JP3475516B2 - 太陽電池アレイの施工方法 - Google Patents

太陽電池アレイの施工方法

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JP3475516B2 JP25212494A JP25212494A JP3475516B2 JP 3475516 B2 JP3475516 B2 JP 3475516B2 JP 25212494 A JP25212494 A JP 25212494A JP 25212494 A JP25212494 A JP 25212494A JP 3475516 B2 JP3475516 B2 JP 3475516B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は太陽電池素子部を高温に
保持することで、光照射による出力の低下を抑制するこ
とのできる太陽電池アレイの施工方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】非晶質半導体太陽電池は薄膜化が容易で
あることから、安価な太陽電池として実用化が期待され
ている。その中でも代表的な非晶質シリコン系太陽電池
は、低温で形成することが可能で、且つ基板の選択自由
度が高いことから、次世代の太陽電池として注目されて
いる。このような非晶質シリコン太陽電池は、透光性基
板上に透明導電膜/p−i−n非晶質シリコン層/金属
電極層を順次堆積した積層体からなる太陽電池素子の裏
面側を、充填材やバックシートで封入してアルミウム等
のフレームを取り付けて太陽電池モジュールを構成し、
これを屋外に設置して使用されている。この太陽電池モ
ジュール50は、図9に示すように、透光性基板52上
に透明導電膜/p−i−n非晶質シリコン層/金属電極
層を順次堆積した積層体からなる太陽電池素子54を設
け、さらにエチレンビニルアセテート(EVA)やポリ
ビニルブチラール(PVB)の充填材56で封入すると
ともに、テドラー等のバックシート58によって裏面を
保護し、端部にアルミニウム製のフレーム60を、ブチ
ルゴム等の接着剤62を用いて嵌入固定している。そし
て、バックシート58上の適所に設けた出力端子64か
ら出力線66を取り出している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】非晶質シリコン太陽電
池は、上述のように多くの利点を有してはいるが、一方
でステブラーロンスキー効果(以下これを光劣化と称
す)という重大な問題点をも有している。これは太陽光
に暴露することによって、光電変換効率が約25%程度
低下(常温下)してしまう現象であり、光電変換層内で
発生した電子と正孔が再結合するときに発生するエネル
ギーによって、準安定状態にある結合手が切断されて不
結合手となり、電子や正孔の捕獲割合が増大することに
よるものと考えられている。この光劣化を解決するため
に、従来から種々の方法が提案されてきた。例えば太陽
電池素子を多層に設け、上層と下層とで電流バランスを
取りながら膜厚を薄くし、光電変換層内の電界強度を高
めて前記捕獲割合を低減しようとする方法などがその代
表的なものである。しかしながら、このような方法を用
いても依然として光劣化は存在しており、根本的解決を
見ていないのが現状である。そしてこのような光劣化現
象が、非晶質シリコン太陽電池の屋外用途における実用
化を遅らせる一因となっている。
【0004】また一方で、光劣化によって低下した光電
変換効率は、80℃〜90℃以上の温度における熱処理
によって改善されることが知られているが、従来の太陽
電池モジュールでは、太陽電池の温度は60℃〜70℃
までしか上昇しなかった。そして、30℃の温度上昇に
よって約8%光劣化率は小さくなると見積もられてい
る。従って、太陽電池の温度を上記温度に上昇させるこ
とができれば、光劣化率は10%以下まで改善すること
ができる。さらに、非晶質シリコン太陽電池の開放電圧
の温度依存性は結晶系シリコン太陽電池の約半分であ
り、結晶系シリコン太陽電池に比べると、温度上昇によ
る出力低下の影響が少ない。例えば、結晶系シリコン太
陽電池では、1℃温度が上昇するとその最大出力電力は
0.5〜0.7%減少するが、非晶質シリコン太陽電池
では、0.2〜0.3%である。従って、非晶質シリコ
ン太陽電池では、太陽電池温度を高温に保つことで、光
劣化の改善効果を十分に得ることができる。しかしなが
ら、従来の太陽電池モジュールにおいては、使用中の素
子温度を上記温度以上に上昇させることは不可能であっ
た。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は太陽電池素子部
を高温に保持することで、光照射による出力の低下を抑
制することのできる太陽電池アレイの施工方法を提供
るものであり、透光板の受光面とは反対側の面側に太陽
電池素子と出力端子を設けて出力線を取り出した太陽電
池パネルを屋外の設置対象領域に設置する工程と、太陽
電池パネルの受光面とは反対側の面に発泡性合成樹脂を
被着する工程とを用いることが特徴的構成であり、発泡
性合成樹脂の被着面に、当該被着面を覆う裏面側蓋材を
設けてもよい。
【0006】本発明の施工方法における太陽電池モジュ
ールは、例えば、以下の3通りの方法によって製造され
る。 《1》出力線を取り出した太陽電池パネルに、太陽電池
パネルの受光面とは反対側の面を覆い、かつ太陽電池パ
ネルの受光面とは反対側の面との間に空間を形成する裏
面側蓋材を取り付け、出力線を裏面側蓋部材の外部にま
で延設した後に、太陽電池パネルと裏面側蓋材との間の
空間に未硬化の発泡性合成樹脂を注入して硬化させる
。 《2》出力線を取り出した太陽電池パネルの受光面とは
反対側の面上に、当該面を覆うように未化の発泡性合成
樹脂を塗布等の方法で被着する。その後、太陽電池パネ
ルの受光面とは反対側の面を覆い、かつ太陽電池パネル
の受光面とは反対側の面との間に、既に被着した発泡性
合成樹脂の収容空間を形成しうる裏面側蓋材を取り付け
る方法。この時、出力線は裏面側蓋部材の外部にまで延
設しておく。 《3》太陽電池パネルの受光面とは反対側の面を覆い、
かつ太陽電池パネルの受光面とは反対側の面との間に発
泡性合成樹脂を収容できる空間を形成しうる裏面側蓋材
の太陽電池パネル側の面に、未硬化の発泡性合成樹脂を
塗布等の方法で被着する。その後、この裏面側蓋材に蓋
をする形で太陽電池パネルを取り付ける方法。この時、
出力線は裏面側蓋部材の外部にまで延設しておく。いず
れの方法でも、太陽電池パネルと裏面側蓋材との境界部
をシール材等で封止してもよい。
【0007】また上記のように、本発明の太陽電池アレ
イの施工方法は、透光板の受光面とは反対側の面側に太
陽電池素子と出力端子を設けて出力線を取り出した太陽
電池パネルを屋外の設置対象領域に設置する工程(工程
A)と、太陽電池パネルの受光面とは反対側の面に発泡
性合成樹脂を被着する工程(工程B)とを用い、適宜発
泡性合成樹脂の被着面に当該被着面を覆う裏面側蓋材が
設けられるが、この場合には以下の5つの施工方法が可
能である。 (1) 予め屋外の設置場所に設けられたアレイ架台におい
て、一つの太陽電池モジュールの設置対象部位のそれぞ
れに太陽電池パネルを取り付ける(以上が上記工程Aに
相当)。この太陽電池パネルのアレイ架台への固定は、
従来の太陽電池モジュールにも使用されているフレーム
を予め太陽電池パネルに取り付けておき、このフレーム
とアレイ架台とをネジ等によって固定する方法等によっ
て行えばよい。次に、こうして取り付けた太陽電池パネ
ルの受光面とは反対側の面に未硬化の発泡性合成樹脂を
塗布等の方法で被着し(上記工程Bに相当)、太陽電池
アレイを得る。 (2) 上記(1) の後に、太陽電池パネルの受光面とは反対
側の面を覆い、かつ太陽電池パネルの受光面とは反対側
の面との間に、既に被着した発泡性合成樹脂の収容空間
を形成しうる裏面側蓋材を取り付けて太陽電池アレイを
得る。この時、出力線は裏面側蓋部材の外部にまで延設
しておく。 (3) 予め屋外の設置場所に設けられたアレイ架台におい
て、一つの太陽電池モジュールの設置対象部位のそれぞ
れに、太陽電池パネルの受光面とは反対側の面を覆い、
かつ太陽電池パネルの受光面とは反対側の面との間に発
泡性合成樹脂の収容空間を形成しうる裏面側蓋材を、ネ
ジ止め等の方法によって取り付ける。次にこの裏面側蓋
材の太陽電池パネル側の面に、未硬化の発泡性合成樹脂
を塗布等の方法で被着する。そして、この裏面側蓋材に
蓋をする形で太陽電池パネルを取り付け太陽電池アレイ
を得る。この太陽電池パネルを取り付ける時に、太陽電
池パネルの受光面とは反対側の面に発泡性合成樹脂が被
着される。従って、この方法では、上記工程Aと工程B
とが同時に行われることになる。この時、出力線は裏面
側蓋部材の外部にまで延設しておく。 (4) 予め屋外の設置場所に設けられたアレイ架台におい
て、一つの太陽電池モジュールの設置対象部位のそれぞ
れに太陽電池パネルを取り付ける(上記工程Aに相
当)。この太陽電池パネルのアレイ架台への固定は、従
来の太陽電池モジュールにも使用されているフレームを
予め太陽電池パネルに取り付けておき、このフレームと
アレイ架台とをネジ等によって固定する方法等によって
行えばよい。次に、太陽電池パネルの受光面とは反対側
の面を覆い、かつ太陽電池パネルの受光面とは反対側の
面との間に発泡性合成樹脂の収容空間を形成しうる裏面
側蓋材を、ネジ止め等の方法によって取り付ける。この
時、出力線は裏面側蓋部材の外部にまで延設しておく。
続いて、太陽電池パネルと裏面側蓋材との間に形成され
た空間内に、未硬化の発泡性合成樹脂を注入して太陽電
池アレイを得る。この時に、太陽電池パネルの受光面と
は反対側の面が発泡性合成樹脂によって被着される(上
記工程Bに相当)。 (5) 予め屋外の設置場所に設けられたアレイ架台におい
て、一つの太陽電池モジュールの設置対象部位のそれぞ
れに、太陽電池パネルの受光面とは反対側の面を覆い、
かつ太陽電池パネルの受光面とは反対側の面との間に発
泡性合成樹脂の収容空間を形成しうる裏面側蓋材を、ネ
ジ止め等の方法によって取り付ける。次にこの裏面側蓋
材に蓋をする形で太陽電池パネルを取り付ける(上記工
程Aに相当)。この時、出力線は裏面側蓋部材の外部に
まで延設しておく。続いて、太陽電池パネルと裏面側蓋
材との間に形成された空間内に、未硬化の発泡性合成樹
脂を注入して太陽電池アレイを得る。この時に、太陽電
池パネルの受光面とは反対側の面が発泡性合成樹脂によ
って被着される(上記工程Bに相当)。
【0008】ここで発泡性合成樹脂としては、本発明の
目的から断熱性、保温性、蓄熱性に優れたものがよく、
ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、硬質ポ
リウレタンフォーム、軟質ポリウレタンフォーム、硬質
塩化ビニルフォーム、ユリアフォーム、フェノールフォ
ーム、ラバーフォーム、シリコーン樹脂の発泡体等が例
示できる。そして発泡体を得る方法としては、一般的に
公知な方法(例えば株式会社プラスチックス・エージよ
り、1985年改定第14版として発刊されているプラ
スチック読本に記載のもの等)が適用される。このう
ち、ポリウレタンフォームについては、ポリオール、過
剰のジイソシアネート、架橋剤、発泡剤、触媒、気泡サ
イズ調整剤等の原料によって得られる。発泡剤には水と
イソシアネートとの反応による二酸化炭素、フレオン、
メチレンジクロライド、ペンタン、機械混合時に入れる
空気等、その他分解型の有機系発泡剤がある。架橋剤お
よび発泡剤に水を用いると、樹脂中におけるユリア結合
の割合が多くなるので、良質の発泡体を得るにはフレオ
ン等の併用が好ましい。気泡サイズ調整剤にはシリコー
ン樹脂や乳化剤が、触媒にはアミン類や有機スズ化合物
等が使用できる。ユリアフォームについては、粘度が1
000cp程度の粘稠なユリア−ホルムアルデヒド水溶
液(樹脂分50〜90%)100部に、プロパン、ブタ
ン、ブテン、ヘキサン、塩化メチル、フレオンのような
発泡剤を2〜30部低温または密閉容器中で分散させ、
乳化剤の存在下で酸触媒を加えた後、15〜115℃に
温度を上げて得られる。また乳化剤を含んだユリア樹脂
初期縮合物を、現場発泡機によって塩酸液を混合しなが
ら機械的に起泡しながら吐出させてもよい。フェノール
フォームについては、レゾール型初期縮合物に泡立機で
空気を吹き込みながらクリーム状としつつ、攪拌下で硬
化剤を混合して対象部分に被着すればよい。さらに、ク
リーム状とする時に重炭酸ソーダを1%程度加えて発泡
を助けることもある。硬化剤の添加後速やかに硬化し、
密度0.016〜0.401g/cm3 程度の発泡体が得
られる。酸化触媒にはベンゼンスルフォン酸、トルエン
スルフォン酸、硫酸、リン酸等が用いられる。フレオン
11のような揮発性発泡剤を配合しておくと反応熱で起
泡するので、初めの泡立ては必要ない。またBakel
ite社のBVR−18763等、発泡用に適したフェ
ノール樹脂も市販されているが、レゾール85部にアジ
ピン酸とヘキサメチレンジアミンから得られたポリアミ
ド5部を共重合させて強靱な発泡体を作製することもで
き、ポリビニルアルコール、塩化ビニル樹脂を5〜20
部程度配合して強靱性、弾性などを補うこともできる。
一般に熱硬化性樹脂を高倍率に発泡させると脆くなる
為、10倍以下の低倍率に発泡させることが行われてい
るが、本発明の場合は硬化後の発泡性合成樹脂のみをハ
ンドリングすることがないので、脆さを考慮する必要は
無く、高倍率の発泡による高い断熱性を得ることができ
る。
【0009】またシリコーンフォームについては、特開
平5−31814号記載のもの等が例示できる。この方
法は、常温で液状のシラノール基含有オルガノポリシロ
キサン(成分A)と、常温で液状のオルガノハイドロジ
ェンポリシロキサン(成分B)とを、脱水素縮合反応触
媒(成分C)の存在下に反応させて水素ガスを発生させ
ながら硬化させる方法であって、上記A、B、Cの3成
分の合流時、または後に不活性ガスを圧入した後機械的
に混合し、この混合物を外気中に吐出して発泡硬化させ
るものである。
【0010】
【作用】本発明では、未硬化の合成樹脂が使用できると
ともに、その被着方法についても塗布、吹きつけ、注入
等を始めとする多くの方法が採用でき、太陽電池アレイ
の設置場所や設置状況を問わずに現場発泡が可能となる
ので、上記同様硬化後の発泡性合成樹脂のみをハンドリ
ングすることが無くなって脆さを考慮する必要が無くな
り、高倍率の発泡による高い断熱性を得ることができる
とともに、合成樹脂の選択自由度が高くなる。このこと
は、太陽電池パネルの温度を、光劣化を回復させるに足
りる高い温度範囲に維持できることを可能とし、低コス
トでかつ光劣化現象を大幅に抑制して出力の長期安定性
に優れた太陽電池アレイの実現を可能とする。
【0011】また本発明の考え方によれば、既設のアモ
ルファスシリコン太陽電池アレイの裏面側にも断熱処理
を施すことが可能であり、新規製造/設置分のみならず
既設置分にも適用でき、その用途は汎大である。
【0012】
【実施例】以上のような本発明の実施例について以下に
説明する。図1、2には、本発明において構成される
陽電池モジュール1の構造例を断面図として示してい
る。図1は透光板3の受光面とは反対側の面側に、少な
くとも非晶質シリコン系半導体層を形成した太陽電池素
子5を設け、EVAの充填材6で封入するとともに、テ
ドラー等のバックシート8によって裏面を保護し、さら
にバックシート8上に出力端子7を設けた太陽電池パネ
ル9と、太陽電池パネル9に取り付けられ、太陽電池パ
ネル9の受光面とは反対側の面を覆い、端部にアレイ架
台への取り付け用の折り返し片11を形成するととも
に、太陽電池パネル9との間に空間を形成する裏面側蓋
材13と、出力端子7に接続するとともに裏面側蓋材1
3の外部にまで延設した出力線15と、太陽電池パネル
9と裏面側蓋材13との間の空間に充填した発泡性合成
樹脂17とを備えた太陽電池モジュール1である。本例
では、太陽電池パネル9は裏面側蓋材13の内側立ち上
がり片19に設けた段部21に載置され、両者の境界部
にシール材23を充填することで固定されている。太陽
電池パネル9からの出力線15は、裏面側蓋材13に開
設した取り出し孔25に挿通することで外部に取り出さ
れる。また図2のものは、透光板3の受光面とは反対側
の面側に少なくとも非晶質シリコン系半導体層を形成し
た太陽電池素子5を設け、EVAの充填材6で封入する
とともに、テドラー等のバックシート8によって裏面を
保護し、さらにバックシート8上に出力端子7を設ける
とともに、透光板3の端部にアレイ架台への設置用アル
ミニウムフレーム27を、ブチルゴムの接着剤29を用
いて嵌入接着した太陽電池パネル9と、太陽電池パネル
9のフレーム27に取り付けられ、太陽電池パネル9の
受光面とは反対側の面を覆って太陽電池パネル9との間
に空間を形成する裏面側蓋材13と、出力端子7に接続
するとともに裏面側蓋材13の外部にまで延設した出力
線15と、太陽電池パネル9と裏面側蓋材13との間の
空間に充填した発泡性合成樹脂17とを備えた太陽電池
モジュール1である。本例では上記図1の例とは異な
り、裏面側蓋材13はアレイ架台への設置用フレーム2
7に取り付けられている。また、太陽電池パネル9から
の出力線15は、裏面側蓋材13に開設した取り出し孔
25に挿通することで外部に取り出される。このような
図1、2の太陽電池モジュール1は、上記の課題を解決
するための手段の項で説明したような方法によって製造
可能である。そして《1》の製造方法で作製する場合に
は、出力線15の挿通用の開設した取り出し孔25にノ
ズル等を差し込み、そのノズルから未硬化の発泡性合成
樹脂17を注入するとよいし、図1の構造にあっては、
例えば太陽電池パネル9が裏面側蓋材13に載置されて
いる部分、すなわち段部21の一部にノズル差し込み用
の切り欠き部等を設けておいてもよい。さらに図2の構
造にあっては、フレーム27と裏面側蓋材13の取り付
け部の一部に、上記同様ノズル差し込み用の切り欠き部
等を設けておくこともできる。
【0013】また上記図1、図2以外の実施例として、
図3に示すように太陽電池パネル9からの出力線15
を、裏面側蓋材13と太陽電池パネル9との間の間隙
部、図ではシール材23の充填部から外部に取り出すこ
ともできる。このような構造にすると、太陽電池モジュ
ール1間の結線を受光面側から行うことができる。さら
に図4のように、内側立ち上がり片19に開設した取り
出し孔25から出力線15を取り出すこともできる。こ
のような構造では、折り返し片11と内側立ち上がり片
19との間の空間に配線を収納することができ、さらに
この部分を適当な合成樹脂等で封入しておけば、配線が
外部に露出することが完全に無くなるので、信頼性が一
層向上する。
【0014】このような太陽電池パネル9において、透
光板3としては強化ガラスや貼り合わせガラス、または
その他一般的な透光基板が用いられ、ガラス成分が溶出
しないよう、必要に応じて酸化ケイ素などを被着したも
のを用いても良い。太陽電池素子5としては図7に示し
たものと同様に、例えば透光板3上に透明導電膜/p−
i−nまたはn−i−pの非晶質シリコン層/金属電極
層を順次堆積した積層体からなる光電変換領域を形成し
たものが用いられる。そして、その裏面側をEVA、P
VB、ポリイソブチレン系樹脂等の充填材によって封入
したり、さらに必要に応じてアルミニウム箔をサンドイ
ッチしたテドラー等のバックシートで裏面を保護する構
造としておく。
【0015】ここで透明導電膜としては、従来の太陽電
池素子5と同様に酸化錫や酸化インジウム錫が用いら
れ、非晶質シリコン層としては、アモルファスシリコン
カーバイトとアモルファスシリコンによるヘテロ接合構
造が採用され、必要に応じて透明導電膜側や金属電極層
側のp層やn層を、微結晶化させることも直列抵抗低減
において効果的である。また、金属電極層としては、ク
ロム、アルミニウム、銀などの一般的な金属材料を、単
層や積層構造として用いる。そして特に素子温度が高温
になることから、非晶質シリコン層との間での金属成分
の拡散を防止するため、非晶質シリコン層と金属電極層
との間に、前述の透明導電膜やシリサイド層などによる
金属拡散防止層を介在させたり、この金属拡散防止層を
介在させずに、金属電極層としてクロムやモリブデンな
どのシリサイド形成金属を用いたり、これらシリサイド
形成金属と他の金属との積層構造とすることが効果的で
ある。また、入射光の閉じ込め効果の点からは、反射率
の点から銀を用いると特に効果が高い。さらに、充填材
としてEVA、PVBなどを用いる場合は、真空ラミネ
ート法によって封入し、ポリイソブチレン系樹脂の場合
は、これを加熱流動化して塗布すれば良い。また太陽電
池パネル9の構造としては、イ)ガラス等の透光板の受
光面側と反対側の面上に、直接非晶質シリコン系半導体
層による太陽電池素子を形成し、その上に熱硬化性樹脂
等の保護塗膜を形成したもの、ロ)上記イ)の太陽電池
パネルの受光面側に、EVA等の透明の合成樹脂でカバ
ーガラスを接着したもの、ハ)小型の透光板上に非晶質
シリコン系半導体層による太陽電池素子を形成した単位
セルを、大型ガラス等の透光板の受光面側と反対側の面
上にEVA等の透明合成樹脂を用いてラミネートしたも
の等が例示できるが、本発明において太陽電池パネルの
構造は、何ら限定されるものではない。
【0016】このような太陽電池モジュール1を屋外に
設置し、その温度と光電変換効率の変化を調べたとこ
ろ、従来であれば太陽電池パネル9の温度は、夏期にお
いては最高でも気温より約30℃の上昇に止まっていた
ものが、本例では気温に対して40℃〜50℃の上昇と
なり、夏期において80℃〜100℃となった。これに
より、従来は約15〜25%の光劣化であったものが、
本例では約9%となり、大きな改善効果が確認された。
【0017】次に、上記課題を解決するための手段の項
で説明した、(1) 〜(5) の太陽電池アレイの施工方法に
よって得られる太陽電池アレイ構造を以下に例示する。
図5は(1) の施工方法によって得られる太陽電池アレイ
構造31の部分断面図を表している。図例のものは、予
め屋外の設置場所に設けたアレイ架台33の、一つの太
陽電池モジュール1の設置対象部位のそれぞれに図2で
示した太陽電池パネル9をネジを用いて取り付け、太陽
電池パネル9の受光面とは反対側の面を未硬化の発泡性
合成樹脂17で、塗布によって被着したものである。こ
の構造では、太陽電池アレイ31の受光面と反対側の面
は発泡性合成樹脂17が露出している。そして本構造
は、既設の太陽電池アレイ31にも適用できることは言
うまでもない。さらに、こうして施工された太陽電池ア
レイ31における太陽電池モジュール1の部分、すなわ
ち太陽電池アレイ31内において、太陽電池パネル9の
受光面とは反対側の面に発泡性合成樹脂17が被着され
た単位領域が太陽電池モジュール1となる。
【0018】図6は(2)の施工方法によって得られる
太陽電池アレイ構造31の部分断面図を表している。図
例のものは、上記図5の構造を施工した後、太陽電池パ
ネル9の受光面とは反対側の面を覆い、かつ太陽電池パ
ネル9の受光面とは反対側の面との間に、既に被着した
発泡性合成樹脂17を収容できる空間を形成しうる裏面
側蓋材13を取り付けたものであり、図はこの裏面側蓋
材13をフレーム27に取り付けたものである。しかし
ながらこの裏面側蓋材13は、図7のようにアレイ架台
33に取り付けてもよい。そして太陽電池パネル9から
の出力線15は、裏面側蓋材13に開設した取り出し孔
25や図示しない切り欠き部等に挿通することで外部に
取り出さる。またこれら図6、図7の構造において、裏
面側蓋材13を先に取り付けておき、最後に裏面側蓋材
13に開設した出力線15の取り出し孔25や図示しな
い切り欠き部等から未硬化の発泡性合成樹脂17を注入
することもできる。そしてこの施工方法は、上記(4)
の施工方法となる。さらに、こうして施工された太陽電
池アレイ31における太陽電池モジュール1の部分、す
なわち太陽電池アレイ31内において太陽電池パネル9
と裏面側蓋材13とアレイ架台33とによって構成され
る単位領域が、図2の太陽電池モジュール1となる。
【0019】図8は(3)の施工方法によって得られる
太陽電池アレイ構造31の部分断面図を表している。図
例のものは、予め屋外の設置場所に設けられたアレイ3
1用架台33の、一つの太陽電池モジュール1の設置対
象部位のそれぞれに、太陽電池パネル9の受光面とは反
対側の面を覆い、端部にアレイ架台33への取り付け用
の折り返し片11を形成するとともに、太陽電池パネル
9の受光面とは反対側の面との間に発泡性合成樹脂17
を収容できる空間を形成しうる裏面側蓋材13を、ネジ
止め等の方法によってアレイ架台33に取り付け、この
裏面側蓋材13の太陽電池パネル9側の面に、未硬化の
発泡性合成樹脂17を塗布等の方法で被着した後、この
裏面側蓋材13に蓋をする形で太陽電池パネル9を取り
付けて得た太陽電池アレイ31である。この時にも、出
力線15は裏面側蓋材13に開設した取り出し孔25
や、図示しない切り欠き部等に挿通することで外部に取
り出さる。また本図の構造は、太陽電池パネル9を先に
取り付けておき、最後に裏面側蓋材13に開設した出力
線15の取り出し孔25や図示しない切り欠き部等から
未硬化の発泡性合成樹脂17を注入することもできる。
そしてこの施工方法は、上記(5)の施工方法になる。
さらに、こうして施工された太陽電池アレイ31におけ
る太陽電池モジュール1の部分、すなわち太陽電池アレ
イ31内において太陽電池パネル9と裏面側蓋材13に
よって構成される単位領域が、図1で示した太陽電池モ
ジュール1となる。
【0020】また、本発明にかかる太陽電池アレイの施
工方法のうち、上記(1) 、(2) 、(4) の施工方法につい
ては工程Bのみを用いることで、既設の太陽電池モジュ
ールに対しても適用することが可能である。
【0021】
【発明の効果】本発明は作用の項でも説明したところに
より、以下の優れた効果が得られる。即ち、未硬化の合
成樹脂が使用できるとともに、その被着方法についても
塗布、吹きつけ、注入等を始めとする多くの方法が採用
でき、太陽電池アレイの設置場所や設置状況を問わずに
現場発泡が可能となるので、上記同様硬化後の発泡性合
成樹脂のみをハンドリングすることが無くなって脆さを
考慮する必要が無くなり、高倍率の発泡による高い断熱
性を得ることができるとともに、合成樹脂の選択自由度
が高くなる。このことは、太陽電池パネルの温度を、光
劣化を回復させるに足りる高い温度範囲に維持できるこ
とを可能とし、低コストでかつ光劣化現象を大幅に抑制
して出力の長期安定性に優れた太陽電池アレイの実現を
可能とする。
【0022】また本発明の考え方によれば、既設のアモ
ルファスシリコン太陽電池アレイの裏面側にも断熱処理
を施すことが可能であり、新規製造/設置分のみならず
既設置分にも適用でき、その用途は汎大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における太陽電池モジュールの構造例を
表す断面説明図
【図2】本発明における太陽電池モジュールの構造例を
表す断面説明図
【図3】本発明における太陽電池モジュールの構造例を
表す断面説明図
【図4】本発明における太陽電池モジュールの構造例を
表す断面説明図
【図5】本発明の施工方法による太陽電池アレイの構造
例を表す断面説明図
【図6】本発明の施工方法による太陽電池アレイの構造
例を表す断面説明図
【図7】本発明の施工方法による太陽電池アレイの構造
例を表す断面説明図
【図8】本発明の施工方法による太陽電池アレイの構造
例を表す断面説明図
【図9】従来の太陽電池モジュールの構造例を表す断面
説明図
【符号の説明】
1 太陽電池モジュール 3 透光板 5 太陽電池素子 6 充填材 7 出力端子 8 バックシート 9 太陽電池パネル 11 折り返し片 13 裏面側蓋材 15 出力線 17 発泡性合成樹脂 19 立ち上がり片 21 段部 23 シール材 25 取り出し孔 27 フレーム 29 接着剤 31 太陽電池アレイ 33 アレイ架台
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 31/04 - 31/078 E04D 13/00 - 13/18

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透光板の受光面とは反対側の面側に太陽
    電池素子と出力端子を設けて出力線を取り出した太陽電
    池パネルを屋外の設置対象領域に設置する工程と、 太陽電池パネルの受光面とは反対側の面に未硬化の発泡
    性合成樹脂を被着する工程と、 を用いる太陽電池アレイの施工方法。
  2. 【請求項2】 発泡性合成樹脂の被着面に、当該被着面
    を覆う裏面側蓋材が設けられる請求項1記載の太陽電池
    アレイの施工方法。
  3. 【請求項3】 予め屋外の設置場所に設けられたアレイ
    架台において、一つの太陽電池モジュールの設置対象部
    位のそれぞれに太陽電池パネルを取り付け、取り付けた
    前記太陽電池パネルの受光面とは反対側の面に未硬化の
    発泡性合成樹脂を被着してなる請求項1記載の太陽電池
    アレイの施工方法。
  4. 【請求項4】 前記発泡性合成樹脂を被着した後、太陽
    電池パネルの受光面とは反対側の面を覆い、かつ太陽電
    池パネルの受光面とは反対側の面との間に、既に被着し
    た前記発泡性合成樹脂の収容空間を形成しうる裏面側蓋
    材を取り付けてなる請求項3記載の太陽電池アレイの施
    工方法。
  5. 【請求項5】 予め屋外の設置場所に設けられたアレイ
    架台において、一つの太陽電池モジュールの設置対象部
    位のそれぞれに、太陽電池パネルの受光面とは反対側の
    面を覆い、かつ太陽電池パネルの受光面とは反対側の面
    との間に発泡性合成樹脂の収容空間を形成しうる裏面側
    蓋材を取付け、取り付けた前記裏面側蓋材の太陽電池パ
    ネル側の面に、未硬化の発泡性合成樹脂を被着し、該発
    泡性合成樹脂が被着された裏面側蓋材に蓋をする形で太
    陽電池パネルを取り付けてなる請求項2記載の太陽電池
    アレイの施工方法。
  6. 【請求項6】 予め屋外の設置場所に設けられたアレイ
    架台において、一つの太陽電池モジュールの設置対象部
    位のそれぞれに太陽電池パネルを取り付け、取り付けた
    前記太陽電池パネルの受光面とは反対側の面を覆い、か
    つ太陽電池パネルの受光面とは反対側の面との間に発泡
    性合成樹脂の収容空間を形成しうる裏面側蓋材を取り付
    け、これら太陽電池パネルと裏面側蓋材との間に形成さ
    れた空間内に、未硬化の発泡性合成樹脂を注入してなる
    請求項2記載の太陽電池アレイの施工方法。
  7. 【請求項7】 予め屋外の設置場所に設けられたアレイ
    架台において、一つの太陽電池モジュールの設置対象部
    位のそれぞれに、太陽電池パネルの受光面とは反対側の
    面を覆い、かつ太陽電池パネルの受光面とは反対側の面
    との間に発泡性合成樹脂の収容空間を形成しうる裏面側
    蓋材を取り付け、取り付けた裏面側蓋材に蓋をする形で
    太陽電池パネルを取り付け、これら太陽電池パネルと裏
    面側蓋材との間に形成された空間内に、未硬化の発泡性
    合成樹脂を注入してなる請求項2記載の太陽電池アレイ
    の施工方法。
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