JP4161799B2 - 凹凸模様形成用型部材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、壁面、柱面、天井、床等の建造物の内外面や、道路、通路等の路面、更には内装や外装、床材に用いる各種パネルやボード類の表面に凹凸模様を簡単に形成する凹凸模様形成用型部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近時、塗布材を用いてレンガやタイル貼に似せた高級感のある建築物の表面仕上げ方法が採用されてきている。かかる方法は、目地模様を打ちぬいたプラスチック製のシートや発泡体(型部材)を壁面等に貼り付けた上から塗布材を塗布した後、除去して目地模様を現出するものである。レンガやタイルを1枚1枚貼着する方法と比較して施工能率が大幅に向上するものである。
【0003】
この塗布材に使用する樹脂や樹脂モルタルを改良することによって、天然石やタイル、レンガ等の美観に近いものが得られるが、かかる外観を得るためには、単に型紙を用いて絵や文字を描くときのような薄いものでは立体感がないため、型部材自体厚いものが使用されてきている。(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−129905号
【特許文献2】
特開2000−334344号
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の型部材では、固化材や塗料がどうしても付着するため再使用は難しい。また、発泡させており他成分も付着しているため溶融しての再生もほぼ不可能である。
更に、廃棄するにしても、焼却は有毒ガスの発生のおそれがある。それを防止するため非常な高温で焼却するとなると燃料経費が大きくなるばかりか、二酸化炭素を多量に発生することとなり、地球温暖化防止に逆行することともなる。
【0006】
更に、埋め立て処分では、プラスチックが分解せず長期間そのまま残存し、好ましくない。地中に埋めたものは土に返り、常に地中環境を自然に戻すことが好ましいことは言うまでもない。
【0007】
このため、生分解性のプラスチックを用いて型部材を構成することが考えられる。しかし、従来の生分解性プラスチックは、強度が小さく従来の汎用プラスチックの代替としての物性を備えているものはなかった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以上のような現状に鑑み、本発明者は鋭意研究の結果、本発明凹凸模様形成用型部材を完成させたものであり、その特徴とするところは、被施工面の凹部を形成すべき部分に、型部材を貼着し、塗布材を塗布し、該塗布材が硬化した後、該型部材を除去する工法に用いるものであって、本体が電離性放射線の放射によって架橋させた生分解性の架橋型ポリエステルの発泡体であり、その発泡倍率が1.5〜25倍であるものを主成分とする材料で構成されている点にある。
【0009】
本発明でいう塗布材とは、被施工面に塗布する材料であり、いわゆる吹付材、舗装材等をいう。通常は、樹脂や無機系固化材(セメント等)と骨材の混合物であり、その他に種々の添加剤を混合してもよい。樹脂もエマルジョンタイプ、溶剤タイプ等どのようなものでもよい。例えば、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系等が好適である。骨材を含まない樹脂やセメントのみであってもよい。即ち、塗布ができ固化可能なものならばなんでもよいということである。
【0010】
塗布材の塗布方法は、こて塗り、吹付け、ローラー塗り、刷毛塗り等どのような方法でもよい。塗布厚みは自由であるが、型部材と同じ厚さに塗布するのが作業上簡単である。
【0011】
また、塗布材の硬化とは、塗布材が垂れて凹部とすべき部分に流れ込み、所定の凹部を形成できなくなる程度を脱した状態をいう。
【0012】
本発明の型部材とは、被施工面に凹部を形成するため、塗布材が塗布されないようカバーしておくもので、通常、塗布厚みとほぼ等しい厚みを有している。本発明では、この型部材の本体を下記の材料で構成することがポイントである。
本体とは、塗布材が硬化するまで残存させる部分であり、被施工面に貼付するときに剥離する剥離紙や、塗布材を塗布し硬化前に除去する表面カバー等は含まれない。即ち、このような本体以外のものは、その材質は下記に限定しないということである。
【0013】
本発明の生分解性樹脂としては、ポリエステルであればよく、特に限定はしない。例えば、ポリ乳酸をはじめ、ε−カプロラクトンに代表されるラクトン樹脂、或いは以下に代表される脂肪族ポリエステル、例えばポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリブチレンサクシネート・カーボネート等の脂肪族ポリエステル、或いはポリエチレンテレフタレート/サクシネート共重合体、ポリエチレンテレフタレート/アジペート共重合体、ポリエチレンテレフタレート/セバケート共重合体、ポリブチレンテレフタレート/サクシネート共重合体、ポリブチレンテレフタレート/アジペート共重合体、ポリブチレンテレフタレート/セバケート共重合体等の芳香族ポリエステルを挙げることができる。生分解性樹脂は単独で用いてもよいし、2種類以上併用してもよい。
【0014】
本発明では、この生分解性樹脂は上記のポリマーであるだけでなく、電離性放射線の放射によって架橋させたものである。架橋構造としたのは、表面の平滑性及び弾性を高め、引裂強度を上げるためである。電離性放射線とは、α線、β線、γ線、電子線等である。この放射線により架橋させるのは、発泡体の製造が容易であること、製造物の表面の平滑性が優れているためである。また、架橋の容易性から、ジビニルベンゼンやポリ(メタ)アクリレート系等のビニル型二重結合を有する多官能性モノマーを併用するのが好ましい。
【0015】
更に本発明ではこの樹脂の発泡体である。発泡体にしているのは、材料の節約、軽量化、こしの強さ等の理由からである。発泡剤として使用されるものとしては、常温で液体又は固体の化合物で上記生分解性樹脂の融点以上に加熱されたときに分解又は気化する化合物で、発泡体製造工程において、実質的な阻害を与えないものであれば、任意のものが使用できる。中でもアゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸金属塩等の熱分解型発泡剤が好ましい。
また、発泡倍率は、1.5〜25倍程度である。発泡倍率が1.5以下になると、軽量性、柔軟性が低下し、逆に25以上になると塗布材の硬化後、該型部材を剥離する際、型部材が破断しやすく、剥離し難い傾向となる。
【0016】
ここで、上記の架橋度合としては、下記式で示されるゲル分率として、5%以上あることが好ましい。ゲル分率とは、以下の方法にて算出した値のことである。即ち、生分解性樹脂発泡体を約50mg精密に秤量し、23℃下でクロロホルム25mlに3時間浸漬した後、200メッシュのステンレス製金網で濾過して、金網状の不溶解分を真空乾燥する。次いで、この不溶解分の重量を精密に秤量し、以下の式に従ってゲル分率を百分率で算出した。
ゲル分率(%)={不溶解分の重量(mg)/秤量した生分解性樹脂架橋発泡体の重量(mg)}×100
【0017】
上記説明した生分解性樹脂が主成分である。主成分とは、少なくとも本体の50重量%以上がこの生分解性樹脂であることをいう。勿論、100%であってもよい。
【0018】
上記生分解性樹脂に、酢酸セルロース、セルロースブチレート、セルロースプロピオネート、硝酸セルロース、硫酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、硝酸酢酸セルロース等のセルロースエステルやポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリロイシン等のポリペプチドの合成高分子、及び/又は、天然高分子として、トウモロコシ澱粉、小麦澱粉、米澱粉等の生澱粉、酢酸エステル化澱粉、メチルエーテル化澱粉、アミロース等の加工澱粉等を本発明の生分解性樹脂に溶融特性を損なわない範囲で混合してもよい。これらの高分子も生分解性を有しているため、分解性については問題はない。
【0019】
更に、生分解性を有しない樹脂を混合してもよい。しかし、生分解性樹脂量が増えれば、分解速度が速くなり、また分解後の崩形性が向上する。生分解性樹脂以外の樹脂成分としては特に制限はなく、例えば、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン‐プロピレンゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリブテン等を添加してもよい。
【0020】
なお、本発明の型部材を構成する生分解性樹脂発泡体中には、本発明の効果を阻害しない範囲において、各種の添加剤成分を添加してもよい。例えば、架橋剤、酸化防止剤、シリコーンやステアリン酸金属塩等の滑剤、熱安定剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤、核剤、可塑剤、抗菌剤、生分解促進剤、発泡剤分解促進剤、光安定剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、充填剤、防臭剤、増粘剤、発泡助剤、気泡安定剤、金属害防止剤などを単独又は2種以上併用して添加して発泡体を製造することは好ましい。
【0021】
本発明の型部材を構成する生分解性樹脂発泡体の初期形態は特に限定しない。例えば、所望する型部材の形状、細幅の板状(棒状)、テープ状、湾曲した形状等、各種の所望する目地模様に設計した金型を用い型内で発泡して、型部材としてもよいが、好ましくは先ず連続シート状の発泡体を得た後、前記所望の目地模様にトムソン刃等を用い、打ち抜き加工して、型部材となすのが好ましい。
初期、連続シート状にすることにより、生産性が優れるだけでなく、打ち抜き加工性にも優れる。
【0022】
本発明の型部材としての厚みは、0.5〜5.0mm程度が好適であるが特別厚く塗布するものでは、5〜20mmでも可能である。
【0023】
本発明型部材の引張弾性率が5MPa以上であって、且つ引裂強度が40N/cm以上であることが好ましい。引張弾性率が5MPa未満の場合、型部材を剥離する際、型部材が伸びやすく剥離し難いものとなり、引裂強度が40N/cm未満であると、剥離途中で塗布材の突起部に引っかかり破断してしまう傾向があるためである。
【0024】
なお、本発明の型部材には、被施工面に貼付するため裏面に粘着剤を塗布しておいてもよい。また、その上に取り扱い上の問題から剥離紙を貼付しておいてもよい。更に、型部材の補強用として、裏面又は表面に補強部材(補強紙)を貼付しておいてもよい。この補強部材は使用時には除去する。
【0025】
また、本型部材の表面にフィルムを貼付して二重構造(二重目地材)にしてもよい。これは、型部材を載置し、その上から塗布材を塗布するのであるが、どうしても型部材上にも塗布材が塗布されてしまう。この状態で塗布材が硬化すれば、型部材を除去するとき、その硬化した塗布材を割って除去しなければならず、型部材形状通りに除去することが困難となる。このため、塗布材を塗布した後、まだ硬化しない段階でこの表面フィルムを除去しておく。このときは硬化前であるため、型部材通り除去できる。また、薄いフィルムであるため、垂れの問題は生じない。この表面フィルムの厚みは、0.05〜0.3mm程度が好適である。そして、塗布材硬化後は、すでに型部材の上面には塗布材が存在しないため、且つ型部材の側面(塗布材と接する部分)は十分剥離性を有しているため、容易に型部材を除去できる。この表面フィルムも上記生分解性樹脂で構成するのが好ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下本発明を実施例に従ってより詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
実施例1
生分解性樹脂として、ポリブチレンサクシネートを用い、ジメタクリレート系の架橋助剤を併用使用し電子線架橋法によって、発泡倍率15倍、厚み3mmの架橋発泡体を作成した。
得られた発泡体の架橋度は50%であり、引張弾性率9MPa、引裂強度65N/cmであった。
得られた発泡体の裏面に粘着剤を塗布した後、剥離紙を貼付した後、表面側に上記と同様の樹脂を用い、粘着剤が塗布された0.05mm厚みの発泡体と同一の樹脂からなるフィルムを貼付した後、トムソン刃を用いて打ち抜き加工し、所望した目地模様を有する型部材を形成した。
【0027】
しかる後、型部材から剥離紙を除去して、被施工面に貼付した後、塗布材として、陶磁器の粉末を混入したアクリル樹脂エマルジョンを主成分とする吹付材を壁面に均一に吹き付けた。この際、吹付け量は、形成する凸部の厚さ、即ち型部材の厚さとした。
【0028】
塗布材が未硬化の間に、表面フィルムのみを剥離し、塗布材が十分に硬化した後、型部材を剥離除去した。塗布材を剥離する際、バリも生ぜず、容易に剥離することができた。
【0029】
比較例1
低密度ポリエチレンを用いて電子線架橋法にて、発泡倍率15倍、厚み3mmの発泡体を作成した。このものの引張弾性率4MPa、引裂強度35N/cmであった。
実施例と同様に型部材となし、塗布材を吹付け、硬化後、型部材を剥離したが、型部材が伸びやすく、また途中で破断してしまい、型部材を剥離除去するのに非常に手間を要した。
【0030】
【発明の効果】
以上詳細に説明した本発明凹凸模様形成用型部材には、次のような大きな効果がある。
(1) 型部材を構成する生分解性樹脂が特別な製法で製造されており、通常の生分解性樹脂と比べて、十分な弾性率、引裂強度を有している。
(2) 強度があるため剥離が容易である。
(3) 型部材が生分解性であるため、使用後、廃棄する場合、燃焼しても燃焼熱は紙とほぼ同量であり、少ないことから燃焼炉を傷めることが少ない。また、土中に埋没させれば1年も経過すれば消滅し、地球環境にも非常に優しいものである。

Claims (4)

  1. 被施工面の凹部を形成すべき部分に、型部材を貼着し、塗布材を塗布し、該塗布材が硬化した後、該型部材を除去する工法に用いるものであって、本体が電離性放射線の放射によって架橋させた生分解性の架橋型ポリエステルの発泡体であり、その発泡倍率が1.5〜25倍であるものを主成分とする材料で構成されており、且つ該発泡体がゲル分率が5%以上の架橋発泡体であることを特徴とする凹凸模様形成用型部材。
  2. 該発泡体の引張強度が5MPa以上であり、引裂強度が40N/cm以上である請求項1記載の凹凸模様形成用型部材。
  3. 該発泡体が、ポリ乳酸、ラクトン樹脂、脂肪族及び/又は芳香族ポリエステルから選ばれる少なくとも1つからなるものである請求項1又は2記載の凹凸模様形成用型部材。
  4. 裏面に粘着剤が塗布され、その上に剥離紙が貼付されているものである請求項1〜3記載の凹凸模様形成用型部材。
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