JP4162049B2 - 透明膜 - Google Patents

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本発明は、無機層状化合物を主要構成成分とする膜からなることを特徴とする透明材に関するものであり、更に詳しくは、自立膜として利用可能な機械的強度を有し、耐熱性を有し、ガスバリア性を有し、無機層状化合物粒子の積層を高度に配向させた透明材に関するものである。包装材、封止材、ディスプレイ材の技術分野において、従来、ガス遮蔽性が高く、透明で、柔軟で、しかも高温下で使用可能な耐熱性材料の開発が強く要請されている。これを踏まえ、本発明は熱安定性が高く、しかも、柔軟性及びガスバリア性に優れた透明な新素材・新技術を提供するものである。
ブラウン管方式に代わる、省エネルギーディスプレイとして、液晶、有機ELなどが開発され、電子ペーパー等の用途も含め、ディスプレイ全体のフレキシブル化が次の目標となっており、このための柔軟な、耐熱性透明フィルムが求められている。しかしながら、従来材料、例えば、プラスチックフィルムは、柔軟であるものの、その耐熱性及びガスバリア性は十分とは言えず、薄板ガラスは光透過性・耐熱性に優れるものの、柔軟性が十分ではないという問題がある。しかも、薄板ガラスにはその厚さを0.4ミリメートル程度にまでしかできないため、柔軟性に加えて軽量化が難しいという問題がある。そのため、柔軟性・耐熱性・透明性・ガスバリア性を併せ持つフィルム状材料の開発が強く求められている。特に、柔軟性及び軽量化の実現のために、フィルムを極力薄くすることが望まれており、また、フィルム基板に対しては、表面平滑性、耐薬品性、寸法安定性、あるいは低膨張率性が求められる。
膨潤性粘土などの無機層状化合物を、水やアルコールに分散し、その分散液をガラス板の上に広げ、静置、乾燥することにより、粒子の配向の揃った膜が得られることが知られており、この膜形成により、X線回折用の定方位試料が調製されてきた(非特許文献1参照)。しかしながら、ガラス板上に膜を形成した場合、ガラス板から無機層状化合物薄膜を剥がすことが困難であり、剥がす際に膜に亀裂が生じるなど、自立膜として得ることが難しいという問題があった。また、膜を剥がせたとしても、得られた膜が脆く、強度不足であり、これまで、ピンホールのないガスバリア性に優れた均一の厚さの膜を調製することは困難であった。
一方、種々の高分子樹脂は、成形材料の他、分散剤、増粘剤、結合剤として、無機材料に配合しガスバリア材料として用いられている。例えば、ポリアクリル酸等の、分子中に2個以上のカルボキシル基を持つカルボキシル基含有高水素ガス結合性樹脂(A)と、澱粉類等の、分子鎖中に2個以上の水酸基を持つ水酸基含有高水素ガス結合性樹脂(B)の重量比A/B=80/20〜60/40の混合物100重量部と、粘土鉱物等の無機層状化合物1〜10重量部とで組成物を形成し、この組成物から作製した厚み0.1〜50μmの皮膜に、熱処理・電子線処理すると、その皮膜はガスバリア性を示すことが知られている(特許文献1参照)。しかし、この場合には、水可溶性高分子樹脂が主成分であり、耐熱性が高くないという問題がある。
また、二つのポリオレフィン系樹脂層の間に、無機層状化合物と樹脂とを含む樹脂組成物からなる層を積層することにより、防湿性やガスバリア性に優れ、食品包装に適用可能な積層フィルムを得ることができる(特許文献2参照)。しかし、この場合には、無機層状化合物を含む樹脂組成物の層は、多層膜の一部として用いられているにすぎず、自立膜として単独で用いられるものではない。また、この種の積層膜の耐熱性は含まれる最も耐熱性の低い有機物材料、すなわち、この場合は、ポリオレフィンにより決定されるため、この種の材料は一般には高耐熱性とはなりえない。
最近、ラングミュアーブロジェット法(Langmuir−Blodgett Method)を応用した無機層状化合物薄膜の作製が行われている(例えば、非特許文献2参照)。しかし、この方法では、無機層状化合物薄膜は、ガラスなどの材料でできた基板表面上に形成されるものであり、自立膜としての強度を有する無機層状化合物薄膜は得られていない。他にも、従来から、機能性無機層状化合物薄膜等を調製する方法が、種々報告されている。例えば、ハイドロタルサイト系層間化合物の水分散液を膜状化して乾燥することからなる粘土薄膜の製造方法(特許文献3参照)、粘土鉱物と燐酸又は燐酸基との反応を利用し、その反応を促進させる熱処理を施すことにより粘土鉱物が持つ結合構造を配向固定した粘土鉱物薄膜の製造方法(特許文献4参照)、スメクタイト系粘土鉱物と2価以上の金属の錯化合物を含有する皮膜処理用水性組成物(特許文献5参照)などをはじめ、多数の事例が存在する。しかしながら、いずれの方法においても、これまで、自立膜として利用可能な機械的強度を有し、粘土粒子の積層を高度に配向させてガスバリア性を付与した無機層状化合物配向自立膜は得られてはいない。
一方、化粧品及び医薬品分野において、好適な球状の有機複合粘土鉱物(例えば、特許文献6及び特許文献7参照)、粘土鉱物と酸と酵素とを混合した湿潤性水虫の治療薬の製造(例えば、特許文献8及び特許文献9参照)等、無機層状化合物と有機化合物を複合化させることが提案されていた。しかしながら、これらの有機複合粘土鉱物を自立膜として用いることは、なされてこなかったのが実情であり、当技術分野では、自立膜として利用可能な機械的強度を有する新しい無機層状化合物膜を開発し、実用化することが強く求められていた。
特開平10−231434号公報 特開平7−251489号公報 特開平6−95290号公報 特開平5−254824号公報 特開2002−30255号公報 特開昭63−64913号公報 特公平07−17371号公報 特開昭52−15807号公報 特公昭61−3767号公報 白水晴雄「粘土鉱物学−粘土科学の基礎−」、朝倉書店、p.57(1988) 梅沢泰史、粘土科学、第42巻、第4号、218−222(2003)
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、自立膜として利用可能な機械的強度を有し、透明で、しかも、優れたフレキシビリティーを有し、200℃を超える高温度条件下で使用できる新しいガスバリア膜を開発することを目標として、鋭意研究を積み重ねる過程で、透明性の高い無機層状化合物と、少量の透明性の高い水可溶性の高分子を、水あるいは水を主成分とする液に分散させ、ダマを含まない均一な分散液を得た後、この分散液を、表面が平坦で表面が撥水性の支持体に塗布し、無機層状化合物粒子を沈積させるとともに、分散媒である液体を種々の固液分離方法、例えば、遠心分離、ろ過、真空乾燥、凍結真空乾燥又は加熱蒸発法などで分離し、膜状に成形した後、これを必要に応じ乾燥・加熱・冷却するなどの方法により支持体から剥離することにより、無機層状化合物粒子が配向し、透明性が高く、柔軟性に優れ、ガスバリア性に優れ、耐熱性も高い無機層状化合物膜が得られることを見出し、更に研究を重ねて、好ましい無機層状化合物とこれに好適な水可溶性高分子、無機層状化合物と水可溶性高分子の最適混合比率、分散液の最適固液比、好ましい支持体材料、好ましい分散方法等を見出し、膜の柔軟性、透明性及び耐熱性を向上させることを達成し、本発明を完成するに至った。本発明は、無機層状化合物を配向させ緻密に積層させることにより自立膜として利用可能な機械的強度を有し、しかも、光透過性を有し、熱安定性に優れたフレキシブルな透明材を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)無機層状化合物を主要構成成分とする膜が、1)無機層状化合物と水可溶性樹脂から構成される、2)無機層状化合物の全固体に対する重量比が70%以上である、3)全光線透過率が80%を超える、4)ガスバリア性を有する、及び5)自立膜として利用可能な機械的強度を有する、6)上記無機層状化合物が、層状ケイ酸、あるいはその塩である、ことを特徴とする透明材。
)無機層状化合物が、雲母、バーミキュライト、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、マガディアイト、アイラライト、及びカネマイト、のうちの一種以上であることを特徴とする、前記(1)に記載の透明材。
)水可溶性樹脂が、セルロース系樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニル樹脂、アクリル酸樹脂のうちの1種以上であって、水可溶性のものであることを特徴とする、前記(1)に記載の透明材。
)加熱、又は光照射の方法により、上記水可溶性樹脂添加物分子内、同添加物分子間、同添加物と無機層状化合物間、又は無機層状化合物結晶間において、付加反応、縮合反応、又は重合反応の化学反応を行わせ、新たな化学結合を生じさせて、光透過性、ガスバリア性、あるいは機械的強度を改善させたことを特徴とする、前記(1)に記載の透明材。
)厚みが0.2ミリメートル以下であることを特徴とする、前記(1)に記載の透明材。
)紫外可視分光器による500ナノメートルの光線透過率が80%以上であることを特徴とする、前記(1)に記載の透明材。
)通常空気条件下で、200℃一時間加熱後、紫外可視分光器による500ナノメートルの光線透過率が75%以上であることを特徴とする、前記(1)に記載の透明材。
)示差熱分析において、200℃から450℃の温度範囲における重量減少が乾燥固体基準で20%未満で、透明材を構成する無機層状化合物の基本構造が変化しないことを特徴とする、前記(1)から()のいずれかに記載の透明材。
)酸素ガスに対する透過係数が、室温において3.2×10−11cm−1cmHg−1未満であることを特徴とする、前記(1)から()のいずれかに記載の透明材。
10)300℃で1時間加熱処理後に、酸素ガスの室温におけるガス透過係数が3.2×10−11cm−1cmHg−1未満であることを特徴とする、前記(1)から()のいずれかに記載の透明材。
11)曲げ半径6ミリメートルでもクラックが発生せず使用が可能であることを特徴とする、前記(1)から(10)のいずれかに記載の透明材。
12)原子間力顕微鏡で測定した平均表面粗さが、20ナノメートル以下であることを特徴とする、前記(1)から(11)のいずれかに記載の透明材。
13)マイナス100℃からプラス200℃の平均線膨張係数が、−10から10ppmK−1の間であることを特徴とする、前記(1)から(12)のいずれかに記載の透明材。
14)透明材が、封止材、包装材、保護材、フレキシブル基板、又はディスプレイ材である、前記(1)から(13)のいずれかに記載の透明材。
次に、本発明について、更に詳細に説明する。
本発明者らは、透明性の高い無機層状化合物と、少量の透明性の高い水可溶性の高分子を、水あるいは水を主成分とする液に分散させ、ダマを含まない均一な分散液を得た後、この分散液を、表面が平坦で表面が撥水性の支持体に塗布し、無機層状化合物粒子を沈積させるとともに、分散媒である液体を種々の固液分離方法、例えば、遠心分離、ろ過、真空乾燥、凍結真空乾燥又は加熱蒸発法などで分離し、膜状に成形した後、これを必要に応じ乾燥・加熱・冷却するなどの方法により支持体から剥離することにより、無機層状化合物粒子が配向し、透明性が高く、柔軟性に優れ、ガスバリア性に優れ、耐熱性も高い無機層状化合物膜が得られることを見出し、更に研究を重ねて、好適な無機層状化合物と水可溶性高分子、無機層状化合物と水可溶性高分子の最適混合比率、分散液の最適固液比、好適な支持体材料、好適な分散方法等を見出し、膜の柔軟性、透明性及び耐熱性を向上させることを達成し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、透明性の高い無機状化合物及び少量の透明性の高い水可溶性高分子を用い、表面を平坦に成型し、無機層状化合物を配向して緻密に積層し、内部クラックやダマに起因する不均一性を最小限に抑え、均一な厚さで自立膜として利用可能な機械的強度を得るための製造条件を採用することにより、光透過性を有し、熱安定性、ガスバリア性に優れたフレキシブルな透明材を自立膜として得ることを特徴とするものである。加えて、一般的な透明樹脂の線膨張係数は50−70ppm K −1 程度であるのに対し、本発明の膜は粘土を主成分とするため線膨張係数が非常に小さいことを特徴とする。
本発明で用いる無機層状化合物としては、天然あるいは合成物、好適には、例えば、雲母、バーミキュライト、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、マガディアイト、アイラライト、カネマイトのうちの1種以上、更に好適には、それらの合成物の何れかあるいはそれらの混合物が例示される。また、本発明で用いる水可溶性高分子としては、主鎖あるいは側鎖に極性基を有し、そのため、親水性であり、あるいはカチオン性アニオン性あるいはノニオン性であり、水への溶解性が高いものであれば、特に限定されるものではないが、好適には、例えば、セルロース系樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニル樹脂、アクリル酸樹脂などのうちの一種以上であって、水可溶性のものが例示される。本発明で用いる無機層状化合物もまた親水性であり、水によく分散する。このような水可溶性高分子と無機層状化合物とは、互いの親和性があり、両者を水中で混合すると、容易に結合し複合化する。
本発明の透明材の製造方法においては、最初に、水あるいは水を主成分とする分散媒である液体に無機層状化合物及び水可溶性高分子を加えた、均一な分散液を調製しなければならない。この分散液の調製方法としては、無機層状化合物を分散させてから水可溶性高分子を加える方法、水可溶性高分子を含む溶液に無機層状化合物を分散させる方法並びに無機層状化合物及び水可溶性高分子を同時に上記分散媒に加えて分散液とする方法のいずれでもよいが、分散の容易さから、無機層状化合物を水あるいは水を主成分とする分散媒である液体に分散させてから、水可溶性高分子を加えることが好ましい。この場合、先ず、無機層状化合物を、水あるいは水を主成分とする分散媒である液体に加え、希薄で均一な無機層状化合物分散液を調製する。この無機層状化合物分散液における無機層状化合物濃度は、好適には0.3から10重量パーセント、より好ましくは、0.5から1重量パーセントである。このとき、無機層状化合物濃度が薄すぎる場合、乾燥に時間がかかりすぎるという問題がある。また、無機層状化合物濃度が濃すぎる場合、無機層状化合物が良好に分散しないため、無機層状化合物粒子の配向が悪く、均一な膜ができないという問題がある。また、無機層状化合物濃度が濃すぎる場合、乾燥時に収縮によるクラックや表面荒れ、膜厚の不均一性等が生じるという問題がある。
次に、水可溶性高分子あるいはそれを含む溶液を秤量して、上記無機層状化合物分散液に加え、無機層状化合物及び水可溶性高分子を含む均一な分散液を調製する。上述のように、無機層状化合物及び水可溶性高分子は、ともに親水性であり、水によく分散する。また、無機層状化合物及び水可溶性高分子は、互いの親和性があるので、両者は、水中で混合すると、容易に結合し複合化する。水可溶性高分子の、全固体に対する重量割合は、30パーセント未満であり、好ましくは5パーセントから20パーセントである。このとき、水可溶性高分子の割合が低すぎる場合、使用の効果が現れず、水可溶性高分子の割合が高すぎる場合、得られる膜の耐熱性が低下する。分散方法としては、できるだけ激しく分散できる方法であれば特に限定されるものではないが、攪拌翼をそなえた攪拌装置、振とう攪拌装置、ホモジナイザー等があり、特に小さなダマをなくすためには分散の最終段階でホモジナイザーを用いる方法が好ましい。ダマが分散液に残存している場合、膜表面の荒れあるいは膜組成の不均一の原因となり、光の表面散乱あるいは光の内部散乱の原因となる。
次に、無機層状化合物及び水可溶性高分子を含む分散液を脱気する。脱気の方法は、真空引き、加熱、遠心などがあるが真空引きを含む方法がより好ましい。脱気後、遠心分離などによって細かな気泡を取り除くことが、膜の透明性を向上させるのに有効である。遠心分離の条件としては、例えば、5500回転、20分間である。脱気した分散液を支持体表面に一定厚みで塗布する。次に、分散媒である液体をゆっくりと蒸発させ、膜状に成形する。乾燥方法としては、このようにして形成された複合無機層状化合物膜は、好適には、例えば、遠心分離、ろ過、真空乾燥、凍結真空乾燥及び加熱蒸発法の何れか、あるいはこれらの方法を組み合わせる。これらの方法のうち、例えば、加熱蒸発法を用いる場合、真空引きにより、事前に脱気処理した分散液を、平坦なトレイ、好ましくはポリプロピレン、テフロン(登録商標)などの撥水性材料でできているトレイなどの支持体に塗布し、水平を保った状態で、強制送風式オーブン中において、30℃から90℃の温度条件下、好ましくは30℃から50℃の温度条件下で、10分から3時間程度、好ましくは20分から1時間、乾燥して、水可溶性高分子複合無機層状化合物膜を得る。このとき、支持体表面は、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)などの撥水性材料の他、チタニアコーティングなどの撥水処理を行った材料が好適に用いられる。支持体表面が撥水性でない場合は、膜が支持体に貼りついた状態になり、剥離させることが困難になるという問題点がある。支持体表面はできるかぎり平坦であることが望ましい。平坦でない場合には、膜表面に支持体表面の荒れが転写され、光が表面散乱する原因となる。
無機層状化合物及び水可溶性高分子を含む分散液を、事前に脱気処理しない場合は、得られる複合無機層状化合物膜に気泡に由来する孔ができ易くなるという問題が生ずる場合がある。複合無機層状化合物膜に気泡が含まれる場合、光の内部散乱の原因となり、膜が曇るという問題点がある。また、乾燥条件は、液体分を蒸発によって取り除くに十分であるように設定される。このとき、温度が低すぎると、乾燥に時間がかかるという問題がある。また、温度が高すぎると、分散液の対流が起こり、膜が均一な厚みにならず、また、無機層状化合物粒子の配向度が低下するという問題がある。本発明の水可溶性高分子複合無機層状化合物膜の厚さについては、分散液に用いる固体量を調整することによって、任意の厚さの膜を得ることができる。厚みについては、うすく成膜した方が表面あれが起らず、光透過性に優れる傾向がある。その他、膜が厚くなることによって柔軟性が低下するという問題があり、厚みは0.2ミリメートル以下であることが望ましい。
本発明において、無機層状化合物粒子の積層を高度に配向させるとは、無機層状化合物粒子の単位構造層(厚さ約1ナノメートル)を、層面の向きを一にして積み重ね、層面に垂直な方向に、高い周期性を持たせることを意味する。このような無機層状化合物粒子の配向を得るためには、無機層状化合物及び水可溶性高分子を含む、希薄で均一な分散液を支持体に塗布し、分散媒である液体をゆっくりと蒸発させ、無機層状化合物粒子が緻密に積層した膜状に成形することが重要である。このプロセスにおける好適な製造条件を示すと、無機層状化合物分散液中の無機層状化合物の濃度は、好ましくは0.3から10重量パーセント、より好ましくは、0.5から1重量パーセントであり、また、加熱乾燥法による乾燥条件は、好ましくは、強制送風式オーブン中で、30℃から90℃の温度条件下、より好ましくは、30℃から50℃の温度条件下で、10分から3時間程度の乾燥、より好ましくは、20分から1時間程度の乾燥である。
また、水可溶性高分子複合無機層状化合物膜がトレイなどの支持体から自然に剥離しない場合は、好適には、例えば、約80℃から200℃の温度条件下で乾燥し、剥離を容易にして自立膜を得る。乾燥は一時間あれば十分である。このとき、温度が低すぎる場合には、剥離が起こりにくいという問題がある。温度が高すぎる場合には、水可溶性高分子が劣化し、結果として膜の着色が起る、機械的強度が低減する、ガスバリア性が低減する、等の問題が生じる。
本発明の粘土膜自体は、無機層状化合物を主原料(70重量%〜)として用い、基本構成として、好適には、例えば、層厚約1nm、粒子径〜1μm、合成の無機層状化合物が70重量%〜と、分子の大きさ〜数nmの天然又は合成の低分子・高分子の添加物が〜30重量%の構成、が例示される。この粘土膜は、例えば、厚さ約1nmの層状結晶を同じ向きに配向させて重ねて緻密に積層することで作製される。得られた膜は、膜厚が3〜200μm、好適には3〜200μmであり、ガスバリア性能は、厚さ25μmで酸素透過度0.1cc/m・24hr・atm未満であり、光透過性は、可視光(波長500ナノメートル)の透過度が80%以上であり、300℃、1時間加熱後の可視光(波長500ナノメートル)の透過度が80パーセント以上であり、波長350ナノメートルの透過度が80パーセント以上であり、面積は100×40cm以上に大面積化することが可能であり、高耐熱性を有し、300℃で1時間加熱処理後もガスバリア性の低下はみられない。線膨張係数は−100〜100℃で−2ppm K−1、100〜200℃で0ppm K−1である。引張強さは23.6MPaである。引裂強さは20.1N/mmである。熱拡散率は2.7×10−7/sである。燃焼試験における酸素指数は94以上である。
このように、本発明の無機層状化合物膜は、無機層状化合物粒子の積層が高度に配向し、自立膜として用いることが可能であり、フレキシビリティーに優れ、ピンホールが存在せず、200℃以上300℃までの高温においても気体・液体のバリア性を保持することを特徴とするものである。また、本発明の無機層状化合物膜は、例えば、はさみ、カッター等で容易に円、正方形、長方形などの任意の大きさ、形状に切り取ることができる。
したがって、本発明の無機層状化合物膜は、高温条件下でフレキシビリティーに優れ、ガスバリア性に優れた自立膜として、広範に使用することができ、例えば、200℃を超える高温においても化学的に安定で透明性を保つ、柔軟なディスプレイ材料・包装材料・電子デバイス封止材料などとして用いることができる。また、水可溶性高分子は、極性高分子であり、同様に極性を有する無機層状化合物と相互作用し、フレキシビィリティー、強度、透明性の点で優れた薄膜を生成する。そのため、無機層状化合物薄膜の引っ張り、捩れ等による容易な破壊が抑えられ、それにより、自立膜として利用可能な優れた特性を有する無機層状化合物膜が得られる。更に、本発明の無機層状化合物膜は、LCD用基板フィルム、有機EL用基板フィルム、電子ペーパー用基板フィルム、電子デバイス用封止フィルム、レンズフィルム、導光板用フィルム、プリズムフィルム、位相差板・偏光板用フィルム、視野角補正フィルム、PDP用フィルム、LED用フィルム、光通信用部材、タッチパネル用透明フィルム、各種機能性フィルムの基板フィルム、内部が透けて見える構造の電子機器用フィルム、ビデオディスク・CD/CD−R/CD−RW/DVD/MO/MD・相変化ディスク・光カードを含む光記録メディア用フィルム、燃料電池用封止フィルム、太陽電池用フィルム等として用いることも可能である。
上記無機層状化合物膜を他部材に貼り付ける一例として、多層化が例示される。つまり、無機層状化合物複合膜を他の材料から作製された膜Bと多層化することにより、気体バリア性能及び機械的強度を向上させて用いることが可能である。例えば、無機層状化合物複合膜とプラスチック膜の一種としてフッ素樹脂フィルムを接着剤によって貼り合わせて多層化した膜が例示される。フッ素樹脂フィルムは低透湿性であることから、フッ素樹脂フィルムと無機層状化合物複合膜との多層膜は高遮湿性及び高ガスバリア性の膜として利用可能である。ここで、膜Bの材質としては、粘土膜との多層膜の成形性が良好であれば、特に制限はないが、好適には、例えば、金属箔、薄板硝子、各種プラスチック膜、紙などが例示される。更に、無機層状化合物複合膜を含む三層以上の多層膜を用いることも可能である。
透明な耐熱性フィルムとしては、薄板ガラスがあるが、これは薄くても0.4ミリメートル程度が限界である。一方、本無機層状化合物複合膜は、0.2ミリメートルから3マイクロメートル程度まで薄く作製することが可能であり、デバイス全体のフレキシビリティー及び軽量化を図ることができる。
フレキシブルデバイス材料や電子デバイス封止材料としては、膜のフレキシビリティーが重要な特性である。本層状化合物複合膜は、半径6ミリに曲げてもクラックなど発生せず、フレキシブルデバイスに広範に使用が可能であることを特徴とする。
本発明の膜は、フレキシビリティ、加工性に優れていることから、ロールトゥーロールプロセスの適用も可能と考えられる。
本発明の膜の紫外線の吸収はわずかであり(図2)、経時的な着色が抑えられ、耐光性が高いと考えられる。
本発明の膜は他材料への接着が容易であり、一般的な接着剤を用いることが可能であり、表面コーティングが可能であり、表面コーティング及びラミネートすることにより、水蒸気バリア性・耐水性の向上が可能である。
本発明により、(1)無機層状化合物粒子の配向が揃った透明な無機層状化合物膜を提供できる、(2)該無機層状化合物膜は、自立膜として用いることができ、例えば、200℃を超える高温においても化学的に安定で透明性を保つ、柔軟なディスプレイ材料・包装材料・電子デバイス封止材料などとして用いることができる、という格別の効果が奏される。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
(1)無機層状化合物薄膜の製造
粘土として、0.9グラムの合成サポナイトである「スメクトン」(クニミネ工業株式会社製)を、100cmの蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)回転子とともにいれ、25℃で2時間激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液に、添加物として、市販のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩を0.1グラム加え、激しく振とうし、合成サポナイト及びカルボキシメチルセルロースナトリウム塩を含む均一な分散液を得た。次に、真空脱泡装置により、この粘土ペーストの脱気を行った。次に、この粘土ペーストを、表面が平坦なポリプロピレン製トレイに塗布した。塗布には、ステンレス製地べらを用いた。スペーサーをガイドとして利用し、均一厚の粘土ペースト膜を成型した。このトレイを強制送風式オーブン中において、60℃の温度条件下で1時間乾燥することにより、厚さ約10マイクロメートルの均一な添加物複合粘土薄膜を得た。生成した粘土膜をトレイから剥離して、透明度の高い、自立した、フレキシビリティーに優れた膜(TPSACMC10−10)を得た。
(2)無機層状化合物薄膜の特性
TPSACMC10−10を半径6ミリメートルに曲げてもクラックなどが発生せず、何らの欠陥も生じなかった。可視紫外分光光度計により測定された、この膜の波長500ナノメートルにおける透過率は81.7パーセントであった。この膜のJIS K7105:1981「プラスチックの光学的特性試験方法」に基づく全光線透過率は91.5パーセントであり、ヘーズ(曇値)は14.2パーセントであった。この膜の酸素の透過係数を、日本分光株式会社製Gasperm−100で測定した。その結果、室温における酸素ガスの透過係数が、0.148cc/m・24hr・atmであることが確認され、ガスバリア性能を示すことが分かった。
(3)無機層状化合物薄膜の構造
TPSACMC10−10のX線回折チャートを、図1に示す。このX線回折チャートにおいて、底面反射ピーク001が、d=1.48nmに観察された。この結果から、TPSACMC10−10において、粘土層状結晶が配向して積層していることが分かる。カルボキシメチルセルロースナトリウム塩を加えないスメクタイトのみの膜は底面反射ピーク001が、d=1.24nmに観察された。複合体にすることによって底面間隔が広がり、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩がスメクタイトの層間に入り込んだナノ複合化材料になっていることが分かる。TPSACMC10−10の熱分析(昇温速度5℃毎分、空気雰囲気下)を行った。TG曲線から、室温から200℃までに、吸着水の脱水による重量減少が観察され、また、272℃から450℃にかけて、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩の熱分解に伴う重量減少が観察された。この無機層状化合物薄膜の示差熱分析(昇温速度5℃/分)において、200℃から450℃の温度範囲における乾燥固体基準の重量減少は6.7パーセントであった。
(4)無機層状化合物薄膜の耐熱性
TPSACMC10−10を電気炉で加熱した。室温から200℃まで毎時100℃の速度で加熱した。次に、200℃で1時間保持した。その後、電気炉内で放冷した。この加熱処理の後、肉眼で光透過度の減少、ピンホール・クラックの発生などの異常は観察されなかった。可視紫外分光光度計により測定された、この膜の波長500ナノメートルにおける光透過率は78.7パーセントであった(図2)。
(1)無機層状化合物薄膜の製造
粘土として、0.8グラムの合成サポナイトである「スメクトン」(クニミネ工業株式会社製)を、100cmの蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)回転子とともにいれ、25℃で2時間激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液に、添加物として、市販のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩を0.2グラム加え、激しく振とうし、合成サポナイト及びカルボキシメチルセルロースナトリウム塩を含む均一な分散液を得た。次に、真空脱泡装置により、この粘土ペーストの脱気を行った。次に、この粘土ペーストを、表面が平坦なポリプロピレン製トレイに塗布した。塗布には、ステンレス製地べらを用いた。スペーサーをガイドとして利用し、均一厚の粘土ペースト膜を成型した。このトレイを強制送風式オーブン中において、60℃の温度条件下で1時間乾燥することにより、厚さ約10マイクロメートルの均一な添加物複合粘土薄膜を得た。生成した粘土膜をトレイから剥離して、透明度の高い、自立した、フレキシビリティーに優れた膜(TPSACMC20−10)を得た。
(2)無機層状化合物薄膜の特性
TPSACMC20−10を半径6ミリメートルに曲げてもクラックなどが発生せず、何らの欠陥も生じなかった。JIS1096:1999Aに準拠した曲げ反発性試験において、剛軟度は、表面0.008mN、裏面0.009mNと測定された。可視紫外分光光度計により測定された、この膜の波長500ナノメートルにおける透過率は83.6パーセントであった(図2)。
(3)無機層状化合物薄膜の構造
TPSACMC20−10のX線回折チャートを、図1に示す。このX線回折チャートにおいて、底面反射ピーク001が、d=1.51nmに観察された。この結果から、TPSACMC20−10において、粘土層状結晶が配向して積層していることが分かる。カルボキシメチルセルロースナトリウム塩を加えないスメクタイトのみの膜は底面反射ピーク001が、d=1.24nmに観察された。複合体にすることによって底面間隔が広がり、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩がスメクタイトの層間に入り込んだナノ複合化材料になっていることが分かる。TPSACMC20−10の熱分析(昇温速度5℃毎分、空気雰囲気下)を行った。TG曲線から、室温から200℃までに、吸着水の脱水による重量減少が観察され、また、262℃から450℃にかけて、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩の熱分解に伴う重量減少が観察された。この無機層状化合物薄膜の示差熱分析(昇温速度5℃/分)において、200℃から450℃の温度範囲における乾燥固体基準の重量減少は10.5パーセントであった。
(1)無機層状化合物薄膜の製造
粘土として、0.7グラムの合成サポナイトである「スメクトン」(クニミネ工業株式会社製)を、100cmの蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)回転子とともにいれ、25℃で2時間激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液に、添加物として、市販のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩を0.3グラム加え、激しく振とうし、合成サポナイト及びカルボキシメチルセルロースナトリウム塩を含む均一な分散液を得た。次に、真空脱泡装置により、この粘土ペーストの脱気を行った。次に、この粘土ペーストを、表面が平坦なポリプロピレン製トレイに塗布した。塗布には、ステンレス製地べらを用いた。スペーサーをガイドとして利用し、均一厚の粘土ペースト膜を成型した。このトレイを強制送風式オーブン中において、60℃の温度条件下で1時間乾燥することにより、厚さ約10マイクロメートルの均一な添加物複合粘土薄膜を得た。生成した粘土膜をトレイから剥離して、透明度の高い、自立した、フレキシビリティーに優れた膜(TPSACMC30−10)を得た。
(2)無機層状化合物薄膜の特性
TPSACMC30−10を半径6ミリメートルに曲げてもクラックなどが発生せず、何らの欠陥も生じなかった。可視紫外分光光度計により測定された、この膜の波長500ナノメートルにおける透過率は84.2パーセントであった(図2)。この膜のJIS K7105:1981「プラスチックの光学的特性試験方法」に基づく全光線透過率は92.5パーセントであり、ヘーズ(曇値)は10.1パーセントであった。この膜の酸素の透過係数を、日本分光株式会社製Gasperm−100で測定した。その結果、室温における酸素ガスの透過係数が、0.017cc/m・24hr・atmであることが確認され、ガスバリア性能を示すことが分かった。
(3)無機層状化合物薄膜の構造
TPSACMC30−10のX線回折チャートを、図1に示す。このX線回折チャートにおいて、底面反射ピーク001が、d=1.72nmに観察された。この結果から、TPSACMC30−10において、粘土層状結晶が配向して積層していることが分かる。カルボキシメチルセルロースナトリウム塩を加えないスメクタイトのみの膜は底面反射ピーク001が、d=1.24nmに観察された。複合体にすることによって底面間隔が広がり、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩がスメクタイトの層間に入り込んだナノ複合化材料になっていることが分かる。TPSACMC30−10の熱分析(昇温速度5℃毎分、空気雰囲気下)を行った。TG曲線から、室温から200℃までに、吸着水の脱水による重量減少が観察され、また、251℃から450℃にかけて、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩の熱分解に伴う重量減少が観察された。この無機層状化合物薄膜の示差熱分析(昇温速度5℃/分)において、200℃から450℃の温度範囲における乾燥固体基準の重量減少は15.7パーセントであった。
(1)無機層状化合物薄膜の製造
粘土として、0.9グラムの合成サポナイトである「スメクトン」(クニミネ工業株式会社製)を、100cmの蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)回転子とともにいれ、25℃で2時間激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液に、添加物として、市販のポリ酢酸ビニルを0.1グラム加え、激しく振とうし、合成サポナイト及びポリ酢酸ビニルを含む均一な分散液を得た。次に、真空脱泡装置により、この粘土ペーストの脱気を行った。次に、この粘土ペーストを、表面が平坦なポリプロピレン製トレイに塗布した。塗布には、ステンレス製地べらを用いた。スペーサーをガイドとして利用し、均一厚の粘土ペースト膜を成型した。このトレイを強制送風式オーブン中において、60℃の温度条件下で1時間乾燥することにより、厚さ約10マイクロメートルの均一な添加物複合粘土薄膜を得た。生成した粘土膜をトレイから剥離して、透明度の高い、自立した、フレキシビリティーに優れた膜を得た。
比較例1
(1)無機層状化合物薄膜の製造
粘土として、1.0グラムの合成サポナイトである「スメクトン」(クニミネ工業株式会社製)を、100cmの蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)回転子とともにいれ、25℃で2時間激しく振とうし、均一な分散液を得た。次に、真空脱泡装置により、この粘土ペーストの脱気を行った。次に、この粘土ペーストを、表面が平坦なポリプロピレン製トレイに塗布した。塗布には、ステンレス製地べらを用いた。スペーサーをガイドとして利用し、均一厚の粘土ペースト膜を成型した。このトレイを強制送風式オーブン中において、60℃の温度条件下で1時間乾燥することにより、厚さ約10マイクロメートルの均一な添加物複合粘土薄膜を得た。生成した粘土膜をトレイから剥離して、透明度の高い、自立した、フレキシビリティーに優れた膜(TPSA0−10)を得た。
(2)無機層状化合物薄膜の特性
TPSA0−10を半径6ミリメートルに曲げるとクラックが発生する場合が観察された。可視紫外分光光度計により測定された、この膜の波長500ナノメートルにおける透過率は62.8パーセントであった。以上のように、有機添加物なしの場合は、高い柔軟性及び光透過性が得られなかった。
本実施例は、参考例として記載したものである。
(1)無機層状化合物薄膜の製造
粘土として、0.9グラムの天然スメクタイトである「クニピアP」(クニミネ工業株式会社製)を、100cmの蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)回転子とともにいれ、25℃で2時間激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液に、添加物として、市販のイプシロンカプロラクタムを0.1グラム加え、激しく振とうし、天然スメクタイト及びイプシロンカプロラクタムを含む均一な分散液を得た。次に、真空脱泡装置により、この粘土ペーストの脱気を行った。次に、この粘土ペーストを、真鍮板に塗布した。塗布には、ステンレス製地べらを用いた。スペーサーをガイドとして利用し、均一厚の粘土ペースト膜を成型した。このトレイを強制送風式オーブン中において、60℃の温度条件下で1時間乾燥することにより、厚さ約10マイクロメートルの均一な添加物複合粘土薄膜を得た。生成した粘土膜をトレイから剥離して、自立した、フレキシビリティーに優れた膜を得た。可視紫外分光光度計により測定された、この膜の波長500ナノメートルにおける光透過率は13.1パーセントであった。
(2)無機層状化合物薄膜の特性
この膜を半径6ミリメートルに曲げてもクラックなどが発生せず、何らの欠陥も生じなかった。この膜のJIS K7105:1981「プラスチックの光学的特性試験方法」に基づく全光線透過率は86.9パーセントであり、ヘーズ(曇値)は78.2パーセントであった。
本実施例は、参考例として記載したものである。
(1)無機層状化合物薄膜の製造
粘土として、0.91部の天然スメクタイトである「クニピアP」(クニミネ工業株式会社製)を、蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)回転子とともにいれ、25℃で2時間激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液に、添加物として、市販のイプシロンカプロラクタムを0.09部加え、激しく振とうし、天然スメクタイト及びイプシロンカプロラクタムを含む均一な分散液を得た。次に、真空脱泡装置により、この粘土ペーストの脱気を行った。次に、この粘土ペーストを、真鍮板に塗布した。塗布には、ステンレス製地べらを用いた。スペーサーをガイドとして利用し、均一厚の粘土ペースト膜を成型した。このトレイを強制送風式オーブン中において、60℃の温度条件下で1時間乾燥することにより、厚さ約80マイクロメートルの均一な添加物複合粘土薄膜を得た。生成した粘土膜をトレイから剥離して、自立した、フレキシビリティーに優れた膜を得た。
(2)無機層状化合物薄膜の特性
この膜を半径6ミリメートルに曲げてもクラックなどが発生せず、何らの欠陥も生じなかった。この膜の線膨張係数は−100℃から100℃の温度領域で10ppm K−1であり、100℃から200℃の温度領域で−6ppm K−1であった。この膜の酸素の透過係数を、日本分光株式会社製Gasperm−100で測定した。その結果、室温における酸素ガスの透過係数が、3.2×10−11cm−1cmHg−1未満であることが確認され、ガスバリア性能を示すことが分かった。この薄膜を300℃で24時間加熱した後においても、膜の室温における酸素の透過係数は3.2×10−11cm−1cmHg−1未満であることが確認され、高温処理後もガスバリア性能を示すことが分かった。
比較例2
(1)無機層状化合物薄膜の製造
粘土として、0.95グラムの合成サポナイトである「スメクトン」(クニミネ工業株式会社製)を、100cmの蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)回転子とともにいれ、25℃で2時間激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液に、添加物として、市販のポリアクリル酸ナトリウムを0.05グラム加え、激しく振とうし、合成サポナイト及びポリアクリル酸ナトリウムを含む均一な分散液を得た。次に、真空脱泡装置により、この粘土ペーストの脱気を行った。次に、この粘土ペーストを、フッ素樹脂シートを底面に敷いた容器に流しいれ、均一厚の粘土ペースト膜を成型した。このトレイを強制送風式オーブン中において、60℃の温度条件下で24時間乾燥することにより、厚さ約100マイクロメートルの均一な添加物複合粘土薄膜を得た。生成した粘土膜をフッ素樹脂シートから剥離して、自立した、フレキシビリティーに優れた膜を得た。
(2)無機層状化合物薄膜の特性
この膜を半径20ミリメートルに曲げたときにクラックは発生しなかったが、6ミリメートルに曲げたときにクラックが発生した。可視紫外分光光度計により測定された、この膜の波長500ナノメートルにおける光透過率は86.6パーセントであった。また、この膜の示差熱分析(昇温速度5℃/分、空気雰囲気下)から、室温から120℃までに、吸着水の脱水による重量減少が観察され、粘土薄膜中のポリアクリル酸ナトリウムの熱分解温度は466℃であった。また、200℃から550℃の温度範囲における乾燥固体基準の重量減少は4.9パーセントであった。測定範囲を1マイクロメートル平方とした原子間力顕微鏡で測定した、乾燥時大気側に面した側の平均表面粗さは14.3ナノメートルであった。
(1)無機層状化合物薄膜の製造
粘土として、0.9グラムの合成サポナイトである「スメクトン」(クニミネ工業株式会社製)を、100cmの蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)回転子とともにいれ、25℃で2時間激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液に、添加物として、市販のポリアクリル酸ナトリウムを0.1グラム加え、激しく振とうし、合成サポナイト及びポリアクリル酸ナトリウムを含む均一な分散液を得た。次に、真空脱泡装置により、この粘土ペーストの脱気を行った。次に、この粘土ペーストを、フッ素樹脂シートを底面に敷いた容器に流しいれ、均一厚の粘土ペースト膜を成型した。このトレイを強制送風式オーブン中において、60℃の温度条件下で24時間乾燥することにより、厚さ約100マイクロメートルの均一な添加物複合粘土薄膜を得た。生成した粘土膜をフッ素樹脂シートから剥離して、自立した、フレキシビリティーに優れた膜を得た。
(2)無機層状化合物薄膜の特性
この膜を半径2ミリメートルに曲げてもクラックなどが発生せず、何らの欠陥も生じなかった。可視紫外分光光度計により測定された、この膜の波長500ナノメートルにおける光透過率は90.3パーセントであった。また、この膜の示差熱分析(昇温速度5℃/分、空気雰囲気下)から、室温から120℃までに、吸着水の脱水による重量減少が観察され、粘土薄膜中のポリアクリル酸ナトリウムの熱分解温度は466℃であった。また、200℃から550℃の温度範囲における乾燥固体基準の重量減少は8.2パーセントであった。測定範囲を1マイクロメートル平方とした原子間力顕微鏡で測定した、乾燥時大気側に面した側の平均表面粗さは4.4ナノメートルであった。
(1)無機層状化合物薄膜の製造
粘土として、0.85グラムの合成サポナイトである「スメクトン」(クニミネ工業株式会社製)を、100cmの蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)回転子とともにいれ、25℃で2時間激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液に、添加物として、市販のポリアクリル酸ナトリウムを0.15グラム加え、激しく振とうし、合成サポナイト及びポリアクリル酸ナトリウムを含む均一な分散液を得た。次に、真空脱泡装置により、この粘土ペーストの脱気を行った。次に、この粘土ペーストを、フッ素樹脂シートを底面に敷いた容器に流しいれ、均一厚の粘土ペースト膜を成型した。このトレイを強制送風式オーブン中において、60℃の温度条件下で24時間乾燥することにより、厚さ約100マイクロメートルの均一な添加物複合粘土薄膜を得た。生成した粘土膜をフッ素樹脂シートから剥離して、自立した、フレキシビリティーに優れた膜を得た。
(2)無機層状化合物薄膜の特性
この膜を半径2ミリメートルに曲げてもクラックなどが発生せず、何らの欠陥も生じなかった。可視紫外分光光度計により測定された、この膜の波長500ナノメートルにおける光透過率は90.7パーセントであった。また、この膜の示差熱分析(昇温速度5℃/分、空気雰囲気下)から、室温から120℃までに、吸着水の脱水による重量減少が観察され、粘土薄膜中のポリアクリル酸ナトリウムの熱分解温度は466℃であった。また、200℃から550℃の温度範囲における乾燥固体基準の重量減少は9.8パーセントであった。測定範囲を1マイクロメートル平方とした原子間力顕微鏡で測定した、乾燥時大気側に面した側の平均表面粗さは6.5ナノメートルであった。
(1)無機層状化合物薄膜の製造
粘土として、0.8グラムの合成サポナイトである「スメクトン」(クニミネ工業株式会社製)を、100cmの蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)回転子とともにいれ、25℃で2時間激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液に、添加物として、市販のポリアクリル酸ナトリウムを0.2グラム加え、激しく振とうし、合成サポナイト及びポリアクリル酸ナトリウムを含む均一な分散液を得た。次に、真空脱泡装置により、この粘土ペーストの脱気を行った。次に、この粘土ペーストを、フッ素樹脂シートを底面に敷いた容器に流しいれ、均一厚の粘土ペースト膜を成型した。このトレイを強制送風式オーブン中において、60℃の温度条件下で24時間乾燥することにより、厚さ約100マイクロメートルの均一な添加物複合粘土薄膜を得た。生成した粘土膜をフッ素樹脂シートから剥離して、自立した、フレキシビリティーに優れた膜を得た。
(2)無機層状化合物薄膜の特性
この膜を半径2ミリメートルに曲げてもクラックなどが発生せず、何らの欠陥も生じなかった。可視紫外分光光度計により測定された、この膜の波長500ナノメートルにおける光透過率は89.4パーセントであった。また、この膜の示差熱分析(昇温速度5℃/分、空気雰囲気下)から、室温から120℃までに、吸着水の脱水による重量減少が観察され、粘土薄膜中のポリアクリル酸ナトリウムの熱分解温度は465℃であった。また、200℃から550℃の温度範囲における乾燥固体基準の重量減少は14.1パーセントであった。測定範囲を1マイクロメートル平方とした原子間力顕微鏡で測定した、乾燥時大気側に面した側の平均表面粗さは7.5ナノメートルであった。
(1)無機層状化合物薄膜の製造
粘土として、0.75グラムの合成サポナイトである「スメクトン」(クニミネ工業株式会社製)を、100cmの蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)回転子とともにいれ、25℃で2時間激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液に、添加物として、市販のポリアクリル酸ナトリウムを0.25グラム加え、激しく振とうし、合成サポナイト及びポリアクリル酸ナトリウムを含む均一な分散液を得た。次に、真空脱泡装置により、この粘土ペーストの脱気を行った。次に、この粘土ペーストを、フッ素樹脂シートを底面に敷いた容器に流しいれ、均一厚の粘土ペースト膜を成型した。このトレイを強制送風式オーブン中において、60℃の温度条件下で24時間乾燥することにより、厚さ約100マイクロメートルの均一な添加物複合粘土薄膜を得た。生成した粘土膜をフッ素樹脂シートから剥離して、自立した、フレキシビリティーに優れた膜を得た。
(2)無機層状化合物薄膜の特性
この膜を半径2ミリメートルに曲げてもクラックなどが発生せず、何らの欠陥も生じなかった。可視紫外分光光度計により測定された、この膜の波長500ナノメートルにおける光透過率は88.2パーセントであった。また、この膜の示差熱分析(昇温速度5℃/分、空気雰囲気下)から、室温から120℃までに、吸着水の脱水による重量減少が観察され、粘土薄膜中のポリアクリル酸ナトリウムの熱分解温度は464℃であった。また、200℃から550℃の温度範囲における乾燥固体基準の重量減少は16.3パーセントであった。測定範囲を1マイクロメートル平方とした原子間力顕微鏡で測定した、乾燥時大気側に面した側の平均表面粗さは12.8ナノメートルであった。
(1)無機層状化合物薄膜の製造
粘土として、0.7グラムの合成サポナイトである「スメクトン」(クニミネ工業株式会社製)を、100cmの蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)回転子とともにいれ、25℃で2時間激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液に、添加物として、市販のポリアクリル酸ナトリウムを0.3グラム加え、激しく振とうし、合成サポナイト及びポリアクリル酸ナトリウムを含む均一な分散液を得た。次に、真空脱泡装置により、この粘土ペーストの脱気を行った。次に、この粘土ペーストを、フッ素樹脂シートに塗布した。スペーサーをガイドとして利用し、均一厚の粘土ペースト膜を成型した。このトレイを強制送風式オーブン中において、60℃の温度条件下で24時間乾燥することにより、厚さ約100マイクロメートルの均一な添加物複合粘土薄膜を得た。生成した粘土膜をフッ素樹脂シートから剥離して、自立した、フレキシビリティーに優れた膜を得た。
(2)無機層状化合物薄膜の特性
この膜を半径2ミリメートルに曲げてもクラックなどが発生せず、何らの欠陥も生じなかった。可視紫外分光光度計により測定された、この膜の波長500ナノメートルにおける光透過率は86.6パーセントであった。また、この膜の示差熱分析(昇温速度5℃/分、空気雰囲気下)から、室温から120℃までに、吸着水の脱水による重量減少が観察され、粘土薄膜中のポリアクリル酸ナトリウムの熱分解温度は460℃であった。また、200℃から550℃の温度範囲における乾燥固体基準の重量減少は21.3パーセントであった。200℃から450℃の温度範囲における乾燥固体基準の重量減少は9.5パーセントであった。測定範囲を1マイクロメートル平方とした原子間力顕微鏡で測定した、乾燥時大気側に面した側の平均表面粗さは16.1ナノメートルであった。
比較例3
(1)無機層状化合物薄膜の製造
粘土として、0.8グラムの合成サポナイトである「スメクトン」(クニミネ工業株式会社製)を、100cmの蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)回転子とともにいれ、25℃で2時間激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液に、添加物として、市販のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩を0.2グラム加え、激しく振とうし、合成サポナイト及びカルボキシメチルセルロースナトリウム塩を含む均一な分散液を得た。次に、真空脱泡装置により、この粘土ペーストの脱気を行った。次に、この粘土ペーストを、表面がざらざらしたフッ素樹脂製基板に塗布した。塗布には、ステンレス製地べらを用いた。スペーサーをガイドとして利用し、均一厚の粘土ペースト膜を成型した。このトレイを強制送風式オーブン中において、60℃の温度条件下で1時間乾燥することにより、厚さ約10マイクロメートルの均一な添加物複合粘土薄膜を得た。生成した粘土膜をトレイから剥離して、自立した、フレキシビリティーに優れた膜を得た。
(2)無機層状化合物薄膜の特性
可視紫外分光光度計により測定された、この膜の波長500ナノメートルにおける透過率は68.1パーセントであった。以上のように、基板表面が平坦でない場合は、膜表面が粗くなり、光が表面散乱し、光透過性が低下した。
(1)無機層状化合物薄膜の製造
粘土として、0.8グラムの合成サポナイトである「スメクトン」(クニミネ工業株式会社製)を、100cmの蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)回転子とともにいれ、25℃で2時間激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液に、添加物として、市販のポリアクリル酸ナトリウムを0.2グラム加え、激しく振とうし、合成サポナイト及びポリアクリル酸ナトリウムを含む均一な分散液を得た。次に、真空脱泡装置により、この粘土ペーストの脱気を行った。次に、この粘土ペーストを、フッ素樹脂シートを底面に敷いた容器に流しいれ、均一厚の粘土ペースト膜を成型した。このトレイを強制送風式オーブン中において、60℃の温度条件下で24時間乾燥することにより、厚さ約10マイクロメートルの均一な添加物複合粘土薄膜を得た。生成した粘土膜をフッ素樹脂シートから剥離して、自立した、フレキシビリティーに優れた膜を得た。
(2)無機層状化合物薄膜の特性
この膜の波長500ナノメートルにおける光透過率は90.3パーセントであった。また、この膜を300℃、1時間熱処理した後における波長500ナノメートルにおける光透過率は89.3パーセントであった。
(1)無機層状化合物薄膜の製造
粘土として、0.8グラムの合成サポナイトである「スメクトン」(クニミネ工業株式会社製)を、100cmの蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)回転子とともにいれ、25℃で2時間激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液に、添加物として、市販のポリアクリル酸ナトリウムを0.2グラム加え、激しく振とうし、合成サポナイト及びポリアクリル酸ナトリウムを含む均一な分散液を得た。次に、真空脱泡装置により、この粘土ペーストの脱気を行った。次に、この粘土ペーストを、フッ素樹脂シートを底面に敷いた容器に流しいれ、約5ミリメートル厚の粘土ペースト膜を成型した。このトレイを強制送風式オーブン中において、60℃の温度条件下で48時間乾燥することにより、厚さ約200マイクロメートルの均一な添加物複合粘土薄膜を得た。生成した粘土膜をフッ素樹脂シートから剥離して、自立した、フレキシビリティーに優れた膜を得た。
(2)無機層状化合物薄膜の製造
粘土として、0.8グラムの合成サポナイトである「スメクトン」(クニミネ工業株式会社製)を、100cmの蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)回転子とともにいれ、25℃で2時間激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液に、添加物として、市販のポリアクリル酸ナトリウムを0.2グラム加え、激しく振とうし、合成サポナイト及びポリアクリル酸ナトリウムを含む均一な分散液を得た。次に、真空脱泡装置により、この粘土ペーストの脱気を行った。次に、この粘土ペーストを、フッ素樹脂シートを底面に敷いた容器に流しいれ、均一厚の粘土ペースト膜を成型した。このトレイを強制送風式オーブン中において、60℃の温度条件下で24時間乾燥することにより、厚さ約10マイクロメートルの均一な添加物複合粘土薄膜を得た。生成した粘土膜をフッ素樹脂シートから剥離して、自立した、フレキシビリティーに優れた膜を得た。
(3)無機層状化合物薄膜の特性
この膜のマイナス100℃からプラス200℃の平均線膨張係数は−1ppmであった。
以上詳述したように、本発明は、無機層状化合物を主要構成成分とする膜であることを特徴とする透明材であり、自立膜として利用可能な機械的強度を有し、無機層状化合物粒子の配向積層を高度に向上させた透明材に係るものであり、本発明の無機層状化合物膜は、自立膜として用いることが可能であり、また、200℃を超える高温条件下で使用が可能であり、かつ、フレキシビリティーに優れており、更に、ピンホールの存在しない緻密な材料であり、ガスバリア性に優れるといった特徴を有するものである。したがって、本発明の無機層状化合物膜は、生産あるいは加工時の高温条件に耐える部材であり、フレキシビリティーに優れた透明フィルムとして広範に使用することができる。また、本発明の無機層状化合物膜は、高温条件下において、フレキシビリティーに優れた透明フィルムとして広範に使用することがでる。更に、本発明の無機層状化合物膜は、高いガスバリア性が要求される透明フィルムとして広範に使用することができる。そのため、本発明の無機層状化合物膜は、多くの製品に利用することができる。製品例としては、LCD用基板フィルム、有機EL用基板フィルム、電子ペーパー用基板フィルム、電子デバイス用封止フィルム、レンズフィルム、導光板用フィルム、プリズムフィルム、位相差板・偏光板用フィルム、視野角補正フィルム、PDP用フィルム、LED用フィルム、光通信用部材、タッチパネル用透明フィルム、各種機能性フィルムの基板フィルム、内部が透けて見える構造の電子機器用フィルム、ビデオディスク・CD/CD−R/CD−RW/DVD/MO/MD・相変化ディスク・光カードを含む光記録メディア用フィルム、燃料電池用封止フィルム、太陽電池用フィルム等があげられる。
本発明の、合成スメクタイト及びカルボキシメチルセルロースナトリウム塩を用いて調製した複合無機層状化合物薄膜(用いたカルボキシメチルセルロースナトリウム塩の全固体に対する重量割合はTPSACMC10−10が10パーセント、TPSACMC20−10が20パーセント、TPSACMC30−10が30パーセントである)のX線回折チャートを示す図である。 本発明の、合成スメクタイト及びカルボキシメチルセルロースナトリウム塩を用いて調製した複合無機層状化合物薄膜(用いたカルボキシメチルセルロースナトリウム塩の全固体に対する重量割合はTPSACMC10−10が10パーセント、TPSACMC20−10が20パーセント、TPSACMC30−10が30パーセントである)の可視紫外吸収スペクトルを示す図である。

Claims (14)

  1. 無機層状化合物を主要構成成分とする膜が、(1)無機層状化合物と水可溶性樹脂から構成される、(2)無機層状化合物の全固体に対する重量比が70%以上である、(3)全光線透過率が80%を超える、(4)ガスバリア性を有する、及び(5)自立膜として利用可能な機械的強度を有する、(6)上記無機層状化合物が、層状ケイ酸、あるいはその塩である、ことを特徴とする透明材。
  2. 無機層状化合物が、雲母、バーミキュライト、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、マガディアイト、アイラライト、及びカネマイト、のうちの一種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の透明材。
  3. 水可溶性樹脂が、セルロース系樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニル樹脂、アクリル酸樹脂のうちの1種以上であって、水可溶性のものであることを特徴とする、請求項1に記載の透明材。
  4. 加熱、又は光照射の方法により、上記水可溶性樹脂添加物分子内、同添加物分子間、同添加物と無機層状化合物間、又は無機層状化合物結晶間において、付加反応、縮合反応、又は重合反応の化学反応を行わせ、新たな化学結合を生じさせて、光透過性、ガスバリア性、あるいは機械的強度を改善させたことを特徴とする、請求項1に記載の透明材。
  5. 厚みが0.2ミリメートル以下であることを特徴とする、請求項1に記載の透明材。
  6. 紫外可視分光器による500ナノメートルの光線透過率が80%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の透明材。
  7. 通常空気条件下で、200℃一時間加熱後、紫外可視分光器による500ナノメートルの光線透過率が75%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の透明材。
  8. 示差熱分析において、200℃から450℃の温度範囲における重量減少が乾燥固体基準で20%未満で、透明材を構成する無機層状化合物の基本構造が変化しないことを特徴とする、請求項1からのいずれかに記載の透明材。
  9. 酸素ガスに対する透過係数が、室温において3.2×10−11cm−1cmHg−1未満であることを特徴とする、請求項1からのいずれかに記載の透明材。
  10. 300℃で1時間加熱処理後に、酸素ガスの室温におけるガス透過係数が3.2×10−11cm−1cmHg−1未満であることを特徴とする、請求項1からのいずれかに記載の透明材。
  11. 曲げ半径6ミリメートルでもクラックが発生せず使用が可能であることを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載の透明材。
  12. 原子間力顕微鏡で測定した平均表面粗さが、20ナノメートル以下であることを特徴とする、請求項1から11のいずれかに記載の透明材。
  13. マイナス100℃からプラス200℃の平均線膨張係数が、−10から10ppmK−1の間であることを特徴とする、請求項1から12のいずれかに記載の透明材。
  14. 透明材が、封止材、包装材、保護材、フレキシブル基板、又はディスプレイ材である、請求項1から13のいずれかに記載の透明材。
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