JP4163556B2 - イオン移動度検出器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオン移動度検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のイオン移動度検出器として、試料分子をイオン化するイオン化室と、イオン化室にてイオン化された試料分子が長手方向に移動するドリフト室と、イオン化された試料分子を収集するための集電極と、集電極に対向して設けられたグリッド電極とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上記グリッド電極には、ドリフト室の長手方向中心軸付近をドリフト室内に形成される電界に概ね垂直に移動するイオン化された試料分子が主として集電極に到達するように、集電極の面積よりも小さい開口面積を有するアパーチャが形成されている。これにより、移動途中にドリフト室の長手方向中心軸に交差する方向に分散し、ドリフト室の長手方向中心軸から離れた軌跡を形成するイオン化された試料分子が集電極に到達するのが阻止され、集電極からの出力に時間的な遅れ成分が含まれるのを防いで、時間分解能が劣化するのを抑制している。
【0004】
【特許文献1】
米国特許第4712008号明細書
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等の調査研究の結果、上記特許文献1に記載されたイオン移動度検出器においては、依然として時間分解能が劣化するという問題点を有していることが判明した。
【0006】
集電極の外周端部近傍で電界の乱れが生じ、この電界の乱れにより、本来なら集電極には到達しないようなイオン化された試料分子(移動途中にドリフト室の長手方向中心軸に交差する方向に分散し、ドリフト室の長手方向中心軸から離れた軌跡を形成するイオン化された試料分子)までもが、集電極とグリッド電極との間隙を通り、集電極を回り込んで到達してしまう惧れがある。このように、イオン化された試料分子が集電極を回り込んで到達すると、集電極からの出力に時間的な遅れ成分が含まれてしまうので、時間分解能が劣化することとなる。
【0007】
本発明は、時間分解能の劣化を効果的に抑制することが可能なイオン移動度検出器を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るイオン移動度検出器は、イオン化室にてイオン化された試料分子が長手方向に移動するドリフト室と、イオン化された試料分子を収集するための集電極と、を備えたイオン移動度検出器であって、集電極の外周側に設けられ、当該集電極と同電位とされる補助電極を有することを特徴としている。
【0009】
本発明に係るイオン移動度検出器では、集電極の外周側に、当該集電極と同電位とされる補助電極が設けられているので、移動途中にドリフト室の長手方向中心軸に交差する方向に分散し、当該長手方向中心軸から離れた軌跡を形成するイオン化された試料分子は、集電極に収集されることなく、補助電極に確実に収集されることとなる。これにより、集電極からの出力が時間的な遅れ成分を含むようなことはなく、時間分解能の劣化を効果的に抑制することができる。
【0010】
また、ドリフト室内におけるイオン化された試料分子の移動方向に見て集電極より前方からドリフトガスをドリフト室内に導入するドリフトガス導入手段を更に有しており、補助電極は、ドリフトガスを透過することが好ましい。このように構成した場合、集電極近傍に存在する中性化された試料分子がイオン化された試料分子の移動方向に見て集電極より前方から導入するドリフトガスにより除去されることとなる。この結果、イオン化された試料分子の集電極への到達が集電極近傍に存在する中性化された試料分子により遅れてしまうことはなく、時間分解能の劣化をより一層抑制することができる。なお、補助電極はドリフトガスを透過するので、上記ドリフトガスの流れを阻害するようなことはない。
【0011】
また、補助電極は、メッシュ状とされていることが好ましい。このように構成した場合、ドリフトガスを確実に透過し得る構成の補助電極を簡易且つ低コストにて実現することができる。
【0012】
また、補助電極は、貫通孔を有する板状部材からなることが好ましい。このように構成した場合、ドリフトガスを確実に透過し得る構成の補助電極を簡易且つ低コストにて実現することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態に係るイオン移動度検出器について図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0014】
図1は、本実施形態に係るイオン移動度検出器の構成を説明するための概略斜視図である。図2は、本実施形態に係るイオン移動度検出器を示す縦断面図である。図3は、図2におけるIII−III線に沿った断面図である。図4は、図3におけるIV−IV線に沿った断面図である。イオン移動度検出器IMSは、図1に示されるように、イオン化室1と、ドリフト室21とを有している。イオン化室1及びドリフト室21内の圧力は、大気圧相当である。なお、本実施形態に係るイオン移動度検出器IMSは、試料分子を陽イオン化し、陽イオン化した試料分子のイオン移動度を検出するものである。
【0015】
イオン化室1は、図2〜図4に示されるように、両端に開口3a,3bを有する筒状部材3(本実施形態においては、内周断面形状及び外周断面形状が矩形である角形の筒状部材を用いている。)内に形成されており、試料分子をイオン化する領域である。筒状部材3は、電気絶縁性材料からなる。イオン化室1(筒状部材3の内部空間)は、筒状部材3の一方の開口3aを通してドリフト室21に連通している。筒状部材3には、試料導入管5と、真空紫外ランプ7が設けられている。
【0016】
試料導入管5は、キャリアガスを供給するキャリアガス供給源9及び試料分子を供給する試料分子供給源11に接続されており、試料導入管5の一端に形成された導入口13を通してイオン化室1に連通している。キャリアガス供給源9から供給されたキャリアガス及び試料分子供給源11から供給された試料分子は、混合された状態で、試料導入管5を通ってイオン化室1内に導入される。ここで、試料導入管5は、試料分子をイオン化室1内に導入する試料分子導入手段として機能する。なお、本実施形態において、キャリアガス供給源9と試料分子供給源11とは試料導入管5に対して直列に接続されているが、並列に接続されていてもよい。
【0017】
真空紫外ランプ7は、試料導入管5を通してイオン化室1に導入された試料分子に真空紫外光を照射する。真空紫外光が照射された試料分子は、イオン化されることとなる。ここで、真空紫外ランプ7は、イオン化室1に導入された試料分子にエネルギー線を照射するエネルギー線照射手段として機能する。なお、真空紫外ランプ7としては、希ガス等を利用するエキシマランプやキャピラリ放電管、水素放電ランプを用いることができる。また、真空紫外ランプ7の代わりに、紫外線やX線を放出するD2ランプ、軟X線管や、多光子吸収によってイオン化させることができるUVレーザを用いることができる。
【0018】
真空紫外ランプ7による真空紫外光の照射方向と試料導入管5を通した試料分子の導入方向とは、図1にも示されるように、互いに交差(本実施形態においては、直交)すると共に、ドリフト室21の長手方向中心軸Lと交差(本実施形態においては、直交)する方向に設定されている。なお、本実施形態においては、真空紫外ランプ7による真空紫外光の照射方向、試料導入管5を通した試料分子の導入方向、及び、ドリフト室21の長手方向中心軸Lは一点で交差している。
【0019】
筒状部材3には、試料導入管5を通した試料分子の導入方向で見て導入口13と対向する位置に、導入された試料分子を排出するための排出口15が形成されている。イオン化室1は、排出口15を通して外部空間に連通している。
【0020】
筒状部材3の他方の開口3bは、電子捕集電極17により塞がれている。この電子捕集電極17は、試料分子がイオン化される際に発生する電子を捕集するためのものであり、所定の正の電位が印加されている。電子捕集電極17には、筒状部材3の他方の開口3bに内挿される突出部19が形成されている。
【0021】
ドリフト室21は、図2〜図4に示されるように、ドリフト管23内に形成されており、一端側がイオン化室1に連通し、イオン化室1内でイオン化された試料分子がその長手方向に移動する領域である。ドリフト管23は、複数のリング状の電極25と、複数のリング状の電気絶縁体27とを含んでおり、電極25と電気絶縁体27が交互に積層された構成となっている。即ち、電極25と電極25との間に電気絶縁体27が配置され、電極25と電極25とは電気絶縁体27により電気的に絶縁された状態にある。電極25及び電気絶縁体27は、ドリフト室21内にイオン化された試料分子を移動させるための電界を形成する電界形成手段として機能する。
【0022】
ドリフト管23の一端側には、ゲートシャッターとしてのゲート電極31が設けられている。ゲート電極31としては、ブラッドバリー−ニールセン・シャッター(Bradbury-Nielsen shutter)を用いることができる。ゲート電極31は、印加される電位が変化することによりイオン化された試料分子を通過させるものであり、一対の電極31aと電気絶縁性を有する枠部材32とを含んでいる。各電極31aは、基幹部と当該基幹部から交差する方向に伸びる複数の分岐部とを有した櫛歯形状を呈しており、枠部材32に互いに噛み合うように配置されている。上記一対の電極31a間の電位差を0とすることにより、イオン化された試料分子の通過が許容され、当該電位差を0より大きい所定の値とすることにより、イオン化された試料分子の通過が禁止される。したがって、ゲート電極31にパルス状の信号を供給し、所定の時間、一対の電極31a間の電位差を0とすることにより、当該所定の時間だけイオン化された試料分子がゲート電極31を通過することとなる。ゲート電極31により、イオン化室1とドリフト室21とが分離されることとなる。ゲート電極31には、電位を印加するためのリード部33がドリフト管23の径方向に突出して設けられている。
【0023】
ゲート電極31と筒状部材3との間には、略円板状の電極35が配置されている。電極35は、ドリフト管23を構成する電極25と同様の形状を有する外周部37と、当該外周部37から内側方向に伸びる基部39とを有している。基部39には、筒状部材3の一方の開口3aに連通する開口39aと、当該開口39aの外周寄りの位置に形成されたガス放出口39bが形成されている。外周部37にも、ガス放出口37aが形成されている。ドリフト室21(ドリフト管23の内部空間)は、電極35の基部39に形成された開口39a及び筒状部材3の一方の開口3aを通して、イオン化室1に連通している。また、ドリフト室21(ドリフト管23の内部空間)は、ガス放出口37a,39bを通して、外部空間に連通している。
【0024】
ドリフト管23の他端側には、図5にも示されるように、導電性の基板43が設けられている。基板43には、イオン化された試料分子を収集するための集電極45(本実施形態においては、アノードとして機能する。)と、ドリフトガスをドリフト室21内に導入するドリフトガス導入管47が配置されている。図5は、本実施形態に係るイオン移動度検出器に含まれる基板周辺を示す断面図である。
【0025】
集電極45は、円板状の部材であり、基板43に電気絶縁性を有するリング状の部材46を介して設けられた支持部材にネジ止めされることにより、基板43に配置されている。リング状の部材46以外に集電極45を基板43と電気的に絶縁する手段としては、集電極45のリード部をガラス等の電気絶縁材料で封着したり、Oリング止めをしたりしてもよい。集電極45としては、ファラデー・カップ等を用いることができる。集電極45は、その中心軸がドリフト室21の長手方向中心軸Lと一致するように設けられている。集電極45の電位は、基板43と同じ電位に保たれている。
【0026】
ドリフトガス導入管47は、ドリフトガスを供給するドリフトガス供給源51に接続されており、ドリフトガス導入管47の一端に形成された導入口49を通してドリフト室21の他端側に連通している。ドリフトガス供給源51から供給されたドリフトガスは、ドリフトガス導入管47を通り、ドリフト室21内におけるイオン化された試料分子の移動方向に見て集電極45より前方からドリフト室21内に導入される。即ち、集電極45は、ドリフトガスの流れ方向で見て、ドリフトガス導入管47の導入口49よりも下流に位置している。ドリフト室21内に導入されたドリフトガスは、ドリフト室21内をイオン化室1方向に向かって流れ、ガス放出口37a,39bから外部に排出される。ドリフト室21内におけるドリフトガスの流れ方向と、イオン化された試料分子の移動方向とは、反対方向となる。
【0027】
ドリフト室21の他端側には、メッシュ形状を呈したグリッド電極53が集電極45に対向して設けられている。このグリッド電極53は、電極25のうちの最も基板43に近い電極に電気的に接続されており、当該電極と同じ電位とされている。グリッド電極53は、ドリフト室21内に形成される電界がゲート電極31における電位のパルス状の変化により変動するのを抑制する。
【0028】
集電極45の外周側には、補助電極55が配置されている。補助電極55は、図6に示されるように、板状部材からなり、その中央部に集電極45の直径よりも若干大きい内径を有する開口57が形成されている。補助電極55は、開口57内に集電極45が位置するように、集電極45と同一平面内に設けられている。補助電極55の外周部分は、基板43と接しており、当該基板43と電気的に接続されている。これにより、補助電極55の電位は、基板43と同じ電位に保たれる。また、補助電極55の電位は、集電極45の電位と同である。
【0029】
補助電極55には、複数の貫通孔55aが形成されている。ドリフトガス導入管47の導入口49から導入されるドリフトガスは、まず、基板43と補助電極55及び集電極45とで画成される空間内に流入する。その後、ドリフトガスは、補助電極55に形成された貫通孔55a、及び、補助電極55の内周と集電極45の外周との間隙を通って、ドリフト室21内を流れていく。基板43と補助電極55及び集電極45とで画成される空間は、ドリフトガスのバッファ領域として機能する。
【0030】
なお、補助電極55は、貫通孔55aを有する板状部材の他に、図7に示されるように、メッシュ状の部材としてもよい。
【0031】
電極25,35、電気絶縁体27、ゲート電極31、筒状部材3及び電子捕集電極17は、基板43と抑え板59とで挟持されている。抑え板59は、電極25、電気絶縁体27、ゲート電極31、筒状部材3及び電子捕集電極17を挟持した状態で、一端側が基板43に固定された支柱61の他端側に螺合するナット63により基板43に対して固定される。なお、電子捕集電極17は、抑え板59にネジ止めされている。
【0032】
ところで、基板43、電極25,35及び電子捕集電極17は、隣り合うもの同士が分圧抵抗(図示せず)により電気的に接続されている。分圧抵抗は、ブリーダ回路基板65上に形成された薄膜状の抵抗体であり、導電性を有するネジ67を通して基板43、電極25,35及び電子捕集電極17に電気的に接続される。このネジ67は、ブリーダ回路基板65を固定する機能も有している。そして、上述したように、電子捕集電極17に所定の正の電位を印加し、基板43を接地すると、図8に示されるように、イオン化室1からドリフト室21にわたって、電界が形成される。この電界により、イオン化された試料分子は、イオン化室1からドリフト室21に移動し、ドリフト室21内を集電極45に向けて移動する。なお、図8は、イオン化室及びドリフト室における電界分布とイオン化された試料分子の移動軌跡を示す図である。図8中、実線はイオン化された試料分子の移動軌跡を示し、一点鎖線はイオン化室1及びドリフト室21における電界電界の等電位面を示している。また、各電極25等に設定されている電位(+)はそれぞれ、
電子捕集電極17 :2.1kV
電極35 :1.67kV
ゲート電極31 :1.57kV
ゲート電極31の隣の電極25 :1.512kV

グリッド電極53が電気的に接続された電極25の隣の電極25:215V
グリッド電極53が電気的に接続された電極25 :53V
基板43 :0V
である。
【0033】
筒状部材3と電極35との間には、メッシュ状電極69が配置されている。メッシュ状電極69は、筒状部材3と電極35とで挟持されており、電極35と同じ電位とされる。このメッシュ状電極69は、筒状部材3の一方の開口3a近傍に位置することとなり、イオン化室1内に形成される電界がゲート電極31における電位のパルス状の変化により変動するのを抑制する。
【0034】
続いて、上述した構成を有するイオン移動度検出器IMSの測定原理を簡単に説明する。イオン化室1にてイオン化された試料分子(以下、単にイオンと称する)を、ゲート電極31にパルス状の電圧を印加して電位を変化させることで、ドリフト室21内に導入する。ドリフト室21に導入されたパルス状のイオン群は、ドリフトガス導入管47より導入されたドリフトガスの分子の影響を受けることで時間的遅れを持って移動し、ドリフト室21内に形成されたほぼ均一の電界に沿って集電極45に到達する。集電極45に到達したイオン群はパルス状の電気信号として出力され、当該電気信号に基づいて、ゲート電極31から集電極45までの到達時間(飛行時間(TOF)、集電極45に到達したイオン群の量等が検出される。上記到達時間からイオン移動度を求めることができ、試料分子の同定が可能となる。また、電気信号の応答波形の積分値もしくはピーク値から、試料分子の定量が可能となる。
【0035】
以上のように、本実施形態においては、集電極45の外周側に、当該集電極45と同電位とされる補助電極55が設けられているので、移動途中にドリフト室21の長手方向中心軸Lに交差する方向に分散し、当該長手方向中心軸Lから離れた軌跡を形成するイオン化された試料分子は、集電極45に収集されることなく、補助電極55に確実に収集されることとなる。これにより、集電極45からの出力が時間的な遅れ成分を含むようなことはなく、イオン移動度検出器IMSの時間分解能の劣化を効果的に抑制することができる。
【0036】
また、本実施形態においては、ドリフト室21内におけるイオン化された試料分子の移動方向に見て集電極45より前方からドリフトガスをドリフト室21内に導入するドリフトガス導入管47を更に有しており、補助電極55は、ドリフトガスを透過する。これにより、集電極45近傍に存在する中性化された試料分子がイオン化された試料分子の移動方向に見て集電極45より前方から導入するドリフトガスにより除去されることとなる。この結果、イオン化された試料分子の集電極45への到達が集電極45近傍に存在する中性化された試料分子により遅れてしまうことはなく、イオン移動度検出器IMS時間分解能の劣化をより一層抑制することができる。なお、補助電極55はドリフトガスを透過するので、上記ドリフトガスの流れを阻害するようなことはない。
【0037】
また、本実施形態において、補助電極55は、メッシュ状とされている。これにより、ドリフトガスを確実に透過し得る構成の補助電極55を簡易且つ低コストにて実現することができる。
【0038】
また、本実施形態において、補助電極55は、貫通孔55aを有する板状部材からなる。これにより、ドリフトガスを確実に透過し得る構成の補助電極55を簡易且つ低コストにて実現することができる。
【0039】
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、イオン化室1に導入された試料分子をイオン化するための手段は、上述した真空紫外ランプ7等のエネルギー線照射手段に限られることなく、試料分子にイオン化エネルギーを与えるものであればよい。
【0040】
また、本実施形態においては、本発明を、試料分子を陽イオン化し、陽イオン化した試料分子のイオン移動度を検出するイオン移動度検出器IMSに適用しているが、これに限られることなく、試料分子を陰イオン化し、陰イオン化した試料分子のイオン移動度を検出するイオン移動度検出器にも本発明を適用することができる。陰イオン化した試料分子のイオン移動度を検出するイオン移動度検出器の場合、電位配置は、上記イオン移動度検出器IMSの電位配置とは逆の関係になる。また、GND(接地)の位置は、任意に設定することができる。
【0041】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、時間分解能の劣化を効果的に抑制することが可能なイオン移動度検出器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係るイオン移動度検出器の構成を説明するための概略斜視図である。
【図2】本実施形態に係るイオン移動度検出器を示す縦断面図である。
【図3】図2におけるIII−III線に沿った断面図である。
【図4】図3におけるIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】本実施形態に係るイオン移動度検出器に含まれる基板周辺を示す断面図である。
【図6】本実施形態に係るイオン移動度検出器に含まれる補助電極の一例を説明するための斜視図である。
【図7】本実施形態に係るイオン移動度検出器に含まれる補助電極の一例を説明するための斜視図である。
【図8】イオン化室及びドリフト室における電界分布とイオン化された試料分子の移動軌跡を示す図である。
【符号の説明】
1…イオン化室、3…筒状部材、5…試料導入管、7…真空紫外ランプ、17…電子捕集電極、21…ドリフト室、23…ドリフト管、25…電極、27…電気絶縁体、31…ゲート電極、35…電極、43…基板、45…集電極、47…ドリフトガス導入管、53…グリッド電極、55…補助電極、55a…貫通孔、65…ブリーダ回路基板、69…メッシュ状電極、IMS…イオン移動度検出器、L…ドリフト室の長手方向中心軸。

Claims (4)

  1. イオン化室にてイオン化された試料分子が長手方向に移動するドリフト室と、前記イオン化された試料分子を収集するための集電極と、を備えたイオン移動度検出器であって、
    前記集電極の外周側に設けられ、当該集電極と同電位とされる補助電極を有することを特徴とするイオン移動度検出器。
  2. 前記ドリフト室内における前記イオン化された試料分子の移動方向に見て前記集電極より前方からドリフトガスを前記ドリフト室内に導入するドリフトガス導入手段を更に有しており、
    前記補助電極は、前記ドリフトガスを透過することを特徴とする請求項1に記載のイオン移動度検出器。
  3. 前記補助電極は、メッシュ状とされていることを特徴とする請求項2に記載のイオン移動度検出器。
  4. 前記補助電極は、貫通孔を有する板状部材からなることを特徴とする請求項2に記載のイオン移動度検出器。
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