JP4158085B2 - 光情報記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、350〜500nmの波長、特に390〜450nmの波長の青色レーザー光により記録及び再生が可能なヒートモードによる追記型の光情報記録媒体であって、置換基を導入したベンゼンジチオール誘導体の金属錯体を記録層に用い、特に超高密度の記録を可能とする光情報記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
文字、図形等の画像や映像あるいは音声等のデータを記録し、再生する手段としては、波長770〜830nmのレーザー光に対応した記録及び再生が可能な記録材料として例えばペンタメチン系シアニン色素やフタロシアニン色素を含有する記録層を有する光ディスクがCD−Rとして知られているが、このレーザー光より短波長の例えば620〜690nmの赤色レーザー光により高密度記録及び再生が可能なDVD−R(デジタル・ビデオ・ディスク−レコーダブル又はデジタルバーサタイル・ディスク−レコーダブル)等がCD−Rに代わるメディア(光情報記録媒体)として用いられるようになってきている。
近年、青色光領域の半導体レーザーの実用化が実現可能となりつつあり、記録情報量を増加させることが可能となりつつある。青色光領域対応の半導体レーザーの発振波長はおよそ350〜500(nm)、とりわけ390〜500(nm)となる見込みであり、光情報記録媒体においても記録材料をこれに合わせて短波長化する検討が行われている。
このような超高密度の記録が可能となる追記型光情報記録媒体に用いられるものとして、実際に提案されている有機色素化合物の例は、特開平4−74690号公報に記載されたシアニン化合物や、特開平7−304256号公報あるいは特開平7−304257号公報に記載のポルフィリン化合物など、極く限られている。ポルフィリン化合物は大きな第1の吸収のほかに400nm付近に第2の吸収を持っており、青色レーザー用記録材料として検討されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ポルフィリン化合物は対称性の高い構造を持ち、分子量が比較的小さい為、一般に結晶性が高く、溶剤に対する溶解性が低い。また、溶剤に溶解した溶液を基板に塗布して記録層を形成した後に凝集(析出)が起こる可能性がある。
このような状況の中で、波長が350nm〜500nm、特に390nm〜450nmの波長の青色半導体レーザーに反応して高感度な光記録が可能であり、しかも超高密度の記録が可能となる有機材料からなる記録層であって、溶剤に対する溶解性がよく、溶液安定性があり、その溶液の塗布膜に析出が生じ難く、記録層の生産性がよく、しかも光劣化や熱劣化に対しても高い耐性を持ち、記録後の保存安定性や再生安定性が高い記録層を形成できる有機色素化合物が求められている。
【0004】
本発明の第1の目的は、特に波長350nm〜500nmの範囲から選択されるレーザー光に対して、高感度な光記録が可能な有機金属錯体を用いた光情報記録媒体を提供することにある。
本発明の第2の目的は、超高密度の記録が可能な光情報記録媒体を提供することにある。
本発明の第3の目的は、耐光性や耐熱性がよく、記録後の保存安定性や再生の安定性に優れ、光や熱に対する環境変化に対して信頼性の高い記録及び再生が行える光情報記録媒体を提供することにある。
本発明の第4の目的は、溶剤に対する溶解性が良く、溶液安定性に優れ、安定した成膜性を持ち、成膜後に析出を生じ難い有機色素化合物を用いることができ、記録層の生産性のよい光情報記録媒体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、ベンゼンジチオールの金属錯体は光安定化剤として知られているが、例えばアルキルアミノ基を導入したベンゼンジチオール誘導体の金属錯体には390nm〜410nm付近に大きな吸収があり、波長350nm〜500nm、特に390nm〜450nmのレーザー光に対し、反応性に優れ、その金属錯体を含有する色素層は良好なピットを形成することができ、その色素層を有する光干渉層を備えた光情報記録媒体は、特に光安定性に優れるとともに再生劣化(繰り返しの再生光による光劣化)に対して大きな耐性をもち、上記の目的を達成することを見い出し、本発明をするに至った。
したがって、本発明は、(1)、基板上に記録層を含む光干渉層を有する光情報記録媒体において、該記録層が下記一般式〔化1〕で表わされる化合物を含有する光情報記録媒体を提供するものである。
【化1】
〔式中、R1 及びR2 はアルキルアミノ基置換アルキル基、置換若しくは未置換のシクロアルキル基置換アルキル基、置換若しくは未置換の含窒素複素環状化合物のN置換アルキル基及び置換若しくは未置換の芳香族基置換アルキル基を表わし、同一であっても異なってもよく、Mは0〜3価の金属又は金属イオンを表わし、Aはアニオンを表わし、nは0〜3の整数を表わす。)
また、本発明は、(2)、基板上に、記録層を含む光干渉層と、該光干渉層の前側又は後側に設けられた反射層と、その最後に設けられた該光干渉層又は該反射層に形成される保護層を有する上記(1)の光情報記録媒体を提供するものである
お、「本発明は、(1)、基板上に記録層を含む光干渉層を有する光情報記録媒体において、該記録層がベンゼンジチオール誘導体の金属錯体を含有する光情報記録媒体を提供するものである。
また、本発明は、(2)、基板上に記録層を含む光干渉層を有する光情報記録媒体において、該記録層が下記一般式〔化1〕で表わされる化合物を含有する光情報記録媒体、
【化1】
〔式中、R1 及びR2 は置換基を表わし、同一であっても異なってもよく、Mは0〜3価の金属又は金属イオンを表わし、Aはアニオンを表わし、nは0〜3の整数を表わす。)(3)、光干渉層が350nm〜500nmの波長領域から選ばれたレーザー光により記録及び再生が可能である上記(1)又は(2)の光情報記録媒体、(4)、基板上に、記録層を含む光干渉層と、該光干渉層の前側又は後側に設けられた反射層と、その最後に設けられた該光干渉層又は該反射層に形成される保護層を有する上記(1)ないし(3)のいずれかの光情報記録媒体を提供するものである。
なお、上記(3)において「350nm〜500nmとあるを350〜830nm」としてもよい。」とすることもできる。
【0006】
本発明において、光干渉層は350nm〜500nm、特に390nm〜450nmの波長領域から選ばれたレーザー光により記録及び再生が可能になるように形成されるが、他の色素を併用して、そのほかにもこの光干渉層を400nm〜約700nmの範囲のレーザー光に対してはDVD−R用、約700nm〜830nmの範囲のレーザー光に対してはCD−R用に使用可能にすることもできる。
上記光干渉層とは、有機材料からなる記録層その他の有機材料あるいは無機材料からなる層から構成され、レーザー光照射でピット形成可能な単一層又は複数層の有機材料層(以下、「有機材料層」を代表して「色素層」と言い、その「有機材料」を代表して「色素」ということがあるが、目視できる色彩を有しなくてもよい。)を含む記録層や、この記録層以外に光情報記録媒体の光学的物性を調整する目的で屈折率、膜厚を調整した例えば樹脂材料からなるエンハンス層、さらには基板と色素層の間、色素層が複数の場合にはその間に設ける中間層等も含まれ、これらを総称したものである。
【0007】
上記の色素層には置換基を導入したベンゼンジチオール誘導体の金属錯体(置換基導入型ベンゼンジチオール誘導体金属錯体色素)を含有させるが、その色素としては例えば上記一般式〔化1〕で表わされる化合物を挙げることができる。上記一般式〔化1〕中、R1 及びR2 は置換基を表わし、同一であっても異なってもよく、その置換位置はいずれでもよいが、その置換基としては、アルキルアミノ基置換アルキル基、置換若しくは未置換のシクロアルキル基置換アルキル基、置換若しくは未置換の含窒素複素環状化合物のN置換アルキル基及び置換若しくは未置換の芳香族基置換アルキル基等の有機基が挙げられ、各々においてそれぞれの置換基を有する低級アルキル基であることも好ましいが、例えばハロゲン等も挙げられる。その低級アルキル基としては例えばメチル基が挙げられるが、そのメチル基は他の有機又は無機の元素構成でもよい。アルキルアミノ基置換アルキル基のアルキルアミノ基としては、−NR’R’’(但し、R’及びR’’は水素原子又はアルキル基を表わし、同一でも異なってもよく、両方がアルキル基のときは同一又は異なるアルキル基を表わし、アルキル基としては好ましくは低級アルキル基である。)又は−N+ R’R’’R’’’X- (但し、R’、R’’及びR’’’は水素原子又はアルキル基を表わし、同一でも異なってもよく、2つ又は3つががアルキル基のときは同一又は異なるアルキル基を表わし、アルキル基としては好ましくは低級アルキル基であり、X- は陰イオンを表わし、後述の一般式〔化2〕のX- と同じものが挙げられる。)の第3級のアルキルアミノ基、すなわち第4級アンモニウム塩が挙げられる。
また、上記一般式〔化1〕中、Mは金属原子又は金属イオンを表わすが、その金属原子又はその金属イオンとなる金属原子としては、Mg、Al、Si、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Ba、Pr、Eu、Yb、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Thなどが挙げられるが、特にMg、Al、Si、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Pd、In、Sn、Pbなどが好ましい。
【0008】
このように、中心金属の種類の選択と、水素原子以外の置換基の導入によって得られる置換基導入型ベンゼンジチオール誘導体の金属錯体色素は、390nm〜410nm付近に大きな吸収を持ち、青色レーザーの吸収が十分に大きく、レーザーによる発熱、屈折率変化や、さらにはその色素層を形成した基板の変形を起こさせることができ、これらにより記録をすることを可能とするとともに、この色素は記録層を形成するときの成膜安定性が高く、安定した生産性を保つことができる。また、記録データの保存信頼性が高く、光、熱といった環境変化や、繰り返しの再生光での劣化に対しても耐性があり、信頼性の高い光情報記録媒体を提供することができる。
この置換基導入型ベンゼンジチオール誘導体金属錯体の色素を利用して、波長350nm〜500nm、特に波長390nm〜450nmの青色レーザ−に対する反応性、例えば熱分解性をよくし、超高密度の記録を行なうことができる。もともと、ベンゼンジチオールの銅錯体は分子量が小さくはなく、溶剤に溶解した溶液の安定性もよく、基板に対する塗布膜の均一性も優れ、安定した成膜性を持ち、その成膜後も析出し難く、このため色素として用いることができれば成膜による記録層の形成が能率的に行なえ、その記録層ひいては光情報記録媒体の生産性を向上させることができるのみならず、光劣化や熱劣化に対しても高い耐性を持ち、光や熱といった環境変化に対して記録の保存安定性や再生の安定性に優れ、記録及び再生の信頼性を高めることができるいう利点があり、特に青色レーザーは波長が400nm付近であって波長が短く、紫外線領域に近いことから、記録後に再生を行なう毎に繰り返し照射されると光劣化が起こり易い状況にあるなかで、再生の信頼性が高いことは極めて優れた特性である。例えば記録及び再生を長波長側で行なうCD−R等では特に記録層の有機色素の光安定剤として実績があるので、上記の置換基導入型ベンゼンジチオール誘導体の金属錯体色素も基本骨格はベンゼンジチオール銅錯体と同様であることからすれば、これらの性能を損なわず、あるいはさらに助長して持たせることができ、しかも青色レーザー光で記録及び再生を行うことができる。
なお、上記一般式〔化1〕の置換基導入型ベンゼンジチオール誘導体金属錯体色素のことはこれに属する具体的化合物について、その製造及び同定が行われている。
【0009】
本発明における光干渉層には、上記一般式〔化1〕の置換基導入型ベンゼンジチオール誘導体の金属錯体色素をその他のベンゼンチオール金属錯体系化合物、例えばこの一般式〔化1〕において置換基を有しないものを併用し、好ましくは一般式〔化1〕の置換基導入型ベンゼンジチオール誘導体の金属錯体色素を少なくとも50重量%(50重量%以上)を同一の色素層あるいは他の色素層を設けて併用してもよく、また、その色素層あるいはそれらの色素層とともにベンゼンチオール金属錯体系化合物以外のその他の色素の1種又は複数種を同一の色素層あるいは他の色素層を設けて併用してもよい。このようにすると上述したように、350nm〜500nm、特に350nm〜450nmの波長による超高密度の記録及び再生とともに、例えばCD−R、DVD−R用あるいはこれらの両者にも使用できる光情報記録媒体を提供することができる。
上記のその他の色素としては、金属若しくは無金属フタロシアニン、これに置換基を導入したフタロシアニン誘導体(特願2001−399101号明細書に記載の一般式〔化1〕、〔化2〕の化合物等)、シアニン色素、アゾ色素(含金属色素を含む)、ポリフィリン系色素など光記録媒体に用いられる公知の色素を用いることができる。例えば下記一般式〔化2〕で示されるシアニン色素を挙げることができる。
【化2】
〔ただし、Aは下記一般式〔化3〕ないし〔化5〕のいずれかを表わし、
【化3】

【化4】

【化5】

A’は下記一般式〔化6〕ないし〔化8〕のいずれかを表わし、
【化6】

【化7】

【化8】

AとA’は同種であっても異種であってもよく(ただし、D1 、D2 はそれぞれ水素原子、アルキル基、アルコキシル基、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボキシル基、アルキルヒドロキシル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキルアミド基、アルキルアミノ基、アルキルスルホンアミド基、アルキルカルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アルキルスルホニル基、フェニル基、シアノ基、エステル基、ニトロ基、アシル基、アリル基、アリール基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、フェニルアゾ基、ピリジノアゾ基、アルキルカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アミノ基、アルキルスルホン基、チオシアノ基、メルカプト基、クロロスルホン基、アルキルアゾメチン基、アルキルアミノスルホン基、ビニル基及びスルホン基の群のなかから選択される置換基を表わし、同種であっても異種であってもよく、p、qは置換基の数であってそれぞれ1又は複数の整数を表わす。)、R3 、R4 は置換又は非置換のアルキル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボキシル基、アルコキシル基、アルキルヒドロキシル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキルアミド基、アルキルアミノ基、アルキルスルホンアミド基、アルキルカルバモイル基、アルキルスルファモイル基、水酸基、ハロゲン原子、アルキルアルコキシル基、ハロゲン化アルキル基、アルキルスルホニル基、金属イオン若しくはアルキル基と結合したアルキルカルボキシル基若しくはアルキルスルホリニル基、フェニル基、ベンジル基、アルキルフェニル基及びフェノキシアルキル基(ベンゼン環部分及び/又はアルキル部分の水素原子をアルキル基、カルボキシル基、水酸基、ハロゲン原子等の金属イオン以外の置換基で置換してもよく、前記フェニル基、ベンジル基、アルキルフェニル基の該当部分についても同様である。)の群から選択される置換基を表わし、同種でも異種でもよく、X- はハロゲン原子、PF6 - 、過塩素酸、ホウフッ化水素酸、リン酸、ベンゼンスルホン酸、SbF6 - 、トルエンスルホン酸、アルキルスルホン酸、ベンゼンカルボン酸、アルキルカルボン酸、トリフルオロメチルカルボン酸、過ヨウ素酸、SCN- 、テトラフェニルホウ酸及びタングステン酸の陰イオンの群のなかから選択される陰イオンを表わし、nは0、1又は2を表わす。〕
この一般式〔化2〕においてAが上記一般式〔化3〕〜〔化5〕の一般式から任意に選択され、A’が上記一般式〔化6〕〜〔化8〕の一般式から任意に選択され、両者のその選択したそれぞれの個々の全ての組み合わせの化合物が挙げられる。例えば一般式〔化3〕と一般式〔化6〕〜〔化8〕のそれぞれとの組み合わせが挙げられるが、その他の一般式〔化4〕、〔化5〕のそれぞれについても同様である。A、A’の置換基(D1 )p、(D2 )qのp、qは少なくとも1であるが、複数の整数、すなわち2以上の整数である。
なお、色素の合成法としては、The Chemistry of Synthetic Dyes Vol14に記載されている方法を利用できる。
【0010】
上記一般式〔化1〕に属する置換基導入型ベンゼンジチオール誘導体の金属錯体色素あるいはこれと上記した他の化合物あるいは他の色素は、これらのみで用いてもよいが、目的に応じて塗布液中にはさらに酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤などの各種の添加剤を添加してもよい。耐光性を向上させるために、フタロシアニン系色素以外の色素を併用する場合は特に、光安定化剤を色素層に含有させ、あるいは他の層に含有させてもよい。
このような光安定化剤としてはアミニウム系及びジイモニウム系安定化剤を挙げることができる。具体的化合物としては、下記〔化9〕、〔化10〕で表される化合物を挙げることができる。
これらの光安定化剤は少なくとも1種、すなわち単独又は複数併用することができる。
【0011】
【化9】
【0012】
【化10】
【0013】
本発明の光情報記録媒体を製造するには、上記一般式〔化1〕で示される置換基導入型ベンゼンジチオール誘導体の金属錯体色素、あるいはこれと上記した化合物あるいは上記一般式〔化2〕で示されるシアニン色素その他の色素を溶解した混合色素(置換基導入型ベンゼンジチオール誘導体の金属錯体色素を50重量%以上混合することが好ましい)、あるいはこれらのそれぞれに上記〔化9〕、〔化10〕で示される光安定化剤その他の金属錯体の光安定化剤を溶解した溶液を調製し、透光性の基板に塗布する。これらの色素溶液には、ジメチルシクロヘキサン等の脂環状化合物の溶剤、クロロホルム、ジクロロエタン、フッ素化アルコール等のフッ素系溶剤、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、メタノール、トルエン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、メチルセロソルブ等のセロソルブ類、ジオキサン等を用いることができる。この場合の色素の混合割合は1重量%〜10重量%が好ましい。
また、本発明に用いられる基板には、ガラスや、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂等のプラスチックスが例示される。この基板にはトラック溝あるいはピットが形成されていてもよく、また、アドレス信号に必要な信号を有するものでもよい。
また、上記色素溶液を基板に塗布するにはスピンコート法を用いることが好ましい。
また、本発明における光干渉層には上記の金属錯体以外の一重項酸素クエンチャー、光吸収剤、ラジカルスカベンジャー(捕捉剤)等の他の化合物を含んでもよい。
【0014】
上記の光干渉層のほかに反射層をその光干渉層の下地層又は被覆層として設けてもよく、また、必要に応じて保護層を設けてもよい。
反射層としては、蒸着、スパッタリング等により形成したAu、Al、Ag、Cu、Pt、これらの各々その他の合金、さらにはこれら以外の微量成分が添加された合金等の金属膜等の高反射率材料膜が挙げられ、保護層としては光情報記録媒体の保護と耐候性の向上等の目的で紫外線硬化型樹脂等の放射線硬化型樹脂の溶液をスピンコート法等により塗布し、放射線硬化させた塗布層が挙げられる。
【0015】
このようにして基板の上に色素層を含む光干渉層、反射層を設け、さらには保護層などが設けられた光ディスクが得られる。その光干渉層を少なくとも有した他の同様な構成あるいは別の構成の光ディスクを貼り合わせたり、あるいは基板そのものを対向させて貼り合わせたりしてもよい。
この貼り合わせのための材料や、方法としては、紫外線硬化樹脂、カチオン性硬化樹脂、両面粘着シートや、ホットメルト法、スピンコート法、ディスペンス法(押し出し法)、スクリーン印刷法、ロールコート方式等が用いられる。
【0016】
【発明の実施の形態】
詳細は以下の実施例により説明するが、トラックピッチ長が0.30μmで、wobble信号のみを持つ(プレピット信号も併せ持ってもよい)ポリカーボネート基板を用い、光干渉層の色素層を、上記一般式〔化1〕に属する化合物であって、▲1▼ R1 及びR2 がジメチルアミノメチル基、シクロヘキシルメチル基、ピペリジンNメチル基又はベンジル基であり、同一でも異なってもよい化合物、その中で、▲2▼ MがNi2+、Co2+又はCu2+である化合物、その中で▲3▼ AがClO4 - 、nが2である化合物について、それぞれの化合物(色素)の溶液( その各色素とアミニウム系又はジイモニウム系光安定化剤を加えた溶液でもよい) 、また、これらにさらに、▲4▼ 上記一般式〔化4〕と一般式〔化7〕の組み合わせからなる上記一般式〔化2〕の色素、その中で、▲5▼ 特にD1 、D2 が共に水素である色素、▲6▼ R3 、R4 が同種又は異種であって、炭素数1〜4等の低級アルキル基である色素、さらにその中でも▲7▼ 特にX- が過塩素酸又はヨウ素の陰イオンである色素のそれぞれのインドレニン系のトリメチン系シアニン色素又はペンタメチン系シアニン色素について、これらの▲4▼〜▲7▼の各々に属する色素を加え、上記▲1▼、▲2▼、▲3▼の各々に属する色素を色素全体の50〜100重量%比率を占める色素溶液を調製し、これらの各々の溶液を用いてスピンコート法により乾燥膜厚が50〜150nmとなるように形成し、記録層からなる光干渉層を形成する。
その前又は後に、スパッタリングによるAu又はAlの反射層を設け、光干渉層又は反射層の上に紫外線硬化樹脂からなる保護層をスピンコート法により形成し、さらにポリカーボネート基板をスピンコート法による紫外線硬化樹脂からなる接着剤層により貼り合わせ、貼り合わせ型光ディスクを得る。
このようにして得られる光ディスクに波長が350nm〜500nm、特に390nm〜450nmのレーザー光を照射して記録を行うと、記録のための最短ピットの長さを明らかに短くすることができ、超高密度記録が可能であり、しかも高感度の記録が可能であり、そのほかの特性は、上記一般式〔化1〕の置換基導入型ベンゼンジチオール誘導体金属錯体の色素も、従来光安定剤として用いられているこの一般式〔化1〕においてR1 、R2 が共に水素原子である、置換基のないベンゼンジチオール金属錯体と共通する基本骨格を有することから、上述したように、従来のベンゼンジチオール金属錯体が示す特性を損なわずに示すことができ、さらに再生における反射率、エラーレート及びジッター等も良くすることができる。
【0017】
【実施例】
次に本発明の実施例を説明するが、これに限定されるものではない。
実施例1
図1に示すように、基板上に反射膜、記録層、保護層及びカバー層を順次設ける。
まず、表面に幅0.15μm、深さ50nm、ピッチ0.32μmのスパイラル状のグルーブが形成された厚さ1.1mm、外径(直径)120mmφのポリカーボネートからなる透明な基板を射出成形法により成形した。
次に、基板上にスパッタリング法により膜厚100nmのAu膜を成膜し、図1に示す反射膜を形成し、この反射膜の表面に、下記〔化11〕の化合物(下記表1にも「化合物1」として示す)0.2gをジアセトンアルコール10mlに溶解して得た色素溶液をスピンコート法(回転数2000rpm)で塗布し、膜厚50nmの感光記録材料膜、すなわち図1に示す記録層からなる光干渉層を形成した。
なお、ジアセトンアルコール10mlの代わりにエタノールを10ml用いたこと、基板に上記のポリカーボネートからなる透明な基板の代わりにガラス板を用いたこと以外は上記と同様にして膜厚100nmの感光記録材料膜を形成し、この感光記録材料膜について可視紫外分光光度計/U−4000((株)日立製作所製)による吸収スペクトル〔吸光強度の波長390〜800nm範囲の波長依存性〕を測定したところ、395nmにおいて吸収極大値を有する吸収スペクトルが得られた。
【0018】
【化11】
【0019】
上記光干渉層上に紫外線硬化樹脂SD−211(大日本インキ化学工業社製)をスピンコートし、その塗膜に紫外線を照射して硬化させ、膜厚5μmの保護膜、すなわち図1に示す保護層を形成した。
さらに、この保護膜の上に紫外線硬化樹脂SD−318(大日本インキ化学工業社製)を滴下した後、上記と同様に成形した厚さ90μmのポリカーボネートシート、すなわち図1に示すカバー層をその上に置き、その間隙にスピンコート法により樹脂を均一に拡散させた後、再度紫外線を重ねた基板側から照射して硬化させ、当初からの基板の32mmφから120mmφの領域に樹脂からなる厚さ5μmの接着層を形成することにより重ねた基板を貼り合わせ、貼り合わせ型の光ディスクを作製した。
【0020】
このようにして作成された光ディスクに、波長405nmの青色高調波変換レーザーヘッド(NA=0.85)を搭載したパルステック工業社製装置(DDU1000)を用いて、最短ピット(最小楕円形ピットの長径)が0.16μmの信号を、レーザーパワー10mW(記録感度)で記録した。その後、同装置を用いてレーザー出力を0.5mWにして信号を再生し、反射率、エラーレート及びジッターを測定したところ、いずれも良好な値を示した。
【0021】
実施例2〜6
実施例1において、上記〔化11〕の化合物の代わりに、上記一般式〔化1〕においてM、R1 、R2 、2A(n=2)に下記表1に示す金属、置換基、アニオンを用いた化合物2〜6のそれぞれを用いたこと以外は同様にして光ディスクを作製し、光干渉層については実施例1と同様に吸収スペクトルを測定した。光ディスクについては実施例1と同様に記録を行ったところ、最短ピット、記録パワーは、実施例2(化合物2)では0.16μm、10mW、実施例3(化合物3)では0.16μm、9mW、実施例4(化合物4)では0.17μm、9mW、実施例5(化合物5)では0.17μm、8mW、実施例6(化合物6)では0.17μm、9mWであり、実施例1と同様にして再生し、反射率、エラーレート及びジッターを測定した結果、いずれも良好な値を示した。
【0022】
【表1】
【0023】
比較例1
実施例1において、上記〔化11〕の化合物の代わりに、ポルフィリンを用いたこと以外は同様にして光ディスクを作製したが、析出が起こり良好な記録が行える記録膜形成に至らなかった。
【0024】
以上の結果から、実施例、特に実施例1〜6のものと比較例1のものでは、レーザーに対する反応性は明らかに差がみられ、記録材料として記録感度に大きな差があることがわかる。また、比較例1に使用した色素は成膜後析出がみられ、実施例1の色素に比べて成膜安定性に劣ることがわかる。溶剤に対する溶解性が良いものは均一な膜を形成できるので成膜性もよい。また、その成膜後に析出のないことは長期保存、もしくは加速試験後の信号品質の劣化、目視による記録面の変色などから確認することができる。
なお、上記において、「重量」は「質量」としてもよい。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、例えば波長350nm〜500nm、特に390nm〜450nmの範囲から選択されるレーザー光に対して反応性がよい置換基導入型ベンゼンジチオール誘導体金属錯体色素であって、当該置換基がアルキルアミノ基置換アルキル基、置換若しくは未置換のシクロアルキル基置換アルキル基、置換若しくは未置換の含窒素複素環状化合物のN置換アルキル基及び置換若しくは未置換の芳香族基置換アルキル基を表わす色素を用いることができ、超高密度の記録が可能であるとともに、耐光性や耐熱性がよく、記録後の保存安定性や再生の安定性に優れ、光や熱に対する環境変化に対して信頼性の高い記録及び再生が行える光情報記録媒体を提供することができる。
また、溶剤に対する溶解性が良く、溶液安定性に優れ、安定した成膜性を持ち、成膜後に析出し難い置換基導入型ベンゼンチオール誘導体金属錯体色素を用いることができ、記録層の生産性のよい光情報記録媒体を提供することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の光情報記録媒体の縦断面の説明図である。

Claims (2)

  1. 基板上に記録層を含む光干渉層を有する光情報記録媒体において、該記録層が下記一般式〔化1〕で表わされる化合物を含有する光情報記録媒体。
    〔式中、R1 及びR2 はアルキルアミノ基置換アルキル基、置換若しくは未置換のシクロアルキル基置換アルキル基、置換若しくは未置換の含窒素複素環状化合物のN置換アルキル基及び置換若しくは未置換の芳香族基置換アルキル基を表わし、同一であっても異なってもよく、Mは0〜3価の金属又は金属イオンを表わし、Aはアニオンを表わし、nは0〜3の整数を表わす。)
  2. 基板上に、記録層を含む光干渉層と、該光干渉層の前側又は後側に設けられた反射層と、その最後に設けられた該光干渉層又は該反射層に形成された保護層を有する請求項1に記載の光情報記録媒体。
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