JP4166853B2 - メッキ製品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品にメッキしてなる製品に関する。更に詳しくはメッキ性、メッキ外観、高温特性、衝撃特性に優れたメッキ製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂は衝撃特性等の機械的特性、寸法安定性、耐熱性等に優れる材料として、また、ABS樹脂に代表されるジエン系ゴム成分にシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物をグラフトした熱可塑性グラフト共重合体は特に低温雰囲気での衝撃特性、流動性等に優れる材料として各種工業分野に幅広く使用されている。
【0003】
一方で樹脂成形品に、金属様の装飾性、高剛性、耐摩耗性、導電性の付与等を目的として、成形品の一部又は全体にメッキを施すことが従来より行われている。
【0004】
ポリカーボネート樹脂からなる成形品には前述のような優れた特性が備わっているが、かかる成形品にメッキを施す場合、ABS樹脂に代表されるジエン系ゴム成分にシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物をグラフトした熱可塑性グラフト共重合体からなる成形品にメッキを施す場合と比較してポリカーボネート樹脂からなる成形品はエッチングされにくく、メッキ膜の密着性が劣る為、十分な密着性の確保のためには別途前処理が必要であるという問題点や、前処理が十分でないと低温雰囲気での衝撃特性が低いという問題点がある。
【0005】
一方、ABS樹脂に代表されるジエン系ゴム成分にシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物をグラフトした熱可塑性グラフト共重合体からなる成形品はメッキ性に優れメッキを施す場合、ポリカーボネート樹脂の場合に行う前処理を実施する必要はない。しかしながら、かかるメッキ製品は特に自動車のインナードアハンドル等の使用雰囲気温度が高温から低温まで幅広く、また大きな荷重や振動を受ける用途に使用する場合、高温特性が劣る、即ち、高温雰囲気中での使用時にメッキ製品に割れが発生しやすいという問題点があった。
【0006】
両者の問題点を解決する為に、ポリカーボネート樹脂とABS樹脂に代表されるジエン系ゴム成分にシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物をグラフトした熱可塑性グラフト共重合体からなる樹脂組成物にメッキを施す事は、古くから実施されており、かかる樹脂組成物はメッキ性に優れ、かつそのメッキ製品は低温雰囲気での衝撃特性に優れるものである。更にメッキ性等を改良した樹脂組成物として、特開昭59−155436号公報においては更にMBS樹脂に代表されるゴム成分を配合した樹脂組成物が、特開平5−255582号公報においては特定条件を満足するABS樹脂を使用した樹脂組成物が開示されている。このようにして得られたメッキ製品もまたメッキ性、低温雰囲気での衝撃特性に優れるものであるが高温特性は十分とは言い難いものであった。高温特性が劣る原因としては、樹脂とメッキ膜との線膨張係数の差、高温雰囲気下の樹脂とメッキ膜との剛性の差にあると一般には考えられている。
【0007】
かかる問題点を解決する為には、ガラス繊維等の繊維状充填材を配合する方法(特開平2−305846号公報)、タルクやマイカ等の鱗片状や板状の無機充填材を配合する方法(特開平7−24863号公報)がある。しかしながら、前者のガラス繊維やカーボン繊維等の繊維状充填材を配合した樹脂組成物から得られたメッキ製品は、高温雰囲気下の剛性、及び線膨張係数の差は改良され高温特性は良好となるが、衝撃強度が低下しメッキ製品の外観も悪くなるという問題がある。後者のタルクやマイカ等の鱗片状や板状の無機充填材を配合した樹脂組成物の場合はガラス繊維やカーボン繊維等の繊維状充填材を配合した樹脂組成物からなるメッキ製品と比べると、メッキ外観は良好であるが、繊維状無機充填材に比べると、線膨張係数の改良効果が少なく、また、補強効果が小さいため、高温雰囲気下での剛性を十分に改良するには至らず高温特性は不十分なものしか得られなかった。また、特開平9−176439号公報にはポリカーボネート樹脂、ABS樹脂等のグラフト共重合体、特定のワラストナイト、及びカルボン酸変性オレフィン系ワックスからなる樹脂組成物が提案されている。しかしながらかかる公報に開示された発明において具体的に例示された樹脂組成物は、ABS樹脂が30重量%のものであり、かかる樹脂組成物には更に高温特性に優れるメッキ製品の達成が要求されるようになった。
【0008】
そこでメッキ性に優れると共に衝撃特性、高温特性に優れ、且つメッキ外観に優れるメッキ製品が要求されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、メッキ性に優れると共に高温特性、衝撃特性に優れ、且つメッキ外観に優れるメッキ製品を提供することにある。
【0010】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂とジエン系ゴム成分にシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物をグラフトした熱可塑性グラフト共重合体とからなる樹脂組成物に、特定の無機充填材及び特定のオレフィン系ワックスを配合したポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品にメッキを施したメッキ製品がメッキ性、メッキ外観、高温特性、衝撃特性に優れることを見出し、本発明に到達した。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)ポリカーボネート樹脂10〜65重量%及び(B)ジエン系ゴム成分にシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物をグラフトした熱可塑性グラフト共重合体90〜35重量%からなる樹脂組成物100重量部に(C)珪酸カルシウムを主成分とする繊維状無機充填材1〜50重量部及び(D)カルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス0.02〜5重量部を配合してなるポリカーボネート樹脂組成物から形成された成形品にメッキを施してなるメッキ製品に係るものである。
【0012】
本発明で(A)成分として用いるポリカーボネート樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体を反応させて得られる芳香族ポリカーボネート樹脂である。ここで用いる二価フェノールとしては例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下ビスフェノールAという)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォン等が挙げられる。好ましい二価フェノールはビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系であり、ビスフェノールAが特に好ましい。カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カルボニルエステル、ハロホルメート等が挙げられ、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネート、二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。ポリカーボネート樹脂を製造するに当り、上記二価フェノールを単独で用いても又は二種以上を併用してもよく、またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、二種以上のポリカーボネート樹脂の混合物であってもよい。
【0013】
ポリカーボネート樹脂の分子量は特に制限する必要はないが、あまりに低いと強度が十分でなく、あまりに高いと溶融粘度が高くなり成形し難くなるので、粘度平均分子量で表して通常10,000〜50,000、好ましくは、15,000〜30,000である。ここでいう粘度平均分子量(M)は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
【0014】
ηsp/C=[η]+0.45×[η]2
[η]=1.23×10-40.83
(但し[η]は極限粘度、Cはポリマー濃度で0.7)
ポリカーボネート樹脂を製造する基本的な手段を簡単に説明する。カーボネート前駆物質としてホスゲンを用いる溶液法では、通常酸結合剤及び有機溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、又はピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第三級アミンや第四級アンモニウム塩等の触媒を用いることができ、分子量調節剤として例えばフェノールやp−tert−ブチルフェノールのようなアルキル置換フェノール等の末端停止剤を用いることが望ましい。反応温度は通常0〜40℃、反応時間は数分〜5時間、反応中のpHは10以上に保つのが好ましい。尚結果として得られた分子鎖末端の全てが末端停止剤に由来の構造を有する必要はない。
【0015】
カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応(溶融法)では、不活性ガスの存在下に所定割合の二価フェノールを炭酸ジエステルと加熱しながら攪拌し、生成するアルコール又はフェノール類を留出させる方法により行う。反応温度は生成するアルコール又はフェノール類の沸点等により異なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコール又はフェノール類を留出させながら反応を完結させる。かかる反応の初期段階で二価フェノール等と同時に又は反応の途中段階で末端停止剤を添加させる。また反応を促進するために現在公知のエステル交換反応に用いられる触媒を用いることができる。このエステル交換反応に用いられる炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート等があげられる。これらのうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。
【0016】
(B)成分として用いるジエン系ゴム成分にシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物をグラフトした熱可塑性グラフト共重合体としては、通常ABS樹脂と称される樹脂を用いることができる。この熱可塑性グラフト共重合体を形成するジエン系ゴム成分としては、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン及びスチレン−ブタジエン共重合体等のガラス転移点が10℃以下のゴムが用いられ、その割合は(B)成分中5〜80重量%であるのが好ましい。ジエン系ゴム成分にグラフトされるシアン化ビニル化合物としては、例えばアクリロニトリル、メタアクリロニトリル等を挙げることができ、またジエン系ゴム成分にグラフトされる芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン及び核置換スチレンを挙げることができる。かかるシアン化ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物の含有割合は、かかるシアン化ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物の合計量100重量%に対して、シアン化ビニル化合物が5〜50重量%、芳香族ビニル化合物が95〜50重量%である。更にメチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、無水マレイン酸、N置換マレイミド等を混合使用することができ、これらの含有割合は(B)成分中15重量%以下であるものが好ましい。この熱可塑性グラフト共重合体(B)成分は塊状重合、懸濁重合、乳化重合のいずれの方法で製造されたものでもよく、また共重合の方法も一段で共重合しても、多段で共重合してもよい。この(B)成分は一種のみならず二種以上を混合して用いることもできる。
【0017】
(C)成分として用いる珪酸カルシウムを主成分とする繊維状無機充填材は針状結晶をもつ天然白色鉱物であり、実質的に化学式CaSiO3で表わされ、通常SiO2が約50重量%、CaOが約47重量%、その他Fe23、Al23等を含有しており、比重は約2.9である。かかる珪酸カルシウムを主成分とする繊維状無機充填材は通常ワラストナイトといわれているものである。本発明において用いるワラストナイトとしては、粒子径分布において3μm以上が75%以上、10μm以上が5%以下で且つアスペクト比L/Dが8以上であるものが好ましい。粒子径分布において3μm以上が75%以上の場合、補強効果が十分であり、剛性が十分となり易い。また10μm以上が5%以下の場合は、良好な衝撃強度を有する一方、得られる成形品の表面外観も良好となり易い。アスペクト比が8以上の場合は、補強効果が十分であり、より高い剛性が得られる。但し作業環境面を考慮し、アスペクト比が50以下であるものがより好ましい。また、かかるワラストナイトには、通常の表面処理剤、例えばシラン系カップリング剤やチタネート系カップリング剤等のカップリング剤で表面処理を施しても差し支えない。
【0018】
ここでいう粒子径分布とは、ワラストナイト5gを10%ヘキサメタ燐酸ソーダ5mlとともに250mlメスシリンダーに加えたのち、純水を250mlまで加え20℃の恒温槽中で十分に安定させた後、よく振とう、分散させた懸濁液を20℃の恒温槽中で静置し、静置後から任意の吸引時間t(秒)、及び任意の吸引位置即ち水面からの深さh(cm)で10mlホールピペットにより10ml吸引し、吸引した懸濁液を蒸発皿に移し、蒸発乾固した重量w(g)を次式に挿入して求めたものである。
【0019】
【数1】
Figure 0004166853
【0020】
(但し、分散剤重量はヘキサメタ燐酸ソーダの重量で0.02gであり、又w及び皿重量の単位はgである。)
粒子径d(cm)は、任意の吸引時間t(秒)、任意の吸引位置h(cm)を次式に挿入して求めたものである。またρPは試料の真比重(g/cm3)を示す。
【0021】
【数2】
Figure 0004166853
【0022】
上記測定方法はアンドレアゼンピペット法に準ずるものである。
【0023】
また本発明でいうアスペクト比L/Dとは、ワラストナイトを走査型電子顕微鏡で1,000倍の写真を撮影し、写真中無差別に抽出した100個のワラストナイト繊維の平均繊維長L(mm)と平均繊維径D(mm)との比で表されるものである。
【0024】
本発明で(D)成分として用いるカルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックスとは、オレフィン系ワックスを後処理により、カルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基を含有する化合物、好ましくはマレイン酸及び/又は無水マレイン酸で変性したものが挙げられる。更にエチレン及び/又は1−アルケンを重合又は共重合する際にかかるモノマー類と共重合可能なカルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基を含有する化合物、好ましくはマレイン酸及び/又は無水マレイン酸を共重合したものも挙げられ、かかる共重合をしたものはカルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基が高濃度かつ安定して含まれるので好ましい。かかるワックスを配合することにより、成形加工時のせん断による無機充填材の破壊を低減させ、本来のアスペクト比を保持する効果が発現するものと考えられる。このカルボキシル基やカルボン酸無水物基は、このオレフィン系ワックスのどの部分に結合してもよく、またその濃度は特に限定されないが、オレフィン系ワックス1g当り0.1〜6meq/gの範囲が好ましい。0.1meq/gより少なくなると剛性及び耐衝撃性の改良効果が不十分になり、6meq/gより多くなるとオレフィン系ワックス自身の熱安定性が悪化するようになるので好ましくない。かかるオレフィン系ワックスは、市販品としては例えばダイヤカルナ−PA30[三菱化学(株)の商品名]、ハイワックス酸処理タイプの2203A、1105A[三井石油化学(株)の商品名]等が挙げられ、これら単独で又は二種以上の混合物として用いられる。
【0025】
次に本発明のメッキ製品において使用する樹脂組成物の各成分の配合割合について説明する。樹脂組成物中(A)成分と(B)成分の配合割合は、両者の合計重量に基づいて表される。両者の合計100重量%当り、(A)成分は10〜65重量%、好ましくは20〜55重量%の範囲であり、(B)成分が90〜35重量%、好ましくは80〜45重量%の範囲である。(A)成分の配合割合が10重量%未満では高温特性が低下するようになる。また、65重量%を超えるとメッキ性が低下し、メッキ密着性が低下するようになるため別途前処理が必要となる。
【0026】
(C)成分の配合割合は、(A)成分と(B)成分から実質的になる樹脂組成物100重量部当り1〜50重量部、好ましくは5〜40重量部の範囲である。この(C)成分の配合割合が1重量部未満では線膨張係数改良効果が小さく、また、補強効果が小さい為、剛性が不充分になり高温特性が低下するようになる。また50重量部を超えると得られるメッキ製品のメッキ外観が悪化するようになり、また、衝撃特性が低下するようになる。
【0027】
(D)成分の配合割合は、(A)成分と(B)成分から実質的になる樹脂組成物100重量部当り、0.02〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部の範囲である。この(D)成分の配合割合が0.02重量部未満では、組成物中の繊維状充填材が成形加工時に破壊され易く、線膨張係数改良効果が不十分となり、また、剛性が不充分になり高温特性が低下するようになる。また、5重量部を超えると、衝撃特性、メッキ性が低下するようになるので適当でない。
【0028】
本発明の組成物には、衝撃強度を更に改善するためにゴム質重合体を配合することができる。ゴム質重合体の例としてブタジエン−アルキル(メタ)アクレート−スチレン共重合体等のジエン系弾性重合体、ブタジエン−アルキルアクリレート−アルキル(メタ)アクリレート共重合体等のアクリル系弾性重合体、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分とが相互に絡み合った構造を有している複合弾性重合体等が挙げられ、これらは単独で用いても又は二種以上併用してもよい。ゴム質重合体の配合量は(A)成分と(B)成分から実質的になる樹脂組成物100重量部に対し、1〜20重量部の範囲が好ましい。1重量部未満では衝撃改善効果が不十分であり、20重量部を超えると高温特性が低下するようになる。
【0029】
本発明のメッキ製品に使用する樹脂組成物は、上記各成分を同時に、又は任意の順序でタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の混合機により混合して製造することができる。更に、本発明の目的を損なわない範囲で難燃剤(例えばハロゲン系難燃剤として芳香族ハロゲン化合物、ハロゲン化エポキシ樹脂、ハロゲン化ポリカーボネート樹脂等、リン系難燃剤としてトリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート等)、酸化防止剤(例えばヒンダードフェノール系化合物等)、紫外線吸収剤、離型剤、帯電防止剤、発泡剤、染顔料等が含まれても差し支えない。かくして得られた樹脂組成物は、押出成形、射出成形、圧縮成形、ブロー成形、真空成形等の方法で成形可能であり、特に射出成形が好ましい。更に射出成形においても、一般的な射出成形の他、高速射出成形、ガスアシスト成形、射出圧縮成形、及びこれらの組み合わせを利用し、適宜最適の成形品を得ることができる。
【0030】
かくして得られた成形品にメッキを施すことにより、本発明のメッキ製品を得ることができる。本発明でいうメッキとはいわゆるウエットプレーティングによるメッキをいい、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の蒸着法によるものを対象としない。かかる蒸着法によるメッキは本発明の主たる対象である使用雰囲気が高温から低温まで幅広く、また大きな荷重や振動を受ける用途には、メッキ密着性が十分でないため高温特性が劣るからである。
【0031】
したがって本発明において好ましいメッキ方法は、一般的なABS樹脂に対する化学メッキ及び電気メッキの条件と同様であり、更にかかる場合において十分に高いメッキ密着性を有することを特徴とするものである。よって本発明のメッキ方法は脱脂、化学エッチング、化学メッキ処理及び電気メッキ処理により行われ、中和処理、キャタリスト処理、アクセレーター処理等の処理を適宜組み合わせることができる。
【0032】
脱脂には、界面活性剤を用い、処理温度は40〜50℃、時間は3〜10分程度をかけ、脱脂、洗浄を行うことが好ましい。エッチングには、酸化剤と酸の混合液、例えばクロム酸−硫酸溶液が用いられ、処理温度は65〜75℃、時間は8〜20分程度が好ましい。エッチングの後に中和処理、キャタリスト処理、アクセレーター処理等の一連の処理を行い、化学メッキ工程における円滑な析出の促進化及びメッキ層と樹脂素地との密着力の増大化を行った後、ついで化学金属メッキ浴に浸し、銅又はニッケルによる金属メッキを行う。かかる方法により成形体に化学メッキを施した後、得られた化学メッキ品に更に現在公知の方法で銅、ニッケル、クロム等の電気メッキ処理を施して製品を電気メッキし、メッキ製品を得ることができる。また通常の最外層であるクロムメッキに代えて、要求に応じて銅−ニッケル、銅−コバルト、ニッケル−リン等の合金メッキを使用することも可能である。本発明のメッキ製品のメッキ膜厚は目的に応じて任意に調整が可能であるが、化学メッキ部の膜厚としては0.1〜2.0μm、好ましくは0.2〜1.0μmの範囲がよい。かかる0.1〜2.0μmの範囲においては、電気メッキ時の十分な導電性を確保する一方、製造効率に優れたものとなる。またその上部になされる銅及び/又はニッケルの電気メッキ部の膜厚としては1〜60μmの範囲がよい。特に荷重や振動の負荷がより高い場合には、化学メッキ部の上に銅の電気メッキ及び更にその上にニッケルの電気メッキを施すことが好ましく、かかる場合に銅の電気メッキの膜厚が5〜60μm、特に好ましくは10〜50μm、ニッケルの電気メッキの膜厚が2〜50μm、特に好ましくは5〜35μmの範囲が好ましく使用できる。かかる場合に銅の電気メッキの膜厚が5〜60μmであるとメッキ強度が十分であり、且つ製造効率に優れたメッキ製品が可能となり、またニッケルの電気メッキの膜厚が2〜50μmであるとメッキ部の劣化を十分に抑制すると共に、製造効率に優れたメッキ製品が可能となる。更に最外層部のクロムメッキ又は合金メッキの膜厚としては0.05〜5μmが本発明では好ましい。かかるメッキ部の膜厚の場合に耐衝撃性が優れると共に、化学抵抗性の優れたメッキ製品が可能となる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下に実施例をあげて本発明を更に説明する。なお実施例中の部及び%は重量部及び重量%であり、評価は下記の方法によった。
(1)メッキ性:50mm×100mm×3mmの板状試験片を用い下記実施例のメッキ条件にてメッキをした後、以下の評価を実施した。
○:メッキ未着部が全くない。且つ、セロハンテープによる碁盤目剥離試験にて剥離発生なし。
×:メッキ未着部がある。又は、セロハンテープによる碁盤目剥離試験にて剥離発生あり。
(2)高温特性:50mm×100mm×3mmの板状試験片を用い下記実施例のメッキ条件にてメッキをした後、80℃雰囲気下にて負荷荷重=±10kgf、3Hzにて均一曲げ疲労試験を実施し、破断に至る回数を測定した。
(3)耐衝撃性:試験片を下記実施例のメッキ条件にてメッキをした後、ノッチを切削し、ASTM D−256に従い23℃及び−30℃雰囲気下で衝撃強度を測定した(アイゾットノッチ付き1/8インチ)。
(4)メッキ外観:下記実施例のメッキ条件にてメッキした50mm×80mm×2mmの板状試験片にて、万能表面形状測定機(SURFCOM 3B.E−MD−S10A:東京精密(株)製)にて触針径2μm、触針圧0.07gの条件にて平均表面粗さ(Ra)を測定した。
【0034】
[実施例1〜8、比較例1〜9]
表1記載の各成分を表記載の量、V型ブレンダーで混合した後、径30mmφのベント式二軸押出機[(株)日本製鋼所製TEX30XSST]によりシリンダー温度240℃でペレット化した。このペレットを110℃で5時間乾燥した後射出成形機[FANUC(株)製T−150D]でシリンダー温度250℃、金型温度70℃で各種試験片を作成した後、かかる成形品を以下に示す条件にしたがってメッキを施し、メッキ性の評価及びその他の特性について評価した。尚、得られた試験片のメッキ膜厚は、化学ニッケルメッキ:0.3μm、銅メッキ:25μm、ニッケルメッキ:25μm、クロムメッキ:0.25μmであった。
【0035】
Figure 0004166853
【0036】
評価結果を表1に示した。尚、表1記載の各成分を示す記号は下記の通りである。
PC:ビスフェノールAとホスゲンから常法によって得た粘度平均分子量22,500のポリカーボネート樹脂[帝人化成(株)製L−1225]
ABS:ABS樹脂[宇部サイコン(株)製サイコラック Y−540A]
WSN:ワラストナイト(繊維状)[巴工業(株)製サイカテックNN−4、粒子径分布3μm以上が83%、10μm以上が0.5%で平均径D=4.0μm、アスペクト比L/D=10]
CS:チョップドガラス繊維[日東紡(株)製3PE−941、平均径D=13μm、アスペクト比L/D=230]
タルク:鱗片状タルク[日本タルク(株)製タルクP−3、平均粒子径2.8μm]
ワックス:1−アルケンと無水マレイン酸との共重合によるオレフィン系ワックス[三菱化学(株)製ダイヤカルナ−PA30、無水マレイン酸基濃度1meq/g]
MB:MB樹脂(弾性重合体)[呉羽化学工業(株)製パラロイドEXL−2602]
【0037】
【表1】
Figure 0004166853
【0038】
この表から明らかなように、比較例1、2のように、樹脂成分の配合量が本発明の範囲外である場合、即ち(B)成分であるABS樹脂が多すぎる場合には、高温特性が劣り、(A)成分であるポリカーボネート樹脂が多すぎる場合にはメッキ性が不十分となることがわかる。実施例2と比較例4の比較からは、(C)成分であるワラストナイトが多すぎる場合には、メッキ性が不良でありかつメッキ外観も良好でないことがわかる。実施例2と比較例6の比較からは、(D)成分であるオレフィン系ワックスが多すぎる場合には、メッキ性が劣ると共に高温特性にも劣るものとなることがわかる。更に実施例2と比較例7との比較より(C)成分の代わりにガラス繊維を使用した場合には、メッキ性、高温特性等は良好であるが、メッキ外観が著しく不良であり実用的価値のないことがわかる。一方(C)成分の代わりにタルクを使用した場合には、メッキ外観は良好であるが高温特性が不十分であることがわかる。また実施例6と比較例5の比較より、(D)成分であるオレフィン系ワックスの配合量が本発明の範囲より多い場合には、高温特性及び耐衝撃性に劣ることがわかる。
【0039】
【発明の効果】
本発明のメッキ製品は、メッキ性、高温特性、及び耐衝撃性に優れ且つメッキ外観が良好であって、自動車分野、OA機器分野及び電子電気機器分野等の各種工業用途に極めて有用であり、特に自動車分野のレバー類、自動車分野のスイッチ類、及び携帯電子機器の筐体のような使用環境条件が厳しく、かつ荷重のかかる用途に極めて適しており、特に自動車のインナードアハンドルのように高い荷重のかかる用途に最適である。

Claims (2)

  1. (A)ポリカーボネート樹脂10〜65重量%及び(B)ジエン系ゴム成分にシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物をグラフトした熱可塑性グラフト共重合体90〜35重量%から実質的になる樹脂組成物100重量部に(C)珪酸カルシウムを主成分とする繊維状無機充填材1〜50重量部及び(D)カルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス0.02〜5重量部を配合してなるポリカーボネート樹脂組成物から形成された成形品にメッキしてなるメッキ製品。
  2. (C)珪酸カルシウムを主成分とする繊維状無機充填材の粒子径分布が3μm以上が75%以上、10μm以上が5%以下で且つアスペクト比L/Dが8以上である請求項1記載のメッキ製品。
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