JP4160812B2 - 永久磁石式同期電動機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、永久磁石式同期電動機に関する。
【0002】
【従来の技術】
高効率、省エネ、小型化等の目的から、永久磁石を使用する永久磁石式同期電動機の需要は増加しており、信頼性が高く確実に永久磁石を回転子へ固定する方法が従来からの課題であった。
【0003】
回転子は出力軸と回転子鉄心が焼嵌め等により一体型となっており、出力軸には玉軸受が装着されており、玉軸受はハウジングやエンドブラケットにより位置決め固定されて回転する。
【0004】
回転子に複数の板状永久磁石を有する永久磁石式同期電動機において板状永久磁石を回転子鉄心外周に具備させる為に、従来は接着剤や、リング状の固定具によるはめ込み式による固定方法が一般的であった。
【0005】
しかし、前記従来の両固定方法は強度や寸法の管理が非常に困難であり、長時間の高温高速回転及び、悪環境における使用により劣化し、板状永久磁石の剥離や脱落が発生する。これまでに多数の不良や、事故を起こしてきた。
又、樹脂成形による固定方法においては、高効率等の目的により板状永久磁石が大きくなり固定子鉄心の積層方向より長くなることがある。樹脂成形した場合樹脂、回転子鉄心、永久磁石のそれぞれに成形直後からの冷却又は、運転中の温度変化等により応力が発生し、永久磁石や成形された樹脂にひびや割れが発生する。
又、樹脂成形だけでは回転により永久磁石と回転子鉄心の間における空転に対して配慮されていなかった。さらに、電動機の特性として発熱がある、この発熱による温度上昇を低減することは電動機では重要であり困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
複数の板状永久磁石を複数使用する回転子からなる永久磁石式同期電動機において、板状永久磁石を信頼性が高く確実に回転子へ固定する方法が課題であり、それらを解決する為に樹脂成形がある。
【0007】
前記従来技術は、樹脂成形した場合樹脂、回転子鉄心、永久磁石のそれぞれに成形直後からの冷却又は、運転中の温度変化により軸方向、径方向への熱収縮による応力が発生し、永久磁石や成形された樹脂にひびや割れが発生する。又、永久磁石を樹脂成形しただけでは回転により空転する可能性がある。さらに、電動機からの発熱による温度上昇を低減させることは重要であり困難であった。
本発明はこれらを解決することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、回転子と、固定子を有する永久磁石式同期電動機であって、前記回転子はその外周に複数の永久磁石を備え、前期永久磁石の軸方向に櫛状の磁石押え部を有することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施例は、回転子と、固定子を有する永久磁石式同期電動機であって、回転子はその外周に複数の永久磁石を備え、永久磁石の軸方向に櫛状の磁石押え部を有することを特徴とする永久磁石式同期電動機にある。
【0010】
本発明の第2の実施例は、さらに回転子は出力軸とプレス成型された鋼板を複数枚積層した固定子鉄心を一体としたものであり、回転子鉄心より長い板状の永久磁石を回転子外周に樹脂で固定したことを特徴とする永久磁石式同期電動機にある。
【0011】
本発明の第3の実施例は、さらに回転子鉄心には空転防止穴を形成したことを特徴とする永久磁石式同期電動機にある。
【0012】
(実施例)
以下、本発明の実施例を図により説明する。
図1は出力軸1とプレス成形した珪素鋼板を複数枚積層した回転子鉄心2と、回転子鉄心2より長い板状永久磁石3を回転子外周へ複数枚等間隔に樹脂4にて成形した全体図である。図2は図1の断面図。図3は図1の正面図であり、図4は図3のQ部拡大図である。
【0013】
応力は軸方向と径方向の合成力になり、これらを回避させることが必要である。応力緩和構造とする為に永久磁石3の両端面3−aには、櫛形状に複数の磁石押え部5を構成している。磁石押え部5と磁石押え部5の両端部6は独立しており、複数の磁石押え部5もそれぞれが独立している。又、永久磁石の両端に樹脂4は形成しない、従ってそれぞれが独立している磁石押え部5はバネ状の動きを有することになる。これにより軸方向と径方向に発生する応力を緩和させることが出来る。
【0014】
樹脂成形時や永久磁石式同期電動機の温度変化等により発生する樹脂4の熱収縮力により樹脂4、永久磁石3に応力が発生するが、磁石押え部5がバネ状の動きを有することにより熱収縮力は回避されて応力の発生は緩和される、従って樹脂4、永久磁石3に発生するひびや割れを防ぐことが出来る。 又、高温高速に耐える為には回転子鉄心2の外周に具備した永久磁石3を樹脂4で押える必要がある。樹脂4で永久磁石3の外周を全体的に押えると前記と同じく応力で樹脂4、永久磁石3にひびや割れが発生する為に、磁石押え部7は永久磁石3の外周の一部分のみに形成させる事とする。これにより、前述の磁石押え部5による効果に対し軸方向と径方向への応力緩和にさらに効果を出すことが出来る。
【0015】
磁石押え部7を永久磁石3の外周の一部分のみに形成させる事により最小限の保持力を得ることが出来、かつ、樹脂4と永久磁石3にひびや割れが発生することを防ぐことが出来る。
【0016】
さらに、プレス成形した珪素鋼板を積層した回転子鉄心2に貫通又は、貫通していない空転防止穴8を1個以上設けることにより、この空転防止穴8へ樹脂4が流れ込み空転防止構造を形成し空転を防止することが出来る。空転防止穴8はプレス成形時同時に設ける。
【0017】
さらに、磁石押え部5の形状が放熱フィンと同様になり、樹脂4の表面積は増加した。従って放熱効果が良くなり、永久磁石式同期電動機の温度上昇を低減させることが出来る。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば永久磁石端面にバネ状の動きを有する磁石押え部を樹脂形成することにより、又、外周には永久磁石を樹脂で押える部分を一部分とすることにより、樹脂成形や永久磁石式同期電動機運転中の温度変化等により発生する軸方向、径方向の応力を緩和させ高速運転に必要な保持力も得ることが出来る。かつ、固定子鉄心に穴を設け、樹脂を流し込むことにより、空転防止構造を形成し空転を防止することが出来る。さらに、バネ状の形状が放熱フィンと同様になり樹脂の表面積が増加したことにより永久磁石式同期電動機の温度上昇を低減できる。
永久磁石を確実に固定し信頼性が高く、割れや剥離等の問題を解決し、かつ、温度上昇を低減できる本発明による効果は非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係わる全体図である。
【図2】前記図1の断面図である。
【図3】前記図1の正面図である。
【図4】前記図3のQ部拡大図である。
【符号の説明】
1…出力軸、2…回転子鉄心、3…永久磁石、3−a…永久磁石端面、4…樹脂、5…磁石押え部、6…磁石押え部5の両端部、7…磁石押え部、8…空転防止穴
Claims (3)
- 外周に配置された複数の永久磁石間を樹脂でモールドされた回転子と、固定子を有する永久磁石式同期電動機であって、
前記回転子はその外周に複数の永久磁石が設けられ、複数の永久磁石間を樹脂でモールドされ、前記永久磁石の軸方向端面側に設けられ樹脂で構成された櫛状の第1の磁石押え部と、この磁石押え部の両端で2つの前記永久磁石に跨って設けられた樹脂部材と、前記モールドされた樹脂の外周側で2つの前記永久磁石に跨って前記永久磁石の外周に形成された第2の磁石押え部とを有し、前記樹脂部材と前記第2の磁石押え部は切り離されたことを特徴とする永久磁石式同期電動機。 - 請求項1において、前記回転子は出力軸とプレス成型された鋼板を複数枚積層した固定子鉄心を一体としたものであり、前記回転子鉄心より長い板状の前記永久磁石を前記回転子外周に樹脂で固定したことを特徴とする永久磁石式同期電動機。
- 請求項2において、前記回転子鉄心には空転防止穴を形成したことを特徴とする永久磁石式同期電動機。
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