JP4166928B2 - オゾン発生方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、放電によるオゾン発生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体の製造においては、半導体ウエーハや液晶用ガラス基板といった各種基板上への酸化膜の形成、基板上のレジストのアッシング、基板洗浄等にオゾンガスが用いられ始めた。半導体製造用のオゾンガスとしては、不純物の少ないことが必要であることから、高純度の酸素ガスを原料ガスとして放電式のオゾナイザに供給して生成したものが、通常使用されている。生成された半導体製造用のオゾンガスは、その汚染を防ぐために、SUS316L等のステンレス鋼やPFA等のフッ素樹脂からなる配管を経由して使用箇所へ送られる。
【0003】
しかしなから、原料ガスとして高純度の酸素ガスを使用した場合、オゾンガスのオゾン濃度がオゾン発生開始から経時的に低下し、安定オゾン濃度が初期オゾン濃度に比べて非常に低くなり、且つ、その安定オゾン濃度も不安定になるという問題がある。この問題の解決策の一つとして、高純度の酸素ガスに微量の触媒ガスを添加することが行われており、その触媒ガスとしては、半導体製造工程において入手が容易で低コストな高純度の窒素ガスが多用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
原料ガスとしての高純度酸素ガスに高純度窒素ガスを添加することにより、生成されるオゾンガスのオゾン濃度低下が効果的に抑制され、また安定した濃度のオゾンガスの発生が可能になるが、その一方で、オゾンガスの供給先においてそのガス中から金属不純物が検出されることが問題になっている。その原因は、酸素ガスに窒素ガスが含まれることにより、オゾンガス中に副生物として窒素酸化物が生じ、これが金属製の配管内面やチャンバ内面を劣化或いは腐食させ、その結果として配管内面やチャンバ内面から金属不純物が生じることとされている。このような金属不純物が半導体製造に悪影響を与えることは言うまでもない。
【0005】
また最近では、金属製の配管内面やチャンバ内面から二次的に発生する金属不純物だけでなく、オゾンガス中の窒素酸化物が半導体製造に直接悪影響を及ぼすことも指摘され始めている。
【0006】
また、プロセスで使用された後のオゾンガスは酸素ガスに分解してから排出する必要があるが、その分解の方法として触媒を使用する場合、窒素酸化物は触媒毒であるため、触媒の寿命を短くする原因の一つになっている。
【0007】
本発明の目的は、窒素酸化物のような有害物質を生じることなく、オゾン濃度の低下を抑制でき、また、その濃度を安定化できるオゾン発生方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは以前よりオゾンガスの高濃度化の研究を続けており、その一環として、原料ガス温度のオゾン濃度への影響度を調査したところ、偶然にも、オゾン濃度の経時的な低下が激減する現象に遭遇した。そして、その原因を追求したところ、原料ガス温度を調整するために温水中に浸漬した樹脂製の原料ガス管の管壁を通して、管内を流通する高純度酸素ガスに0.1〜10ppm程度の極めて微量の水分が侵入し、この僅かの水分が、オゾン濃度の経時的な低下を効果的に抑制し、酸素ガス中の水分が窒素ガスに代わる極めて有効な触媒物質になり得ることが判明した。
【0009】
即ち、水分によってオゾン濃度の低下が抑制される効果は、0.1〜10ppm程度の極めて微量の水分の存在によって得られ、酸素濃度の実質的な低下を伴わない。例えば、1ppmの水分で得られる効果は、1000〜10000ppmの窒素ガスで得られる効果に匹敵する。しかも水分は、それ自体が無害である上、窒素酸化物のような有害物質を副生せず、添加量が僅かであることと相まって、半導体製造分野においても何ら問題を生じない。
【0010】
本発明はかかる知見に基づいて完成されたものであり、放電式のオゾナイザにより酸素ガスを用いてオゾンガスを生成する際に、オゾン発生用の原料ガスとして純度が99.99%以上、水分量が0.01ppm以下で窒素無添加の高純度酸素ガスを用い、その高純度酸素ガスに水分量が0.05〜40ppmとなるように加湿器で水分を添加してから、その高純度酸素ガスを前記オゾナイザに供給して、オゾン濃度が150g/Nm 3 以上の高濃度オゾンガスを生成するオゾン発生方法である。
【0011】
半導体製造分野においてオゾン発生用原料ガスとして使用される酸素ガスは、通常は99.99%以上の高純度酸素ガスで、ボンベに充填された液化酸素又は酸素ガスを酸素ガス源としてオゾナイザに供給される。酸素ガス中の水分は不純物のなかでも比較的除去が容易であり、不純物を除去するための精製に伴って殆ど除去されている。加えて、その水分はオゾン収率に悪影響を与えるとさえ考えられている。このため、その酸素ガス中の水分量は、99.99%の場合で0.01ppm以下であり、99.9999%の場合では0.001ppm以下である。
【0012】
オゾナイザへ供給される酸素ガス中の水分含有量を0.05〜40ppmとしたのは、0.05ppm未満では、オゾン濃度の低下を抑制する効果が不足し、40ppmを超えた場合はオゾンの発生効率が低下し、オゾン濃度が再度低下し始める上に、オゾナイザの放電部や下流側のプロセスへの悪影響が懸念されるからである。好ましい下限は0.1ppmであり、特に好ましい下限は0.5ppmである。また、好ましい上限は10ppmであり、特に好ましい上限は3ppmである。
【0013】
オゾナイザへの酸素ガスの供給は、酸素ガス源からガス供給系を通じて行われる。酸素ガス源における酸素ガス中の水分が不足するので、ガス供給系の途中で加湿器により酸素ガスに所定量の水分を添加してから、その酸素ガスをオゾナイザに供給する。
【0014】
使用する酸素ガス、即ち水分調整を行う前の酸素ガスは、99.99%以上の高純度酸素ガスであり、そのなかでも99.9999%以上の超高純度酸素ガスが特に好ましい。なぜなら、酸素ガスの高純度化によって不純物が排除されるだでなく、微量の水分によってオゾン濃度の低下を抑制する効果は、酸素ガスが高純度であるほど有効であるからである。即ち、酸素ガス中の水分は、そのガス中の酸素及び不純物と反応し、不純物が多いと、水分が不純物との反応に多く消費され、水分と酸素の反応(オゾン生成反応)が妨害されるが、高純度化により不純物が低減されると、この妨害が抑制されるからである。
【0015】
オゾナイザで生成されるオゾンガスのオゾン濃度は150g/Nm3 以上である。なぜなら、高濃度化によって反応性が向上するだけでなく、微量の水分によってオゾン濃度の低下を抑制する効果は、オゾンガスが高濃度であるほど有効であるからである。即ち、オゾン濃度が高くなると、分解反応も同時に増大し、触媒ガスがない場合はこの現象が顕著に現れ、オゾン濃度の低下が大きくなるが、水分は触媒ガスに代わって、この高濃度ほど顕著なオゾン濃度の低下を阻止できるからである。
【0016】
なお本発明は、半導体製造分野で使用される99.99%以上の高純度酸素ガスに特に有効である。
【0017】
(削除)
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の1実施形態を示すオゾン発生装置の構成図である。
【0019】
図1に示されたオゾン発生装置は、装置本体として放電式のオゾナイザ1を備えている。オゾナイザ1には、酸素ガス源2から配管3を通して例えば高純度酸素ガスが供給される。酸素ガス源2は、例えばボンベに充填された液体酸素である。配管3の途中には、水分調整器としての加湿器4が設けられている。加湿器4は、純水を収容する水槽5と、水分浸透性をもつテフロン等の樹脂からなる螺旋状のチューブ6と、水槽5内の純水を温度管理するヒータ7と、水槽5内の純水を攪拌する攪拌機8とを有している。チューブ6は配管3の途中に介装され、水槽5内の純水中に浸漬されている。
【0020】
原料ガスとしての高純度酸素ガスは、酸素ガス源2から加湿器4を経由してオゾナイザ1に供給される。加湿器4では、純水中に浸漬されたチューブ6を通過する過程で、チューブ6の樹脂壁を通して水分を添加される。その添加量は、ヒータ7で純水の温度を変更することにより調整され、この調整により、オゾナイザ1に供給される高純度酸素ガス中の水分含有量が0.05〜40ppm、好ましくは0.1〜10ppmに管理される。この管理のため、高純度酸素ガス中の水分含有量が、加湿器4とオゾナイザ1の間に設けられた露点計9によりモニタされる。
【0021】
このようなオゾン発生装置を用いて実際にオゾンガスを生成した結果を次に説明する。
【0022】
酸素ガスとして純度が99.9999%以上の超高純度酸素ガスを用いた。このガスの水分含有量は、露点計で測定したところ、その測定限界である−110℃以下であり、0.001ppmレベルである。この超高純度酸素ガスをダイレクトにオゾナイザに供給した場合、オゾン発生開始時に150g/Nm3 以上を示したオゾン濃度が70g/Nm3 以下に低下した。
【0023】
この超高濃度酸素ガスに高純度の窒素ガスを添加した。窒素ガスの添加率と安定オゾン濃度の関係を図2に示す。1%(10000ppm)以上の添加で、安定オゾン濃度は約150g/Nm3 に向上する。
【0024】
この超高純度酸素ガスに窒素ガスを添加せず、代わりに上記の加湿器を用いて微量の水分を添加して、酸素ガス中の水分含有量を増加させた。水分含有量と安定オゾン濃度との関係を図3に示す。
【0025】
図3から分かるように、酸素ガス中の水分含有量を僅かに増加させることにより、比較的多量の窒素ガスを含有させた場合と同等に、オゾン濃度の低下が抑制され、高濃度のオゾンガスが安定に発生する。
【0026】
【発明の効果】
以上に説明したとおり、本発明のオゾン発生方法は、放電式のオゾナイザに供給する酸素ガス中の水分含有量を調整することにより、窒素ガスを使用せずとも、オゾン濃度の低下を抑制でき、また、そのオゾン濃度を安定化できる。従って、オゾナイザの性能低下を抑制しつつ、窒素酸化物の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施形態を示すオゾン発生装置の構成図である。
【図2】酸素ガスへの窒素ガス添加率と安定オゾン濃度の関係を示すグラフである。
【図3】酸素ガス中の水分含有量と安定オゾン濃度の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 オゾナイザ
2 酸素ガス源
3 配管
4 加湿器
5 水槽
6 チューブ
7 ヒータ
9 露点計
Claims (6)
- 放電式のオゾナイザにより酸素ガスを用いてオゾンガスを生成する際に、オゾン発生用の原料ガスとして純度が99.99%以上、水分量が0.01ppm以下で窒素無添加の高純度酸素ガスを用い、その高純度酸素ガスに水分量が0.05〜40ppmとなるように加湿器で水分を添加してから、その高純度酸素ガスを前記オゾナイザに供給して、オゾン濃度が150g/Nm 3 以上の高濃度オゾンガスを生成することを特徴とするオゾン発生方法。
- オゾナイザで生成されるオゾンガスは半導体製造用である請求項1に記載のオゾン発生方法。
- 前記加湿器は、純水を収容する水槽と、水槽内の純水中に浸漬され、内部を前記酸素ガスが流通する樹脂チューブとを具備する請求項1に記載のオゾン発生方法。
- 前記樹脂チューブは水分浸透性を有する請求項3に記載のオゾン発生方法。
- 前記加湿器は、水槽内の純水を温度管理するヒータを具備する請求項3に記載のオゾン発生方法。
- 前記加湿器は、前記水槽内の純水を攪拌する攪拌機を具備する請求項3に記載のオゾン発生方法。
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