JP4166440B2 - 工作機械におけるワーク搬出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、工作機械におけるワークの搬出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、工作機械においては、フレームの上面にワークを支持するテーブルが旋回可能に設けられ、フレームの後側にコラムが設けられ、このコラムの上部に工具を保持するための主軸が装着されている。又、前記テーブルにはワークをクランプするクランプ機構と、加工済みワークを持ち上げる持ち上げ機構が設けられている。ワークのテーブルへの搬入作業は手作業により行われ、加工済みワークの搬出作業は、クランプ機構によるワークのクランプを解除した後、持ち上げ機構によりワークを持ち上げ、この状態でテーブルに装着されたワーク押し出し機構によりワークをテーブル前方である作業者側へ押し出すようにして行われるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来のワークの押し出し機構は、ワークを加工用の主軸及びテーブルの前方である作業者のいる前方に向かって押し出す構造となっているため、特に横型工作機械の場合には、押し出し機構の設置スペースが限定されるという問題があった。
【0004】
又、ワークが作業者側へ押し出されると、そのワークの寸法だけ作業者とテーブルの間の間隔が広くなり、ワークをテーブルに搬入する際の作業性が悪くなるという問題があった。
【0005】
この発明は上記従来の技術に存する問題点を解消するためになされたものであって、その目的はワークの搬出装置の設置上の自由度を高めることができるとともに、作業者とテーブルとの間の距離を短くして、機械との接近性を高めるとともに、ワークをテーブルに搬入する作業を容易に行うことができる工作機械におけるワーク搬出装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、フレームに装着された旋回可能なテーブルにワークを支持してクランプ機構によりクランプした状態で、ワークに加工を行うようにした工作機械において、前記テーブルに設けられ、加工されたワークをクランプ解除状態で持ち上げるワーク持ち上げ機構を備え、前記フレーム側に昇降及び水平移動可能に設けられ、かつ前記ワーク持ち上げ機構により持ち上げられた加工済みワークを受け取ってテーブルの左又は右側方へ移動するワーク搬出機構を備え前記ワーク搬出機構は、前記テーブルの側方に移動されたワークを仮置きする仮置き台を備え、前記仮置き台の下方に設定された原位置からワーク搬送爪を前進して前記テーブル上から持ち上げられたワークの下方に進入し、その後、ワーク搬送爪により前記持ち上げられたワークをさらに持ち上げて搬送爪に移載してから後退し、前記ワーク搬送爪を下降してワークを仮置き台に渡し、原位置に復帰するように構成されていることを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記ワーク搬出機構の原位置は前記テーブルを支持する軸受台の中間高さに位置し、前記ワーク搬送爪は前記軸受台よりも幅広になるように複数設けられていることを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2において、前記ワーク搬出機構は、テーブルの側方へ移動されたワークを前方へ移動する機構を備えていることを要旨とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項において、前記仮置き台にワーク検出器を設けたことを要旨とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の工作機械におけるワーク搬出装置を具体化した一実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。
【0012】
図1及び図2に示すようにフレーム11の上部には軸受台12,13が固設され、両軸受台12,13には駆動軸14及び被動軸15を介してワーク把持機構16が装設されている。前記軸受台12には前記駆動軸14を回転する駆動モータ17が取り付けられ、前記駆動軸14と被動軸15には旋回板18,19が取り付けられ、両旋回板18,19にはブラケット20,21を介してワークを支持するテーブル22が架設されている。前記テーブル22の上面にはワークを支持するための複数の支持ブロック23〜27が立設されている。前記支持ブロック24,26にはロケートピン28,29が設けられ、ワークWの位置決めを行うようになっている。
【0013】
前記テーブル22には前記支持ブロック23、25、27と対応して第1〜第3クランプ機構31〜33が装着され、ワークWを複数箇所においてクランプするようになっている。前記第1〜第3クランプ機構31〜33はそれぞれ同様に構成されているので、第2クランプ機構32について図4を中心に説明する。前記テーブル22の上面には支柱34が取り付けられ、この支柱34の上端部には連結リング35が連結ピン36を介して連結され、前記連結リング35の他端部にはクランプレバー37が連結ピン38を介して連結されている。一方、前記テーブル22にはシリンダ39が上向きに固設され、そのピストンロッド40の上端部には連結ピン41を介してクランプレバー37の基端部が連結されている。
【0014】
従って、前記シリンダ39のピストンロッド40が上方又は下方向に往復動されるとクランプレバー37によってワークWがクランプ又はクランプ解除される。
【0015】
図1及び図5に示すように、前記テーブル22には持ち上げシリンダ43が上向きに設けられ、そのピストンロッド43aには持ち上げプレート44が水平に支持されている。持ち上げプレート44の下面には案内ロッド45がピストンロッド43aと平行に取り付けられ、この案内ロッド45はテーブル22に立設した案内筒46内に挿入されている。このように構成したワーク持ち上げ機構42によって、前記支持ブロック23〜25に支持されているワークWをクランプ解除状態で上方に所定距離だけ持ち上げることができるようになっている。
【0016】
次に、図1及び図2を中心に前記ワーク把持機構16に支持されたワークWを加工後に搬出するためのワーク搬出機構51について説明する。
図2に示すようにフレーム11の背面にはコラム52が固定され、コラム52の上端部には水平移動用シリンダ53が設けられている。この水平移動用シリンダ53には複数本の水平移動ロッド54が互いに平行に支持され、水平方向の往復動可能となっている。水平移動ロッド54の左端部には昇降用シリンダ55が下向きに取り付けられ、そのピストンロッド56の下端部にはブラケット57を介してワークを支持するためのワーク搬送爪58が取り付けられている。前記一方の軸受台13の直上には加工されたワークWを一時的に載置するための仮置き台59が取り付けられている。この仮置き台59の近傍には仮置き台59にワークWが受け渡されたことを確認するためのワーク検出器60が設けられている。
【0017】
前記ワーク搬送爪58は図2に示すように工作機械の右側方から見て前記持ち上げプレート44及び軸受台13よりも幅広になるように左右対称に設けられ、両ワーク搬送爪58はそれぞれ側面L字状に形成されている。前記ワーク搬出機構51のワーク搬送爪58の原位置は前記テーブル22を支持する軸受台13の中間高さに位置している。
【0018】
図2に示すようにフレーム11の後側部にはベッド61上にコラム62が前後方向の往復動可能に装設され、コラム62には主軸63が図示しない昇降サドルを介して取り付けられ、その先端には前記ワークWに加工を施すための工具64が支持されている。なお、図1においてはコラム62、主軸63及び工具64は省略されている。
【0019】
次に、前記のように構成した工作機械の動作について図6及び図7を中心に説明する。
図1及び図6(a)はワーク搬送爪58が仮置き台59の下方の原位置に停止され、ワークWがテーブル22に支持され、クランプ機構31〜33によりクランプされた状態を示す。この状態で、駆動モータ17を作動してテーブル22を旋回させ、ワークWの把持姿勢を水平状態から垂直状態に変更する。次に、図2に示す主軸63に装着された工具64によりワークWの加工作業を行う。加工作業が終了した後、テーブル22及びワークWを元の水平状態に戻し、ワークWのクランプ状態をシリンダ39を作動して解除する。この状態でワークWの搬出動作が以下のようにして行われる。
【0020】
図6(a)において、持ち上げシリンダ43が作動されると持ち上げプレート44によりワークWが実線で示す位置から鎖線で示す位置に持ち上げられ、ワークWがワーク搬送爪58よりも若干高い位置に保持される。
【0021】
次に、この状態において水平移動用シリンダ53が作動されると、ワーク搬送爪58がワークWに向かって前進され、図6(b)に示すようにワーク搬送爪58がワークWの下面近傍に移動される。
【0022】
次に、昇降用シリンダ55が作動されてワーク搬送爪58が上方に所定距離だけ持ち上げられると、図6(c)に示すようにワークWも持ち上げられる。
その後、図6(d)に示すようにワーク搬送爪58及びワークWが仮置き台59の直上所定位置に向かって移動される。
【0023】
さらに、この状態でワーク搬送爪58が下方に移動されると、図6(e)に示すようにワークWはワーク搬送爪58の下降開始直後において仮置き台59に受け渡され、ワーク搬送爪58は仮置き台59の下方原位置に停止される。
【0024】
前記仮置き台59にワークWが載置されると、ワーク検出器60によりワークが検知され、作業者に報知される。
以上のようにして加工されたワークWがワーク把持機構16から搬出されて仮置き台59に受け渡される。作業者は仮置き台59上のワークWを受け取って、次工程の工作機械へ搬送する。
【0025】
次に、前記のように構成した工作機械のワーク搬出装置について、その効果を構成とともに記載する。
(1)前記実施形態ではワーク把持機構16と分離した位置にワーク搬出機構51を設けたので、ワーク把持機構16に対し複雑なワーク搬出機構を装設する必要がない。このため、ワークW加工用の主軸63の位置に制約を受けることなく、ワーク搬出機構51を設置することができ、設置スペース上の自由度を向上することができる。
【0026】
(2)前記実施形態ではワーク把持機構16に保持されていたワークWを側方に変位するようにしたので、ワークWを搬出するためのスペースをワーク把持機構16のテーブル22と作業者との間に設ける必要がなくなる。この結果ワークWのワーク把持機構16のテーブル22への搬入作業を容易に行うことができる。
【0027】
(3)前記実施形態では、軸受台12の直上に仮置き台59を設け、仮置き台59に近接してワーク検出器60を設けたので、仮置き台59上にワークWがあるか否かをワーク検出器60によって確認することができる。このため、ワーク搬出動作の終了を容易に確認でき、ワークの搬入動作を適時に行うことができる。
【0028】
(4)前記実施形態では、前記ワーク搬送爪58は工作機械の右側方から見て前記持ち上げプレート44よりも幅広になるように、かつ原位置にあるとき軸受台13を跨ぐように該軸受台13の中間高さ位置に複数(この実施形態では二つ)設けられている。このため、軸受台13の回転中心に対しテーブル22の回動重心がほぼ一致するようにテーブル22をバランス良く装着することができ、テーブル22の剛性を高くして配設することができ、ワークを精度良く加工することができる。
【0029】
なお、前記実施形態は次のように変更することもできる。
・前記ワーク搬出機構51のワーク搬送爪58を工作機械の左側から右側に装設すること。
【0030】
・前記ワーク搬送爪58を仮置き台59側に後退させた後、ブラケット57に設けた前後方向に移動するシリンダによりワーク搬送爪58を前方に移動させて、ワーク搬送爪58上のワークWを作業者側に接近させるようにすること。
【0031】
この別例ではワークの搬出動作を容易に行うことができる。
【0032】
【発明の効果】
以上、詳述したように、請求項1〜記載の発明は、ワークの搬出装置の設置上の自由度を高めることができる。又、作業者とワーク把持機構のテーブルとの間の距離を短くして、工作機械の接近性を高め、ワークをテーブルに搬入する作業を容易に行うことができる。請求項4記載の発明は、仮置き台上にワークがあるか否かをワーク検出器によって確認することができるため、ワーク搬出動作の終了を容易に確認でき、ワークの搬入動作を適時に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明を具体化した工作機械のワーク搬出装置の一実施形態を示す正面図。
【図2】 図1の右側主軸台を省略した側面図。
【図3】 ワーク把持機構の平面図。
【図4】 ワークのクランプ機構の正断面図。
【図5】 ワーク打ち上げ機構を示す断面図。
【図6】 (a)〜(e)はワークの搬出動作を説明するための略体説明図。
【図7】 ワークの搬出動作を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
11…フレーム、22…テーブル、31〜33…第1〜第3クランプ機構、42…ワーク持ち上げ機構、51…ワーク搬出機構、53…水平移動用シリンダ、55…昇降用シリンダ、58…ワーク搬送爪、59…仮置き台、60…ワーク検出器。

Claims (4)

  1. フレームに装着された旋回可能なテーブルにワークを支持してクランプ機構によりクランプした状態で、ワークに加工を行うようにした工作機械において、
    前記テーブルに設けられ、加工されたワークをクランプ解除状態で持ち上げるワーク持ち上げ機構を備え、
    前記フレーム側に昇降及び水平移動可能に設けられ、かつ前記ワーク持ち上げ機構により持ち上げられた加工済みワークを受け取ってテーブルの左又は右側方へ移動するワーク搬出機構を備え
    前記ワーク搬出機構は、前記テーブルの側方に移動されたワークを仮置きする仮置き台を備え、前記仮置き台の下方に設定された原位置からワーク搬送爪を前進して前記テーブル上から持ち上げられたワークの下方に進入し、その後、ワーク搬送爪により前記持ち上げられたワークをさらに持ち上げて搬送爪に移載してから後退し、前記ワーク搬送爪を下降してワークを仮置き台に渡し、原位置に復帰するように構成されていることを特徴とする工作機械におけるワーク搬出装置。
  2. 請求項1において、前記ワーク搬出機構の原位置は前記テーブルを支持する軸受台の中間高さに位置し、前記ワーク搬送爪は前記軸受台よりも幅広になるように複数設けられている工作機械におけるワーク搬出装置。
  3. 請求項1または請求項2において、前記ワーク搬出機構は、テーブルの側方へ移動されたワークを前方へ移動する機構を備えている工作機械におけるワーク搬出装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項において、前記仮置き台にワーク検出器を設けたことを特徴とする工作機械におけるワーク搬出装置
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