JP4155740B2 - 無線通信端末の送信電力制御方法及びそのための基地局 - Google Patents

無線通信端末の送信電力制御方法及びそのための基地局 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線通信端末の送信電力制御方法及びそのための基地局、更に詳しく言えば、複数の基地局と携帯電話等の複数の端末局を備えた無線通信システムにおける上記端末局の送信電力を制御する方法及びそのための電力制御信号を発する基地局に関する。
【0002】
【従来の技術】
CDMAセルラ通信システムにおける端末局の送信電力を制御する方法として、1995年5月18日にTIA(Telecommunications Industry Association)から発行された標準規格書のTIA/EIA/IS-95-A版の、6.1.2.3.2節(6章6頁)、6.6.6.2.7.2節(6章180頁)及び7.1.3.1.7節(7章13頁〜15頁)等に記載された方法が有る。また、2000年3月2日にARIB(Association of Radio Industries and Businesses)から発行された標準規格書のSTD-T64-C.S0002-A版の、2.1.2.3.2節(2章36頁〜38頁)及び3.1.3.1.10節(3章97頁〜99頁)等や、2000年10月27日にTIAから発行された標準規格書のTIA/EIA/IS-856版の、9.2.1.2.4節(9章23頁〜26頁)及び9.2.1.4.2節(9章53頁〜54頁)等にも同様の方法が記載されている。
【0003】
これらの電力制御方法では、各基地局は、ある端末局から送信されてくる電波の受信電力が適正な通信を行なうために必要な電力より小さい時にはその端末局に送信電力を上げるように指示する電力制御信号(以下、上げ電力制御信号と略称)を発信し、適正な通信を行なうために必要な電力より大きい時には送信電力を下げるように指示する電力制御信号(以下、下げ電力制御信号と略称)を発信する。
【0004】
各端末局は、各基地局から送信されてくる電力制御信号の中に下げ電力制御信号が1つでも有る時には送信電力を下げ、上げ電力制御信号のみの時には送信電力を上げる。この方法によって、端末局が送信する電波を最も大きな電力で受信する基地局が、適正な通信を行なうために必要充分な電力でその端末局からの電波を受信するように、その端末局の送信電力を制御することになる。例えば、CDMAセルラ通信システムは、図1に示すように、端末局111〜118が自由に移動できるようにするため、端末局111〜118と基地局101〜103の間の通信は無線通信で行なう。基地局101〜103と基地局制御装置100の間の通信は有線又は無線のいずれも有り得る。更に、基地局制御装置100は交換網やインターネット網120を介して他の通信システムと接続されている。
【0005】
ある端末局が送信する電波は、その端末局から近い基地局では大きな電力で受信され、遠い基地局では小さな電力で受信される。従って、各基地局に近いある範囲内に有る端末局が送信する電波は、その基地局で受信する方が他の基地局で受信するより大きな電力で受信される。その範囲は基地局のセルと呼ばれる。そして、互いに隣接する基地局からほぼ等距離の地点にセル境界が存在する。図1ではセル境界を一点鎖線で表わし、基地局101と基地局102のセル境界を151、基地局102と基地局103のセル境界を152、基地局103と基地局101のセル境界を153で表わす。基地局から端末局方向への通信を「下り」、逆方向の通信を「上り」と称する。
【0006】
従来の端末局の電力制御方法では、例えば、基地局101のセル内に端末局111が送信する上り電波を基地局101が受信する電力が、適正な通信を行なうために必要な電力に達しない場合、基地局101は端末局111に対して前記上げ電力制御信号を発信する。端末局111が基地局101のセル内にあるため、他の基地局での受信電力は更に小さい。従って、他の基地局も端末局111に対して前記上げ電力制御信号を発信する。すると、端末局111が受信する電力制御信号は全て送信電力を上げるように指示する。上記上げ電力制御信号に基づいて端末局111は送信電力を上げる。
【0007】
端末局111の送信する上り電波を基地局101が受信する電力が、適正な通信を行なうために必要な電力を超える場合には、基地局101は端末局111に前記下げ電力制御信号を発信する。すると、他の基地局が発信する電力制御信号に関わらず、端末局111が受信する電力制御信号の内の少なくとも1つは送信電力を下げるように指示する。上記下げ電力制御信号に基づいて端末局111は送信電力を下げる。すなわち、基地局101のセル内にある任意の端末局111の送信電力は、他の基地局の受信電力にかかわらず、基地局101の受信電力が適正な通信を行なうために必要充分な電力になるように制御される。
【0008】
また、基地局101のセル内にある端末局111は、基地局101から送信する下り電波を受信する方が、他の基地局から送信する下り電波を受信するより、通常は大きな受信電力で受信できる。従って、端末局111と基地局101との間には、端末局111と他の基地局との間より効率良く通信のできる下りの通信路が形成される。そして、端末局111と基地局101との間には、充分な受信電力での情報伝達が可能な上りの通信路も形成される。また、端末局111が必要以上に大きな電力で送信することも避けられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述の無線通信端末の送信電力制御方法では、端末局が複数の基地局のセル境界付近に位置する場合、後述する理由によって、その端末局と最も効率良く通信のできる基地局が、上りと下りで異なる不都合な場合が発生し得る。例えば、その端末局が受信する下りの電波は第1の基地局から送信した方が第2の基地局から送信するより大きな電力で受信できるにもかかわらず、上りの電波は第2の基地局が受信した方が第1の基地局が受信するより大きな電力で受信できる状況が発生し得る。この状況が起きる主な原因は、電波の周波数の違いにより、電波の多重波干渉による影響が上りと下りで異なる事にある。
【0010】
説明を簡単にするため、、以下の場合を想定する。図1に示すように、端末局119が基地局101と基地局102のセル境界151付近に位置し、端末局119と基地局101の間には直接波の経路261と反射波の経路262が1つずつ存在し、端末局119と基地局102の間には直接波の経路263しか存在しない。上り通信と下り通信で異なる周波数の電波を用い、直接波の経路261と反射波の経路262の経路長の差が、下りの電波の波長の整数倍となり、かつ、上りの電波の波長の半分の奇数倍となる。反射物231により電波が反射した時には位相反転は起らない。このような場合、端末局119が受信する下りの電波は基地局101から送信した方が基地局102から送信するより大きな電力で受信できるにもかかわらず、上りの電波は第2の基地局102が受信した方が基地局101が受信するより大きな電力で受信できる。
【0011】
すなわち、端末局119が受信する基地局101からの下り電波は、直接波と反射波の位相が一致する。このため、反射波が無い場合より受信電力が大きくなる。また、基地局101が受信する端末局119からの上り電波は、直接波と反射波の位相が逆になる。このため、反射波が無い場合より受信電力が小さくなる。
【0012】
ところで端末局119は、セル境界151付近にある。すなわち、基地局101及び基地局102が受信する端末局119からの上り電波の受信電力は、もし反射波が無ければほぼ等しくなる。従って、上述した反射波の影響で、上りの電波は基地局102が受信した方が基地局101が受信するより大きな電力で受信できる。同様に下りの電波は基地局101が送信した方が基地局102が送信するより大きな電力で受信できる。すなわち端末局119と最も効率よく通信できる基地局が上り下りで異なる。
【0013】
実際の無線通信システムでは、電波の反射物になり得るものは多数存在し、かつ、その形状や反射率はさまざまである。従って、反射波の経路が多数存在しその強度もさまざまである場合が多い。また、電波の障害物が存在する時には直接波が減衰したり消滅したりすることもある。更に、電波の反射物や障害物の中にはその形状や位置が時々刻々変化するものも多い。すなわち、様々な条件による多重波干渉の結果、下りの電波は基地局101が送信した方が基地局102が送信するより大きな電力で受信でき、上りの電波は基地局102が受信した方が基地局101が受信するより大きな電力で受信できる場合が様々な状況で起る。
【0014】
この場合、従来の技術では、端末局119からの上りの電波を最も大きな電力で受信する基地局102の受信する電力が適正な通信を行なうために必要充分な電力になるように、端末局119の送信電力が制御される。すると、基地局101が受信する電力は適正な通信を行なうためには不充分となる。従って、端末局119が送信した上り信号を基地局101が受信すると、高い確率でエラーが発生する。
【0015】
一方、下り電波は基地局101が送信した方が基地局102が送信するより大きな電力で受信できる。このため、最高の伝送レートで通信するためには基地局101から送信する必要がある。そこで、端末局119は下り電波を最も大きな電力で受信できる基地局101に対してデータ送信を要求する。しかしながら、基地局101における端末局119からの上り電波の受信電力が小さいため、端末局119から基地局101への要求が正しく伝わらない。すると、最適な通信ができないことになる。特に、前述の標準規格書TIA/EIA/IS-856版に記載された仕様の場合には、データ送信を要求された基地局のみがそのデータ送信を行なうため、その要求が基地局101へ伝わらなければ全く通信ができないことになる。
【0016】
すなわち、端末局119から見て最適な通信ができる基地局が上りと下りで異なるような状況では、最適な通信ができないという現象が生じる。仕様によっては、全く通信ができないという現象が生じることもある。
【0017】
これらの状況を避ける一つの解決方法として、複数の基地局を統括する基地局制御装置100を経由して基地局102が受信した上り信号を基地局101に伝達する方法が考えられる。しかし、基地局制御装置100と基地局101及び102の間を伝わる情報量や基地局制御装置100の信号処理量が増える。また、処理量増加あるいは余分な伝送による時間遅延が生じ、あるいは処理能力を超えて通信が途切れたりすることも起き得る。
【0018】
また、他の解決方法として、基地局101に要求されたデータの送信を基地局102が肩代わりして行なう方法も考えられる。しかし、その場合には、端末局119における基地局102からの受信電力が低いので、基地局101から送信するより伝送レートが落ちる。更に、送信する基地局を切り替えるために基地局制御装置100の処理量が増えてしまう。
【0019】
本発明の主な目的は、各端末局と最も効率良く通信できる特定の基地局との間に上下往復の通信路を常時形成し、最も効率の良い通信を常時可能とする端末局の送信電力を制御する方法及びそのための装置を実現することである。
本発明の他の目的は、下り電波を最も効率良く伝送できる基地局が、セル境界付近にいる端末局からの上り電波を常時必要な電力で受信できる端末局の送信電力を制御する方法及びそのための基地局の構成を実現することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の複数の基地局と複数の端末局を備えた無線通信システムの端末局の送信電力を制御する方法は、
各基地局は、各端末局から送信されてくる電波の受信電力を測定し、その測定した受信電力が適正な通信を行なうために必要充分な受信電力である第1の閾値より大きい時にはその電波を送信した端末局に対して下げ電力制御信号を発信し、
各端末局は、各基地局から送信されてくる電力制御信号の少なくとも1つ以上の中に上記下げ電力制御信号が有る時には送信電力を下げ、上記下げ電力制御信号が無い時には送信電力を上げ、各基地局から送信されてくる電波の受信電力を比較し、最も大きな電力で受信した電波を送信した基地局を選択してその基地局を識別するための識別符号を載せた信号を送信するように構成された送信電力制御方法において、
各基地局が、自局を示す識別符号を送信している端末局が送信する上り信号の受信電力が上記第1の閾値より大きい時には下げ電力制御信号を送信し、他基地局を示す識別符号を送信している端末局に対してはその受信電力にかかわらず上げ電力制御信号を送信するか又は電力制御信号の送信を停止する。
【0021】
本発明の好ましい実施形態として、上記第1の閾値よりある程度大きな第2の閾値を決め、各基地局が、自局を示す識別符号を送信している端末局に対してはその送信する上り電波の受信電力が上記第1の閾値より大きい時に下げ電力制御信号を送信し、他基地局を示す識別符号を送信している端末局に対してはその送信する上り電波の受信電力が上記第2の閾値より大きい時に下げ電力制御信号を送信する。
【0022】
また、本発明の目的を達成するため、本発明の基地局は、上記本発明の方法を実施する本発明の基地局を、各端末局から送信されてくる電波の受信電力を測定し、その測定した受信電力が第1の閾値より大きい時にはその電波を送信した特定端末局に対して下げ電力制御信号を発信する手段と、
上記特定端末局から送信されてくる信号が自局の識別符号を示している時に、上記特定端末局から送信されてくる電波の受信電力が上記第1の閾値より大きい場合には上記特定端末局に対して下げ電力制御信号を発信し、上記特定端末局から送信されてくる信号が他局の識別符号を示しているか又は上記特定端末局から送信されてくる電波の受信電力が上記第1の閾値より小さい場合には、上記特定端末局に対して上げ電力制御信号を発信するか又は電力制御信号を停止する手段を設けて構成される。
【0023】
以下に説明する本発明の実施形態では、各端末局が送受信する電波が、2000年10月27日にTIAから発行された標準規格書のTIA/EIA/IS-856版にて公開されている仕様(従来の技術の項に挙げた標準規格の1つ、以下HDR標準仕様と称する)に則った電波である場合を例として説明する。しかし、本発明の効果は電波の形式に依存するものではなく、他の形式の電波に対しても、それに対応する復調部や復号部を用意して以下の説明と同様の電力制御を行なえば本発明の効果は得られる。
【0024】
【発明の実施の形態】
図2は、本発明による無線通信システムの端末局の送信電力を制御する方法で使用される基地局の一実施例の構成を示すブロック図である。
基地局300は、各端末局(図1の111〜119)から送信された上り電波391〜399が全て加算された状態の信号をアンテナ301で受け、アンテナ共用器302を経由して高周波受信部303で受信する。上り電波391〜399は、HDR標準仕様に則ったCDMA方式により変調されている。高周波受信部303では、受信した信号の1つの位相成分(一般にI成分と称する)とそれより90度遅れた位相成分(一般にQ成分と称する)の振幅を抽出して出力する。高周波受信部303では、出力信号の総電力の平均値が一定になるように、受信した信号の増幅率をAGC制御する。また、ここまでの信号処理は、各端末局111〜119から送信された上り信号が全て加算された状態で行なわれる。
【0025】
復調部304は、各端末局毎に定めた上り用PN符号(擬似ランダム符号)を用いてパス検出や検波等を行ない、各端末局毎の上り受信信号350を抽出する。上記上り用PN符号は、タイミング制御部314が時分割で指定する。すなわち、タイミング制御部314は、ある時刻には特定端末局111を選択し、制御信号362によって端末局111に対応する上り用PN符号を指定する。このPN符号を用いて、復調部304は端末局111からの上り受信信号350を抽出する。その所定時間後には、タイミング制御部314は、別の端末局112を選択し、端末局112に対応する上り用PN符号を指定する。このPN符号を用いて、復調部304は端末局112からの上り受信信号350を抽出する。以下同様に、基地局300の付近にある複数の端末局113〜119に対して、受信信号350の抽出が行なわれる。これが一巡すると、再び端末局111に対する受信信号350の抽出が行なわれ、以後これを繰り返す。従って、ある任意の時刻に注目すると、タイミング制御部314はある1個の端末局を選択し、復調部304はその端末局からの上り受信信号350を抽出する。
【0026】
復調部304が抽出した受信信号350には、HDR標準仕様に定められたWalsh符号で拡散された複数のチャネルの信号が含まれる。復号部305は、このWalsh符号を用いて逆拡散処理を行ない、各チャネルの信号を抽出する。この内のDRC(データ・レイト・コントロール)チャネルの信号351(他のチャネルの信号を352とする。)には、これを発信した端末局がどの基地局に対してデータの送信を要求しているかを示す情報等が乗せられている。
【0027】
判定部306は、これらの情報を復元してその信号を発信した端末局が自局に対してデータの送信を要求しているか否かを判定し、その結果を示す信号353を出力する。なお、DRCチャネルの信号に乗せられた他の情報については、HDR標準仕様書の9.2.1.3.1節(9章26頁〜33頁)及び9.2.1.3.3.3節(9章35頁〜39頁)に記述があるが、本発明の本質には関係無いので省略する。
【0028】
受信電力測定部307は、受信信号350の中からPILOTチャネルの信号を抽出してその電力を算出し、信号355として出力する。一方、受信信号350の中に含まれる各チャネルの信号電力は、PILOTチャネルの信号電力355に比例する。さらに、各チャネルの信号電力が大きいほど、そのチャネルの復号結果にエラーが発生する確率は低くなる。すなわち、PILOTチャネルの信号電力355が大きいほど、各チャネルの復号結果にエラーが発生する確率が低くなる。
【0029】
端末局の送信電力を制御することによりPILOTチャネルの信号電力355を一定値に保持すれば、各チャネルの信号電力が一定値に保持され、復号結果のエラー率も一定値に保持される。そのエラー率が適正な通信を行なうために必要充分なエラー率となる時のPILOTチャネルの信号電力355を、閾値として予め求めておき、閾値記憶部308に記憶させる。PILOTチャネルの信号電力355を具体的にどれだけにすれば各チャネルの復号結果のエラー率がどれだけになるかは、この基地局300の商用運用を開始する前に試験運用を行なうことやそれを模擬するシミュレーションにより求める。閾値記憶部308は数値を記憶するレジスタであり、基地局制御装置100から信号371を介して制御される。
【0030】
なお、以下の説明で受信電力と言う場合には、特に断らない限りPILOTチャネルの信号電力355を指す。また、この受信電力355は、厳密には電力値そのものではなく、ノイズを含めて高周波受信部303が受信した総電力に対する相対値を表わしている。
【0031】
比較部309は、受信電力355と閾値356の大小関係を比較し、その結果を信号357として出力する。AND回路310は、端末局が自局からのデータ送信を要求しているか否かを示す信号353と受信電力及び閾値の大小関係を示す信号357を受け、端末局が自局からのデータ送信を要求していてかつ受信電力が閾値を超えている時に限り、端末局の下げ電力制御信号358を出力する。その他の時にはその端末局の上げ電力制御信号358を出力する。
【0032】
合成部311は、電力制御信号358やその他の下りチャネルの信号359をHDR標準仕様に従って合成する。HDR標準仕様では、端末局毎に定めたWalsh符号を用いて電力制御信号358を拡散する。これにより、電力制御信号358の送り先の端末局を特定する。電力制御信号358の送り先は、その元になった受信信号350が抽出された時にタイミング制御部314が選択した端末局である。その端末局に対応するWalsh符号を、タイミング制御部314が、制御信号363により指定する。
【0033】
変調部312は、合成部311から出力される信号360を、HDR標準仕様に定められた下り用PN符号を用いて拡散処理し、高周波送信部313に出力する。
高周波送信部313は、この信号を所定の周波数の電波に乗せ、アンテナ共用器302及びアンテナ301を経由して各端末局に向け送信する。
【0034】
その他の信号処理部320は、各チャネルの受信信号352〜354及びその送信元の端末局を示す制御信号364や基地局制御装置100から来る信号371等に応じて必要な信号処理を行なう。そして、基地局制御装置100に送る信号370や端末局に送る各チャネルの信号359を出力する。その他の信号処理部320は、また、基地局制御装置100からの信号371に応じて閾値記憶部308に閾値を記憶させるための制御信号361も出力する。
【0035】
また、図3は全ての機能をハードウエアにより構成した場合の構成図であるが、コストを削減するために、ハードウエアによる構成の一部をソフトウエアによる構成に置き換えプロセッサで処理してもよい。現在実現できるプロセッサの性能では、図2の一点鎖線340で囲まれた部分、すなわち、高周波受信部303及び高周波送信部313を除く信号処理部の、全部又は一部をソフトウエアにより構成することができる。また、プロセッサの性能が将来向上すれば、高周波受信部303や高周波送信部313の一部もソフトウエアにより構成できる可能性もある。
【0036】
図3は、図2の一点鎖線340で囲まれた部分をソフトウエアにより構成した場合のプログラムの一実施例についての処理を示すフローチャートである。このプログラムは、図2の高周波受信部303から出力される信号が所定量ずつ溜まる毎に起動される。そして、図2のハードウエアによる処理の場合と同様に、この基地局の付近にある所定の数の端末局に対して所定の信号処理をプログラム実行する信号処理回路で順次実行し、各端末局に送信する下り信号を高周波送信部313に出力する。
【0037】
図3に示すプログラムによる処理手順を説明する。まず、最初に処理する端末局を選択する(S1)。次に、その端末局固有の上りPN符号を用いてパス検出や検波等の復調処理を行なう(S2)。これにより、その端末局からの受信信号が抽出される。次に、HDR標準仕様に定められたWalsh符号を用いて逆拡散処理を行ない、各チャネルの信号を復号する(S3)。次に、PILOTチャネルの信号から受信電力を算出する(S4)。次に、DRCチャネルの信号が自局を示しているか他局を示しているかを判定する(S5)。他局を示している場合には、端末局の上げ電力制御信号を選択する(S6)。自局を示している場合には、先に算出した受信電力と予め設定した閾値の大小関係を比較する(S7)。そして、受信電力の方が大きい場合には端末局の下げ電力制御信号を選択し(S8)、小さい場合には端末局の上げ電力制御信号を選択する(S6)。更に、各チャネルの受信信号や基地局制御装置100から来る信号371を使ってその他の信号処理を行ない(S9)、他の下りチャネルの信号や基地局制御装置100に送る信号を生成する。
【0038】
次に、HDR標準仕様に従って、各チャネルの下り信号を合成する(S10)。この合成の時に、電力制御信号は、送信先の端末局に対応するWalsh符号で拡散される。次に、HDR標準仕様に定められた下りPN符号を用いて変調を行ない(S13)、高周波送信部313へ出力する信号を生成する。処理チャネルが最後か否かを判定し(S12)、最後でなければ、次のチャネル(端末局)を指定し(S12)、各端末局に対しステップS2ないしS12を順次行なう。これにより、図2のハードウエアによる処理の場合と同様の動作をする。閾値の設定方法等も、図2の場合と同様である。
【0039】
図4は、本発明による基地局を使用した場合の端末局の電力制御の動作を説明する図である。基地局501〜503には図2に示した基地局300を用いる。その他の部分は、図1と実質同様である。
端末局119はセルの境界151上に位置し、基地局501〜基地局503が発信する下りの電波の内、基地局501が発信する電波を最も大きな電力で受信する。従って端末局119は、基地局501からデータを送信するように要求する信号をDRCチャネルに乗せて送信する。
【0040】
端末局119からの上り電波を基地局502が受信する電力355が閾値以下であれば、基地局502の比較部307は端末局119からの受信電力は閾値以下であると判定する。従って、基地局502は、端末局119に対して上げ電力制御信号358を発信する。端末局119からの上り電波を基地局502が受信する電力355が閾値を超えていれば、その受信電力は適正な通信を行なうために充分であるため、DRCチャネルの信号351は基地局502において正しく復調される。従って、基地局502の判定部306は、端末局119が他局からのデータ送信を要求していることを正しく判定する。従って、基地局502は、端末局119に対して上げ電力制御信号358を発信する。すなわち、基地局502は、受信電力が上記閾値より大きい、小さいいずれの場合にも端末局119に対して上げ電力制御信号358を発信する。基地局503についても同様である。
【0041】
一方、端末局119からの上り電波を基地局501が受信する電力が閾値以下であれば、基地局501の比較部309は、端末局119からの受信電力は閾値以下であると判定する。従って、基地局501は、端末局119に対して上げ電力制御信号358を発信する。端末局119からの上り電波を基地局501が受信する電力が閾値を超えていれば、第1の基地局501の比較部309は、端末局119からの受信電力は閾値を超えていると判定する。またその受信電力は適正な通信を行なうために充分であるため、DRCチャネルの信号351は基地局501において正しく復調される。すると、基地局501の判定部306は、端末局119が自局からのデータ送信を要求していることを正しく判定する。比較部309は受信電力が閾値を超えていると判定し、かつ、判定部306は自局からのデータ送信を要求していると判定するので、基地局501は端末局119に対して下げ電力制御信号358を発信する。
【0042】
この結果、基地局501の受信電力が閾値以下であれば、全ての基地局が端末局119に対して上げ電力制御信号を発信する。この電力制御信号に基づいて端末局119は送信電力を上げる。また、基地局501の受信電力が閾値を超えていれば、基地局501が端末局119に対して下げ電力制御信号を発信する。この電力制御信号に基づいて端末局119は送信電力を下げる。従って、基地局501の受信電力が閾値すなわち適正な通信を行なうために必要かつ充分な電力になるように、端末局119の送信電力が制御される。
【0043】
以上説明したように、図2に示した基地局300を使えば、任意の端末局とその端末局が最も効率良く下り電波を受信できる基地局との間に上下往復の通信路が常時形成され、最も効率の良い通信が常時可能となる。
【0044】
なお上述の場合、基地局502が端末局119から受ける電波の受信電力は、適正な通信を行なうために必要な電力より大きくなる。この電波は、他の端末局と基地局502の間の通信に対するノイズとなる。従って、この受信電力があまり大きくなることは好ましくない。端末局119の送信電力は、下り信号を最も効率良く受信できる基地局501によって制御されているため、通常は極端に大きくなることは無い。また、セル境界付近にある端末局の数は全端末局の数に比べて比較的少ないと考えられる。従って、上記の実施例によるノイズ電力の増加分は、全ての端末局が発信する電波により元々存在するノイズ電力の総和に比べて比較的小さいと考えられる。
【0045】
しかし、図1に関連して説明したように、稀なケースとして、基地局501から端末局119への下り電波の受信電力が他の基地局から端末局119への下り電波の受信電力より大きいにもかかわらず端末局119から基地局501への上り電波の受信電力が極端に小さくなる場合が有る。この場合には、基地局501の受信電力が適正な通信を行なうために必要な電力になる時には、端末局119の送信電力が極端に大きくなり、他の基地局が受けるノイズ電力も極端に大きくなる。これを避けるため、他の基地局が受けるノイズ電力がある程度以上になった時には、その基地局が端末局119の下げ電力制御信号を送信するのが望ましい。そのための機能を備えた本発明の基地局の実施例について、図5を用いて説明する。
【0046】
図5は本発明による基地局の他の実施例の構成を示すブロック図である。
基地局600の構成は、図2に示した基地局300と比較して、第1の閾値記憶部308の他に第2の閾値記憶部602を設けた点と、比較部309の後にAND回路310を設ける代わりに比較部309の前にセレクタ601を設けた点が異なる。他の部分の構成は図2に示した基地局300と同じである。
【0047】
基地局600では、第1の閾値記憶部308には図2の基地局300の場合と同じ閾値、すなわち、各チャネルの復号結果のエラー率が適正な通信を行なうために必要充分なエラー率となる時の受信電力355を記憶させておく。以後、この値を第1の閾値と称する。第2の閾値記憶部602には、上記第1の閾値よりある程度(例えば6デシベル)大きな値を記憶させておく。以後、この値を第2の閾値と称する。
【0048】
基地局600は、図2の基地局300の場合と同様に、各端末局が送信する上り信号を時分割で順次処理する。ある任意の時刻には、その時に処理している信号を送信した端末局が下り信号の送信を要求している基地局が自局であるか否かを示す信号353と、その端末局からの受信電力を示す信号355を得る。そして、信号353が自局を示している場合には、セレクタ601が第1の閾値を選択し、比較部309は受信電力355と第1の閾値を比較する。信号353が他局を示している場合には、セレクタ601が第2の閾値を選択し、比較部309は受信電力355と第2の閾値を比較する。いずれの場合にも、その比較結果が電力制御信号358として合成部311に出力され、図2の基地局300の場合と同様に対応する端末局に向け送信される。
【0049】
従って、自局にデータ送信を要求している端末局に対しては、その端末局からの上り電波の受信電力が第1の閾値を超えた時には下げ電力制御信号を発信し、受信電力が第1の閾値以下の時には上げ電力制御信号を発信する。他局にデータ送信を要求している端末局に対しては、その端末局からの上り電波の受信電力が第2の閾値を超えた時には下げ電力制御信号を発信し、受信電力が第2の閾値以下の時には上げ電力制御信号を発信する。
【0050】
また、基地局600も、一点鎖線640で囲まれた部分の全部又は一部をソフトウエアにより構成できる。また、プロセッサの性能が将来向上すれば、高周波受信部303や高周波送信部313の一部をソフトウエアにより構成できる可能性があることも、図2の構成の基地局と同じである。
【0051】
図6は、図5の一点鎖線640で囲まれた部分をソフトウエアにより構成した場合のプログラムの一実施例についてのフローチャートを示す。このプログラムも、図3に示したプログラムと同様に、図5の高周波受信部303から出力される信号が所定量ずつ溜まる毎に起動され、この基地局の付近にある所定の数の端末局に対して所定の信号処理を順次実行し、各端末局に送信する下り信号を高周波送信部313に出力する。
【0052】
図6に示すプログラムによる処理手順は、図3に示したログラムによる処理手順に比較し、ステップS14とS15が付加された点が異なる。すなわち、DRCチャネルの信号が自局を示しているか他局を示しているかを判定した(S5)後、自局を示している場合には第1の閾値を選択し(S14)、他局を示している場合には第2の閾値を選択する(S15)。いずれの場合にも、先に算出した受信電力と今選択した閾値の大小関係を比較する(S7)。受信電力の方が大きい場合には端末局の下げ電力制御信号を選択し(S8)、小さい場合には端末局の上げ電力制御信号を選択する(S6)。その後は再び図3に示したプログラムと同様の信号処理をする。これにより、図5のハードウエアによる処理の場合と同様の動作をする。第1及び第2の閾値の設定等も、図5の場合と同様である。
【0053】
上記基地局600を使用した場合の動作を、図4を使って説明する。ここでは、図4に示す基地局501〜基地局503には図5に示した基地局600を用いる。
端末局119は、基地局501〜基地局503が発信する下りの電波の内、基地局501が発信する電波を最も大きな電力で受信する。従って端末局119は、基地局501からデータを送信するように要求する信号をDRCチャネルに乗せて送信する。
【0054】
端末局119からの上り電波を基地局502が受信する電力355が第1の閾値以下であれば、基地局502のセレクタ601が第1又は第2のいずれの閾値を選択しても、基地局502の比較部309は端末局119からの受信電力355が閾値以下であると判定する。従って、基地局502は、端末局119に対して上げ電力制御信号358を発信する。端末局119からの上り電波を基地局502が受信する電力355が第1の閾値を超えていれば、その受信電力は適正な通信を行なうために充分であるため、DRCチャネルの信号351は正しく復調される。すると、基地局502の判定部306は端末局119が他局からのデータ送信を要求していることを正しく判定し、セレクタ601は第2の閾値を選択する。従って、基地局502の比較部309は受信電力355と第2の閾値を比較する。この時の受信電力355が第2の閾値以下であれば、基地局502は、端末局119に対して上げ電力制御信号358を発信する。また、受信電力355が第2の閾値を超えていれば、基地局502は、端末局119に対して下げ電力制御信号358を発信する。すなわち、基地局502は、端末局119からの受信電力355が第2の閾値以下であれば上げ電力制御信号358を発信し、第2の閾値を超えていれば下げ電力制御信号358を発信する。基地局503についても同様である。
【0055】
一方、基地局501においては、端末局119からの上り電波を基地局501が受信する電力355が第1の閾値以下であれば、基地局501のセレクタ601が第1又は第2のいずれの閾値を選択しても、第1の基地局501の比較部309は端末局119からの受信電力355が閾値以下であると判定する。従って、基地局501は、端末局119に対して上げ電力制御信号358を発信する。端末局119からの上り電波を基地局501が受信する電力355が第1の閾値を超えていれば、その受信電力は適正な通信を行なうために充分であるため、DRCチャネルの信号351は正しく復調される。すると、基地局501の判定部306は端末局119が自局からのデータ送信を要求していることを正しく判定し、セレクタ601は第1の閾値を選択する。従って、基地局501の比較部309は受信電力355と第1の閾値を比較する。受信電力355が第1の閾値を超えているので、基地局501の比較部309は、端末局119からの受信電力355が閾値を超えていると判定する。従って、基地局501は端末局119に対して下げ電力制御信号358を発信する。すなわち、基地局501は、端末局119からの受信電力が第1の閾値以下であれば上げ電力制御信号358を発信し、第1の閾値を超えていれば下げ電力制御信号358を発信する。
【0056】
ここで、基地局502の受信電力と基地局501の受信電力の比が第2の閾値と第1の閾値の比以下である場合を考える。この場合は、基地局501の受信電力が第1の閾値以下であれば必ず第2の基地局502の受信電力は第2の閾値以下となる。すると、基地局501が端末局119に向け上げ電力制御信号を発信している時は、必ず基地局502は端末局119に向け上げ電力制御信号を発信することになる。基地局501が端末局119に向け下げ電力制御信号を発信している時は、基地局502が発信する電力制御信号にかかわらず端末局119は送信電力を下げることになる。従って、図2に示した基地局300を用いた場合と同様に、基地局501の受信電力が第1の閾値すなわち適正な通信を行なうために必要かつ充分な電力になるように、端末局119の送信電力が制御される。
【0057】
次に、基地局502の受信電力と基地局501の受信電力の比が第2の閾値と第1の閾値の比より大きい場合を考える。この状況は、基地局501の受信電力が極端に小さくなった場合である。この場合には、基地局501の受信電力が第1の閾値以下であっても基地局502の受信電力が第2の閾値を超えることがある。その時には、基地局502が端末局119に向け下げ電力制御信号を発信し、端末局119が送信電力を下げる。従って、基地局502における端末局119からの受信電力すなわちノイズとなる電力が、極端に大きくなることは無い。
【0058】
以上説明したように、図5に示した基地局600を使えば、通常は図2に示した基地局300を使った場合と同様に、任意の端末局とその端末局が最も効率良く下り電波を受信できる基地局との間に上下往復の通信路が形成され、最も効率の良い通信が可能となる。ただし、その端末局と基地局の組み合わせにおいて上り電波の受信電力が極端に小さくなった場合には、他の基地局が受信するノイズ電力が極端に大きくならないようにその端末局の送信電力が制御される。
【0059】
なお、第2の閾値と第1の閾値の比を例えば6デシベルとすると、セル境界付近にある端末局の通信相手(すなわちその端末局が最も大きな電力で下り電波を受信できる基地局)でない基地局の受信電力は、適正な通信を行なうために必要充分な電力より、最大で6デシベル大きな値になる可能性がある。第2の閾値と第1の閾値の比を更に大きくすると、通信相手でない基地局が受ける受信電力の最大値が更に大きくなる可能性がある。第2の閾値と第1の閾値の比を小さくすると、通信相手でない基地局が受ける受信電力の最大値は小さくできる。しかしその場合には、その端末局の通信相手である基地局の受信電力が適正な通信を行なうために必要充分な電力に達しない確率が高くなる。
【0060】
第2の閾値と第1の閾値の比をどの程度にするのが最適であるかは、電波の反射物等の比較的多い地域と比較的少ない地域とでは異なることも予想される。従って、図5に示したように、第2の閾値や第1の閾値は基地局制御装置100から基地局毎に設定できるようにしておき、商用運用を開始する前に試験運用を行なって基地局毎に最適な値に設定するのが望ましい。
【0061】
また、ある基地局のセル内に有る端末局の数が多い時には、その基地局が受信するノイズ電力が元々大きいため、新たに加わるノイズに対する余裕は小さい。この時には、第2の閾値と第1の閾値の比を小さくしてセル境界付近に有る端末局の送信電力があまり大きくならないようにするのが望ましい。逆に、ある基地局のセル内に有る端末局の数が少ない時には、その基地局が受信するノイズ電力が元々小さいため、新たに加わるノイズに対する余裕は大きい。この時には、第2の閾値と第1の閾値の比を大きくしてセル境界付近に有る端末局の送信電力制御がなるべく所望の基地局からかかるようにするのが望ましい。
【0062】
これに対応して第2の閾値を設定する制御方法として、その基地局と通信している端末局の数によって時々刻々と変化させる制御方法が有る。また、その時の時間帯やその日の曜日及び季節等の情報と過去の実績から、その基地局のセル内に有る端末局の数が多いか少ないかを予測し、定期的に変化させる制御方法も採用できる。
【0063】
図7は、本発明が実施される無線通信システムの他の実施形態を示すネットワーク図である。本実施形態では、各基地局が、基地局制御装置を介さずに交換網やインターネット網120に直接接続する無線通信システムである。図7において、
図4に示したシステム構成要素と同じ部分については、図4のものと同じ番号を付して、その詳細な説明は省く。
複数の基地局801〜803は、交換網やインターネット網120に直接接続する機能を備えた基地局である。基地局制御装置800は、交換網やインターネット網120を介して基地局801〜803を制御する。図4に示した構成では、基地局と基地局の間の通信や基地局と他の通信システムとの間の通信が、全て基地局制御装置100を経由する。このため、基地局制御装置100の処理量が多くなる。図7に示す構成では、これらの通信は基地局制御装置800を経由しないため、基地局制御装置800の処理量を低減できる。
【0064】
なお、上述の説明では基地局と端末局の間の電波がHDR標準仕様の電波であることを前提に説明したが、本発明を実施する上では電波の形式をHDR標準仕様に限定する必要はない。本発明を実施する上で必要な信号は、端末局が通信先の基地局を指定する上り信号(HDR標準仕様のDRCチャネルに含まれる信号)と、基地局が上り電波の受信電力を測定するための上り信号(HDR標準仕様のPILOTチャネルに相当する信号)と、基地局が端末局の送信電力を制御するための下り信号の3つである。これらの信号、もしくはこれらと同様の機能を有する信号を含む形式の電波であれば、HDR標準仕様以外の電波に対しても本発明を実施できる。例えば、端末局の送信電力を下げる時にのみ電力制御信号を送信し、端末局の送信電力を上げる時には電力制御信号を停止するような形式の電力制御信号でも、HDR標準仕様の電力制御信号と同様の機能を有する。
【0065】
また、本発明の基地局は必ずしも位置が固定されている必要はない。基地局が移動体に搭載されて基地局制御装置との間で無線通信を行ない、かつ、基地局と端末局との間で無線通信が行なわれるシステムにおいても、本発明の実施が可能である。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、下り信号を最も効率良く伝送できる基地局と端末局の間に上りの通信路を常に確保し、よって、最も効率良く通信できる基地局と端末局の間での通信が常時可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の基地局と端末局をもつ無線通信システムのネットワーク図である。
【図2】本発明による基地局の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図3】図3の実施例の一部と同じ機能を実現するソフトウエアについて、その一実施例を示すフローチャートである。
【図4】本発明よる無線通信端末の送信電力制御方法の一実施形態説明のための無線通信システムのネットワーク図である。
【図5】本発明による基地局の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図6】図5の実施例の一部と同じ機能を実現するソフトウエアについて、その一実施例を示すフローチャートである。
【図7】本発明よる無線通信端末の送信電力制御方法の他の実施形態説明のための無線通信システムのネットワーク図である。
【符号の説明】
100:基地局制御装置、101〜103:従来の基地局、
111〜119:端末局、120:交換網又は(及び)インターネット網
231:電波の反射物、306:自局が選択されたか否かを判定する判定部、
307:受信電力測定部、308:閾値記憶部、
309:受信電力と閾値を比較する比較部、310:AND回路、
353:自局が選択されたか否かを示す制御信号、358:電力制御信号、
501〜503:本発明の基地局、601:セレクタ、
602:第2の閾値記憶部。

Claims (5)

  1. 複数の基地局と複数の端末局からなり、
    上記各基地局が、各端末局から送信されてくる電波の受信電力を測定し、測定された受信電力が予め定めた手順で設定された第1の閾値より大きい時、上記電波の送信元の端末局に対して送信電力を下げるように指示する電力制御信号を発信し、
    上記各端末局が、複数の基地局から電力制御信号を受信したとき、そのうちの少なくとも1つが送信電力を下げるように指示している場合には送信電力を下げ、送信電力を下げるように指示する電力制御信号が無い場合には送信電力を上げ、
    上記各端末局が、上記各基地局から送信された電波の受信電力を比較し、受信電力が最も大きい基地局を選択して、該基地局に基地局識別符号を含む信号を送信するように構成された無線通信システムにおける送信電力制御方法において、
    上記各基地局に、上記第1の閾値より大きな値をもつ第2の閾値を予め定めた手順により設定しておき、上記各基地局が、
    或る端末局からの受信信号に含まれる上記基地局識別符号が自局を示している時、上記端末局からの送信電波の受信電力が上記第1の閾値より大きい場合には、上記端末局に送信電力を下げるように指示する上記電力制御信号を発信し、上記端末局からの送信電波の受信電力が上記第1の閾値より小さい場合には、上記端末局に対する上記電力制御信号の発信を停止するか、上記端末局に送信電力を上げるように指示する電力制御信号を発信し、
    上記基地局識別符号が他局を示している時、上記端末局からの送信電波の受信電力が上記第2の閾値より大きい場合には、上記端末局に送信電力を下げるように指示する上記電力制御信号を発信し、上記端末局からの送信電波の受信電力が上記第2の閾値より小さい場合には、上記端末局に対する電力制御信号の送信を停止するか、上記端末局に送信電力を上げるように指示する電力制御信号を発信することを特徴とする送信電力制御方法。
  2. 前記複数の基地局が、共通の基地局制御装置に結合され、該基地局制御装置を介して、前記第1または第2の閾値の少なくとも1つが設定されることを特徴とする請求項1に記載の送信電力制御方法。
  3. 前記複数の基地局が、交換網またはインターネット網を介して結合され、上記交換網またはインターネット網を介して、前記第1または第2の閾値の少なくとも1つが設定されることを特徴とする請求項1に記載の送信電力制御方法。
  4. 各基地局が、各端末局から送信されてくる電波の受信電力を測定し、測定された受信電力が第1の閾値より大きい時、上記電波の送信元の端末局に対して送信電力を下げるように指示する電力制御信号を発信し、上記各端末局が、複数の基地局から電力制御信号を受信したとき、そのうちの少なくとも1つが送信電力を下げるように指示している場合には送信電力を下げ、送信電力を下げるように指示する電力制御信号が無い場合には送信電力を上げ、上記各端末局が、上記各基地局から送信された電波の受信電力を比較し、受信電力が最も大きい基地局を選択して、該基地局に基地局識別符号を含む信号を送信するように構成された無線通信システムにおける基地局であって、
    制御プログラムに従って、各端末局からの受信信号に含まれる上記基地局識別符号を判定し、上記基地局識別符号が自局を示している時、上記端末局からの送信電波の受信電力と上記第1の閾値とを比較し、上記受信電力が上記第1の閾値より大きい場合は、上記端末局に送信電力を下げるように指示する下げ電力制御信号を発信し、上記受信電力が上記第1の閾値より小さい場合、または上記基地局識別符号が他局を示している場合は、上記端末局に対する電力制御信号の発信を停止するか、上記端末局に送信電力を上げるように指示する上げ電力制御信号を発信する信号処理部を備えたことを特徴とする基地局。
  5. 請求項4に記載の基地局であって、
    前記第1の閾値より大きい値をもつ第2の閾値を設定するための手段を有し、
    前記信号処理部が、前記受信信号に含まれる基地局識別符号が他局を示している時、前記端末局からの送信電波の受信電力と上記第2の閾値とを比較し、上記受信電力が上記第2の閾値より大きい場合に、上記端末局に送信電力を下げるように指示する前記下げ電力制御信号を発信し、上記受信電力が上記第2の閾値より小さい場合は、上記端末局に対する電力制御信号の発信を停止するか、上記端末局に送信電力を上げるように指示する上げ電力制御信号を発信することを特徴とする基地局。
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