JP4159625B2 - エンドレスベルト状電子写真感光体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はエンドレスベルト状電子写真感光体に関し、詳しくは、特に耐久性にすぐれ、良質画像を長期にわたって得ることのできるエンドレスベルト状電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真法を用いた複写機、プリンターの小型化、軽量化に伴い、感光体を柔軟性のあるベルト状として用いる方法が注目されている。感光体をエンドレスベルト状とすることにより、従来、極めて大きな口径の金属ドラムを必要とした高速の複写機、プリンターや、複数の現像プロセスを必要とするカラー複写機、プリンターの小型、軽量化が可能となる。
また、ベルト状形態はドラム状形態に比較して、感光体ベルトおよびその周囲の印写プロセスは位置自由度が高く、各印写プロセスを効率よく配置する上で、有効である。
【0003】
感光体をベルト状で用いる場合、これをエンドレスの形態で使用する方法が機構上、簡略化が可能で有利である。このようなエンドレスベルト状感光体を実現するためにはシート状の感光体を裁断して、端面を接合する方法が知られている。
また継目の無いシームレス状のものを実現するために電鋳ニッケルを用いた導電性基材などが提案されているが、基材が金属であることから可撓性に乏しく、またコスト高などの問題があり、樹脂性ベルト基材を用いた感光体が望まれている。従来、キャスティング方式やインフレーション方式等により、樹脂性のシームレスベルト基材を作成する方法が提案されているが、樹脂性ベルト基材は感光層との接着性、寸法安定性、あるいは強度等の問題があり、実用化に至っていないのが実状である。
【0004】
従って現状においては、シート感光体の端面を接合したエンドレスベルト状感光体が用いられる場合が多い。この感光体は、PETなどのフィルム上にアルミ蒸着で導電層を形成し、その上に感光層を塗布した長尺シートを作成し、適当な長さに切断して、両端を超音波融着などの方法で接続して作成される。
この場合、(i)Al蒸着面を残して感光層を形成するか、(ii)Al蒸着部の感光層外のところに別の導電層を形成するか、(iii)一部の感光層上に導電層を形成する必要がある。前記(i)にあっては、Al蒸着面に導電性ブラシ等を常に接触させて使用すると、Al蒸着層が厚さ1000Å程度の薄層であるため、その耐久性に問題が生じる。このため、一般には、前記(ii)(iii)のエンドレスベルト状感光体が用いられ、その接地方法は一方又は二方の周緑部又はその近傍に、図1〜図5に示したごとく、接地のための導電層を形成させる方法が利用されている。図2は図1(II)−(II)線断面図、図4は図3(IV)−(IV)線断面図である。なお図中、1は支持体、2はAl蒸着層、3は電荷発生層、4は電荷輸送層、5は導電層を示している。図1、図2の例はAl蒸着層2上で感光層(電荷発生層3、電荷輸送層4)の側端部に接するように接地のための導電層5を形成したものである。図3、図4の例はAl蒸着層2を露出させているものである。図5は電荷発生層3上に導電層5を形成したものである。
【0005】
接地のための導電層としては従来、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン等を結着樹脂として用い、導電性の抵抗制御剤を分散させたものが用いられてきた。
しかしながら、これら接地のための導電層では、近年急速に高まった耐刷性50000枚以上の高耐久性エンドレスベルト状感光体の要求に対しては、経時劣化による強度低下等の問題から導電層の剥離、脱落が発生し、十分な技術は未だ確立されていない。
【0006】
一方、エンドレスベルト状感光体の場合、その製造過程において接合部での強度が問題となる。特に、感光体上のトナーを弾性ブレードで掻き落とすブレードクリーニング方式を印写プロセスで利用する場合、接合部での亀裂や亀裂からの感光層剥離やベルトの破断などが発生する。この為、特開平1−288860号公報では、超音波融着で接合するとともに、接合後の形状として接合部からのはみ出し量を1.2mm以下とし、接合部の段差を100μm以下に規定することが提案され、特開昭61−185753号公報では、継ぎ目部(接合部)に固体潤滑材を含有する保護皮膜を形成する方法、特開昭62−99779号公報では、接合に先だってベルト両端部における感光層と支持体との間に接着処理を施す方法、特開平5−40355号公報では、合成樹脂製支持体表面にコロナ放電処理を施す方法、特開平8−30001号公報では、接合後の形状を補正する後処理を施す方法等が開示されている。
【0007】
これらの提案はいずれもエンドレスベルト状感光体の接合部分の強度を高め耐刷性を向上させる効果が認められるが、近年急速に高まった耐刷性50000枚以上の更なる高耐久エンドレスベルト状感光体の要求に対しては接合部からの感光層剥離が発生するため十分な技術とはいえず、更に生産性を考慮した場合、その実現は難しいとされていた。
【0008】
しかし近年、有機系感光体の技術進歩はめざましく、ドラム状感光体の例からも明らかな様に材料技術、処方技術的には、20万枚以上の耐刷性が達成されているが、エンドレスベルト状感光体に於いては接合部からの感光層剥離が発生する為、2〜3万枚の耐刷性に止まっているのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、エンドレスベルト状感光体の周緑部又はその近傍に設けられた接地のための導電層の経時及び使用による劣化による強度低下を防止し、接地のための導電層の剥離・脱落等の問題が長期にわたって生じることがなく、しかも信頼性の高いエンドレスベルト状導電性感光体を提供するものである。本発明の他の目的は、ベルト接合部における感光層と導電性支持体との接着力を向上させ、その接合部での感光層の剥離を防止した高耐久なエンドレスベルト状感光体を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために種々検討した結果、▲1▼エンドレスベルト状感光体の周緑部又はその近傍に設けられる接地のための導電層の結着樹脂として特定の樹脂を用いることによって十分な機械的強度が付与され、かつ、その経時安定性にすぐれることを見出し、また▲2▼エンドレスベルト状感光体の接合部に保護層を形成した場合、あるいはアンダー層及び保護層を形成した場合、これら層下部の感光層と導電性支持体との接着力がアンダー層の形成材料によって変えられ強まることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいてなされたものである。
【0013】
すなわち本発明によれば、第一に、シート状導電体上に感光層を形成し、その両端を重ね合わせて融着により接合したエンドレスベルト状電子写真感光体において、表面側の接合部のみに保護層を形成し、該保護層は、下記一般式(I)で表わされる繰り返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂、下記一般式(II)で表わされる繰り返し構造単位を有するポリアリレート又はビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂を含有し、該シート状導電体は、アルミニウムを蒸着したポリエチレンテレフタレートであり、該感光層は、ポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とするエンドレスベルト状電子写真感光体が提供される。
【化1】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基、ハロゲン原子又は置換基を有していてもよい芳香族基を表わす。R9およびR10はそれぞれ独立して水素原子、低級アルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基を表わし、R5およびR6は連結して環を形成してもよく、連結する炭素原子とともにカルボニル基を形成してもよい。)
【化2】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R11、R12、R13及びR14はそれぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基、ハロゲン原子又は置換基を有していてもよい芳香族基を表わす。R9及びR10はそれぞれ独立して水素原子、低級アルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基を表わし、R5およびR6は連結して環を形成してもよく、連結する炭素原子とともにカルボニル基を形成してもよい。)
【0015】
第二に、シート状導電体上に感光層を形成し、その両端を重ね合わせて融着により接合したエンドレスベルト状電子写真感光体において、表面側の接合部のみにアンダー層及び保護層を順次形成し、該アンダー層は、前記一般式(I)で表わされる繰り返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂、前記一般式(II)で表わされる繰り返し構造単位を有するポリアリレート又はビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂を含有し、該シート状導電体は、アルミニウムを蒸着したポリエチレンテレフタレートであり、該感光層は、ポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とするエンドレスベルト状電子写真感光体が提供される。
【0017】
第三に、前記第二に記載のエンドレスベルト状電子写真感光体において、前記保護層は、前記一般式(I)で表わされる繰り返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂、前記一般式(II)で表わされる繰り返し構造単位を有するポリアリレート又はビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂を含有することを特徴とするエンドレスベルト状電子写真感光体が提供される。
【0019】
第四に、前記第二又は第三に記載のエンドレスベルト状電子写真感光体において、前記アンダー層は、前記保護層によって覆われていることを特徴とするエンドレスベルト状電子写真感光体が提供される。
【0020】
第五に、前記第一〜第四のいずれかに記載のエンドレスベルト状電子写真感光体において、前記保護層は、抵抗制御剤を含有することを特徴とするエンドレスベルト状電子写真感光体が提供される。
【0021】
第六に、前記第五に記載のエンドレスベルト状電子写真感光体において、前記抵抗制御剤は、カーボンブラック及び/又はグラファイトであることを特徴とするエンドレスベルト状電子写真感光体が提供される。
【0022】
第七に、前記第一〜第六のいずれかに記載のエンドレスベルト状電子写真感光体において、前記保護層の厚さは、3〜10μmであることを特徴とするエンドレスベルト状電子写真感光体が提供される。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明に係わるエンドレスベルト状電子写真感光体の接地のための導電層は、前述の或いは後述する結着樹脂を適当な有機溶媒に溶解させ、これに低抵抗の抵抗制御剤を添加し、必要に応じて分散し、感光層の少なくとも一方の周緑部へ形成したものである。
【0027】
接地のための導電層の抵抗は102Ω・cm以下が好ましく、その厚み及び塗布幅は任意に設定出来、特に限定されない。
この接地のための導電層を形成するには、前述のようにして得た形成液を感光層塗布時の直前、あるいは直後にノズル、ハケ等の方法で感光層の側方に位置するように導電性支持体上に塗布し感光層とともに加熱乾燥を施すか、感光層が電荷発生層と電荷輸送層との積層からなる場合には、電荷発生層は極薄膜であるため、図5に示したように、電荷発生層上に設けることもできる。
【0028】
接地のための導電層形成に用いられる結着樹脂としては、特定のポリカーボネート樹脂、特定のポリアリレート、特定のエポキシ樹脂、特定のポリエステル樹脂、及びこれら樹脂の二種以上の混合物が用いられる。
【0029】
特定のポリカーボネート樹脂は前記一般式(I)で表わされる繰り返し単位を有するものである。ここで前記一般式(I)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基等の低級アルキル基、塩素、臭素等のハロゲン原子、フェニル基、ナフチル基、トリル基等の置換基を有していてもよい芳香族基を表す。これらのうち、水素原子、メチル基、塩素原子及びフェニル基のいずれかとすることが好ましい。R9及びR10は、それぞれ独立して、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基等の低級アルキル基;フェニル基、ナフチル基、トリル基等の置換基を有していてもよい芳香族基を表し、またR9及びR10は、連結してシクロヘキサン等の環を形成してもよく、連結する炭素原子とともにカルボニル基を形成してもよい。これらのうち、水素原子、メチル基、フェニル基及び連結してシクロヘキサン環を形成する場合が好ましい。
【0030】
前記一般式(I)で表わされる繰り返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂の具体例を表1に示す。なお、具体例(P−13)ないし(P−23)は2種類の繰り返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂であり、その2種類の繰り返し構造単位のモル比率がp:qであることを示している。また、具体例(P−24)及び(P−25)は3種類の繰り返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂であり、その3種類の繰り返し構造単位のモル比率がp:q:rであることを示している。
【0031】
【表1−(1)】
【0032】
【表1−(2)】
【0033】
【表1−(3)】
【0034】
【表1−(4)】
【0035】
【表1−(5)】
【0036】
特定のポリアリレートは、前記一般式(II)で表わされる繰り返し構造単位を有するものである。ここで前記一般式(II)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R11、R12、R13及びR14はそれぞれ独立して、水素原子;メチル基、エチル基、イソプロピル基等の低級アルキル基;塩素、臭素等のハロゲン原子;フェニル基、ナフチル基、トリル基等の置換基を有していてもよい芳香族基を表す。これらのうち、水素原子、メチル基、塩素原子及びフェニル基のいずれかとすることが好ましい。R9及びR10は、それぞれ独立して、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基等の低級アルキル基;フェニル基、ナフチル基、トリル基等の置換基を有していてもよい芳香族基を表し、またR13及びR14は、連結してシクロヘキサン等の環を形成してもよく、連結する炭素原子とともにカルボニル基を形成してもよい。これらのうち、水素原子、メチル基、フェニル基及び連結してシクロヘキサン環を形成する場合が好ましい。
【0037】
前記一般式(II)で表わされる繰り返し構造単位を有するポリアリレート樹脂の具体例を以下に示す。
【0038】
【表2−(1)】
【0039】
【表2−(2)】
【0040】
本発明に係るエポキシ樹脂としては、一分子中に2個以上のオキシラン環を含む化合物であるもののうち、ビスフェノールAのエピクロロヒドリンによるグリシジル化合物、或いはその類似物が利用できる。その具体例を以下に示す。
【0041】
【表3−(1)】
【0042】
【表3−(2)】
【0043】
【表3−(3)】
【0044】
接地のための導電層にエポキシ樹脂を用いる場合、通常知られる様に硬化剤、架橋剤を組み合せて用い、三次元架橋構造を採らせることも可能で、この場合、更に機械強度に優れた接地のための導電層が得られる。
【0048】
接地のための導電層には抵抗制御剤が配合されるのが望ましい。この抵抗制御剤には、銅、スズ、アルミニウム、インジウム等の金属、あるいは酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化スズ、スズをドープした酸化インジウム等の金属酸化物微粉末をもちいることができる。
【0049】
接地のための導電層は接合部の非画像領域に形成される為、透光性は特に必要なく、カーボンブラック、グラファイト等の黒色抵抗制御剤も利用でき、この場合には、コストが安く使用メリットが高い。
【0050】
続いて、シート状導電体上に感光層を形成し接合したエンドレスベルト状感光体の接合部について説明する。図6はその接合部の断面を表わしたもので、12は導電性支持体、34は感光層、6は接合部に設けられたアンダー層、7は接合部に設けられた保護層である。なお、必要に応じて、アンダー層6を省略できることは既述のとおりである。
前述した様に、本発明はアンダー層6又は保護層7の形成材料によってアンダー層6又は保護層7下の感光層34と導電性支持体12との接着強度(例えば図6中のX部分)を任意に変更出来るとの知見を得て見出されたものである。ここで保護層7にも配慮しているのはアンダー層を有しないエンドレスベルト状感光体を配慮しているためである(以下同じ)。
【0051】
接合部におけるアンダー層6の形成材料によって、下層の層間接着力が変わるメカニズムは明確ではないが、アンダー層6の形成時の塗布溶媒又は接合部におけるアンダー層の形成材料の下層への拡散効果により、下層層間の濡れ性がミクロな領域で変化する為、下層同士(図6では導電性支持体12と感光層34)の平均分子間距離が変化し、層間に働く分子間力が異なると本発明者らは考えている。このことは、アンダー層を設けることなく、感光層34上に保護層7を形成した感光体においても同様な関係がそのまま適応されると考えられる。
【0052】
感光層中の結着樹脂の構造と接合部におけるアンダー層の結着樹脂の構造、或は感光層中の結着樹脂のSP値と接合部におけるアンダー層形成溶媒のSP値は夫々近似している方が、本発明の効果は大きい。
【0053】
本発明に係わる接合部おけるアンダー層の結着樹脂としては、前述のポリカーボネート、ポリアクリレート、エポキシ樹脂、又はこれらの任意の二種以上の組み合せがそのまま使用できる。
接合部におけるアンダー層樹脂にエポキシ樹脂を用いる場合、通常知られている様に、硬化剤、架橋剤を組み合せて用い、三次元架橋構造を採ることも可能であるが、本発明に於いてはどちらでもかまわない。
【0054】
この接合部をもつエンドレスベルト状感光体を形成するには、Al等を蒸着したPETシート(導電性支持体)上に感光層を形成して長尺の感光シートを得、次いで、このシートを適当な長さに切断し、切断したシートの両端を超音波融着等の方法で接合してエンドレスベルト状感光体を形成し、その一方で、前記のポリアリレート、ポリカーボネート及び/又はエポキシ樹脂を適当な溶剤に溶解し、この樹脂溶液をエンドレスベルト状感光体の接合部の上に、ノズル又はハケ塗り等の方法で塗布して接合部におけるアンダー層を形成し、最後に、このアンダー層上に保護層を形成すれば良い。
【0055】
接合部におけるアンダー層6、接合部における保護層7の膜厚はそれぞれ3〜10μmの範囲が好ましい。しかし、アンダー層6と保護層7との積層時の膜厚の和は、強度バランスの点から15μm以下が好ましい。
塗布幅は、アンダー層6が10mm以下で接合部を被覆させ、保護層7が20mm以下でアンダー層6を完全に被覆していることが好ましい。
【0056】
なお、接合部にアンダー層を塗工することの意義は、エンドレスベルト状感光体の接合部の段差低減と接合部の感光層−導電性支持体間の接着強度付与である。また、接合部の低抵抗化を図る場合でも、接合部の保護層にのみ抵抗制御剤を加えればよく、保護層単独で接合部を覆う場合よりもアンダー層があれば抵抗制御剤の量が少なくてもよいことになる。
【0057】
保護層7には上記結着樹脂の他、導電性の抵抗制御剤を含有させることが出来る。この場合、保護層の抵抗が低下し、実使用時に保護層上へのトナー付着を防止し、余計なトナー消費を防げる。また、抵抗制御剤は一般に保護層結着樹脂より高硬度なので、実使用時の保護層自身の削れが低減出来るメリットもある。
【0058】
接合部における保護層の抵抗制御剤としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウム等の金属、あるいは酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化スズ、スズをドープした酸化インジウム等の金属酸化物微粉末をもちいることができる。
【0059】
本発明における接合部における保護層は、本来の感光層画像域の保護層と異なり、接合部の非画像領域に形成される為、透光性は特に必要なく、カーボンブラック、グラファイト等の黒色抵抗制御剤も利用出来、この場合、コストが安く使用メリットが高い。
接合部における保護層結着樹脂に対するカーボンブラック、グラファイトの添加量は、結着樹脂の30〜100wt%が適当で、形成される膜の表面抵抗は102Ω・cm以下が好適である。
【0060】
保護層には、前述のポリカーボネート、ポリアクリレート、エポキシ樹脂などの使用が好ましい。また、繰り返し述べたように、アンダー層の形成の有無は何れでもよく、アンダー層を存在させない場合には、製造工程の簡略化が図れる。
【0061】
本発明に於いては、接地のための導電層、接合部のアンダー層及び/又は保護層以外には公知の技術が利用出来る。すなわち、感光層は単層構成であっても、電荷発生層と電荷輸送層との積層構成であるのが好ましい。
【0062】
電荷発生層は、電荷発生物質又は電荷発生物質と結着樹脂から構成され、膜厚は0.05〜3μmの範囲が好ましい。
【0063】
電荷発生物質としては、例えばシーアイピグメントブルー25(カラーインデックスCI 21180)、シーアイピグメントレッド41(CI 21200)、シーアイシッドレッド52(CI 45100)、シーアイベーシックレッド3(CI 45210)、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−95033号公報に記載)、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−133445号公報に記載)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−132347号公報に記載)、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−21728号公報に記載)、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−12742号公報に記載)、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−22834号公報に記載)、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17733号公報に記載)、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−2129号公報に記載)、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−14967号公報に記載)などのアゾ顔料;例えばシーアイピグメントブルー16(CI 74100)などのフタロシアニン系顔料;例えばシーアイバットブラウン(CI 73410)、シーアイバットダイ(CI 73030)などのインジゴ系顔料;アルゴールスカーレット5(バイエル社製)、インダスレンスカーレットR(バイエル社製)などのペリレン系顔料、スクエリック染料、六方晶Se粉末などが挙げられる。
【0064】
これらの電荷発生物質をテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロルエタンなどの溶媒と共に、ボールミル、アトライター、サンドミルなどの方法で粉砕、分散する。この時、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどの樹脂を結着剤として加えてもよい。このように調製された電荷発生層形成液をビードコート法、ノズルコート法、ブレードコート法、スプレー法等の方法で塗布、乾燥して電荷発生層を形成する。なお、電荷発生層中の電荷発生物質と結着樹脂との割合は、結着樹脂が電荷発生物質の40重量%以下とすることが好ましい。
【0065】
電荷輸送物質としては、主鎖又は側鎖にアントラセン、ピレン、フェナントレン、コロネンなどの多環芳香族化合物又はインドール、カルバゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、ピラゾリン、チアジアゾール、トリアゾールなどの含窒素環式化合物を有する化合物、トリフェニルアミン化合物、ヒドラゾン化合物(特開昭55−46760号公報)、α−フェニルスチルベン化合物(特開昭58−198043号公報)などが使用される。これら電荷輸送物質をポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性又は熱硬化性樹脂と共に、テトラヒドロフラン、シクロルヘキサノン、ジオキサン、ジクロルエタンなどの溶剤に溶解して電荷輸送層形成液を調製し、この液をビードコート法、ノズルコート法、スプレー法などの方法で塗布し、乾燥して電荷輸送層を形成する。
【0066】
これまでは感光層が電荷発生層と電荷輸送層との積層タイプとしたもので説明してきたが、感光層はもちろん単層のものであってもよい。
導電性支持体としては、可撓性の導電体あるいは導電処理をした可撓性絶縁体が用いられる。例えばAl、Ni、Fe、Cu、Auなどの金属あるいは合金などの他、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ガラス等の絶縁性基体上にAl、Ag、Au等の金属あるいはIn2O3、SnO2等の導電材料の薄膜を形成したものなどがあげられる。
【0067】
また、必要に応じて導電性支持体とそれに隣接する電荷輸送層又は電荷発生層の間に下引き層を設けることもできる。その場合、電荷発生層の結着樹脂として挙げた樹脂の中から選ばれた材料を用いることができ、更に酸化チタン等の白色顔料やスルホン酸又はスルホン酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等のアニオン系導電性ポリマーを添加することもできる。この時下引き層の上に積層される層の形成液に使用される溶剤に溶解しない材料を選択することが好ましい。
【0068】
【実施例】
次に、実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明する。ここでの「部」は重量基準である。
【0069】
参考例1
厚さ75μm、巾500mm、長さ200mのポリエチレンテレフタレートにAlを厚さ1000Åに真空蒸着して導電性支持体を得、この上に下記電荷発生層形成液をロールコート法により塗布し、加熱乾燥を施して0.2μm厚の電荷発生層を設けた。次に、この上に下記電荷輸送層形成液と接地のための導電層形成液を夫々別のノズルコートにて塗布し、塗布時の配置が図5に示したように、電荷発生層3上で電荷輸送層4の両端に接地のための導電層5が形成されたシート状感光体を得た。電荷輸送層の膜厚は20μm、接地のための導電層の膜厚は20μmとした。このシート状感光体を400mm×300mmの大きさに切断し、長さ300mmの2辺を超音波融着法により接合して、図1に示した形状のエンドレスベルト状感光体を得た。また、導電層形成液を用いて強度評価用フィルムを得た。
【0070】
(電荷発生層形成液)
【化5】
ポリビニルブチラール 5部
テトラヒドロフラン 400部
エチルセルソルブ 580部
【0071】
(電荷輸送層形成液)
【化6】
前記(P−1)のポリカーボネート 10部
テトラヒドロフラン 80部
シリコンオイル 0.0001部
【0072】
(接地のための導電層形成液)
前記(P−8)のポリカーボネート 10部
カーボンブラック 3部
グラファイト 5部
テトラヒドロフラン 80部
【0073】
参考例2〜8及び比較例1〜4
導電性支持体形成液の結着樹脂をP−8構造のポリカーボネートから表6の様にそれぞれ変えた以外は参考例1と同様にして、エンドレスベルト状感光体と強度評価用導電層フィルムを作製した。
【0074】
以上の様にして得られたエンドレスベルト状感光体と強度評価用導電層フィルムを、まずO3 50ppmに2週間保存し、次いで、60℃、90%RHの条件下に2週間保存させ、接地のための導電層の強制劣化を図った。保存を終えたエンドレスベルト感光体と強度評価用導電層フィルムの品質評価として、耐刷性、強制劣化率を調べた。耐刷性はエンドレスベルト状感光体を張架させ、クリーニングブラシ、クリーニングブレードを接地のための導電層に当接し、10μm研磨材を備えた強制ベルト駆動試験器を用い、60rpmで連続運転し、合計50000回転摺擦し、接地のための導電層の外観を評価した。
強制劣化率は(初期機械強度−保存後機械強度)/初期機械強度として評価した。機械強度は引張破断強度と引張破断伸度とした。
【0075】
評価結果を表6に示す。表6より、本発明によって得られた参考例1〜8のエンドレスベルト感光体及びその接地のための導電層は耐O3性、耐熱性、耐水性、耐屈曲疲労性に著しく強く、その為強度の経時劣化が抑制されており、優れた耐刷性を示す信頼性の非常に高いものであることが判る。また、接地のための導電層の基本機能である抵抗値も保存後でもそれぞれ102Ω・cm以下を示し、特に問題は見当らなかった。
【0076】
【表6】
【0077】
実施例9
参考例1の導電性支持体、電荷発生層形成液、電荷輸送層形成液を用いて、導電性支持体上に0.2μm厚の電荷発生層、さらに20μm厚の電荷輸送層を積層し、シート状感光層を作成した。このシート状感光体を400mm×300mmの大きさに切断し、300mm幅の方の二辺を超音波融着法により接合してエンドレスベルト化した感光体を得た。続いて、構造式(P−8)のポリカーボネート11部、テトラヒドロフラン85部からなるアンダー層形成液をエンドレスベルト感光体の接合部上にノズルコート法により塗布して乾燥を施し、接合部をアンダー層によって覆った。この時のアンダー層の膜厚は8μmであった。最後に、ポリエステル9部、カーボンブラック2部、グラファイト4部、テトラヒドロフラン85部からなる分散液をアンダー層上にノズルコート法により塗布し、乾燥を施してアンダー層が保護層によって覆われたエンドレスベルト感光体を得た。また、接着強度を評価する為、感光層画像領域部分にアンダー層、保護層を同様に順次塗布した別のサンプルも得た。なお、保護層の膜厚は3μmとし、保護層の塗布幅をアンダー層幅よりも大きくして、アンダー層を保護層で完全に覆うようにした。
【0078】
実施例10
アンダー層形成液のポリカーボネートを(P−8)構造のものから(P−1)構造のものへ変えた他は、実施例9と全く同様にしてエンドレスベルト感光体と接着強度評価用サンプルを得た。
【0079】
実施例11
アンダー層形成液のポリカーボネートを(P−8)構造のものから(A−1)構造のポリアリレートへ変えた他は、実施例9と全く同様にしてエンドレスベルト感光体と接着強度評価用サンプルを得た。
【0080】
実施例12
アンダー層形成液のポリカーボネートを(P−8)構造のものから(A−4)構造のポリアリレートへ変えた他は、実施例9と全く同様にしてエンドレスベルト感光体と接着強度評価用サンプルを得た。
【0081】
実施例13
アンダー層形成液のポリカーボネートを(P−8)構造のものから(E−2)構造のエポキシ樹脂に変えた他は、実施例9と全く同様にしてエンドレスベルト感光体と接着強度評価用サンプルを得た。
【0082】
実施例14
アンダー層形成液のポリカーボネートを(P−8)構造のものから(E−9)構造のエポキシ樹脂に変えた他は、実施例9と全く同様にしてエンドレスベルト感光体と接着強度評価用サンプルを得た。
【0083】
実施例15
保護層形成用分散液のポリエステルを(P−8)構造のポリカーボネートに変えた他は、実施例9と全く同様にしてエンドレスベルト感光体と接着強度評価用サンプルを得た。
【0084】
実施例16
保護層形成用分散液のポリエステルを(A−1)構造のポリアリレートに変えた他は、実施例9と全く同様にしてエンドレスベルト感光体と接着強度評価用サンプルを得た。
【0085】
実施例17
アンダー層形成液のポリカーボネート(P−8)構造を(A−1)構造のポリアリレートに変え、保護層形成用分散液のポリエステルを(E−1)構造のエポキシ樹脂に変えた他は、実施例9と全く同様にしてエンドレスベルト感光体と接着強度評価用サンプルを得た。
【0086】
実施例18
アンダー層形成液のポリカーボネート(P−8)構造を(E−1)構造のポリアリレートに変え、保護層形成用分散液のポリエステルを(E−2)構造のエポキシ樹脂に変えた以外は、実施例9と全く同様にしてエンドレスベルト感光体と接着強度評価用サンプルを得た。
【0087】
実施例19
アンダー層形成液のポリカーボネート(P−8)構造を(A−2)構造のポリアリレートに変え、保護層形成用分散液はポリエステルを(P−1)構造のポリカーボネートに変え、更に、保護層塗布時のノズル幅を狭くして、図7形態の接合部とした他は全く同様にしてエンドレスベルト感光体と接着強度評価用サンプルを得た。
【0088】
実施例20
アンダー層形成液のポリカーボネート(P−8)構造を(A−2)構造のポリアリレートに変え、保護層形成用分散液のカーボンブラック及びグラファイトを添加しないものとし、更に保護層塗布時のノズル幅を狭くして、図7形態の接合部とした他は実施例9と全く同様にしてエンドレスベルト感光体と接着強度評価用サンプルを得た。
【0089】
比較例5
アンダー層形成液のポリカーボネート(P−8)構造のものから一液型ポリウレタン(固形分濃度75wt%、酢酸エチル溶液)に変えた他は、実施例9と全く同様にしてエンドレスベルト感光体と接着強度評価用サンプルを得た。
【0090】
比較例6
アンダー層形成液のポリカーボネート(P−8)構造のものからアルキッド樹脂に変えた他は、実施例9と全く同様にしてエンドレスベルト感光体と接着強度評価用サンプルを得た。
【0091】
実施例21
実施例9の作製手順で、アンダー層の厚み、保護層の厚みの異なるエンドレスベルト感光体を作製した。アンダー層の厚みは1、4、7、13、16、19μmの6水準、保護層の厚みは1、4、7、13μmの4水準とし、全組み合せ、即ちアンダーコート層及び/又は保護層厚みの異なるエンドレスベルト感光体を24個作製した。
【0092】
実施例22
約75μm厚のポリエチレンテレクタレートにアルミニウムを真空蒸着して導電性支持体をつくり、この上に
【化7】
からなる分散液をロールコート法により塗布し、乾燥して約0.2μm厚の電荷発生層を設けた。更にこの上に、下記構造
【化8】
のスチルベン誘導体10部、構造式(P−1)のポリカーボネート樹脂10部およびテトラヒドロフラン80部からなる形成液にその全重量の10万分の1の割合でシリコンオイルを加えたものをノズルコート法により塗布し、乾燥して約20μm厚の電荷輸送層を積層しシート状感光体を作製した。
このシート状感光体を400mm×300mmの大きさに切断し、300mm幅の方の二辺を音波融着法により接合してエンドレスベルト化した感光体を得た。
次に構造式(P−8)のポリカーボネート9部カーボンブラック2部グラファイト4部テトラヒドロフラン85部からなる分散液をエンドレスベルト感光体の接合部分上にノズルコート法により塗布し、乾燥を施し、接合部が保護層によって隠常されたエンドレスベルト状感光体を得た。また、接着強度を評価する為、感光層画像領域部分に保護層を同時に塗布した別のサンプルも得た。
なお、保護層の膜厚は7μmとした。
【0093】
実施例23
保護層形成用分散液のポリカーボネートを(P−8)構造のものから(P−1)構造のものへ変えた他は実施例22と全く同様にして、エンドレスベルト状感光体を接着強度評価用サンプルを得た。
【0094】
実施例24
保護層形成用分散液のポリカーボネートを(P−8)構造のものから(A−1)構造のポリアリレートへ変えた他は実施例22と全く同様にして、エンドレスベルト状感光体を接着強度評価用サンプルを得た。
【0095】
実施例25
保護層形成用分散液のポリカーボネートを(P−8)構造のものから(A−2)構造のポリアリレートへ変えた他は実施例22と全く同様にして、エンドレスベルト状感光体を接着強度評価用サンプルを得た。
【0096】
実施例26
保護層形成用分散液のポリカーボネートを(P−8)構造のものから(E−1)構造のエポキシ樹脂へ変えた他は実施例22と全く同様にして、エンドレスベルト状感光体を接着強度評価用サンプルを得た。
【0097】
実施例27
保護層の膜厚を1μmとして以外は実施例26と全く同様にして、エンドレスベルト状感光体と接着強度評価用サンプルを得た。
【0098】
実施例28
保護層の膜厚を4μmとして以外は実施例26と全く同様にして、エンドレスベルト状感光体と接着強度評価用サンプルを得た。
【0099】
実施例29
保護層の膜厚を13μmとして以外は実施例26と全く同様にして、エンドレスベルト状感光体と接着強度評価用サンプルを得た。
【0100】
実施例30
保護層の膜厚をカーボン及びグラファイトを加えなかった他は実施例22全く同様にして、エンドレスベルト状感光体と接着強度評価用サンプルを得た。
【0101】
以上のようにして得られた実施例9〜30、比較例5及び6のエンドレスベルト感光体と接着強度評価用サンプルに対して、耐刷性評価と接着強度評価を行なった。評価法を以下に記す。
【0102】
接着強度は、感光層画像領域内に接合部のためのアンダーコート層、接合部のための保護層を積層した接着強度評価用サンプルを2.5cm×20cmの短冊状に切断し、万能張り試験機を用い、導電性支持体と感光層を180°方向に引張ってその剥離強度を測定した。図8は引っ張り評価時のサンプルの断面図である。図8において、領域Aは保護層7が塗布されていない領域、領域Bは保護層7のみが塗布されている領域、領域Cはアンダー層6/保護層7が積層された領域を表す。領域Aでの感光層の剥離強度を保護層非塗布領域の感光層/支持体間接着強度、領域Bでの感光層剥離強度を保護層塗布領域の感光層/支持体間接着強度、領域Cの感光層剥離強度をアンダー層/保護層塗布域の感光層/支持体間接着強度として評価した。領域B、Cでの接着強度は図6中の×印部の接着強度に対応し、よく一致する。図9は実施例22〜30に対応しており、アンダー層がないため領域Cは存在しない。
【0103】
耐刷性は、エンドレスベルト感光体をクリーニングブレードを有する電子写真装置に組み込み、50000枚の繰り返し試験を実施し、試験後の接合部(保護層塗布部)付近の外観形状を評価した。
評価結果を表7及び表8に示す。
【0104】
【表7】
【0105】
【表8】
【0106】
表7より、本実施例で用いた感光体処方の支持体/感光層間の接着強度は40〜50g/cm程度である。これに対し接合部の感光層上にアンダー層、保護層を積層することにより、感光層/支持体間の接着強度は変わり、感光層上に塗布する構成材料によって調節可能であることが判る。
【0107】
実施例9〜14のものでは本発明に従い、アンダー層にポリカーボネート及び/又はポリアリレート及び/又はエポキシ樹脂を用いた為、アンダー層下の感光層/支持体間接着強度が著しく向上し、その結果、接合部端部からの感光層の剥離が低減出来、耐刷性が飛躍的に向上していることが判る。
【0108】
実施例15〜18のものでは本発明に従い、アンダー層及び保護層にポリカーボネート、ポリアリレート及び/又はエポキシ樹脂を用いた為、アンダー層下及び保護層下の感光層/支持体間の接着強度を向上でき、その結果、従来、ときに発生するアンダー層端部からの感光層の剥離(図10)が抑止され、更に信頼性が向上していることが判る。
【0109】
実施例19及び20の感光体はアンダー層を保護層が完全に被覆しておらず、このため、保護層に抵抗制御剤を含有させ、保護層の低抵抗下を図り、かつ保護層でアンダー層を完全に隠蔽することが、実使用時のトナー消費量を減らし、更にアンダー層端部の摩滅(キズ)を無くすことが出来ることが判る。
【0110】
次に、実施例21で作製したエンドレスベルト状感光体の耐刷性を、クリーニングブレードを有するベルト強制駆動機で評価した。評価方法はベルト回転数を60rpmに固定し、24時間連続駆動させた後の接合部及びその近傍の外観品質調査とした。結果を図11に示す。図11より、ベルト接合部の耐久性という観点で、保護層の厚みは3〜11μmで、かつ、アンダー層と保護層の総膜厚は15μm以下が好ましいことが判った。
【0111】
次に、実施例22〜30の感光体はアンダー層を存在させずに保護層だけで接合物を被覆したものであり、この場合の保護層の厚さは3〜10μmくらいが適当である。これによれば感光体製造の工程を減らすことができる。また、保護層中に抵抗制御剤としてカーボンブラック及び/又はグラファイトを利用することにより、保護層自身の耐摩耗性が向上し、保護層へのトナー付着も少なくなり、無駄なトナー消費が少なくなるというメリットがある。
【0112】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、保護層塗布領域下部の感光層/支持体間の接着強度が著しく向上するので、図8に示した様な接合部からの感光層剥離が低減出来、高耐久なエンドレスベルト状電子写真感光体が得られる。
請求項2、3の発明によれば、保護層塗布域であって、かつ、アンダー層非塗布域の感光層/支持体間接着強度が向上し、ときに発生するアンダー層端部からの感光層剥離が防げ、請求項1の効果はもとより、より信頼性の高いエンドレスベルト状電子写真感光体が得られる。
請求項4の発明によれば、接合部からの感光層の剥離がより一層阻止される超寿命エンレドレスベルト状電子写真感光体が得られる。
請求項5、6の発明によれば、実使用時に保護層上へトナーが付着するのを防ぎ、不用なトナー消費を低減出来、更にアンダー層中には抵抗制御剤を用いない為、保護層単層の場合に比べ抵抗制御剤の量が少なくて良く、コストメリットの高いエンドレスベルト状電子写真感光体が得られる。
請求項7の発明によれば、感光層と支持体間の接着強度とアンダー層、保護層のバルク強度のバランスが良好であり、接合部からの感光層剥離が飛躍的に低減され、ドラム状感光体なみの長寿命エンドレスベルト状電子写真感光体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】接地のための導電層を設けたエンドレスベルト状感光体の一例の斜視図。
【図2】図1(II)−(II)の断面図。
【図3】接地のための導電層を設けたエンドレスベルト状感光体の他の一例の平面図。
【図4】図3(IV)−(IV)の断面図。
【図5】接地のための導電層を設けたエンドレスベル状感光体の一例の断面図。
【図6】エンドレスベルト状感光体の接合部の例を表わした図。
【図7】エンドレスベルト状感光体の接合部の他の例を表わした図。
【図8】引張り評価時のサンプルの断面図。
【図9】引張り評価時のサンプルの断面図。
【図10】エンドレスベルト状感光体の接合部がクリーニングブレードで破壊される様子を表わした図。
【図11】アンダー層厚みと保護層厚みとの関係づけて表わした図。
【符号の説明】
1 支持体
2 導電層
3 電荷発生層
4 電荷輸送層
5 接地のための導電層
6 アンダー層
7 保護層
8 クリーニングブレード
12 導電性支持体
34 感光層
Claims (7)
- シート状導電体上に感光層を形成し、その両端を重ね合わせて融着により接合したエンドレスベルト状電子写真感光体において、
表面側の接合部のみに保護層を形成し、
該保護層は、下記一般式(I)で表わされる繰り返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂、下記一般式(II)で表わされる繰り返し構造単位を有するポリアリレート又はビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂を含有し、
該シート状導電体は、アルミニウムを蒸着したポリエチレンテレフタレートであり、
該感光層は、ポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とするエンドレスベルト状電子写真感光体。
- シート状導電体上に感光層を形成し、その両端を重ね合わせて融着により接合したエンドレスベルト状電子写真感光体において、
表面側の接合部のみにアンダー層及び保護層を順次形成し、
該アンダー層は、前記一般式(I)で表わされる繰り返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂、前記一般式(II)で表わされる繰り返し構造単位を有するポリアリレート又はビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂を含有し、
該シート状導電体は、アルミニウムを蒸着したポリエチレンテレフタレートであり、
該感光層は、ポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とするエンドレスベルト状電子写真感光体。 - 前記保護層は、前記一般式(I)で表わされる繰り返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂、前記一般式(II)で表わされる繰り返し構造単位を有するポリアリレート又はビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂を含有することを特徴とする請求項2に記載のエンドレスベルト状電子写真感光体。
- 前記アンダー層は、前記保護層によって覆われていることを特徴とする請求項2又は3に記載のエンドレスベルト状電子写真感光体。
- 前記保護層は、抵抗制御剤を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエンドレスベルト状電子写真感光体。
- 前記抵抗制御剤は、カーボンブラック及び/又はグラファイトであることを特徴とする請求項5に記載のエンドレスベルト状電子写真感光体。
- 前記保護層の厚さは、3〜10μmであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のエンドレスベルト状電子写真感光体。
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