JP4154004B2 - 太陽電池モジュールの製造方法 - Google Patents

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    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、太陽電池モジュールの製造方法に係る。より詳細には、光起電力素子の変形又は破損、被覆材の破れ、及び、発泡体の不均一に起因したモジュールの波打ち又は外観不良、などが防止できる太陽電池モジュールの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、数多くの薄膜光起電力素子が提案されている。その代表的なものとしては、例えば、導電性基体の上に、光電変換素子として機能するアモルファスシリコン半導体膜と透明導電層とを順次重ねて設けた構成を有する、アモルファスシリコン薄膜光起電力素子を挙げることがきる。
【0003】
このような光起電力素子が組み込まれた太陽電池モジュールは、軽量で、かつ、柔軟性に富んでいるため、単結晶シリコン太陽電池や多結晶太陽電池では難しい用途の太陽電池モジュール、例えば、持ち運びが可能で屋外レジャー等に使用できる太陽電池モジュールや、金属板等にラミネーションして屋根材として使用できる太陽電池モジュールとして利用できる。
【0004】
屋外で持ち運び可能で屋外レジャー等に使用できる太陽電池モジュールとしては、光起電力素子を樹脂で被覆したものが用いられる。この太陽電池モジュールは、柔軟性に富み、軽量である。また、光起電力素子を外部からの衝撃、鋭利なものによる傷から守るために、発泡体を裏面に貼りあわせても構わない。このように発泡体を貼りあわせた太陽電池モジュールは、水に浮くことも可能である。
【0005】
屋外レジャー等に使用可能な太陽電池モジュールでは、絶縁体までラミネーションした後、発泡体を貼りあわせる方法で作製していた。しかし、この方法では、絶縁フィルムまでの被覆工程、発泡体を貼りあわせる工程という2つの工程が必要であった。太陽電池モジュールを低コストで作製するには、これらの工程の簡略化が検討課題であった。
【0006】
ところで、アモルファスシリコン薄膜光起電力素子は、ステボラロンスキー劣化で、一旦低下した変換効率が熱アニールにより、回復することが知られている。また、アモルファスシリコン薄膜光起電力素子のもう1つの特徴としては、結晶系の光起電力素子に比べて、高い温度でも変換効率の低下が少ないことが挙げられる。そのため、結晶系の光起電力素子の設置形態などで採用されている複雑な冷却構造を採る必要がない。
【0007】
また、アモルファスシリコン薄膜光起電力素子は、厚さが数μmの薄膜でも機能するため、種々の耐熱性を有する基板に堆積が可能である。例えば、鋼板、メッキ鋼板、ステンレススチールなどの金属基板、ポリイミドなどに代表される耐熱性の樹脂フィルムである。これらの基板は可撓性に優れる為、厚さが3mm程度の剛直なガラス板に貼り合わせなくても、光起電力素子が破損する事がない。すなわち、アモルファスシリコン薄膜光起電力素子は、様々な被覆形態が可能である。例えば、ガラス板に代わりプラスチックフィルムで被覆する事もでき、剛性を付与する場合には鋼板等を使用する事も可能である。
【0008】
表面にガラス板を使用せず、補強板として鋼板などを用いる太陽電池モジュールは、剛性、耐火性、不燃性、経済性のバランスが取れていると言える。このような太陽電池モジュールは、現在施工されている金属屋根と類似の構造である。すなわち、太陽電池付きの屋根として、複雑な部材、施工を必要とせず、現行の工法に則り太陽電池モジュールが設置できる利点がある。
【0009】
しかしながら、鋼板は熱伝導率が約0.5J/cm・s・Kと高く、外気、あるいは固定部材にその熱を逃してしまうため、アモルファスシリコン薄膜光起電力素子を熱アニールするには問題があった。熱を逃がさない方法としては、例えば、アモルファスシリコン薄膜光起電力素子と鋼板との間に、鋼板に比べて熱伝導率が1000分の1程度である、発泡体(熱伝導率が、例えば約4×10-4J/cm・s・K)を設ける方法がある。
【0010】
使用する環境、設置方法によっても異なるが、一般には1×10-3J/cm・s・K以下の熱伝導率の発泡体を使用した太陽電池モジュールを屋根に設置した場合には、発泡体を持たない太陽電池モジュールに比べて、約25〜40℃も光起電力素子の温度が上昇することが期待される。しかし、従来の太陽電池モジュールでは、補強板の裏側から発泡体を貼り合わせて断熱材としていたため、発泡体と光起電力素子との間には、補強板および絶縁体が存在しており、熱容量、熱伝導が大きくなってしまい、光起電力素子を昇温させる効果は期待値より小さく、10℃〜20℃程度であった。
【0011】
また、従来の光起電力素子を表面被覆材と裏面被覆材で被覆する工程では、脱気性に優れた二重真空方式のラミネーターが一般に使用されていた。このラミネーターは、真空チャンバーを2個有し、ゴム等を隔壁として使用するものであった。この方式によれば、モジュールを下層のチャンバーに入れ、真空引きを上層、下層のチャンバー共に行ない、所定時間の真空引きを完了した後に上層のチャンバーの真空引きを中止すれば、隔壁を介して、モジュールを大気圧で加圧できるものである。従って、モジュールを圧縮する前に充分真空引きである為、モジュールラミ材内部の脱気性に優れた方式である。しかしながら、二重真空方式のチャンバーはその構造上、大面積のモジュールを被覆できる、大型チャンバーを作るには剛性の高い構造部材が必要であった。
【0012】
一方、このように剛性の高い構造部材を必要としない一重真空方式のチャンバーも提案されている。この方式では、ラミネーターのプレート上にOリングを設けて、ゴム板等で真空吸着するものである。
【0013】
以下では、一重真空方式のチャンバーを用い、光起電力素子を表面被覆材と裏面被覆材で被覆する工程について説明する。
【0014】
(光起電力素子を表面被覆材と裏面被覆材で被覆する工程)
光起電力素子を表面被覆材と裏面被覆材で被覆する工程では、フェイスアップ法、フェイスダウン法と呼ばれる2つの方法が多用される。
【0015】
フェイスアップ法とは、Oリングを有するラミネーターのプレート上に、裏面被覆材、光起電力素子および表面被覆材をこの順番で積層し、その上にシリコーンラバー等を載せてから、ラミネーターのプレート、Oリングおよびシリコーンラバーによって囲まれた内部を、真空引きした後、所定の温度に加熱したオーブンに投入し、所定の時間加熱するものであった。フェイスダウン法は、被覆材と光起電力素子の積層順が逆である点のみフェイスアップ法と異なり、他の点は同様である。
【0016】
この2つの方法は、光起電力素子の形状、被覆材料の厚さ、実装部品などの凹凸、又は、表裏いずれの面が平滑性を必要するか、などを考慮して選択する事ができる。例えば、光起電力素子の表面の凸が大きく、表面被覆材が薄い場合には、フェイスアップ法をを選択する。一方、光起電力素子の表面の凸が大きくても、表面の被覆材の厚さが十分に厚い場合には、フェイスダウン法を用いる事も可能である。フェイスダウン法は、治具の金属板が太陽電池モジュールの表面を加圧するので、太陽電池モジュールの表面が平滑になる。一方、フェイスアップ法ではシリコーンラバー等で表面を加圧するので太陽電池表面は、光起電力素子の形状に沿った形となる。
【0017】
(被覆工程において未発泡体を発泡させる際の問題)
光起電力素子を表面被覆材と裏面被覆材で被覆する工程において、未発泡体を発泡させて、裏面被覆材を構成する発泡体の層を形成する場合は、フェイスアップ法が好ましい。
【0018】
何故ならば、フェイスダウン法では、治具に使用するシリコーンラバー等の隔壁は曲げ剛性が小さく、シリコーンラバー端部を真空引きによって固定しているため、シリコーンラバーは未発泡体の発泡時の圧力によって中央部で伸びやすい。その結果、太陽電池モジュールの中央部に相当する部分は、発泡が粗く不均質な発泡体となるため、好ましくない。
【0019】
一方、フェイスアップ法では、光起電力素子を介して発泡体が加圧できるので光起電力素子の下にあたる部分は均質な発泡体を得ることが可能である。しかし、光起電力素子のある部分とない部分で発泡倍率が異なるという状況が生じるため、この問題を解決する必要があった。
【0020】
(被覆工程における光起電力素子の変形)
現在、太陽電池の被覆材料の厚さは、太陽電池モジュールの低コスト化を図るため、薄くなってきている。この理由から、上述したフェイスアップ法による被覆工程が好適に用いられる。
【0021】
しかしながら、この方法で、裏面に凸部を持つ光起電力素子を被覆した場合、被覆工程中の光起電力素子は、裏面の凸部に追従して押され、光起電力素子が変形したり、破損するという問題が生じていた。
【0022】
(発泡の不均一)
未発泡体は、樹脂が加熱溶融された後、未発泡体に含まれる発泡剤が熱分解して発泡体となる。
【0023】
フェイスアップ法で被覆する場合、未発泡体は加熱溶融時に流れを生じて、光起電力素子の裏面の凸部に対応する部分に樹脂が少なくなる。この状態で発泡剤が分解しても、光起電力素子の凸部には樹脂が無いため、発泡体ができない。そのため、形成される発泡体が不均一になるという問題を生じる。この発泡の不均一は、太陽電池モジュールの裏面に窪みを生じる原因となる。
【0024】
一方、フェイスダウン法でシリコーンラバーによって未発泡体を追従させれば、樹脂流れによる問題は解決できる。しかし、前述の中央部と端部の発泡の不均一を生じる。シリコーンラバーと未発泡体の間に曲げ剛性の大きな部材を入れて加圧しても、樹脂流れによる外観不良が生じる。
【0025】
また、フェイスアップ法で、光起電力素子の裏面の形状に合わせた被覆時の積層台を用意することで樹脂流れや、光起電力素子の変形を防ぐことができるが、でき上がる太陽電池モジュールは、一部が出っ張った形となり外観上好ましくない。さらに、屋外で持ち運ぶ際にその出っ張り部分が選択的に擦れやすく、被覆が破れるという新たな問題が生じる。
【0026】
(ラミ材の波打ち)
発泡倍率が異なる場合、太陽電池モジュールの厚さが部分的に変わるため、太陽電池モジュールの表面がうねった状態となり外観不良となってしまう。特に、未発泡体を用いたラミ材では、光起電力素子のある部分とない部分の発泡倍率の違いが大きいため、ラミ材の波打ちが発生しやすい。
【0027】
上記ラミ材とは、図1では、裏面被覆材106と表面被覆材108とを指す。また、図3では、裏面材304から不織布309までの構成物と、不織布311から表面材313までの構成物とを意味する。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、凹凸のある光起電力素子を被覆した場合でも、光起電力素子の変形や破損、被覆材料の破れなどが発生せず、発泡体の発泡倍率の不均一に起因した太陽電池モジュールの波打ちが少なく、かつ、発泡の不均一起因した外観不良の無い、太陽電池モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究開発を重ねた結果、次のような方法が最良であることを見いだした。
【0030】
本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法は、光起電力素子を表面被覆材と裏面被覆材との間に有してなる太陽電池モジュールの製造方法において、発泡剤を有する裏面被覆材、光起電力素子、表面被覆材と共に、前記表面被覆材又は/及び前記裏面被覆材の外側に、厚さ方向に弾性変形して光起電力素子の凹凸を吸収する厚さ1乃至10mmの部材と曲げ剛性を有する部材とを順に積み重ねて配置し、前記曲げ剛性を有する部材の外側から加圧し、前記発泡剤を発泡させて発泡体としての層を含む裏面被覆材を形成するとともに、該裏面被覆材と前記表面被覆材で光起電力素子を被覆する工程を有することを特徴とする。
【0031】
上記製造方法によれば、厚さ方向に弾性変形する部材を設けたことにより、光起電力素子の変形や破壊、被覆材の破れを防ぐことが可能となる。また、厚さ方向に変形する部材が有する、変形量に応じて硬度が変わる性質を利用することで、発泡体の発泡を均一にできる。さらに、曲げ剛性を有する部材を介して加圧するため、太陽電池モジュールの被覆材の表面は、厚さ方向に弾性変形する部材の変形量以上には変形することがない。その結果、太陽電池モジュールには、大きな波打ちが生じない。
【0032】
前記裏面被覆材を構成する発泡体の層は、前記工程において未発泡体が発泡されて形成されたため、未発泡体は他の被覆材と同様な熱履歴を受けることができる。その結果、発泡体を別工程で貼りあわせる従来方法で生じた、発泡体と絶縁フィルムの剥離を、防ぐことが可能な太陽電池モジュールがえられる。
【0033】
前記裏面被覆材が、前記発泡体の層と、織布又は不織布の層とから構成されているため、凹凸がある場所で使用中に踏むようなことがあっても素子にダメージを与えることがない太陽電池モジュールが得られる。
【0034】
前記光起電力素子の接続部材が、前記光起電力素子の表面又は裏面に実装されているため、接続部材の破断等を生じにくい太陽電池モジュールが得られる。
【0035】
前記光起電力素子のバイパスダイオードが、前記光起電力素子の表面又は裏面に実装されているため、バイパスダイオードが破損しにくい太陽電池モジュールが得られる。
【0036】
前記光起電力素子の基板が可撓性を有するため、柔軟性に優れた太陽電池モジュールが得られる。
【0037】
前記光起電力素子の基板が金属であるため、電気接続が容易である太陽電池モジュールが得られる。
【0038】
前記加圧の手段が真空加圧であるため、気泡等のない、外観の優れた太陽電池モジュールが得られる。
【0039】
前記表面被覆材の外側に設けた前記厚さ方向に弾性変形する部材の圧縮硬さAと、前記裏面被覆材の外側に設けた前記厚さ方向に弾性変形する部材の圧縮硬さBとの関係が、A≧Bであるため、表面被覆材の外側に設けた厚さ方向に弾性変形する部材が、裏面被覆材の外側に設けた厚さ方向に弾性変形する部材より、厚さ方向に弾性変形するのを防ぐことができる。その結果、光起電力素子に変形が生じる問題を解消できる。また、太陽電池モジュールの表面がフラット感の高いものとなるため、外観的にも優れた太陽電池モジュールがえられる。
【0040】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法を説明する概略図である。本発明は、さまざまな被覆装置を用いることが可能であるが、図1は一重真空方式を用いた一例である。
【0041】
図1において、101はラミネーターのプレート、102はOリング、103はシリコーンラバーからなる隔壁、104には曲げ剛性を有する部材、105は厚さ方向に弾性変形する部材、106は裏面被覆材、107は光起電力素子、108は表面被覆材、109は厚さ方向に弾性変形する部材、110はに曲げ剛性を有する部材、111はチューブ、112は真空ポンプである。以下では、裏面被覆材106と表面被覆材108を合わせて、ラミ材と呼ぶ場合がある。
【0042】
これらを、図1に示すように積層し、ラミネーターのプレート101、Oリング102、及び、隔壁103によって囲まれた部分を、真空ポンプ112を用いて真空引きする。その後、図1の治具[ラミネーターのプレート101とその上に設けたもの全て(102〜110)]を、所定温度に加熱したオーブン内で、所定時間加熱する。
【0043】
(ラミネーターのプレート)
ラミネーターのプレート101は、太陽電池モジュールの被覆材(すなわちラミ材)、光起電力素子、厚さ方向に弾性変形する部材、及び、曲げ剛性を有する部材、を積層する台となるものである。支持台、Oリング、隔壁内部の真空引きを助けるために支持台上にメッシュを置くことが好ましい。
【0044】
上述した治具をオーブン内で加熱することから、ラミネーターのプレート101には、被覆工程の温度以上の耐熱性が要求される。一般的な被覆工程の温度条件であれば、150〜200℃程度の常用耐熱温度があることが好ましい。
【0045】
ラミネーターのプレート101には、ラミネーターのプレート101、Oリング102、及び、隔壁103によって囲まれた部分を、真空ポンプ112を用いて真空引きしても、変形することのない強度が必要である。あるいは、梁に掛けられた場合の撓みも1mm以下に抑える場合には、厚さが1.0mm以上の鋼板、又は、厚さが5mm以上のアルミニウム板、がラミネーターのプレートとして好ましい。
【0046】
ラミネーターのプレート101は、このような治具をオーブンに入れて加熱する被覆方法の場合には、太陽電池モジュールヘの熱伝導が優れていることが好ましい。
【0047】
また、不図示ではあるが、ラミネーターのプレート自体が、熱源を有していても構わない。すなわち、ラミネーターのプレートにヒーターを取りつけたり、内蔵させることも可能である。
【0048】
さらに、本発明に係るラミネーターのプレートは、他にに曲げ剛性を有する部材を使用しない場合は、ラミネーターのプレートに弾性変形しないという機能を持たせることも可能である。
【0049】
(Oリング)
上述した治具をオーブン内で加熱することから、Oリング102には、被覆工程の温度以上の耐熱性が必要である。一般的な被覆工程の温度条件であれば150〜200℃程度の常用耐熱温度があることが好ましい。
【0050】
(隔壁)
上述した治具をオーブン内で加熱することから、シリコーンラバーからなる隔壁103には、被覆工程の温度以上の耐熱性が必要である。一般的な被覆工程の温度条件であれば150〜200℃程度の常用耐熱温度があることが好ましい。
【0051】
(曲げ剛性を有する部材)
本発明に係る曲げ剛性を有する部材は、未発泡体を被覆工程で発泡する場合に、太陽電池モジュールにおいて、光起電力素子が有る部分と無い部分の発泡倍率が異なってしまうという問題を解消するために用いられる。
【0052】
未発泡体が発泡する際には、未発泡体に含まれる発泡材が、ガスを発生する。発生したガスは、被覆材や、光起電力素子を押し上げる。その際、治具端部では隔壁と支持基板が固定されているために押し上げられにくいが、中央部では固定端が遠く隔壁の伸びによってふくらみやすい。そのため太陽電池モジュールにうねりを生じる。このうねりを発生させないためには、曲げ剛性を有する部材として、弾性率が高く、厚さが厚いものが好ましい。弾性率は、1×1010Pa乃至50×1010Paであることが好ましい。
【0053】
しかし、厚さに関しては、弾性率が大きくても、厚みが薄いものでは曲げ剛性は不足する。厚みが厚いと熱伝導が悪くなると言う問題を生じる。また熱容量も大きくなる。これらの理由から、弾性率が高く、厚みが薄いもののほうがより好ましい。
【0054】
また、熱伝導率も高いことが好ましい。上記の条件を満たすものとしては金属板が好ましい。好ましい厚みは0.1〜5mmである。但し、曲げ剛性を有する部材が熱源を有する場合には、その限りではない。
【0055】
(厚さ方向に弾性変形する部材)
本発明に係る厚さ方向に弾性変形する部材は、光起電力素子の表面及び裏面ある凹凸に対して変形するものである。加圧時に変形することによって光起電力素子の形状に沿った形となり被覆材料を均一に加圧することができる。厚さ方向に弾性変形する部材がない場合には、曲げ剛性を有する部材と光起電力素子の凸部がだけが部分的に加圧されることとなり、光起電力素子が変形、破損することや、光起電力素子の変形によって材料の破れを生じる。厚さ方向に弾性変形する部材は、光起電力素子の形状に沿った加圧ができることで脱気不良等の外観不良もなくすことができる。
【0056】
厚さ方向に弾性変形する部材の厚さは、光起電力素子の凹凸よりも厚いことが必要である。また、1気圧の加圧下で光起電力素子の凹凸を吸収できる厚さが必要である。一方、厚すぎると熱伝導が悪くなり、熱容量が大きくなると言った問題もある。したがって、厚さ方向に弾性変形する部材の厚さとしては、1乃至10mmが好ましい。
【0057】
厚さ方向に弾性変形する部材は、被覆工程の温度で熱変形しない耐熱性をもつことが好ましい。熱変形してしまうと、弾性体としての機能を果たすことができず、形成した太陽電池モジュールでは、光起電力素子において変形や破損が生じてしまう。また、熱変形してしまうと再使用ができないという問題もある。
【0058】
また、本発明に係る厚さ方向に弾性変形する部材は、被覆工程で半永久的に使用できるように、変形後、常温放置にて復元することが好ましい。
【0059】
特に、未発泡体を被覆工程で発泡する方法に適した弾性変形する部材には、初期の加圧に対して光起電力素子の凹凸に追従し、均一な加圧ができ、さらに、発泡剤が分解した時に発生するガスの圧力によってさらに変形し、その圧力に応じて均一に変形することで、発泡体を均一なものとでき、さらに光起電力素子の凹凸の充填性を改善できる、機能が求められる。
【0060】
このような機能をもつためには、厚さ方向に弾性変形する部材の圧縮硬さは、0.01以上500kg/cm2であることが好ましい。0.01未満であると厚さ方向に弾性変形の度合いが大きく、膜厚を大きくとらないと、光起電力素子の凸部が曲げ剛性を有する部材に突き当たってしまい、厚さ方向に弾性変形する効果は小さい。また、500kg/cm2以上であると、厚さ方向に弾性変形せずに、光起電力素子の凹凸に力が集中し光起電力素子の変形、破損が生じる。
【0061】
光起電力素子の表面側に設けられる厚さ方向に弾性変形する部材は、裏面側のそれと比べて硬度が高いことが好ましい。この硬度差をつけることにより、表面側の厚さ方向に弾性変形する部材が裏面側よりも厚さ方向に弾性変形した場合、光起電力素子に変形が生じる問題を解消できる。また、太陽電池モジュールの表面がフラット感の高いものとなるため、外観的にも優れた太陽電池モジュールが得られる。
【0062】
(裏面被覆材)
本発明に係る裏面被覆材106は、絶縁体、未発泡体、及び、保護フィルム又は補強板から構成される。未発泡体は、被覆工程中に発泡し、発泡体となる。
【0063】
(絶縁体)
絶縁体は、光起電力素子と発泡体との接着の機能、光起電力素子と外部との絶縁をより確実にする機能を持つ。絶縁体として要求される他の特性としては、電気絶縁性、機械的強度、湿潤時の絶縁性、耐熱性が挙げられる。
【0064】
絶縁体と光起電力素子又は発泡体との接着強度が低い場合には、これらの界面に接着剤を使用することができる。構造的には、接着剤、絶縁体、接着剤が予め一体に積層されたものであることが作業性の観点から好ましい。
【0065】
本発明に使用される接着剤は、熱的な特性としては高温で溶融し、更に高温で架橋が伴う事が望ましい。しかし、モジュールの温度が80℃程度しか昇温しない用途では架橋はそれ程重要ではない。
【0066】
絶縁体としては、例えば、2軸延伸のポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ガラス繊維、樹脂繊維の不織布が挙げられる。
【0067】
(未発泡体)
未発泡体は、樹脂の他に、発泡剤、架橋剤、フィラーなどを含有する材料である。特に、未発泡体に含まれる発泡剤は、被覆工程において分解し、ガスを発生して発泡体となる。
【0068】
(未発泡体の樹脂)
本発明の未発泡体に使用される樹脂には、充填性が要求される。例えば、ASTM4−1238改では、流れ易さの目安がメルトフローレートで表現されていれが、本発明の未発泡体に使用される樹脂としては、1乃至400dg/分の流動性が好ましい。1dg/分未満では、光起電力素子の裏面の凹凸を充填できるだけの流動性が得られない。被覆工程の温度を上げる事によっても、流動性が上げられるが、表面被覆の充填材であるエチレン酢酸ビニルなどが黄変し、モジュールの変換効率が低下するという問題が生じる。一方、400dg/分よりも大きな流動性を有する樹脂は、発泡剤から発生するガスを捕らえられず、ガスがモジュール外に散逸してしまう。
【0069】
また、発泡剤から発生するガスによって形成される気泡構造は、モジュールの被覆工程中の高温に押し潰されない耐熱性が要求される。従って、未発泡体の樹脂としては、架橋剤を含むものが好ましい。
【0070】
さらに、未発泡体の樹脂には、被覆工程中に発泡体となる他に、絶縁体や補強板との接着強度が要求される。これらの条件を満たす材料であれば、特に限定されないが、具体的な材料としては天然ゴム、スチレンブタジエンラバー、クロロプレン、エチレンプロピレンジエンラバー、エチレン酢酸ビニル、エチレンエチルアクリエートなどのエチレンとアクリルエステルの共重合物などが挙げられる。
接着剤を別途使用する場合には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂も使用できる。もちろん、上記樹脂をブレンドして用いても構わない。
【0071】
(未発泡体に含有される発泡剤)
発泡する方法としては、例えば、化学反応時に副生するガスを利用する方法、低沸点の揮発性溶剤を混入または含浸させ気化させる方法、ミクロバルーン(中空気球)を包含させる方法、可溶性物質を添加しこれを溶出させる方法等が挙げられる。いずれの方法も本発明に使用することができる。
【0072】
本発明に好適な発泡剤の材料は、化学反応時に副生するガスを利用する方法の場合、独立気泡の得やすい有機発泡剤が好ましい。有機発泡剤とは加熱することによって分解し、ガスが発生する材料の事である。未発泡体をなす樹脂が軟化して、発泡をし、硬化し発泡体となる。
【0073】
このような発泡剤は、有機発泡剤と無機発泡剤に2分される。
【0074】
無機発泡剤としては、例えば重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、アジド化合物などが挙げられる。ホウ水酸化ナトリウム、軽金属もガスを発生する事は可能であるが、発生温度が400度以上と高かったり、発生ガス種が水素であり危険である。無機の発泡剤は連続気泡が生じやすく、本発明に使用する場合には防水処理などで発泡体に水分が入らないようする工夫が必要である。
【0075】
一方、有機発泡剤は、熱分解によるガスの発生速度が適当であり、発生ガスがほとんど窒素であり、均一微細な単独気泡体が得られるため、本発明の発泡剤として好ましい。しかも、シャープにガスが発生する材料が好ましい。
【0076】
発泡剤の分解温度が太陽電池モジュールの被覆工程に用いられる温度と大きく異なる場合には、発泡助剤を用いる場合もある。
【0077】
発泡剤の分解温度は、樹脂が軟化し架橋の反応が進行している時にガスを発生することが好ましく、樹脂の軟化点より高く、後で述べる有機過酸化物の架橋剤の1時間半減温度の−40乃至+40℃が好ましい。発泡体を形成する際には、樹脂の架橋が先行し、ガスの発生がなされることが好ましい。
【0078】
このような発泡剤の添加量としては、0.1乃至30部が好ましい。
【0079】
(未発泡体に含有される架橋剤)
携帯用の太陽電池モジュールでは、被覆工程における耐熱性の改善、絶縁体との接着強度の向上、あるいはモジュールの裏面表面に位置する場合は耐擦傷性の向上が求められている。従って、発泡体が架橋されている事が好ましい。
【0080】
発泡体を架橋する方法としては、一般に、ラジカル架橋、硬化剤との反応によるイオン架橋が挙げられる。上記の要求を満たすものとしては、ラジカル架橋の方が好ましい。
【0081】
ラジカル架橋は、電子線架橋、放射線架橋、化学架橋などに分類できるが、使用する装置が簡便であることから、化学架橋が好適に用いられる。中でも、有機過酸化物による架橋が多用されている。以下では、有機過酸化物について詳しく説明する。
【0082】
有機過酸化物による架橋は、有機過酸化物から発生する遊離ラジカルが、樹脂中の水素を引き抜いてC−C結合を形成することによって行われる。有機過酸化物の活性化方法としては、熱分解、レドックス分解およびイオン分解が知られている。一般には、熱分解法が多用されている。
【0083】
上記有機過酸化物の添加量は、発泡体の樹脂に対して0.1乃至5%が一般的である。有機過酸化物は、通常1時間半減期で表される事が多いが、本発明に使用される有機過酸化物の1時間半減期温度には、特に制約はない。しかし、オレフィン樹脂を主成分とする場合には、圧縮成型温度が約90乃至150℃である事から、1時間半減期温度は100乃至170℃が好ましい。
【0084】
発泡剤の分解温度と、架橋剤の分解温度との関係も厳密には規定できないが、有機過酸化物の1時間半減期温度は、発泡剤の分解温度よりも高い方が好ましい。
【0085】
(未発泡体に含有されるフィラー)
未発泡体には、増量剤として、また気泡の数を調整するために核剤として、フィラーを添加しても良い。フィラーの量を多くすることにより、気泡の数を増やし、緻密な発泡体を得ることができる。核剤の添加量としては、せいぜい1重量%あれば充分であり、それ以上の添加量では気泡の数は増えない。
【0086】
むしろ経済的な理由で安価な増量剤を添加する事は可能である。これらの核化効果を有する材料としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー、タルク、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、カーボンブラック、二酸化珪素、酸化チタン、樹脂微粒子オルトホウ酸と滑石、脂肪酸のアルカリ土類金属塩、クエン酸、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。
【0087】
(発泡体)
柔軟性を持つ太陽電池モジュールの場合、発泡体は、光起電力素子の裏面を保護する機能がある。また、裏面の保護を発泡体とすることで、水に浮くことも可能となる。この様な太陽電池モジュールの場合では、水分を吸収しにくい独立気泡であることが好ましい。前述した発泡剤を使用する方法が、独立気泡を作るのには好適である。
【0088】
さらに、外部より加えられる力から光起電力素子を保護する特性も求められる。持ち運び可能な太陽電池モジュールでは、地面近くに設置した場合に靴で踏まれたり、移動中に地面を引き摺られたりする事が想定される。とりわけ、靴で踏まれる場合、太陽電池モジュールの底に砂あるいは土が存在し、裏面から光起電力素子を変形する力が作用する。これらの応力を緩和するためには、発泡体の材料としては、剛性の高い材料を使用するよりも緩衝性に優れた材料が好適である。
【0089】
発泡体の厚みは、砂あるいは土などの大きさに較べて大きい事が好ましい。しかしながら、あまり厚い発泡体は前述した様にカールなどの問題が発生する為、1乃至15mm程度が望ましい。
【0090】
(補強板、保護フィルム)
補強板は、太陽電池モジュールを支持するものである。
【0091】
太陽電池モジュールはその使用目的で、恒久的に設置する太陽電池モジュールと、携帯性、柔軟性に優れた太陽電池モジュールとの2種類に分けられる。
【0092】
この2種類の太陽電池モジュールに求められる剛性は、以下に示すように異なっている。
【0093】
恒久的に設置する太陽電池モジュールとしては、建材一体型として使用する場合や、フレームをモジュールに取り付け、フレームを介して架台に設置する場合などが挙げられる。これらの用途の太陽電池モジュールは、十分な剛性が必要である。通常、風速30〜40m/秒に耐えられる剛性が必要と言われている。とりわけ、表面にガラス板を使用せず、フッ素フィルム等で表面を被覆した太陽電池モジュールでは、補強板による剛性付与が効果的である。この場合に使用される補強板の材料としては、例えば鋼板、ガラス繊維強化プラスチック、硬質プラスチック、材木等が挙げられる。建材一体型の場合には、祈り曲げ加工する事により剛性の改善を図ると同時に、取り付け部材であるチャンネルに嵌め込む構造が好適に用いられる。これらの加工には鋼板、ステンレス鋼板が適している。これらの材料は、高温の火炎でも溶融あるいは変形しずらく屋根材としても好適に使用されている。この様な用途には、防錆性、耐候性に優れている事が好ましい。上記特性の為に、耐候性に優れた塗料の塗布が一般に行なわれている。補強板と発泡体との接着強度が不十分である場合、接着剤あるいは粘着剤で貼合することができる。この場合、接着剤としてはエチレン酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂が使用でき、粘着剤としてはエマルジョン塗料などの好適に使用できる。
【0094】
一方、恒久的にモジュールを固定せず、携帯し必要な場合のみ、太陽電池を使用する用途がある。例えば、系統電線の届いていない行楽地の様な場所、あるいはヨットや自動車などのバッテリーチャージである。これらの用途には柔軟で軽量な太陽電池モジュールが求められる。すなわち、携帯するには軽量である事が好ましく、使用しない時には、折りたたみ、あるいは丸めて保管する事が望ましい。これらのモジュールは先に述べた恒久的に設置するタイプのモジュールよりも裏面の被覆材は過酷な使用のされ方をする場合が多い。すなわち携帯時、引き摺られたり、使用時誤って足で踏まれたりする。
【0095】
これらの外力に抗する為に、裏面に発泡体が採用される訳であるが、外力に較べて発泡体の耐擦傷性、緩衝性が劣る際には、最も裏面側に保護フィルムを使用することができる。保護フィルムとして要求される特性は酎候性、可鏡性、耐水性、耐ガソリン性、可塑剤の耐移行性である。具体的な材料としては、低密度ポリエチレン、ポリエチレン共重合体、例えば酢酸ビニルが30重量%以下のエチレン酢酸ビニル、可塑剤を含有したポリ塩化ビニル、ポリエステル、フッ化ビニルが挙げられる。保護フィルムと発泡体との接着強度が不十分である場合は、補強板と同様に、接着剤あるいは粘着剤で貼合することができる。
【0096】
保護フィルムは、太陽電池モジュールの保護のみばかりか、製造方法にも利点を有する。すなわち、発泡剤が分解する際に発生するガスの逃げを防ぐのに効果的である。この場合も接着剤あるいは粘着剤を併用することができる。
【0097】
本発明で使用される接着剤は、太陽電池モジュールの被覆工程の初期の段階では溶けていて、終了時には架橋されることが好ましい。架橋は、後で述べる有機過酸化物等で行なうのが好ましい。架橋を行なうことにより接着剤の樹脂の凝集力が向上し、接着剤の層内での破壊がなくなる。補強板あるいは発泡体の界面と共有結合を形成する事も可能であり、接着強度が向上する。接着剤の具体的な材料としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリエート共重合体、ポリビニルプチラール、シリコーン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
【0098】
(光起電力素子)
本発明に係る光起電力素子は、少なくとも、導電性基板上に、光変換部材としての半導体光活性層が形成されたものであり、例えば図2及び図3に示した構成のものが挙げられる。
【0099】
図2及び図3において、201は導電性基板、202は裏面反射層、203は半導体光活性層、204は透明導電層、205は集電電極である。
【0100】
導電性基板201は、光起電力素子の基体になると同時に、下部電極の役割も果たす。その材料としては、例えばシリコン、タンタル、モリブデン、タングステン、ステンレス、アルミニウム、銅、チタン、カーボンシート、鉛メッキ鋼板、導電層が形成してある樹脂フィルムやセラミックスなどが挙げられる。
【0101】
上記導電性基板201上には、裏面反射層202として、金属層又は/及び金属酸化物層を形成しても良い。金属層としては、例えば、Ti,Cr,Mo,W,Al,Ag,Niなどが用いられ、金属酸化物層としては、例えば、ZnO,TiO2,SnO2などが用いられる。上記金属層及び金属酸化物層の形成方法としては、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法などがある。
【0102】
半導体光活性層203は光電変換を行う部分であり、その具体的な材料としては、pn接合型多結晶シリコン、pin接合型アモルファスシリコン、あるいはCuInSe2,CuInS2,GaAs,CdS/Cu2S,CdS/CdTe,CdS/InP,CdTe/Cu2Teをはじめとする化合物半導体などが挙げられる。上記半導体光活性層の形成方法としては、多結晶シリコンの場合は溶融シリコンのシート化か非晶質シリコンの熱処理、アモルファスシリコンの場合はシランガスなどを原料とするプラズマCVD、化合物半導体の場合はイオンプレーティング、イオンビームデポジション、真空蒸着法、スパッタ法、電析法などがある。
【0103】
透明導電層204は、光起電力素子の上部電極の役目を果たしており、その材料としては、例えば、In23,SnO2,In23−SnO2(ITO),ZnO,TiO2,Cd2SnO4,高濃度不純物ドープした結晶性半導体層などが挙げられる。また、その形成方法としては、抵抗加熱蒸着、スパッタ法、スプレー法、CVD法、不純物拡散法などがある。
【0104】
透明導電層の上には電流を効率よく集電するために、格子状の集電電極205(グリッド)を設けてもよい。集電電極205の具体的な材料としては、例えば、微粉末状の銀、金、銅、ニッケル、カーボンなどをバインダーポリマーに分散した導電性ペーストなどが挙げられる。バインダーポリマーとしてはポリエステル、エポキシ、アクリル、アルキド、ポリビニルアセテート、ゴム、ウレタン、フエノールなどの樹脂が挙げられる。導電性ペーストの他に集電電極205の形成方法としては、マスクパターンを用いたスパッタリング、抵抗加熱、CVD法や、全面に金属膜を蒸着した後で不必要な部分をエッチングで取り除きパターニングする方法、光CVDにより直接グリッド電極パターンを形成する方法、グリッド電極パターンのネガパターンのマスクを形成した後にメッキする方法などが挙げられる。
【0105】
最後に起電力を取り出すために、出力端子206を導電性基体と集電電極に取り付ける。導電性基体に取り付ける場合は、銅タブ等の金属体をスポット溶接や半田で接合する方法が用いられる。集電電極に取り付ける場合は、金属体を導電性接着剤や半田207によって電気的に接続する方法が取られる。なお集電電極に取り付ける際、出力端子が導電性基板や半導体層と接触して短絡するのを防ぐため、絶縁体208を設けることが望ましい。
【0106】
上記の手法で作製した光起電力素子は、所望する電圧あるいは電流に応じて直列か並列に接続される。また、絶縁化した基板上に光起電力素子を集積化して所望の電圧あるいは電流を得ることもできる。
【0107】
(表面被覆材)
本発明に係る表面被覆材は、充填材と表面材から構成される。光起電力素子を外部からの応力等から保護し、且つ光起電力素子の光電変換に必要な光線を十分に透過させる機能を奏するものであることが必要である。
【0108】
充填材に用いられる樹脂としては、透明性、耐候性、接着性に優れていることが必要である。また光起電力素子表面の凹凸を充填するために、太陽電池モジュールの製造工程において、流動性を有することが必要である。例えば加熱、加圧の被覆工程であれば、熱可塑性樹脂が挙げられる。具体的な材料としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルプチラール、シリコーン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
【0109】
充填材の接着強度が不充分である場合には、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤を併用することによりその接着強度の増大をはかることができる。また充填材を構成する上述した接着性の樹脂に紫外線吸収剤を配合して充填材に所望の紫外線遮蔽機能を持たせるようにすることが望ましい。この場合に使用する紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤、無機系紫外線吸収剤が挙げられる。充填材には、機械的強度を向上させるために、補強をすることが好ましい。具体的な材料としては、被覆時にガラス繊維不織布、有機繊維からなる不織布をはさみ込むことや、充填材の樹脂にあらかじめガラスの短繊維、ガラスビーズ等のフィラーを混合することが好ましい。
【0110】
表面材は、熱や光、水分に対して安定である(耐候性に優れている)ことが重要である。また表面材は、汚れによる光起電力素子の効率の低下を防ぐように汚れにくいことが望ましい。この目的の為に、表面材は撥水性を有するであることが望ましい。その撥水性は、好ましくは水の接触角が50度以上であり、より好ましくは70度以上である。表面材は、フッ素樹脂、または、シリコーン樹脂で構成する。好ましい態様においては、表面材は、フッ素樹脂で構成される。このようなフッ素樹脂としては、ETFE,PFA,FEP等が挙げられる。
【0111】
これらの樹脂で構成される表面材は、その充填材との接着強度を確保するについて、コロナ放電処理、オゾン処理、または、プライマーのコーティングを行なうことが好ましい。また、フッ素樹脂等によりコーティングを施したガラスを用いることも可能である。
【0112】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0113】
(実施例1)
本例では、光起電力素子として図2及び図3に示した層構成のアモルファスシリコン(以下a−Siと呼称する)太陽電池を作製し、これを用いて図4に示した太陽電池モジュールを形成した。
【0114】
本例の太陽電池モジュールは、図4に示すように、ラミネーターのプレート301上に、厚さ方向に弾性変形する部材302、エンボスシート303、裏面材304、不織布305、未発泡体306、絶縁体307、充填材308、不織布309、光起電力素子310、不織布311、充填材312、表面材313、エンボスシート314、厚さ方向に弾性変形する部材315、曲げ剛性を有する部材316をまず用意し、これらを積層することにより作製した。
【0115】
以下では、各構成物の内容を詳細に説明する。
【0116】
(充填材)
裏面被覆材の充填材308、及び、表面被覆材の充填材312は、エチレン酢酸ビニル(酢酸ビニル33重量%、メルトフローレイト30)を100重量部、架橋剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンを1.5重量部、UV吸収剤として2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンを0.3重量部、酸化防止剤としてトリス(モノ−ノニルフェニル)フォスファイトを0.2重量部、光安定化剤として(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セパレートを0.1重量部を混合したものを、Tダイと押し出し機を用いて作製した。
【0117】
裏面被覆材の充填材308の厚みは230μm、表面被覆材の充填材312の厚み460μmの厚みとした。
【0118】
(未発泡体)
未発泡体306は、以下の様に用意した。
【0119】
エチレン−酢酸ビニル樹脂(酢酸ビニル15重量%、メルトフローレイト9dg/minを100重量部)、核剤として軽質の炭酸カルシウム(1次粒径約3μm)を40重量部、発泡剤としてアゾジカルボソアミドとジニトロソペンタメチレテトラミンの混合物を5重量部、架橋剤としてジクミルパーオキイドを1重量部、ステアリン酸を0.5重量部、顔料としてカーボンブラック0.1重量部を混合したものを、逆L型4本カレンダーを用いて、厚みが1.5mmのシートに形成した。
【0120】
(絶縁体)
絶縁体307としては、両面コロナ処理された2軸延伸のポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み50μm)を用いた。処理された表面は、濡れ指数が53dyne/cm以上であった。
【0121】
(不織布あるいは織布)
裏面下側に位置する不織布305としては、ポリプロピレンの有機不繊維(坪量20グラム秤米、平均繊維径15ミクロン、見掛け厚み130μm、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{2,2,6,6−(テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]3%含有)を使用した。
【0122】
光起電力素子の下に位置する不織布309としては、ガラス繊維不織布(線径10μm、坪量20g/m2、Eガラス、ガラス繊維径6μm、アクリルバインダー5%。)を用意した。
【0123】
光起電力素子の上に位置する不織布311としては、ガラス繊維不織布(線径10μm、坪量80g/m2、Eガラス、ガラス繊維径6μm、アクリルバインダー5%)を用意した。
【0124】
(光起電力素子)
光起電力素子310としては、次の手順で作製した図2及び図3に示す構成のものを用いた。
【0125】
(1)まず洗浄した帯状のステンレス基板201を用意し、該基板上に、スパッタ法で裏面反射層202としてAl層(膜厚500nm)とZnO層(膜厚500nm)を順次形成した。
【0126】
(2)次に、プラズマCVD法により、n型層(膜厚15nm)/i型層(膜厚400nm)/p型層(膜厚10nm)/n型層(膜厚10nm)/i型層(膜厚80nm)/p型層(膜厚10nm)の層構成からなる、タンデム型アモルファスシリコン光電変換半導体層を形成し、半導体光活性層203とした。
【0127】
ここで、n型層は、SiH4とPH3とH2の混合ガスを用いて作製したn型のアモルファスシリコン(a−Si)層を指す。また、i型層は、SiH4とH2の混合ガスを用いて作製したi型のアモルファスシリコン(a−Si)層を指す。そして、p型層は、SiH4とBF3とH2の混合ガスを用いて作製したp型の微結晶シリコン(μc−Si)層を意味する。
【0128】
(3)透明導電層204としては、In23薄膜(膜厚700nm)を、O2雰囲気下でInを抵抗加熱法で蒸着することによって形成した。
【0129】
(4)上記工程(1)〜(3)により得られたものを切断した後、スクリーン印刷によりエッチングして、30cm×9cmサイズの複数の素子を得た。
【0130】
(5)得られた複数個の素子の中から13個を選ぴ、それぞれについて、集電用のグリッド電極205を、銀ペースト(商品番号:#5007、デュポン社製)を用いてスクリーン印刷により形成した。
【0131】
(6)集電電極どうしを、ワイヤーバスバー206(半田メッキ銅線直径400μm)と銀ペースト207(商品番号:#220、ケスル社製)とを用いて接着し、接続した。
【0132】
(7)銅タブ208(厚さ100μm)をスポット溶接によりステンレス基板に取り付け、光起電力素子を得た。
【0133】
(8)得られた13個の光起電力素子の銅タブ208を、隣接する光起電力素子のワイヤーバスバー206に半田付けして直列接続した。
【0134】
(9)それぞれの光起電力素子の裏面には、バイパスダイオード209(2.5φ)を絶縁テープ(厚み140μm、ポリエチレンテレフタレート基材100μm、粘着材40μm)215を介して1つずつ裏面に取りつけ、光起電力素子の+電極及び−電極に半田で接続した。
【0135】
(10)さらに、同じ絶縁テープをバイパスダイオード上に貼りつけた。直列接続した光起電力素子の1番端の光起電力素子にそれぞれ、−出力用の銅タブ210を両面テープ(厚み65μm)で、+出力用の銅タブ211(厚み100μm)を絶縁テープ212(厚み140μm。ポリエチレンテレフタレート基材100μm、粘着材40μm)を介して付けた。
【0136】
(11)−出力用の銅タブ(厚み100μm)には、一番端の光起電力素子の銅タブ208を半田付けした。また、+出力用の銅タブ211には、反対の端の光起電力素子のワイヤーバスバーをおり返し、半田付けした。
【0137】
(12)出力を片端とするために、−出力用の銅タブには銅タブ213を半田付けして延長し、絶縁テープ214(厚み140μm、ポリエチレンテレフタレート基材100μm、粘着材40μm)を介して光起電力素子に貼りつけた。+出力端子も同様とした。
【0138】
上記工程(1)〜(12)により、本例で用いる光起電力素子310を用意した。
【0139】
(表面材)
表面材313としては、無延伸のエチレン−テトラフルオロエチレンフィルム(厚さ50μm)を用意した。充填材307との接着面には、あらかじめコロナ放電処理を施した。
【0140】
(エンボスシート)
裏面材側のエンボスシート303としては、チョップドストランドマット(坪量450g/m2、繊維径17μm、二次繊維束数400mm、繊維長100mm)を使用した。充填材の流動によるエンボスシートの汚れを防ぐため、PFAフィルムを併用した。
【0141】
表面材側のエンボスシート314としては、有機繊維不織布(ポリエステル樹脂、繊維径20μm、坪量20g/m2)を使用した。
【0142】
(厚さ方向に弾性変形する部材)
裏面材側の厚さ方向に弾性変形する部材302としては、クロロプレンゴム発泡体(JIS K6767準拠の圧縮硬度50、厚み8.0mm、発泡倍率30倍)を用いた。
【0143】
表面材側の厚さ方向に弾性変形する部材315としては、シリコーンラバー(JIS K6767準拠の圧縮硬度70、厚み2mm)を用意した。
【0144】
(曲げ剛性を有する部材)
裏面材の曲げ剛性を有する部材としては、曲げ剛性を有するラミネーターのアルミプレート(弾性率7.0×1010Pa、厚み8mm)301を兼用した。
【0145】
表面側の曲げ剛性を有する部材316としては、鋼板(弾性率20×1010Pa、厚さ0.8mm)を用意した。
【0146】
以下では、上述した各構成物を用いて光起電力素子を被覆し、太陽電池モジュールを作製する方法について説明する。
【0147】
まず、プレートとしてアルミ板301を用いたラミーネーターの所定の位置に、汚れ防止として不図示のPFAフィルム(厚み50μm)を敷いた。
【0148】
そして、このPFAフィルムの上に、厚さ方向に弾性変形する部材302、エンボスシート303、裏面材304、不織布305、未発泡体306、絶縁体307、充填材308、不織布309、光起電力素子310、不織布311、充填材312、表面材313、エンボスシート314、厚さ方向に弾性変形する部材315、曲げ剛性を有する部材316、を順に重ねて積層体とし、この上に隔壁317として耐熱性シリコーンゴムのシート(JIS K6767準拠の圧縮硬度70、厚み2mm)を載せた。
【0149】
次に、シール材としてOリング318を用い、真空ポンプでラミーネーターの内部を2Torrになるように減圧した。30分間真空引きを続けた後、120℃の熱風乾燥炉に投入し、100分後に取りだした。その後真空びきを続けながら室温まで冷却した。冷却完了迄に常時、真空度は4Torr以下であった。
【0150】
このようにして、複数個の光起電力素子モジュールを作製した。
【0151】
以下では、作製した光起電力素子モジュールに対して行った4つの評価項目、すなわち、初期外観、電気絶縁性試験、耐擦傷性試験、温湿度サイクル試験に関して説明する。これらの評価結果は、表1に纏めて示した。
【0152】
(初期外観)
被覆工程を経て得られた太陽電池モジュールの初期外観を評価した。観察する部位として、表面被覆材、光起電力素子および裏面被覆材の3つを取り上げ、次のような基準で判定した。
○:表面被覆の剥離、気泡残り、モジュールの波打ち、光起電力素子の裏面の凹凸から発生する光起電力素子の変形、破損が1m離れた距離から観察されないもの
△:光起電力素子の裏面の凹凸から発生する光起電力素子の変形が観察されるが、その変形量が0.2mm未満のもの
×:表面被覆の剥離、気泡残り、裏面発泡体の窪み、光起電力素子の裏面の凹凸から発生する光起電力素子の変形、破損が生じたもので変形量が0.2mm以上のもの
(電気絶縁性試験)
被覆工程を経て得られた太陽電池モジュールに対して、高圧絶縁破壊試験を行なった。以下に高圧絶縁破壊試験について説明する。
【0153】
▲1▼まず、光起電力素子モジュールの陽極と陰極を短絡させる。
【0154】
▲2▼得られた試料を電気伝導度が3500ohm・cm以上の溶液(界面活性剤としてのロームアンドハーツ社製商品名トリトンX−100を0.1重量%含有)に浸した。その際、試料の出力端子は溶液に浸さないようにして上述の荷重をかけた部分を溶液に浸した。
【0155】
▲3▼溶液側に電源の陰極を漬け、試料の出力端子に電源の陽極を繋いだ。
【0156】
▲4▼電源より2200Vの電圧をかけ、そのリーク電流を測定した。
【0157】
この試験における評価は、リーク電流が50μA以下の場合を○、リーク電流が50μAを越える場合を×とした。
【0158】
(耐擦傷性試験)
耐擦傷性試験は、外部からの引っかきに対する太陽電池モジュールの表面被覆材の保護能力が充分であるか否かを調べる試験である。
【0159】
この試験では、先ず、鋼鉄製の刃を速度152.4mm/秒で、該刃先に荷重(F)を加えながら太陽電池モジュールの表面を矢印Dの方向に動かした。
【0160】
この試験における評価として、上記引っかきをした後、上述した手法で高圧絶縁破壊試験を行った。評価結果として、リーク電流が50μAを越えない時の刃先の最大荷重を示した。
【0161】
(温湿度サイクル試験)
光起電力素子モジュールに対して、設定1(−40℃/1時間)と設定2(85℃/85%RH/4時間)からなる温湿度サイクル試験を、200サイクル繰り返した後、光起電力素子モジュールの外観を目視により評価した。その際、外観の目視評価は、次のような基準で判定した。
○:外観の変化の全くないもの
△:外観の変化が多少あり、指蝕によって内部が剥離していると確認できるもの、あるいはモジュールを分解して剥離が確認できたもの
×:剥離が生じたもの
さらに、太陽電池モジュールに対して、シャント抵抗の変化率を調べた。
【0162】
ここでは、モジュールを暗状態で一スラブ当たり0.4Vの順バイアスでの電流値をシャント抵抗とした。
【0163】
その変化率は、試験後のシャント抵抗を試験前のシャント抵抗で除した値の百分率である。
【0164】
(実施例2)
本例では、実施例1における、表面側の厚さ方向に弾性変形をする部材315と、裏面側の厚さ方向に弾性変形をする部材302とを、表裏逆に使用した点が実施例1と異なる。他の点は実施例1と同様にして、複数の光起電力素子モジュールを作製した。その後、実施例1と同様に評価した。
【0165】
(実施例3)
本例では、裏面下側に位置する不織布305を使用しなかった点が実施例1と異なる。他の点は実施例1と同様にして、複数の光起電力素子モジュールを作製した。その後、実施例1と同様に評価した。
【0166】
参考例
本例では、未発泡体306の代わりに表面被覆材の充填材312を使用した点が実施例1と異なる。他の点は実施例1と同様にして、複数の光起電力素子モジュールを作製した。その後、実施例1と同様に評価した。
【0167】
(実施例
本例では、厚さ方向に弾性変形する部材302、エンボスシート303、裏面材304および不織布305の代わりに、カラー鋼板(ガルバナイズド鋼板、両面でメッキ重量150g/m、2コート2べーク品、耐候面の最表層塗料はポリエステル樹脂)を使用した点が実施例1と異なる。他の点は実施例1と同様にして、複数の光起電力素子モジュールを作製した。その後、実施例1と同様に評価した。
【0168】
(比較例1)
本例では、厚さ方向に弾性変形をする部材302、315を両方とも使用しなかった点が実施例1と異なる。他の点は実施例1と同様にして、複数の光起電力素子モジュールを作製した。その後、実施例1と同様に評価した。
【0169】
(比較例2)
本例では、曲げ剛性を有する部材316を使用しなかった点が実施例1と異なる。他の点は実施例1と同様にして、複数の光起電力素子モジュールを作製した。その後、実施例1と同様に評価した。
【0170】
(比較例3)
本例では、実施例で用いた厚さ方向に弾性変形する部材315を使用しなかった。他の点は実施例と同様にして、複数の光起電力素子モジュールを作製した。その後、実施例1と同様に評価した。
【0171】
【表1】
Figure 0004154004
表1から、本発明による太陽電池モジュールは、曲げ剛性を有する部材と厚さ方向に弾性変形する部材の使用によって、初期外観に優れ、かつ、高い電気絶縁性を示すことが分かった。また、厚さ方向に弾性変形する部材により光起電力素子の変形がないため、外部からの傷に対する耐性に優れ、高い信頼性を示すことも確認された。さらに、未発泡体を被覆工程で発泡する方法においては、厚さ方向に弾性変形する部材の変形量に対して硬度が変わる性質を利用することで、均一な発泡体がえられた。また、光起電力素子の凹凸への発泡体の充填性を改善することもできた。
【0172】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、凹凸のある光起電力素子を被覆した場合でも、光起電力素子の変形や破損、被覆材料の破れなどが発生せず、発泡体の発泡倍率の不均一に起因した太陽電池モジュールの波打ちが少なく、かつ、発泡の不均一起因した外観不良の無い、太陽電池モジュールの製造方法がえられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法の一例を示す概略図である。
【図2】図1の太陽電池モジュールの製造方法で用いた、光起電力素子の概略構成図である。
【図3】図1の太陽電池モジュールの製造方法で用いた、光起電力素子の概略構成図である。
【図4】本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法の他の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
101 ラミネーターのプレート、
102 Oリング、
103 シリコーンラバーからなる隔壁、
104 曲げ剛性を有する部材、
105 厚さ方向に弾性変形する部材、
106 裏面被覆材、
107 光起電力素子、
108 表面被覆材、
109 厚さ方向に弾性変形する部材、
110 曲げ剛性を有する部材、
111 チューブ、
112 真空ポンプ、
201 導電性基板、
202 裏面反射層、
203 半導体光活性層、
204 透明導電層、
205 集電電極(グリッド)、
206 出力端子(ワイヤーバスバー)、
207 半田(銀ペースト)、
208 絶縁体(銅タブ)、
209 バイパスダイオード、
210 −出力用の銅タブ、
211 +出力用の銅タブ、
212 絶縁テープ、
213 銅タブ、
214 絶縁テープ、
215 絶縁テープ、
301 ラミネーターのプレート、
302 厚さ方向に弾性変形する部材、
303 エンボスシート、
304 裏面材、
305 不織布、
306 未発泡体、
307 絶縁体、
308 充填材、
309 不織布、
310 光起電力素子、
311 不織布、
312 充填材、
313 表面材、
314 エンボスシート、
315 厚さ方向に弾性変形する部材、
316 曲げ剛性を有する部材。

Claims (4)

  1. 光起電力素子を表面被覆材と裏面被覆材との間に有してなる太陽電池モジュールの製造方法において、
    発泡剤を有する裏面被覆材、光起電力素子、表面被覆材と共に、前記表面被覆材又は/及び前記裏面被覆材の外側に、厚さ方向に弾性変形して光起電力素子の凹凸を吸収する厚さ1乃至10mmの部材と曲げ剛性を有する部材とを順に積み重ねて配置し、
    前記曲げ剛性を有する部材の外側から加圧し、
    前記発泡剤を発泡させて発泡体としての層を含む裏面被覆材を形成するとともに、該裏面被覆材と前記表面被覆材で光起電力素子を被覆する工程を有することを特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
  2. 前記裏面被覆材が、前記発泡体としての層の他に不織布の層を有することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  3. 前記光起電力素子の裏面にバイパスダイオードが実装されていることを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  4. 前記積み重ねて配置された部材を閉じた空間内に設け、前記加圧を該空間内の真空引きにより行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
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