JP4161541B2 - 電磁流量計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁流量計に関し、より詳細には、2周波励磁方式を採用する電磁流量計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電磁流量計は、流体の直交方向に磁界を印加し、流体の流れ方向及び磁界の双方に直交する方向に発生する励起電圧に基づいて、液体の流速を計測することにより液体の流量を測定する。
【0003】
電磁流量計は、管内の流れに全く影響を与えずに測定でき、メンテナンスの手間が少ない特長があるので、食品、薬品、化学、紙パルプ、及び、電力等の分野で広く使用されている。電磁流量計における磁界の発生には、ゼロ点の安定性及び耐ノイズ特性が良好な2周波励磁方式が採用される。
【0004】
図9は、従来の電磁流量計が取り扱う各種の信号を示す。電磁流量計は、乗算2周波励磁信号S3となる励磁電流が流れるように、励磁コイルを制御して管内に磁界を発生する。乗算2周波励磁信号S3は、低周波側の励磁信号SL及び高周波側の励磁信号SHから乗算方式により生成される。低周波側の励磁信号SLは、周波数FLが6.25Hzであり、−1又は+1の何れかをとる2値信号である。高周波側の励磁信号SHは、周波数FHが75Hzであり、0又は1の何れかをとる2値信号である。
【0005】
乗算2周波励磁信号S3は、低周波側の励磁信号SLに高周波側の励磁信号SHが重畳し、−1、0、又は、+1の何れかをとる3値信号である。
【0006】
電磁流量計は、乗算2周波励磁信号S3から成る励磁電流で励磁されて磁界を発生する。液体は、磁界中を流れることにより、励起電圧を発生する。電磁流量計は、励起電圧を乗算流量信号S4として検出する。乗算流量信号S4は、乗算2周波励磁信号S3と相似な信号波形成分に微分ノイズ成分が重畳する。微分ノイズ成分は、乗算2周波励磁信号S3のレベルが変化するレベル変化点で振幅が最大となり、時間の経過に伴って減衰する。
【0007】
電磁流量計は、高周波側のサンプリング区間KHで乗算流量信号S4の高周波成分をAD変換し、ハイパスフィルタ(HPF)を経由して、高周波側の2値データを求める。低周波側のサンプリング区間KLで乗算流量信号S4の低周波成分をAD変換し、ロウパスフィルタ(LPF)を経由して、低周波側の2値データを求める。
【0008】
高周波側の励磁信号SHの1周期をTHとすると、高周波側のサンプリング区間KHは、高周波側の励磁信号SHの半周期内で最後の1/4区間を示し、KH=1/8×THの関係がある。低周波側のサンプリング区間KLは、低周波側の励磁信号SLの半周期内で最後の1/2区間を示し、KL=2×THの関係がある。
【0009】
流量信号の低周波成分は、定常成分にのみ応答するので、ゼロ点の補正に利用され、流量信号の高周波成分は、変化率にのみ応答するので、高速応答のために利用される。低周波成分及び高周波成分の双方を用いて流量演算すると、流量信号の良好な特性が再現できる。
【0010】
ここで、励磁周波数と流量信号との関係では、励磁周波数が低いと、流体ノイズには弱いがゼロ点安定性が強く、励磁周波数が高いと、流体ノイズには強いがゼロ点安定性が弱いという特性がある。
【0011】
2周波演算を行う電磁流量計は、低周波側及び高周波側の2値データを加え合わせ、流量演算を行い、流量信号の信号成分である出力信号を求めることにより、耐ノイズ性及びゼロ点の安定性から成る2周波励磁方式の特長が引き出される。
【0012】
図10は、乗算2周波励磁信号S3をFFT解析した結果である。乗算2周波励磁信号S3の解析結果は、複数の高調波成分になる。基本波FLの各奇数倍高調波成分は、独立して存在し、対応する周波数軸上の位置に示される。基本波FHの各奇数倍高調波成分は、点線内にある複数の基本波FLの奇数倍高調波成分の中に分散して存在する。
【0013】
図11は、従来の高周波側演算出力の周波数特性である。高周波側演算出力の周波数特性は、電磁流量計の耐ノイズ性能を調べるために測定される。高周波側演算出力は、流量信号に代えて、周波数を0〜100Hzにスイープさせたノイズ信号を入力して測定される。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の電磁流量計では、乗算2周波励磁信号S3が低周波成分に高周波成分が掛け合わされた特性を示し、低周波側と高周波側との間で独立性が弱い。乗算流量信号S4は、乗算2周波励磁信号S3に応じて発生し、相似な波形を有するので、乗算2周波励磁信号S3と同じ周波数特性を有し、2つの周波数成分の間に独立性が弱い。
【0015】
図11に示すように、高周波側演算出力の周波数特性は、低周波側及び高周波側の乗算流量信号S4は、振幅が0レベルの上下に揺動し、基本波FLの各高調波に対応する窓部分が複数存在する。
【0016】
高周波側演算出力の周波数特性は、振幅が0レベルの上下に揺動することは、対応する周波数ノイズに対して弱いことを意味する。つまり、必要な周波数FH(11FL)意外に、多くの窓部分の周波数(3FL,5FL,7FL等)が存在することは、これらの窓部分に等しい周波数のノイズが入力すると、出力信号の振幅が揺動して不安定となり、信号成分とノイズ成分との識別が難しいことを意味する。
【0017】
また、微分ノイズは、レベル変化点で発生するので、流量信号と同相で除去し難い欠点を有する。低周波側のサンプリング区間KLでは、高周波側のサンプリング区間KHに比して大きく設定され、高周波側の微分ノイズ波形の上下対称性を利用することにより、区間内に含まれる高周波側の微分ノイズを除去する。
【0018】
しかし、何らかの理由で高周波側の微分ノイズ波形に上下対称性が失われると、サンプリング区間KLのサンプリングデータに高周波側の微分ノイズ成分が残り、流量測定に影響を与える。
【0019】
本発明は、上記したような従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものであり、2周波励磁方式の特長であるゼロ点の安定性及び耐ノイズ特性が向上する電磁流量計を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の電磁流量計は、低周波信号と高周波信号とを加算した加算励磁信号から成る励磁電流で励磁されて流体の流れ方向と直交方向に磁界を発生する磁界発生手段と、前記磁界によって流体に発生する励起電圧を検出する励起電圧検出手段と、前記励起電圧から低周波信号及び高周波信号の各奇数倍高調波成分を抽出する信号抽出手段と、低周波信号の奇数倍高調波成分を合成する第1高調波信号合成手段と、高周波信号の奇数倍高調波成分を合成する第2高調波信号合成手段と、第1高調波信号合成手段の出力と第2高調波信号合成手段の出力とを加え合わせて流量演算する演算手段とを備えることを特徴とする。
【0021】
本発明の電磁流量計は、信号抽出手段が低周波信号及び高周波信号の奇数倍高調波成分を抽出することにより、流量演算に不要なノイズ成分を予め除去し、第1及び第2高調波信号合成手段が夫々低周波信号及び高周波信号の奇数倍高調波成分を合成し、演算手段が合成された双方の出力を演算することにより流量を演算するので、低周波励磁及び高周波励磁の双方の有利な特性が引き出され、2周波励磁方式のゼロ点の安定性及び耐ノイズ特性が向上する。
【0022】
本発明の電磁流量計では、前記高周波信号の周波数を、流体ノイズの1/f特性に従って決定することが好ましい。この場合、流体ノイズのレベルが高い周波数ほどが小さくなるので、高周波励磁の有利な特性である強い耐ノイズ特性が引き出される。
【0023】
前記低周波信号の周波数を、前記低周波数信号におけるノイズ成分が減衰する減衰特性に従って決定することも本発明の好ましい態様である。この場合、流量演算の過程で高周波信号に基づくノイズ成分が相殺して減衰するので、低周波励磁の有利な特性である強いゼロ点の安定性が引き出される。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態例に基づいて、本発明の電磁流量計について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態例の電磁流量計のブロック図である。電磁流量計は、磁界発生部1、励起電圧検出部2、信号抽出部3、高調波信号合成部4、流量演算部5(加算手段)、及び、管内6で構成される。この電磁流量計は、加算方式による2周波励磁を行って流量を測定する。
【0025】
図2は、図1の電磁流量計が取り扱う各種の信号を示す。磁界発生部1は、図示されない励磁コイルを制御して、加算2周波励磁信号S1から成る励磁電流を流し、管内6に磁界を発生させる。
【0026】
加算2周波励磁信号S1は、低周波側の励磁信号SL及び高周波側の励磁信号SHから加算方式により生成される。低周波側の励磁信号SLは、周波数FLが6.25Hzであり、−0.5又は+0.5の何れかをとる2値信号である。高周波側の励磁信号SHは、周波数FHが75Hzであり、−0.5又は+0.5の何れかをとる2値信号である。
【0027】
本実施形態例の電磁流量計は、励磁信号SLとSHとを加算し、この加算値を加算2周波励磁信号S1の値として設定する。加算2周波励磁信号S1は、低周波側の励磁信号SLに高周波側の励磁信号SHが重畳され、−1、0、又は、+1の何れかをとる3値信号である。
【0028】
被測定対象の液体は、管内6を流れ、流速及び磁界に応じた励起電圧を発生する。励起電圧検出部2は、励起電圧に基づいて、加算流量信号S2を信号抽出部3に入力する。
【0029】
加算流量信号S2は、加算2周波励磁信号S1と相似な信号波形であり、信号成分及び微分ノイズ成分を有し、信号成分に微分ノイズ成分が重畳する。加算流量信号S2の信号成分は、液体の流速に比例する振幅を有し、流量演算に必要である。微分ノイズ成分は、レベル変化点で振幅が最大となり、その後減衰する特性を有し、流量演算に不要である。
【0030】
管内6に配置された一対の電極間には、磁界の方向又は大きさが変化すると、起電力が発生する。微分ノイズは、この起電力に基づいて生成され、時間の経過に伴って減衰するが、加算流量信号S2の信号成分と同相であるため、除去されることが難しい。
【0031】
図3は、加算流量信号S2が処理される過程を示す。信号抽出部3は、基本波FH及びFLの各高調波成分のみを通過させるフィルタ機能を有し、加算流量信号S2から基本波FH及びFLの各高調波の信号成分を抽出し、流量演算に不要なノイズ成分を予め除去する。高調波信号合成部4は、基本波FH及びFLの各高調波の信号成分から合成流量信号S2H及びS2Lを生成する。
【0032】
図4は、合成流量信号とサンプリング区間との関係を示す。流量演算部5は、合成流量信号S2Hをサンプリング区間KHでAD変換し、合成流量信号S2Lをサンプリング区間KLでAD変換して、高周波側及び低周波側の2値データを夫々求める。
【0033】
高周波側の励磁信号SHの1周期をTHとすると、高周波側のサンプリング区間KHは、高周波側の励磁信号SHの半周期内で最後の1/4区間とした場合の例である。THの区間は高周波の半周期以内であれば任意の値を取り得るものとする。低周波側のサンプリング区間KLは、低周波側の励磁信号SLの半周期内で後半のKL=2×THとした場合の例である。KLの区間は低周波側で発生する微分ノイズが減衰しており、かつ区間THの整数倍を満足するものであれば任意の値を取り得るものとする。
【0034】
流量演算部5は、LPFを通過させた低周波側の2値データとHPFを通過させた高周波側の2値データとを加え合わせて、被測定対象の液体の流速に比例した2値データである出力信号を求める。
【0035】
図5は、流体ノイズ及び励磁信号の特性を示す。流体ノイズは、スラリノイズやフローノイズから成り、低周波領域で大きく高周波領域で小さくなる1/f特性を有する。スラリノイズは、流体中の固形物が電極を擦るときに生ずるものであり、フローノイズは、低導電率の液体によって運ばれる電荷が、微視的な液体の乱れによりランダムなノイズを発生させるものである。
【0036】
低い周波数FLの信号成分は、流体ノイズとの差が小さく、高い周波数FHの信号成分は、流体ノイズとの差が大きい。また、励磁信号の周波数を低くし、時定数を大きくすれば、安定したゼロ点成分が取り出せる。
【0037】
励磁信号の周波数FHは、流量信号の信号成分及び流体ノイズに対するSN比が大きくなるように、流体ノイズの1/f特性に従って決定される。この場合、流体ノイズのレベルが高い周波数ほど小さくなるので、高周波励磁の有利な特性である強い耐ノイズ特性が引き出される。
【0038】
励磁信号の周波数FLは、高周波励磁に基づく微分ノイズ成分の波形が上下対称であることにより、高周波側の微分ノイズ成分が相殺して減衰するように、この減衰特性に従って決定される。この場合、流量演算の過程で高周波側の微分ノイズ成分が相殺して減衰するので、低周波励磁の有利な特性である強いゼロ点の安定性が引き出される。
【0039】
また、低周波数FL及び高周波数FHは、上記の条件が満されるように、夫々設定されるが、一般的には双方の関係を示す相対比が整数倍となるように互いの値が選択される。即ち、図2にあって、高周波側の励磁信号SHは、低周波側の励磁信号SLの奇数倍の周波数で、かつ互いに位相ずれなしの場合の2周波励磁信号S1を示しているが、この他にも、互いに位相ずれありの場合(A)、または、高周波側の励磁信号SHが低周波側の励磁信号SLの偶数倍の周波数の場合(B)(位相ずれありなしに関係なく)の加算2周波励磁信号S1を生成するようにしてよい。
【0040】
低周波数FLの励磁信号成分は、ゼロ点の安定性が強く、耐ノイズ特性が弱い。高周波数FHの励磁信号成分は、ゼロ点の安定性が弱く、耐ノイズ特性が強い。2周波励磁方式では、励磁信号の高周波側が低周波側に重畳することにより、夫々の短所を補い、長所を引き出すことができる。
【0041】
図6は、2周波励磁方式の測定原理を示す。流量信号は、信号成分にノイズ成分が重畳するので、値Aを基準として上下に揺動する。値Aは、液体の流速に比例した値であり、流量信号の信号成分の振幅を示す。
【0042】
流量信号は、低周波側及び高周波側の信号成分に分割される。低周波側の信号成分は、サンプリング区間KLでサンプリングされ、LPFを通過することで抽出され、流量信号の定常成分にのみ応答する。高周波側の信号成分は、サンプリング区間KHでサンプリングされ、HPFを通過することで抽出され、流量信号の変化率にのみ応答する。
【0043】
2周波励磁方式では、低周波側及び高周波側の信号成分を加え合わせることで、
値Aの振幅を有する出力信号を生成する。
【0044】
図7は、加算2周波励磁信号S1のFFT解析結果である。加算2周波励磁信号S1の解析結果は、複数の高調波成分になり、基本波FL及びFHの奇数倍の各高調波成分は、その殆どが独立して存在し、対応する周波数軸上の位置に示される。例えば、基本波FHの信号成分は、基本波FLの第11高調波の信号成分に含まれる。
【0045】
加算2周波励磁信号S1は、低周波成分に高周波成分が足し合わされた特性を示し、低周波側及び高周波側の各高調波成分の独立性が強いので、信号成分の分割、及び、低高周波側信号の生成が容易に行える。
【0046】
信号成分の分割は、基本波FL及びFHの奇数倍の各高調波成分として抽出することにより行われ、ノイズ成分が除去され信号成分が取り出される。低高周波側信号の生成は、基本波FLの各高調波成分を合成することで低周波側の信号成分を生成し、基本波FHの各高調波成分を合成することで高周波側の信号成分を生成できる。
【0047】
加算流量信号S2は、加算2周波励磁信号S1に応じて発生され、相似な波形を有するので、加算2周波励磁信号S1と同様な特性を有する。加算流量信号S2は、加算2周波励磁信号S1と同様に、低周波側及び高周波側の各高調波成分の独立性が強く、信号成分の分割、及び、低高周波側信号の生成が容易に行える。
【0048】
図8は、図1の高周波側演算出力の周波数特性を示す。高周波側演算出力の周波数特性は、電磁流量計の耐ノイズ性能を調べるために測定される。高周波側演算出力は、流量信号に代えて、周波数を0〜100Hzにスイープさせたノイズ信号を入力して測定される。
【0049】
周波数60Hz以下且つ90Hz以上では、振幅が0レベルに維持され、周波数60〜90Hzの範囲では、振幅が0レベル軸を上下に揺動し、基本波FLに対応する窓部分が1つ存在する。
【0050】
高周波側演算出力の周波数特性では、振幅が0レベルを基準として上下に揺動すると、対応する周波数ノイズに対して弱いことを意味し、窓部分に対応する周波数ノイズが入力すると、出力信号の振幅が揺動し不安定になることを意味する。
【0051】
図8の周波数特性は、図11の周波数特性に比して、信号抽出部3が流量演算に不要なノイズ成分を予め除去し、流量演算が行われるので、振幅が0レベルを基準として上下に揺動する周波数範囲が狭く、出力信号が安定することを示す。
【0052】
加算流量信号S2の信号成分は、振幅が流速に比例する方形波状の信号である。高調波信号合成部4は、奇数倍の各高調波成分から方形波状の合成流量信号S2H及びS2Lを生成する。信号抽出部3は、奇数倍の各高調波成分のみを通過させるので、流量演算に不要なノイズ成分が除去される。
【0053】
何らかの理由で高周波側の微分ノイズ波形に上下対称性が失われても、流量演算部5は、予めノイズ成分が除去された合成流量信号S2H及びS2Lを、サンプリング区間KL及びKHで独立にサンプリングするので、サンプリング区間KLのサンプリングデータに高周波側の微分ノイズ成分が残らず、流量測定に影響がない。
【0054】
上記実施形態例によれば、信号抽出手段が低周波信号及び高周波信号の奇数倍高調波成分を抽出することにより、流量演算に不要なノイズ成分を予め除去し、第1及び第2高調波信号合成手段が夫々低周波信号及び高周波信号の奇数倍高調波成分を合成し、演算手段が合成された双方の出力によって流量を演算するので、低周波励磁及び高周波励磁の双方の有利な特性が引き出され、2周波励磁方式のゼロ点の安定性及び耐ノイズ特性が向上する。
【0055】
以上、本発明をその好適な実施形態例に基づいて説明したが、本発明の電磁流量計は、上記実施形態例の構成にのみ限定されるものでなく、上記実施形態例の構成から種々の修正及び変更を施した電磁流量計も、本発明の範囲に含まれる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の電磁流量計では、信号抽出手段が低周波信号及び高周波信号の奇数倍高調波成分を抽出することにより、流量演算に不要なノイズ成分を予め除去し、第1及び第2高調波信号合成手段が夫々低周波信号及び高周波信号の奇数倍高調波成分を合成し、加算手段が合成された双方の出力を加算することにより流量を演算するので、低周波励磁及び高周波励磁の双方の有利な特性が引き出され、2周波励磁方式のゼロ点の安定性及び耐ノイズ特性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例の電磁流量計のブロック図である。
【図2】図1の電磁流量計が取り扱う各種の信号を示す。
【図3】加算流量信号S2が処理される過程を示す。
【図4】合成流量信号とサンプリング区間との関係を示す。
【図5】流体ノイズ及び励磁信号の特性を示す。
【図6】2周波励磁方式の測定原理を示す。
【図7】加算2周波励磁信号S1のFFT解析結果である。
【図8】図1の高周波側演算出力の周波数特性を示す。
【図9】従来の電磁流量計が取り扱う各種の信号を示す。
【図10】乗算2周波励磁信号S3をFFT解析した結果である。
【図11】従来の高周波側演算出力の周波数特性である。
【符号の説明】
1 磁界発生部
2 励起電圧検出部
3 信号抽出部
4 高調波信号合成部
5 流量演算部(加算手段)
6 管内

Claims (3)

  1. 低周波信号と高周波信号とを加算した加算励磁信号から成る励磁電流で励磁されて流体の流れ方向と直交方向に磁界を発生する磁界発生手段と、
    前記磁界によって流体に発生する励起電圧を検出する励起電圧検出手段と、
    前記励起電圧から低周波信号及び高周波信号の各奇数倍高調波成分を抽出する信号抽出手段と、
    低周波信号の奇数倍高調波成分を合成する第1高調波信号合成手段と、
    高周波信号の奇数倍高調波成分を合成する第2高調波信号合成手段と、
    第1高調波信号合成手段の出力と第2高調波信号合成手段の出力とを加え合わせて流量演算する演算手段とを備えることを特徴とする電磁流量計。
  2. 前記高周波信号の周波数を、流体ノイズの1/f特性に従って決定する、請求項1に記載の電磁流量計。
  3. 前記低周波信号の周波数を、前記低周波数信号におけるノイズ成分が減衰する減衰特性に従って決定する、請求項1又は2に記載の電磁流量計。
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