JP2004234951A - 加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱ローラでは十分なニップ幅が得られない高速加熱を行う場合に、ベルトによって十分な加熱時間を確保しつつ良好な排紙性を得ることができるようにしたものである。
【解決手段】複数のローラ間に張架され熱源により加熱されるベルトと、上記ベルトを介して上記ローラに対向して設けられた加圧ローラとを有し、被加熱材を上記ベルトと加圧ローラの間で挟持・搬送して加熱を行う加熱装置において、上記ベルトは少なくとも弾性層と表層を備え、上記ローラ表面の硬度を上記ベルトの表面硬度よりも高くしたものである。
【選択図】 図1
【解決手段】複数のローラ間に張架され熱源により加熱されるベルトと、上記ベルトを介して上記ローラに対向して設けられた加圧ローラとを有し、被加熱材を上記ベルトと加圧ローラの間で挟持・搬送して加熱を行う加熱装置において、上記ベルトは少なくとも弾性層と表層を備え、上記ローラ表面の硬度を上記ベルトの表面硬度よりも高くしたものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙等の被加熱材を加圧・加熱処理する加熱装置、前記加熱装置を適用して記録材に形成担持させた未定着画像を該記録材に加熱定着処理する定着装置、および前記定着装置を具備した電子写真方式・静電記録方式による複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記画像形成装置には、記録媒体である記録紙ないし転写材などの記録材(以下、シートと称する)上に直接的または間接的に形成されたトナー像を該シートに加熱定着させる定着装置が設けられている。この定着装置は、例えば、シート上のトナーを熱溶融させる加熱ローラとも指称される定着ローラと、当該定着ローラに圧接してシートを挟持する加圧ローラとを有している。
【0003】
定着ローラは中空状に形成され、この定着ローラの内部の中心軸上には、発熱体が保持手段により保持されている。この発熱体は、例えば、ハロゲンランプなどの管状発熱ヒータより構成され、所定の電圧が印加されることにより発熱するものである。このハロゲンランプは定着ローラの中心軸上に位置しているため、ハロゲンランプから発せられた熱は定着ローラ内壁に均一に輻射され、定着ローラの外壁の温度分布は円周方向において均一となる。定着ローラの外壁は、その温度が定着に適した温度(例えば、150〜200℃)になるまで加熱される。
【0004】
この状態で定着ローラと加圧ローラは圧接しながら互いに逆方向へ回転し、トナーが付着したシートを挟持搬送する。定着ローラと加圧ローラとの圧接部(以下、ニップ部ともいう)において、シート上のトナーは定着ローラの熱により溶解し、加圧ローラから作用する圧力によりシートに定着される。特にカラートナーを定着する定着装置においては、各色トナーを十分に融解混色するとともにシートが定着ローラに巻きつくことなく排紙する必要があるために、定着ローラおよび加圧ローラには肉厚の弾性層を設け、弾性層の変形によって十分なニップ部幅と、良好な排紙性能を得ることが必要である。
【0005】
しかし、ハロゲンランプなどから構成される発熱体を備えた上記定着装置においては、定着ローラ内部に配置されたハロゲンランプからの輻射熱を利用して定着ローラ芯金の内面を加熱し、芯金から弾性層を経て定着ローラ表面に熱が伝えているが、厚肉の弾性層は熱伝導性が悪く、定着ローラ芯金と弾性層の界面の温度は表面の温度に比べて高温になる。このため、芯金界面の弾性層が高温状態で連続使用されると、弾性体が硬化劣化や液状化を引き起こし寿命が短くなってしまう。さらにこれらの現象は、高速定着を行う定着装置においてはより顕著になる。
【0006】
かかる要請に応える装置として、定着ベルトと加熱ローラを用いたベルト定着装置が提案されている。図8にこのベルト定着装置の断面図を示したもので、このベルト定着装置では薄肉低熱容量の定着ベルト100を加熱ローラ101に巻きつける事で加熱し、加熱された定着ベルト100は定着ローラ102と加圧ローラ103とによって形成されたニップ部でシートを加熱し、このシート上に形成された未定着画像を該シートに加熱定着する(例えば、特許文献1等を参照)。
【0007】
このような構成においては、厚肉弾性層の内面から熱を伝えるのではなく、表面近傍の定着ベルト100が加熱された状態でニップ部に搬送されているので、定着ローラ弾性層を形成する弾性体の硬化劣化や液状化現象を防止することが可能となる。
【0008】
また定着ローラ102および加圧ローラ103の弾性層の厚み、硬度によってニップ形状を上凸形状とする事が可能であるために良好な排紙性を得ることができる。
【0009】
更に熱ローラ定着方式よりも定着ローラ弾性層の厚みや硬度を自由に選択できるので、シートを定着ベルト100と加圧ローラ103で挟む領域(ニップ部)の幅を広く取ることが可能となり、十分な定着性能を得ることが可能となる。
【特許文献1】
特開平11−282293号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなベルト定着装置にあっても、毎分50枚以上の高速定着を行う場合や厚紙を高速連続定着する場合には、ベルトの回転速度が高速化するためにニップ部内を通過するシート通過時間が短くなり、定着に必要な熱量をシートに与える事が困難となってくる。
【0011】
特に多量のトナーが乗っているカラー画像を定着する定着装置においては熱量不足がより顕著となる。そのため、ニップ部内を通過するシート通過時間を十分長くするためには、ニップ部を広く取ことが必要となってくるのであるが、ニップ部を広く取るためには、ベルトを挟む定着ローラと加圧ローラの弾性層の硬度を落すことやローラ径を大径化することが考えられる。しかし、ローラ径を大径化すれば装置が大型化し、放熱面積が増えるためエネルギーの無駄使いとなってしまう。
【0012】
一方、加圧ローラの硬度を下げる事でニップ部幅を広げる場合であっても、加圧ローラが凹状に変形し排紙方向が上をむいてしまうために、薄紙はベルトに巻きつきジャムが発生する。また、定着ローラの硬度を落してニップ部幅を広げる構成においても、ニップ部出口で弾性層がベルトの張力に負けて上流上向きに変形してしまい、結果として下方排紙性が悪くなり、薄紙の分離性が改善されない。
【0013】
本発明は上記のように熱ローラでは十分なニップ部幅が得られない高速加熱を行う場合に、ベルトによって十分な加熱時間を確保しつつ良好な排紙性を得ることができる加熱装置、この加熱装置を用して未定着画像を記録材に定着する定着装置、この定着装置を適用した画像形成装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ローラと、熱源を有する加熱ローラと、上記ローラと上記加熱ローラ間に張架された無端状のベルトと、上記ベルトを介して上記ローラに対向して設けられた加圧ローラとを有し、被加熱材を上記ベルトと加圧ローラの間で挟持・搬送して加熱を行う加熱装置において、上記ベルトは少なくとも弾性層と表層を備え、上記ローラ表面の硬度を上記ベルトの表面硬度よりも高くすることにより、前述の目的を達成するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、実施の一形態を図面に基づいて詳細に説明するが、本発明はこの実施の一形態によって何ら限定されるものではない。
【0016】
<第一実施例>
図1は本発明の加熱装置をベルト定着装置として示した構成図であり、このベルト定着装置は画像形成装置(カラー複写機を含む)の作像プロセスを担当する画像形成部に装備される。ここで、画像形成装置(以後、単に複写機と称す)は、図2の概要図に示すように、プリンタ本体(画像形成装置本体)内には、レーザスキャナ20、印字プロセスユニット25、転写ローラ26、定着器40、搬送ローラ対28、給紙カセット30と給紙ローラ(ピックアップローラを含む)31等が設置されている。上記印字プロセスユニット25には感光ドラム21と、一次帯電器22と、現像ローラ23とが一体的に組み付けられており、プリンタ本体に対して着脱可能に設けられている。
【0017】
給紙カセット30内に積載収納されたシート状の記録材Pは、反時計方向に回転する給紙ローラ31により給送され、搬送ガイド32に導かれて搬送ローラ対28のニップ部へ送られる。次いで、記録材Pは搬送ローラ対28によって感光ドラム21、転写ローラ26の間に送られる。
【0018】
感光ドラム21は時計方向に回転しており、その外周面は一次帯電器22で均一に帯電されている。そして、その外周面には、レーザスキャナ20のレーザ光Lにより静電潜像が順次形成され、続いてその静電潜像が現像ローラ23で現像され、トナー像が形成される。感光ドラム21と転写ローラ26との間に送られた記録材Pには、感光ドラム21上のトナー像が転写ローラ26より順次転写される。
【0019】
このようにしてトナー像が転写された記録材Pは定着器40へ送られ、ここで加熱、加圧されてトナー像が記録材Pに定着する。この後、記録材Pは定着排紙ローラ対50により排紙ローラ51へ送られ、次いで排紙ローラ51によりプリンタ本体上面の排紙トレイ60上に排紙される。
【0020】
図1のベルト定着装置における定着ベルト1は、定着ローラ3と加熱ローラ2とニップ部ローラ7に掛け渡され、厚さ50μmからなるポリイミドの基層上に厚さ2.0mmのシリコンゴム層を有している。この定着ベルト1の弾性層の厚みはシート上の未定着トナーと定着ベルト1との接着力を下げるために、ある程度の厚みが必要であり(詳しくは比較実施例を用いて後述することにするが)0.5mm以下の場合には排紙性能が悪く、本発明の効果が得られず、弾性層の厚みが5.0mm以上の場合には排紙性能に大きな差が得れなかった。そのため、定着ベルト弾性層の厚みは0.5〜5.0mmの範囲で十分である。
【0021】
定着ベルト1の最外層にはトナーの離型性がよく、オイルの親和性がよいシリコンゴム離型層を設け、後述のオイル塗布機構9によって塗布される離型オイルを有する事で柔軟性と良離型性とを兼ね備えている。
【0022】
加熱ローラ2は外径φ40、厚み3mmのアルミ製シリンダーからなり、内部にハロゲンヒーター5を配置している。
【0023】
定着ローラ3は外径φ50のアルミ製ローラで構成され、図示しない駆動モータにより駆動される。
【0024】
加圧ローラ4は外径φ50のローラであって、定着ローラ1と同様にアルミ製芯金上にシリコンゴムやスポンジ等の弾性層を1〜5mmを持ち、最外層にはトナーの離型性がよく、オイルの親和性が良いシリコンゴム離型層を有する。ニップ部は加圧ローラ4によって、定着ベルト1を介して定着ローラ3を100N〜1000Nの加圧加重で押圧し、定着ベルト1と加圧ローラ4の弾性層を変形させて形成されている。
【0025】
ハロゲンヒータ5は加熱ローラ2の内部に配置され、加熱ローラ2を加熱することによって定着ベルト1を加熱する。
【0026】
外部加熱ローラ6は、外径φ30のアルミ、ステンレス等の金属製円筒ローラであり、内部にハロゲンヒーター等の熱源を有し、図示しない温度検知素子とそれに接続される温度制御回路によって温度制御される。この外部加熱ローラ6は接触する定着ベルト1を外部から加熱する。
【0027】
ニップ部ローラ7は定着ローラ3の上流に配置され、加圧ローラ4に定着ベルト1を加圧しつつ巻き付ける事によって、ニップ部幅を広げる役割を果たす。
【0028】
搬送ガイド8はシートをニップ部へ搬送する。オイル塗布機構9は図示しないオイルタンクより離型オイルを定着ベルト1上に塗布する。クリーニングウェブ10は定着ベルト1に付着したオフセットトナーの清掃を行なう。温度検知素子11は定着ベルト1の表面温度を検知し、温度制御回路(不図示)をへてハロゲンヒータ5および外部加熱ローラ6の出力を制御する。
【0029】
次に本発明の加熱装置を用いたベルト定着装置と比較実施例としての従来のベルト定着装置との技術の差を図を用いて説明する。
【0030】
<比較実施例1>
図3は比較実施例である従来のベルト定着装置の定着ローラ33と定着ベルト31と加圧ローラ34のニップ部の拡大図を示している。定着ベルト31は定着ローラ33と加圧ローラ34とに挟まれて加圧されており、定着ローラ31の外層にあるスポンジやシリコンゴム等の弾性層が弾性変形することによってニップ部が形成されている。定着ベルト31はポリイミドやニッケルなどの基層上にシリコンゴム等の弾性層を100〜500μ施しており、表層にトナー離型層や塗布オイルが設けられている場合がほとんである。
【0031】
この構成では定着ベルトの弾性層が薄いために弾性変形が少なく、ニップ部は定着ローラ弾性層の変形のみによって形成されている。このためニップ部は上凸形状となり排紙方向は下向きとなるが、ニップ部出口近傍で弾性体の伸縮が無いために弾性体の応力開放によるトナー分離作用が働かず、薄紙や水分を含んだ紙など腰の弱い紙は定着ベルトに巻きついてしまい、このため分離爪を必要としていた。
【0032】
<比較実施例2>
図4は比較実施例1の定着構成を更に高速定着に対応するために、定着ローラ33の弾性層の硬度を下げ、厚みを増す事でニップ部を広げて加熱時間を増やしたものである。しかし、この場合には、定着ローラ33の弾性層の硬度を下げたことによって、ニップ部出口近傍で定着ローラ33の弾性層が定着ベルト31に引っ張られて変形し、上方向に持ち上がっている。このため結果としてニップ部幅がそれほど広がっておらず、ニップ部出口の排紙方向も比較実施例1に比べてやや上向きになっている。また、定着ベルト31の弾性層も薄いため先に述べた様にトナー分離作用が働かず、シートの巻きつきが起こるために分離爪21を必要としている。
【0033】
また、定着ローラ弾性層の硬度を下げずにローラ外径を大きくしてニップ部幅を増やす場合は、上述のニップ部形状の変形は起き難いが、ローラ外径の増加に比してニップ部幅の増加率が小さくコスト、放熱量、装置の小型化の観点から効率的ではない。
【0034】
<本実施例>
図5は本発明の構成であるが、定着ローラ3には弾性層が無く、定着ベルト1の厚さ2.0mmの弾性層を有する構成をとるため、定着ローラ硬度の方が定着ベルト1の硬度よりも高い。従って、本実施例ではアスカーC硬度で定着ローラ3はほぼ100°であるのに対し、定着ベルト1は70°である。このため、加圧ローラ4によって加圧されれば、定着ベルト1は変形せずに、定着ベルト1の弾性層が弾性変形しやすくなる。さらに、加圧ローラ硬度を80°と定着ベルト1の硬度よりも高い値とすることで、より定着ベルト1の弾性変形を大きくすることが可能となる。
【0035】
この様にニップ部内部で定着ベルト1の弾性層が弾性変形すると、ニップ部内部とニップ部出口から外部での周速差に違いがあるため、ニップ部内部では弾性体の移動速度が速くニップ部出口に向かうのに対して、ニップ部出口では弾性体の移動速度が通常の速度より遅れ、結果としてニップ部出口では図4の様に弾性体が滞留し、ニップ部出口での曲率が更に大きくなるために分離作用が大きくなる。
【0036】
また、ニップ部内部で弾性変形した定着ベルト1がニップ部直後で応力開放されることによって、定着ベルト1に接着しようとしているトナーの接着力を下げるので、より分離作用が大きくなる。こうした理由から、本発明における構成においては薄紙や水分を含んだ紙など腰の弱いシート等においても良好な分離性能を得ることが可能であり、分離爪が無くても良好な排紙性能を得ることができる。
【0037】
また、ニップ部上流に配置されるニップ部ローラ7によって定着ベルト1を加圧ローラ4に巻きつけて幅広のニップ部を形成する事によって、高速定着でも十分な熱量を与えるだけの加熱時間を有する事ができる。
【0038】
また、定着ベルト1を加熱ローラ2以外に外部加熱ローラ(図1参照)6によって外部から加熱することが可能であるため、定着ベルト1の弾性層が厚くても熱応答性が良く、熱ローラ定着で問題となっている弾性層と基層との剥がれも起き難い。
以下に比較実施例1、2および本実施例の性能を比較した表を示す。
【0039】
【表1】
【0040】
<実施例2>
図6は本発明における第2実施例を示している。基本的な構成は実施例1と同じで、異なるのは外部加熱ローラ6の代わりに、ハロゲンヒータ5を外部に配置して定着ベルトを外部から輻射加熱する点である。
【0041】
本構成のおいては外部加熱源が非接触であるため、外部加熱ローラにオフセットトナー等の付着がなく、定着ベルト表層の削れが少なくなる。
【0042】
<実施例3>
図7は本発明における第3実施例を示している。基本的な構成は実施例1と同じで、異なるのはニップ部ローラ7の代わりに、加圧パッド71を配置した点である。
【0043】
加圧パッド71は、加圧パッドステーと弾性体からなり、弾性体表面には、テフロン(登録商標)表層があったり、加圧パッドをガラスクロスで包み、定着ベルト1と加圧パッド71とのすべり性を良くしている。
【0044】
本発明の様々な例と実施例が示され説明されたが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は本明細書内の特定の説明と図に限定されるのではなく、本願特許請求の範囲に全て述べられた様々の修正と変更に及ぶことが理解される。例えば、図示例は記録材上に形成した未定着画像を該記録材上に加熱定着する定着装置を例に説明したが、記録材以外のシート材を単に加熱して該シート材の艶だし、皺取り等を行う加熱装置としても有効である。
【0045】
本発明の実施態様の例を以下に列挙する。
【0046】
〔実施態様1〕ローラと、熱源を有する加熱ローラと、上記ローラと上記加熱ローラ間に張架された無端状のベルトと、上記ベルトを介して上記ローラに対向して設けられた加圧ローラとを有し、被加熱材を上記ベルトと加圧ローラの間で挟持・搬送して加熱を行う加熱装置において、上記ベルトは少なくとも弾性層と表層を備え、上記ローラ表面の硬度が上記ベルトの表面硬度よりも高いことを特徴とする加熱装置である。この加熱装置は、上記ベルトの表面弾性層が弾性変形し、良好な加熱性能と排紙性能を得ることができる。
【0047】
〔実施態様2〕実施形態1記載の加熱装置において、ベルトの弾性層の厚みは0.5mm〜5.0mmであることを特徴とする加熱装置である。この加熱装置は、上記ベルトの表面弾性層が弾性変形しやすい構造を取ることが可能となる。
【0048】
〔実施態様3〕実施形態1記載の加熱装置において、ベルトを外部から加熱する外部加熱装置を備えていることを特徴とする加熱装置である。この加熱装置は、定着ベルトの弾性層の厚みが厚い場合においても熱応答性の良い加熱が可能となる。
【0049】
〔実施態様4〕実施形態1記載の加熱装置において、ベルトが加圧ローラに巻き付いている構成をとることを特徴とする加熱装置である。この加熱装置は、定着速度が速い高速定着を行う場合においても、十分な加熱時間を得ることが可能となる。
【0050】
〔実施態様5〕定着ローラを含む複数のローラ間に掛け渡されて回転する定着ベルトと、この定着ベルト外部に配置され、定着ベルトを介して定着ローラを加圧し該定着ローラ間にニップ部を形成する加圧部材とを有し、表面に未定着画像を形成した記録材を上記ニップ部を狭圧搬送させて該記録材上に該未定着画像を加熱定着する定着装置において、上記定着ベルトは少なくとも弾性層と表層を備え、上記定着ローラ表面の硬度が上記定着ベルトの表面硬度よりも高くしたことを特徴とする定着装置である。この定着装置は、上記ベルトの表面弾性層が弾性変形し、良好な定着性能と排紙性能を得ることができる。
【0051】
〔実施態様6〕実施形態5記載の定着装置において、定着ベルトの弾性層の厚みは0.5mm〜5.0mmであることを特徴とする定着装置である。この定着装置は、上記ベルトの表面弾性層が弾性変形しやすい構造を取ることが可能となる。
【0052】
〔実施態様7〕実施形態5記載の定着装置において、定着ベルトを外部から加熱する外部加熱装置を備えていることを特徴とする定着装置である。この定着装置は、定着速度が速い高速定着を行う場合においても、十分な加熱時間を得ることが可能となる。
【0053】
〔実施態様8〕実施形態5記載の定着装置において、定着ベルトが加圧ローラに巻き付いている構成をとることを特徴とする定着装置である。この定着装置は、定着速度が速い高速定着を行う場合においても、十分な加熱時間を得ることが可能となる。
【0054】
〔実施態様9〕定着ローラを含む複数のローラ間に掛け渡されて回転する定着ベルトと、この定着ベルト外部に配置され、定着ベルトを介して定着ローラを加圧し該定着ローラ間にニップ部を形成する加圧部材とを有し、表面に未定着画像を形成した記録材を上記ニップ部を狭圧搬送させて該記録材上に該未定着画像を加熱定着する定着装置において、上記定着ベルトは少なくとも弾性層と表層を備え、上記加圧ローラ表面の硬度が上記定着ベルトの表面硬度以上であることを特徴とする定着装置である。この定着装置は、上記ベルトの表面弾性層が弾性変形し、良好な定着性能と排紙性能を得ることができる。
【0055】
〔実施態様10〕実施形態9記載の定着装置において、定着ベルトの弾性層の厚みは0.5mm〜5.0mmであることを特徴とする定着装置である。この定着装置は、上記ベルトの表面弾性層が弾性変形しやすい構造を取ることが可能となる。
【0056】
〔実施態様11〕実施形態9記載の定着装置において、定着ベルトを外部から加熱する外部加熱装置を備えていることを特徴とする定着装置である。この定着装置は、って、定着速度が速い高速定着を行う場合においても、十分な加熱時間を得ることが可能となる。
【0057】
〔実施態様12〕実施形態9記載の定着装置において、定着ベルトが加圧ローラに巻き付いている構成をとることを特徴とする定着装置である。この定着装置は、定着速度が速い高速定着を行う場合においても、十分な加熱時間を得ることが可能となる。
【0058】
〔実施態様13〕記録材上に未定着画像を形成する画像形成手段と、上記未定着画像を上記記録材上に加熱定着する定着手段とを有する画像形成装置において、上記定着手段として実施態様5〜実施態様12のうちいずれかの定着装置を用い、通材間隔が上記定着装置の定着ベルト周長より長いことを特徴とする画像形成装置である。この定着装置は、上記ベルトの表面弾性層が弾性変形し、良好な定着性能と排紙性能を得ることができ、高品質の画像形成を行なうことができる。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ベルトは少なくとも弾性層と表層を備え、このベルトを張架するローラ表面の硬度を該ベルトの表面硬度よりも高く構成したので、ベルト表面の弾性層が弾性変形し、良好な加熱性能と排紙性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のベルト加熱装置をベルト定着装置として適用した実施例1の構成を示す概要図。
【図2】図1のベルト定着装置を備えた画像形成装置の概要図。
【図3】従来のベルト定着装置における定着ローラと定着ベルトと加圧ローラのニップ部の拡大図。
【図4】高速定着に対応するようにした従来のベルト定着装置における定着ローラと定着ベルトと加圧ローラのニップ部の拡大図。
【図5】本発明のベルト定着装置における定着ローラと定着ベルトと加圧ローラのニップ部の拡大図。
【図6】本発明のベルト定着装置の実施例2の構成を示す概要図。
【図7】本発明のベルト定着装置の実施例3の構成を示す概要図。
【図8】従来のベルト定着装置の概要図。
【符号の説明】
1 定着ベルト
2 加熱ローラ
3 定着ローラ
4 加圧ローラ
5 ハロゲンヒータ
6 外部加熱ローラ
7 ニップ部ローラ
8 搬送ガイド
9 オイル塗布機構
10 クローニングウェッブ
11 温度検知素子
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙等の被加熱材を加圧・加熱処理する加熱装置、前記加熱装置を適用して記録材に形成担持させた未定着画像を該記録材に加熱定着処理する定着装置、および前記定着装置を具備した電子写真方式・静電記録方式による複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記画像形成装置には、記録媒体である記録紙ないし転写材などの記録材(以下、シートと称する)上に直接的または間接的に形成されたトナー像を該シートに加熱定着させる定着装置が設けられている。この定着装置は、例えば、シート上のトナーを熱溶融させる加熱ローラとも指称される定着ローラと、当該定着ローラに圧接してシートを挟持する加圧ローラとを有している。
【0003】
定着ローラは中空状に形成され、この定着ローラの内部の中心軸上には、発熱体が保持手段により保持されている。この発熱体は、例えば、ハロゲンランプなどの管状発熱ヒータより構成され、所定の電圧が印加されることにより発熱するものである。このハロゲンランプは定着ローラの中心軸上に位置しているため、ハロゲンランプから発せられた熱は定着ローラ内壁に均一に輻射され、定着ローラの外壁の温度分布は円周方向において均一となる。定着ローラの外壁は、その温度が定着に適した温度(例えば、150〜200℃)になるまで加熱される。
【0004】
この状態で定着ローラと加圧ローラは圧接しながら互いに逆方向へ回転し、トナーが付着したシートを挟持搬送する。定着ローラと加圧ローラとの圧接部(以下、ニップ部ともいう)において、シート上のトナーは定着ローラの熱により溶解し、加圧ローラから作用する圧力によりシートに定着される。特にカラートナーを定着する定着装置においては、各色トナーを十分に融解混色するとともにシートが定着ローラに巻きつくことなく排紙する必要があるために、定着ローラおよび加圧ローラには肉厚の弾性層を設け、弾性層の変形によって十分なニップ部幅と、良好な排紙性能を得ることが必要である。
【0005】
しかし、ハロゲンランプなどから構成される発熱体を備えた上記定着装置においては、定着ローラ内部に配置されたハロゲンランプからの輻射熱を利用して定着ローラ芯金の内面を加熱し、芯金から弾性層を経て定着ローラ表面に熱が伝えているが、厚肉の弾性層は熱伝導性が悪く、定着ローラ芯金と弾性層の界面の温度は表面の温度に比べて高温になる。このため、芯金界面の弾性層が高温状態で連続使用されると、弾性体が硬化劣化や液状化を引き起こし寿命が短くなってしまう。さらにこれらの現象は、高速定着を行う定着装置においてはより顕著になる。
【0006】
かかる要請に応える装置として、定着ベルトと加熱ローラを用いたベルト定着装置が提案されている。図8にこのベルト定着装置の断面図を示したもので、このベルト定着装置では薄肉低熱容量の定着ベルト100を加熱ローラ101に巻きつける事で加熱し、加熱された定着ベルト100は定着ローラ102と加圧ローラ103とによって形成されたニップ部でシートを加熱し、このシート上に形成された未定着画像を該シートに加熱定着する(例えば、特許文献1等を参照)。
【0007】
このような構成においては、厚肉弾性層の内面から熱を伝えるのではなく、表面近傍の定着ベルト100が加熱された状態でニップ部に搬送されているので、定着ローラ弾性層を形成する弾性体の硬化劣化や液状化現象を防止することが可能となる。
【0008】
また定着ローラ102および加圧ローラ103の弾性層の厚み、硬度によってニップ形状を上凸形状とする事が可能であるために良好な排紙性を得ることができる。
【0009】
更に熱ローラ定着方式よりも定着ローラ弾性層の厚みや硬度を自由に選択できるので、シートを定着ベルト100と加圧ローラ103で挟む領域(ニップ部)の幅を広く取ることが可能となり、十分な定着性能を得ることが可能となる。
【特許文献1】
特開平11−282293号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなベルト定着装置にあっても、毎分50枚以上の高速定着を行う場合や厚紙を高速連続定着する場合には、ベルトの回転速度が高速化するためにニップ部内を通過するシート通過時間が短くなり、定着に必要な熱量をシートに与える事が困難となってくる。
【0011】
特に多量のトナーが乗っているカラー画像を定着する定着装置においては熱量不足がより顕著となる。そのため、ニップ部内を通過するシート通過時間を十分長くするためには、ニップ部を広く取ことが必要となってくるのであるが、ニップ部を広く取るためには、ベルトを挟む定着ローラと加圧ローラの弾性層の硬度を落すことやローラ径を大径化することが考えられる。しかし、ローラ径を大径化すれば装置が大型化し、放熱面積が増えるためエネルギーの無駄使いとなってしまう。
【0012】
一方、加圧ローラの硬度を下げる事でニップ部幅を広げる場合であっても、加圧ローラが凹状に変形し排紙方向が上をむいてしまうために、薄紙はベルトに巻きつきジャムが発生する。また、定着ローラの硬度を落してニップ部幅を広げる構成においても、ニップ部出口で弾性層がベルトの張力に負けて上流上向きに変形してしまい、結果として下方排紙性が悪くなり、薄紙の分離性が改善されない。
【0013】
本発明は上記のように熱ローラでは十分なニップ部幅が得られない高速加熱を行う場合に、ベルトによって十分な加熱時間を確保しつつ良好な排紙性を得ることができる加熱装置、この加熱装置を用して未定着画像を記録材に定着する定着装置、この定着装置を適用した画像形成装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ローラと、熱源を有する加熱ローラと、上記ローラと上記加熱ローラ間に張架された無端状のベルトと、上記ベルトを介して上記ローラに対向して設けられた加圧ローラとを有し、被加熱材を上記ベルトと加圧ローラの間で挟持・搬送して加熱を行う加熱装置において、上記ベルトは少なくとも弾性層と表層を備え、上記ローラ表面の硬度を上記ベルトの表面硬度よりも高くすることにより、前述の目的を達成するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、実施の一形態を図面に基づいて詳細に説明するが、本発明はこの実施の一形態によって何ら限定されるものではない。
【0016】
<第一実施例>
図1は本発明の加熱装置をベルト定着装置として示した構成図であり、このベルト定着装置は画像形成装置(カラー複写機を含む)の作像プロセスを担当する画像形成部に装備される。ここで、画像形成装置(以後、単に複写機と称す)は、図2の概要図に示すように、プリンタ本体(画像形成装置本体)内には、レーザスキャナ20、印字プロセスユニット25、転写ローラ26、定着器40、搬送ローラ対28、給紙カセット30と給紙ローラ(ピックアップローラを含む)31等が設置されている。上記印字プロセスユニット25には感光ドラム21と、一次帯電器22と、現像ローラ23とが一体的に組み付けられており、プリンタ本体に対して着脱可能に設けられている。
【0017】
給紙カセット30内に積載収納されたシート状の記録材Pは、反時計方向に回転する給紙ローラ31により給送され、搬送ガイド32に導かれて搬送ローラ対28のニップ部へ送られる。次いで、記録材Pは搬送ローラ対28によって感光ドラム21、転写ローラ26の間に送られる。
【0018】
感光ドラム21は時計方向に回転しており、その外周面は一次帯電器22で均一に帯電されている。そして、その外周面には、レーザスキャナ20のレーザ光Lにより静電潜像が順次形成され、続いてその静電潜像が現像ローラ23で現像され、トナー像が形成される。感光ドラム21と転写ローラ26との間に送られた記録材Pには、感光ドラム21上のトナー像が転写ローラ26より順次転写される。
【0019】
このようにしてトナー像が転写された記録材Pは定着器40へ送られ、ここで加熱、加圧されてトナー像が記録材Pに定着する。この後、記録材Pは定着排紙ローラ対50により排紙ローラ51へ送られ、次いで排紙ローラ51によりプリンタ本体上面の排紙トレイ60上に排紙される。
【0020】
図1のベルト定着装置における定着ベルト1は、定着ローラ3と加熱ローラ2とニップ部ローラ7に掛け渡され、厚さ50μmからなるポリイミドの基層上に厚さ2.0mmのシリコンゴム層を有している。この定着ベルト1の弾性層の厚みはシート上の未定着トナーと定着ベルト1との接着力を下げるために、ある程度の厚みが必要であり(詳しくは比較実施例を用いて後述することにするが)0.5mm以下の場合には排紙性能が悪く、本発明の効果が得られず、弾性層の厚みが5.0mm以上の場合には排紙性能に大きな差が得れなかった。そのため、定着ベルト弾性層の厚みは0.5〜5.0mmの範囲で十分である。
【0021】
定着ベルト1の最外層にはトナーの離型性がよく、オイルの親和性がよいシリコンゴム離型層を設け、後述のオイル塗布機構9によって塗布される離型オイルを有する事で柔軟性と良離型性とを兼ね備えている。
【0022】
加熱ローラ2は外径φ40、厚み3mmのアルミ製シリンダーからなり、内部にハロゲンヒーター5を配置している。
【0023】
定着ローラ3は外径φ50のアルミ製ローラで構成され、図示しない駆動モータにより駆動される。
【0024】
加圧ローラ4は外径φ50のローラであって、定着ローラ1と同様にアルミ製芯金上にシリコンゴムやスポンジ等の弾性層を1〜5mmを持ち、最外層にはトナーの離型性がよく、オイルの親和性が良いシリコンゴム離型層を有する。ニップ部は加圧ローラ4によって、定着ベルト1を介して定着ローラ3を100N〜1000Nの加圧加重で押圧し、定着ベルト1と加圧ローラ4の弾性層を変形させて形成されている。
【0025】
ハロゲンヒータ5は加熱ローラ2の内部に配置され、加熱ローラ2を加熱することによって定着ベルト1を加熱する。
【0026】
外部加熱ローラ6は、外径φ30のアルミ、ステンレス等の金属製円筒ローラであり、内部にハロゲンヒーター等の熱源を有し、図示しない温度検知素子とそれに接続される温度制御回路によって温度制御される。この外部加熱ローラ6は接触する定着ベルト1を外部から加熱する。
【0027】
ニップ部ローラ7は定着ローラ3の上流に配置され、加圧ローラ4に定着ベルト1を加圧しつつ巻き付ける事によって、ニップ部幅を広げる役割を果たす。
【0028】
搬送ガイド8はシートをニップ部へ搬送する。オイル塗布機構9は図示しないオイルタンクより離型オイルを定着ベルト1上に塗布する。クリーニングウェブ10は定着ベルト1に付着したオフセットトナーの清掃を行なう。温度検知素子11は定着ベルト1の表面温度を検知し、温度制御回路(不図示)をへてハロゲンヒータ5および外部加熱ローラ6の出力を制御する。
【0029】
次に本発明の加熱装置を用いたベルト定着装置と比較実施例としての従来のベルト定着装置との技術の差を図を用いて説明する。
【0030】
<比較実施例1>
図3は比較実施例である従来のベルト定着装置の定着ローラ33と定着ベルト31と加圧ローラ34のニップ部の拡大図を示している。定着ベルト31は定着ローラ33と加圧ローラ34とに挟まれて加圧されており、定着ローラ31の外層にあるスポンジやシリコンゴム等の弾性層が弾性変形することによってニップ部が形成されている。定着ベルト31はポリイミドやニッケルなどの基層上にシリコンゴム等の弾性層を100〜500μ施しており、表層にトナー離型層や塗布オイルが設けられている場合がほとんである。
【0031】
この構成では定着ベルトの弾性層が薄いために弾性変形が少なく、ニップ部は定着ローラ弾性層の変形のみによって形成されている。このためニップ部は上凸形状となり排紙方向は下向きとなるが、ニップ部出口近傍で弾性体の伸縮が無いために弾性体の応力開放によるトナー分離作用が働かず、薄紙や水分を含んだ紙など腰の弱い紙は定着ベルトに巻きついてしまい、このため分離爪を必要としていた。
【0032】
<比較実施例2>
図4は比較実施例1の定着構成を更に高速定着に対応するために、定着ローラ33の弾性層の硬度を下げ、厚みを増す事でニップ部を広げて加熱時間を増やしたものである。しかし、この場合には、定着ローラ33の弾性層の硬度を下げたことによって、ニップ部出口近傍で定着ローラ33の弾性層が定着ベルト31に引っ張られて変形し、上方向に持ち上がっている。このため結果としてニップ部幅がそれほど広がっておらず、ニップ部出口の排紙方向も比較実施例1に比べてやや上向きになっている。また、定着ベルト31の弾性層も薄いため先に述べた様にトナー分離作用が働かず、シートの巻きつきが起こるために分離爪21を必要としている。
【0033】
また、定着ローラ弾性層の硬度を下げずにローラ外径を大きくしてニップ部幅を増やす場合は、上述のニップ部形状の変形は起き難いが、ローラ外径の増加に比してニップ部幅の増加率が小さくコスト、放熱量、装置の小型化の観点から効率的ではない。
【0034】
<本実施例>
図5は本発明の構成であるが、定着ローラ3には弾性層が無く、定着ベルト1の厚さ2.0mmの弾性層を有する構成をとるため、定着ローラ硬度の方が定着ベルト1の硬度よりも高い。従って、本実施例ではアスカーC硬度で定着ローラ3はほぼ100°であるのに対し、定着ベルト1は70°である。このため、加圧ローラ4によって加圧されれば、定着ベルト1は変形せずに、定着ベルト1の弾性層が弾性変形しやすくなる。さらに、加圧ローラ硬度を80°と定着ベルト1の硬度よりも高い値とすることで、より定着ベルト1の弾性変形を大きくすることが可能となる。
【0035】
この様にニップ部内部で定着ベルト1の弾性層が弾性変形すると、ニップ部内部とニップ部出口から外部での周速差に違いがあるため、ニップ部内部では弾性体の移動速度が速くニップ部出口に向かうのに対して、ニップ部出口では弾性体の移動速度が通常の速度より遅れ、結果としてニップ部出口では図4の様に弾性体が滞留し、ニップ部出口での曲率が更に大きくなるために分離作用が大きくなる。
【0036】
また、ニップ部内部で弾性変形した定着ベルト1がニップ部直後で応力開放されることによって、定着ベルト1に接着しようとしているトナーの接着力を下げるので、より分離作用が大きくなる。こうした理由から、本発明における構成においては薄紙や水分を含んだ紙など腰の弱いシート等においても良好な分離性能を得ることが可能であり、分離爪が無くても良好な排紙性能を得ることができる。
【0037】
また、ニップ部上流に配置されるニップ部ローラ7によって定着ベルト1を加圧ローラ4に巻きつけて幅広のニップ部を形成する事によって、高速定着でも十分な熱量を与えるだけの加熱時間を有する事ができる。
【0038】
また、定着ベルト1を加熱ローラ2以外に外部加熱ローラ(図1参照)6によって外部から加熱することが可能であるため、定着ベルト1の弾性層が厚くても熱応答性が良く、熱ローラ定着で問題となっている弾性層と基層との剥がれも起き難い。
以下に比較実施例1、2および本実施例の性能を比較した表を示す。
【0039】
【表1】
【0040】
<実施例2>
図6は本発明における第2実施例を示している。基本的な構成は実施例1と同じで、異なるのは外部加熱ローラ6の代わりに、ハロゲンヒータ5を外部に配置して定着ベルトを外部から輻射加熱する点である。
【0041】
本構成のおいては外部加熱源が非接触であるため、外部加熱ローラにオフセットトナー等の付着がなく、定着ベルト表層の削れが少なくなる。
【0042】
<実施例3>
図7は本発明における第3実施例を示している。基本的な構成は実施例1と同じで、異なるのはニップ部ローラ7の代わりに、加圧パッド71を配置した点である。
【0043】
加圧パッド71は、加圧パッドステーと弾性体からなり、弾性体表面には、テフロン(登録商標)表層があったり、加圧パッドをガラスクロスで包み、定着ベルト1と加圧パッド71とのすべり性を良くしている。
【0044】
本発明の様々な例と実施例が示され説明されたが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は本明細書内の特定の説明と図に限定されるのではなく、本願特許請求の範囲に全て述べられた様々の修正と変更に及ぶことが理解される。例えば、図示例は記録材上に形成した未定着画像を該記録材上に加熱定着する定着装置を例に説明したが、記録材以外のシート材を単に加熱して該シート材の艶だし、皺取り等を行う加熱装置としても有効である。
【0045】
本発明の実施態様の例を以下に列挙する。
【0046】
〔実施態様1〕ローラと、熱源を有する加熱ローラと、上記ローラと上記加熱ローラ間に張架された無端状のベルトと、上記ベルトを介して上記ローラに対向して設けられた加圧ローラとを有し、被加熱材を上記ベルトと加圧ローラの間で挟持・搬送して加熱を行う加熱装置において、上記ベルトは少なくとも弾性層と表層を備え、上記ローラ表面の硬度が上記ベルトの表面硬度よりも高いことを特徴とする加熱装置である。この加熱装置は、上記ベルトの表面弾性層が弾性変形し、良好な加熱性能と排紙性能を得ることができる。
【0047】
〔実施態様2〕実施形態1記載の加熱装置において、ベルトの弾性層の厚みは0.5mm〜5.0mmであることを特徴とする加熱装置である。この加熱装置は、上記ベルトの表面弾性層が弾性変形しやすい構造を取ることが可能となる。
【0048】
〔実施態様3〕実施形態1記載の加熱装置において、ベルトを外部から加熱する外部加熱装置を備えていることを特徴とする加熱装置である。この加熱装置は、定着ベルトの弾性層の厚みが厚い場合においても熱応答性の良い加熱が可能となる。
【0049】
〔実施態様4〕実施形態1記載の加熱装置において、ベルトが加圧ローラに巻き付いている構成をとることを特徴とする加熱装置である。この加熱装置は、定着速度が速い高速定着を行う場合においても、十分な加熱時間を得ることが可能となる。
【0050】
〔実施態様5〕定着ローラを含む複数のローラ間に掛け渡されて回転する定着ベルトと、この定着ベルト外部に配置され、定着ベルトを介して定着ローラを加圧し該定着ローラ間にニップ部を形成する加圧部材とを有し、表面に未定着画像を形成した記録材を上記ニップ部を狭圧搬送させて該記録材上に該未定着画像を加熱定着する定着装置において、上記定着ベルトは少なくとも弾性層と表層を備え、上記定着ローラ表面の硬度が上記定着ベルトの表面硬度よりも高くしたことを特徴とする定着装置である。この定着装置は、上記ベルトの表面弾性層が弾性変形し、良好な定着性能と排紙性能を得ることができる。
【0051】
〔実施態様6〕実施形態5記載の定着装置において、定着ベルトの弾性層の厚みは0.5mm〜5.0mmであることを特徴とする定着装置である。この定着装置は、上記ベルトの表面弾性層が弾性変形しやすい構造を取ることが可能となる。
【0052】
〔実施態様7〕実施形態5記載の定着装置において、定着ベルトを外部から加熱する外部加熱装置を備えていることを特徴とする定着装置である。この定着装置は、定着速度が速い高速定着を行う場合においても、十分な加熱時間を得ることが可能となる。
【0053】
〔実施態様8〕実施形態5記載の定着装置において、定着ベルトが加圧ローラに巻き付いている構成をとることを特徴とする定着装置である。この定着装置は、定着速度が速い高速定着を行う場合においても、十分な加熱時間を得ることが可能となる。
【0054】
〔実施態様9〕定着ローラを含む複数のローラ間に掛け渡されて回転する定着ベルトと、この定着ベルト外部に配置され、定着ベルトを介して定着ローラを加圧し該定着ローラ間にニップ部を形成する加圧部材とを有し、表面に未定着画像を形成した記録材を上記ニップ部を狭圧搬送させて該記録材上に該未定着画像を加熱定着する定着装置において、上記定着ベルトは少なくとも弾性層と表層を備え、上記加圧ローラ表面の硬度が上記定着ベルトの表面硬度以上であることを特徴とする定着装置である。この定着装置は、上記ベルトの表面弾性層が弾性変形し、良好な定着性能と排紙性能を得ることができる。
【0055】
〔実施態様10〕実施形態9記載の定着装置において、定着ベルトの弾性層の厚みは0.5mm〜5.0mmであることを特徴とする定着装置である。この定着装置は、上記ベルトの表面弾性層が弾性変形しやすい構造を取ることが可能となる。
【0056】
〔実施態様11〕実施形態9記載の定着装置において、定着ベルトを外部から加熱する外部加熱装置を備えていることを特徴とする定着装置である。この定着装置は、って、定着速度が速い高速定着を行う場合においても、十分な加熱時間を得ることが可能となる。
【0057】
〔実施態様12〕実施形態9記載の定着装置において、定着ベルトが加圧ローラに巻き付いている構成をとることを特徴とする定着装置である。この定着装置は、定着速度が速い高速定着を行う場合においても、十分な加熱時間を得ることが可能となる。
【0058】
〔実施態様13〕記録材上に未定着画像を形成する画像形成手段と、上記未定着画像を上記記録材上に加熱定着する定着手段とを有する画像形成装置において、上記定着手段として実施態様5〜実施態様12のうちいずれかの定着装置を用い、通材間隔が上記定着装置の定着ベルト周長より長いことを特徴とする画像形成装置である。この定着装置は、上記ベルトの表面弾性層が弾性変形し、良好な定着性能と排紙性能を得ることができ、高品質の画像形成を行なうことができる。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ベルトは少なくとも弾性層と表層を備え、このベルトを張架するローラ表面の硬度を該ベルトの表面硬度よりも高く構成したので、ベルト表面の弾性層が弾性変形し、良好な加熱性能と排紙性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のベルト加熱装置をベルト定着装置として適用した実施例1の構成を示す概要図。
【図2】図1のベルト定着装置を備えた画像形成装置の概要図。
【図3】従来のベルト定着装置における定着ローラと定着ベルトと加圧ローラのニップ部の拡大図。
【図4】高速定着に対応するようにした従来のベルト定着装置における定着ローラと定着ベルトと加圧ローラのニップ部の拡大図。
【図5】本発明のベルト定着装置における定着ローラと定着ベルトと加圧ローラのニップ部の拡大図。
【図6】本発明のベルト定着装置の実施例2の構成を示す概要図。
【図7】本発明のベルト定着装置の実施例3の構成を示す概要図。
【図8】従来のベルト定着装置の概要図。
【符号の説明】
1 定着ベルト
2 加熱ローラ
3 定着ローラ
4 加圧ローラ
5 ハロゲンヒータ
6 外部加熱ローラ
7 ニップ部ローラ
8 搬送ガイド
9 オイル塗布機構
10 クローニングウェッブ
11 温度検知素子
Claims (1)
- ローラと、熱源を有する加熱ローラと、上記ローラと上記加熱ローラ間に張架された無端状のベルトと、上記ベルトを介して上記ローラに対向して設けられた加圧ローラとを有し、被加熱材を上記ベルトと加圧ローラの間で挟持・搬送して加熱を行う加熱装置において、上記ベルトは少なくとも弾性層と表層を備え、上記ローラ表面の硬度が上記ベルトの表面硬度よりも高いことを特徴とする加熱装置。
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-
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