪酸４．５重量部
黄色酸化鉄０．０２重量部
液化天然ガス３．２重量部
（２液）
クエン酸５．２重量部
メチルパラベン０．０１重量部
水２６．９９重量部
ウィッチヘーゼル抽出物０．１重量部
【００１８】
＜実施例６＞
実施例５と同様にシェービングフォームを作成した。このものも温感があり、これによってひげを軟化し、そり残しを防止する作用に優れていた。
（１液）
ポリオキシエチレン（４５）フィトステロール０．４５重量部
セタノール２．６重量部
ステアリン酸０．９重量部
デカグリセリンモノオレート１．９重量部
１，３−ブタンジオール９．７重量部
ポリエチレングリコール４００３７．０３重量部
酸化亜鉛４．５重量部
カオリン２．６重量部
無水珪酸４．５重量部
黄色酸化鉄０．０２重量部
液化天然ガス３．２重量部
（２液）
クエン酸５．２重量部
メチルパラベン０．０１重量部
水２６．９９重量部
ウィッチヘーゼル抽出物０．１重量部
【００１９】
【発明の効果】
本発明によれば、使用感、安全性に優れる、温感を有する発泡化粧料を提供することができる。

Claims

２つの組成物を構成要素とする発泡化粧料であって、該２つの組成物が、１）酸化マグネシウム及び／又は酸化亜鉛である金属酸化物を含む組成物と、２）有機酸である酸性物質を含む組成物であり、１）及び／又は２）の組成物中に液化天然ガス、ノルマルブタン、イソブタン、プロパン、ジメチルエーテルから選択される少なくとも１種以上の発泡剤を含有することを特徴とする、発泡化粧料。
酸性物質が、クエン酸であることを特徴とする、請求項１に記載の発泡組成物。
１）酸化マグネシウム及び／又は酸化亜鉛と液化天然ガスを含む組成物と、２）クエン酸を含む組成物、の２つの組成物を耐圧容器に充填した発泡化粧料であって、該耐圧容器が１）及び２）の組成物充填用のそれぞれ独立したチャンバーと、該２つのチャンバーの出口が吐出口で合一している吐出口を有するものであることを特徴とする、請求項１又は２に記載の発泡化粧料。
噴出時ジェル状であり、塗布時に発泡することを特徴とする、請求項１〜３何れか１項に記載の発泡化粧料。
パック化粧料又はシェービング化粧料であることを特徴とする、請求項１〜４何れか１項に記載の発泡化粧料。