JP4156224B2 - 簡易伸縮パイプ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、農園芸用の支柱等として使用される簡易伸縮パイプに関する。
【0002】
【従来の技術】
掃除具の柄などに使用される伸縮パイプとしては、例えば、外管の一端に複数の割溝を設け、この外管に挿入した内管を、外管の一端に螺合したナットで締付固定するようにしたものがよく知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の伸縮パイプは、内管をナットで摺動しないように強個に締付固定できるけれども、製造コストが高くなるという欠点があった。それゆえ、上記の伸縮パイプは、農園芸用支柱のように製造コストを抑え、内管を摺動しない程度に軽く固定できればよい用途には、品質が過剰であり、不向きであった。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、内管を摺動しない程度に軽く固定できる安価な簡易伸縮パイプを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る簡易伸縮パイプは、頂部に開口が形成された弾性変形可能なキャップと、このキャップが一端に被着された外管体と、このキャップの開口を通して外管体に挿入された内管体とから成る伸縮パイプであって、上記キャップは軟質塩化ビニル樹脂製又は軟質オレフィン系樹脂製のキャップであり、上記キャップが軟質塩化ビニル樹脂製である場合は上記内管体の被覆樹脂がオレフィン系樹脂であり、上記キャップが軟質オレフィン系樹脂製である場合は上記内管体の被覆樹脂が塩化ビニル樹脂であり、上記キャップの開口は内管体の外径より若干小さな口径を有し、内管体により拡径されて開口の周縁部が内管体の外周面に弾接すると共に、内管体の押し込み方向及び引き出し方向に変形する周縁部に形成されていることを特徴とするものである。
【0006】
かかる構成の簡易伸縮パイプは、内管体の外周面とこれに弾接している弾性変形可能なキャップの開口周縁部との摩擦力によって、内管体を摺動しない程度に軽く固定することができ、摩擦力より大きい力で内管体を強制的に押したり引いたりすると、キャップの開口周縁部が内管体の押し出し方向や引し出し方向に変形して、比較的スムーズに内管体が摺動し、伸縮パイプの全長を簡単に増減調節することができる。しかも、この簡易伸縮パイプのようにキャップの開口周縁部が内管体の外周面に弾接していると、雨水等がキャップの開口から外管体の内部に侵入しないため、外管体の内面に錆が発生するのを防止することができる。また、キャップと内管体の被覆樹脂が共に塩化ビニル樹脂であると、可塑剤が経時的に表面に浸出してキャップと内管体とが固着するため、内管体の摺動が困難になったり、無理に摺動させるとキャップの開口周縁部が破損するなどの不都合を生じるが、この簡易伸縮パイプのように、キャップが軟質塩化ビニル樹脂製である場合に内管体の被覆樹脂がオレフィン系樹脂であり、或いは、キャップが軟質オレフィン系樹脂製である場合に内管体の被覆樹脂が塩化ビニル樹脂であると、キャップと内管体が固着しないため、そのような不都合を生じることはない。
また、この簡易伸縮パイプは、外管体と内管体とキャップからなる極めてシンプな構造のパイプであって、複雑な加工や成形が一切不要であるため、製造コストを安価に抑えることもできる。
【0007】
弾性変形可能なキャップとしては、請求項2の簡易伸縮パイプに使用されるキャップのように、基筒部と、この基筒部から頂部に向かって延設されたテーパ筒部と、このテーパ筒部が途中で切断されて形成された開口とを備えたものや、請求項3の簡易伸縮パイプに使用されるキャップのように、基筒部と、この基筒部から頂部に向かって延設されたテーパ筒部と、このテーパ筒部の先端から内側へ丸みをもって曲成された開口の周縁部とを備えたものなどが好適である。前者のキャップは、外管体の端部に被着するキャップをそのテーパ筒部の途中で切断するだけで簡単且つ安価に造ることができ、後者のキャップは、内管体を摺動させてパイプ全長を増減調節するときに、丸みをもって曲成された開口の周縁部が内管体の摺動方向に柔軟に変形できるため、亀裂などを生じることがないといった利点を有する。
【0008】
次に、本発明の請求項4に係る簡易伸縮パイプは、上記請求項1〜3の簡易伸縮パイプにおいて、外管体が合成樹脂被覆管であり、内管体が合成樹脂被覆管又は合成樹脂被覆線であることを特徴とする。
【0009】
このような簡易伸縮パイプは、外管体が合成樹脂で被覆されたものであり、内管体も上記のようにポリオレフィン系樹脂又は塩化ビニル樹脂で被覆されたものであるから、表面に錆びを発生することがない。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。
【0014】
図1は本発明の一実施形態に係る簡易伸縮パイプの一部破断正面図、図2は同簡易伸縮パイプの内管体を押し込んだときの状態を示す拡大要部断面図、図3は同簡易伸縮パイプの内管体を引き出したときの状態を示す拡大要部断面図、図4は同簡易伸縮パイプに用いるキャップの拡大断面図である。
【0015】
この簡易伸縮パイプは、外管体1と、これより小径の内管体2と、三つのキャップ3,4,5より成るものである。
【0016】
この簡易伸縮パイプの外管体1は、図1〜図3に示すように、金属管1aの表面に合成樹脂の被覆層1bを形成した合成樹脂被覆管であり、また、内管体2も金属管2aの表面に合成樹脂の被覆層2bを形成した合成樹脂被覆管であるが、場合によっては、内管体2として金属線の表面に合成樹脂の被覆層を形成した合成樹脂被覆線を使用してもよい。
【0017】
外管体1及び内管体2の金属管1a,1bは軟質の鉄等からなるものであり、特に、円周方向の突合わせ端部が溶接されていない開環状の断面を有する安価な「オープン管」が好ましく使用されるが、突合わせ端部を溶接した通常の管も勿論使用される。尚、外管体1及び内管体2の被覆層1b,2bの合成樹脂については後述する。
【0018】
この外管体1の両端と内管体2の一端に被着された三つのキャップ3,4,5のうち、キャップ3,5は頂部が閉塞した通常のキャップであるが、外管体1の一端に被着されているキャップ4は、その頂部に開口が形成された弾性変形可能なキャップである。
【0019】
即ち、このキャップ4は、軟質塩化ビニル樹脂や軟質オレフィン系樹脂(軟質ポリエチレン、ポリプロピレン等)などの軟質合成樹脂、或は、ゴム系合成樹脂から成る弾性変形可能なキャップであって、図4に示すように、外管体1の一端に外嵌される基筒部4aと、この基筒部4aから頂部に向かって延設されたテーパ筒部4bと、このテーパ筒部4bを途中で切断して形成された開口4cとを備えたものであり、該開口4cが内管体2の外径よりも若干小さな口径を有している。
【0020】
そして、このキャップ4の開口4cを通して内管体2が外管体1に挿入され、該開口4cの周縁部4dが内管体2により拡径されて内管体2の外周面に弾接している。そのため、このキャップ4の開口周縁部4dと内管体2との摩擦力によって、内管体2は小さな外力を受けても摺動しない程度に軽く固定され、弾接する開孔周縁部4dによって外管体1への水の侵入も防止されている。そして、図2に示すように摩擦力より大きい力で内管体2を強制的に押し込むと、キャップ4の開口周縁部4dは内管体2の押し込み方向に変形し、逆に図3に示すように内管体2を強制的に引き出すと、開口周縁部4dが内管体2の引き出し方向に変形して、比較的スムーズに内管体2が摺動し、伸縮パイプの全長を増減調節することができるようになっている。
【0021】
また、前述の頂部が閉塞されたキャップ3,5は、外管体1や内管体2への水や土の侵入を防止するものであり、上記キャップ4と同様の軟質合成樹脂や他の硬質合成樹脂で成形されたキャップが使用される。
【0022】
外管体1や内管体2の被覆層1b,2bを形成する合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、塩化ビニル樹脂等のビニル系樹脂が好ましく使用されるが、特に、内管体2の被覆層2bを形成する好ましい合成樹脂は、前記キャップ4の軟質合成樹脂の種類に応じて異なる。
【0023】
即ち、前記キャップ4が軟質塩化ビニル樹脂製のキャップである場合は、内管体2の被覆層2bを同種の塩化ビニル樹脂で形成すると、可塑剤が経時的に浸出してキャップ4と内管体2の被覆層2bとが固着し、内管体2の摺動が困難になったり、無理に摺動させるとキャップ4の開口周縁部4dが破損するなどの不都合を生じるため、この場合は内管体2の被覆層2bをオレフィン系樹脂で形成することが好ましい。
【0024】
これに対し、前記キャップ4が軟質オレフィン系樹脂製のキャップである場合は、内管体2の被覆層2bを塩化ビニル樹脂やオレフィン系樹脂で形成しても、上記のような不都合を生じないので、これらの樹脂がいずれも好ましく使用される。なお、前記キャップ4がゴム系合成樹脂製のキャップである場合も、被覆層2bの樹脂として塩化ビニル樹脂やオレフィン系樹脂が好ましく使用される。
【0025】
以上のような構成の簡易伸縮パイプは、農園芸用の支柱等として外管体1の端部を土に突き刺し、植物の背丈に応じて内管体2を押し込んだり引き出したりすると、キャップの開口周縁部4dが内管体2の押し出し方向や引し出し方向に変形して、比較的スムーズに内管体2が摺動するので、簡単に全長を調節を調節して使用することができる。特に、この簡易伸縮パイプは、内管体2の樹脂被覆層2と、これに弾接している弾性変形可能なキャップ4の開口周縁部4dとの摩擦力によって、内管体2が摺動しない程度に軽く固定されているため、摩擦力よりも大きい力で内管体2を強制的に摺動させるだけで極く簡単に全長を調節できる利点がある。そして、キャップ4の開口周縁部4dが内管体2の樹脂被覆層2bに水密的に弾接し、外管体1及び内管体2の端部には水や土の侵入を防止するキャップ3,5被着されているため、外管体1及び内管体2への水の侵入と錆びの発生を防止することができる。また、この簡易伸縮パイプは、外管体1と内管体2とキャップ3,4,5からなる極めてシンプルな構造のパイプであって、複雑な加工や成形が一切不要であるため、農園芸用支柱として採算がとれるように製造コストを安価に抑えることもできる。
【0026】
図5は本発明の簡易伸縮パイプに用いるキャップの他の例を示す拡大断面図である。
【0027】
このキャップ40は、前述のキャップ4と同様の軟質合成樹脂又はゴム系合成樹脂で成形された弾性変形可能なキャップであって、図示のように、外管体1の一端に外嵌される基筒部40aと、この基筒部40aから頂部に向かって延設されたテーパ筒部40bと、このテーパ筒部40bの先端から内側へ丸みをもって曲成された開口40cの周縁部40dとを備えたものである。
【0028】
このようなキャップ40を外管体1の一端に被着すると、内管体2を摺動させてパイプ全長を調節するときに、丸みをもって曲成された開口周縁部40dが内管体の摺動方向に柔軟に変形できるため、開口周縁部40dに亀裂や損傷を生じることがないといった利点を有する。
【0029】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の簡易伸縮パイプは、内管体の外面とこれに弾接する弾性変形可能なキャップの開口周縁部との摩擦力によって内管体を摺動しない程度に軽く固定でき、摩擦力より大きい力で内管体を摺動させるだけで簡単に全長を増減調節することができ、キャップの開口から水が侵入することもなく、製造コストを安価に抑えることもできるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る簡易伸縮パイプの一部破断正面図である。
【図2】同簡易伸縮パイプの内管体を押し込んだときの状態を示す拡大要部断面図である。
【図3】同簡易伸縮パイプの内管体を引き出したときの状態を示す拡大要部断面図である。
【図4】同簡易伸縮パイプに用いるキャップの拡大断面図である。
【図5】本発明の簡易伸縮パイプに用いるキャップの他の例を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1 外管体
2 内管体
1a,2a 金属管
1b,2b 樹脂被覆層
3,5 キャップ
4,40 弾性変形可能なキャップ
4a,40a 基筒部
4b,40b テーパ筒部
4c,40c 開口
4d,40d 開口の周縁部
Claims (4)
- 頂部に開口が形成された弾性変形可能なキャップと、このキャップが一端に被着された外管体と、このキャップの開口を通して外管体に挿入された内管体とから成る伸縮パイプであって、上記キャップは軟質塩化ビニル樹脂製又は軟質オレフィン系樹脂製のキャップであり、上記キャップが軟質塩化ビニル樹脂製である場合は上記内管体の被覆樹脂がオレフィン系樹脂であり、上記キャップが軟質オレフィン系樹脂製である場合は上記内管体の被覆樹脂が塩化ビニル樹脂であり、上記キャップの開口は内管体の外径より若干小さな口径を有し、内管体により拡径されて開口の周縁部が内管体の外周面に弾接すると共に、内管体の押し込み方向及び引き出し方向に変形する周縁部に形成されていることを特徴とする簡易伸縮パイプ。
- キャップが、基筒部と、この基筒部から頂部に向かって延設されたテーパ筒部と、このテーパ筒部が途中で切断されて形成された開口とを備えたものである請求項1に記載の簡易伸縮パイプ。
- キャップが、基筒部と、この基筒部から頂部に向かって延設されたテーパ筒部と、このテーパ筒部の先端から内側へ丸みをもって曲成された開口の周縁部とを備えたものである請求項1に記載の簡易伸縮パイプ。
- 外管体が合成樹脂被覆管であり、内管体が合成樹脂被覆管又は合成樹脂被覆線である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の簡易伸縮パイプ。
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