JP4163809B2 - 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は情報記録媒体用ガラス基板の製造方法、並びにこのガラス基板を用いた情報記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
情報記録装置の大容量化にともなって、記録密度向上のために平滑性、平面度の優れた情報記録媒体用基板が必要とされ、中でもガラス基板材料は他の情報記録媒体用基板材料としてのアルミニウム合金やプラスチック材料に比較して非常に有利であることが一般的である。しかし、ガラスは脆性材料であることから表層に化学強化層を形成することで機械的な強度を上げて使用している場合が多い。
【0003】
しかし、ここで問題となるのはガラス基板の化学強化処理後の基板表面に強化層のアルカリ金属、特にカリウム原子、またはナトリウム原子のリッチな層がディスク主表面に現れることである。この層からアルカリ金属イオンのマイグレーションにより、ディスクの保存状態や、その後の情報記録媒体成膜後の経時変化としてディスク端部、主表面にアルカリ金属の炭酸塩や塩化物が析出することで、読み取り誤作動を引き起こす危険性が有る。また、アルカリ金属が金属合金の記録媒体と反応して、装置の誤作動を引き起こすことも考えられる。
【0004】
このため、ガラス基板表面をイオン交換処理した後、溶出し易い最表面層のアルカリ金属イオンを除去し、耐化学性を上げるための脱アルカリ処理やアルカリ金属イオンの封止対策が行われている。例えば、特許公開番号、特開平10−226539に示される製造方法のように、加熱した濃硫酸と接触させる方法のように酸、特に強酸を用いる方法がある。また特許公開番号、特開平8−180402に示される製造方法のように、80〜100℃の温水中に、イオン交換処理後のガラス基板を2〜10時間程度浸漬処理することで脱アルカリ金属イオン処理する温水処理方法もあり、この場合更に、脱アルカリ金属イオン処理後ガラス基板の最表面層に対して2価金属イオンの注入処理をして、アルカリ金属イオンの封止対策が加えられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの脱アルカリ金属イオン処理では、熱濃硫酸(例えば、100℃超で濃度96%以上の熱濃硫酸)等の強酸を使用することの安全性や、温水処理では少なくとも2時間以上の浸漬時間が必要であり、また処理効果が少ないため後処理として2価金属イオンの注入処理が必要であるが、そのアルカリ金属イオン封止効果は、アルカリ溶出量が0.3〜0.5μg/cm2で、実用上耐化学性充分とは言えない等の問題がある。
【0006】
本発明は、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、化学強化処理後のガラス表面のアルカリ金属リッチな層からのアルカリマイグレーションを抑制するため、化学強化後ガラス基板表面のアルカリ金属イオンを効率良く除去し、耐化学性に優れたガラス基板を効率良く生産できる製造方法及びこのガラス基板を用いた耐候性に優れた情報記録媒体を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題について鋭意検討した結果、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法に関し、通常の方法で例えば1段強化の場合は硝酸カリウムを、2段強化の場合は硝酸カリウムと硝酸ナトリウムを混合した無機化合物塩の化学強化液を用いてガラスの転移点以下の温度でイオン交換による化学強化処理を行ったガラス基板を、再びガラス中のアルカリ金属イオン(ナトリウムイオンあるいはリチウムイオン)よりイオン半径の大きい無機化合物塩、例えばカリウム塩、セシウム塩、あるいはルビジウム塩等を少量添加した前記無機化合物塩の化学強化液、該化学強化液の溶融温度は最初の化学強化時の液温よりも低い温度に設定してある、に浸漬すると、ガラス基板表面のアルカリ金属は該化学強化塩浴中に熱拡散する。この時化学強化塩浴中少量添加されているカリウムイオン、セシウムイオン、あるいはルビジウムイオンはイオン半径が大きいため、ガラスのネットワーク中には導入されにくい。つまり、容易にガラス基板表面層に存在しているアルカリ金属が抜け取れ、耐化学性に優れたガラス表面層が形成されることで、上記の課題が達成されることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
即ち、本発明の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、ガラス基板を通常の方法で無機化合物塩の化学強化処理した後、ガラス基板を室温〜400℃に加熱し、そのガラス基板を先に使用した化学強化液にガラス中のアルカリ金属イオンよりイオン半径の大きい無機化合物塩を少量添加した無機化合物塩の化学強化塩浴、該化学強化塩浴の液温は最初の化学強化時の液温よりも20〜100℃低目に設定してある、に浸漬して、ガラス表面のアルカリ金属イオンのみ該化学強化塩浴中に拡散させることを特徴とし、ガラス基板表面のアルカリ金属イオンを効率良く除去する脱アルカリ処理方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法においては、ガラス基板を加熱した化学強化塩浴中に浸漬し、ガラス表面のイオンを化学強化塩浴中のイオンとイオン交換をして、ガラス基板を化学強化する。その化学強化したガラス基板を本発明の処理を行い、脱アルカリ処理を行うことを特徴とする。
【0011】
脱アルカリ処理の方法としては、ガラス基板を予め室温〜400℃にし、そのガラス基板を、先に使用した無機化合物塩の化学強化塩浴中にガラス中のアルカリ金属イオンよりイオン半径の大きい無機化合物塩を少量添加した無機化合物塩の化学強化塩浴、該化学強化塩浴の液温は最初の化学強化時の液温よりも20〜100℃低目に設定してある、該化学強化塩浴に30秒以上好ましくは5〜30分間浸漬する。該化学強化塩浴に浸漬時のガラス基板温度は、室温以上であれば良い。好ましくは、ガラス基板の温度が100℃以上であると、ガラス基板との反応が早くなり、処理時間が短時間で済み、生産効率が良化する。また、浸漬温度500℃以上ではガラス基板の変形が発生するため、生産効率上良くない。また処理時間が30秒以下では充分な脱アルカリ効果が得られにくい。このように該化学強化塩浴で処理されたガラス基板は、そのガラス表面付近のナトリウムイオン、カリウムイオン、あるいはリチウムイオンが熱拡散により、該化学強化塩浴中に放出し、高温脱アルカリ処理となる。また、処理後基板表面に付着した該化学強化塩結晶物は蒸留水で容易に溶解することができ、清浄な基板表面が得られる。
【0012】
また本発明において、ガラス材料としては化学強化処理で強化層を形成することのできるものとして、例えばアルミノシリケート系ガラス、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス等を用いることができる。
【0013】
なお、本発明の脱アルカリ方法の基本原理は、溶融塩中の金属イオンとガラス中のアルカリ金属イオンの濃度差による、イオン拡散である。初めに通常の温度条件でイオン交換処理を行い、その後イオン交換処理に用いた化学強化液にガラス中のアルカリ金属イオンよりイオン半径が大きい第三の無機塩化合物としての硝酸塩を添加し、初めのイオン交換処理温度より少し低い温度条件にした溶融塩浴に浸漬すると、ガラス中のアルカリ金属イオンはガラス中からイオン拡散して抜け出すが、その時溶融塩のイオン(カリウムイオン、リチウムイオン、セシウムイオン、ルビジウムイオン等)はガラス中にイオン拡散していくに必要な熱エネルギーが少ないため、ガラス中にイオン拡散して入り込み難く、相互のイオンの収支バランスは一方的にガラス中から抜け出てくるアルカリ金属イオン(ナトリウムイオン、リチウムイオン)の方が多く、結果的にガラス表面の脱アルカリ現象が行われていることになる。この原理は幾多の実験や理論的考察に基づき発見できたものであり、この発明の完成に到ったものである。この原理から言えば、用いる第三の無機塩化合物としての硝酸塩は、ガラス中のアルカリ金属よりイオン半径の大きい金属であれば良く、リチウムやカリウムを含まないガラスに対しては硝酸カリウムのような塩でも良い。また、硝酸銀のような金属塩でもよい。
【0014】
【実施例】
(実施例1)
アルミノシリケートガラス基板を420℃の硝酸カリウムの溶融塩浴中で4時間化学強化処理し、付着している析出塩を水で洗い落とした後、そのアルミノシリケートガラス基板を350℃の硝酸カリウムの溶融塩浴中に10%硝酸ルビジウムを添加した塩浴に所定時間浸漬し、その後塩浴から取りだし、放冷した。放冷後、蒸留水で洗浄し、このサンプルをガラス基板の耐水性試験を行い、ガラスから溶出したアルカリ金属(Na、Li、K)濃度の測定を原子吸光分析装置にて測定した。なお耐水性試験は、ガラス基板を50mlの蒸留水で満たしたテフロンビーカー中に浸漬し、そのガラス基板の入ったテフロンビーカーを80℃に保った恒温水槽に移し、80℃の温水中に24時間保持してガラス基板から溶出したアルカリ金属量を原子吸光法で定量分析した。その結果は表1に示す通りであった。
【0015】
表1に示したように、ガラス基板のアルカリ溶出量は処理時間5分で未処理の1/4に減少し、短時間で脱アルカリ処理が行なわれていることが確認された。
【0016】
(実施例2)
次に、実施例1と同じガラス基板を同様に化学強化処理し、付着している析出塩を水で洗い落とした後、そのガラス基板を380℃の硝酸カリウムの溶融塩浴中に10%硝酸銀を添加した塩浴に所定時間浸漬し、その後塩浴から取りだし、放冷した。放冷後、蒸留水で洗浄し、このサンプルをガラス基板の耐水性試験を行い、ガラスから溶出したアルカリ金属イオン(Na、Li、K)濃度の測定を原子吸光分析装置にて測定した。その結果は表2に示す通りになった。
【0017】
表2に示したように、硝酸カリウム化学強化溶融塩に硝酸銀を添加した場合でも、ガラス基板のアルカリ溶出量は処理時間30秒で未処理の1/3に減少し、極めて短時間で脱アルカリ処理が行なわれていることが確認された。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法に従って脱アルカリ処理をして製造されたガラス基板は、ガラス基板表面のアルカリマイグレーションを著しく抑制し、ガラス基板上に成膜される情報記録媒体に悪影響を及ぼさないガラス基板を提供できることで、情報記録媒体の信頼性を飛躍的に向上させることができるものである。
Claims (3)
- 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、イオン交換による化学強化処理されたガラス基板を、ナトリウムよりイオン半径の大きい金属のみからなる硝酸塩の溶融塩に浸漬することを特徴とする情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
- ナトリウムよりイオン半径の大きい金属の硝酸塩が、カリウム塩、セシウム塩、あるいはルビジウム塩であることを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
- 硝酸塩に浸漬する際のガラス基板の温度が室温〜400℃であり、浸漬時間が30秒以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
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