JP4166914B2 - 加熱装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置において定着装置として使用される加熱装置、ラミネート装置においてシート状被加熱部材を加熱する加熱装置、その他熱源を有する加熱部材により被加熱部材に熱エネルギーを付与する加熱装置及び定着装置として用いられる加熱装置を具備した画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置において、転写紙やOHPシート等のシート状媒体からなる被加熱部材に形成したトナー像を定着させる定着装置としては、安全性、信頼性などの面から熱ローラ方式の加熱装置が多く用いられている。
【0003】
この熱ローラ方式の加熱装置は、内部にヒータを備えた肉厚2mm以上の金属製の加熱ローラに、ゴムなどの弾性層を備えた加圧ローラを圧接させた構成を基本的な構成としている。
【0004】
定着に際しては、加熱ローラに加圧ローラを圧接させることによりできる定着ニップ部に被加熱部材を送り込んでこれらローラ間で挟持搬送、通過させることにより、該被加熱部材を加熱、加圧してシート状媒体へトナー像を定着させる。
【0005】
しかし、このような熱ローラ方式の加熱装置では、ローラの熱容量が大きいためにローラ表面を定着温度まで上げるのには数分の時間を要していた。このため、画像出力動作を速やかに実行するため画像形成装置を使用していないときにもローラ表面をある程度の温度に保っていなければならず、所謂待機時予熱に伴なう省エネルギー上の問題及び待機予熱を行なうための構成上の煩雑さ等の問題があった。
【0006】
そこで、これら問題を解決するため、従来の構成よりもローラ肉厚を薄くして熱容量を小さくした薄肉ローラ方式が実用化されてきている。この薄肉ローラ方式の加熱装置では、加熱ローラを1mm以下の薄肉の金属ローラにしている。
【0007】
また、定着装置以外の加熱装置として、板状の加熱体と加圧ローラの間に、紙と共に耐熱フィルムを通してフィルム越しに紙を加熱するように構成したラミネート処理用の加熱装置も商品化されている。
【0008】
これら定着装置やラミネート処理用の加熱装置において、加熱ローラの体積を小さくして低熱容量とすることで、従来の熱ローラ方式の加熱装置に比べて昇温時間の短縮化を図ることが可能となり、待機時予熱を行わないことで省エネルギー化ができる等の特徴がある。
【0009】
通常、定着装置やラミネート装置として用いられる加熱装置では、数種類のサイズの異なる被加熱部材が用いられる。このとき、例えば最大A3サイズの縦送りが可能な装置(通紙幅297mm)において、A4サイズの縦送り(通紙幅210mm)やはがき(通紙幅105mm)等の通紙幅が狭い被加熱部材を通紙させると加熱ローラには非通紙部分が発生してしまう。
【0010】
通紙幅が狭い小サイズ被加熱部材を連続的に通紙していくと、非通紙部分では加熱体による発熱が被加熱部材によって吸収されないために温度が徐々に上昇していく。このため、次のような問題を生じていた。
【0011】
小サイズ被加熱部材を連続的に通紙した直後には、非通紙部に対応する加熱ローラや板状ヒータ等の加熱部材及び加圧ローラは共に高温になる。このとき、より大きなサイズの被加熱部材を通すと小サイズの被加熱部材を通紙した時に非通紙部であった高温領域と接した部分ではトナーやラミネートシートが過溶融状態となり、電子写真方式の画像形成装置ではトナー樹脂が加熱部材に転写されるいわゆるホットオフセットが発生したり、加熱ローラ及び加圧ローラ−やラミネートフィルムの耐熱温度を越えて装置を破壊してしまうことがあった。
【0012】
このような非通紙部の異常な昇温に対する対応策として、
▲1▼加熱ローラ方式の構成として、非通紙部の昇温を防止するために加熱ローラ内に軸方向に複数のヒータを配して、通紙される被加熱部材のサイズに応じてヒータを切り替えて非通紙部を発熱させないようにして使用するものがある。
【0013】
例えば、A3サイズとA4サイズの被記録部材が通紙されるときに、A3サイズ分の約300mmの幅を加熱するA3用のヒータと、A4サイズ分の約210mmの幅を加熱するA4用のヒータとを切り替えて加熱温度を調節し、非通紙部のローラを加熱しないように構成する。
▲2▼記録材をフィルムに密着させてフィルムと共に加熱位置を移動通過させて加熱体からフィルムを介して記録材に熱エネルギーを与えるフィルム加熱方式でも同様に、例えば、特開平5−53461号公報に開示されるように発熱体の発熱長さを複数切り替えられるようにして非通紙部の装置温度が過昇温することのないようにしている。
▲3▼また、特開平6−186875号公報には、定着装置に搬送される記録材の幅が小さい場合、定着枚数が所定枚数に達したとき、定着の速度を低速に切り換えて定着を行なう。これにより、定着装置が記録材を挟持せずに駆動される時間が長くなり、定着装置の温度が均一化することになり非通紙部昇温が抑えられて、定着不良が防止される。
▲4▼また、特開平5−307333号公報によれば、グラファイトの熱伝導率が高いことを利用し、熱ローラについてグラファイト線を巻回し、燒結している。
【0014】
しかしながら、上記▲1▼▲2▼のヒータを複数設けてこれらを切り替えるという方法ではヒータ制御が複雑化するし、また、コストの上昇を招く。上記▲3▼の定着速度を切り替える方法では、定着速度を低速にするのであるから画像形成の生産性が低下してしまう。上記▲4▼の方法では、ローラ長手方向の熱伝導性が不十分であり、また、ローラ撓みに対しては剛性が低下するなどのおそれがある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、簡単な構成により被加熱部材の通過部と非通過部との温度差を小さくして上記非通過部の異常昇温及び異常昇温に伴う諸問題を解消し、また、加熱装置が定着装置として使用される場合には被加熱部材における温度差による画像光沢むら等の定着むらを解消することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するため、以下の構成とした。
(1).加熱源により加熱される加熱部材と、この加熱部材を加圧して相互圧接部を形成するための加圧部材を備え、この相互圧接部に被加熱部材を搬送して被加熱部材に熱エネルギーを供給する加熱装置において、前記加圧部材がローラ形状であり、フィルム状シートからなる結晶化グラファイト層を有し、前記フィルム状シートは独立した複数のシートからなり、該複数のシートが、前記ローラ形状の円周方向および軸方向にそれぞれ間隔をあけて複数配置されていることとした(請求項1)。
(2).(1)記載の加熱装置において、前記加圧部材に弾性層を設け、この弾性層の上に前記グラファイト層を形成した(請求項2)。
(3).(1)記載の加熱装置において、前記加圧部材はローラ状をなし、前記結晶化グラファイト層がシームレスな円筒体からなることとした(請求項3)。
(4).(3)記載の加熱装置において、前記結晶化グラファイト層は前記フィルム状シートを重ねた複数層からなることとした(請求項4)。
(5).(1)記載の加熱装置において、前記フィルム状シートの端面突き合わせ部を当該加圧部材の回転軸に対して傾けた(請求項5)。
(6).(1)乃至(5)の何れかに記載の加熱装置において、前記加熱部材は、肉厚が0.8mm以下のパイプ状薄肉ローラとした(請求項6)。
(7).(1)乃至(6)の何れかに記載の加熱装置において、前記加圧部材は、最外層に離型層を有していることとした(請求項7)。
(8).画像を形成担持させた被加熱部材を加熱定着する定着装置を具備した画像形成装置において、(1)乃至(7)の何れかに記載の加熱装置を前記定着装置として用いていることとした(請求項8)。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の加熱装置は、トナー画像を担持させた紙やOHP等のシート状媒体からなる被加熱部材を加熱定着する定着装置に適用することができるほか、シート状被加熱部材を加熱するラミネート装置、紙幣のしわ延ばし装置等に適用することができるが、以下では、定着装置を例にとり説明する。
[1]請求項1、2、3、6、7に対応する例定着装置として用いられている加熱装置について図1(a)、図1(b)を参照しつつ説明する。図1において、加熱装置10は、主に加熱部材としての加熱ローラ1と加圧部材としての加圧ローラ2からなる。
【0018】
加熱ローラ1の内部には加熱源としての加熱部材4が設けられている。加熱部材4としてはハロゲンヒータが使用されている。
【0019】
加熱ローラ1と加圧ローラ2は図示しない不動部材に軸支されて回転自在であり、駆動力伝達部材としてのギヤ3Gを加熱ローラ1と一体的に設けたギヤ3G'に噛み合わせて外部から回転駆動力を与え、加熱ローラ1を回転させるようにしている。
【0020】
図示しないばね等の付勢部材を使用して加熱ローラ1に対して加圧ローラ2を押付ける向きの付勢力が加圧ローラの軸受部に作用するように構成されていて、加圧部材2は加熱部材1を加圧している。
【0021】
加圧ローラ2が加熱ローラ1を加圧している部位を相互圧接部(以下、ニップ部という)Nといい、一定の領域を占めている。
【0022】
加熱ローラ1に回転駆動力が与えられることにより加圧ローラ2はニップ部を介してつれ回りされる。或いは、加圧ローラ2側にもギヤを設けて加熱ローラ1側のギヤ3と噛み合わせて、ニップ部Nにおける両ローラの線速度が常に等しくなるように構成される。
【0023】
後述する画像形成装置の画像形成部でシート状媒体からなる被加熱部材Pの上面には未定着のトナー画像Tが担持される。未定着トナー画像Tを担持した被加熱部材Pは定着装置としての加熱装置10へ向けて搬送されてきて、回転している加熱ローラ1と加圧ローラ2のニップ部Nで狭持搬送され、この挟持搬送の過程で該被加熱部材Pが加熱されて、未定着画像Tが定着される。
【0024】
この定着の過程を詳しくみると、ニップ部Nで加熱ローラ1と加圧ローラ2との間に被加熱部材Pが進入すると、被加熱部材Pの未定着トナー画像面は加熱ローラ1の最外面に密着して、被加熱部材Pの搬送速度とほぼ同一速度で回転するため、画像が乱されることなくニップ部Nで圧力を受けつつ通過する。
【0025】
加熱体4は所定のタイミングで通電及び加熱されるので、トナー画像Tは定着ニップ部Nで熱エネルギーを供給されて加熱され軟化、溶融する。その後、被加熱部材Pは排紙されるが、排紙時にはトナー画像Tのトナーが冷却固化し被加熱部材Pに完全に定着される。
【0026】
加熱ローラ1は薄肉のパイプ状に構成されていて材質にもよるが熱容量が小さいので、昇温開始からトナーの融点(または被加熱部材Pへの定着可能温度)に達するまで短時間で昇温させることができる。
【0027】
例えば、画像形成装置において、省エネ上の規制としてZESM規格があり、この規格におさめるようにするためには、加熱装置の立ち上げ時間を10sec以内に抑えることが要求される。
【0028】
加熱装置への供給電力を1200Wとして、加熱ローラ1の外径が50mmのとき、肉厚を、材質が鉄では0.3mm以下、アルミニウムでは0.5mm以下、ガラスでは0.5mm以下、セラミックでは0.3mm以下とするとき、昇温開始から10sec以内の時間で、加熱ローラの温度を定着に必要な180°Cまで立ち上げることができる。
【0029】
また、加熱装置への供給電力を1200Wとして、加熱ローラ1の外径が30mmのとき、肉厚を、材質が鉄では0.5mm以下、アルミニウムでは0.8mm以下、ガラスでは0.8mm以下、セラミックでは0.5mm以下とするとき、昇温開始から10sec以内の時間で、加熱ローラの温度を定着に必要な180°Cまで立ち上げることができる。そのほか、材質としては、耐熱性樹脂等を全体に使用し、あるいは部分的に使用した構成とすることもできる。いずれにしても、加熱ローラの肉厚は、上記条件のもと少なくとも0.8mm以下の肉厚でZESM規格を満足して十分な昇温効果を得る。
【0030】
加熱ローラ1の最外面を形成する最外層にはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)からなる離型層を形成し、パイプ状の内面には加熱体4からの熱を効率よく吸収できるように黒化処理が施されるが、立ち上げ時間には影響がない。
【0031】
よって、定着動作を行わない待機時でも加熱ローラ1を予め昇温させておくような所謂待機時昇温の必要がなく、省エネルギーを図り、定着装置ひいては画像形成装置の機内昇温を安全範囲におさめることができる。
【0032】
離型層を形成することで加熱ローラ1が被加熱部材Pと剥がれやすくなる。特に画像形成装置として用いられる本例の加熱装置10では、加熱ローラ1が被加熱部材としての紙やOHPなど被加熱部材Pと接触する最外層に離型層を設けることで、トナーTとの離型性を向上し、ホットオフセットを防止する。なお、離型を心配しなくてよい加熱装置においては当然のことながら離型層を形成しない構成でもよい。
【0033】
加熱体4は、加熱ローラ1を加熱してローラ表面温度を所定の温度まで上昇させる。本例では、加熱体4としてハロゲンヒータを使用しているが、特にハロゲンヒータでなければならないという制約はなく、加熱源として加熱ローラ1の表面及び内部に発熱体層を形成して加熱体4に代えることもできるし、或いは、誘導加熱のようにローラ自体を加熱源として発熱させる構成でもかまわない。
【0034】
加圧ローラ2について説明する。加圧ローラ2の基本構成は、中心部に軸芯ローラ201を有し、そのまわりにニップ部Nの幅を確保するための弾性層202を有し、弾性層202の外側に結晶化処理をされた結晶化グラファイト層203を形成している。
【0035】
軸芯ローラ201としては、一般的に、強度及びコストの点からSTKMやSUS等の鉄やアルミニウムの合金等が使用される。弾性層202としてはシリコン系のゴムやフッ素系の耐熱性の高い材料を形成してニップ部Nを十分に確保することができるようになっている。
【0036】
結晶化処理をされた結晶化グラファイト層203は、シート状に形成された結晶化グラファイトをローラ表面に接着層を介して貼りつけて形成することができる。或いはシームレスな円筒体状に形成したものを被せてもよい。結晶化処理されたグラファイト層203は、従来の分散グラファイトシートと異なり、銅よりも高い熱伝導性を有する特徴がある。
【0037】
図1の例のように結晶化グラファイト層203をシームレスな円筒体で構成したときには、シートを丸めて構成する場合のように伝熱が遮断される端面突き合わせ部ができず、端面突き合わせ部で熱移動が妨げられることがないので、加圧ローラ2を介して加熱ローラ1の全体に均等に熱が移動し加熱ローラ1および加圧ローラ2の何れも温度むらが小さくなり、温度ムラの小さい加熱装置を実現することが可能となる。
【0038】
表1に一例として、結晶化グラファイトシート、Fe、Alのおおよその熱伝導率を数値で示す。但し、結晶化グラファイトシートの物性値は松下電器産業株式会社で商品化されているPGSグラファイトシートの値、Fe、Alの物性値については「理科年表」による。
【0039】
【表1】
【0040】
表1に示したとおり、結晶化グラファイトシートは鉄やアルミニウムに比べて熱伝導性がきわめて高い。従来の熱伝導率の低いシリコンゴムを用いた加圧ローラでは非通紙部の温度が上昇しても通紙部へ熱が移動しにくいため、非通紙部昇温が発生しやすい問題があったが、本例のように結晶化グラファイト層203を形成することで加圧ローラについて、軸方向への熱の移動がスムーズになり、ニップ部Nを介して加熱ローラ1についても通紙部と非通紙部間での温度差を平均化することが可能となる。また、金属より柔軟性が高いため、ニップ部の幅を確保しやすい。
【0041】
前記したように主としてZESM規格の要請から加熱ローラ1の肉厚を0.8mm以下の薄い肉厚とし、画像形成装置の立ち上げ時間を10sec以下にしたときに、被加熱部材Pにより熱が奪われない非通紙部について通紙部に比べて温度が上昇してしまう所謂非通紙部昇温の問題が生ずるが、本例のように加熱ローラと、結晶化グラファイト層を有する加圧ローラと組み合わせることで、ZESM規格を満足しつつ、非通紙部の異常昇温の問題を解消することができる。
【0042】
通紙速度が低速な装置では、伝熱の時間が確保されるため一般的に非通紙部昇温の問題は生じにくいが、加熱ローラ1の肉厚が0.8mm以下と薄くなり、熱容量が小さくなると低速機でも非通紙部昇温は問題化する。しかし、本例のように、加圧ローラ2に結晶化グラファイト層203を形成することで、低速機における非通紙部昇温の問題も解消することができる。
【0043】
ここで、結晶化グラファイトをシームレスな円筒状に形成して弾性層204の外側に被せた構成とした場合には、結晶化グラファイトシート層が筒状で連続した状態となっていて、シート状のものを巻き付ける場合のように端面同士を突き合わせた端面突き合わせ部ができない。端面突き合わせ部では、その部分で熱移動が妨げられるが、シームレスな円筒状ではそのようなことがないので、加熱ローラ2の周面全体に均等に熱が移動し、温度むらの小さい加熱装置を実現することが可能となる。
【0044】
なお、結晶化グラファイト層203は図1及び図2(a)に示すように必ず加圧ローラ2の最外面に形成しなければならないわけではなく、図2(b)に示すように結晶化グラファイト層203のさらに外側の外層部を離型層204で覆う構成とすることもできる。
【0045】
また、図2(c)に示すように、結晶化グラファイト層203の上にさらに弾性層202'を形成すれば、ニップ部を確保するのが容易となるが、その反面、弾性層のために、結晶化グラファイト層203まで熱が移動しにくく非通紙部の温度が低減し難くなる。
【0046】
本例では、一般的には熱伝導率の悪い弾性層203の上に結晶化グラファイト層203を形成し、弾性層によりニップ部を確保すると共に、結晶化グラファイト層の良好な熱伝導により非通紙部の異常昇温を防止した。
【0047】
図2(b)に示す例では、外径約20mmの軸芯201の外側に厚さ約5mmのシリコンゴムからなる弾性層202を形成し、さらに結晶化グラファイトシートを弾性層202上に巻き付けて結晶化グラファイト層203を形成し、この上からさらにPFA(フッ素樹脂)チューブで離型層204を形成している。
【0048】
離型層204としては、PTFEやPFAといったフッ素樹脂系のコート層やシリコンゴム層等を用いる。このように、加圧ローラ2の最外層に離型層204を形成することで、加圧ローラ2からの被加熱部材Pの分離が良好となる。
【0049】
加圧ローラ2と組み合わせて使用される加熱部材としては、加熱ローラ1のようにローラ形状に限らず、例えば図3に示すようにエンドレスベルト状に構成したフィルム12を加熱部材とすることもできる。
【0050】
フィルム12を支持ローラ13、14及び矩形ブロック状の加熱体4のまわりに巻き回し、加熱体4にフィルム12を介して加圧ローラ2を圧接させ。このフィルム12と加圧ローラ4との相互圧接部(ニップ部)Nに通紙を行なうようにして加熱装置10'を構成する。
【0051】
この加熱装置10'では、支持ローラ13、14の何れかを駆動ローラとしてフィルム12を矢印の向きに回転させ、ニップ部4に被加熱部材P供給して、図1の例と同様、被加熱部材Pを定着することができる。この加熱装置10'はフィルム定着方式の定着装置を構成する。この加熱装置10'においても、加圧ローラについて本発明が適用される。
【0052】
上記加熱ローラ1及び加圧ローラ2からなる加熱装置10に実際に被加熱部材PとしてA4サイズの用紙を通紙することによりニップ部Nにおける非通紙部昇温の改善の程度を以下の通り確認した。
【0053】
被加熱部材Pである用紙の紙送り速度を約120mm/secとし、A4サイズの用紙の狭い幅(210mm)方向を加圧ローラ2の軸方向と平行に設定してセンタ基準で搬送する方法とした。この場合、ニップ部Nにおける加圧ローラ2の軸方向での長さを210mmよりも十分に大きくし、通紙部と非通紙部ができるようにし、加熱ローラ1の温度は、通紙部に対応した位置で180°Cとなるように加熱体4の温度を制御した。
【0054】
この条件のもとで、従来技術のように結晶化グラファイト層を設けない加熱ローラを使用した場合と、結晶化グラファイト層を設けた加熱ローラとで、それぞれ、用紙を50枚通紙した時点での通紙部と非通紙部に対応する加熱ローラ1の温度を比較した。
【0055】
従来技術のように結晶化グラファイト層を設けない加熱ローラを使用した場合には、非通紙部では熱が吸収されないため温度が上昇し、加熱ローラの非通紙部温度に対応する温度は約240°Cまで上昇していた。このグラファイト層を形成しない実験では、トナー画像Tを形成せず白紙を用いたが、仮に未定着像が形成された用紙を非通紙部に通したとすれば、230°Cを越えているから、ホットオフセットを生じたはずである。
【0056】
これに対して、表面に結晶化グラファイト層203を形成した加熱ローラ2を使用した場合には、加熱ローラ2の非通紙部に対応する温度は約220°Cであり、上記、従来技術における場合と比べて約20°Cも温度が低減された。220°Cはオフセットしない温度領域であり、本発明によりオフセットしない領域にまで温度が低減されたことになる。
【0057】
本例のように、加熱ローラ2に結晶化グラファイト層203を設けたことにより、結晶化グラファイトの熱伝導率がよいため被加熱部材Pに対する加熱部(ニップ部N)の温度むらを低減することができた。
【0058】
つまり、通紙部と非通紙部の温度差が緩和され、非通紙部昇温等の問題の解決を図ることができ、また、温度むらによる定着画像の画像劣化を防止して高品質な画像を得ることができた。
【0059】
本発明のように構成せず、加圧ローラ長手方向の温度を平均化するために熱伝導度の高い金属を用いた場合には、金属の熱容量が大きいため加圧ローラ温度が上がらず定着ローラの温度も上がりにくい。このため、昇温時間が増大する。
【0060】
この点、熱容量が小さく熱伝導率の高い結晶化グラファイト層を形成することで、昇温時間が短く非通紙部昇温の問題がない加熱装置を構成し、定着装置として用いることができた。
[2]請求項4に対応する例
例1.図1(a)、(b)に示したように加圧ローラ2の結晶化グラファイトシート層203をシームレスな円筒状に形成したときには、端面突き合わせ部を生じないので伝熱特性は高いが、シームレスな円筒状に形成する工程自身が困難である上、基体ローラ内面にきちんと接合させるため高い成型精度が必要であり、コストの上昇が避けられない。また、ローラ径と結晶化グラファイトシートの径とに差があると結晶化グラファイトシートがローラから浮いてしまうことがある。
【0061】
そこで、本例では図4に示すように、一枚のフィルム状の結晶化グラファイトシート203−1を用い、このシートを弾性層203の外径に沿わせて丸め、両端部を突き合わせる構成とする。図中、矢印で示した部位は端面突き合わせ部を示し、これら端面の間隔は開いていてもよい。また、端面同士を突き当たる構成でもよい。但し、一方の端面部を他方の端面部に重ねると段差ができてしまい被加熱体に対して何らかのむらを与えてしまうので避ける。
【0062】
或いは、図5に示すように、2つのフィルム状の結晶化グラファイトシート203−1A、203−1Bを用い、これらのシートを弾性層203の外径に沿わせて丸め、互いの端部を突き合わせる構成とすることもできる。
【0063】
図中、矢印で示した部位は端面突き合わせ部を示し、これら端面同士の間隔は弾性層203の熱膨張の影響を考慮して少しあけておくのが好ましい。また、端面同士を突き当てた構成でもよい。但し、この場合も一方の端面部を他方の端面部に重ねる構成は段差ができてしまい、被加熱体に対して物理的なむらや、熱的なむらを与えてしまうので避ける。上記図4、図5の何れの例の場合も、弾性層203との接触面部は接着材で貼り付ける。
【0064】
本例によれば、非通紙部の異常昇温が発生しにくい構成において、結晶化グラファイト層の形成を容易に行なうことができ、シームレスなシートを使用する場合に発生した上記の諸問題、加圧ローラに対する高い成型精度、コストの上昇、ローラ径とシームレスシート径との径差に起因して結晶化グラファイトシートがローラから浮く、等の問題を解消することができる。また、熱膨張率の大きな弾性体を用いたときでも外径の変化に対して追従が可能であり破れなどの問題を解決できる。
例2.
上記図4、図5等に示した例のように、結晶化グラファイトのシートを1枚或いは2枚、弾性層202の外周に巻き付けて端面を突き合わせる構成だと、加圧ローラ2の熱膨張の大きさによっては一個所の端面突き合わせ部だけでは外周の寸法変化を吸収できず、他の部分にまで影響が及んで繰り返し昇温と温度低下を繰り返すとシートの位置がずれてきたりシートが破壊されるおそれがある。また、これまでの結晶化グラファイト層203の形成は、弾性体202からなるローラのほぼ全面を覆う形で結晶化グラファイトのシートを使用していたが、シートの使用量が多くなるのでコストがやや高くなっていた。
【0065】
このため、繰り返し昇温と温度低下に耐え、シートの使用量も節約でき低コストな加圧ローラを実現するため、独立した複数のフィルム状結晶化グラファイトのシートを加圧ローラの周面上、間隔をあけて複数配置することとした。
【0066】
図6に示す例では、短冊状の結晶化グラファイトシート203−3A、203−3B、203−3C等を加圧ローラ2の軸方向にその長手方向を沿わせて、かつ、円周方向に間隔d=約10mmの間隔をあけて円周面全体に貼り付けている。図示していないが、加圧ローラ2の裏面側にも短冊状の結晶化グラファイトシートが貼り付けられている。
【0067】
図6に示すように、加圧ローラ2の周面であって、加熱ローラ1から結晶化グラファイトシートがない部分に供給される熱は小さい矢印で示すように一旦、加圧ローラ2の円周方向にグラファイトシートに移動した後、大きい矢印で示すように該加圧ローラ2の軸方向(長手方向)に移動する。このため、軸方向での温度分布が均一化され、非通紙部昇温を低減することができる。
【0068】
図7に示す例では、見かけ上、図6における各結晶化グラファイトシート203―3Aは結晶化グラファイトシート203−3A1と203−3A2に、結晶化グラファイトシート203―3Bは結晶化グラファイトシート203−3B1と203−3B2に、結晶化グラファイトシート203―3Cは結晶化グラファイトシート203−3C1と203−3C2に、それぞれ中央から分割されたような構成になっている。
【0069】
画像形成装置において、所謂センタ基準の定着装置では、図7に示したように、被加熱部材Pは加圧ローラ2の中央部を通過するので、通紙幅の両端部は非通紙部となり昇温の危険性がある。しかし、本例のように非通紙部に結晶化グラファイトシートが及ぶ配置としているので、非通紙部と通紙部とで熱の伝導が速やかになされ、非通紙部の異常昇温の問題は生じない。図6の例においても同様である。
【0070】
特に図7に示した構成では、加圧ローラ2の軸方向で各結晶化グラファイトシートを複数の部分に分ける構成とすることで、加圧ローラ2の軸方向での熱膨張を吸収でき、さらに結晶化グラファイトシートの使用面積を低減し、コスト低減が可能となる。図7における矢印は熱の流れの向きを示す。
例3.
加熱ローラ2に設ける結晶化グラファイト層は上記フィルム状シートを重ねた複数層からなる構成とすることができる。図2(d)はその例を示したもので、弾性層202の外側に2層にわたり結晶化グラファイトシート203−1、203−1'を設け、その外側を離型層204で覆っている。或いは3層以上とすることも可能である。複数層に設けるには、例えば、図4に示した構成のシートを或いは、図5に示したシートを多層に構成する。或いは、以下に説明する結晶化グラファイトシートの例について複数層設ける構成とすることもできる。
【0071】
被加熱部材が高速で送られる高速な機種では非通紙部の温度上昇も大きくなり、結晶化グラファイト層が1層だけでは温度上昇の低減効果が追いつきにくい。そのような場合でも図2(d)に示すように2層或いは多層とすることにより、グラファイト層の断面積が増えるため、少なくとも加熱ローラ2の軸方向での熱流量を増やすことができ、非通紙部における異常昇温の問題を解消することができる。
[3]請求項5
前記図4で説明した例では、フィルム状結晶化グラファイトシート203−1の端面突き合わせ部15が加圧ローラ2の回転軸O―Oと平行であった。本例では、図8に示すように、フィルム状結晶化グラファイトシート203−1の端面突き合わせ部16が加圧ローラ2の回転軸O−Oに対して傾けてある。つまり、端面突き合わせ部をローラに巻き回した如き態様とする。
【0072】
図4に示した例では、単純に結晶化グラファイトシート203−1を丸めて両端部を突き合わせている。このように加圧ローラ2を構成した場合、端面突き合わせ部15が加熱ローラ1に接触する前後で温度分布が大きく変化して、定着むらを生ずる可能性がある。
【0073】
定着むらの原因は次のように考えられる。図9(a)には、図4に示したように端面突き合わせ部15が回転軸O―Oと平行であるときの加圧ローラを模視的に示している。図9(a)において、加圧ローラ2は矢印の向きに回転していて、端面付き合わせ部15が回転方向上、ハッチングで示すニップ部Nの少し上流側の位置にある。ニップ部Nの入口側端部(回転方向上流側端部)の軸方向ラインを符号17で示す。
【0074】
端面突き合わせ部15では、シートの連続性がが断絶しているため、熱伝導性が悪い。このため、ニップ部からの熱は端面突き合わせ部15で伝熱が遮断される。このため、端面突き合わせ部15とライン17との間の領域で、白抜きの矢印で示すようにニップ部からの熱エネルギーが蓄積され、この領域での温度が図9(b)に符号(17〜15)で示すように高いレベルになる。
【0075】
これに対して、端面突き合わせ部15の近傍であって、該端面突き合わせ部15よりも回転方向上流の位置では、端面突き合わせ部15でニップ部からの熱が遮断されているため、細い矢印で示すように小さい熱エネルギーが分散放熱されるにすぎず、温度は、図9(b)に符号(15〜)で示すように低いレベルに留まる。
【0076】
このように、端面突き合わせ部15とライン17との間の領域での温度との温度差はΔ2である。つまり、端面突き合わせ部15を境として回転方向上流側と下流側とではΔ2の温度差がある。このような温度差をほぼ維持しながら、加圧ローラ2は回転していくものと考えられる。
【0077】
従って、加圧ローラ2の回転が進み、端面突き合わせ部15がニップ部を通過するとき、この端面突き合わせ部15を境として存在するΔ2の温度差が被加熱部材Pに反映され、定着むらを生ずるものと考えられる。
【0078】
これに対して、図8に示すように、端面突き合わせ部16を加圧ローラ2の回転軸O−Oに対して傾けた構成とした場合には、同じ条件でも定着むらは生じない。定着むらが生じない理由は次のように考えられる。
【0079】
図10(a)には、図8に示したように端面突き合わせ部16が回転軸O―Oに対して傾いているときの加圧ローラ2を模視的に示している。図10(a)において、加圧ローラ2は矢印の向きに回転していて、端面付き合わせ部16の中央部が回転方向上、ハッチングで示すニップ部Nと交差した位置にある。ニップ部Nの入口側端部(回転方向上流側端部)よりも僅かに上流側の加圧ローラ上での軸方向ラインを符号17'で示す。
【0080】
端面突き合わせ部16では、シートの連続性が断絶しているため熱伝導性が悪いことは、図9(a)における場合と同じである。しかし、端面突き合わせ部16が回転軸O―Oに対して傾いていることにより、ライン17'上での温度分布は図10(b)に符号(17')で示すようになる。
【0081】
温度分布(17')では、端面突き合わせ部16とライン17'との交差点Qよりも僅かに左寄りの部位で温度のピークYが現われ、ライン17'上、ピークYに対応する部位より右側領域での温度との温度差はΔ1となる。つまり、ライン17'上、ピークYに対応する部位より右側では、図10(a)に白抜きの大きい矢印で示すように大きな熱流でニップ部の熱エネルギーは拡散するのに対し、ピークYに対応する部位ではニップ部から端面突き合わせ部16までの距離が小さいためにニップ部の熱エネルギーが蓄えられて温度上昇し、ピークYをなしている。
【0082】
ライン17'上、ピークYの部位から左へいくに従い、端面突き合わせ部16までの距離が開くため、温度は低下する。およそこのような理由で、符号(17')の温度分布となる。
【0083】
ライン17'よりも僅かに回転方向上流側の部位における軸方向ラインを符号18で示す。このライン18は加圧ローラ2の回転が進むことにより、やがてニップ部に至るラインである。このライン18と端面突き合わせ部16との交差点を符号Rで示す。
【0084】
ライン18上での温度分布は、図10(b)に符号(18)で示すように交差点Rに対応した位置で低下している。
【0085】
図10(a)において、加圧ローラ2上でニップ部Nから十分に離れた部位の任意の軸方向ラインを符号19で示す。このライン19上における温度分布は図10(b)に符号(19)で示すように、低いレベルでの一定の温度分布となる。
【0086】
図10(a)に示す加圧ローラ2の回転が進むにつれて、交差点Qは左方に移動していく。そして、この移動に伴ない、図10(b)で示す温度分布も同じ波形を保持したまま左方に移動していく。時間を遡れば、同じ温度分布は右方にも存在していたことになる。
【0087】
例えば、加圧ローラ2の回転が進み、交差点Rがニップ部の直前位置にきたときの温度分布は図10(c)に符号(20)で示すようになる。同じことを別の表現をすれば、図10(a)における交差点Rに対応する位置での温度分布を図10(b)に符号30で示せば、温度分布30図11の(イ)に相当し、加圧ローラ2の回転が進行することにより図11の(イ)、(ロ)、(ハ)の順で変位して図10(c)に符号31で示すような分布になる。
【0088】
ここで、回転軸O―Oに対して傾いた端面突き合わせ部16である加圧ローラ2について、この端面突き合わせ部16がニップ部を通過する際における温度変化の最大値はΔ1である。そして、このΔ1の大きさは、図9における加圧ローラ2について端面突き合わせ部15がニップ部を通過する際における温度変化Δ2よりも常に小さい。それは、図9における加圧ローラ2の構成では、端面突き合わせ部15が一時にニップ部を通過する構成による。
【0089】
このように、端面突き合わせ部16が回転軸O―Oに対して傾いた構成では、加圧ローラ2の表面部の温度分布は、温度差が小さく、定着むらを生じさせない。
【0090】
定着装置以外に使用する加熱装置においても、被加熱部材に対する温度変化が小さい本例の構成の方が有利であることは勿論である。
[6]請求項8に対応する例
画像を形成担持させた被加熱部材を加熱定着する定着装置を具備した画像形成装置の例を説明する。
【0091】
図12は、デジタル式の画像形成装置の主要部断面示す。図12において、符号41は回転体からなる像担持体の一例であってドラム状をした感光体を示している。この感光体41のまわりには、矢印で示す時計回りの向きの回転方向順に、帯電ローラからなる帯電装置2、露光手段の一部を構成するミラー3、現像ローラ44aを具備した現像手段44、被加熱部材(記録媒体)Pとしての転写紙を保持して搬送する転写搬送ベルト45、感光体41の周面に摺接するブレード46aを具備したクリーニング手段46などが配置されている。感光体41上であって帯電装置42と現像ローラ44aとの間の位置にはミラー43を介して露光光Lbが走査されるようになっている。この露光光Lbの照射位置を露光部150と称する。
【0092】
転写搬送ベルト45は無端状のベルトであって、2つの支持ローラ45a、45bに支持されている。これら支持ローラ45a、45bにより支持された転写搬送ベルト45の中間の位置には感光体41の下面が接している。この接している部位が転写部47であり、この転写部47における転写搬送ベルト45の裏側には転写バイアスを印加する転写手段としての転写ローラ48が設けられている。
【0093】
転写搬送ベルト45は矢印で示すように反時計回りの向きに回転駆動されるようになっている。該転写搬送ベルト45の上側ベルト部の上流端のさらに上流側の位置には一対のレジストローラ49が設けられている。このレジストローラ49に向けて、図示しない搬送ガイドに案内されて図示しない給紙トレイに収納された被加熱部材Pが給紙コロ110から送り出されるようになっている。転写搬送ベルト45の上側ベルト部の下流端のさらに下流の位置には、定着装置10が配置されている。
【0094】
転写搬送ベルト45の上側ベルト部の上流端部において該転写搬送ベルト45を支持している支持ローラ45aの上方には、該転写搬送ベルト45に当接するようにして吸着手段としてのブラシローラ200が矢印で示す時計回りの向きに回転駆動されるようにして設けられている。
【0095】
ブラシローラ200が回転すると、ブラシは転写搬送ベルト45に摺接する。このブラシローラ200には図示しないバイアス印加手段により、被加熱部材Pを転写搬送ベルト45に吸着する極性のバイアス電流を印加するための電位が与えられるようになっている。
【0096】
この画像形成装置において、画像形成は次のようにして行われる。
感光体41が回転を始め、この回転中に感光体41が暗中において帯電装置42により均一に帯電され、露光光Lbが露光部150に照射、走査されて作成すべき画像に対応した潜像が形成される。この潜像は感光体41の回転により現像装置44に至り、ここでトナーにより可視像化されてトナー像が形成される。
【0097】
一方、給紙コロ110により給紙トレイ上の被加熱部材Pの送給が開始され、破線で示す搬送経路を経て一対のレジストローラ49の位置で一旦停止し、感光体41上のトナー像と転写部7で合致するように送り出しのタイミングを待つ。かかる好適なタイミングが到来するとレジストローラ49に停止していた被加熱部材Pはレジストローラ49から送り出される。
【0098】
レジストローラ49から送り出された被加熱部材Pは転写搬送ベルト45とブラシローラ200との間にくわえられ、バイアスによる静電気力およびブラシの弾性力により押されて転写搬送ベルト45に吸着され、転写搬送ベルト45の移動と共に転写部47に向けて搬送される。
【0099】
感光体41上のトナー像と被加熱部材Pとは、転写部47で合致し、転写ローラ48により転写搬送ベルト45に印加されたバイアスと感光体41との電位差から形成される電界により、トナー像は被加熱部材P上に転写される。
【0100】
こうして感光体41まわりの画像形成部でトナー像を担持した被加熱部材Pは転写搬送ベルト45と共に搬送され、やがて該転写搬送ベルト45の上側部の下流端部で転写搬送ベルト45から分離されて定着装置10に向けて送り出される。被加熱部材P上のトナー像は定着装置10を通過する間に当該被加熱部材Pに定着されて図示省略の排紙部に排紙される。
【0101】
一方、転写部47で転写されずに感光体41上に残った残留トナーは感光体41の回転と共にクリーニング装置46に至り、該クリーニング装置46を通過する間に清掃されて次の画像形成に備えられる。
【0102】
本例のように、加熱装置10を定着装置に適用することで、加熱ローラの温度ムラが少なくなり、連続通紙時にも非通紙部昇温を低減し、ホットオフセットが発生しにくく画像品質の高い定着装置を提供することが可能となる。
【0103】
【発明の効果】
請求項1記載の発明では、フィルム状シートからなる結晶グラファイト層を、ローラ形状をした加圧部材の円周方向及び軸方向に間隔をあけて複数配置したので該加圧部材の軸方向での温度分布が均一化され非通紙部昇温を低減できると共に、加圧部材の軸方向での熱膨張を吸収することができる。
【0104】
請求項2記載の発明では、弾性層によりニップ部を容易に形成し、結晶化グラファイト層の良好な熱伝導による非通紙部の異常昇温を防止することができた。
【0105】
請求項3記載の発明では、結晶化グラファイト層がシームレスな円筒体からなるので、シート状のものを巻き付ける場合のように伝熱を遮断する端面突き合わせ部ができず、端面突き合わせ部で熱移動が妨げられることがないので、加圧部材を介して加熱部材の全体に均等に熱が移動し温度むらの小さい加熱装置を実現することが可能となる。また、均一にシートが形成されているため、ローラ面全体に均等に熱が移動でき温度むらの小さい加熱装置を実現することが可能である。
【0108】
請求項4記載の発明では、被加熱部材を高速で送る高速加熱装置の場合には非通紙部の温度上昇も大きくなるが、その場合でも、結晶化グラファイト層の断面積が増えるため、熱流量を増やすことができ、非通紙部における異常昇温の問題を解消することができる。
【0109】
請求項5記載の発明では、端面突き合わせ部がニップ部を通過する際の温度変化が小さくなるので、被加熱部材に対する加熱が一定であり、良好な加熱効果が得られる。定着装置として使用する場合には、定着むらを生じない。
【0110】
請求項6記載の発明では、立ち上げ時間を短縮できる肉厚の薄い加熱ローラであっても、非通紙部昇温の問題を解消できる。請求項9記載の発明では、加圧部材からの被加熱部材の分離が良好となる。
【0111】
請求項8記載の発明では、加熱装置を定着装置に適用することで、加熱ローラの温度ムラが少なくなり、連続通紙時にも非通紙部昇温を低減し、ホットオフセットが発生しにくく画像品質の高い定着装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は定着装置の断面図、図1(b)は定着装置の正面図である。
【図2】図2(a)、図2(b)、図2(c)、図2(d)はそれぞれ加圧ローラの断面図である。
【図3】図3は加熱部材をフィルム状に構成したときの定着装置の断面図である。
【図4】シート状に形成した結晶化グラファイトの斜視図である。
【図5】シート状に形成した結晶化グラファイトの斜視図である。
【図6】加圧ローラの斜視図である。
【図7】加圧ローラの斜視図である。
【図8】シート状に形成した結晶化グラファイトの斜視図である。
【図9】図9(a)は加熱ローラの斜視図、図9(b)は加熱ローラの温度分布図である。
【図10】図10(a)は加熱ローラの斜視図、図10(b)、図10(c)はそれぞれ加熱ローラの温度分布図である。
【図11】加熱ローラの温度分布の時間経過による変化を示した図である。
【図12】画像形成装置の構成図である。
【符号の説明】
1 (加熱部材としての)加熱ローラ
2 (加圧部材としての)加圧ローラ
Claims (8)
- 加熱源により加熱される加熱部材と、この加熱部材を加圧して相互圧接部を形成するための加圧部材を備え、この相互圧接部に被加熱部材を搬送して被加熱部材に熱エネルギーを供給する加熱装置において、
前記加圧部材がローラ形状であり、フィルム状シートからなる結晶化グラファイト層を有し、前記フィルム状シートは独立した複数のシートからなり、該複数のシートが、前記ローラ形状の円周方向および軸方向にそれぞれ間隔をあけて複数配置されていることを特徴とする加熱装置。 - 請求項1記載の加熱装置において、前記加圧部材は弾性層を有し、この弾性層の上に前記グラファイト層が形成されていることを特徴とする加熱装置。
- 請求項1記載の加熱装置において、前記加圧部材はローラ状をなし、前記結晶化グラファイト層がシームレスな円筒体からなることを特徴とする加熱装置。
- 請求項1記載の加熱装置において、前記結晶化グラファイト層は前記フィルム状シートを重ねた複数層からなることを特徴とする加熱装置。
- 請求項1記載の加熱装置において、前記フィルム状シートの端面突き合わせ部が当該加圧部材の回転軸に対して傾いていることを特徴とする加熱装置。
- 請求項1乃至5の何れかに記載の加熱装置において、前記加熱部材は、肉厚が0.8mm以下のパイプ状薄肉ローラであることを特徴とする加熱装置。
- 請求項1乃至6の何れかに記載の加熱装置において、前記加圧部材は、最外層に離型層を有していることを特徴とする加熱装置。
- 画像を形成担持させた被加熱部材を加熱定着する定着装置を具備した画像形成装置において、請求項1乃至7の何れかに記載の加熱装置を前記定着装置として用いていることを特徴とする画像形成装置。
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