JP4155717B2 - α,β−不飽和カルボン酸エステル類の製造方法及び該製造方法に用いるための触媒 - Google Patents
α,β−不飽和カルボン酸エステル類の製造方法及び該製造方法に用いるための触媒 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、α,β−不飽和カルボン酸環状ヘテロ化合物挿入エステル類の製造方法に関するものである。更に詳しくは、α,β−不飽和カルボン酸エステル類と環状ヘテロ化合物類とを反応させることによるα,β−不飽和カルボン酸環状ヘテロ化合物挿入エステル類の製造方法及びそれに好適に用いることができる触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】
α,β−不飽和カルボン酸環状ヘテロ化合物挿入エステル類は、重合性を有することから、香料や医農薬原料、有機合成中間体、重合性材料等として工業的に広範囲に用いられる有用な化合物であり、例えば、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンモノメチルエーテルが知られている。
【0003】
このような(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンモノメチルエーテルは、メタノールとエチレンオキサイドからポリオキシエチレンモノメチルエーテルを合成し、該ポリオキシエチレンモノメチルエーテルと(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステル類からエステル化反応又はエステル交換反応を行うことにより製造できることが知られている。しかしながら、このような(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンモノメチルエーテルの製造方法では、反応工程が2工程であること、反応により当モル量の水又はアルコールが副生することから、工業的に実施するには満足できるものではなかった。
【0004】
特開平11−71328号公報には、複合金属酸化物触媒の存在下で、脂肪酸アルキルエステル類にアルキレンオキサイド類を直接挿入して生成する特定化学構造を有する脂肪族ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類の製造方法に関し、効率的、かつ経済的に製造することができることが開示されている。しかしながら、重合性を有することから工業的に広範囲に用いられる有用な化合物であるα,β−不飽和カルボン酸環状ヘテロ化合物挿入エステル類を製造する方法の開示はなく、α,β−不飽和カルボン酸環状ヘテロ化合物挿入エステル類の適切な製造方法を研究する余地があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、α,β−不飽和カルボン酸環状ヘテロ化合物挿入エステル類を経済的に効率よく製造する方法、及び、α,β−不飽和カルボン酸環状ヘテロ化合物挿入エステル類を経済的に効率よく製造するために好適な触媒を提供することを目的とするものでもある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、α,β−不飽和カルボン酸環状ヘテロ化合物挿入エステル類を経済的に製造する方法を提供するため、鋭意検討を重ねた結果、α,β−不飽和カルボン酸エステル類と環状ヘテロ化合物とを反応させることにより、工程が短縮され、かつ、水又はアルコールの副生が無くなることに起因してα,β−不飽和カルボン酸環状ヘテロ化合物挿入エステル類を経済的に効率よく製造することができることにまず着目し、このような作用効果が環状ヘテロ化合物を特定化学構造のものとすればより確実に発揮されることに想到した。また、金属酸化物触媒の存在下で反応させると、より経済的に効率よく製造することができることや、重合禁止剤を用いたり、反応を行うときに用いる反応器の気相部の酸素濃度を特定したりすると、α,β−不飽和カルボン酸エステル類やα,β−不飽和カルボン酸環状ヘテロ化合物挿入エステル類の重合が抑制されて更に作用効果が発揮されることも見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち本発明は、下記一般式(1);
【0008】
【化5】
【0009】
(式中、R1 、R2 及びR3 は、同一若しくは異なって、水素原子又は有機残基を表す。R4 は、有機残基を表す。)で表されるα,β−不飽和カルボン酸エステル類と、下記一般式(2);
【0010】
【化6】
【0011】
(式中、R5 は、水素原子又は有機残基を表す。X1 は、O、S又はNHを表す。)で表される環状ヘテロ化合物類とを反応させて下記一般式(3);
【0012】
【化7】
【0013】
(式中、R1 、R2 及びR3 は、同一若しくは異なって、水素原子又は有機残基を表す。R4 は、有機残基を表す。R6 及びR7 は、そのうちのいずれか1つがR5 を表し、残りが水素原子を表す。R8 及びR9 は、水素原子を表す。X1 は、O、S又はNHを表す。n1は、1以上の正数を表す。)で表されるα,β−不飽和カルボン酸エステル類を得る反応工程を含んでなるα,β−不飽和カルボン酸エステル類の製造方法である。
以下に、本発明を詳述する。
【0014】
本発明のα,β−不飽和カルボン酸エステル類の製造方法は、上記一般式(1)で表されるα,β−不飽和カルボン酸エステル類と、上記一般式(2)で表される環状ヘテロ化合物類とを反応させて上記一般式(3)で表されるα,β−不飽和カルボン酸環状ヘテロ化合物挿入エステル類を得る反応工程を含んでなる。このような、α,β−不飽和カルボン酸エステル類の製造方法では、上記反応工程以外の工程を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。なお、α,β−不飽和カルボン酸エステル類は、α,β−不飽和カルボン酸環状ヘテロ化合物挿入エステル類とも呼ばれるものである。
【0015】
上記反応工程は、液相又は気相のどちらで反応させてもよいが、本発明では液相で反応させることが好ましい。特に、X1 がOの場合、金属酸化物触媒下に気相で反応させると、環状ヘテロ化合物類の重合によりポリアルキレングリコール類が生成するため、触媒が失活するあるいは反応基が閉塞する等のおそれが有るため、液相で反応させることが好ましい。
【0016】
本発明において、原料として用いられる一般式(1)で表されるα,β−不飽和カルボン酸エステル類は、式中のR1 、R2 及びR3 で示される置換基が、同一若しくは異なって、水素原子又は有機残基で構成され、R4 で示される置換基が、有機残基で構成される化合物であれば、特に限定されるものではない。
本明細書中、一般式で表される化合物中の有機残基とは、当該化合物を構成する基本構造に結合している基であって、金属原子以外の原子を必須として構成される原子団を意味する。なお、金属原子以外の原子を必須として構成される原子団としては、例えば、下記する炭素数1〜20の炭化水素基や窒素原子を有する基等が挙げられる。
【0017】
R1 、R2 及びR3 で表される有機残基としては特に限定されず、例えば、炭素数1〜20の直鎖状、分枝状又は環状の飽和及び/又は不飽和アルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜10のアシルオキシ基、炭素数1〜20のアシルオキシアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、カルボキシル基、−COOR(Rは、R4 と同様な有機残基を表す。)で表されるカルボン酸エステル基、アミド基等が挙げられる。これらの中でも炭素数1〜8の飽和及び/又は不飽和アルキル基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基が好適に用いられる。
【0018】
R4 で表される有機残基としては特に限定されず、例えば、炭素数1〜20の直鎖状、分枝状又は環状の飽和及び/又は不飽和アルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜8の飽和及び/又は不飽和アルキル基が好適に用いられる。
【0019】
上記一般式(1)で表されるα,β−不飽和カルボン酸エステル類の代表例としては、特に限定されず、具体的には、以下に記載のもの等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ビニル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸4−メチルシクロヘキシルメチル、(メタ) アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ) アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ) アクリル酸2−ヒドロキシイソプロピル、(メタ) アクリル酸3−ヒドロキシプロプル、(メタ) アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類。
【0020】
マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジペンチル、マレイン酸ジヘキシル、マレイン酸ジシクロヘキシル、マレイン酸ジヘプチル、マレイン酸ジオクチル、マレイン酸ジ2−エチルヘキシル、マレイン酸ジノニル、マレイン酸ジデシル、マレイン酸ジビニル、マレイン酸ジフェニル、マレイン酸ジベンジル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノペンチル、マレイン酸モノヘキシル、マレイン酸モノシクロヘキシル、マレイン酸モノヘプチル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸モノ2−エチルヘキシル、マレイン酸モノノニル、マレイン酸モノデシル、マレイン酸モノビニル、マレイン酸モノフェニル、マレイン酸モノベンジル、マレイン酸メチルエチル、マレイン酸エチルブチル、マレイン酸メチルプロピル、マレイン酸メチルブチル等のマレイン酸エステル類。
【0021】
フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジプロピル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジペンチル、フマル酸ジヘキシル、フマル酸ジシクロヘキシル、フマル酸ジヘプチル、フマル酸ジオクチル、フマル酸ジ2−エチルヘキシル、フマル酸ジノニル、フマル酸ジデシル、フマル酸ジビニル、フマル酸ジフェニル、フマル酸ジベンジル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノペンチル、フマル酸モノヘキシル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノヘプチル、フマル酸モノオクチル、フマル酸モノ2−エチルヘキシル、フマル酸モノノニル、フマル酸モノデシル、フマル酸モノビニル、フマル酸モノフェニル、フマル酸モノベンジル、フマル酸メチルエチル、フマル酸エチルブチル、フマル酸メチルプロピル、フマル酸メチルブチル等のフマル酸エステル類。
【0022】
イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジプロピル、イタコン酸ジブチル、イタコン酸ジペンチル、イタコン酸ジヘキシル、イタコン酸ジシクロヘキシル、イタコン酸ジヘプチル、イタコン酸ジオクチル、イタコン酸ジ2−エチルヘキシル、イタコン酸ジノニル、イタコン酸ジデシル、イタコン酸ジビニル、イタコン酸ジフェニル、イタコン酸ジベンジル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノプロピル、イタコン酸モノブチル、イタコン酸モノペンチル、イタコン酸モノヘキシル、イタコン酸モノシクロヘキシル、イタコン酸モノヘプチル、イタコン酸モノオクチル、イタコン酸モノ2−エチルヘキシル、イタコン酸モノノニル、イタコン酸モノデシル、イタコン酸モノビニル、イタコン酸モノフェニル、イタコン酸モノベンジル、イタコン酸メチルエチル、イタコン酸エチルブチル、イタコン酸メチルプロピル、イタコン酸メチルブチル等のイタコン酸エステル類。
【0023】
メチレンマロン酸ジメチル、メチレンマロン酸ジエチル、メチレンマロン酸ジプロピル、メチレンマロン酸ジブチル、メチレンマロン酸ジペンチル、メチレンマロン酸ジヘキシル、メチレンマロン酸ジシクロヘキシル、メチレンマロン酸ジヘプチル、メチレンマロン酸ジオクチル、メチレンマロン酸ジ2−エチルヘキシル、メチレンマロン酸ジノニル、メチレンマロン酸ジデシル、メチレンマロン酸ジビニル、メチレンマロン酸ジフェニル、メチレンマロン酸ジベンジル、メチレンマロン酸モノメチル、メチレンマロン酸モノエチル、メチレンマロン酸モノプロピル、メチレンマロン酸モノブチル、メチレンマロン酸モノペンチル、メチレンマロン酸モノヘキシル、メチレンマロン酸モノシクロヘキシル、メチレンマロン酸モノヘプチル、メチレンマロン酸モノオクチル、メチレンマロン酸モノ2−エチルヘキシル、メチレンマロン酸モノノニル、メチレンマロン酸モノデシル、メチレンマロン酸モノビニル、メチレンマロン酸モノフェニル、メチレンマロン酸モノベンジル、メチレンマロン酸メチルエチル、メチレンマロン酸エチルブチル、メチレンマロン酸メチルプロピル、メチレンマロン酸メチルブチル等のメチレンマロン酸エステル類。
【0024】
α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸プロピル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ブチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸2−エチルヘキシル、α−(1−ヒドロキシエチル)アクリル酸メチル、α−(1−ヒドロキシエチル)アクリル酸エチル、α−(1−ヒドロキシエチル)アクリル酸プロピル、α−(1−ヒドロキシエチル)アクリル酸ブチル、α−(1−ヒドロキシエチル)アクリル酸エチルヘキシル等のα−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類;α−クロロメチルアクリル酸メチル、α−クロロメチルアクリル酸エチル、α−クロロメチルアクリル酸プロピル、α−クロロメチルアクリル酸ブチル、α−クロロメチルアクリル酸エチルヘキシル、α−(1−クロロエチル)アクリル酸メチル、α−(1−クロロエチル)アクリル酸エチル、α−(1−クロロエチル)アクリル酸プロピル、α−(1−クロロエチル)アクリル酸ブチル、α−(1−クロロエチル)アクリル酸エチルヘキシル、α−ブロモメチルアクリル酸メチル、α−ブロモメチルアクリル酸エチル、α−ブロモメチルアクリル酸プロピル、α−ブロモメチルアクリル酸ブチル、α−ブロモメチルアクリル酸エチルヘキシル、α−(1−ブロモエチル)アクリル酸メチル、α−(1−ブロモエチル)アクリル酸エチル、α−(1−ブロモエチル)アクリル酸プロピル、α−(1−ブロモエチル)アクリル酸ブチル、α−(1−ブロモエチル)アクリル酸エチルヘキシル等のα−ハロアルキルアクリル酸エステル類。
【0025】
α−アセトキシメチルアクリル酸メチル、α−アセトキシメチルアクリル酸エチル、α−アセトキシメチルアクリル酸プロピル、α−アセトキシメチルアクリル酸ブチル、α−アセトキシメチルアクリル酸エチルヘキシル等のα−アシロキシアルキルアクリル酸エステル類;桂皮酸メチル、桂皮酸エチル、桂皮酸プロピル、桂皮酸ブチル、桂皮酸フェニル、桂皮酸ベンジル等の桂皮酸エステル類;クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、クロトン酸プロピル、クロトン酸ブチル、クロトン酸フェニル、クロトン酸ベンジル等のクロトン酸エステル類;β−エチルアクリル酸メチル、β−エチルアクリル酸エチル、β−エチルアクリル酸プロピル、β−エチルアクリル酸ブチル、β−エチルアクリル酸フェニル、β−エチルアクリル酸ベンジル、β−プロピルアクリル酸メチル、β−プロピルアクリル酸エチル、β−プロピルアクリル酸プロピル、β−プロピルアクリル酸ブチル、β−プロピルアクリル酸フェニル、β−プロピルアクリル酸ベンジル等のβ−アルキルアクリル酸エステル類。
【0026】
β−メトキシアクリル酸メチル、β−メトキシアクリル酸エチル、β−メトキシアクリル酸プロピル、β−メトキシアクリル酸ブチル、β−メトキシアクリル酸フェニル、β−メトキシアクリル酸ベンジル、β−エトキシアクリル酸メチル、β−エトキシアクリル酸エチル、β−エトキシアクリル酸プロピル、β−エトキシアクリル酸ブチル、β−エトキシアクリル酸フェニル、β−エトキシアクリル酸ベンジル等のβ−アルコキシアクリル酸エステル類;α−アセトアミドアクリル酸メチル、α−アセトアミドアクリル酸エチル、α−アセトアミドアクリル酸プロピル、α−アセトアミドアクリル酸ブチル、α−アセトアミドアクリル酸フェニル、α−アセトアミドアクリル酸ベンジル等のα−アセトアミドアクリル酸エステル類。
【0027】
これら一般式(1)で表されるα,β−不飽和カルボン酸エステル類の代表例の中でも(メタ) アクリル酸メチル、(メタ) アクリル酸エチル、(メタ) アクリル酸プロピル、(メタ) アクリル酸ブチル、(メタ) アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ) アクリル酸ビニル、(メタ) アクリル酸フェニル、(メタ) アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸4−メチルシクロヘキシルメチル、(メタ) アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ) アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ) アクリル酸2−ヒドロキシイソプロピル、(メタ) アクリル酸3−ヒドロキシプロプル、(メタ) アクリル酸4−ヒドロキシブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジ2−エチルヘキシル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジプロピル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジ2−エチルヘキシル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジプロピル、イタコン酸ジブチル、イタコン酸ジ2−エチルヘキシル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸プロピル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ブチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸2−エチルヘキシル、α−アセトキシメチルアクリル酸メチル、桂皮酸メチル、桂皮酸エチル、桂皮酸プロピル、桂皮酸ブチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、クロトン酸プロピル、クロトン酸ブチル等が好適に用いられる。
【0028】
本発明において、原料として用いられる一般式(2)で表される環状ヘテロ化合物類は、式中のR5 で示される置換基が水素原子又は有機残基で構成され、X1 で示される置換基がO、S又はNHで構成される化合物であれば、特に限定されるものではない。
R5 で表される有機残基としては特に限定されず、例えば、炭素数1〜10の直鎖状、分枝状又は環状の飽和及び/又は不飽和アルキル基、炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、アリール基等が挙げられる。
【0029】
上記一般式(2)で表される環状ヘテロ化合物類の代表例としては、特に限定されず、具体的には、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、エポキシブテン、グリシドール、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、スチレンオキサイド、エチレンイミン、エチレンスルフィド等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドを用いることが好ましい。
【0030】
上記一般式(1)で表されるα,β−不飽和カルボン酸エステル類と上記一般式(2)で表される環状ヘテロ化合物類の反応モル比は、特に限定されるものではなく、所望の環状ヘテロ化合物類の付加モル数により決定される。例えば、平均付加モル数を2としたいならば、α,β−不飽和カルボン酸エステル類/環状ヘテロ化合物類のモル比を1/2程度とすればよい。
【0031】
上記α,β−不飽和カルボン酸エステル類と環状ヘテロ化合物類は、反応初期に一括して仕込んでもよいし、どちらか一方を連続又は断続的に反応系中に添加してもよいし、両方を連続又は断続的に反応系中に添加してもよい。これらの中でも、一括して仕込む方法、環状ヘテロ化合物類を連続又は断続的に反応系に添加する方法が好ましい。
【0032】
上記反応工程では、触媒として金属酸化物を用いることが好ましい。本発明にかかる反応は、金属酸化物触媒の存在下で行うのが収率の点で好ましい。該金属酸化物としては特に限定されず、例えば、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化ラジウム、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化コバルト等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの金属酸化物の中でも、酸化マグネシウムを用いることが特に好ましい。
【0033】
本発明では、上記金属酸化物は、複合金属酸化物として用いることがより好ましい。該複合金属酸化物としては特に限定されず、例えば、酸化マグネシウムを挙げれば、水酸化アルミナ・マグネシウム等の水酸化マグネシウムと金属水酸化物との共沈物の焼成物;Al3+、Ga3+、Zr4+、Ti4+、Si4+、In3+、Tl3+、Co3+、Ni3+、Sc3+、La3+、Fe2+、Fe3+、Cr3+、Cu2+及びMn2+からなる群より選択される少なくとも1種以上の金属イオンを添加した酸化マグネシウムの焼成物;ハイドロタルサイトの焼成物等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの複合金属酸化物の中でも、Mg−Al系複合金属酸化物が特に好ましい。
【0034】
上記複合金属酸化物中における(Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Cr、Zr、Fe、Co)/(Al、Ga、Zr、Ti、Si、In、Tl、Co、Ni、Sc、La、Fe、Cr、Cu、Mn)の原子比は、特に限定されるものではないが、0.1〜5の範囲が好ましく、0.5〜4の範囲がより好ましく、1〜3の範囲が特に好ましい。上記原子比の範囲は、収率の点で好ましい。なお、上記原子比の計算においては、上記計算式の分子と分母で同一の原子は除く。
【0035】
上記複合金属酸化物を調製する際の焼成温度としては特に限定されるものではないが、200〜1000℃の範囲が好ましく、300〜950℃の範囲がより好ましく、400〜800℃の範囲が特に好ましい。更に、焼成時間としては特に限定されるものではないが、30〜400分の範囲が好ましく、30〜300分の範囲がより好ましく、60〜250分の範囲が特に好ましい。上記焼成温度及び焼成時間の範囲は、収率に影響する触媒の活性化及び結晶構造の保持の点で好ましい。
【0036】
本発明では、上記金属酸化物が、金属水酸化物及び/又は金属アルコキシドにより表面改質された金属酸化物であることが好ましい。例えば、金属酸化物触媒や複合金属酸化物触媒を必要に応じて金属水酸化物及び/又は金属アルコキシドで表面改質して、改質金属酸化物触媒や改質複合金属酸化物触媒とすることができ、このような改質金属酸化物触媒や改質複合金属酸化物触媒を用いることができる。金属水酸化物としては特に限定されず、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物等が挙げられる。また、金属アルコキシドとしては特に限定されず、例えば、ナトリウムメトキキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;カルシウムメトキキシド、カルシウムエトキシド、カルシウムブトキシド、マグネシウムメトキシド、マグネシウムエトキシド、マグネシウムブトキシド等のアルカリ土類金属アルコキシド等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、上記金属酸化物触媒や複合金属酸化物触媒の改質に使用する金属水酸化物及び/又は金属アルコキシドの量は、該金属酸化物触媒や該複合金属酸化物触媒に対して、0.1〜20重量%の範囲内が好ましく、0.5〜10重量%の範囲内がより好ましく、1〜5重量%の範囲内が特に好ましい。上記金属酸化物触媒や複合金属酸化物触媒の改質に使用する金属水酸化物及び/又は金属アルコキシドの使用量の範囲は、収率の点及び生産性、経済性の点で好ましい。
【0037】
本発明において、α,β−不飽和カルボン酸エステル類と環状ヘテロ化合物類との反応は、例えば、この種の反応に一般的に用いられている回分式、半回分式及び連続式等の反応方式に従って行うことができるが、特に限定されるものではない。例えば、回分式で反応を行う場合、α,β−不飽和カルボン酸エステル類中に環状ヘテロ化合物類を導入して行われる。溶媒中にα,β−不飽和カルボン酸エステル類を溶解させてから環状ヘテロ化合物類を導入してもよい。また、連続式で反応を行う場合には、α,β−不飽和カルボン酸エステル類と環状ヘテロ化合物類を管型、槽型等の反応器内に連続的に投入し、連続的に反応液を反応器から抜き出して行われる。また、触媒存在下で反応する場合には、触媒は、原料とともに連続的に供給し、反応液とともに連続的に抜き出してもよいし、管型等の反応器の場合には、固体触媒を反応器内に充填して使用する、いわゆる固定床形式で使用してもよい。また、槽型の反応器の場合には、固体触媒を反応器内で反応液とともに流動させて使用する、いわゆる流動床形式で使用してもよい。
【0038】
上記触媒は、回分式、半回分式及び連続式等の反応方式に合わせて、粉末の状態でも成形された状態でもよい。成形される場合には、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ等と混合して成形してもよい。
【0039】
上記触媒の使用量は、上記一般式(1)で表されるα,β−不飽和カルボン酸エステル類や一般式(2)で表される環状ヘテロ化合物類の種類や組み合わせにもよるが、該α,β−不飽和カルボン酸エステル類に対して0.001〜25重量%の範囲内が好ましく、0.005〜20重量%の範囲内がより好ましく、0.01〜15重量%の範囲内が更に好ましく、0.05〜10重量%の範囲内が特に好ましい。上記触媒の使用量の範囲は、収率の点及び生産性、経済性の点で好ましい。
【0040】
上記触媒は反応終了後、ろ過又はデカンテーション等の方法により反応系中から容易に分離することができ、分離された触媒はそのまま本発明の反応に再使用することができる。
【0041】
本発明ではまた、上記反応工程を重合禁止剤の存在下に行うことが好ましい。
本発明において、原料である上記一般式(1)で表されるα,β−不飽和カルボン酸エステル類及び生成物である上記一般式(3)で表されるα,β−不飽和カルボン酸環状ヘテロ化合物挿入エステル類はラジカル重合性化合物であり、重合禁止剤の存在下で反応させることが、これらの化合物のラジカル重合を抑制し、収率の点で好ましい。また、分子状酸素含有ガス、分子状一酸化窒素含有ガス、分子状二酸化窒素含有ガスを反応系気相部及び/又は液相部に吹き込むことも重合の抑制に効果が有る。
【0042】
上記重合禁止剤としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、以下に記載のもの等が挙げられる。これら重合禁止剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール、クロラニル、2−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2−tert−ブチルメトキシヒドロキノン、2,5−ジ−tert−アミノヒドロキノン等のキノン系重合禁止剤。
【0043】
2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール、2,6−tert−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−2−ジメチルアミノ−p−クレゾール、n−オクタデシル−3−(3' ,5' −ジ−tert−ブチル−4' −ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、スチリネートフェノール、α−トコフェノール、2−tert−ブチル−6−(3' −tert−ブチル−5' −メチル−2' −ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、2,2' −メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2' −メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2' −メチレンビス(6−シクロヘキシル−4−メチルフェノール)、2,2' −メチレンビス[6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール]、2,2' −エチリデンビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2' −ブチリデンビス(2−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4' −メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4' −ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−(4−ヒドロキシフェニル)]プロピオネート、トリエチレングリコールビス[(3−tert−ブチル−5−メチル−4ヒドロキシフェニル)]プロピオネート、N,N' −ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル) )プロピオニル]ヒドラジン、N,N' −ビス[3−(3' ,5' −ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヘキサメチレンジアミン、2,2−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4' −チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル−6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス[2−(3' ,5' −ジ−tert−ブチル−4' −ヒドロキシヒドロ−シナモイルオキシル)エチル]イソシアヌレート、トリス(4−tert−ブチル−2,6−ジ−メチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3' ,5' −ジ−tert−ブチル−4' −ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、カルシウム−ビス(エチル−3,5−ジ−tert−ブチル)−4−ヒドロキシベンジルフォスフェート、プロピル−3,4,5−トリヒドロキシベンゼンカルボネート、オクチル−3,4,5−トリヒドロキシベンゼンカルボネート、ドデシル−3,4,5−トリヒドロキシベンゼンカルボネート、2,2' −メチレンビス(4−m−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等のアルキルフェノール系重合禁止剤。
【0044】
アルキル化ジフェニルアミン、N,N' −ジフェニル−p−フェニレンジアミン、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、N−フェニル−N' −イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンポリマー、アルドール−α−ナフチルアミン、N−フェニル−β−ナフチルアミン、N,N' −ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、4,4' −ジオクチルジフェニルアミン、フェノチアジン等のアミン系重合禁止剤。
【0045】
ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジプロピルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅、エチレンジチオカルバミン酸銅、テトラメチレンジチオカルバミン酸銅、ペンタメチレンジチオカルバミン酸銅、ヘキサメチレンジチオカルバミン酸銅、オキシジエチレンジチオカルバミン酸銅等のジチオカルバミン酸銅系重合禁止剤。
【0046】
4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,4−ジヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−ヒドロキシ−4−ベンゾイリオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等のピペリジン系重合禁止剤。
【0047】
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等のN−オキシル系重合禁止剤。
【0048】
硫黄、ジラウリル−3,3' −チオジプロピオネート、ジトリデシル−3,3' −チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3' −チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3' −チオジプロピオネート、テトラキス−メチレン−3−(ラウリルチオ)プロピオネートメタン、ジステアリル−3,3' −メチル−3,3' −チオジプロピオネート、ラウリルステアリル−3,3' −チオジプロピオネート、ビス[2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ−5−tert−ブチルフェニル]スルフィド、β−ラウリルチオプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メチルベンゾイミダゾール等の硫黄系重合禁止剤。
【0049】
トリス(イソデシル)フォスファイト、トリス(トリデシル)フォスファイト、フェニルジイソオクチルフォスファイト、フェニルジイソデシルフォスファイト、フェニルジ(トリデシル)フォスファイト、ジフェニルイソオクチルフォスファイト、ジフェニルイソデシルフォスファイト、ジフェニルトリデシルフォスファイト、フォスフォン酸[1,1−ジフェニル−4,4' −ジイルビステトラキス−2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)フェニル]エステル、トリフェニルフォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、4,4' −イソプロピリデンジフェノールアルキルフォスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト、トリス(ビフェニル)フォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、ジ(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4' −ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)ジフォスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタントリフォスファイト、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフェートジエチルエステル、ソディウム−ビス(4−tert−ブチルフェニル)フォスフェート、ソディウム−2,2' −メチレン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスフェート、1,3−ビス(ジフェノキシフォスフォニルオキシ)ベンゼン等のリン系重合禁止剤。
【0050】
N−ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン銅塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン鉄塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミンスズ塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン亜鉛塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミンマグネシウム塩等のN−ニトロソフェニルヒドロキシアミン塩系重合禁止剤。
【0051】
これら重合禁止剤の中でも、ヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール、フェノチアジン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,4−ジヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−ヒドロキシ−4−ベンゾイリオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシルが好適に用いられる。
【0052】
上記重合禁止剤の添加量は、上記一般式(1)で表されるα,β−不飽和カルボン酸エステル類の種類にもよるが、該α,β−不飽和カルボン酸エステル類に対して0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜1重量%、より好ましくは0.01〜0.1重量%の範囲内となるように添加すればよい。上記重合禁止剤の添加量の範囲は、重合の抑制の点、収率の点、及び生産性、経済性の点で好ましい。
【0053】
反応温度は、特に限定されるものではないが、0℃〜230℃の範囲内が好ましく、30℃〜200℃の範囲内が更に好ましく、50℃〜180℃の範囲内が特に好ましい。反応圧力は、特に限定されるものではなく、常圧(大気圧)、加圧の何れであってもよい。反応時間は、上記反応が完結するように、α,β−不飽和カルボン酸エステル類、環状ヘテロ化合物類、触媒及び有機溶剤の種類や組み合わせ、使用量等に応じて適宜設定すればよい。
【0054】
本発明では特に溶剤を使用する必要は無いが、有機溶剤を使用することもできる。有機溶剤としては特に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0055】
上記有機溶剤の使用量は、上記一般式(1)で表されるα,β−不飽和カルボン酸エステル類及び環状ヘテロ化合物類の組み合わせにもよるが、該α,β−不飽和カルボン酸エステル類及び環状ヘテロ化合物類を合わせた総量に対して0〜200重量%、好ましくは0〜100重量%、更に好ましくは0〜80重量%、特に好ましくは0〜70重量%の範囲内となるように使用すればよい。上記有機溶剤の使用量の範囲は、収率の点及び生産性、経済性の点で好ましい。
【0056】
本発明では更に、原料として用いられる上記環状ヘテロ化合物類がアルキレンオキサイドの場合には、上記反応工程における反応が酸素の存在しない雰囲気下で行われることが好ましい。酸素の存在する雰囲気で行われると、アルキレンオキサイドが酸素の存在下、一定の条件において爆発性の混合ガスを形成することになり、反応の安全性が低下するおそれがある。一方、酸素が全く存在しない雰囲気下では、原料や生成物が窒息重合してしまうので、反応が重合防止剤としての酸素を含有するガス雰囲気下で行われることが好ましい。この場合、例えば、空気等の酸素を比較的高濃度で含有する混合ガス雰囲気下で製造する場合には、アルキレンオキサイドを反応器中に投入する際に爆発性の混合ガスを形成するおそれが特に高く、非常に危険である。
【0057】
上記アルキレンオキサイドを原料として用いる反応工程において、酸素を比較的低濃度で含有する混合ガス雰囲気下で反応を行う場合においては、原料のα,β−不飽和カルボン酸エステル類やアルキレンオキサイドには、シールガス(原料が貯蔵されているタンク等の加圧シールガスや置換用シールガス等)である窒素等の不活性ガスや酸素が溶け込んでいるので、これら原料を投入する度に反応器気相部の酸素濃度が変動し、酸素濃度が高くなると爆発の危険性が、酸素濃度が0vol%に近くなると窒息重合の可能性が出てくる。また、反応進行中においても、反応器気相部の酸素濃度が変動する場合がある。従って、α,β−不飽和カルボン酸エステル類とアルキレンオキサイドを反応させて、α,β−不飽和カルボン酸エステル類を製造するにあたり、原料の投入前、反応中、反応後のいずれの段階においても、反応器気相部の酸素濃度を特定の低濃度範囲に維持することが好ましい。なお、vol%とは、容積%を意味し、反応器気相部全体の容積を100vol%とする。
【0058】
上記反応工程では、(1)予め酸素濃度を0.1〜8vol%に調整した酸素/不活性ガスの混合ガス、及び/又は、不活性ガスを用い、アルキレンオキサイド投入前の反応器気相部の酸素濃度を0.1〜8vol%に維持すること、(2)予め酸素濃度を0.1〜8vol%に調整した酸素/不活性ガスの混合ガス、及び/又は、不活性ガスを用い、反応中の反応器気相部の酸素濃度を0.1〜8vol%に維持すること、(3)予め酸素濃度を0.1〜8vol%に調整した酸素/不活性ガスの混合ガス、及び/又は、不活性ガスを用い、反応終了後から次の反応の仕込みまでの間、反応器気相部の酸素濃度を0.1〜8vol%に維持することが好ましい。すなわち、反応前、反応中及び反応終了後から次の反応の仕込みまでの間のそれぞれにおいて、反応器気相部の酸素濃度を0.1〜8vol%維持することが好ましい。これにより、爆発性の混合ガスの形成を防止し、かつ、窒息重合も抑制することができる。好ましくは、0.3〜7.5vol%の範囲、より好ましくは、0.5〜7.0vol%の範囲である。
【0059】
上記反応工程ではまた、例えば、アルキレンオキサイド投入前においては、原料のα,β−不飽和カルボン酸エステル類が反応器中に予め仕込まれるが、α,β−不飽和カルボン酸エステル類には上述のシールガスが溶け込んでいるために、α,β−不飽和カルボン酸エステル類を仕込む前に反応器気相部の酸素濃度を上記の範囲に調整しておいても、α,β−不飽和カルボン酸エステル類の仕込みにより反応器気相部の酸素濃度が変動してしまう場合が起こりうる。そこで、その変動に応じて、予め酸素濃度を0.1〜8vol%に調整した酸素/不活性ガスの混合ガス、及び/又は、不活性ガスを反応器気相部に添加して調整する。具体的な酸素濃度調整方法としては、例えば、反応器気相部の酸素濃度が上昇する場合には不活性ガスを添加して酸素濃度を下げ、逆に、反応器気相部の酸素濃度が減少する場合には予め酸素濃度を0.1〜8vol%に調整した酸素/不活性ガスの混合ガスを添加して酸素濃度を上げ、反応器気相部の酸素濃度を0.1〜8vol%の範囲に維持する。また、酸素濃度調整の際に、例えば、不活性ガスを添加しすぎてしまった際には、予め酸素濃度を0.1〜8vol%に調整した酸素/不活性ガスの混合ガスを添加して、反応器気相部の酸素濃度を0.1〜8vol%の範囲に再調整する場合もある。
【0060】
上記反応工程では更に、アルキレンオキサイドの投入後の反応中においても、投入したアルキレンオキサイドにも上述のシールガスが溶け込んでいるために、上記と同様に、アルキレンオキサイドの投入により反応器気相部の酸素濃度が変動してしまう場合が起こりうる。そこで、その変動に応じて、予め酸素濃度を0.1〜8vol%に調整した酸素/不活性ガスの混合ガス、及び/又は、不活性ガスを反応器気相部に添加して調整する。具体的には、上記の酸素濃度調整方法と同様である。
【0061】
上記反応工程が連続反応の場合にも同様に、連続的に反応器に供給されるアルキレンオキサイドとα,β−不飽和カルボン酸エステル類中に溶け込んでいるシールガスの影響等により反応器気相部の酸素濃度が変動してしまうので、上記と同様に、酸素濃度を0.1〜8vol%の範囲に維持することは有用である。
反応終了後においては、反応液を反応器から取り出すが、その際、反応器内の内圧が低下するので、外部からのガス圧入により内圧低下を抑える必要が起こりうる。また、反応液を反応器から取り出す際に、初めから、外部からのガス圧入により取り出す場合もある。これらの操作においては、外部からのガス圧入の際に反応器気相部の酸素濃度が変動しうる。また、外部から圧入するガス中の酸素濃度が高いと、反応器内にアルキレンオキサイドが残存している場合には爆発性ガスを形成するおそれがあり、非常に危険である。そこで、上記の操作を行う際に用いるガスとして、予め酸素濃度を0.1〜8vol%に調整した酸素/不活性ガスの混合ガス、及び/又は、不活性ガスを用い、反応器気相部の酸素濃度を0.1〜8vol%の範囲に維持する。更に、この予め酸素濃度を0.1〜8vol%に調整した酸素/不活性ガスの混合ガス、及び/又は、不活性ガスを用いて、反応液を取り出した後から次の反応仕込みまでの間においても、反応器気相部の酸素濃度を0.1〜8vol%の範囲に維持するように調整すれば、反応器内に残存しているアルキレンオキサイドと爆発性の混合ガスを形成するおそれが少なく、かつ、反応器内の残反応液(バルブ、ノズル部分等)を重合させることなく、安全な状態で反応器を保持できるという点で効果がある。
【0062】
上記反応工程において、反応器気相部の酸素濃度の具体的な制御方法としては、酸素/不活性ガス、及び/又は、不活性ガスを連続的に投入しても良いし、間欠的に投入してもよい。また、これらのガスは、反応器気相部に投入してもよいし、反応液中に吹き込んでもよい。いずれの場合もガスの分散を良くするために分散板等を設置してもよい。また、これらのガスを投入することで反応器内の圧力が上昇する場合があり、その際には間欠的にガスをパージしてもよいし、連続的にガスを投入する場合には連続的にガスをパージしてもよい。
【0063】
上記反応工程における反応器内の圧力としては、0.05〜3MPaの範囲内にすることが好ましく、より好ましくは0.1〜2MPaの範囲内、更に好ましくは0.1〜1MPaの範囲内である。反応器内の圧力が0.05MPaより低い場合には、アルキレンオキサイドが反応温度条件下で液体として存在しにくくなり、反応の進行が遅くなる。また、3MPaより高い場合には、耐圧力の高い反応器が必要になり、経済的に好ましくない。また、このパージガスを含め、反応器からパージされるガス中に含まれるアルキレンオキサイドは水等に吸収させて廃棄してもよいが、アルキレンオキサイドの回収設備に導いて、コンデンサーで凝縮させて回収したり、水等の極性溶剤や、原料のα,β−不飽和カルボン酸エステル類、生成物であるα,β−不飽和カルボン酸エステル類等の液に吸収させて回収したりして、再利用することが経済上好ましい。特に、原料のα,β−不飽和カルボン酸エステル類、又は生成物であるα,β−不飽和カルボン酸エステル類、及びその混合液に吸収させて回収再利用することが好ましい。
【0064】
上記α,β−不飽和カルボン酸エステル類とアルキレンオキサイドとを反応させてα,β−不飽和カルボン酸エステル類を製造する場合には、製造工程を通じて反応器気相部の酸素濃度を0.1〜8vol%に維持することが好ましい形態といえる。製造工程を通じてこのような低酸素濃度を維持できれば、安全かつ安定的な製造が発現できるからである。また、一般に上記製造工程は、反応工程、未反応アルキレンオキサイドの分離工程、未反応α,β−不飽和カルボン酸エステル類の分離工程、生成物の蒸留工程を含んでなる。ここで、未反応α,β−不飽和カルボン酸エステル類の分離工程は、反応におけるα,β−不飽和カルボン酸エステル類の転化率が100%に近い場合は省略されることもある。
【0065】
上記未反応アルキレンオキサイドの分離工程とは、例えば、充填塔を用いて不活性ガス等により未反応アルキレンオキサイドを反応後液から分離除去し、そのガス中のアルキレンオキサイドを水等の溶媒に吸収させて、廃棄したり、回収再利用したりする工程である。
上記未反応α,β−不飽和カルボン酸エステル類の分離工程とは、例えば、蒸留釜を用いた蒸留により未反応α,β−不飽和カルボン酸エステル類を反応後の液から分離除去し、そのベーパー(留出物)をコンデンサー等で凝縮させるか、水等の溶媒に吸収させる等して、廃棄したり、回収再利用したりする工程である。上記生成物の蒸留工程とは、例えば、蒸留釜を用いた蒸留により生成物を蒸留し、コンデンサー等で凝縮させ、製品を得る工程である。
【0066】
本発明において、アルキレンオキサイドを原料として用いる場合には、上記反応器気相部に加えて、更に生成物からの未反応アルキレンオキサイドの分離工程における気相部、すなわち、上述の例では、充填塔内気相部、及び、充填塔から導かれたガスが水等の溶媒に吸収されるまでの間のベーパーライン等の気相部分、充填塔に付帯するフィードタンク等の中間タンクの気相部分の酸素濃度も0.1〜8vol%に維持することが、より好ましい形態である。
【0067】
上記の形態において、更に好ましい形態は、生成物からの未反応α,β−不飽和カルボン酸エステル類の分離工程における気相部、すなわち、上述の例では、蒸留釜内気相部、及び、蒸留釜から導かれたベーパーがコンデンサー等で凝縮したり、水等の溶媒に吸収されるまでの間のベーパーライン等の気相部分、蒸留釜に付帯するフィードタンク、留出タンク等の中間タンクの気相部分、及び/又は、生成物の蒸留工程における気相部、すなわち、上述の例では、蒸留釜内気相部、及び、蒸留釜から導かれたベーパーがコンデンサー等で凝縮するまでの間のベーパーライン等の気相部分、蒸留釜に付帯するフィードタンク、留出タンク等の中間タンクの気相部分の酸素濃度も0.1〜8vol%に維持する形態である。
【0068】
上記未反応アルキレンオキサイドや未反応α,β−不飽和カルボン酸エステル類の分離工程及び生成物の蒸留工程で用いる設備としては、充填塔、棚段塔、泡鐘塔、蒸留釜等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
反応器気相部以外の、生成物からの未反応アルキレンオキサイドの分離工程における酸素濃度を0.1〜8vol%に維持することにより、かかる気相部のガスがアルキレンオキサイドと爆発性の混合ガスを形成させるおそれが少なく、かつ、未反応原料の分離工程、生成物の蒸留工程において重合物を発生させることなく安全にα,β−不飽和カルボン酸エステル類を製造することができる。なお、予め酸素濃度を0.1〜8vol%に調整した酸素/不活性ガスの混合ガス、及び/又は、不活性ガスに代えて、酸素供給源として酸素濃度の高いガス、例えば空気等を使用すると、たとえ反応器気相部全体の酸素濃度が0.1〜8vol%の範囲に入っていても、空気投入ノズル付近等局部的には酸素濃度が高い爆発性ガスが形成されるおそれが高い。
【0069】
本発明により製造されるα,β−不飽和カルボン酸環状ヘテロ化合物挿入エステル類は、上記一般式(3)で表され、式中のR1 、R2 、R3 及びR4 は、各々上記一般式(1)の定義と同様である。R5 及びX1 は、各々上記一般式(2)の定義と同様である。R6 、R7 、R8 及びR9 は、そのうちのいずれか1つがR5 を表し、残りの3つが水素原子を表す。n1は、1以上の正数を表す。
【0070】
本発明により製造されるα,β−不飽和カルボン酸環状ヘテロ化合物挿入エステル類は、上記反応工程の後に、必要により、上述した工程とは別に、又は、上述した工程に加えて、得られる溶液を精製する工程を行うことによって得ることができる。上記精製手段としては特に限定されず、例えば、蒸留法、抽出法及びカラムクロマト法等によって分離・精製することができる。これらの方法は単独で実施してもよく、組み合わせて実施してもよい。
【0071】
本発明はまた、下記一般式(4);
【0072】
【化8】
【0073】
(式中、R10、R11及びR12は、同一若しくは異なって、水素原子又は有機残基を表す。R13は、有機残基を表す。R14、R15、R16及びR17は、そのうちのいずれか1つが有機残基を表し、残りの3つが水素原子を表す。X2 は、O、S又はNHを表す。n2は、1以上の正数を表す。)で表されるα,β−不飽和カルボン酸エステル類の製造用触媒であって、該触媒は、金属酸化物を含んでなるα,β−不飽和カルボン酸エステル類の製造用触媒でもある。
上記触媒は、金属酸化物を主成分として含んでなることが好ましく、その他の成分を付加的に含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。
【0074】
上記一般式(4)において、R10、R11及びR12における有機残基としては特に限定されず、例えば、上記R1 、R2 及びR3 と同様であり、上記R13における有機残基としては特に限定されず、例えば、上記R4 と同様であり、上記R14、R15、R16及びR17のうちのいずれか1つを構成している有機残基としては特に限定されず、例えば、上記R5 と同様である。
【0075】
上記金属酸化物としては特に限定されず、例えば、上述の金属酸化物を用いることができ、好ましい形態としては、(1)上記金属酸化物として、上述の複合金属酸化物を用いる形態、(2)上記金属酸化物として、上述の金属水酸化物及び/又は金属アルコキシドにより表面改質された金属酸化物を用いる形態、等が挙げられる。
【0076】
本発明の金属酸化物を含んでなる触媒は、上記一般式(3)で表されるα,β−不飽和カルボン酸エステル類の製造のために用いることができ、中でも、上記一般式(1)で表されるα,β−不飽和カルボン酸エステル類と上記一般式(2)で表される環状ヘテロ化合物類とを反応させて上記一般式(3)で表されるα,β−不飽和カルボン酸エステル類を得る反応工程を含んでなるα,β−不飽和カルボン酸エステル類の製造方法に好適に用いられ、α,β−不飽和カルボン酸エステル類を経済的に効率よく製造するために好適な触媒である。
【0077】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、これら実施例のみに限定されるものではない。
【0078】
実施例1(触媒Aの製造)
市販品の酸化マグネシウム粉末(協和化学工業(株)社製;キョーワマグ150)25gを窒素気流中、600℃で3時間焼成して酸化マグネシウム触媒22gを得た。
【0079】
実施例2(触媒Bの製造)
市販品の水酸化アルミナ・マグネシウム粉末(協和化学工業(株)社製;キョーワード300)50gを窒素気流中、700℃で3時間焼成してMg−Al系複合金属酸化物触媒28gを得た。
【0080】
実施例3(触媒Cの製造)
300mlのビーカーに実施例2で得たMg−Al系複合金属酸化物10g、エタノール200mlを添加し、攪拌した。室温で攪拌下に0.5N水酸化カリウムエタノール溶液14.25mlを添加し、更に2時間攪拌を続けた。その後、該溶液をろ過し、エタノールにより洗浄後、減圧下50℃で乾燥することにより水酸化カリウム表面改質Mg−Al系複合金属酸化物触媒10.4gを得た。
【0081】
実施例4
温度計、攪拌装置、圧力計、及び導入管を取り付けた100mlのハステロイC製オートクレーブに、アクリル酸メチル17.2g、フェノチアジン17mg、及び触媒A0.5gを添加した後、オートクレーブ内を2.5vol%酸素(窒素バランス)により完全に置換した。該反応系へエチレンオキサイド8.8gを添加した後、混合攪拌しながら徐々に加熱し、内温を150℃とした。
次いで、150℃で5時間攪拌することにより反応を完了させた。反応終了後、反応溶液からろ過により触媒を除去した後、得られたろ液をGC−1700型ガスクロマトグラフィー((株)島津製作所社製;以下「GC」という)により測定した結果、エチレンオキサイドは全量反応しており、EO1モル付加体が0.10mol、EO2モル付加体が0.03mol、EO3モル付加体が0.01mol、EO4モル付加体が0.003molそれぞれ生成した。
【0082】
実施例5
触媒を触媒B0.5gとした以外は、実施例4と同じ操作を行った。GCにより測定した結果、エチレンオキサイドは全量反応しており、EO1モル付加体が0.13mol、EO2モル付加体が0.02mol、EO3モル付加体が0.01molそれぞれ生成した。
【0083】
実施例6
触媒を触媒C0.5gとした以外は、実施例4と同じ操作を行った。GCにより測定した結果、エチレンオキサイドは全量反応しており、EO1モル付加体が0.15mol、EO2モル付加体が0.02mol、EO3モル付加体が0.003molそれぞれ生成した。
【0084】
実施例7
触媒を触媒C0.5g、エチレンオキサイドを17.6gとした以外は、実施例4と同じ操作を行った。GCにより測定した結果、エチレンオキサイドは全量反応しており、EO1モル付加体が0.05mol、EO2モル付加体が0.11mol、EO3モル付加体が0.02mol、EO4モル付加体が0.017molそれぞれ生成した。
【0085】
実施例8
触媒を触媒C0.5g、アクリル酸メチルをアクリル酸エチル20.0gとした以外は、実施例4と同じ操作を行った。GCにより測定した結果、エチレンオキサイドは全量反応しており、EO1モル付加体が0.15mol、EO2モル付加体が0.02mol、EO3モル付加体が0.003molそれぞれ生成した。
【0086】
実施例9
触媒を触媒C0.5g、アクリル酸メチルをメタクリル酸メチル20.0gとした以外は、実施例4と同じ操作を行った。GCにより測定した結果、エチレンオキサイドは全量反応しており、EO1モル付加体が0.15mol、EO2モル付加体が0.02mol、EO3モル付加体が0.003molそれぞれ生成した。
【0087】
実施例10
触媒を触媒C0.5g、アクリル酸メチルをアクリル酸ビニル19.6gとした以外は、実施例4と同じ操作を行った。GCにより測定した結果、エチレンオキサイドは全量反応しており、EO1モル付加体が0.15mol、EO2モル付加体が0.02mol、EO3モル付加体が0.003molそれぞれ生成した。
【0088】
実施例11
エチレンオキサイドをプロピレンオキサイド11.6gとした以外は、実施例4と同じ操作を行った。GCにより測定した結果、エチレンオキサイドは全量反応しており、PO1モル付加体が0.10mol、PO2モル付加体が0.03mol、PO3モル付加体が0.01mol、PO4モル付加体が0.003molそれぞれ生成した。
【0089】
比較例1
2.5vol%酸素(窒素バランス)に代えて窒素により反応容器内を完全に置換した以外は、実施例4と同じ操作を行った。その結果、2時間後には白色の重合体が生成し、攪拌さえ困難であった。
【0090】
比較例2
重合禁止剤であるフェノチアジンを添加しない(重合禁止剤が存在しない)以外は、実施例4と同じ操作を行った。その結果、2時間後には白色の重合体が生成し、攪拌さえ困難であった。
【0091】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、上記一般式(3)で表されるα,β−不飽和カルボン酸環状ヘテロ化合物挿入エステル類を、経済的に生産性良く製造することができる。
【0092】
本発明の触媒を用いれば、上記一般式(3)で表されるα,β−不飽和カルボン酸環状ヘテロ化合物挿入エステル類を、収率良く生産性良く製造することができる。
【0093】
本発明により得られる上記一般式(3)で表されるα,β−不飽和カルボン酸環状ヘテロ化合物挿入エステル類は、香料や医農薬原料、有機合成中間体、更に重合性材料等に広範囲に用いることができる。
Claims (4)
- 下記一般式(1);
該反応工程は、金属酸化物を触媒として用いて、重合禁止剤の存在下に反応させる工程である
ことを特徴とするα,β−不飽和カルボン酸エステル類の製造方法。 - 前記金属酸化物は、複合金属酸化物である
ことを特徴とする請求項1記載のα,β−不飽和カルボン酸エステル類の製造方法。 - 前記複合金属酸化物は、金属水酸化物及び/又は金属アルコキシドにより表面改質された金属酸化物である
ことを特徴とする請求項1又は2記載のα,β−不飽和カルボン酸エステル類の製造方法。 - 上記一般式(1)で表されるα,β−不飽和カルボン酸エステル類と、上記一般式(2)で表される環状ヘテロ化合物類とを反応させて、上記一般式(3)で表されるα,β−不飽和カルボン酸エステル類を製造するために使用される触媒であって、
該触媒は、金属酸化物を含んでなり、重合禁止剤の存在下に反応させる触媒である
ことを特徴とするα,β−不飽和カルボン酸エステル類の製造用触媒。
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