JP4164857B2 - 既存地下躯体を用いた改築工法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、既存建物の地下躯体を利用して改築を行う既存地下躯体を用いた改築工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に既存建物を改築する場合、既存建物を全て解体撤去してから新築建物を構築する。この場合、既存地下躯体がある場合には、当該地下躯体を一旦解体して埋め戻しを行い、更地にした上で改めて地表から杭工事を行い、掘削しながら新たな地下階を施工している。このため、土の移動が大きく工期とコストが嵩む要因となっていた。
【0003】
そこで、従来より、既存建物の地下階の床を補強して改築建物の地下階の梁とし、地下階の柱を建て込んで当該柱と前記地下階の梁とを結合する工法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−364184号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の工法では、既存建物の地下階の床コンクリートの補強にあたって、床コンクリート下面にジベルを打ち込み、床コンクリートの上下面に目荒らしやシアーコッターを施している。そして、床コンクリートの下方では鋼板を保持した状態で床コンクリートと鋼板との間にコンクリートを打設する。また、床コンクリートの上方では僅かに隙間を隔てて鋼板を保持した状態でその隙間にモルタルを充填する。このようにして床コンクリート、打設コンクリートおよび上下鋼板からなる合成梁を構築している。しかしながら、上記工程は施工性が悪くコストが嵩むことになる。
【0006】
また、上記床コンクリートの補強の際、既存の梁の梁せいを必要に応じて小さくすることで、地下の有効階高を大きく確保しようとしているが、梁せいを小さくすると、鋼板で補強して耐力を増加させても、梁の曲げ剛性はあまり大きくならずたわみが大きく揺れやすいという問題がある。
【0007】
さらに、上述した従来の工法では、上記梁と地下柱との結合にあたっては、上記上下鋼板を地下柱の外周に直接現場溶接するので、非常に施工性が悪い。
【0008】
また、上述した従来の工法では、既存建物の地下階の床を補強する前工程として、地上躯体としての1階梁、1階床、地下1階柱、地下1階壁を解体・撤去し、地盤レベルに作業床を築造し、当該作業床上に設置した工事機械などで支保架構の構築などの山留め工事を行っている。しかしながら、上記仮設作業床は、1階の床コンクリートを打設した後に撤去するものであり、支保架構も後に撤去するものである。すなわち、仮設の作業床(仮設乗り入れ構台など)や山留め工事など後に撤去する構築を行っているために施工性が悪い。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みて、施工性を向上し工期短縮化と低コスト化を図ることができる既存地下躯体を用いた改築工法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る既存地下躯体を用いた改築工法は、既存建物の地上部分を撤去し、この既存建物の地下躯体を用いた改築工法であって、既存地下躯体の外周壁および既存床スラブを露頭させ、該外周壁を型枠兼山留め、かつ該既存床スラブを型枠兼切梁として、該既存床スラブの上に新設床スラブを打設する工程と、前記工程で打設した新設床スラブの強度発現後、この新設床スラブと、該新設床スラブを貫通する態様で配設した構真柱とを一体化させる工程と、前記新設床スラブと前記構真柱とが一体化した後、前記既存床スラブを撤去する工程とを含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項2に係る既存地下躯体を用いた改築工法は、上記請求項1において、前記新設床スラブに管状の連結部材を設け、当該連結部材に通した新設の構真柱と前記連結部材とをボルト接合することにより、前記新設床スラブと前記構真柱とを一体化させることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項3に係る既存地下躯体を用いた改築工法は、上記請求項2において、前記構真柱の位置を前記既存地下躯体の既存の柱、杭、大梁と干渉しない位置にしたことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る既存地下躯体を用いた改築工法の好適な実施の形態を詳細に説明する。図1は既存地下躯体を用いた改築工法の工程を示す図、図2は既存地下躯体を用いた改築工法の次工程を示す図、図3(a)〜(c)は新設床スラブと構真柱との接合を示す図、図4は既存地下躯体を用いた改築工法の次工程を示す図、図5は既存地下躯体を用いた改築工法の次工程を示す図である。
【0014】
図1に示すように、本実施の形態では、地下躯体1として地下3階を有した既存建物を一例としている。
【0015】
まず、図1に示すように、既存建物の地上部分を撤去し、既存床スラブを露頭する。本実施の形態では、地下躯体1における地下1階の既存床スラブ11Aおよび外周壁12を露頭している。図には明示しないが、撤去する部分としては、地上躯体、地上1階の既存床スラブ、地下1階の既存梁および地下1階の既存柱などがある。なお、図には明示しないが、露頭する床スラブとしては、地上1階の床スラブでもよい。
【0016】
続いて、露頭した既存床スラブ11Aの上に新設床スラブ2Aを構築する。新設床スラブ2Aは、既存床スラブ11Aおよび外周壁12を型枠にして従前の土間スラブの態様で施工する。この新設床スラブ2Aは、梁のないフラットスラブが望ましいが梁を一体に有したスラブでもよい。なお、地上1階の床スラブを露頭した場合には、当該床スラブを型枠にして当該床スラブの上に新設床スラブを構築する。そして、地上1階床上に設けた新設床スラブが作業床となり、当該新設の地上1階床位置は既存よりやや高くなる。
【0017】
新設床スラブ2Aを施工する際、内部柱としての構真柱3を接合するための接合穴4を設ける。この接合穴4の内周壁には、管状の連結部材5を一体に施工する。接合穴4を設ける位置(構真柱3を設ける位置)は、地下躯体1に予めある既存柱13A、13Bおよび既存杭14を避けた位置とする。さらに、既存大梁を避けることで仮設支柱が不要となる。
【0018】
なお、地下1階の既存床スラブ11A、地下2階の既存床スラブ11B、地下3階の既存床スラブ11Cおよび基礎底盤11Dなどにおいて、構真柱3の施工位置に干渉する地下躯体1の部位は、後の杭掘削工事を行い易くするために作業穴15などを設ける解体施工を先行しておく。地下1階の既存床スラブ11Aにおいては、新設床スラブ2Aを施工する以前に接合穴4に重なる作業穴15を予め設けておく。また、解体施工を行う際、掘削機などの施工重機の荷重が大きく、地下躯体1だけでは耐力が不足する場合には、仮設の追加サポート(図示せず)などを設ける。
【0019】
次の工程として、図2に示すように、新設床スラブ2Aが作業床として利用できるようになった後、当該新設床スラブ2A上に杭施工機を載せ、上記接合穴4(連結部材5)および作業穴15より基礎底盤11Dの下に杭6を施工する。
【0020】
続いて、接合穴4(連結部材5)から構真柱3を通し、杭6の頭部6aと一体化させる。構真柱3と杭6との一体化は、杭6をなす杭コンクリート内に構真柱3の下端3aを埋設する。この構真柱3には、必要に応じて新設床や基礎と一体化するためのガセットやシャキー(スタッドコネクタ)を設ける。
【0021】
続いて、杭コンクリートの耐力が発現後、新設床スラブ2Aと構真柱3とを接合穴4内で接合して一体化させる。具体的には、新設床スラブ2Aに設けた連結部材5と構真柱3とを接合する。図3(a)に示すように、連結部材5は、鋼管5aの外周壁に設けた頭付きスタッド5bを介して新設床スラブ2Aの接合穴4に一体化してある。さらに、鋼管5aの内周壁には、十字方向にガセット5cが予め溶接してある。また、図3(b)に示すように、本実施の形態における構真柱3は、断面十字型の柱基部3cの4箇所の先端にフランジ3dを有してなり、さらに、フランジ3dにガセット3eを有している。そして、連結部材5と構真柱3との互いのガセット5c、3eを添え板7を介して高力ボルト8(HTB)で2面摩擦接合した後、当該接合部分(鋼管5a内)にコンクリートを充填する。これにより、施工床レベルの新設床スラブ2Aは、「既存床スラブ11A上の土間スラブ→構真柱3で支持された構造スラブ」へと構造形式が変化する。
【0022】
次の工程として、図4に示すように、杭施工機を退去し、外周壁12以外の地下1階の既存床スラブ11A(図1、図2参照)、当該既存床スラブ11Aの下面にある地下2階の既存梁16A(図1、図2参照)および地下2階の既存柱13A(図1、図2参照)を撤去する。なお、施工時に障害にならない既存部材については、撤去時期を遅らせてよい。
【0023】
続いて、構真柱3の上端3bに地上階の新設柱9aを接合し、当該新設柱9aに新設梁9bを接合しながら地上躯体9を従前の逆打ち工法と同様に施工する。
【0024】
地上躯体9は、本実施の形態では鉄骨造としてある。すなわち、上記新設柱9aおよび新設梁9bを鉄骨とし、かつ、新設梁9bと接合する外周まわりの鉄骨柱9cを地下1階の新設床スラブ2Aまで延長して地下躯体1の外周壁12に沿う態様で施工してある。そして、図5に示すように、鉄骨柱9cのまわりを鉄筋コンクリート10で被覆して地下外周壁12と一体化した鉄骨鉄筋コンクリート構造とすることもできる。
【0025】
地下躯体1は、図4に示すように、既存床スラブ11Bの上に新設床スラブ2Bを構築する。新設床スラブ2Bは、上記新設床スラブ2Aと同様にして既存床スラブ11Bおよび外周壁12を型枠にして従前の土間スラブの態様で施工する。なお、新設床スラブ2Bの打設前には、構真柱3を接合するために連結部材5を一体に予め施工しておく。このとき、図6に示すように連結部材5は、鋼管5aが2分割(あるいは4分割など複数分割)にしてあり、当該鋼管5aのガセット5cと、構真柱3のガセット3eとを添え板7を介して高力ボルト8(HTB)で2面摩擦接合し、分割した鋼管5a同士をボルトなどで接合する。そして、新設床スラブ2Bの打設時に連結部材5の鋼管5a内も同時にコンクリートを充填する。続いて、図5に示すように、外周壁12以外の地下2階の既存床スラブ11B(図4参照)、当該既存床スラブ11Bの下面にある地下3階の既存梁16B(図4参照)および地下3階の既存柱13B(図4参照)を撤去する。さらに、地下躯体1の外周まわりでは新設床スラブ2A、2Bを外周壁12や既存床梁17と一体化する。また、図5に示すように、既存基礎梁を撤去し、既存より成を小さくしたマットスラブ2Cとすることもできる。新設基礎と構真柱3とは、構真柱3に設けたスタッドなどのシャキーにより一体化する。
【0026】
なお、改築建物の新設基礎が既存基礎より浅い場合には、既存基礎を再利用する。既存基礎より新設基礎を深くする場合には、山留めとして外周壁12を1スパンは残し、中央部の既存基礎を撤去して所定深さまで掘削後に新設基礎を施工する。
【0027】
地下躯体1において、構真柱3の鉄骨まわりを鉄筋コンクリート10で被覆して鉄筋鉄骨コンクリート柱とすることもできる。また、構真柱3を鋼管(円形、角形)とし、その内部にコンクリートを充填してコンクリート充填鋼管柱とすることもできる。さらに、構真柱3を設けずに床荷重を地下躯体1の外周壁12に預けてもよい。
【0028】
また、必ずしも地下階の既存部材は全て解体して改修する必要はない。例えば地下2階以深の既存部材が使用上の障害にならない場合は、地下1階まで解体しそれ以深を再使用することもできる。
【0029】
ところで、上述した実施の形態では、新設床スラブ2A、2Bを梁のないフラットスラブが望ましいく梁を一体に有したスラブでもよいとしているが、新設床スラブ2A、2Bをフラットスラブとして施工した後に梁を増設してもよい。図7(a)〜(d)は新設床スラブと梁との連結を示す図である。なお、図7においては地下1階の新設床スラブ2Aを例示している。
【0030】
図7(a)に示すように、既存床スラブ11Aの上に上述のごとくフラットスラブである新設床スラブ2Aを施工する。この際、新設床スラブ2Aには、梁に沿って所定間隔に打設穴2Aaを設ける。続いて、図7(b)に示すように、既存床スラブ11Aを撤去する。続いて、図7(c)に示すように、新設床スラブ2Aの下に打設穴2Aaを介して新設梁20を増設する。この際の新設梁20は、鉄筋コンクリート梁とする。
【0031】
この際、図7(d)に示すように、新設床スラブ2Aの内部に新設梁20の上端配筋21を仕込んでおくことができる。上端配筋21は、新設床スラブ2Aの内部に設けた機械式継手21aと、新設梁20に配置したスターラップ21bとからなる。そして、既存床スラブ11Aを撤去した後にスターラップ21bを機械式継手21aに接合して新設梁20を施工する。なお、機械式継手21aに代わり重ね継手とし、新設床スラブ2A(2B)の下端に曲げ込んでおき、新設梁20の施工時にこれを曲げ起こしてスターラップ21bとラップ継手とすることもできる。
【0032】
したがって、上述した既存地下躯体を用いた改築工法では、既存床スラブ11A(11B)および外周壁12を残して、既存床スラブ11A(11B)の上に新設床スラブ2A(2B)を構築するので、既存床スラブ11A(11B)および外周壁12を型枠とした土間スラブの態様で新設床スラブ2A(2B)を容易に施工できる。そのうえ、新設床スラブ2A(2B)を施工する際には、ジベルの打ち込み、目荒らしやシアーコッターを施す必要がないので、工期短縮化と低コスト化を図ることができる。
【0033】
また、新設床スラブ2A(2B)は、平坦で外周壁12で囲む広いスペースの作業床として用いている。このため、仮設乗り入れ構台が不要になり、狭隘な敷地でも容易に作業スペースを確保できる。さらに、地下階全体を作業床にできるため、乗り入れ構台を採用するよりも作業スペースを大きくとれるだけでなく、乗り入れ構台と異なり撤去不要なので工程的にも改善でき、工期短縮化と低コスト化を図ることができる。そのうえ、地下階全面にわたり作業床ができるので雨がかりを防止できる。
【0034】
そして、作業床を併用する新設床スラブ2A(2B)の施工時に、足場のよい既存床スラブ11A(11B)の上で配筋作業ができ、かつ、外周壁12によって型枠も不要なため、低コストで精度の高い施工が行える。なお、地盤を型枠にしてフラットスラブを施工する逆打ち工法もあるが、本実施の形態では既存床スラブ11A(11B)の上で施工するので沈下のおそれもなく施工管理も容易である。
【0035】
さらに、新設床スラブ2A、2Bをフラットスラブとすることで、地下階の階高を増すことなく地下階の天井高さや有効高さを稼ぐことができる。このため、地下変電所や地域冷暖房施設のように地下での階高が必要な施設にも対応することができる。
【0036】
また、既存の外周壁12や既存床スラブ11A、11Bを残しながら施工する工法なので、地下街や地下鉄などとの接続がある場合は、その機能を維持しながら工事ができる。例えば、地下鉄の入り口になっている建物の場合、地下工事の期間にわたり閉鎖しないですむ。
【0037】
さらに、外周壁12を残しているので当該外周壁12を山留めにした施工が行える。このため、山留め工事が不要になり、敷地いっぱいに施工されている既存建物にも対応できる。従来のように外周壁を撤去する場合には、既存外周壁の外側に山留め壁が必要になる。また、外周壁12を山留めにしているため、埋め戻しや掘削といった土の移動を行う工事がほとんどないので、工期短縮化と低コスト化を図ることができる。
【0038】
また、新設床スラブ2A(2B)を新設した後に既存床スラブ11A(11B)の撤去を行い、これを各地下階で順次繰り返すことで、既存床スラブ11A(11B)が躯体切梁として機能するため、仮設切梁が不要となる。さらに既存のまま残した外周壁12が山留めとして支持する高さが過大にならないので、土水圧に対する山留めとしての安全性が確保できる。
【0039】
新設床スラブ2A、2Bと構真柱3との接合では、管状の連結部材5を用いて高力ボルト8で接合し、従来のごとく溶接で接合しないので、施工性がよく工期短縮化と低コスト化を図ることができる。さらに、新設床スラブ2Aを作業床として連結部材5の管状の穴部分(接合穴4)から杭6の打ち込みや構真柱3の施工を行うことができる。そのうえ、既存床スラブ11Aの上に設けた平坦な新設床スラブ2Aの上で杭施工機が作業できるため、足場が安定し、軟弱地盤の敷地条件でも高さのある杭施工機やクレーンなどの重機を安全に使用することができる。
【0040】
また、既存部材に対し構真柱3および杭6が干渉しないようにすることで、既存地下躯体1の強度を残したうえで重量の大きい杭施工機を解体前の既存地下躯体に載せて杭を施工することが可能になる。さらに、外周壁12を残しているので外周壁12の部分に構真柱3を設ける必要がなくなり、さらに施工能率が向上し、工期短縮化と低コスト化を図ることができる。そして、既存地下躯体1のスパンにとらわれず新設の構真柱3を計画できるので、近代的なスパンに変更が可能になる。
【0041】
このように、上述した既存地下躯体を用いた改築工法では、既存地下躯体1をできるだけ活用し仮設部材の構築をしないようにした工法であり、解体に伴う建築廃材を従来と比較して大幅に低減でき、環境にやさしい工法といえる。
【0042】
なお、新設床スラブ2A、2Bをプレストレストコンクリート構造とすることも可能であり、これによっても上述のごとく土間スラブの態様とした新設床スラブ2A、2Bと同様の効果を得ることができる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1に係る既存地下躯体を用いた改築工法によれば、既存地下躯体の外周壁および既存床スラブを残した形態で既存床スラブ上に新設床スラブを構築する。これにより、既存床スラブおよび外周壁を型枠として配筋作業ができるので、精度の高い新設床スラブが容易に施工できるので工期短縮化と低コスト化を図ることができる。また、新設床スラブを既存床スラブの上で施工するので沈下のおそれもなく施工管理も容易である。
【0044】
そして、既存床スラブ上の新設床スラブが外周壁で囲まれた広いスペースの作業床として用いられるので、狭隘な敷地でも容易に作業スペースを確保できるとともに、後に撤去を要する仮設乗り入れ構台が不要になる。これにより、工期短縮化と低コスト化を図ることができる。また、地下階全面にわたり作業床ができるので雨がかりを防止できる。
【0045】
さらに、新設床スラブをフラットスラブとれば、地下階の階高を増すことなく地下階の天井高さや有効高さを稼ぐことができる。このため、地下変電所や地域冷暖房施設のように地下での階高が必要な施設にも対応することができる。さらに、外壁を補強すれば階高を大幅に変更することも可能で、種々の用途変更にも対応できる。
【0046】
そのうえ、既存の外周壁や既存床スラブを残しながら施工する工法なので、地下街や地下鉄などとの接続がある場合は、その機能を維持しながら工事ができる。例えば、地下鉄の入り口になっている建物の場合、地下工事の期間にわたり閉鎖しないですむ。
【0047】
また、残した外周壁が山留めとなるので、埋め戻しや掘削といった土の移動を行う工事がほとんどない。さらに、山留め工事が不要になり、敷地いっぱいに施工されている既存建物にも対応できる。
【0048】
そして、多くの地下階がある場合、新設床スラブを新設した後に既存床スラブの撤去を行い、これを各地下階で順次繰り返すことで、既存床スラブが躯体切梁として機能するため、仮設切梁が不要となる。さらに既存のまま残した外周壁が山留めとして支持する高さが過大にならないので、土水圧に対する山留めとしての安全性が確保できる。
【0049】
本発明の請求項2に係る既存地下躯体を用いた改築工法によれば、前記新設床スラブに管状の連結部材を設け、当該連結部材に通した新設の構真柱と連結部材とをボルト接合する。これにより、新設床スラブと構真柱との接合において現場での溶接接合がなくなり、施工性が向上し工期短縮化と低コスト化を図ることができる。また、新設床スラブを作業床とし、連結部材の管状の穴部分から杭の打ち込みや構真柱の施工を行うことができる。さらに、既存床スラブの上に設けた新設床スラブの上で杭施工機が作業できるため、足場が安定し、軟弱地盤の敷地条件でも高さのある杭施工機やクレーンなどの重機を安全に使用することができる。
【0050】
本発明の請求項3に係る既存地下躯体を用いた改築工法によれば、構真柱の位置を既存地下躯体の既存部材と干渉しない位置とすることにより、既存地下躯体の強度によって重量の大きい杭施工機を解体前の既存地下躯体に載せて杭を施工することが可能になる。また、外周壁を残しているために外周壁の部分に構真柱が必要でないので、さらに施工能率が向上し、工期短縮化と低コスト化を図ることができる。さらに、既存地下躯体のスパンにとらわれず新設の構真柱を計画できるので、近代的なスパンに変更が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】既存地下躯体を用いた改築工法の工程を示す図である。
【図2】既存地下躯体を用いた改築工法の次工程を示す図である。
【図3】(a)〜(c)は新設床スラブと構真柱との接合を示す図である。
【図4】既存地下躯体を用いた改築工法の次工程を示す図である。
【図5】既存地下躯体を用いた改築工法の次工程を示す図である。
【図6】連結部材と構真柱との接合を示す図である。
【図7】(a)〜(d)は新設床スラブと梁との連結を示す図である。
【符号の説明】
1 地下躯体
2A 新設床スラブ
2Aa 打設穴
2B 新設床スラブ
2C マットスラブ
3 構真柱
3a 下端
3b 上端
3c 柱基部
3d フランジ
3e ガセット
4 接合穴
5 連結部材
5a 鋼管
5b スタッド
5c ガセット
6 杭
6a 頭部
7 添え板
8 高力ボルト
9 地上躯体
9a 新設柱
9b 新設梁
9c 鉄骨柱
10 鉄筋コンクリート
11A 既存床スラブ
11B 既存床スラブ
11C 既存床スラブ
11D 基礎底盤
12 外周壁
13A 既存柱
13B 既存柱
14 既存杭
15 作業穴
16A 既存梁
16B 既存梁
17 既存床梁
20 新設梁
21 上端配筋
21a 機械式継手
21b スターラップ

Claims (3)

  1. 既存建物の地上部分を撤去し、この既存建物の地下躯体を用いた改築工法であって、
    既存地下躯体の外周壁および既存床スラブを露頭させ、該外周壁を型枠兼山留め、かつ該既存床スラブを型枠兼切梁として、該既存床スラブの上に新設床スラブを打設する工程と、
    前記工程で打設した新設床スラブの強度発現後、この新設床スラブと、該新設床スラブを貫通する態様で配設した構真柱とを一体化させる工程と、
    前記新設床スラブと前記構真柱とが一体化した後、前記既存床スラブを撤去する工程と
    を含むことを特徴とする既存地下躯体を用いた改築工法。
  2. 前記新設床スラブに管状の連結部材を設け、当該連結部材に通した新設の構真柱と前記連結部材とをボルト接合することにより、前記新設床スラブと前記構真柱とを一体化させることを特徴とする請求項1に記載の既存地下躯体を用いた改築工法。
  3. 前記構真柱の位置を前記既存地下躯体の既存の柱、杭、大梁と干渉しない位置にしたことを特徴とする請求項2に記載の既存地下躯体を用いた改築工法。
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