JP7025847B2 - 鉄道車両構体 - Google Patents

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本発明は、高速鉄道車両等に用いられる鉄道車両構体に関する。
鉄道車両構体では、複数の中空形材により構成されたダブルスキン構造を有するものが知られている。中空形材は、車体の車内側に配置された内板部と、車体の車外側に配置された外板部と、内板部と外板部とを板面を離隔させて配置した状態で連結する連結板部とを含む。鉄道車両構体の製造時には、複数の中空形材の内板部同士が結合されると共に、外板部同士が結合される。
ダブルスキン構造には、例えば特許文献1に開示されるように、車両長手方向から見て、隣接する2つの連結板部と、内板部又は外板部とにより形成される閉空間が三角形であるトラス型や、車両長手方向から見て、前記2つの連結板部と内板部と外板部とにより形成される閉空間が矩形であるハモニカ型がある。
特許第3779283号公報
トラス型のダブルスキン構造を有する鉄道車両構体は広く用いられているが、鉄道車両構体の重量が増大する場合がある。これに対してハモニカ型のダブルスキン構造は、曲げ強度が同等であるトラス型のダブルスキン構造に比べて、中空形材の内板部と外板部とを連結する連結板部のトータル長さが短いため、鉄道車両構体を軽量化し易くできるが、せん断強度が低い。
ここで高速鉄道車両等では、トンネル通過時等において車外圧が変動する場合であっても、乗客や乗務員がいる室内は気密構造であることが求められ、車内圧をほぼ一定に維持することが要求される。例えば、高速鉄道車両等の鉄道車両構体をハモニカ型のダブルスキン構造により構成する場合、トンネル通過時等における車内外の気圧差により鉄道車両構体に作用する圧力荷重に対して、鉄道車両構体の車体の周方向に対して垂直方向に作用するせん断力に対する強度が不足するのを補うため、補強フレームが別途必要となる。これにより、鉄道車両構体構造が複雑になり、生産性が低下する。
そこで本発明は、ハモニカ型のダブルスキン構造を部分的に有しながら、車内外の気圧差により作用する圧力荷重に対して、補強フレームを用いなくても耐えられる軽量な鉄道車両構体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る鉄道車両構体は、車幅方向両側に配置された側梁を有する台枠と、前記台枠の車幅方向両側に配置された側構体と、前記側構体の上方に配置された屋根構体とを備え、前記側構体と前記屋根構体と前記側梁とは、車体の車内側に配置された内壁部と、前記車体の車外側に配置された外壁部と、前記内壁部と前記外壁部とを壁面を離隔させた状態で連結し、且つ、車両長手方向から見て、前記車体の周方向に配置された複数の連結板部とを含むダブルスキン構造を有し、前記ダブルスキン構造は、車両長手方向から見て、前記複数の連結板部のうちの隣接する2つの連結板部と前記内壁部と前記外壁部とにより形成される閉空間が矩形であるハモニカ型構造部と、車両長手方向から見て、前記ハモニカ型構造部に隣接し、前記2つの連結板部と、前記内壁部又は前記外壁部とにより形成される閉空間が三角形であるトラス型構造部とを有し、前記ハモニカ型構造部が、前記屋根構体の車幅方向の中央部、軒桁の前記車体の周方向の中央部、前記側構体の吹寄せ部、及び床板よりも下方に位置する前記側梁の下側部分のうちの少なくともいずれかの位置に配置されている。
ここで軒桁部とは、屋根構体と側構体とが接続される部分であり、屋根構体と側構体とに比べて、曲率半径が小さな部分を示す。軒桁部は、例えば、その曲率半径が屋根構体と側構体との曲率半径の10分の1以下の部分である。
上記構成によれば、ハモニカ型構造部が、屋根構体の車幅方向の中央部、軒桁の車体の周方向の中央部、側構体の吹寄せ部、及び床板よりも下方に位置する側梁の下側部分のうちの少なくともいずれかの位置に配置されている。
発明者らの検討により、車内外の気圧差により発生する曲げモーメントの絶対値は、屋根構体では車幅方向の中央部において最大となり、軒桁では車体の周方向の中央部において最大となり、側構体では吹寄せ部において最大となることが判明した。また、車内外の気圧差が異なる場合や、車内外の気圧のどちらが高い場合でも、曲げモーメントの絶対値が最大値となる位置は、ほぼ同じ位置であることが判明した。
さらに、側構体と台枠とが結合される鉄道車両構体の前記結合部以外の領域において、曲げモーメントの絶対値が最大値となる位置では、鉄道車両構体の車体の周方向に対して垂直方向に作用するせん断力が十分に低いことが見出された。
また、鉄道車両構体の台枠の側梁における床板よりも下方の領域は、鉄道車両の室外に位置し、車内外の気圧差により作用する圧力荷重の影響を受けない。このため、床板よりも下方に位置する側梁の下側部分は、ハモニカ型構造とすることが可能である。
上記構成は、これらの知見に基づいてなされたものであり、屋根構体の車幅方向の中央部、軒桁の車体の周方向の中央部、側構体の吹寄せ部、及び床板よりも下方に位置する側梁の下側部分のうちの少なくともいずれかの位置にハモニカ型構造部を配置することにより、鉄道車両構体は、ハモニカ型構造部を有しながら、補強フレームを用いなくても、ほぼ一定の車内圧に対して車外圧が変動することによる気圧差の圧力荷重に耐えることができる。
また、鉄道車両構体に作用する前記せん断力が大きな鉄道車両構体の部分に、トラス構造部がハモニカ構造部に隣接して配置され、鉄道車両構体に作用する前記せん断力が小さな鉄道車両構の部分に、ハモニカ型構造部が配置されているので、補強フレームを用いなくても、鉄道車両構体のハモニカ型構造部に隣接する位置の強度を確保できる。
本発明によれば、ハモニカ型のダブルスキン構造を部分的に有しながら、車内外の気圧差により作用する圧力荷重に対して、補強フレームを用いなくても耐えられる軽量な鉄道車両構体を提供できる。
実施形態に係る鉄道車両構体の車両長手方向に垂直な鉛直断面図である。 図1の鉄道車両構体の側面を車外から見た側面図である。 図1の鉄道車両構体に車内外の気圧差に発生する曲げモーメントの大きさを示したシミュレーション図である。 図3に示した曲げモーメントにより、鉄道車両構体に車体の周方向に対して垂直方向に作用するせん断力の大きさを示したシミュレーション図である。
以下、本発明の実施形態について、各図を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る鉄道車両構体1の車両長手方向に垂直な鉛直断面図である。図1では、鉄道車両構体1の車幅方向の中央部から一端までの領域の鉛直断面を示している。図2は、図1の鉄道車両構体1の側面を車外から見た側面図である。
本実施形態の鉄道車両構体1を備える鉄道車両は、高速鉄道車両である。この高速鉄道車両では、トンネル内の走行時や高速鉄道車両同士のすれ違い時等において、ほぼ一定に維持された車内圧に対して車外圧が変動するため、この気圧差により鉄道車両構体1に圧力荷重が作用する。なお、鉄道車両構体1を備える鉄道車両は、高速鉄道車両以外のものであってもよい。
図1及び2に示すように、鉄道車両構体1は、台枠2、一対の側構体3、及び屋根構体4を備える。また図示しないが、鉄道車両構体1は、一対の妻構体を備える。鉄道車両構体1は、一例として、車両長手方向から見て、車幅方向の中央を通る車体中心線CLに対して対称的な構造を有する。
台枠2は、一対の側構体3を支持する。台枠2は、一対の側梁2aと複数の横梁5とを有する。一対の側梁2aは、台枠2の車幅方向両側に配置されている。一対の側梁2aは、車両長手方向に延びている。複数の横梁5は、車幅方向に延び、一対の側梁2aの間で、車両長手方向に間隔をおいて配置されている。横梁5の車幅方向の両端は、一対の側梁2aと接続されている。横梁5の上方には、床板8が配置されている。
一対の側構体3は、屋根構体4を支持する。一対の側構体3は、台枠2の車幅方向両側に配置されている。側構体3の板面は、上下方向と車両長手方向とに延びている。側構体3の下端は、台枠2の側梁2aの上部に結合されている。
側構体3には、複数の窓部3aと、複数の吹寄せ3bとが形成されている。複数の窓部3aは、側構体3に車両長手方向に間隔をおいて配置されている。複数の吹寄せ部3bは、側構体3の隣接する一対の窓部3aの間に配置されている。
屋根構体4は、鉄道車両の屋根を構成する。屋根構体4は、側構体3の上方に配置されている。屋根構体4は、側構体3と結合されている。屋根構体4の車幅方向の一端(本実施形態では両端)は、側構体3の上端と結合されている。
側構体3と屋根構体4と側梁2aとは、複数の中空形材6を有する。複数の中空形材6は、車両長手方向から見て、車体の周方向に配置されている。複数の中空形材6の各々は、内板部6a、外板部6b、及び連結板部6cを有する。内板部6aは、車体の車内側に配置されている。外板部6bは、車体の車外側に配置されている。連結板部6cは、内板部6aと外板部6bとを板面を離隔させた状態で連結する。
この複数の中空形材6は、中空形材10~17を含む。中空形材10は、屋根構体4の車幅方向の中央部4aに配置されている。中空形材11,12は、鉄道車両構体1の軒桁に配置されている。中空形材12は、中空形材11の下方に配置されている。
中空形材13,14は、側構体3の吹寄せ部3bに配置されている。中空形材14は、中空形材13の下方に配置されている。中空形材15,16は、台枠2の側梁2aに配置されている。中空形材16は、中空形材15の下方に配置されている。中空形材17は、側構体3の中空形材15と上方に隣接する部分に配置されている。
側構体3と屋根構体4との各々では、複数の中空形材6の複数の内板部6aが結合されて内壁部7aが形成されていると共に、複数の外板部6bが結合されて外壁部7bが形成されている。複数の中空形材6は、一例として溶接により結合されているが、これに限定されず、例えば摩擦撹拌接合法により結合されていてもよい。
側構体3と屋根構体4と側梁2aとは、ダブルスキン構造7を有する。このダブルスキン構造7は、内壁部7a、外壁部7b、及び連結板部6cを含む。ダブルスキン構造7における連結板部6cは、内壁部7aと外壁部7bとを壁面を離隔させた状態で連結する。本実施形態では、側構体3と屋根構体4と側梁2aとが、複数の中空形材6により構成されることで、ダブルスキン構造7が形成されている。
ダブルスキン構造7は、ハモニカ型構造部A1~A4とトラス型構造部B1~B3とを有する。ハモニカ型構造部A1は、屋根構体4の中央部4aに配置されている。ハモニカ型構造部A2は、軒桁の中央部1aに配置されている。ハモニカ型構造部A3は、側構体3の吹寄せ部3bに配置されている。ハモニカ型構造部A4は、側梁2aの床板8よりも下方に位置する下側部分2bに配置されている。
ハモニカ型構造部A1~A4では、車両長手方向から見て、複数の連結板部6cのうちの隣接する2つの連結板部6cと内壁部7aと外壁部7bとにより形成される閉空間が、矩形となっている。
鉄道車両構体1では、ハモニカ型構造部は、屋根構体4の車幅方向の中央部4a、側構体3の吹寄せ部3b、車両長手方向から見た軒桁の車体の周方向の中央部1a、及び床板8よりも下方に位置する側梁2aの下側部分2bのうちの少なくともいずれかの位置に配置されていればよい。
トラス型構造部B1~B3では、車両長手方向から見て、複数の連結板部6cのうちの隣接する2つの連結板部6cと、内壁部7a又は外壁部7bとにより形成される閉空間が、三角形となっている。トラス型構造部B1~B3は、ハモニカ型構造部A1~A4に隣接して配置されている。
鉄道車両構体1では、一例として、側構体3と屋根構体4と側梁2aとが有する複数の中空形材6のうち、少なくともハモニカ型構造部A1~A4の内壁部7aと外壁部7bと連結板部6cとを形成する中空形材6(本実施形態では全ての中空形材6)が、押出成形部材である。なお、複数の中空形材6のうちのいずれかは、例えば内板部6a、外板部6b、及び連結板部6cを溶接で結合することにより製造されていてもよい。
ハモニカ型構造部A1は、一例として、中空形材10と、中空形材10と車幅方向に隣接する2つの中空形材6とにより構成されている。車両長手方向から見て、中空形材10では、連結板部6cが、内板部6aと外板部6bとの板面に垂直に接続されている。
ハモニカ型構造部A2は、一例として、一対の中空形材11,12により構成されている。一対の中空形材11,12は、車両長手方向から見て、車体の周方向に並んで配置されている。車両長手方向から見て、一対の中空形材11,12の互いに結合された部分では、連結板部6cが、内板部6aと外板部6bとの板面に垂直に接続されている。
ハモニカ型構造部A3は、一例として、一対の中空形材13,14と、一対の中空形材13,14に隣接する2つの中空形材6とにより構成されている。一対の中空形材13,14は、車両長手方向から見て、車体の周方向に並んで配置されている。中空形材13は、中空形材14の上方に位置している。車両長手方向から見て、一対の中空形材13,14では、連結板部6cが、内板部6aと外板部6bとの板面に垂直に接続されている。
ハモニカ型構造部A4は、一例として、一対の中空形材15,16により構成されている。ハモニカ型構造部A4は、側梁2aの下側部分2bを構成している。一対の中空形材15,16は、車体の周方向に並んで配置されている。中空形材15は、中空形材16の上方に位置している。中空形材15の上部は、トラス型構造を有し、下部は、ハモニカ型構造を有する。車両長手方向から見て、中空形材15の下部と中空形材16とでは、連結板部6cが、内板部6aの板面に垂直に接続されている。
屋根構体4の車幅方向の中央部4a、側構体3の吹寄せ部3b、及び床板8よりも下側に位置する側梁2aの下側部分2bのうちの少なくともいずれかのハモニカ型構造部(ここではハモニカ型構造部A1,A3,及びA4)は、車両長手方向から見て、車体の周方向に連続して配置された3つ以上の連結板部6cを有する。
ハモニカ型構造部A1~A4では、同等の曲げ強度のトラス型構造部に比べて、連結板部6cの数を減らしたり、内板部6aと外板部6bとの厚み寸法や車両長手方向から見た連結板部6cの長さ寸法を減らすことができる。これにより、鉄道車両構体1を軽量化し易くできる。
図1の屋根構体4の中央部4aにおけるハモニカ型構造部A1は、中空形材10の車幅方向の一方側に隣接する中空形材6の中空形材10に最も近接する連結板部6cから、中空形材10の車幅方向の他方側に隣接する中空形材6の中空形材10に最も近接する連結板部6cまでのダブルスキン構造7の領域に相当する。ハモニカ型構造部A1は、車体の周方向に配置された複数(ここでは合計6個)の連結板部6cを有する。ハモニカ型構造部A1では、中空形材10の連結板部6cのピッチが、等間隔に設定されている。
図1の軒桁の中央部1aにおけるハモニカ型構造部A2は、中空形材11の中空形材12に最も近接する連結板部6cから、中空形材12の中空形材11に最も近接する連結板部6cまでのダブルスキン構造7の領域に相当する。ハモニカ型構造部A2は、車体の周方向に配置された複数(ここでは合計2個)の連結板部6cを有する。
図1の吹寄せ部3bにおけるハモニカ型構造部A3は、中空形材14の下端に隣接する中空形材6の中空形材14に最も近接する連結板部6cから、中空形材13の上端に隣接する中空形材6の中空形材13に最も近接する連結板部6cまでのダブルスキン構造7の領域に相当する。ハモニカ型構造部A3は、車体の周方向に配置された複数(ここでは合計12個)の連結板部6cを有する。ハモニカ型構造部A3では、車両長手方向から見て、中空形材13,14の各々の両端の連結板部6cよりも中空形材13,14の内側に位置する連結板部6cのピッチが、等間隔に設定されている。
ここで、側構体3において隣接する吹寄せ部3bの間には、窓部3aが切削加工により形成される。窓部3aの開口周縁は、複雑な曲線状に加工する必要がある。このため、車両長手方向から見て、内板部6aと外板部6bとの板面に傾斜するように配された連結板部6cを有するトラス型構造部より、車両長手方向から見て、内板部6aと外板部6bとの板面に垂直に配された連結板部6cを有するハモニカ型構造部により吹寄せ部3bを構成することで、窓部3aを切削加工により形成する際の作業性が良い利点がある。
図1の側梁2aの一部を構成する中空形材15において、その中空形材16と近接する他端の車内側と車外側とには、中空形材15の当該他端を中空形材16の中空形材15と近接する一端と接続するための重ね継手が形成されている。
側梁2aの厚み寸法は、上方から下方に向けて減少している。これに伴ってハモニカ型構造部A4では、車両長手方向から見た連結板部6cの長さ寸法が、上方から下方に向けて減少している。
ハモニカ型構造部A4は、中空形材16の最も下側に位置する連結板部6cから、中空形材15の床板8に最も近接する連結板部6cまでのダブルスキン構造7の領域に相当する。ハモニカ型構造部A4は、全体として、車体の周方向に配置された複数(ここでは5つ)の連結板部6cを有する。ハモニカ型構造部A4では、連結板部6cのピッチが、等間隔に設定されている。
一例として、ハモニカ型構造部A1~A4とトラス型構造部B1~B3の各々において、内板部6aと外板部6bとの板厚寸法は、連結板部6cの板厚寸法よりも大きい値に設定されている。また一例として、ハモニカ型構造部A1~A4の各々において、内板部6aと外板部6bとの板厚寸法は、同等の値に設定されている。
なお、ハモニカ型構造部A1~A4とトラス型構造部B1~B3との各々において、内板部6aと外板部6bとの板厚寸法は、連結板部6cの板厚寸法と同等以下の値に設定されていてもよい。またハモニカ型構造部A1~A4の各々において、内板部6aと外板部6bとの板厚寸法は、互いに異なる値に設定されていてもよい。
ここで、ハモニカ型のダブルスキン構造がトラス型のダブルスキン構造に比較してせん断強度が低い理由については、例えば以下のように考えられる。すなわち、トラス型のダブルスキン構造では、鉄道車両構体の車体の周方向に垂直な方向、つまり中空形材の内板部と外板部との板面に垂直な方向に作用するせん断力は、中空形材の連結板部に対して、面内力(圧縮力または引張力)として作用し易い。このため、トラス型のダブルスキン構造では、このようなせん断力に対して中空形材の連結板部が有効に抵抗する。これにより、トラス型のダブルスキン構造は、比較的高いせん断強度を有する。
これに対してハモニカ型のダブルスキン構造では、せん断力は、中空形材の連結板部に対して、面外力として作用し易い。このため、ハモニカ型のダブルスキン構造では、せん断力が作用すると、中空形材の連結板部がトラス型のダブルスキン構造における中空形材の連結板部に比べて変形し易い。従って、ハモニカ型のダブルスキン構造は、トラス型のダブルスキン構造に比べて、せん断力に対するせん断強度が低いと考えられる。
このようにハモニカ型のダブルスキン構造は、トラス型ダブルスキン形材に比較すると、車内外の圧力差により鉄道車両構体に作用する圧力(鉄道車両構体の車体の周方向に対して垂直方向に作用するせん断力)が及んだ場合、大きい変形を生じ且つ高い応力を生じるおそれがある。
図3は、図1の鉄道車両構体1に車内外の気圧差により発生する曲げモーメントの大きさを示したシミュレーション図である。図3中の矢印は、長さ寸法が長いほど曲げモーメントが大きいことを示し、矢印の方向は、矢印の起点における鉄道車両構体の表面に対する垂線方向を示す。また、図3中の輪郭線L1は、図1の車両長手方向から見た鉄道車両構体1の輪郭線に対応し、線L2は、複数の矢印の先端を通る線を示す。
図3に示されるように、車内外の気圧差により発生する曲げモーメントの絶対値は、屋根構体4では車幅方向の中央部4aにおいて最大となり、軒桁では車体方向の中央部1aにおいて最大となり、側構体3では吹寄せ部3bにおいて最大となることが、シミュレーションの結果により判明した。また図示していないが、別のシミュレーションの結果により、車内外の気圧差が異なる場合や、車内外の気圧のどちらが高い場合でも、曲げモーメントの絶対値が最大値となる位置は、ほぼ同じ位置であることが判明した。
図4は、図3に示した曲げモーメントにより、鉄道車両構体1に車体の周方向に対して垂直方向に作用するせん断力の大きさを示したシミュレーション図である。図4中の輪郭線L1は、図1の車両長手方向から見た鉄道車両構体1の輪郭線に対応し、線L3は、複数の矢印の先端を通る線を示す。また、図4中の矢印は、長さ寸法が長いほどせん断力が大きいことを示し、矢印の方向は、矢印の起点における鉄道車両構体1の表面に対する垂線方向を示す。
図4に示されるように、鉄道車両構体1の側構体3と台枠2とが結合される結合部以外の領域において、曲げモーメントの絶対値が最大値となる位置では、鉄道車両構体1に車体の周方向に対して垂直方向に作用するせん断力が十分に低いことが、シミュレーションの結果により見出された。
また、台枠2の側梁2aにおける車内の気密を確保するための障壁である床板8よりも下方の領域は、鉄道車両の室外に位置するため気密構造になっておらず、実質的に車外に露出した状態になっている。これにより当該領域は、車内外の気圧差により作用する圧力荷重の影響を受けない。よって、床板8よりも下方に位置する側梁2aの下側部分2bは、ハモニカ構造とすることが可能である。
以上に説明したように、鉄道車両構体1では、ハモニカ型構造部A1~A4が屋根構体4の中央部4a、軒桁の中央部1a、側構体3の吹寄せ部3b、及び床板8よりも下方に位置する側梁2aの下側部分2bのうちの少なくともいずれかの位置(本実施形態ではこの全ての位置)に配置されている。発明者らの検討により、屋根構体4の中央部4a、軒桁の中央部1a、及び側構体3の吹寄せ部3bでは、鉄道車両構体1の他の位置に比べて、車内外の気圧差により鉄道車両構体1に圧力荷重が作用した場合でも、鉄道車両構体1の車体の周方向に対して垂直方向に作用するせん断力が十分に低いことが分かっている。
また、台枠2の側梁2aにおける床板8よりも下方の領域は、車内外の気圧差により作用する圧力荷重の影響を受けないので、床板8よりも下方に位置する側梁2aの下側部分2bは、ハモニカ構造とすることが可能である。
よって、鉄道車両構体1の上記した位置にハモニカ型構造部A1~A4を配置することにより、鉄道車両構体1は、ハモニカ型構造部A1~A4を有しながら、補強フレームを用いなくても、ほぼ一定の車内圧に対して車外圧が変動することによる気圧差の圧力荷重に耐えることができる。
また、鉄道車両構体1に作用する前記せん断力が大きい鉄道車両構体1の部分に、トラス型構造部B1~B3がハモニカ型構造部A1~A4に隣接して配置され、鉄道車両構体1に作用する前記せん断力が小さな鉄道車両構体1の部分に、ハモニカ型構造部A1~A4が配置されているので、補強フレームを用いなくても、鉄道車両構体1のハモニカ型構造部A1~A4に隣接する位置の強度を確保できる。
また、複数の中空形材6において、複数の内板部6aが結合されて内壁部7aが形成されていると共に、複数の外板部6bが結合されて外壁部7bが形成されているので、鉄道車両構体1の製造時に複数の中空形材6を用いることで、側構体3と屋根構体4とのダブルスキン構造7を効率よく構成できる。
また、複数の中空形材6のうち、少なくともハモニカ型構造部A1~A4の内壁部7aと外壁部7bとを形成する中空形材6(本実施形態では全ての中空形材6)が、押出成形部材であるので、少なくともダブルスキン構造7のハモニカ型構造部A1~A4の形成に用いられる中空形材6を、押出成形法により効率よく製造できる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、その構成を変更、追加、又は削除できる。各ハモニカ型構造部において、外壁部と内壁部とを形成する中空形材の数は、上記実施形態に示した数に限定されず、適宜調整が可能である。
A1~A4 ハモニカ型構造部
B1~B3 トラス型構造部
1 鉄道車両構体
1a 軒桁の中央部
2 台枠
2a 側梁
2b 側梁の下側部分
3 側構体
3b 吹寄せ部
4 屋根構体
4a 屋根構体の中央部
6、10~18 中空形材
6a 内板部
6b 外板部
6c 連結板部
7 ダブルスキン構造
7a 内壁部
7b 外壁部
8 床板

Claims (7)

  1. 車幅方向両側に配置された側梁を有する台枠と、前記台枠の車幅方向両側に配置された側構体と、前記側構体の上方に配置された屋根構体とを備え、
    前記側構体と前記屋根構体と前記側梁とは、車体の車内側に配置された内壁部と、前記車体の車外側に配置された外壁部と、前記内壁部と前記外壁部とを壁面を離隔させた状態で連結し、且つ、車両長手方向から見て、前記車体の周方向に配置された複数の連結板部とを含むダブルスキン構造を有し、
    前記ダブルスキン構造は、車両長手方向から見て、前記複数の連結板部のうちの隣接する2つの連結板部と前記内壁部と前記外壁部とにより形成される閉空間が矩形であり且つ複数の前記閉空間を有するハモニカ型構造部と、車両長手方向から見て、前記ハモニカ型構造部に隣接し、前記2つの連結板部と、前記内壁部又は前記外壁部とにより形成される閉空間が三角形であるトラス型構造部とを有し、
    前記屋根構体と前記側構体とが、前記トラス型構造部を含み、
    前記ハモニカ型構造部が、前記屋根構体の車幅方向の中央部、及び、前記側構体の吹寄せ部のうちの少なくともいずれかの位置に配置されている、鉄道車両構体。
  2. 前記側構体内において、前記トラス型構造部が、前記吹寄せ部に配置された前記ハモニカ型構造部の前記車体の周方向両側に隣接している、請求項1に記載の鉄道車両構体。
  3. 前記屋根構体内において、前記ハモニカ型構造部が、前記屋根構体の車幅方向中央線と重なる位置に配置されている、請求項1又は2に記載の鉄道車両構体。
  4. 前記側構体と前記屋根構体とは、車両長手方向から見て、前記車体の周方向に配置された複数の中空形材を有し、
    前記複数の中空形材の各々は、前記車体の車内側に配置された内板部と、前記連結板部と、前記車体の車外側に配置され、前記内板部と板面を離隔させた状態で前記内板部と前記連結板部により連結された外板部とを含み、
    前記複数の中空形材において、複数の前記内板部が結合されて前記内壁部が形成されていると共に、複数の前記外板部が結合されて前記外壁部が形成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の鉄道車両構体。
  5. 前記複数の中空形材のうち、少なくとも前記ハモニカ型構造部の前記内壁部と前記外壁部と前記連結板部とを形成する中空形材が、押出成形部材である、請求項4に記載の鉄道車両構体。
  6. 車幅方向両側に配置された側梁を有する台枠と、前記台枠の車幅方向両側に配置された側構体と、前記側構体の上方に配置された屋根構体とを備え、
    前記側梁は、車体の車内側に配置された内壁部と、前記車体の車外側に配置された外壁部と、前記内壁部と前記外壁部とを壁面を離隔させた状態で連結し、且つ、車両長手方向から見て、前記車体の周方向に配置された複数の連結板部とを含むダブルスキン構造を有し、
    前記ダブルスキン構造は、車両長手方向から見て、前記複数の連結板部のうちの隣接する2つの連結板部と前記内壁部と前記外壁部とにより形成される閉空間が矩形であり且つ複数の前記閉空間を有するハモニカ型構造部と、車両長手方向から見て、前記ハモニカ型構造部に隣接し、前記2つの連結板部と、前記内壁部又は前記外壁部とにより形成される閉空間が三角形であるトラス型構造部とを有し、
    床板よりも下方に位置する前記側梁の下側部分に前記ハモニカ型構造部が配置され、且つ、前記床板よりも上方に位置する前記側梁の上側部分に前記トラス構造部が配置され、前記側梁に設けられた前記ハモニカ型構造部のうち、最も上方に位置するハモニカ型構造部の前記閉空間が、前記床板の上面よりも下方に位置している、鉄道車両構体。
  7. 前記ハモニカ型構造部が、車両長手方向から見て、前記車体の周方向に連続して配置された3つ以上の前記連結板部を有する、請求項6に記載の鉄道車両構体。
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