JP4161146B2 - 2重レーザ照明を用いた溶接部撮像装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶接部をこれより著しく暗い背景とともに撮像するレーザ照明を用いた溶接部撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
強い光りを放射する溶接部をCCDカメラで撮像すると、ハレーションを起し、溶接部の光った画像しか得られない。溶接状態を観測するためには、強く輝く溶融金属や高温ガスの部分だけでなく、溶接棒や溶接トーチ、既に固まった溶着金属、母材などの背景も溶接部とともに1つの画面に映した画像が必要になる。
【0003】
このような極めて明るいものと暗いものとを同一画面に映す方法として合成画像方法がある。CCDは電荷蓄積時間を調整することにより電子シャッタの機能を有しシャッタ時間の調整ができる。高速シャッタでは暗い部分は映らないが、明るい部分は鮮明に映る。低速シャッタでは明るい部分は飽和して飛んでしまうが、暗い部分は鮮明に映る。これらの2つの画像からよいところだけを切り出しして合成画像をつくることができる。図6はこの原理を説明する図で、Aは明るい画像を示し、Bは暗い画像を示す。(a)は高速シャッタで撮像したものでBは暗くつぶれ、Aは鮮明に映る。(b)は低速シャッタで撮像したものでAは飽和し、飛んでしまうがBは鮮明に映る。(c)は両者の最適の画像を取り出し合成した画像である。
【0004】
また、高照度のパルスレーザを光源とし、暗い背景を照射して溶接部と背景を同時に撮像する方法がある。この場合CCDの電荷蓄積期間に同期してパルスレーザを照射する。図7はこの状態を示す図である。この場合電荷蓄積時間を通常のCCDのものとするとパルスレーザによる背景の画像に対し、溶接部の画像が明るすぎハレーションを起し、背景も溶接部の画像も得られない。このため電子シャッタを用いて電荷蓄積時間を短くする。図8は電子シャッタにより受光量を減少させパルスレーザの反射光量とほぼ同等にした場合を示す。このようにすると溶接部と背景の鮮明な画像が同一画面に得られる。このように高速シャッタを用いるとCCDのフレーム周期とパルスレーザの周期とを正確に同期させる必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した画面を合成する方法は操作が煩雑で時間がかかり、その上装置が高価となる。パルスレーザを用いる方法はパルス周期とCCDのフレーム周期を同期させるためパルスレーザ発生装置に高精度のクロック装置が用いられており、装置が高価となっていた。また、単に照明しただけでは影ができ鮮明な画像が得られないという問題も発生している。
【0006】
本発明はかかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、パルスレーザの周期をCCDのフレーム周期に簡単な装置で同期させるようにし、さらに影を少なくするレーザ照射装置の数と配置を明らかにしたレーザ照明を用いた溶接部撮像装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明では、溶接部を撮像するCCDカメラと、このCCDカメラのフレーム信号を取り出すフレーム信号抽出部と、この抽出したフレーム信号を遅延させる遅延回路と、この遅延した遅延信号の周期でパルスレーザを発生するパルスレーザ発生装置と、このパルスレーザ発生装置で発生したパルスレーザを溶接部近傍に照射する2個のレーザ照射器と、を備え、CCDカメラとレーザ照射器との平面的配置を、溶接方向を270度とし時計回りで0度の位置にCCDカメラを配置し、第1レーザ照射器を20度から45度の範囲に配置し、第2レーザ照射器を315度から340度の範囲に配置し、
前記遅延回路は、前記フレーム信号を遅延させることで、前記CCDカメラのフレーム周期とパルスレーザ周期とを同期させる。
【0008】
CCDカメラのフレーム信号を取り出し、このフレーム信号をフレーム周期の整数倍遅らした後、この遅延した信号の周期でパルスレーザを発生して溶接部周辺を照射する。整数倍遅延しても周期はCCDのフレーム周期と同じなので、パルスレーザの周期はCCDのフレーム周期に常に一致する。図8で示すように高速シャッタでCCD電荷蓄積時間を短縮し、パルスレーザの反射光からの受光量と溶接部からの受光量とのバランスをとることにより、溶接部と背景が映った画像を得ることができる。さらに、CCDカメラとレーザ照射器との平面的配置を、溶接方向を270度とし時計回りで0度の位置にCCDカメラを配置し、第1レーザ照射器を20度から45度の範囲に配置し、第2レーザ照射器を315度から340度の範囲に配置することにより、影の殆どない鮮明な画像を得ることができる。
請求項2の発明では、前記抽出したフレーム信号の周期を整数倍だけ長くする1/nディカウンタを備え、前記遅延回路は、前記1/nディカウンタから入力された前記フレーム信号を遅延させることで、前記フレーム周期と前記パルスレーザ周期とを同期させる。
請求項3の発明では、パルスレーザを前記溶接部近傍に照射した1周期前の画像を記憶するメモリを備え、該画像は前記溶接部を含み、前記整数倍は2以上の整数倍であり、パルスレーザが前記溶接部近傍に照射されていない時、前記画像を表示するように構成されている。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、実施形態の2重レーザ照明を用いた溶接部撮像装置を示す。溶接部1は溶接により発生するアークやプラズマ等とし、背景はトーチ1a、溶接棒1b、溶着金属1c、母材1d等とする。CCDカメラ2は溶接部1を中心に背景を映すように配置され、フレーム信号抽出部3はCCDカメラ2のビデオ信号からフレーム信号を抽出する。CCDカメラ2からのビデオ信号はビデオデッキ4aで録画されモニタ4bで画像表示される。
【0010】
1/nディカウンタ5はフレーム信号の周波数を整数で割って周期を長くする装置である。CCDカメラ2のフレーム周期はテレビ信号と同じく30Hz(正確には29.97Hz)のものが用いられている。通常n=1,2,3の30Hz,15Hz,10Hzが用いられ、スイッチでいずれかに切り換えられるようになっている。遅延回路6は1/nディカウンタ5より出力された周期をn(nは整数で通常はn=1)周期遅れた周期の信号を出力する。これにより1周期未満の遅れ周期を排除することができ、フレーム周期とパルスレーザ周期を確実に同期させることができる。パルスレーザ発生装置7は、例えば、Nd−YAGレーザの場合、フラッシュランプをパルス的に放電し励起して発振させる。この励起するパルスの周期を遅延回路6の信号で行なうことにより、30Hz,15Hz,10Hzのパルスレーザを第1レーザ照射器8a,第2レーザ照射器8bに出力することができる。第1および第2レーザ照射器8a,8bはパルスレーザ発生装置7で発生したパルスレーザを拡散して溶接部1と背景を照射する装置で、先端に球レンズなどを設けてパルスレーザを拡散して照射する。
【0011】
図2はCCDカメラ2のフレーム周期とパルスレーザの周期との同期を示す図である。Aは電子シャッタが作用しない通常の電荷蓄積時のCCDフレーム周期で30Hzの場合を示す。Bは高速シャッタ時で電荷蓄積時間を大幅に絞り、溶接部1を撮像する場合で、周期は変わらず30Hzである。Cはパルスレーザを30Hzに同期して発生させた周期を示す。Dはパルスレーザを15Hzで発生させフレーム信号に同期させた場合を示し、Eはパルスレーザを10Hzで発生させフレーム信号に同期させた場合を示す。D,Eのように周波数を低くするとパルスレーザ発生装置7が簡単になり低価格となる。しかし、レーザが照射されていない画面では溶接部1のみになり、画面がちらつき、鮮明さが低下する。この場合、パルスレーザを照射した1周期前の画像をメモリに記憶し、パルスレーザが照射されていない周期のときこの記憶した画像を表示するようにすると、ちらつきのない鮮明な画像が得られる。しかもいつも1周期前の画像を用いるため溶接部1の変化にもほぼ追従できるので、利用価値は大きい。
【0012】
次に影の少ない鮮明な全体画像を得るためのCCDカメラ2と第1および第2レーザ照射器8a,8bとの相対位置について説明する。図3はCCDカメラ2とレーザ照射器8の側面図を示し、図4、図5は平面図を示す。図4はレーザ照射器8を1個用いた場合で、斜線部で示すように大きな影ができ、この影に入る溶接棒1bなどの画像が得られない場合を示す。図5は本実施形態の2重レーザ照射方法を示す。図3に示すように、母材1d平面に対して、CCDカメラ2は30度前後、第1および第2レーザ照射器8a,8bは30〜45度の範囲が適切である。平面的配置は図5に示すように、溶接方向を270度とし時計回りで0度の位置にCCDカメラ2を配置し、第1レーザ照射器8aを20度から45度の範囲に配置し、第2レーザ照射器8bを315度から340度の範囲に配置する。この照明配置により斜線で示す影の範囲が最も少く、かつ影響のない位置に発生するようにすることができる。
【0013】
【発明の効果】
上述したように、本発明は、CCDカメラのフレーム周期を用いてパルスレーザを発生させることにより、簡単なシステムでCCDカメラのフレーム周期とパルスレーザの同期をとることができる。また、CCDカメラと2個のレーザ照射器を適切に配置することにより、影が少くかつ影響のない位置に発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の構成を示す図である。
【図2】実施形態の周波数同期を示す図である。
【図3】CCDカメラとレーザ照射器の側面配置を示す図である。
【図4】レーザ照射器を1個とした場合の大きな影の出る画面を示す図である。
【図5】本実施形態の2重レーザ照射器の平面配置を示す図である。
【図6】従来の合成画像方法の説明図である。
【図7】通常のCCD電荷蓄積時間を説明する図である。
【図8】高速電子シャッタを使用したCCDとパルスレーザとの同期を示す図である。
【符号の説明】
1 溶接部
1a トーチ
1b 溶接棒
1c 溶着金属
1d 母材
2 CCDカメラ
3 フレーム信号抽出部
4a ビデオデッキ
4b モニタ
5 1/n ディカウンタ
6 遅延回路
7 パルスレーザ発生装置
8 レーザ照射器
8a 第1レーザ照射器
8b 第2レーザ照射器
Claims (3)
- 溶接部を撮像するCCDカメラと、このCCDカメラのフレーム信号を取り出すフレーム信号抽出部と、この抽出したフレーム信号を遅延させる遅延回路と、この遅延した遅延信号の周期でパルスレーザを発生するパルスレーザ発生装置と、このパルスレーザ発生装置で発生したパルスレーザを溶接部近傍に照射する2個のレーザ照射器と、を備え、CCDカメラとレーザ照射器との平面的配置を、溶接方向を270度とし時計回りで0度の位置にCCDカメラを配置し、第1レーザ照射器を20度から45度の範囲に配置し、第2レーザ照射器を315度から340度の範囲に配置し、
前記遅延回路は、前記フレーム信号を遅延させることで、前記CCDカメラのフレーム周期とパルスレーザ周期とを同期させる、ことを特徴とする2重レーザ照明を用いた溶接部像装置。 - 前記抽出したフレーム信号の周期を整数倍だけ長くする1/nディカウンタを備え、
前記遅延回路は、前記1/nディカウンタから入力された前記フレーム信号を遅延させることで、前記フレーム周期と前記パルスレーザ周期とを同期させる、ことを特徴とする請求項1に記載の2重レーザ照明を用いた溶接部像装置。 - パルスレーザを前記溶接部近傍に照射した1周期前の画像を記憶するメモリを備え、該画像は前記溶接部を含み、前記整数倍は2以上の整数倍であり、
パルスレーザが前記溶接部近傍に照射されていない時、前記画像を表示するように構成されている、ことを特徴とする請求項2に記載の2重レーザ照明を用いた溶接部像装置。
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