JP4165317B2 - 自動車の操舵装置用回転シャフトの結合構造 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、シャフトとスリーブとが結合されてステアリングシャフトとコラムシャフトとの間で回転力を伝達する自動車の操舵装置用回転シャフトの結合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の操舵装置には、ステアリングホイールに連結されたコラムシャフトと、ステアリングギヤに連結されたステアリングシャフトとの間に、ステアリングジョイントが介在している。このステアリングジョイントは、中間シャフト(回転シャフト)の一端にコラムシャフトを接続し、他端にステアリングシャフトを接続したものである。上記中間シャフトは、コラムシャフトのトルクをステアリングシャフトに伝達する必要があるので、通常、スリーブとシャフトとを、セレーションやスプラインによって結合している。このステアリングジョイントにおいては、スリーブとシャフトとの間でがたつきが生じると、操舵フィーリングを損ねたり、振動や異音が発生したりする恐れがある。
そこで、スリーブとシャフトとのがたつきを防止するための方法として、クリップを装着する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−293573号公報(第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の自動車の操舵装置用回転シャフトの結合構造は、がたつきを防止するクリップ等の別部品が必要であった。従って、部品点数が増加するので、組み付けの手間と時間が必要となり、コストアップを招いていた。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、クリップ等の別部品を設けることなく、スリーブとシャフトとの間で生じるがたつきを確実に防止することができる自動車の操舵装置用回転シャフトの結合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、端部内周面の軸方向に内周歯が形成された筒状のスリーブと、端部外周面の軸方向に前記内周歯に係合する外周歯が形成されるとともに、歯が形成されない欠歯部が対向して軸方向に形成された棒状のシャフトとを備え、前記シャフトが前記スリーブに挿入されることによって、ステアリングシャフトとコラムシャフトとの間で回転力を伝達可能に結合される自動車の操舵装置用回転シャフトの結合構造であって、前記スリーブの内周歯は、隣り合う歯のピッチ円径が徐々に変化して形成され、前記欠歯部は、前記シャフトと前記スリーブとが結合した状態で、前記スリーブの内周歯との間に隙間を確保するように形成されていることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、隣り合う歯のピッチ円径が段階的に変化して形成されたスリーブの内周歯とシャフトの外周歯とが係合する位置をずらすことによって、内周歯と外周歯とを適切な噛み合せ力で結合させることができる。従って、ステアリングシャフトとコラムシャフトとの間で回転力を伝達するシャフトとスリーブとの間で生じるがたつきを確実に防止することができる。
【0007】
また、前記内周歯は、前記内周歯が前記端部内周面の全周に連続して形成されているのが好ましい。
この場合には、スリーブの内周歯とシャフトの外周歯とが係合する位置をずらすことのできる範囲を、広くすることができる。
【0008】
また、前記端部内周面には、前記内周歯で構成された歯形パターンが、前記スリーブの周方向に繰り返して配置されるとともに、等配されているのが好ましい。
この場合には、歯形パターンが、スリーブの周方向に繰り返して配置されるとともに、等配されているので、同じピッチ円径の歯が、スリーブの周方向に等配される。従って、スリーブとシャフトとが結合されたときに生じる互いの中心軸のずれを防止することができる。
【0009】
また、前記スリーブのシャフトが挿入される側の端部には、当該スリーブの外周面が軸方向に延設され、その内周径が前記外周歯の最外径より大きく形成された延設部が設けられているのが好ましい。
【0010】
この場合には、延設部の内周径が、シャフトの外周歯の最外径より大きく形成されているので、延設部に沿って容易にシャフトをスリーブに挿入することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る自動車の操舵装置用回転シャフト1の結合構造を適用した、例えば、自動車の操舵装置におけるステアリングジョイント2を示している。
このステアリングジョイント2は、自動車の操舵装置において、ステアリングシャフト3とコラムシャフト4とを連結し、回転力を伝達するもので、中間シャフトとして、伸縮可能な回転シャフト1の両端部のそれぞれに、自在継手5が設けられている。前記回転シャフト1の一端には、互いに対をなして一方の自在継手5の十字軸6を支持する第1のヨークY1及び第2のヨークY2が設けられており、回転シャフト1の他端には、互いに対をなして他方の自在継手5の十字軸6を支持する第3のヨークY3及び第4のヨークY4が設けられている。
【0012】
前記第2のヨークY2及び第3のヨークY3は、回転シャフト1の一端及び他端にそれぞれ溶接されている。また、前記第1のヨークY1は筒状の軸継手11に溶接されており、この軸継手11にステアリングシャフト3の一端部が導入されてクランプされている。更に、前記第4のヨークY4は、コラムシャフト4の一端部に溶接されている。回転シャフト1は、一端に第2のヨークY2が溶接された筒状のスリーブ12と、一端に第3のヨークY3が溶接され、スリーブ12の内周に圧入された棒状のシャフト13とを備えている。
【0013】
図2は、第一実施形態に係る回転シャフト1を示している。また、図3は、スリーブ12を示しており、図4は、スリーブ12とシャフト13とが結合された状態を示している。
シャフト13は、図2に示すように、例えば、中実の丸鋼材で構成されており、その端部外周面14が、断面小判状に形成されている。端部外周面14は、一対の円弧状の曲面部15と、一対の矩形状の平面部16とを有しており、共にシャフト13の軸方向に所定の長さで形成されている。一対の曲面部15には、外周歯として、例えば、一対の雄スプライン17がシャフト13の径方向に対向して形成されている。一対の平面部16は、雄スプライン17が形成されない欠歯部であり、一対の雄スプライン17が対向する方向と直交する方向に形成されている。また、シャフト13のスリーブ12に挿入する側の先端周縁部には、所定の寸法で面取りされた面取り部13aが設けられている。
【0014】
スリーブ12は、図2に示すように、例えば、円筒の鋼材で構成されており、端部内周面18の全周に形成された内周歯19と、シャフト13が挿入される側の端部から外周面12aが軸方向に延設され、その内周面に内周歯19が形成されない平滑部20を有する延設部21とを備えている。内周歯19は、例えば、雌スプラインであり、スリーブ12の軸方向に所定の長さで形成されている。図3に示すように、雌スプライン19の隣り合う雌歯19aのピッチ円半径rは、徐々に変化して形成されている。具体的には、ピッチ円半径rが、反時計回り方向に所定の寸法で徐々に小さくなるように形成されている。また、ピッチ円半径rが最大となる雌歯19a−maxと、最小となる雌歯19a−minとの間には、段差部19bが形成されている。また、スリーブ12の延設部21の内周径は、シャフト13の雄スプライン17の最外径より若干大きく形成されている。
【0015】
上記のように構成された回転シャフト1は、図4に示すように、シャフト13に平面部16が形成されることによって、スリーブ12の雌スプライン19とシャフト13の雄スプライン17とが係合する係合部22と、スリーブ12の雌スプライン19と係合しない非係合部23とが設けられている。この非係合部23においては、シャフト13の平面部16とスリーブ12の端部内周面18(雌スプライン19)との間に隙間24が形成されている。また、係合部22において、シャフト13の雄スプライン17のピッチ円半径rは、スリーブ12のピッチ円半径rが最大となる雌歯19a−maxと、最小となる雌歯19a−minとの中間値に形成されている。
【0016】
次に、回転シャフト1の組み付けについて説明する。
ここで、シャフト13及びスリーブ12のそれぞれの基準角度を、次のように定義する。スリーブ12の基準角度は、段差部19bが図4における上方向に配置される状態をいい、シャフト13の基準角度は、一対の雄スプライン17が対向する方向が図4における上下方向となる状態をいうものとする。
【0017】
まず、図4に示すように、シャフト13を基準角度に対して、例えば、反時計回り方向に略100度回転させた状態でスリーブ12に挿入する。このとき、シャフト13は、スリーブ12の延設部21に導かれつつスリーブ12に挿入される。延設部21の内周面は、その内周径が雄スプライン17の最外径より若干大きく形成されているので、延設部21に沿って容易にシャフト13をスリーブ12に挿入することができる。なお、延設部21の内周面は、雌スプライン19が形成されない平滑部20で構成されているので、シャフト13の雄スプライン17と延設部21の平滑部20とが互いに干渉するのを防止することができる。また、シャフト13の先端周縁部には、面取り部13aが形成されているので、雄スプライン17と平滑部20とが互いに干渉するのをより一層防止することができる。
【0018】
挿入されたシャフト13の平面部16とスリーブ12の雌スプライン19との間には、隙間24が形成される。雄スプライン17の雄歯17aは、雌スプライン19におけるピッチ円半径rが小さく形成された雌歯19aと係合され、雌スプライン19と雄スプライン17との間で強い噛み合わせ力が生じる。スリーブ12は、シャフト13の雄スプライン17によって、図4におけるX−X方向(一対の雄スプライン17が対向する方向)に押し広げられ、断面楕円状に弾性ないし塑性変形する。このとき、図4におけるX−Xに直交するY−Y方向(一対の平面部16が対向する方向)では、スリーブ12の径が狭まるように変形する。このとき、隙間24が形成されているので、スリーブ12は容易に変形する。
【0019】
上記のように結合された回転シャフト1は、シャフト13の雄スプライン17とスリーブ12の雌スプライン19とが互いに係合しつつシャフト13がスリーブ12に挿入されている。この回転シャフト1は、雌スプライン19と雄スプライン17とが強い噛み合わせ力で係合されているので、回転方向におけるがたつきの発生を確実に防止することができる。また、雌スプライン19の隣り合う雌歯19aのピッチ円半径rが反時計回り方向に小さくなるように形成されているので、シャフト13を中心軸13c周りに回転させる角度を選択することによって、雌スプライン19と雄スプライン17とを噛み合わせ力が弱い状態で係合させることもできる。この場合の回転シャフト1は、軸方向に伸縮させることが可能となる。
【0020】
このように、回転シャフト1は、シャフト13を中心軸13c周りに回転させる角度を選択することによって、雌スプライン19と雄スプライン17とを適切な噛み合わせ力で係合させることができる。従って、別部品を用いることなく、スリーブ12とシャフト13との間で生じるがたつきを確実に防止することができる。さらに、クリップ等でがたつきを防止する従来の回転シャフトに比べて、クリップ等の別部品を必要としないので、部品点数を削減することができる。すなわち、組み付けに要する手間と時間を削減することができるので、コストを削減することができる。
【0021】
図5は、本発明の第二実施形態に係る自動車の操舵装置用回転シャフト1のスリーブ12を示しており、図6は、スリーブ12とシャフト13とが結合された状態を示している。
図5に示すように、この回転シャフト1のスリーブ12の端部内周面18には、歯形パターンPがスリーブ12の周方向に繰り返して2つ配置されるとともに、スリーブ12の周方向に2等配されている。この歯形パターンPは、雌スプライン19の隣り合う雌歯19aのピッチ円半径rが徐々に変化して構成されている。具体的には、隣り合う雌歯19aのピッチ円半径rが、スリーブ12の中心軸12c周りの反時計回り方向に大きくなるように形成されている。また、係合部22において、シャフト13の雄スプライン17のピッチ円半径rは、スリーブ12のピッチ円半径rが最大となる雌歯19a−maxと、最小となる雌歯19a−minとの中間値に形成されている。
【0022】
次に、回転シャフト1の組み付けについて説明する。
ここで、シャフト13及びスリーブ12のそれぞれの基準角度を、次のように定義する。スリーブ12の基準角度は、ピッチ円半径rが最小となる19a−minが図5における上下方向に配置される状態をいい、シャフト13の基準角度は、一対の雄スプライン17が対向する方向が図4における上下方向となる状態をいうものとする。
【0023】
まず、図6に示すように、シャフト13を基準角度に対して、例えば、反時計回り方向に略60度回転させた状態でスリーブ12に挿入する。挿入されたシャフト13の平面部16とスリーブ12の雌スプライン19との間には、隙間24が形成される。雄スプライン17の雄歯17aは、雌スプライン19におけるピッチ円半径rが小さく形成された雌歯19aと係合される。このとき、雌スプライン19と雄スプライン17との間で強い噛み合わせ力が生じる。スリーブ12は、シャフト13の雄スプライン17によって、図6におけるX−X方向(一対の雄スプライン17が対向する方向)に押し広げられ、断面楕円状に弾性ないし塑性変形する。このとき、図6におけるX−Xに直交するY−Y方向(一対の平面部16が対向する方向)では、スリーブ12の径が狭まるように変形する。このとき、隙間24が形成されているので、スリーブ12は容易に変形する。
【0024】
上記のように結合された回転シャフト1は、シャフト13の雄スプライン17とスリーブ12の雌スプライン19とが互いに係合しつつシャフト13がスリーブ12に挿入されている。この回転シャフト1は、雌スプライン19と雄スプライン17とが強い噛み合わせ力で係合されているので、回転方向におけるがたつきの発生を確実に防止することができる。また、雌スプライン19の隣り合う雌歯19aのピッチ円半径rが反時計回り方向に大きくなるように形成されているので、シャフト13を中心軸13c周りに回転させる角度を選択することによって、雌スプライン19と雄スプライン17とを噛み合わせ力が弱い状態で係合させることもできる。この場合の回転シャフト1は、軸方向に伸縮させることが可能となる。
【0025】
このように、回転シャフト1は、シャフト13を中心軸13c周りに回転させる角度を選択することによって、雌スプライン19と雄スプライン17とを適切な噛み合わせ力で係合させることができる。従って、別部品を用いることなく、スリーブ12とシャフト13との間で生じるがたつきを確実に防止することができる。さらに、歯形パターンPが、スリーブ12の周方向に繰り返して2つ配置されるとともに、スリーブ12の周方向に2等配されているので、同じピッチ円半径rの雌歯19aが、スリーブ12の周方向に等配される。従って、スリーブ12とシャフト13とが結合されたときに生じる互いの中心軸12c,13cのずれを防止することができる。
【0026】
図7は、本発明の参考例に係る自動車の操舵装置用回転シャフト1のシャフト13の雄スプライン17を示しており、図8は、スリーブ12の雌スプライン19を示している。図9は、歯山パターンPAと歯溝パターンPBとの関係を示している。
この回転シャフト1のシャフト13は、図7(a)に示すように、例えば、中空の丸鋼材で構成されており、その端部外周面14の全周に雄スプライン17が形成されている。雄スプライン17は、隣り合う歯山17Aの山幅が段階的に変化してなる歯山パターンPAが、周方向に繰り返して4つ配置されるとともに、4等配されて構成されている。雄スプライン17の各歯山17Aは、図7(b)に示すように、所定の形成ピッチpで周方向に等配されている。
【0027】
ここで、雄スプライン17と雌スプライン19とが係合する際に生じるがたつき量(がた量)のばらつきは、±dの範囲で正規分布をとるものとする。このがた量の最大値である2dを吸収できるように、歯山パターンPAの各歯山17Aの山幅と歯溝パターンPBの各歯溝19Aの溝幅とを構成するものとする。
【0028】
歯山パターンPAは、基準として中央に配置された歯山17A−Sの山幅がLで形成され、歯山17A−Sの両サイドに並ぶ歯山17Aの山幅が、所定幅d/2だけ小さくなるように形成されている。このように、構成された歯山パターンPAは、その両端部に配置される歯山17A−Tの山幅と中央に配置された歯山17A−Sの山幅とにおいて2dの差が生じている。すなわち、この歯山パターンPAの各歯山17Aには、最大がた量2dを吸収する調整代が等配されていることになる。
【0029】
スリーブ12は、図8(a)に示すように、例えば、円筒の鋼材で構成されており、端部内周面18の全周に雌スプライン19が形成されている。雌スプライン19は、隣り合う歯溝19Aの溝幅が段階的に変化してなる歯溝パターンPBが、周方向に繰り返して4つ配置されるとともに、4等配されて構成されている。また、雌スプライン19の各歯溝19Aは、図8(b)に示すように、所定の形成ピッチpで周方向に等配されている。
【0030】
歯溝パターンPBは、基準となる2つの歯溝19A−Sの溝幅がLで形成され、歯溝19A−Sの隣り合う歯溝19Aの溝幅が所定幅d/2だけ変化するように形成されている。具体的には、歯溝19A−Sから中央に配置された歯溝19A−Cに向かうにつれて溝幅が大きくなり、歯溝19A−Sから両端に配置された歯溝19A−Tに向かうにつれて溝幅が小さくなるように形成されている。
このように構成された歯溝パターンPBは、その両端部に配置される歯溝19A−Tの山幅と中央に配置された歯溝19A−Cの溝幅とにおいて2dの差が生じている。すなわち、この歯溝パターンPBの各歯溝19Aには、最大がた量2dを吸収する調整代が等配されていることになる。
【0031】
上記のように構成された歯溝パターンPBは、歯山パターンPAとの関係において、図9に示すように、対向する歯山パターンPAの各歯山17Aの山幅に対して各歯溝19Aの溝幅がそれぞれdだけ大きくなるように形成されている。
次に、上記のように構成された歯溝パターンPBを有するスリーブ12と、歯山パターンPAを有するシャフト13とを結合する組み合わせについて、3つの結合パターンA,B,Cを例として説明する。
【0032】
図10は、結合パターンAの歯山パターンPAと歯溝パターンPBとの関係を示しており、図11は、図10の関係で係合させた状態を示している。
結合パターンAは、歯山17A及び歯溝19Aに、がた量がない場合の結合であって、図10に示すように、歯山パターンPAを歯溝パターンPBに対して2ピッチ(2p)、図10の右側にずらした状態で結合させるものである。この状態で結合された回転シャフト1は、図11に示すように、係合する歯溝19Aと歯山17Aとの幅方向に隙間が形成されて係合した隙間係合部30と、幅方向に互いの歯が当接して係合した当接係合部31とを有している。この結合パターンAの場合、当接係合部31において、歯溝19Aと歯山17Aとの間に摩擦抵抗力が生じるので、スリーブ12に対してシャフト13が軸方向に容易にスライドするのを防止することができる。また、歯溝19Aと歯山17Aとが当接しているので、回転方向におけるがたつきを防止することができる。
【0033】
図12は、結合パターンBの歯山パターンPAと歯溝パターンPBとの関係を示しており、図13は、図12の関係で係合させた状態を示している。
結合パターンBは、例えば、雄スプライン17の歯山17A−Sに、がた量として−dが生じた場合であって、図12に示すように、歯山パターンAを歯溝パターンBに対して4ピッチ(4p)、図12の右側にずらした状態で結合させるものである。この状態で結合された回転シャフト1は、図13に示すように、係合する歯溝19Aと歯山17Aとの幅方向に隙間が形成されて係合した隙間係合部30と、同幅方向に歯溝19Aと歯17Aとが当接して係合した当接係合部31とを有している。この結合パターンBの場合においても、当接係合部31において摩擦抵抗力が生じるので、スリーブ12に対してシャフト13が軸方向に容易にスライドするのを防止することができる。また、歯溝19Aと歯山17Aとが当接しているので、回転方向におけるがたつきを防止することができる。
【0034】
図14は、結合パターンCの歯山パターンPAと歯溝パターンPBとの関係を示しており、図15は、図14の関係で係合させた状態を示している。
結合パターンCは、例えば、雄スプライン17の歯山17A−Sに、がた量として+dが生じた場合であって、図14に示すように、歯山パターンAと歯溝パターンBとをずらすことなくそのままの状態で結合させるものである。この状態で結合された回転シャフト1は、図15に示すように、係合する歯溝19Aと歯山17Aとの幅方向に隙間が形成されて係合した隙間係合部30と、同幅方向に歯溝19Aと歯17Aとが当接して係合した当接係合部31とを有している。つまり、この結合パターンCの場合においても、他の結合パターンA,Bと同様の作用効果を得ることができる。
【0035】
上記のように、雄スプライン17の歯山17A−Sに生じたがた量が±dの範囲であれば、雄スプライン17の歯山17A−Sを、雌スプライン17のいずれかの歯溝19Aと当接して係合させることができる。また、歯山17A−Sのみではなく、それ以外の歯山17Aにがた量が生じた場合においても同様に係合させることが可能である。また、逆に、雌スプライン19の歯溝19Aにがた量が生じた場合においても同様であり、歯山17Aと歯溝19Aとにがた量が二分されても同様である。つまり、歯溝19Aと歯山17Aとが係合する位置をずらすことによって、歯溝19Aの溝幅及び歯山17Aの山幅に生じたがた量を吸収して雌スプライン19の歯溝19Aと雄スプライン17の歯山17Aとを係合することができる。従って、別部品を用いることなく、スリーブとシャフトとの間で生じるがたつきを確実に防止することができる。また、4対の歯溝パターンPB及び歯山パターンPAは、スリーブ12及びシャフト13の周方向に繰り返して4つ配置されるとともに、4等配されているので、同じ溝幅の歯溝19A及び同じ山幅の歯山17Aが、スリーブ12及びシャフト13の周方向に等配される。従って、スリーブ12とシャフト13とが結合されたときに生じる互いの中心軸12c,13cのずれを防止することができる。
【0036】
なお、本発明は前記した実施形態に限定されるものではない。
例えば、シャフト13とスリーブ12とが、セレーション結合された自動車の操舵装置用回転シャフト1にも本発明を適用することが可能である。また、歯溝パターンPBの歯溝19A及び歯山パターンPAの歯山17Aは、その溝幅及び山幅の変化量やパターン等について限定するものではない。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、自動車の操舵装置用回転シャフトにおいて、隣り合う歯のピッチ円径が段階的に変化して形成されたスリーブの内周歯とシャフトの外周歯とが係合する位置をずらすことによって、内周歯と外周歯とを適切な噛み合せ力で結合させることができる。従って、別部品を用いることなく、シャフトとスリーブとの間で生じるがたつきを確実に防止することができるので、振動や異音が発生するのを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】 本発明の自動車の操舵装置用回転シャフトの結合構造を適用したステアリングジョイントの正面図である。
【図2】 本発明の第一実施形態に係る自動車の操舵装置用回転シャフトの結合構造を示す斜視図である。
【図3】 本発明の第一実施形態に係る自動車の操舵装置用回転シャフトのスリーブの断面図である。
【図4】 本発明の第一実施形態に係る自動車の操舵装置用回転シャフトの結合構造を示す断面図である。
【図5】 本発明の第二実施形態に係る自動車の操舵装置用回転シャフトのスリーブの断面図である。
【図6】 本発明の第二実施形態に係る自動車の操舵装置用回転シャフトの結合構造を示す断面図である。
【図7】 (a)は、本発明の参考例に係る自動車の操舵装置用回転シャフトの結合構造におけるスリーブの断面図を示し、(b)は、同内周歯の歯溝パターンを直線上に展開した模式的展開図である。
【図8】 (a)は、本発明の参考例に係る自動車の操舵装置用回転シャフトの結合構造におけるシャフトの断面図を示し、(b)は、同外周歯の歯山パターンを直線上に展開した模式的展開図である。
【図9】 本発明の参考例に係る自動車の操舵装置用回転シャフトの結合構造における歯溝パターンと歯山パターンとの関係を示す模式的展開図である。
【図10】 本発明の参考例に係る自動車の操舵装置用回転シャフトの結合構造における歯溝パターンに対して歯山パターンを2ピッチずらして結合させるときの歯溝と歯山との関係を示す模式的展開図である。
【図11】 本発明の参考例に係る自動車の操舵装置用回転シャフトの結合構造における歯溝パターンに対して歯山パターンを2ピッチずらして結合させた状態を示す模式的展開図である。
【図12】 本発明の参考例に係る自動車の操舵装置用回転シャフトの結合構造における歯溝パターンに対して歯山パターンを4ピッチずらして結合させるときの歯溝と歯山との関係を示す模式的展開図である。
【図13】 本発明の参考例に係る自動車の操舵装置用回転シャフトの結合構造における歯溝パターンに対して歯山パターンを4ピッチずらして結合させた状態を示す模式的展開図である。
【図14】 本発明の参考例に係る自動車の操舵装置用回転シャフトの結合構造における歯溝パターンと歯山パターンとをずらすことなく結合させるときの歯溝と歯山との関係を示す模式的展開図である。
【図15】 本発明の参考例に係る自動車の操舵装置用回転シャフトの結合構造における歯溝パターンと歯山パターンとをずらすことなく結合させた状態を示す模式的展開図である。
【符号の説明】
【0039】
1 自動車の操舵装置用回転シャフト
12 スリーブ
12a スリーブの外周面
13 シャフト
14 シャフトの端部外周面
16 平面部(欠歯部)
17 雄スプライン(外周歯)
17A 雄スプラインの歯山
18 スリーブの端部内周面
19 雌スプライン(内周歯)
19a 雌スプラインの雌歯(歯)
19A 雌スプラインの歯溝
21 延設部
r ピッチ円半径(ピッチ円径)
P 歯形パターン
PA 歯山パターン
PB 歯溝パターン
Claims (4)
- 端部内周面の軸方向に内周歯が形成された筒状のスリーブと、端部外周面の軸方向に前記内周歯に係合する外周歯が形成されるとともに、歯が形成されない欠歯部が対向して軸方向に形成された棒状のシャフトとを備え、
前記シャフトが前記スリーブに挿入されることによって、ステアリングシャフトとコラムシャフトとの間で回転力を伝達可能に結合される自動車の操舵装置用回転シャフトの結合構造であって、
前記スリーブの内周歯は、隣り合う歯のピッチ円径が徐々に変化して形成され、
前記欠歯部は、前記シャフトと前記スリーブとが結合した状態で、前記スリーブの内周歯との間に隙間を確保するように形成されていることを特徴とする自動車の操舵装置用回転シャフトの結合構造。 - 前記内周歯は、前記内周歯が前記端部内周面の全周に連続して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動車の操舵装置用回転シャフトの結合構造。
- 前記端部内周面には、前記内周歯で構成された歯形パターンが、前記スリーブの周方向に繰り返して配置されるとともに、等配されていることを特徴とする請求項1に記載の自動車の操舵装置用回転シャフトの結合構造。
- 前記スリーブのシャフトが挿入される側の端部には、当該スリーブの外周面が軸方向に延設され、その内周径が前記外周歯の最外径より大きく形成された延設部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自動車の操舵装置用回転シャフトの結合構造。
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