JP4159679B2 - 研磨用組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体、フォトマスク、各種メモリーハードディスク用基盤の研磨に使用される研磨用組成物に関し、特に半導体産業などにおけるテバイスウェーファーの表面平坦化加工に好適な研磨用組成物およびこの組成物を用いた研磨方法に関するものである。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、デバイスウェーファーのプロセス加工時において、いわゆる化学的・機械的研磨(CMP)技術が適用されている金属配線の研磨において高効率であり、高選択性を有し、かつ、優れた研磨表面の形成に適用可能な研磨用組成物およびこの組成物を用いた研磨方法に関するものである。
【0003】
【従来技術】
近年のコンピューターを始めとするいわゆるハイテク製品の進歩は目覚ましく、これに使用される部品、たとえばULSIは、年々高集積化・高速化の一途をたどっている。これに伴い、半導体装置のデザインルールは年々微細化が進み、デバイス製造プロセスでの焦点深度は浅くなり、パターン形成面に要求される平坦性は厳しくなってきている。
【0004】
また、配線の微細化による配線抵抗の増大に対処するため、デバイスの多層化による配線長の短縮が行われているが、形成されたパターン表面の段差が多層化の障害として問題化してきている。
【0005】
このような微細化および多層化を行うに当たり、そのプロセス中で段差を取り除くための所望表面の平坦化を行うことが必要であり、この手法として、これまではスピンオングラス、レジストエッチバックおよびその他の平坦化法が用いられてきた。
【0006】
しかし、これらの手法では部分的な平坦化は可能であるが、次世代デバイスに要求されるグローバルプレナリゼーション(完全平坦化)を達成することは困難な状況であり、現在では機械的研磨と化学的研磨とを組み合わせたメカノケミカル研磨(Chemical Mechanical Polishing、以下「CMP」という)加工による平坦化が検討されるようになってきた。
【0007】
この中でも、特にタングステン膜、アルミニウム膜、銅膜等の金属配線層の研磨は特に重要な役割を果たす。すなわち、金属配線層のCMP加工には、配線およびバリア層として用いられる金属膜に対する研磨速度は大きく、同時に、二酸化ケイ素膜等の絶縁膜に対する研磨速度は小さいことが要求される。従って、この要件を満たすため、化学的研磨と機械的研磨とのバランスがよい研磨条件および研磨用組成物が必要となる。特に化学的な因子はこの用件を満たすため重要であり、これまで様々な提案がなされている。
【0008】
化学的な因子としては、酸化剤を研磨用組成物の中に含有させる手法が一般的である。つまり、金属膜表面を酸化剤で酸化させ、その化学反応によって被研磨物表面に生じた脆性酸化膜層をセラミックス粉末などの研磨材で機械的に除去する。ここで用いられる酸化剤としては、鉄塩、セリウム塩、過酸化水素、ならびに重クロム酸、過マンガン酸、次亜塩素酸、およびそれらの塩、または、金属膜に対し化学的な作用を及ぼしうる研磨材、具体的には、セリア、酸化マンガン、酸化鉄、酸化クロム、およびその他が知られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの酸化剤を用いることにより、金属膜に対する研磨速度は大きくなるが、二酸化ケイ素膜などの絶縁膜に対する研磨速度はほとんど変化しない。すなわち、金属膜に対しては、酸化剤による化学的作用と研磨材による機械的作用の組み合わせにより、研磨速度が大きくなるが、絶縁膜に対しては酸化剤の化学的作用は小さいものの、研磨材の機械的作用による研磨速度がほぼ維持される。このため、金属膜の研磨速度に対する絶縁膜の研磨速度の比(以下、「選択比」という)は改良されるものの、この選択比は高々10程度にしかならなかった。
【0010】
本発明は、前記のような問題を解決するためになされたものである。すなわち、金属膜を研磨する速度が大きく、一方で絶縁膜を研磨する速度が小さく、選択比が大きな研磨用組成物を提供することを目的とするものである。
【0011】
本発明の研磨用組成物が好適に利用される分野としては、例えば、半導体産業におけるデバイスウェーファーのCMP加工があげられる。その中でも、金属膜に対する大きな研磨速度と絶縁膜に対する小さな研磨速度の両立を要求される加工に好適である。特に、タングステン、アルミニウム、チタン、タンタル、窒化タングステン、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化タンタル、窒化タングステン、およびその他の金属膜を被研磨層とし、二酸化ケイ素膜、窒化ケイ素膜、BPSG膜およびその他の絶縁膜をストッパーとする半導体デバイスの研磨において好適である。
【0012】
【課題を解決するための手段】
[発明の概要]
<要旨>
本発明の第1の研磨用組成物は、下記の成分を含んでなること、を特徴とするものである。
(A1)二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、窒化ケイ素、炭化ケイ素、および二酸化マンガンからなる群より選ばれる少なくとも1種類の研磨材、
(A2)25℃における標準電極電位が0.5V以上である酸化反応を起こし得る化学種を含んでなる酸化剤、
(B)飽和炭化水素または飽和脂肪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の水不溶性化合物、および
(C)水。
【0013】
また、本発明の第2の研磨用組成物は、下記の成分を含んでなること、を特徴とするものである。
(A)25℃における標準電極電位が0.5V以上である酸化反応を起こし得る化学種を含んでなる研磨材、
(B)飽和炭化水素または飽和脂肪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の水不溶性化合物、および
(C)水。
【0014】
<効果>
本発明によれば、金属膜を研磨する速度が大きい一方で絶縁膜を研磨する速度が小さく、高い選択比を有する研磨用組成物が提供される。
【0015】
[発明の具体的説明]
<研磨材>
本発明の第1の研磨用組成物において、研磨材は、いわゆる砥粒としての役割を果たし、CMP加工における機械的研磨の一翼を担うものである。すなわち、研磨材は、後述の各種の化合物成分により被研磨面に形成された脆性層を機械的に除去するものである。
【0016】
本発明の第1の研磨用組成物は研磨材として、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化チタン、窒化ケイ素、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、および二酸化マンガンからなる群から選ばれる少なくとも1種類を含んでなる。
【0017】
これらのうち、二酸化ケイ素には、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、およびその他の、製造法や性状の異なるものが多種存在する。
【0018】
酸化アルミニウムにも、α−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、κ−アルミナ、およびその他の形態的に異なるものがある。また製造法からフュームドアルミナと呼ばれるものもある。
【0019】
酸化セリウムには、酸化数から3価のものと4価のもの、また結晶系から見て、六方晶系、等軸晶系、および面心立方晶系のものがある。
【0020】
酸化ジルコニウムには、結晶系から見て、単斜晶系、正方晶系、および非晶質のものがある。また、製造法からフュームドジルコニアと呼ばれるものもある。また、カルシウム、マグネシウム、あるいはイットリウムを固溶させ、結晶内の一部を立方晶系として安定化させた、いわゆる部分安定化ジルコニア、さらにはそれら元素の固溶量を増し、全ての結晶を立方晶として完全に安定化させた、いわゆる完全安定化ジルコニアなどもある。
【0021】
酸化チタンには、結晶系から見て、一酸化チタン、三酸化二チタン、二酸化チタンおよびその他のものがある。また製造法からフュームドチタニアと呼ばれるものもある。
【0022】
窒化ケイ素は、α−窒化ケイ素、β−窒化ケイ素、アモルファス窒化ケイ素、およびその他の形態的に異なるものがある。
【0023】
炭化ケイ素にも、α型、およびβ型がある。
【0024】
二酸化マンガンには、形態的に見てα−二酸化マンガン、β−二酸化マンガン、γ−二酸化マンガン、δ−二酸化マンガン、ε−二酸化マンガン、η−二酸化マンガン、およびその他がある。
【0025】
本発明の第1の研磨用組成物には、これらのものを任意に、必要に応じて組み合わせて、用いることができる。組み合わせる場合には、その組み合わせ方や使用する割合は特に限定されない。
【0026】
また、これらの研磨材のうち、保存期間中における研磨用組成物中の研磨材の沈殿を低減させ、かつ被研磨物に研磨材起因のスクラッチが発生することを防止するため、研磨材としては粒子径の揃った、しかも粒子径が小さなコロイド状のものを用いるのが好ましい。すなわち、二酸化ケイ素を用いる場合、フュームドシリカおよび/またはコロイダルシリカであることが好ましく、アルミナを用いる場合、フュームドアルミナおまび/またはコロイダルアルミナであることが好ましい。
【0027】
上記の研磨材は、砥粒としてメカニカルな作用により被研磨面を研磨するものである。このうち二酸化ケイ素の粒子径は、BET法により測定した表面積から求められる平均粒子径で一般に0.005〜0.5μm、好ましくは0.01〜0.2μm、である。また、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、窒化ケイ素、炭化ケイ素、および二酸化マンガンの粒子径は、BET法により測定した平均粒子径で一般に0.01〜10μm、好ましくは0.05〜3μm、である。さらに、酸化セリウムの粒子径は、走査型電子顕微鏡により観察される平均粒子径で、一般に0.01〜10μm、好ましくは0.05〜3μm、である。
【0028】
これらの研磨材の平均粒子径がここに示した範囲を超えて大きいと、被研磨面の表面粗さが大きかったり、スクラッチが発生したりするなどの間題があり、逆に、ここに示した範囲よりも小さいと研磨速度が極端に小さくなってしまい実用的でない。
【0029】
本発明の第1の研磨用組成物に対する研磨材の含有量は、一般に0.5〜15体積%、好ましくは1〜10体積%、である。研磨材の含有量が少なすぎる場合、化学的作用が強くなり、絶縁膜を研磨する速度は小さくなるが、金属膜を研磨する速度も小さくなり、その結果選択比が小さくなってしまい好ましくない。一方、研磨材の含有量が多すぎる場合、機械的研磨の作用が強くなり、金属膜だけでなく絶縁膜を研磨する速度も大きくなり、その結果選択比が小さくなってしまい好ましくない。
【0030】
<酸化剤>
本発明の第1の研磨用組成物は、25℃における標準電極電位が0.5V以上である酸化反応を起こし得る化学種を含んでなる酸化剤を含んでなる。
【0031】
標準電極電位E0は、酸化反応に関与するすべての化学種が標準状態にあるときに、下記の式で表される。
E0=−△G0/nF=(RT/nF)lnK
ここで、△G0は酸化反応の標準ギブスエネルギー変化、Kはその平行定数、Fはファラデー定数、Tは絶対温度、nは酸化反応に関与する電子数である。従って、標準電極電位は温度により変動するので、本発明においては25℃における標準電極電位を採用する。
【0032】
このような標準電極電位をもつ酸化反応の例は、例えば下記の通りである。
Fe3++e-=Fe2+ 0.771V
Ce4++e-=Ce3+ 1.74V
H2O2+2H++2e-=2H2O 1.77V
Cr2O7 2-+14H++6e-=2Cr3++7H2O 1.29V
MnO4 -+8H++5e-=Mn2++4H2O 1.51V
HClO+H++e-=0.5Cl2+H2O 1.63V
従って、本発明の第1の研磨用組成物に用いることのできる酸化剤としては、鉄(III)塩、セリウム(IV)塩、および過酸化水素、ならびに重クロム酸、過マンガン酸、次亜塩素酸、およびそれらの塩、からなる群から選ばれる少なくとも1種類であることが好ましい。具体的には、鉄(III)塩としては、硝酸鉄(III)、硫酸鉄(III)、塩化鉄(III)、クエン酸鉄(III)、シュウ酸鉄(III)、フマル酸鉄(III)、乳酸鉄(III)、過塩素酸鉄(III)、ヘキサシアノ鉄(III)酸アンモニウム、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム、硫酸鉄(III)アンモニウム、および硫酸鉄(III)カリウムが、またセリウム(IV)塩としては、硫酸セリウム(IV)、硫酸セリウム(IV)アンモニウム、および硫酸セリウム(IV)カリウム、からなる群から選ばれる少なくとも1種類であることが好ましい。また、重クロム酸、過マンガン酸、および次亜塩素酸の塩としては、アンモニウム塩、カリウム塩、およびナトリウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種類であることが好ましい。
【0033】
本発明の第1の研磨用組成物には、これらの酸化物を任意に、必要に応じて組み合わせて、用いることができる。組み合わせる場合には、その組み合わせ方や使用する割合は特に限定されない。
【0034】
前記酸化物は、その濃度により被研磨面に対する酸化作用の程度が変化するので、適切な含有量を決定する必要がある。添加量は、研磨用組成物の全重量を基準にして、一般に0.1〜20重量%、好ましくは1〜15重量%、である。酸化剤の添加量がこの範囲よりも少ないと、金属膜に対する研磨速度の増大効果が十分に発現せず、逆に添加量がこの範囲よりも多いと絶縁膜を研磨する速度まで大きくなってしまうため、選択比改良の効果が発現しないことがあり注意が必要である。
【0035】
<酸化性研磨材>
本発明の第2の研磨用組成物は、25℃における標準電極電位が0.5V以上である酸化反応を起こし得る化学種を含む研磨材(以下、「酸化性研磨材」という)を含んでなる。
【0036】
このような酸化性研磨材は、固体であって、被研磨面に対して機械的研磨作用を及ぼす砥粒であると同時に、被研磨面に酸化作用をも及ぼすものである。ここで、酸化作用は研磨材固形分中に含まれている化学種が研磨用組成物の液相に溶出して、被研磨面に作用するものと考えられる。このような化学種としては、例えばCe4+、MnO4 -、Fe3+、Cr2O7 2-およびその他が挙げられ、これらを放出し得るものが前記の酸化性研磨材である。酸化性研磨材の具体的な例としては、酸化セリウム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化クロム、およびそれらの混合物が挙げられる。これらの酸化物は、25℃における標準電極電位が0.5V以上である酸化反応を起こし得る化学種を供給し得るものであれば、その成分中に中における金属の価数は限定されない。これは、酸化物中には、価数の異なる金属が存在することが普通であり、酸化物中の電子の移動によって、特定原子の価数は一定ではないためである。しかしながら、本発明の効果をより強く発現させるためには、酸化性の化学種、すなわちより価数の高い金属、をより多く含むものが好ましい。従って、酸化セリウム(IV)、酸化マンガン(IV)、酸化マンガン(III)、酸化鉄(III)、酸化クロム(III)、および酸化クロム(VI)からなる群より選ばれる少なくとも1種類であることが好ましい。
【0037】
本発明の第2の研磨用組成物には、これらのものを任意に、必要に応じて組み合わせて、用いることができる。組み合わせる場合には、その組み合わせ方や使用する割合は特に限定されない。また、必要に応じて、前記した第1の研磨用組成物に用いることのできる研磨材または酸化剤を組み合わせることもできる。
【0038】
また、これらの酸化性研磨材のうち、保存期間中における研磨用組成物中の研磨材の沈殿を低減し、かつ被研磨物に研磨材起因のスクラッチが発生することを防止するため、研磨材としては粒子径の揃ったしかも粒子径が小さなコロイド状のものを用いるのが好ましい。
【0039】
上記の酸化性研磨材は、砥粒として機械的作用により被研磨面を研磨する効果と、化学的作用により被研磨面を研磨する効果を併せ持つものである。したがって、それらのバランスによって、有効な粒子径は変化するものであるが、一般に、BET法により測定した表面積から求められる平均粒子径で一般に0.005〜1μm、好ましくは0.01〜0.1μm、である。
【0040】
これらの研磨材の平均粒子径がここに示した範囲を超えて大きいと、研磨された表面の表面粗さが大きかったり、スクラッチが発生したりするなどの間題があり、逆に、ここに示した範囲よりも小さいと研磨速度が極端に小さくなってしまうので注意が必要である。
【0041】
第2の研磨用組成物中における酸化性研磨材の含有量は、酸化性研磨材の有する機械的作用と化学的作用のバランスによって最適に選択されるが、研磨用組成物に対し、一般に0.5〜15体積%、好ましくは1〜10体積%の範囲内、である。
【0042】
<飽和炭化水素または飽和脂肪酸>
本発明の第1の研磨用組成物および第2の研磨用組成物は、飽和炭化水素または飽和脂肪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種類の水不溶性化合物を含んでなる。本発明の研磨用組成物において、この水不溶性化合物は絶縁膜に対する研磨速度を抑制して、選択比を改良する効果を与えるものである。ここで、このような効果が得られる理由は、研磨材粒子同士の接触に起因する過度の機械的作用がこの化合物によって軽減され、被研磨面に対する応力が軽減されるためと考えられる。
【0043】
これらの飽和炭化水素または飽和脂肪酸は水に不溶性であれば任意のものを用いることができるが、一般に、炭素数が5〜2,000の直鎖構造、側鎖構造、および環状構造を有する飽和炭化水素、ならびに炭素数が12〜2,000の直鎖構造、側鎖構造、および環状構造を有する飽和脂肪酸、からなる群より選ばれる少なくとも1種類である。具体的には、(1)ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ヘキサデカン、およびその他の飽和炭化水素、例えば流動パラフィン、(2)ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、およびその他の飽和脂肪酸、からなる群より選ばれる少なくとも1種類、が挙げられる。
【0044】
これらの水不溶性化合物は、任意の方法で研磨用組成物中に添加、混合することができるが、一般に組成物中に分散するように配合することが必要である。具体的には、水溶性溶媒中に水不溶性化合物を分散させた懸濁液の状態で研磨用組成物中に添加、混合するか、研磨用組成物またはその媒体に直接水不溶性化合物を添加してから分散させる。
【0045】
水不溶性化合物の添加量は、研磨用組成物の全重量を基準にして、一般に0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、である。水不溶性化合物の添加量が、この範囲よりも少ないと、絶縁膜に対する研磨抑制効果が不十分となることがあり、この範囲よりも多いと水不溶性化合物が研磨用組成物中に均一に分散しないことがある。
【0046】
<水>
本発明の媒体は水である。水は、前記各成分が正確にその役割を果たせるよう、不純物を極力減らしたものであるのが好ましい。すなわち、イオン交換樹脂にて不純物イオンを除去し、フィルターを通し懸濁物を除去したもの、または、蒸留水が好ましい。
【0047】
<研磨用組成物>
本発明の研磨用組成物は、一般に上記の各成分、すなわち研磨材、酸化剤、および水不溶性化合物、または酸化性研磨材および水不溶性化合物、を水に混合し、溶解または分散させることにより調製する。ここで、混合、溶解または分散の方法は任意であり、例えば、翼式撹拌機による撹拌、または超音波分散を用いることができる。これらの方法により、可溶性成分は溶解し、不溶性成分は分散して、組成物は均一な分散液となる。
【0048】
ここで、成分のひとつである水不溶性化合物は、前記したように、あらかじめ溶媒に分散させた分散液の状態で添加することもできる。分散液は、水に水不溶性化合物、および必要に応じて乳化剤、を添加したものを、高速撹拌または超音波分散などの任意の方法で混合することにより調製される。
【0049】
なお、本発明の第2の研磨用組成物に、必要に応じて、研磨材、または酸化剤をさらに配合することもできる。このような研磨材、および酸化剤は、前記した本発明の第1の研磨材として挙げたものを任意に用いることができる。
【0050】
本発明の研磨用組成物は、更に、pHを調整するためにpH調整剤を添加し、その他の目的で各種界面活性剤、およびその他を適宜混合することができる。
【0051】
本発明において、pH調整剤は、研磨用組成物の安定性の向上、使用安全性の向上、または各種法規制への適合のために用いられる。本発明の研磨用組成物のpHを下げるために用いるpH調整剤としては、塩酸、硝酸、硫酸、およびその他が挙げられる。一方、pHを上げる目的のために用いるものとしては、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア、およびその他が挙げられる。本発明の研磨用組成物は、pHに関して特に制限されないが、一般にはpH1〜7に調整される。
【0052】
界面活性剤としては、分散剤、湿潤剤、増粘剤、消泡剤、起泡剤、撥水剤、およびその他が挙げられる。分散剤として用いられる界面活性剤は、一般的にはスルホン酸系、リン酸系、カルボン酸系、または非イオン系のものが挙げられる。なお、本発明の研磨用組成物は、水不溶性化合物を分散物の状態で含有するが、この分散物を安定化するために乳化剤を用いることが一般的である。この場合には、乳化剤の作用を阻害しないように界面活性剤の種類または添加量を選択すべきである。
【0053】
本発明の研磨用組成物の調製をするにあたり、各添加物の混合順序や混合方法等は特に限定されるものではない。
【0054】
本発明の研磨用組成物は、比較的高濃度の原液として調製して貯蔵または輸送などをし、実際の研磨加工時に希釈して使用することもできる。前述の好ましい濃度範囲は、実際の研磨加工時のものとして記述したものであり、このような使用方法をとる場合、貯蔵または輸送などをされる状態においてはより高濃度の溶液となることは言うまでもない。
【0055】
以下の例は、本発明の研磨組成物を具体的に説明するためのものである。なお、本発明はその要旨を越えない限り、以下に説明する諸例の構成に限定されるものではない。
【0056】
<研磨用組成物の内容および調製>
研磨材、酸化剤、および水不溶性化合物を表1に示す通りの材料および割合で混合して、実施例1〜13および比較例1〜4の研磨用組成物を調製した。なお、実施例7〜13に用いた流動パラフィンは、関東化学製の試薬グレードを使用した。
【0057】
表1
表2
【0058】
<研磨試験>
被研磨物としては、CVD法にてタングステン膜を約10,000オングストローム成膜した6インチシリコンウェーファー、および熱酸化法により二酸化ケイ素膜を約9,000オングストローム成膜した6インチシリコンウェーファーを使用し、それぞれの成膜面を研磨した。
【0059】
研磨は、片面研磨機(定盤径570mm)を用いて行った。研磨機の定盤にはポリウレタン製の積層研磨パッド(ロデール社(米国)製IC−1000/Suba400)を貼り付け、まずタングステン膜付ウェーファーを装填して2分間研磨し、次に二酸化ケイ素膜付ウェーファーに取り換えて同様に3分間研磨した。
【0060】
研磨条件は、加工圧力490g/cm2、定盤回転数40rpm、研磨用組成物供給量50cc/min、ウェーファー回転数40rpmとした。
【0061】
研磨後、ウェーファーを順次洗浄、乾燥した後、研磨によるウェーファーの膜厚減を49点測定することにより、各試験別に研磨速度を求めた。さらに、タングステン膜(W膜)の研磨速度を二酸化ケイ素膜(SiO2膜)のそれで除することにより選択比を求めた。得られた結果は表2に示す通りであった。
【0062】
【0063】
表2に示した結果から、本発明の第1の研磨用組成物(実施例1〜6)は、研磨材、または酸化剤のいずれかを含まない研磨用組成物(比較例1または2)に比べて、タングステン膜を研磨する速度が著しく大きく、水不溶性化合物を含まない研磨用組成物(比較例3)に比べて二酸化ケイ素膜を研磨する速度が著しく小さく抑えられていることがわかる。さらに、本発明の第1の研磨用組成物の選択比は、比較例1〜3のいずれよりも優れていることもわかる。
【0064】
また、本発明の第2の研磨材(実施例7〜13)は、水不溶性化合物を含まない研磨用組成物(比較例4)に比べて二酸化ケイ素膜を研磨する速度が小さく抑えられており、その選択比が著しく改良されていることもわかる。
【0065】
なお、表2には掲載しなかったが、これらの研磨加工面を目視にて評価したところ、いずれの例においても表面欠陥は見出されなかった。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、金属膜に対する研磨速度が大きく、一方、絶縁膜に対する研磨速度が小さく、高い選択比を有する研磨用組成物が提供されることは[発明の概要]の項に前記したとおりである。
Claims (9)
- 下記の成分を含んでなることを特徴とする研磨用組成物。
(A1)二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、窒化ケイ素、炭化ケイ素、および二酸化マンガンからなる群より選ばれる少なくとも1種類の研磨材、
(A2)鉄(III)塩、
(B)炭素数が12〜2,000の直鎖構造、側鎖構造、または環状構造を有する飽和脂肪酸からなる水不溶性化合物、
および(C)水。 - 鉄(III)塩が、硝酸鉄(III)、硫酸鉄(III)、塩化鉄(III)、クエン酸鉄(III)、シュウ酸鉄(III)、フマル酸鉄(III)、乳酸鉄(III)、過塩素酸鉄(III)、ヘキサシアノ鉄(III)酸アンモニウム、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム、硫酸鉄(III)アンモニウム、および硫酸鉄(III)カリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類である、請求項1に記載の研磨用組成物。
- 二酸化ケイ素が、フュームドシリカ、およびコロイダルシリカの少なくとも1種類である、請求項1または2に記載の研磨用組成物。
- 酸化アルミニウムが、フュームドアルミナ、およびコロイダルアルミナの少なくとも1種類である、請求項1または2に記載の研磨用組成物。
- 水不溶性化合物が、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、およびベヘニン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種類である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
- 水不溶性化合物の含有量が、研磨用組成物の全重量を基準として0.05〜10重量%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
- 下記の成分を含んでなることを特徴とする研磨用組成物。
(A)酸化マンガン、
(B)炭素数が5〜2,000の直鎖構造、側鎖構造、および環状構造を有する飽和炭化水素からなる水不溶性化合物、
および(C)水。 - 水不溶性化合物が、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、およびヘキサデカンからなる群より選ばれる少なくとも1種類である、請求項7に記載の研磨用組成物。
- 水不溶性化合物の含有量が、研磨用組成物の全重量を基準として0.05〜10重量%である、請求項7または8に記載の研磨用組成物。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP34210898A JP4159679B2 (ja) | 1998-12-01 | 1998-12-01 | 研磨用組成物 |
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