JP4156851B2 - マイクロダイセクション装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、組織標本から単一細胞やDNAを取り出すために用いられるマイクロダイセクション装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、遺伝子などの研究分野では、正常細胞や癌などの発達段階にある異常細胞が混在した組織標本から目的とする細胞を取り出すための技術が極めて重要になっている。
【0003】
ところが、細胞を取り出すための技術は、単調な作業にかかわらず時間がかかり、しかも熟練を要するものとなっており、このため分子レベルの分析を目的とする細胞を簡単に取り出すためのものとして、特表2001−526795号公報に開示されるようなマイクロダイセクション装置が提案されている。
【0004】
この装置は、レーザ捕捉式のマイクロダイセクション装置であり、倒立型光学顕微鏡をベースにして、組織標本の目的部分を採取する採取用キャップを保持して搬送するキャップ搬送部およびレーザ照射部が設けられている。キャップ搬送部は、倒立型光学顕微鏡のステージ上に回転および上下動可能に設けられたアームを有しており、このアーム先端部に採取用キャップが保持可能となっている。
【0005】
このようなマイクロダイセクション装置を用いて組織標本の目的とする細胞を採取するには、まず、ステージ中央部に、組織標本が固定されたスライドガラスを載置し、キャップ搬送部を用いて採取用キャップを移動させ、スライドガラスの組織標本上に置く。そして、倒立型光学顕微鏡の観察光学系を通じて組織標本を観察しながら、ステージを手動操作してスライドガラスを水平移動させ、目的とする細胞を組織標本から探し出し、目的とする細胞が観察視野の中心に来るように位置決めする。その後、レーザ照射部からレーザ光を採取用キャップを介して照射し、採取用キャップの熱塑性部分を利用して組織標本の目的とする細胞部分だけを接着させ、この状態から、スライドガラス上から採取用キャップを引き剥がし、採取用キャップとともに、目的とする細胞部分を採取するようになっている。この他に、レーザ光で目的の部分を切り取る方式のマイクロダイセクション装置も知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなマイクロダイセクション装置を用いて組織標本の目的とする細胞を採取する場合、採取する細胞が多いほど、精度の高い分析結果が得られることから、例えば、一つの組織標本上に点在する同種の細胞を極力探し出して採取したり、ほぼ同じ位置に存在するもともと一体だった細胞を採取するなどの作業を行うようにしている。
【0007】
しかしながら、レーザ捕捉式のマイクロダイセクション装置では、これら多くの細胞を採取するには、同一組織標本上で複数箇所に点在する細胞一つ一つについて、ステージを手操作しながら目的とする細胞が観察視野の中心に来るように位置決めし、レーザ光を照射するという作業を繰り返し行わなければならず、このための作業に多大な手間がかかっていた。
【0008】
また、手動のステージ操作でレーザ光の照射位置を決定しているため、作業中、常に神経を集中させておかねばならず、僅かな操作ミスで不要な細胞を採取してしまい分析結果に悪影響を与えるなどのおそれもあった。また、ステージ操作を誤ると、既に観察が済んだ細胞を重複して観察してしまうような無駄な作業を行うこともあった。
【0009】
さらに、スライドガラスを交換したり、スライドガラス上の採取用キャップの載置位置を変えるような場合は、採取用キャップをアームで持ち上げた状態でスライドガラスに物理的に直接接触し、任意の方向に外力を加えてステージ上での位置を調整するようになるため、精度の良い位置決めができないと同時に、カバーガラスが付いていない組織標本上に異物が落下し、コンタミネーションの問題が生じるおそれもある。
【0010】
次に、レーザ捕捉式に限らずマイクロダイセクション装置全般の課題としては、図13に示すように1個の組織標本400を複数にスライスして、これら連続したスライス切片401、402、403…40nについてそれぞれ細胞を採取することがあるが、これらスライス切片401、402、403…40nは、もともと一体だった細胞で酷似した断面形状を有するものであるにもかかわらず、仮に、1枚目のスライス切片401より細胞を採取し、続けて2枚目以降のスライス切片より細胞を採取するような場合は、スライス切片402以降についても全く同じ作業を繰り返して行わなければならず、極めて作業効率が悪いという問題があった。
【0011】
さらに、これらスライス切片401、402、403…40nをそれぞれ組織標本として固定したスライドガラス上では、スライス切片401、402、403…40nの位置が必ずしも同じではなく、多くの場合相対的にずれている。このため、ステージ上に、例えば位置決め用の突き当て部材を設けて、スライドガラス自体の設置位置の精度を確保しても、組織標本自体の位置ずれは残り、これらの位置ずれを補正するのに、さらに面倒な作業が必要となる。
【0012】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、組織標本より目的物を効率よく採取することができるマイクロダイセクション装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、スライドガラスに固定された標本上に採取用キャップを載置し、該採取用キャップにレーザ光を照射することで、前記標本中の目的物を前記採取用キャップに接着させて採取するマイクロダイセクション装置において、前記スライドガラスを前記レーザ光の照射領域に移動する電動ステージと、前記レーザ光の照射領域に設置された前記スライドガラス上の標本中で確認された目的物に対して前記レーザ光の照射領域を設定するレーザ照射領域設定手段とを具備し、前記レーザ照射領域設定手段は、第1のスライドガラスに固定された標本中の目的物に対して設定されたレーザ照射領域に、第2のスライドガラスに固定された標本中の目的物の観察像を重ね合わせて表示し、この結果に応じて該第2のスライドガラス上の目的物のレーザ照射領域を設定することを特徴としている。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記電動ステージ上に設けられ、前記レーザ光の照射領域での前記スライドガラスの設置位置を調整する設置位置調整手段をさらに備えることを特徴としている。
請求項記載の発明は、請求項記載の発明において、設置位置調整手段は、前記電動ステージ上でさらに前記スライドガラスを回転方向に調整する回転調整手段と、前記スライドガラスを直交する2方向に移動調整する移動調整手段の少なくとも一つを有することを特徴としている。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の発明において、レーザ照射領域設定手段は、前記目的物の観察像をドラックアンドドロップにより既設定された目的物のレーザ照射領域に重なるように移動させ、該目的物のレーザ照射領域を設定可能にしたことを特徴としている。
【0017】
請求項5記載の発明は、スライドガラスに固定された標本中の目的物をレーザ光を用いて採取するマイクロダイセクション装置において、前記スライドガラスを載置し、前記レーザ光の前記標本への照射位置を移動する電動ステージと、前記スライドガラスに固定された標本中の目的物に対して前記レーザ光の照射位置を設定するレーザ照射位置設定手段とを有し、前記レーザ照射位置設定手段は、第1のスライドガラスに固定された標本中の目的物に対して設定されたレーザ照射位置に、第2のスライドガラスに固定された標本中の目的物の観察像を重ね合わせて表示し、この結果に応じて該第2のスライドガラス上の目的物のレーザ照射位置を設定することを特徴としている。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記レーザ照射領域設定手段は、レーザ照射位置として前記目的物の輪郭形状を設定することを特徴としている。
【0018】
この結果、本発明によれば、スライドガラスを直接指先で摘まんだり外力を加えて位置決めするような作業がなくなり、顕微鏡観察下で微調整が必要なスライドガラスの位置決め作業を飛躍的に簡単にできる。
【0019】
また、最初に設定された目的とする細胞のレーザ照射領域をそのまま流用して、以後の組織標本に対するレーザ照射領域を設定することができるので、レーザ照射領域を改めて設定するなどの作業を省くことができる。
【0020】
ドラックアンドドロップにより目的物の観察像を移動させるのみでレーザ照射領域を設定できるので、位置ずれの補正を簡単に行うことができる。
なお、前記レーザ照射位置設定手段は、レーザ照射位置として前記目的物の輪郭形状を設定するようにしてもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従い説明する。
【0022】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明が適用されるマイクロダイセクション装置の概略構成、図2は、同マイクロダイセクション装置の観察光学系およびコントロール部を示している。
【0023】
図1において、1は、本装置のベースとなる倒立型光学顕微鏡で、この倒立型光学顕微鏡1には、組織標本2の採取したい細胞部分を接着する採取用キャップ3を保持して搬送するキャップ搬送部4およびレーザ照射部5が設けられている。キャップ搬送部4は、倒立型光学顕微鏡1の電動ステージ6上にアーム支柱7が直立して設けられており、このアーム支柱7にアーム8が回転および上下動可能に設けられている。アーム8の先端には、一対のキャップ保持部9a、9bが水平方向に突出して設けられている。そして、これらキャップ保持部9a、9bにより、採取用キャップ3が保持されている。この場合、採取用キャップ3は、後述するスライドガラス29に載置される側端面に光透過性の熱塑性フィルム3aが設けられている。
【0024】
倒立型光学顕微鏡1の電動ステージ6の上方には、照明部10が設けられている。この照明部10の内部には、レーザ照射部5の他に、照明光源11、光学レンズ12、ダイクロイックミラー13、集光レンズ14が設けられ、照明光源11より放射される照明光が光学レンズ12、ダイクロイックミラー13、集光レンズ14を通して電動ステージ6上方から組織標本2に照射されるようになっている。この場合、組織標本2は、スライドガラス29の中央に、カバーガラスで覆われることなく固定されている。
【0025】
また、レーザ照射部5は、赤外線波長領域のレーザ光を出力する半導体レーザ15と、この半導体レーザ15から出力されるレーザ光の光軸上に配置されるコリメータレンズ16が構成され、半導体レーザ15から出力されるレーザ光は、コリメータレンズ16を通ってダイクロイックミラー13で反射して照明光の光軸と同軸上を進んで観察視野中心にある組織標本2上の採取用キャップ3に照射されるようになっている。
【0026】
倒立型光学顕微鏡1の電動ステージ6の下方には、対物レンズ17、ハーフミラー18、ミラー19および接眼レンズ20からなる観察光学系21とCCDカメラ22が配置されている。観察光学系21は、照明光源11からの照明光が照射され組織標本2を透過した観察光を対物レンズ17、ハーフミラー18を通してミラー19で反射し、接眼レンズ20で目視観察可能にしている。また、CCDカメラ22は、ハーフミラー18の分光光軸上の観察光の結像位置に撮像面が位置するように配置され、接眼レンズ20で目視観察されるのと同じ観察像が撮像できるようになっている。
【0027】
レーザ照射部5には、レーザコントローラ23が接続され、このレーザコントローラ23には、制御用コンピュータ24が接続されている。また、制御用コンピュータ24には、モニタ25、例えばマウスからなるポインティングデバイス26が接続されるとともに、CCDカメラ22および電動ステージコントロールボックス27が接続されている。
【0028】
制御用コンピュータ24は、本マイクロダイセクション装置専用のソフトウェアを組み込んだパーソナルコンピュータからなるもので、この制御用コンピュータ24の命令に基づいてレーザコントローラ23により半導体レーザ15の出力状態が制御されるとともに、電動ステージコントロールボックス27により電動ステージ6に対する電源供給とパルス信号が制御されるようになっている。
【0029】
電動ステージコントロールボックス27には、ジョイスティックコントローラ28が接続されている。このジョイスティックコントローラ28には、図示しないジョイスティックが組み込まれ、このジョイスティックの操作に応じたパルス信号を電動ステージ6に与えるようにしている。ここでは、例えば、ジョイスティックの傾き方向で電動ステージ6側のパルス信号を送るモータの選択と、モ一夕の回転方向が決まり、傾き角度に応じた周波数でパルス信号が発振されてモータが回転し、電動ステージ6が移動するようにしている。
【0030】
また、制御用コンピュータ24は、CCDカメラ22から出力された映像信号を取り込んで記録保存するとともに、モニタ25に撮影した映像を表示するようにしている。
【0031】
図3は、電動ステージ6の概略構成を示すもので、図2と同一部分には、同符号を付している。この場合、倒立型光学顕微鏡1は、凹型の形状の基体100を有し、この基体100の前後に立ち上がった一対の支持部101、102に、それぞれ受け部101a、102aが設けられている。これら受け部101a、102a上には、中心部に孔部601aが形成されたベース板601が固定されている。
【0032】
ベース板601上には、紙面と垂直方向に沿って平行に2本の直動ガイド602が配置され、これら直動ガイド602に沿って中板603が移動可能に設けられている。この場合、中板603は、ベース板601と平行な平面上で、且つ、対物レンズ17の光軸17aと直交する方向(紙面に対して垂直な方向)に移動されるようになっている。
【0033】
中板603上には、紙面の左右方向に沿って平行に直動ガイド604が配置され、これら直動ガイド604に沿って上板605が移動可能に設けられている。この場合、上板605は、中板603と平行な平面上で、且つ、中板603の移動方向に直交する方向(紙面の左右方向)に移動されるようになっている。
【0034】
こうすることで、中板603の移動に際して支持部101、102および照明部10を支持している支柱1000が邪魔になることがなく、また、上板605は、支持部101、102から離れた位置にあるのでストロークの制限を受けずに、大きなストロークを確保することが可能になる。
【0035】
一方、ベース板601の中板603と反対側の面(支持部101、102の受け部101a、102a側の面)には、中板603の駆動用のパルスモータ606と、このパルスモータ606の回転軸に直結されたボールネジ607からなる駆動系が設けられている。ボールネジ607には、ナット608が螺合されている。このナット608には、ベース板601の孔部601aを通して中板603に連結した連結部材609が設けられ、ボールネジ607の回転により、同ボールネジ607の軸方向に移動されるナット608とともに、中板603を移動させるようになっている。また、中板603には、上板605の駆動用のパルスモータ610と、このパルスモータ610の回転軸に直結されたボールネジ611からなる駆動系が設けられている。
【0036】
また、ボールネジ611にも、図4に示すようにナット612が螺合されている。このナット612には、上板605に連結した連結部材613が設けられ、ボールネジ611の回転により、同ボールネジ611の軸方向に移動されるナット612とともに、上板605を移動させるようになっている。
【0037】
この場合、ボールネジ611の軸端は、継手614を介してパルスモータ610の回転軸に固定されている。このパルスモータ610の回転軸の継手614を接続した軸端と反対側の軸端には、パルス発振に起因する振動を抑えるためのダンパ615が設けられている。このダンパ615は、電源オフの時にモータ軸を回すツマミも兼ねている。また、この場合のボールネジ611のねじピッチとパルスモータ610の分解能と送りパルスは、上板605の最小移動量が1パルス当り1μm以下となるように設定されている。
【0038】
なお、上述した中板603を駆動するパルスモータ606についても、図4に示すように、回転軸の軸端には、パルス発振に起因する振動を抑えるとともに、電源オフの時にモータ軸を回すためのツマミを兼ねたダンパ616が設けられ、また、ボールネジ607のねじピッチとパルスモータ606の分解能と送りパルスは、中板603の最小移動量が1パルス当り1μm以下となるように設定されている。
【0039】
こうすることで、上板605や中板603の移動ストロークに制限を生じさせることなく、中板603および上板605の駆動系を省スペースで配置することができる。
【0040】
また、図4は、電動ステージ6の上板605の概略構成を示している。この場合、上板605には、設置位置調整手段を構成する、組織標本2を固定したスライドガラス29が載置される中座30(回転調整手段)が設けられている。この中座30は、上板605と面一の面上で回転できるようになっている。この場合、中座30の周縁部には、突出部30aが設けられ、この突出部30aは、上板605側の切欠け部605a内に挿入されおり、中座30の回転により突出部30aが切欠け部605a端部に当接することで、中座30の回動範囲を規制できるようになっている。また、中座30の下面には、レバー31が固定されている。このレバー31は、中座30の半径方向に沿って配置されるもので、先端部が中座30側に連結され、また、基端部が上板605に形成された長穴605bを介して上板605上面に突出され、この突出部にツマミ32が螺装されている。そして、ツマミ32を持ってレバー31を長穴605bに沿って移動させることで、レバー31を介して中座30が回転され、ツマミ32を締め付けることで、上板605に対しレバー31が固定状態となり、中座30の上板605に対する回転位置を固定できるようになっている。
【0041】
なお、中座30の回転機構については、ラックとピニオンまたは歯車を組み合わせたものなど、種々の構成のものを用いることができる。
【0042】
このようにして、上板605上において、中座30を微調整可能に回転できるようにすることで、組織標本2面の光軸方向の高さを変えることなく、スライドガラス29の傾きを簡単に調整できるようになる。
【0043】
なお、中座30には、回転中心付近に透孔30bが形成されている。この透孔30bは、スライドガラス29越しに対物レンズ17を介して組織標本2を観察可能にするためのものである。
【0044】
中座30には、この中座30とともに設置位置調整手段を構成する、図5(a)(b)に示すような直交2軸のサブステージ33(移動調整手段)が固定されている。この場合、中座30の突出部30aには、サブステージ33の固定位置に位置決め用の2個所の嵌合穴30c、30dが設けられ、一方、サブステージ33のベース33aには、嵌合穴30c、30dと相対する位置に2本のピン(図示せず)が設けられており、これらピンを嵌合穴30c、30dに嵌合することにより、中座30に対してサブステージ33が位置決め固定できるようになっている。
【0045】
サブステージ33のベース33aには、L字形の移動部品34がスライドガラス29の長辺方向に沿って往復移動可能に設けられ、また、この移動部品34には、スライドガラス受け35がスライドガラス29の短辺方向に沿って往復移動可能に設けられている。この場合、スライドガラス受け35は、バネ力が働いた押付部材35aを有しており、この押付部材35aによりスライドガラス29を当り面35b側に押し付けることで保持するようになっている。
【0046】
また、サブステージ33は、ベース33aにツマミ36が設けられ、このツマミ36を回すことで、移動部品34がスライドガラス29の長辺方向に微調整可能に移動され、また、移動部品34にもツマミ37が設けられ、このツマミ37を回すことで、スライドガラス受け35がスライドガラス29の短辺方向に微調整可能に移動されるようになっており、これらツマミ36、37をそれぞれ独立して回すことで、スライドガラス29の長辺方向と短辺方向ヘの移動量を微調整できるようになっている。
【0047】
このようなサブステージ33を設けることにより、中座30上でスライドガラス29を直接指先で摘まんで位置決めするような作業がなくなり、顕微鏡観察下で微調整が必要なスライドガラス29の位置決め作業を飛躍的に簡単にできる。また、スライドガラス29の微妙な位置変更の際に、直接スライドガラス29を触らずに済むことから、採取する組織標本2のコンタミの増加を抑える効果もある。
【0048】
図4に戻って、電動ステージ6の上板605の側面に対向する位置には、上板605の移動方向に沿って原点検出器38、レーザ照射域検出器39およびオーバーラン防止検出器40が並べて設けられている。この場合、原点検出器38、レーザ照射域検出器39およびオーバーラン防止検出器40には、例えば、光透過形のフォトセンサが用いられ、上板605側に設けられる光遮蔽部605cがそれぞれのセンサに対する光の透過を遮断することで、それぞれの状態を検出するようになっている。
【0049】
ここで、原点検出器38は、電動ステージ6の機械的原点位置を検出するもので、オーバーラン防止検出器の機能も兼ね備えている。また、レーザ照射域検出器39は、レーザ照射領域を検出するもので、半導体レーザ15からのレーザ光の光軸に対して採取用キャップ3の中心位置が一致した状態にあるときにレーザ照射領域の中心を検出するように設定されている。また、レーザ照射域検出器39は、採取用キャップ3の熱塑性フィルム3aの大きさよりも若干広い領域をレーザ照射領域として検出できるように構成されており、採取用キャップ3の組織標本2上で設置位置ずれが生じてもレーザ照射領域を外れることがないようにしている。さらに、オーバーラン防止検出器40は、パルスモータ脱調時のオーバーランを防止するためのものである。
【0050】
なお、図4では、上板605の移動方向に沿って原点検出器38、レーザ照射域検出器39およびオーバーラン防止検出器40が並べて設けられる構成についてのみ示しているが、中板603についても図示していないが、上述と同様にして移動方向に沿って原点検出器38、レーザ照射域検出器39およびオーバーラン防止検出器40が並べて設けられ、上述したと同様な動作を得られるようになっている。
【0051】
次に、このように構成されたマイクロダイセクション装置により採取用キャップ3を用いて組織標本2の目的とする細胞を採取するまでの手順と制御用コンピュータ24に組み込まれた専用ソフトウェアによる動作について説明する。
【0052】
なお、ここでは、組織標本2を複数にスライスして、これら連続したスライス切片の組織標本2について、それぞれ目的とする細胞を採取するような場合を説明する。
【0053】
まず、マイクロダイセクション装置の電源を投入して制御用コンピュータ24の専用ソフトウェアを起動する。すると、自動的に実行される初期化動作に従って、電動ステージ6は、原点検出器38により原点位置検出を行って、原点から所定の距離だけ離れたレーザ照射領域へ移動して待機する。
【0054】
この時のステージ位置は、キャップ搬送部4のアーム8により採取用キャップ3を組織標本2上に載置したときに、レーザ光軸(照明光の光軸)とキャップ中心軸とが一致する位置である。
【0055】
この状態で、サブステージ33のスライドガラス受け35に設けられた押付部材35aをバネ力に抗して手で広げ、スライドガラス29を当り面35bに当て付けるようにして設置し、その後、押付部材35aから手を放し、バネ力が作用された押付部材35aでスライドガラス29を当り面35bに押し付けて保持させる。
【0056】
次に、倒立型光学顕微鏡1の照明光源11から照明光を光学レンズ12、ダイクロイックミラー13、集光レンズ14を通して電動ステージ6上方からスライドガラス29上の組織標本2に照射し、組織標本2を透過した観察光を対物レンズ17、ハーフミラー18、ミラー19を通し接眼レンズ20で目視観察する。
【0057】
接眼レンズ20での目視観察により組織標本2の目的とする細胞群を探し出し、サブステージ33のツマミ36、37を操作してスライドガラス29の電動ステージ6上での位置を微調整しながら、組織標本2の採取したい細胞群をCCDカメラ22で撮像し、制御用コンピュータ24のモニタ25上に映し出す。
【0058】
次に、キャップ搬送部4のアーム8を降下させ、採取用キャップ3をスライドガラス29の組織標本2上へ載置する。この状態で電動ステージ6を駆動してCCDカメラ22で顕微鏡像を撮像し、採取用キャップ3の熱塑性フィルム3a面に密着された領域全体の組織標本2の観察像(マクロ画像)を顕微鏡像の貼り合わせによって構築する。(この考えは、特開平9−281405に開示されている。)
この場合、予め、採取用キャップ3の熱塑性フィルム3aの寸法と対物レンズ17の倍率毎の撮影範囲が分っていれば、対物レンズ17の倍率に応じた電動ステージ6の移動量と移動範囲が必然的に決まることから、専用ソフトウェアによりマクロ画像取込み開始を指示することで、電動ステージ6による所定位置へのスライドガラス29の移動、顕微鏡像の撮影、撮影した像の保存などを一連の動作として行うことができる。ただし、作業時間の短縮、保存データ容量の節約の観点から、通常、このマクロ画像の構築には低倍の対物レンズが使用されるのが一般的である。また、連続切片からの細胞採取を目的としない場合は、マクロ画像の構築は必ずしも必要ではなく、一連の手順から省略することができる。
【0059】
また、モニタ25は、図6に示すようにCCDカメラ22で現在撮影している1視野の顕微鏡観察像Aと、上述したマクロ画像を縮小して熱塑性フィルム3a面領域全体の組織標本2の像と確認できるようにしたマップ画像Bとが常に表示される画面を構成している。この場合、マップ画像B上には、採取用キャップ3の熱塑性フィルム3aの外周形状を示す円形部301と現在撮影している顕微鏡観察像の視野領域を示す指標302とが重ね合せて表示され、採取用キャップ3の熱塑性フィルム3a面内における現在撮影している1視野の位置を確認することができる。
【0060】
次に、採取したい細胞を、熱塑性フィルム3aと密接した部分の組織標本2の領域全体から顕微鏡像を観察しながら探し出していく。この場合、図7に示すようにスライドガラス29の組織標本2内で適当な領域を20aを特定し、採取したい細胞201の大きさごとに対物レンズ17の倍率を切換えて、最終的に組織標本2内の採取したい細胞201が観察視野内一杯に収まるまで拡大して顕微鏡観察を行う。この場合、対物レンズ17を切換える図示しないレボルバーには、レンズ倍率識別器が組み込まれており、レンズ倍率の切換えに応じてレンズ倍率情報が制御用コンピュータ24に取り込まれ、電動ステージ6の移動量や速度が自動的に制御される。
【0061】
その後、採取したい細胞を確認したところで、レーザ照射領域設定手段により採取用キャップ3を通して組織標本2上にレーザ光を照射する領域を設定する。このレーザ光照射領域の設定は、組織標本2中の採取したい細胞201の輪郭に応じて設定し易い設定モードを選択して、ポインティングデバイス26を用いて行う。この場合の設定モードとしては、中心点と円周上の一点を指示する円領域設定モード、対向する2角を指示する矩形領域設定モードあるいは採取したい細胞の輪郭をポインティングデバイス26でなぞり、なぞった通りに領域を指定する任意曲線領域設定モードなどがあり、細胞の輪郭に応じて領域設定を効率的に行えるような配慮がなされている。
【0062】
図8は、任意曲線領域設定モードにより領域を設定する例を示しており、細胞201の輪郭に沿ってポインティングデバイス26でなぞり(図示太線で示している)、このなぞった曲線が最外周となるようなレーザ照射領域を設定する。そして、レーザ光を照射時には、設定された領域の内側全域(図示ハッチンク部分)にレーザ光が照射されるように電動ステージ6が自動的に移動される。
【0063】
このようにして、レーザ照射領域設定時は、採取用キャップ3の熱塑性フィルム3a面内全域が対物レンズ倍率固有の視野に分けて、それぞれの視野から視野へ電動ステージ6をステップ移動させながら、採取用キャップ3の熱塑性フィルム3a面内全域にわたって採取したい細胞を探し出し、レーザ照射領域を設定するようになる。この場合、視野周辺に存在する細胞の見落としを防ぐために、視野周辺を僅かにオーバーラップさせるような移動量で電動ステージ6をステップ移動させるのが望ましい。
【0064】
次に、組織標本2上の任意の位置を基準位置として設定し、そのステージ座標(基準位置座標)を登録すると同時に、顕微鏡観察像(基準位置顕微鏡像)を登録する。モニタ25上で登録した顕微鏡像と比較して、隣接していた切片サンプルと同じ位置と認識できるような特徴的な形状をした位置を電動ステージ駆動しながら探し出し、基準位置座標として保存する。
【0065】
通常、組織標本2の最外周部分は、認識し易く、その一部を基準位置として指定することが多い。この基準位置は、熱塑性フィルム3aの内側でも外側でも良く、採取する細胞であってもそうでなくても構わない。また、連続切片サンプル以外のサンプルの場合、この基準位置設定は省略できる。
【0066】
設定した各レーザ照射領域の重心座標と、その領域をモニタ上に表示する輪郭線のデータと、基準位置座標とを、顕微鏡像と別ファイルで保存し、任意の顕微鏡像と基準位置座標を合せた状態で重ね合せ表示することができる。また、マップ画像上には、各レーザ照射領域の重心位置を示す指標を表示し、採取用キャップ3の熱塑性フィルム3a面内におけるレーザ照射領域の分布状態を把握できるようにしている。さらに、半導体レーザの出力状態に応じて電動ステージ6の移動量と移動速度を設定することもできる。
【0067】
このようにして設定した複数のレーザ照射領域の重心座標から重心座標へ電動ステージ6を自動移動しながら、照射領域内全体についてレーザ光を自動的に照射していく。この場合、図2に示すように、半導体レーザ15から出力されるレーザ光は、コリメータレンズ16を通ってダイクロイックミラー13で反射して照明光の光軸と同軸上を進んで採取用キャップ3に照射される。これにより熱塑性フィルム3aは徐々に熱せられ、接触している組織標本2の採取したい細胞が接着される。
【0068】
そして、これら設定されたレーザ照射領域へのレーザ照射が完了したら、アーム8を持ち上げて採取用キャップ3をスライドガラス29から剥がして、採取用キャップ3に貼り付いている目的とする細胞のみを採取する。
【0069】
そして、目的とする細胞を採取した採取用キャップ3は、そのまま図示しない分析用マイクロチューブの蓋として使用されるとともに、採取された細胞群の培養が分析用マイクロチューブ内で行われる。
【0070】
次に、スライドガラス29上の採取用キャップ3を載せた部分以外の箇所で細胞を採取するには、まず、サブステージ33を操作してスライドガラス29を目的の箇所まで移動し、アーム8を下げて採取用キャップ3を再びスライドガラス29上へ載置する。その後の細胞の採取までの手順は、上述したと同様であり、ここでの説明は省略する。
【0071】
次に、1枚目のスライドガラスについて細胞の採取が完了したら、サブステージ33の押付部材35aをバネ力に抗し手で開いてスライドガラス29を外し、隣接していた組織標本2を載せた2枚目のスライドガラス29をサブステージ33にセットする。
【0072】
この場合、1枚目のスライドガラス29とその組織標本2に隣接していた組織標本2を載せた2枚目のスライドガラスの断面形状とは十分酷似していることが予測できる。従って、電動ステージ6に対して同じ位置に2枚目のスライドガラス29上の組織標本2が設置できれば1枚目のスライドガラス29で登録したレーザ照射領域を殆ど変更すること無く使用でき、レーザ照射領域の設定作業を大幅に簡単化することができる。
【0073】
以下、2枚目以降のスライドガラス29の位置合せ手順について記述する。
【0074】
この場合、基準位置呼出し機能を使って、保存していた1枚目のスライドガラス29の基準位置を呼出す操作を行う。
【0075】
すると、制御用コンピュータ24の指示に従い、電動ステージ6が基準位置座標に移動すると同時に、基準位置顕微鏡像がモニタ25上に表示され、更にオーバーラップ機能が働く。ここで、オーバーラップ機能とは、登録・保存していた顕微鏡像と電動ステージ6上にあるスライドガラス29のライブ像を重ね合せて表示する機能である。つまり、図9に示すように2枚目のスライドガラス29の顕微鏡像をライブ像Aとして1枚目のスライドガラス29の基準位置顕微鏡像Bと重ね合せて、オーバーラップ画像Cを得るための機能である。
【0076】
この場合、電動ステージ6が基準位置座標に停止した状態でサブステージ33を操作して2枚目のスライドガラス29のライブ像Aのうち、1枚目のスライドガラス29基準位置顕微鏡像Bの特徴的な形状部分と同様な部分を、オーバーラップ画像Cとしてモニタ25上に表示させる。
【0077】
ところで、組織標本2の位置や傾きは、通常、スライドガラス29ごとに異なっているので、図9のオーバーラップ画像Cに示すように1枚目と2枚目のスライドガラス29のそれぞれの組織標本2にずれを生じる。(なお、これら1枚目と2枚目を区別するため、1枚目のスライドガラス29の組織標本2には(#1)、2枚目のスライドガラス29の組織標本2には(#2)が付記されている。以下、同様である。)
このような場合は、図10に示すように、2枚目のスライドガラス29の組織標本2(#2)について中座30を図示矢印D方向に回転させて傾きを調整し、サブステージ33のXY操作により位置を図示矢印E方向に移動させて、1枚目のスライドガラス29の組織標本2(#1)と、2枚目のスライドガラス29の組織標本2(#2)の位置を一致させる。
【0078】
次に、基準位置への位置合せが完了したところで、アーム8を降下させて採取用キャップ3をスライドガラス29上へ載置する。そして、1枚目のスライドガラス29で設定したレーザ照射領域の2枚目のスライドガラス29ヘの有効性を確認する。この場合、2枚目のスライドガラス29の顕微鏡ライブ像に1枚目のスライドガラス29のレーザ照射領域をオーバーレイ表示させる同時に、電動ステージ6を最初のレーザ照射領域の重心座標が像中心にくるように移動する。ここで、図11(a)に示すように2枚目のスライドガラス29の顕微鏡ライブ像内の採取したい細胞201と1枚目のスライドガラス29で設定したレーザ照射領域202とが確実に重なり合っていれば、レーザ照射領域を改めて設定する必要はないが、同図(b)に示すように、ずれが生じていて不要な箇所にもレーザ光を照射する状態になっていればレーザ照射領域を再設定しなければならない。しかし、ここでの細胞は、同一の組織標本をスライスしたものであるから、ずれの殆どが形状や大きさに関わるものでなく位置のずれにとどまる。この位置ずれは、ソフトウェア上でレーザ照射領域を任意の距離だけオフセット移動できる機能を使い、モニタ25上でポインティングデバイス26を用いて採取したい細胞201の観察像をドラックアンドドロップにより1枚目のスライドガラス29のレーザ照射領域202に重なるように移動させることで、その移動量だけ電動ステージ6が移動され位置ずれが補正される。
【0079】
一方、位置ずれに加えて細胞の形状や大きさがずれている場合は、設定されていたその位置のレーザ照射領域を一度削除して、再度最適なレーザ照射領域を設定する。このレーザ照射領域の有効性の確認と再設定は、採取用キャップ3の熱塑性フィルム3a面内全域で行う。この場合、既にレーザ照射領域は、1枚目のスライドガラス29で設定されているため、2枚目以降のスライドガラス29では採取したい細胞の位置が分かっており、探す手間が省かれ、更にレーザ照射領域の設定作業を大幅に削減することができる。レーザ照射領域の設定が完了したら1枚目のスライドガラス29と同様にレーザ光を照射する。以下、3枚目以降についても上述したと同様にしてスライドガラス29の位置合せが行われる。
【0080】
従って、このようにすれば、電動ステージ6によりスライドガラス29をレーザ光の照射領域まで移動した状態から、さらに中座30を微調整可能に回転することにより、組織標本2面の光軸方向の高さを変えることなく、スライドガラス29の傾きを簡単に調整することができ、同時に、サブステージ33のツマミ36、37をそれぞれ回すことで、XY軸方向、つまりスライドガラス29の長辺方向と短辺方向ヘの移動量も微調整できるので、スライドガラス29を直接指先で摘まんで位置決めするような作業がなくなり、顕微鏡観察下で微調整が必要なスライドガラス29の位置決め作業を飛躍的に簡単にできる。また、スライドガラス29の微妙な位置変更の際に、直接スライドガラス29を触らずに済むことから、採取する組織標本2のコンタミの増加を抑える効果もある。
【0081】
また、組織標本2を複数にスライスして、これら連続したスライス切片の組織標本2について、それぞれ目的とする細胞を採取するような場合、各スライドガラス29上で固定位置が微妙にずれている組織標本2についても、最初に設定された目的とする細胞のレーザ照射領域をそのまま流用して、以後の組織標本2に対するレーザ照射領域を設定することができるので、レーザ照射領域を改めて設定するなどの作業を省くことができる。
【0082】
さらに、最初に設定されたレーザ照射領域に対し、以後の組織標本2中の目的とする細胞の観察像をドラックアンドドロップにより重ねるように移動させるのみでレーザ照射領域を設定することもできるので、位置ずれの補正を簡単に行うことができる。
【0083】
(第2の実施の形態)
ところで、1枚目のスライドガラス29の組織標本2を染色し、この組織標本2内の採取細胞位置を同定し、2枚目以降について無染色の組織標本2について細胞を採取するようにすれば、細胞に与えるダメージを少なくでき、より精度の高い分析が可能となる。
【0084】
そこで、この第2の実施の形態では、2枚目以降について無染色の組織標本2について細胞を採取できるようにしたものである。
【0085】
図12は、第2の実施の形態の概略構成を示すもので、図2と同一部分には、同符号を付している。
【0086】
この場合、倒立型光学顕微鏡1は、観察光学系21の対物レンズ17とハーフミラー18との間の光路に、無染色の組織標本2を顕微鏡観察するために微分干渉検鏡用のアナライザ41とDICプリズム42が出し入れ可能に配置され、また、ダイクロイックミラー13と集光レンズ14との間の光路に、ポラライザ43とDICプリズム44が出し入れ可能に配置されている。
【0087】
そして、1枚目のスライドガラス29の染色した組織標本2の採取細胞位置を同定したのち、2枚目以降について無染色の組織標本2について細胞を採取する際に、アナライザ41とDICプリズム42を対物レンズ17とハーフミラー18との間の光路に、ポラライザ43とDICプリズム44をダイクロイックミラー13と集光レンズ14との間の光路上にそれぞれ挿入し、この状態で、微分干渉観察を行うことにより、無染色の組織標本2上の採取する細胞の位置を同定することが可能となり、染色した組織標本2の場合と同様にして細胞を採取することができる。なお、レーザ照射時は、損傷を防ぐため、これらアナライザ41とDICプリズム42、ポラライザ43とDICプリズム44は、予め光路上から外しておき、微分干渉観察時に再び光路上に挿入する。
【0088】
従って、このようにすれば、2枚目以降について無染色の組織標本2について細胞を採取できるので、細胞に与えるダメージを少なくでき、より精度の高い分析が可能となる。
【0089】
なお、例えば、第1および第2の実施の形態において、連続切片サンプルの2枚目以降に対する採取動作については、レーザ捕捉式でないタイプのマイクロダイセクション装置にも適用できる。すなわち、1枚目の標本に対して基準位置を設定し、2枚目以降の標本に対して基準位置呼び出し機能、オーバラップ機能、レーザ照射領域(標本を切り取るためのレーザ照射位置)のオフセット機能を用いることにより、最初に設定されたレーザ照射領域(レーザ照射位置)の流用や位置ずれ補正を簡単に行うことができるようになる。
【0090】
なお、レーザ捕捉式でないタイプのマイクロダイセクション装置では、例えば目的物の輪郭を切り取るようにレーザを照射するので、この場合には、レーザ照射領域の代わりにレーザ照射位置(例えば目的物の輪郭形状)を設定するようにする。具体的には、第1の実施の形態のレーザ照射領域設定と同じようにポインティングディバイスを用いて目的物の輪郭形状を設定し、レーザ光の照射時に、設定した輪郭上だけにレーザ光を照射するように電動ステージを制御する。
【0091】
さらに、レーザ照射領域設定手段または照射位置設定手段に、ソフトウエア上で照射領域(照射位置)のオフセット機能に加えて回転機能を持たせてもよい。モニタ上で照射領域(照射位置)を回転できれば、連続切片サンプルの場合に位置とともに向きがずれていても容易に修正できる。
【0092】
その他、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、実施段階では、その要旨を変更しない範囲で種々変形することが可能である。
【0093】
さらに、上記実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示されている複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出できる。例えば、実施の形態に示されている全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題を解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出できる。
【0094】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、組織標本より目的物を効率よく採取することができるマイクロダイセクション装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態が適用されるマイクロダイセクション装置の概略構成を示す図。
【図2】第1の実施の形態が適用されるマイクロダイセクション装置の観察光学系およびコントロール部を示す図。
【図3】第1の実施の形態に用いられる電動ステージの概略構成を示す図。
【図4】第1の実施の形態に用いられる電動ステージを上板側から見た概略構成を示す図。
【図5】第1の実施の形態に用いられる電動ステージのサブステージの概略構成を示す図。
【図6】第1の実施の形態のモニタにおける顕微鏡観察像とマップ画像の表示例を示す図。
【図7】第1の実施の形態の組織標本の領域から採取したい細胞を探し出すための手段を説明する図。
【図8】第1の実施の形態のレーザ光照射領域を設定する方法を説明する図。
【図9】第1の実施の形態の1枚目のスライドガラスの基準位置顕微鏡像に2枚目のスライドガラスの顕微鏡像を重ねオーバーラップ画像を得るための機能を説明する図。
【図10】第1の実施の形態の1枚目のスライドガラスに対する2枚目のスライドガラスのずれの補正を説明する図。
【図11】第1の実施の形態の採取したい細胞のずれの補正を説明する図。
【図12】本発明の第2の実施の形態の概略構成を示す図。
【図13】従来の組織標本を複数にスライスして連続したスライス切片を生成する例を説明する図。
【符号の説明】
1…倒立型光学顕微鏡
2…組織標本
3…採取用キャップ
3a…熱塑性フィルム
4…キャップ搬送部
5…レーザ照射部
6…電動ステージ
7…アーム支柱
8…アーム
9a.9b…キャップ保持部
10…照明部
11…照明光源
12…光学レンズ
13…ダイクロイックミラー
14…集光レンズ
15…半導体レーザ
16…コリメータレンズ
17…対物レンズ
17a…光軸
18…ハーフミラー
19…ミラー
20…接眼レンズ
21…観察光学系
22…CCDカメラ
23…レーザコントローラ
24…制御用コンピュータ
25…モニタ
26…ポインティングデバイス
27…電動ステージコントロールボックス
28…ジョイスティックコントローラ
29…スライドガラス
30…中座
30a…突出部
30b…透孔
30c.30d…嵌合穴
31…レバー
32…ツマミ
33…サブステージ
33a…ベース
34…移動部品
35a…押付部材
35b…当り面
36.37…ツマミ
38…原点検出器
39…レーザ照射域検出器
40…オーバーラン防止検出器
100…基体
101.102…支持部
601…ベース板
601a…孔部
602…直動ガイド
603…中板
604…直動ガイド
605…上板
605a…切欠け部
605b…長穴
605c…光遮蔽部
606、610…パルスモータ
607、611…ボールネジ
608、612…ナット
609、613…連結部材
614…継手
615、616…ダンパ
201…細胞
202…レーザ照射領域
301…円形部
302…指標
41…アナライザ
42…DICプリズム
43…ポラライザ
44…DICプリズム

Claims (6)

  1. スライドガラスに固定された標本上に採取用キャップを載置し、該採取用キャップにレーザ光を照射することで、前記標本中の目的物を前記採取用キャップに接着させて採取するマイクロダイセクション装置において、
    前記スライドガラスを前記レーザ光の照射領域に移動する電動ステージと、
    前記レーザ光の照射領域に設置された前記スライドガラス上の標本中で確認された目的物に対して前記レーザ光の照射領域を設定するレーザ照射領域設定手段とを具備し、
    前記レーザ照射領域設定手段は、第1のスライドガラスに固定された標本中の目的物に対して設定されたレーザ照射領域に、第2のスライドガラスに固定された標本中の目的物の観察像を重ね合わせて表示し、この結果に応じて該第2のスライドガラス上の目的物のレーザ照射領域を設定することを特徴とするマイクロダイセクション装置。
  2. 前記電動ステージ上に設けられ、前記レーザ光の照射領域での前記スライドガラスの設置位置を調整する設置位置調整手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載のマイクロダイセクション装置。
  3. 設置位置調整手段は、前記電動ステージ上でさらに前記スライドガラスを回転方向に調整する回転調整手段と、前記スライドガラスを直交する2方向に移動調整する移動調整手段の少なくとも一つを有することを特徴とする請求項2記載のマイクロダイセクション装置。
  4. レーザ照射領域設定手段は、前記目的物の観察像をドラックアンドドロップにより既設定された目的物のレーザ照射領域に重なるように移動させ、該目的物のレーザ照射領域を設定可能にしたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のマイクロダイセクション装置。
  5. スライドガラスに固定された標本中の目的物をレーザ光を用いて採取するマイクロダイセクション装置において、
    前記スライドガラスを載置し、前記レーザ光の前記標本への照射位置を移動する電動ステージと、
    前記スライドガラスに固定された標本中の目的物に対して前記レーザ光の照射位置を設定するレーザ照射位置設定手段とを有し、
    前記レーザ照射位置設定手段は、第1のスライドガラスに固定された標本中の目的物に対して設定されたレーザ照射位置に、第2のスライドガラスに固定された標本中の目的物の観察像を重ね合わせて表示し、この結果に応じて該第2のスライドガラス上の目的物のレーザ照射位置を設定することを特徴とするマイクロダイセクション装置。
  6. 前記レーザ照射領域設定手段は、レーザ照射位置として前記目的物の輪郭形状を設定することを特徴とする請求項5記載のマイクロダイセクション装置。
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