JP4163881B2 - 中空形材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、構造体及び構造体を構成する中空形材に関するものである。例えば、アルミニウム合金製の鉄道車両や建築物等の構造体及びそれらを構成する中空形材に好適である。
【0002】
【従来の技術】
中空形材は、二枚の面板と該面板を接続する複数のリブによって構成されている。この一例は、特開平11−58564号公報に示されている。この文献の図1には、中空形材の剛性と強度を向上させることを目的とした面板とリブの結節領域に関する形状が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
中空形材から構成される構造体の一例として鉄道車両を考えた場合、中空形材には主に引張り、面外曲げ、面外せん断の各荷重が単独でもしくは複合して作用する。これらの荷重が作用したときの中空形材の変形や応力の発生状況は、作用する荷重の種類、大きさやその組み合わせに依存する。
【0004】
引張荷重や面外曲げ荷重が中空形材に作用した場合には、面板とリブの結節領域近傍の面板に最大応力が発生する。該部位に発生する局部的な大変形や高応力が、構造体全体の剛性や強度を低下させる一因となっている。
【0005】
面外せん断荷重が中空形材に作用した場合には、面板とリブの結節領域近傍のリブに最大応力が発生する。該部位に発生する局部的な大変形や高応力が、構造体全体の剛性や強度を低下させる一因となっている。
ここで、前記特開平11−58564号公報では、面板とリブの結節領域におけるオフセット量を適切な値にすることで中空形材の剛性と強度を向上させている。
【0006】
しかし、我々の研究によれば、理想的な寸法であるオフセット量を0とした場合でも、依然として面板とリブの結節領域近傍の面板やリブに局部的な大変形や高応力が発生し、構造体の剛性や強度を低下させている。
本発明の目的は、軽量でかつ高剛性、高強度な構造体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、二枚の面板と、二枚の面板の間をトラス状に接続した複数のリブと、から構成された中空形材同士を接合した構造体において、前記面板と前記リブが接続される部位である結節領域近傍の前記リブ(または一方の面板)の板厚は該リブ(面板)の他の部位の板厚と比較して厚くなっており、該厚くなった部分は前記リブ(面板)の両面に厚くなっており、該両面の厚くなった部分の厚さは両面において実質的に同一であり、該厚くなった部分の端部と前記リブ(面板)とはそれぞれ円弧で接続されており、該円弧は前記リブ(面板)側に向けて凸の円弧状であり、該円弧によって前記リブ(面板)の板厚は前記結節領域に近づくに従って徐々に増加しており、前記二つの円弧は径が実質的に等しいこと、によって達成できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施例を図1〜3により説明する。車体100は、床を構成する台枠101、屋根を構成する屋根構体102、側面を構成する側構体103、長手方向の端部を構成する妻構体104から成る。台枠101、屋根構体102、側構体103は、それぞれ複数の押出形材を接合することにより製作される。押出形材の長手方向は、車体の長手方向と一致している。押出形材は、アルミニウム合金製である。
【0009】
側構体103を構成する中空形材10の構成を説明する。他の中空形材も同様の構成である。
【0010】
中空形材10は、二枚の面板11,12とトラス状に配置した複数のリブ13から成る。二枚の面板11,12は、実質的に平行である。リブ13のピッチは、同一である。面板11,12の板厚は、同一である。リブ13の板厚は、同一である。
【0011】
面板12とリブ13の結節領域20近傍の構成を説明する。面板11とリブ13の結節領域近傍も同様の構成である。
【0012】
面板12とリブ13の間には円弧R1が存在する。リブ13とリブ13の間には、円弧R2が存在する。リブ13と円弧R1の間には、円弧R3が存在する。リブ13と円弧R2の間には、円弧R4と直線14が存在する。直線14は円弧R2と円弧R4の間に位置する。直線14は、リブ13と実質的に平行であり、リブ13の内面側(中空形材10の板厚方向中央側)の直線よりも内面側に位置している。面板12、円弧R1、R3、リブ13は、滑らかに接続されている。リブ13と円弧R4は、滑らかに接続されている。直線部14と円弧R2は、滑らかに接続されている。円弧R3は、円弧R1より径が大きい。円弧R4は、円弧R2より径が大きい。円弧R3と円弧R4は、径が等しい。リブ13と円弧R3の接続部15とリブ13と円弧R4の接続部16におけるリブ13の長手方向の位置は、実質的に一致する。
【0013】
以上の形状をした中空形材から構成される構造体に面外せん断荷重が作用した場合、面板12とリブ13の結節領域20近傍のリブ13に発生する局部的な大変形や高応力が低減されるため、構造体の剛性と強度が向上する。この主な理由は、円弧R3、R4をリブ13の板厚中心軸に対象な形状として付加することにより結節領域20近傍のリブ13の曲げ変形が抑制されたこと、リブ13と径の大きな円弧R3、R4を滑らかに接続することにより結節領域20近傍のリブ13に発生する応力集中が低減されたこと、にあると考える。
【0014】
本発明の他の実施例を図4により説明する。これは、図1〜3で示した実施例において、面板12とリブ13の結節領域20近傍の構成が異なる例である。
【0015】
面板12とリブ13の結節領域20近傍の構成を説明する。面板11とリブ13の結節領域近傍も同様の構成である。
【0016】
面板12とリブ13の間には、円弧R1が存在する。リブ13とリブ13の間には、円弧R2が存在する。面板12と面板12の間には、直線14が存在する。面板12と円弧R1の間には、円弧R3が存在する。面板12と直線14の間には、円弧R4が存在する。直線14は、面板12と実質的に平行であり、面板12の外面側(中空形材10の板厚方向外側)の直線よりも外面側に位置している。面板12、円弧R3、R1、リブ13は、滑らかに接続されている。面板12と円弧R4は、滑らかに接続されている。円弧R3は、円弧R1より径が大きい。円弧R3と円弧R4は、径が等しい。面板12と円弧R3の接続部15と面板12と円弧R4の接続部16における面板12の長手方向の位置は、実質的に一致する。
【0017】
以上の形状をした中空形材から構成される構造体に引張荷重もしくは面外曲げ荷重が作用した場合、面板12とリブ13の結節領域20近傍の面板12に発生する局部的な大変形や高応力が低減されるため、構造体の剛性と強度が向上する。この主な理由は、円弧R3、R4を面板12の板厚中心軸に対象な形状として付加することにより結節領域20近傍の面板12の曲げ変形が抑制されたこと、面板12と径の大きな円弧R3、R4を滑らかに接続することにより結節領域20近傍の面板12に発生する応力集中が低減されたこと、にあると考える。
【0018】
上記図4の実施例は一方の面板12の結節領域の近傍の面板12の板厚を増加させるものであったが、両面の面板11、12の板厚を上記のように増加させることができる。
【0019】
本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の各請求項に記載の文言あるいは課題を解決するための手段の項に記載の文言に限定されず、当業者がそれから容易に置き換えられる範囲に及ぶものである。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、中空形材に発生する局部的な大変形や高応力を有効に低減でき、軽量で高剛性、高強度な構造体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の結節領域近傍の断面図。
【図2】本発明の一実施例の中空形材の断面図。
【図3】鉄道車両の車体の斜視図。
【図4】本発明の他の実施例の結節領域近傍の断面図。
【符号の説明】
10 中空形材
11,12 面板
13 リブ
14 直線
15,16 接続部
20 結節領域
R1、R2、R3、R4 円弧
100 車体
101 台枠
102 屋根構体
103 側構体
104 妻構体
Claims (2)
- 二枚の面板(11,12)と、二枚の面板(11,12)の間をトラス状に接続した複数のリブ(13)と、から構成された中空形材(10)において、
前記面板(12)と前記リブ(13)が接続される部位である結節領域(20)近傍の前記リブ(13)の板厚は該リブ(13)の他の部位の板厚と比較して厚くなっており、
該厚くなった部分は前記リブ(13)の両面において厚くなっており、
前記リブ(13)とリブ(13)との間の前記結節領域(20)は第1の円弧(R2)で接続してあり、
前記第1の円弧(R2)の両端と前記リブ(13)との間は、該リブ(13)に平行な直線(14)があり、
該直線(14)と前記リブ(13)とは第2の円弧(R4)で接続されており、該第2の円弧(R4)は前記リブ(13)に対して凹であり、
該第2の円弧(R4)の反対側の前記リブ(13)の面と第2の面板とは、第3の円弧(R3)と第4の円弧(R1)を介して接続されており、
前記第3の円弧(R3)は前記リブ(13)に対して凹であり、
前記第3の円弧(R3)によって、該リブ(13)の板厚は前記結節領域に行くにしたがって、徐々に増加しており、
前記第2の円弧(R4)と前記第3の円弧(R3)との径は等しく、
前記第3の円弧(R3)と前記リブ(13)との接続部(15)は、前記第2の円弧(R4)と前記リブ(13)との接続部(16)に対して直交する箇所にあること、
を特徴とする中空形材。 - 第1の面板(12)と第2の面板(11)と、該第1の面板(12)と第2の面板(11)との間をトラス状に接続した複数のリブ(13)と、から構成された中空形材(10)において、
前記第1の面板(12)と前記複数のリブ(13,13)とが接続される部位である結節領域(20)近傍の前記第1の面板(12)の板厚は該面板(12)の他の部位の板厚と比較して厚くなっており、
該厚くなった部分は前記第1の面板(12)の両面において厚くなっており、該両面の厚くなった部分の厚さは両面において同一であり、
該厚くなった部分は、前記複数のリブ(13,13)を第1の円弧(R2)で接続しており、該第1の円弧(R2)は前記第1の面板(12)側に向けて凹の円弧状であり、該第1の円弧(R2)によって前記第1の面板(12)の板厚は前記結節領域に近づくに従って、徐々に増加しており、
さらに、前記リブ(13)と前記第1の面板(12)とは、第1の面板(12)側から第2の円弧(R3)、第3の円弧(R1)を介して接続されており、該第2の円弧(R3)によって、該第2の円弧(R3)の箇所は徐々に板厚が増加しており、
さらに、前記第2の円弧(R3)から同一の結節領域(20)の第3の円弧(R1)までの前記第1の面板(12)は外側には他の箇所の第1の面板(12)に平行な直線(14)があり、
該直線(14)の端部と前記第1の面板(12)とは、第4の円弧(R4)で接続されており、
前記第3の円弧(R1)、前記第2の円弧(R3)によって、前記第1の面板(12)の板厚は前記結節領域に近づくに従って徐々に増加しており、
前記第2の円弧(R3)、第4の円弧(R4)は第1の面板(12)側に凹であり、
前記第2の円弧(R3)の径と前記第4の円弧(R4)の径とは等しいこと、
を特徴とする中空形材。
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2002
- 2002-03-07 JP JP2002062236A patent/JP4163881B2/ja not_active Expired - Lifetime
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