JP4157825B2 - コーヒーフィルタ - Google Patents

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本発明は、コーヒーフィルタに関する。
現在主流のコーヒー抽出方法は、主に紙パルプ製のコーヒーフィルタを用いる方法である。また、喫茶店などのコーヒーを提供する場においては、布製フィルタを用いる方法や、サイフォン式抽出方法が行われている。
コーヒー抽出に際し、既存のパルプ製コーヒーフィルタによるドリップでは、コーヒーの知識や抽出技術が要求され、コーヒー豆の持ち味を引き出すことが簡単ではないという問題がある。これは、抽出における蒸らしの時間、抽出速度、ドリップに用いる湯温、または注湯のタイミングなどの様々な条件により、出来上がるコーヒー液に味わいの変化がもたらされるためである。
この問題を解決するために、従来のフィルタとして、孔やスリットを設けたシートをフィルタの外側に設け、コーヒーの抽出速度を抑制するものや(例えば、特許文献1,2参照)、透水性の異なる2枚の不織布により形成され、十分な蒸らし時間を確保して優れたコク、味、香りを有するコーヒーを抽出するものがある(例えば、特許文献3,4参照)。
ところで、近年、わが国のコーヒー市況において、より高品質なスペシャリティコーヒーと名のる商品が注目されており、このコーヒーを抽出する際には、コーヒー豆の持ち味を如何に引き出せるかが重要である。これらのスペシャリティコーヒーに共通することは、主要産出国で品質に特別な価値を見出されたものから成り、従来のコーヒー豆とは明らかに違いのあるキャラクターを持ち合わせていることである。具体的には、市場に流通するスピードが速く、新豆と呼ばれる物が殆どである。コーヒーを抽出する際には、この新豆特有の魅力を如何に引き出せるかが問われる。この場合には、これまでのコーヒーでは敬遠されて分離されていたカフェオイル分等が旨みの一部となることもある。
特開平11−113750 実開平6−68635 特開2002−102070 特開平6−181688
しかしながら、従来の方法や特許文献1乃至4に記載されたフィルタを用いる方法は、スペシャリティコーヒーに代表されるコーヒー豆のクオリティの向上に伴い、その持ち味を抽出しうるには困難な抽出方法であり、抽出の技術が要求される。その具体的な原因としては、主だったフィルタ用素材がコーヒー抽出の際、濾過機能と同時に油脂分の吸着を目的とするところにある。
このため、高品質なコーヒー豆を抽出する際、従来の抽出方法・抽出用コーヒーフィルタでは、コーヒーの旨み成分である油脂分がフィルタに吸着されやすく、その持ち味を引き出しきることが困難であるという課題がある。この課題を解決するため、旨み成分の油脂分を簡単にコーヒーに加味可能なフィルタまたは抽出方法が求められる。
しかしながら、全ての高品質のコーヒー豆が、カフェオイルを含んだ味わいで提供されることが理想であるとは限らない。コーヒーは嗜好品と云われる飲み物の代表であるため、個人の嗜好を考慮した味わいに調整できる必要性がある。
なお、金属フィルタによるコーヒー抽出器も一般に用いられているが、雑味や渋みの原因となるコーヒー粉末に内在する微粒子の混入が避けられず、コーヒー抽出後の粉などの後始末に際しても多少の不便が残る。
また、複数人数分のコーヒー抽出を目的にすることとは別に、一杯どり用のコーヒー粉が予め充填されたコーヒーバックなどの商品のように、比較的簡単に良質のコーヒーを抽出しうるコーヒーバッグも流通している。しかし、コーヒー豆の種類が限定されているため、好みのコーヒーの選択範囲が限られてしまう。これらのコーヒーバッグは手軽であり、味わいも考慮されて製造されているが、高品質なスペシャリティコーヒーの需要を満たすには不十分であり、コーヒーに淹る楽しみを演出するには物足りない。
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、油脂分などの旨み成分を好みに応じて加味し、良質でおいしいコーヒーを容易に抽出することができるコーヒーフィルタを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係るコーヒーフィルタは、開口を有する袋状のコーヒーフィルタであって、それぞれ不織布から成る第1フィルタと第2フィルタとを互いに貼り合わせて成り、内側と外側とを反転可能に構成され、前記第1フィルタは前記第2フィルタよりコーヒー豆抽出物に対する吸着性および親水性が大きく、コーヒー液の濾過速度が速く、一部について前記第1フィルタと前記第2フィルタとを互いに交換して成ることを特徴とする。
コーヒー豆抽出物は、代表的には、スペシャリティコーヒーの旨み成分である油脂分、すなわちカフェオイルである。
本発明に係るコーヒーフィルタでは、コーヒー液の抽出に要す時間を考慮し、第1フィルタおよび第2フィルタの材質や厚さなどを変えれば、コーヒー液の濾過速度をそれぞれ調整することができる。
本発明に係るコーヒーフィルタは、第1フィルタを内側にしてコーヒーを抽出する方法と、第2フィルタを内側にしてコーヒーを抽出する方法とで2通りの抽出方法を、内側と外側とを反転することにより任意に選択することができる。
本発明に係るコーヒーフィルタでは、第1フィルタを内側にしてコーヒーを抽出すると、第1フィルタは親水性が大きいため、コーヒー液は、お湯が注がれた範囲で第1フィルタにすばやく浸透する。それと同時に、コーヒー豆抽出物も、お湯が注がれた範囲で第1フィルタに吸着される。このとき、第2フィルタは第1フィルタより親水性が小さいが、互いに貼り合わせて成っているため、第2フィルタの表面張力が小さくなる。これにより、コーヒー液は、第2フィルタにもすばやく浸透して滴下する。この結果、コーヒー豆抽出物の量が少なく、さっぱりとした味わいのコーヒーが得られる。
一方、第2フィルタを内側にしてコーヒーを抽出すると、第2フィルタは親水性が小さいため、コーヒー液は第2フィルタに浸透しにくく、コーヒー豆抽出物は第1フィルタを内側にした場合に比べて吸着されにくい。このため、コーヒー液は、第2フィルタの下部からゆっくりと通過し、コーヒー豆抽出物の一部が第1フィルタの下部に吸着される。このとき、第1フィルタは第2フィルタより親水性が大きく、表面張力が小さいため、コーヒー液がすばやく滴下する。この結果、コーヒー豆抽出物の吸着面積が小さくなり、コーヒー豆抽出物の量が多く、コクのあるコーヒーが得られる。
このように、本発明に係るコーヒーフィルタは、第1フィルタおよび第2フィルタのどちらを内側、外側にして用いるかによって、コーヒー液の濾過速度が、たがいに異なる2つのフィルタから、好みにあったコクや味わいのコーヒーを抽出することができる。
本発明に係るコーヒーフィルタは、親水性が大きい第1フィルタが、交換した部分で第2フィルタの上に存在しているため、その境界面で第2フィルタの表面張力が抑制される。これにより、第2フィルタからコーヒー液が滴下する速度を調整ができ、最適な濾過速度にして、コーヒー豆抽出物とコクのバランスよいコーヒーを得ることができる。
本発明によれば、油脂分などの旨み成分を好みに応じて加味し、良質でおいしいコーヒーを容易に抽出することができるコーヒーフィルタを提供することができる。
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図4は、本発明の実施の形態のコーヒーフィルタを示している。
図1に示すように、コーヒーフィルタ10は、第1フィルタ11と第2フィルタ12とを有している。
図1(a)に示すように、コーヒーフィルタ10は、第1フィルタ11と第2フィルタ12とを互いに貼り合わせた2層からなる積層シートにより形成されている。コーヒーフィルタ10は、図1(c)および(e)に示すように、円錐の底面部が開口して袋状に形成された逆円錐形状であり、図1(b)および(d)に示すように、開口を閉じるようにたたむと扇形を成す。また、図1(b)乃至(e)に示すように、コーヒーフィルタ10は、内側と外側とを反転可能に構成されている。
第1フィルタ11および第2フィルタ12には、例えば、ポリプロピレンその他の疎水性の合成繊維やレーヨン、ポリエステルその他の親水性の合成繊維、パルプ、マニラ麻その他の親水性の天然繊維などの繊維を組み合わせて不織布としたものを用いることができる。疎水性の繊維と親水性の繊維との組み合わせ比率を調整することにより、全体として親水性を調整することができる。また、厚さ、目の粗さを調整することによりろ過速度を調整することができる。これにより、第1フィルタ11は、第2フィルタ12よりコーヒー豆抽出物に対する吸着性および親水性が大きく、コーヒー液の濾過速度が速くなっている。コーヒーフィルタ10は、薄い第1フィルタを厚い第2フィルタに貼り付けて補強しているため、フィルタ形状を維持し、反転しても破れない十分な強度を有している。コーヒー豆抽出物とは、代表的に、スペシャリティコーヒーの旨み成分である油脂分、すなわちカフェオイルである。
なお、コーヒーフィルタ10の形状は、簡単に表側・裏側を返せる形状であれば、形にとらわれること無く、既存の台形状や逆円錐形状のフィルタ形状であってもよい。さらに、円形・正方形の平面のシート状の物でも任意の形に合わせることで、コーヒーフィルタ10を装着する支持器具ドリッパー・ロトに用いることが可能である。フィルタの構造は、積層シートまたは複数のシートの組み合わせでも良く、同時にフィルタを裏表返した際の十分な強度を持ち合わせていることが好ましい。
次に、作用について説明する。
コーヒーフィルタ10は、コーヒー豆抽出物に対する吸着性および親水性が互いに異なる2つのフィルタについて、図1(f)に示すように、第1フィルタ11を内側にしてコーヒーを抽出する方法と、図1(g)に示すように、第2フィルタ12を内側にしてコーヒーを抽出する方法とで2通りの抽出方法を、内側と外側とを反転することにより任意に選択することができる。
以下、それぞれの方法で抽出されたコーヒー液を比較検討した。
基準となるコーヒー液は、コーヒーサーバーにコーヒー粉10gを直接入れ、90℃〜92℃の湯を150mリットル注湯し、3分間放置した後のコーヒー液である。この基準となるコーヒー液を濾過すること無く、味わい、香りを確かめた。なお、コーヒー豆は単一品種で、適度な酸味、苦味が現れる中炒りの焙煎度合いとした。
この基準となるコーヒー液抽出方法は、一般におこなわれるコーヒー抽出方法の濾過を特徴とする抽出方法とは異なり、おもにコーヒー豆の持ち味や特徴を判定する場面で用いられるカッピングと称するものである。
カッピングでコーヒーの香り、味を確かめる場合、一般にコーヒー液を抽出する濾過式抽出と明らかな違いとなる特徴が、カフェオイルの風味が加味される処である。それはコーヒー粉に直接湯を注湯した時、カフェオイルは比重によりコーヒー液の上部に集まるからであり、濾過式抽出とでは明らかな味わいの相違となる。このカフェオイルの風味が加味されたコーヒー液を基準とし、第1フィルタ11を内側にした場合の抽出、および第2フィルタ12を内側にした場合の抽出と比較した。なお、コーヒー粉、湯温、湯量は同一条件とした。
図1(f)に示すように、第1フィルタ11を内側にしてコーヒーを抽出する場合、コーヒーフィルタ10をドリッパー1にセットし、コーヒー豆2を入れる。お湯を注いでコーヒーを抽出すると、第1フィルタ11は親水性が大きいため、コーヒー液は、お湯が注がれた範囲で第1フィルタ11にすばやく浸透する。このとき、第1フィルタ11はコーヒー豆抽出物の吸着性が大きいため、お湯が注がれた範囲でコーヒー豆抽出物が第1フィルタ11に吸着される。また、第2フィルタ12は第1フィルタ11より親水性が小さいが、互いに貼り合わせて成っているため、第2フィルタ12の表面張力が小さくなる。これにより、コーヒー液は、第2フィルタ12にもすばやく浸透して滴下する。この結果、コーヒー豆抽出物の量が少なく、さっぱりとした味わいのコーヒーが得られる。
また、この場合、濾過速度が早いため、コーヒー豆2の蒸らし作業において最初に注ぐ湯は、サーバーに落ちることが確認できる。二回目・三回目の注湯に際しても、既存のパルプ製コーヒーフィルタと比較しても濾過速度が速く、注湯量と注湯速度とを変えて濾過速度を任意に調整することが可能である。この濾過速度の速い特性を生かし、注湯開始からコーヒー液の抽出終了までの時間を比較的速く終了することができる。このため、抽出されたコーヒーは、スッキリした軽い味わいである。
一方、図1(g)に示すように、第2フィルタ12を内側にしてコーヒーを抽出する場合、コーヒーフィルタ10をドリッパー1にセットし、コーヒー豆2を入れる。お湯を注いでコーヒーを抽出すると、第2フィルタ12はコーヒー豆抽出物の吸着性および親水性が小さいため、コーヒー液は第2フィルタ12に浸透しにくく、コーヒー豆抽出物は第1フィルタ11を内側にした場合に比べて吸着されにくい。このため、コーヒー液は、第2フィルタ12の下部からゆっくりと通過し、コーヒー豆抽出物の一部が第1フィルタ11の下部に吸着される。このとき、第1フィルタ11は第2フィルタ12より親水性が大きく、表面張力が小さいため、抽出されたコーヒー液はすばやく滴下する。この結果、第1フィルタ11を内側にした場合に比べて、コーヒー豆抽出物の吸着面積が小さくなり、コーヒー豆抽出物の吸着量が少なくなる。このため、コーヒー豆抽出物の量が多く、コクのあるコーヒーが得られる。
またこの場合、濾過速度が遅く、コーヒー豆2の蒸らし作業においては、最初に注ぐ湯の量は多少の量の違いがあってもサーバーにたれ落ちること無く保持され、コーヒー豆2の全体に湯が回り十分な蒸らし効果が得られる。二回目・三回目の注湯に際しても、既存のパルプ製コーヒーフィルタで指摘される〔の〕の字を書くがごとくゆっくり注湯を行う等の技術を要せずとも、フィルタの濾過速度に合わせた注湯でコク味ある良質なコーヒーが得られた。また、香りについても、第1フィルタ11を内側にした場合とは異なる香りが得られた。
飲み味に厚みがもたらされた時、コク味あるコーヒーと感じ取れるが、特にコーヒーのオイル分がコーヒーの飲み味の苦味・酸味を適度に和らげる。第2フィルタ12を内側にして抽出されたコーヒー液は、このようなカフェオイル特有の風味・コク味が確認でき、コーヒー豆2の持ち味を引き出せる濾過式抽出である。
以上のように、第1フィルタ11を内側にしてコーヒー豆2を装填し抽出したコーヒー液と、第2フィルタ12を内側にしてコーヒー豆2を装填し抽出したコーヒー液とでは、コーヒー液の香りおよび飲み味に明らかな違いを確認でき、同一のコーヒー豆2からその時々においてコーヒーフィルタ10の特性を生かした香り、飲み味の異なるコーヒーを選択し楽しめる結果を得た。
コーヒーフィルタ10は、第1フィルタ11および第2フィルタ12のどちらを内側、外側にして用いるかによって、コーヒー豆抽出物の量を選択することができる。このため、油脂分などの旨み成分を好みに応じて調整し、好みにあったコクや味わいを有し、良質でおいしいコーヒーを容易に抽出することができる。
また、高品質なコーヒー豆ではカフェオイルは重要なキャラクターとなるが、カッピングによる基準としたコーヒー液とコーヒーフィルタ10で抽出したコーヒー液とで比較した結果、コーヒーフィルタ10で抽出したコーヒーにもその飲み味の特徴に近い味わいが備わることが確認された。
コーヒーフィルタ10は、相反する二つの特徴を一枚のコーヒーフィルタ10に構成することで二通りの味わいの演出が可能となり、ハンドドリップにおける技術が伴なわずとも、コーヒーフィルタ10の特性を利用することにより、だれもが簡単にコーヒーフィルタ10をリバーシブルに使い分けることで、目的の飲み味を選択し、好みの味わいとすることが可能である。コーヒーは嗜好性に富む飲み物であるが、抽出技術がコーヒーフィルタ10の機能で代用されたことで、誰もが一定の味わいの再現と異なる味わいの演出が可能となる。
既存にあるコーヒーフィルタの機能に代表される油脂分の吸着を目的とするフィルタの役割とは概念の異なるコーヒーフィルタ10は、高品質なコーヒー豆の持ち味を楽しむコク味あるコーヒー液の抽出が簡単に行える処においても有用であり、コーヒー愛好家に新たなコーヒーの楽しみ方を提案できるものである。
コーヒーの持ち味に明確なキャラクターと美味しさの裏付けを提案するにあたり、コーヒーフィルタ10は有用であり、特に高品質なコーヒー豆においてはその持ち味を引き出せる要所を備える。このように、コーヒー豆の持ち味をより多く抽出できるコーヒーフィルタ10は、誰もが簡単に本来のコーヒーの味わいを楽しむことができる。
コーヒーフィルタ10では、一方の濾過特性は、高品質なスペシャリティコーヒーと名のる商品の特徴に挙げられるオイル分の抽出に適当な濾過機能を有することである。この構造を生かしコクのあるコーヒー液を簡単に抽出し得る。
また、同時に他方のオイルの吸着される特性と濾過速度の速い特性とを生かし、飲み味の異なる抽出も可能であると伴に、注湯時の湯量および速度を任意に調整できる。
コーヒーフィルタ10は、裏表それぞれに個別の抽出特性を持ち合わせ、その時々でリバーシブルに使い分けが出来る。具体的には、コーヒー抽出中の濾過速度がそれぞれに最適に調整され、且つそれぞれがコーヒー液のカフェオイルを吸着する特徴及び吸着しない特徴の機能を有する。コーヒーフィルタ10は、表側の抽出と裏側の抽出で、抽出したコーヒー液に明らかな味わいの違いが現れ、求める味わいをフィルタの表側と裏側で使い分けることが出来る。
コーヒーフィルタ10は、第一の特徴であるコーヒー豆2のオイル分を吸着すること無くカフェオイルの抽出を容易にする構造により、一方のコーヒーフィルタ10の材料となる繊維の特性が得られる。この繊維の特性は、疎水性を有し、油脂分の吸着を抑えることであり、濾過されるコーヒー液には味わいに厚みが加味される。
疎水性が特徴となる繊維は、水との親和性が低く、吸水速度も遅い合成繊維による不織布等の多孔状繊維シートである。水との親和性が低い繊維シートは、コーヒーフィルタ10のオイル分の吸着を抑え、コーヒーのドリップ時、コーヒーフィルタ10にカフェオイルを吸着させること無く抽出する処で、既存のコーヒーフィルタ10の担う油脂分の吸着を目的とした構造とは本質的に違う。
この繊維によるコーヒーフィルタ10は、吸水速度が遅くなる効果でコーヒー抽出の際適度な蒸らし状態を作り出し、コク味の有るコーヒー液を抽出し得る。
コーヒーフィルタ10では、第二の特徴であるコーヒー豆2のオイル分を吸着する構造により、他方のコーヒーフィルタ10の材料となる繊維の特性が得られる。この繊維の特性は、親水性を有し、油脂分を適度に吸着することであり、濾過されるコーヒー液は重みの無い味わいで軽さが特徴となる。
親水性が特徴となる繊維は、オイル成分の吸着性にすぐれた特性を持っていることを特徴とする。コーヒー抽出時には、コーヒー液中のカフェオイルを吸着する構造とすることで、オイル成分はコーヒーフィルタ10に吸着されることが重要である。
また親水性が特徴となる繊維は、吸水速度が早くなる効果で、コーヒー抽出の際注湯されたお湯の濾過速度が自ずと速くなる。さらに注湯する速度を変えて濾過速度を調整でき、抽出されたコーヒー液の味わいを演出することが可能となる。
ハンドドリップ式コーヒー抽出では、抽出における蒸らしの時間、抽出速度、ドリップに用いる湯温、さらに注湯のタイミングなど、様々な条件で出来上がるコーヒー液に味わいの違いが現れる。このように注湯の開始から一連の作業で出来上がるコーヒー液は技術的要素に左右されるが、コーヒーフィルタ10においては抽出に係わる技術的役割をフィルタの特性が担う。これにより誰もが簡単に美味しいコーヒーを抽出し得る。
コーヒーは嗜好性を強く主張する飲み物で、その味わいは、酸味の加減または苦味の加減、コク味の強弱等、味わうその人の体調にも左右されることもある。コーヒーフィルタ10は、そのような場面でその時々に、より好みの味わいを安定して抽出でき、同一のコーヒー豆2から簡単に個人毎の嗜好にかなうコーヒーを抽出することができる。
なお、最も普及しているパルプ製ペーパーフィルタは、フィルタを構成する素材の匂いが、抽出されるコーヒー液に加味され、味わいを損なうという課題がある。この匂いが移ることを敬遠するため、予めパルプ製コーヒーフィルタに注湯するなどして紙臭さを除去する方法があるが、効果的な成果が得られず不十分である。
これに対し、布製コーヒーフィルタを用いる方法や、サイフォン式抽出方法などによれば、本来のコーヒーの香りを損なわず、良質のコーヒーを抽出することができる。しかし、一般には器具の管理または多少の面倒さのため、一部の愛好家または喫茶店などのドリップコーヒーを提供する場においての利用に留まっている。
コーヒーフィルタ10は、不織布から成る素材で形成されているため、フィルタの素材の匂いが、抽出されるコーヒー液に加味されない。このため、味わいを損なわず、容易にコーヒーを抽出することができる。
なお、図2に示すように、コーヒーフィルタ10は、第3フィルタ13を有し、第3フィルタ13は第2フィルタ12に比べて親水性が大きい不織布から成り、開口からその反対端にかけて一定の幅で第2フィルタ12の一部の上に貼り付けられていてもよい。この構成では、親水性が大きい第3フィルタ13が第2フィルタ12の上に貼り付けられているため、その境界面で第2フィルタ12の表面張力が抑制される。これにより、第2フィルタ12からコーヒー液が滴下する速度を第3フィルタ13で調整ができ、最適な濾過速度にして、コーヒー豆抽出物とコクのバランスよいコーヒーを得ることができる。
また、図3に示すように、コーヒーフィルタ10は、第3フィルタ14を有し、第3フィルタ14は第2フィルタ12に比べて親水性が大きい不織布から成り、開口の反対端で三角形状に第2フィルタ12の一部の上に貼り付けられていてもよい。この構成でも、親水性が大きい第3フィルタ14と第2フィルタ12との境界面で第2フィルタ12の表面張力が抑制されることにより、第2フィルタ12からコーヒー液が滴下する速度を第3フィルタ14で調整ができる。特に、この構成では、親水性が大きい第3フィルタ14が開口の反対端で第2フィルタ12の上に貼り付けられているため、コーヒーを抽出する際、下端となる開口の反対端にコーヒー豆2の粉が詰まってきてもコーヒー液の滴下速度を落ちにくくし、最適な濾過速度にして、コーヒー豆抽出物とコクのバランスよいコーヒーを得ることができる。
図4に示すように、コーヒーフィルタ10は、開口からその反対端にかけて一定の幅で連続する一部について第1フィルタ11と第2フィルタ12とを互いに交換して成っていてもよい。この構成では、親水性が大きい第1フィルタ11が、交換した部分で第2フィルタ12の上に存在しているため、その境界面で第2フィルタ12の表面張力が抑制される。これにより、第2フィルタ12からコーヒー液が滴下する速度を調整ができ、最適な濾過速度にして、コーヒー豆抽出物とコクのバランスよいコーヒーを得ることができる。
本発明の第1の実施の形態のコーヒーフィルタの(a)部分断面図、(b)第1フィルタを内側にしてたたんだ状態を示す側面図、(c)第1フィルタを内側にして開いた状態を示す斜視図、(d)第2フィルタを内側にしてたたんだ状態を示す側面図、(e)第2フィルタを内側にして開いた状態を示す斜視図、(f)第1フィルタを内側にしたときの使用状態を示す斜視図、および(g)第2フィルタを内側にしたときの使用状態を示す斜視図である。 図1に示すコーヒーフィルタの第1の変形例の(a)部分断面図、(b)第1フィルタを内側にしてたたんだ状態を示す側面図、(c)第1フィルタを内側にして開いた状態を示す斜視図、(d)第2フィルタを内側にしてたたんだ状態を示す側面図、(e)第2フィルタを内側にして開いた状態を示す斜視図、(f)第1フィルタを内側にしたときの使用状態を示す斜視図、および(g)第2フィルタを内側にしたときの使用状態を示す斜視図である。 図1に示すコーヒーフィルタの第2の変形例の(a)部分断面図、(b)第1フィルタを内側にしてたたんだ状態を示す側面図、(c)第1フィルタを内側にして開いた状態を示す斜視図、(d)第2フィルタを内側にしてたたんだ状態を示す側面図、(e)第2フィルタを内側にして開いた状態を示す斜視図、(f)第1フィルタを内側にしたときの使用状態を示す斜視図、および(g)第2フィルタを内側にしたときの使用状態を示す斜視図である。 図1に示すコーヒーフィルタの第3の変形例の(a)部分断面図、(b)第1フィルタを内側にしてたたんだ状態を示す側面図、(c)第1フィルタを内側にして開いた状態を示す斜視図、(d)第2フィルタを内側にしてたたんだ状態を示す側面図、(e)第2フィルタを内側にして開いた状態を示す斜視図、(f)第1フィルタを内側にしたときの使用状態を示す斜視図、および(g)第2フィルタを内側にしたときの使用状態を示す斜視図である。
符号の説明
1 ドリッパー
2 コーヒー豆
10 コーヒーフィルタ
11 第1フィルタ
12 第2フィルタ

Claims (1)

  1. 開口を有する袋状のコーヒーフィルタであって、
    それぞれ不織布から成る第1フィルタと第2フィルタとを互いに貼り合わせて成り、内側と外側とを反転可能に構成され、前記第1フィルタは前記第2フィルタよりコーヒー豆抽出物に対する吸着性および親水性が大きく、コーヒー液の濾過速度が速く、一部について前記第1フィルタと前記第2フィルタとを互いに交換して成ることを特徴とするコーヒーフィルタ。
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