JP2005034772A - 窒素酸化物処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 窒素酸化物の処理効率の向上を目的とした窒素酸化物量制御装置、およびそれを用いた、従来技術と比較して小型でありながら窒素酸化物の処理効率が向上した窒素酸化物処理装置を提供することを課題とするものである。
【解決手段】 窒素酸化物量制御装置は、二酸化窒素に対する等温吸着熱が5〜20kカロリー/モル程度の範囲内にある濃度緩衝用吸着剤を有する濃度緩衝器1と被処理ガス中の窒素酸化物の濃度を測定するNO濃度測定装置2、および被処理ガスの流量を調整するガス流量調整バルブ3を備え、窒素酸化物処理装置に流入するNOxの単位時間あたりの被処理ガスの流量を基準値以下に制限する。被処理ガス中の一酸化窒素は、オゾン処理装置6において二酸化窒素などに酸化され、二酸化窒素は、溶解装置9において水に溶解除去される。
【選択図】図1

Description

本発明は、窒素酸化物量制御装置および窒素酸化物処理装置に関し、特に自動車、発電所、ボイラー、焼却炉などから排出される窒素酸化物を含むガスを浄化し環境中に戻すことに好適な窒素酸化物量制御装置および窒素酸化物処理装置に関するものである。
窒素酸化物を含むガスから窒素酸化物を除去する技術として、例えば空気量またはガス量と排ガス中のNOx濃度とからNOx量を演算して求め、この求められたNOx量に応じてインバータを制御してパルス高圧電源装置のロータ駆動用モータの回転数を変え、当該モータにより回転されるパルス高圧電源装置のパルス周波数を変えてオゾナイザーを制御し、発生するオゾン量をコントロールする湿式脱硝におけるオゾン量制御方法は、後記の特許文献1から従来公知である。
特開昭62-221422号公報(請求項1、図1)
多くの工業用プラント、例えば酸処理プラントなどから排出されるガス中の窒素酸化物は、一般的に経時的な濃度変動が大きく、例えば1時間の間に数十ppmから数万ppmにわたる濃度変動が生じる。前記の特許文献1の技術では、窒素酸化物の処理効果を良好に保つには窒素酸化物の濃度変動における最大濃度に合わせたオゾン発生機と気液接触装置を備える必要があるので、窒素酸化物処理装置が大型化し、コスト高となる問題がある。
本発明は、斯界における如上の問題に鑑みて、窒素酸化物の処理効率の向上を目的とした窒素酸化物量制御装置、およびそれを用いた、従来技術と比較して小型でありながら窒素酸化物の処理効率が向上した窒素酸化物処理装置を提供することを課題とするものである。
本発明の窒素酸化物量制御装置は、二酸化窒素に対する等温吸着熱が5〜20kカロリー/モル程度の範囲内にある濃度緩衝用吸着剤、および被処理ガスに含まれている窒素酸化物の濃度を測定するNO濃度測定装置を備えたことを特徴とするものである。
また本発明の窒素酸化物処理装置は、二酸化窒素に対する等温吸着熱が5〜20kカロリー/モル程度の範囲内にある濃度緩衝用吸着剤、被処理ガスに含まれている窒素酸化物の濃度を測定するNO濃度測定装置、および上記被処理ガスの流量を調整する流量調整装置を備えた窒素酸化物量制御装置、上記被処理ガスをオゾンにより酸化処理するオゾン処理装置、上記オゾン処理装置により処理された上記被処理ガスに含まれている二酸化窒素を液体に溶解する溶解装置を備えたことを特徴とするものである。
本発明の窒素酸化物量制御装置は、以上説明した通り、二酸化窒素に対する等温吸着熱が5〜20kカロリー/モル程度の範囲内にある濃度緩衝用吸着剤、および被処理ガスに含まれている窒素酸化物の濃度を測定するNO濃度測定装置を備えたことを特徴とするものであって、濃度緩衝用吸着剤によって被処理ガスのNOx濃度の変動が小さくされ、また被処理ガスとして高NOx濃度を含有するものがかなり長時間にわたり供給され続けられた場合にはNO濃度測定装置2による濃度緩衝器1の入口側と出口側でのNOx濃度差の測定により把握が可能となり、流量調整装置を調節することにより本発明の窒素酸化物処理装置に流入するNOxの単位時間あたりの被処理ガスの流量を基準値以下に制限することができ、この結果、本発明の窒素酸化物処理装置を従来技術におけるように、窒素酸化物の濃度変動における最大濃度に合わせた大型化装置とする必要がなく、小型化や低コスト化が可能となる。
また本発明の窒素酸化物処理装置は、以上説明した通り、二酸化窒素に対する等温吸着熱が5〜20kカロリー/モル程度の範囲内にある濃度緩衝用吸着剤、被処理ガスに含まれている窒素酸化物の濃度を測定するNO濃度測定装置、および上記被処理ガスの流量を調整する流量調整装置を備えた窒素酸化物量制御装置、上記被処理ガスをオゾンにより酸化処理するオゾン処理装置、上記オゾン処理装置により処理された上記被処理ガスに含まれている二酸化窒素を液体に溶解する溶解装置を備えたことを特徴とするものであるので、上記オゾン処理装置により被処理ガス中の一酸化窒素を最適量のオゾンあるいはオゾン化ガスに二酸化窒素などに酸化することができ、また二酸化窒素などを上記溶解装置により溶解除去することができる。
実施の形態1.
図1〜図4は、本発明の窒素酸化物量制御装置および窒素酸化物処理装置における実施の形態1を説明するものであって、図1は実施の形態1の上記両装置の説明図であり、図2は濃度緩衝用吸着剤の濃度緩衝作用を示すグラフ例であり、図3は実施の形態1の窒素酸化物処理装置による処理前後の被処理ガスに含まれているNOx濃度の経時変化を示すグラフであり、図4は被処理ガスのNOx濃度と硝酸濃度との関係を示すグラフである。
図1において、実施の形態1の窒素酸化物量制御装置は、その主要部分として、濃度緩衝器1、NO濃度測定装置2、および被処理ガスの流量を調整する前記流量調整装置の一例としてのガス流量調整バルブ3を備えている。実施の形態1の窒素酸化物処理装置は、その主要部分として、上記符号1〜3で示された部位を備えた上記窒素酸化物量制御装置、オゾン供給装置4、オゾン処理装置6、オゾン量制御装置7、および溶解装置9を備えている。
濃度緩衝器1は、その内部に濃度緩衝用吸着剤が充填されている。被処理ガスのNOx濃度は、前記した通り一般的に経時的に極めて大きく変動するが、濃度緩衝用吸着剤は、二酸化窒素(NO)に対する等温吸着熱が大き過ぎず小さ過ぎない適度の吸着性能を有するために、濃度緩衝器1内を通過する被処理ガス中のNOxを吸着して当該被処理ガスのNOx濃度を低減し、あるいは逆に既吸着のNOxを被処理ガス中に放出(脱着)して当該被処理ガスのNOx濃度を増大する。かくして濃度緩衝器1は、被処理ガスのNOx濃度の時間的な変動を小さくする機能をなす。
図2は、濃度緩衝器1の濃度緩衝作用を示すグラフ例であって、点線は濃度緩衝器1の入口における被処理ガスのNOx濃度の経時的変化を示し、実線は同緩衝器1の出口における同ガスのNOx濃度の経時的変化を示す。図2から明らかなように、当該被処理ガスのNOx濃度は、それの測定開始時点から1時間経過後あたりにおいて10000ppm程度にまで急上昇し、その状態が約30分続いた後に急低下している。これに対して濃度緩衝器1の出口では、濃度緩衝用吸着剤の上記した緩衝作用によりNOx濃度の上記急上昇は消失してNOx濃度は経時的に平準化されている。これは、NOx濃度が急上昇した初期では濃度緩衝用吸着剤がNOxを吸着し、その後は吸着したNOxを徐々に放出した結果である。
そのような機能をなす濃度緩衝用吸着剤としては、後記する方法で測定した等温吸着熱が5〜20kカロリー/モル程度の範囲内にあるものが用いられ、例えばSiO/Al比(Al1モルあたりのSiOのモル数、以下S/A比)が15〜800程度、好ましくは200〜400程度のゼオライトが例示される。
等温吸着熱の測定方法;べーべ(Beebe)の熱量計を用い、NOの圧力(p)が1×10−5Mpa〜1×10−2Mpaの範囲内で且つ温度(T)が298K〜398Kの範囲内の条件下で上記pとTとの関係を測定し、下式(1)から吸着熱(qst)を算出する。
ln(p/p)=qst/R(1/T−1/T)・・・・・・・・・(1)
ここに、Rは気体定数であり、添え字1および2は上記した圧力範囲内および温範囲内の異なる測定条件を示す。例えば、T=300K、T=350Kである。
NO濃度測定装置2は、NO濃度測定装置本体21、ダクト8内の濃度緩衝器1の入口あたりに設置された受感部22、および濃度緩衝器1の出口あたりに設置された受感部23を備えており、濃度緩衝器1を通過する前後の被処理ガス中のNOx濃度が受感部22、23により感知され、それらの情報が信号線路S1を通じてNO濃度測定装置本体21に入力され、NO濃度測定装置本体21によりそれらの濃度が測定される。
ガス流量調整バルブ3は、濃度緩衝器1内の入口側に設置されたバルブ31と同槽1内の出口側に設置されたバルブ32とを備えており、濃度緩衝器1内を通過する被処理ガスの流量をバルブ31および/またはバルブ32にて調整することができる。
オゾン処理装置6では、被処理ガス中に含まれている一酸化窒素(NO)は、オゾンにて主として二酸化窒素(NO)に酸化される。またオゾン量制御装置7は、濃度測定装置2から信号線路S2を通じて入力される濃度緩衝器1の出口における被処理ガス中のNOx濃度、特にNOの濃度情報を受けて、オゾン処理装置6に供給すべき必要オゾン量を算出してそれを信号線路S3を通じてオゾン供給装置4に入力する。
オゾン供給装置4では、オゾン量制御装置7からの入力に従ってオゾン化ガス(酸素の一部がオゾンに変化したオゾン含有酸素、あるいはオゾン含有空気)が生産され、その内の、NOを酸化するに必要なオゾン量を含むオゾン化ガス量が、ガス管路51、切り換え弁54、およびガス管路53を経由してオゾン処理装置6に供給される。また一部のオゾン化ガス量は、ガス管路51、切り換え弁54、およびガス管路52を経由して後記するオゾン注入口93に注入される。
溶解装置9は、ダクト8によりオゾン処理装置6と繋がっており、ハウジング91、ハウジング91内の液溜部92、液溜部92内に設置されたオゾン注入口93、循環ポンプ94、送液管95、散液管96、およびハウジング91の天井に設けられた排気ダクト97を備えている。液溜部92内のNOx溶解液は、循環ポンプ94および送液管95により汲み上げられて、散液管96から散液され、オゾン処理装置6から供給されるNOxを溶解して液溜部92に落下帰還する。上記のNOx溶解液としては、NOなどを溶解するものであればよく、例えば水、次亜塩素酸ナトリウムなどの塩の水溶液などが例示される。
つぎに窒素酸化物量制御装置の動作に就いて説明する。上記したように、濃度緩衝器1によって被処理ガスのNOx濃度の変動が小さくされる。なお被処理ガスとして、高NOx濃度を含有するものがかなり長時間にわたり供給され続けたり、あるいは一時的にせよ異常な高NOx濃度を含有するものが供給される場合には、濃度緩衝用吸着剤による上記のNOx濃度の変動縮小機能の限界を超えることがある。
かかる事態の発生は、NO濃度測定装置2による濃度緩衝器1の入口側と出口側でのNOx濃度差の測定により把握が可能となり、上記NOx濃度差が予め設定された基準値を超えた場合には、ガス流量調整バルブ3のバルブ31および/またはバルブ32を調節して濃度緩衝器1に流入する被処理ガスの流量を制限して濃度緩衝器1を経由してオゾン処理装置6に流入する被処理ガスの流量、換言するとNOxの単位時間あたりの流入量が予め設定された基準値を越えることがないように管理される。
つぎに実施の形態1の窒素酸化物処理装置の動作に就き説明する。被処理ガス中にNOが含まれていると、それは概して前記NOx溶解液に溶解し難いので溶解装置9での処理が困難となる。このために、NOは、オゾン処理装置6において主として溶解除去が容易なNOなどに酸化される。その際、NOの酸化に過不足のない量のオゾン化ガスをオゾン処理装置6に供給するために、被処理ガス中のNOの濃度がNO濃度測定装置2により予め測定され、最適量のオゾン化ガスが被処理ガスと一緒にオゾン処理装置6に導入され、被処理ガスが酸化処理される。その際、注入されるオゾンとNOのモル比が1未満(NO>O)、または下式(2)の状態で未反応オゾンを排出せず、未反応オゾン(余剰オゾン)の処理が不要となって、余剰オゾ処理装置を不要とすることができる。
1>[O]/[NO]≧0.1・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
ここに[O]および[NO]は、それぞれオゾンおよびNOの濃度である。
ついでかく酸化処理された被処理ガスは、溶解装置9に導入され、溶解装置9において前記のNOx溶解液として水が用いられている場合には、NO2などのNOxは水に溶解し、その際に大気中や水など含まれている酸素やオゾンにより硝酸に酸化され、溶解除去される。NOxが溶解除去されて清浄化された被処理ガスは、排気ダクト97から大気中に放出される。
ところでNOは、水あるいは水蒸気と反応して、下式(1)によりその一部がNOに変化するので、注入口93から液溜部92内にバブリングされたオゾン化ガスは、下式(3)の反応で生じるNOをNOなど再酸化すると共に、NO2などとなって溶解除去される。このNOの再酸化に過不足のないオゾン化ガス量も、被処理ガス中のNOの濃度がNO濃度測定装置2により予め測定され、最適量のオゾン化ガスが注入口93から液溜部92内にバブリングされる。
3NO+HO→NO+2HNO・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
図3において、点線は、ダクト8の導入口81に供給された、即ち処理前の被処理ガスのNOx濃度の経時変化を示すグラフであり、実線は排気ダクト97から大気中に放出された被処理ガスのNOx濃度の経時変化を示すグラフであって、実施の形態1の窒素酸化物処理装置は、同図から明らかなように10000ppm程度の高NOx濃度の被処理ガスでも効果的に処理可能である。
溶解装置9において、NOxが水に溶解することによって硝酸水が生成し、液溜部92の硝酸濃度は漸次増大し、硝酸水溶液として利用される。図4は、20℃、被処理ガスのNO濃度が100ppmの状態下において、当該被処理ガスにおけるNOx(NO+N)の濃度(ppm)、NOの濃度(ppm)、およびNの濃度(ppm)をパラメータとして、オゾン処理装置6から溶解装置9に導入された当初の被処理ガス中の上記各窒素酸化物の濃度(ppm)と、液溜部92における硝酸水溶液の硝酸濃度(重量%)との平衡関係を示す。
本発明は、前記実施の形態1に限定されるものではなく、本発明の課題とその解決手段の基本に沿った種々の変形形態を含む。例えば、実施の形態1では吸着塔1とは別に脱着塔31を用意したが、吸着塔1として脱着装置としても兼務可能なものを2基用意し、その一基が吸着機能をなしている間に残る一基が脱着機能をなすようにしてもよい。そうすることにより吸着と脱着を連続的に行うことができる。
実施の形態1の窒素酸化物量制御装置と窒素酸化物処理装置の概略フロー図。 濃度緩衝用吸着剤の濃度緩衝作用を示すグラフ例。 実施の形態1の窒素酸化物処理装置による処理前後の被処理ガスに含まれているNOx濃度の経時変化を示すグラフ。 被処理ガスのNOx濃度と硝酸濃度との関係を示すグラフ。
符号の説明
1 濃度緩衝器、2 NO濃度測定装置、3 ガス流量調整バルブ、
4 オゾン供給装置、51〜53 ガス管路、54 切り換え弁、
6 オゾン処理装置、7 オゾン量制御装置、8 ダクト、81 導入口、
9 溶解装置、91 ハウジング、92 液溜部、93 オゾン注入口、
94 循環ポンプ、95 送液管、96 散液管、97 排気ダクト。

Claims (6)

  1. 二酸化窒素に対する等温吸着熱が5〜20kカロリー/モル程度の範囲内にある濃度緩衝用吸着剤、および被処理ガスに含まれている窒素酸化物の濃度を測定するNO濃度測定装置を備えたことを特徴とする窒素酸化物量制御装置。
  2. 上記被処理ガスの流量を調整する流量調整装置を備えたことを特徴とする請求項1記載の窒素酸化物量制御装置。
  3. 上記濃度緩衝用吸着剤は、アルミナ1モルあたりのシリカの量が15モル〜800モル程度のゼオライトであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の窒素酸化物量制御装置。
  4. 二酸化窒素に対する等温吸着熱が5〜20kカロリー/モル程度の範囲内にある濃度緩衝用吸着剤、被処理ガスに含まれている窒素酸化物の濃度を測定するNO濃度測定装置、および上記被処理ガスの流量を調整する流量調整装置を備えた窒素酸化物量制御装置、上記被処理ガスをオゾンにより酸化処理するオゾン処理装置、上記オゾン処理装置により処理された上記被処理ガスに含まれている二酸化窒素を液体に溶解する溶解装置を備えたことを特徴とする窒素酸化物処理装置。
  5. 上記オゾン処理装置および/または上記溶解装置にオゾンを供給するオゾン供給装置を備えたことを特徴とする請求項4記載の窒素酸化物処理装置。
  6. 上記NO濃度測定装置により測定された被処理ガスに含まれている窒素酸化物の濃度に基づいて、上記オゾン処理装置および/または上記溶解装置に供給するオゾン量を制御するオゾン量制御装置を備えたことを特徴とする請求項4または請求項5記載の窒素酸化物処理装置。

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