JP4151829B2 - 脂環式不飽和アルコールの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、脂環式不飽和アルコールの製造方法および高純度テトラヒドロベンジルアルコールに関するものである。詳しくは、本発明は極めて広範囲な工業的用途、例えば医薬、農薬、香料、染料などの合成用原料薬品として使われている脂環式不飽和アルコールアルコールを製造する方法、さらに詳しくは、例えばエポキシ樹脂の中間原料などとして有用なテトラヒドロベンジルアルコール等の目的に合った脂環式不飽和アルコールを選択性よく製造する方法および酸価と水分含有率の低い高純度テトラヒドロベンジルアルコールに関する。
【0002】
【従来の技術】
テトラヒドロベンズアルデビドなどの不飽和環状アルデヒドの水素化反応によりテトラヒドロベンジルアルコールなどの脂環式不飽和アルコールを製造する方法としては、すなわち、不飽和環状アルデヒドのカルボニル部位を選択的に還元して、脂環式不飽和アルコールを得る方法としては、従来、水素化アルミニウムリチウムで還元する方法(A.Guiotto.et al., Farmaco. Ed.Sci.72(12),1045−52(1972))、水素化ホウ素ナトリウムで還元する方法(Neth.Appl.790242(1979.9.18))など、還元試薬を用いて対応する不飽和アルコールを得る方法が知られている。
還元試薬であるLiAlH4やNaBH4などを用いる方法は、転化率98モル%以上、目的とする脂環式不飽和アルコールの選択率97〜98モル%、副生する脂環式飽和アルコール3〜2モル%、飽和環状アルデヒドか若干生成するといった、高い選択性を有する製造方法である。しかしながら、使用する還元試薬が非常に高価かつ大量に使用しなければならないことから、工業的には極めて不利な製造方法となっている。また、反応に多量の水を必要とするため発生する廃水量が多く、廃水処理に多大の費用を要する問題があり、さらに経済性において劣るため工業的に適用しにくいなどの欠点を有していた。かかる還元試薬を使用しない合成方法が求められている。
【0003】
また、テトラヒドロベンズアルデヒドとアルコール類と触媒を用いて、水素移動反応させる方法(特許公開公報昭和63−275538号)が知られている。しかし、この方法は、選択率は高いものの、主原料と当量以上のアルミニウムアルコラートとアルコール類を必要とする上、当量のケトン類が副生するという問題がある。
【0004】
そこで還元試薬を使用しない合成方法として、触媒を用いて水素化を行う方法が種々検討されており、水素ガス加圧下、触媒として銅−クロマイトを用いる反応(Neth.Appl.6,603,211(1966.9.13))、水素ガス加圧下、触媒として銅−クロマイトを用い溶媒としてシクロヘキサン、テトラヒドロフランを用いる反応(Ger.1,101,409(1961.3.9)、J.Falbe.et al.,Chem.Ber.98(6),1928−37(1965))など銅クロマイト触媒を用いて水素化を行う方法、その他水素ガス加圧下、Co、Rh−Sn、Ru−Snなどをアルミナ、シリカもしくはゼオライトなどに担持させた触媒を用いて水素化を行う方法、例えば、「アルミナ担持バイメタリック触媒を用いたクロトンアルデヒドの選択的水素化によるクロチルアルコールの合成」(日本化学会誌,1994(5),487〜489:埼玉大)、「担持Ru−Sn触媒上でのクロトンアルデヒドの選択的気相水素化」(第76回触媒討論会講演予稿集,3E15,228(1995):神戸大)などが知られている。
しかしながら、これら触媒を用いる方法では、目的物である不飽和アルコールの選択率がまだ充分とは言えず、副生成物である飽和環状アルデヒドや脂環式飽和アルコールが目的以上に生成すると言った問題がある。
【0005】
上記方法を改善する方法として、水素ガス加圧下、触媒としてアルミナ担持コバルト触媒を用いる反応(特許公開公報平成10−236995号)が知られている。この方法において上記アルミナ担持コバルト触媒に第2金属(Pt、Ru、Fe、Cu、Rhなど)を添加した触媒を用い、アルコールのような極性溶媒を用いて水素化し、分子内に二重結合を持つ不飽和アルデヒドのカルボニル部位を選択的に水素化し、対応する不飽和アルコールを選択的に製造するものである。
しかしながら、該方法は、極性溶媒の存在を必須として水素化するものであり、生産性が低く工業的に不十分である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
脂環式不飽和アルコールとして、テトラヒドロベンジルアルコールを例とした場合、該アルコール製造時の不純物は、原料のテトラヒドロベンズアルデヒド(3-シクロヘキセンカルボアルデヒド)、副生物のヘキサヒドロベンジルアルコール、シクロヘキサンカルボアルデヒド等があり、これらの不純物は、工業的には一般に精留により分離される。
目的物の不飽和アルコール(3-シクロヘキセンメタノール;沸点:183℃)中に含有される不純物の沸点は、3-シクロヘキセンカルボアルデヒド:163℃、シクロヘキサンカルボアルデヒド:161℃、シクロヘキサンメタノール:181℃である。
不純物の一つである原料の不飽和環状アルデヒドの沸点は、脂環式不飽和アルコールに比較して沸点が低く、沸点差が20〜30℃あり精留による分離が可能である。しかしながら、もう一つの副生成物である脂環式飽和アルコールの沸点は、脂環式不飽和アルコールの沸点とほぼ同じであり、工業的規模による分離は、ほとんど不可能であり、分離が困難なものは、そのまま製品に含んだまま提供される。
しかし、この不飽和アルコールを香料として用いる場合、不純物の飽和アルコール濃度の規制は極めて厳しく、0.1モル%のオーバースペックでも製品とはなり得ないことも指摘されている。
【0007】
また、テトラヒドロベンジルアルコールなどの脂環式不飽和アルコールは、以下(a)〜(d)等に示すような変性を行いポリマー原料として用いられる場合がある。
(a)脂環式不飽和アルコールの水酸基をアクリル酸及びまたはメタクリル酸等のエチレン性不飽和酸でエステル化する。
(b)脂環式不飽和アルコールの水酸基をアクリル酸及びまたはメタクリル酸等のエチレン性不飽和酸でエステル化し、二重結合をエポキシ化する。
(c)脂環式不飽和アルコールの二重結合を水酸基にし、上記エチレン性不飽和酸等で、ジエステル、トリエステルにする。
(d)脂環式不飽和アルコールの二重結合をエポキシ化し、さらに水酸基をグリシジル化する。
上記のような場合、脂環式飽和アルコールや飽和及び不飽和環状アルデヒド等が残存して純度が低いと、重合した際に、これらは未反応分として残存するため好ましくない。
また、水分が多いと、二重結合をエポキシ化する場合、反応を阻害することとなり、非常に好ましくない。
更に、酸価の原因となる遊離カルボン酸は、目的物とは異なる臭いを有し、かつ反応性の不純物であるため、何れの用途においてもその含有は好ましいものではなく、その低減が要求されている。
上記のような問題があるので、製品の脂環式不飽和アルコールは高純度が要求される。本発明の課題は、高純度(純度99重量パーセント以上、水分重量0.1パーセント以下、酸価0.1mgKOH/g)以下の高純度の脂環式不飽和アルコールを選択率良く製造する方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため、不飽和環状アルデヒドの触媒存在下における水素化反応について鋭意検討した。その結果本発明者らは、本発明に有効な選択された触媒の使用下において、通常、反応の初期に脂環式不飽和アルコールが生成するが、反応の後期には生成した脂環式不飽和アルコールがさらに水素化され脂環式飽和アルコールに変換すること、脂環式飽和アルコールは、上述のように分離が極めて困難であるため、脂環式飽和アルコールの副生を極力抑制することが肝要であること、及びそのためには水素化反応を脂環式飽和アルコールが生成する前に停止させ、精留等の分離工程で、未反応の不飽和環状アルデヒドをカットすることが極めて重要となることを見出した。
また、本発明者等は、銅クロマイト触媒が、不飽和環状アルデヒドのアルデヒドの還元と二重結合の水素化において、特にカルボニル部位の選択的水素化能が高いことを確認し、かつ、反応条件を厳しく制御することにより、水素化反応を極めて制御された反応率の段階で停止させ、二重結合の水素化を抑制もしくは不活性化し、目的の脂環式不飽和アルコールを選択性良く高収率で得ることにより、精留で分離しやすい組成が提供され、高純度な脂環式不飽和アルコールが高収率で製造されることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明の第1は、一般式(1)
【化2】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
で表される不飽和環状アルデヒドを触媒の存在下に水素化して脂環式不飽和アルコールを製造するに際し、
(1)原料として酸価が10mgKOH/g以下の不飽和環状アルデヒドを用いて水素化し、
(2)反応率70〜99.8%で水素化反応を止め、
(3)ついで、未反応不飽和環状アルデヒドを含む反応生成物を精留することを特徴とする、純度99重量パーセント以上、水分0.1重量パーセント以下、酸価0.1以下のテトラヒドロベンジルアルコールの製造方法を提供する。
本発明の第2は、テトラヒドロベンズアルデヒドを触媒の存在下に水素化してテトラヒドロベンジルアルコールを製造するに際し、
(1)原料として酸価が10mgKOH/g以下のテトラヒドロベンズアルデヒドを用いて水素化し、
(2)反応率70〜99.8%で水素化反応を止め、
(3)ついで、未反応テトラヒドロベンズアルデヒドを含む反応生成物を精留することを特徴とする、純度99重量パーセント以上、水分0.1重量パーセント以下、酸価0.1mgKOH/g以下のテトラヒドロベンジルアルコールの製造方法を提供する。
本発明の第3は、触媒として銅、銅−亜鉛、銅−クロム、銅−亜鉛−クロム又はこれらの酸化物から選ばれた1種又は2種以上の混合触媒、並びに、これらのモリブデン、タングステン、マグネシウム、バリウム、アルミニウム、カルシウム、ジルコニウム、マンガン、ニッケル及びこれらの酸化物による変性物を使用することを特徴する本発明の第1又は第2の製造方法を提供する。
本発明の第4は、水素圧0.1〜8MPaで水素化することを特徴する本発明の第1又は2の製造方法を提供する。
本発明の製造方法によって得られる脂環式不飽和アルコールは、医薬、農薬、香料、染料、ポリマーモノマーなどの原料として用いられる。
【0010】
【発明の実施の態様】
本発明は、一般式(1)
【化3】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
で表される不飽和環状アルデヒドを触媒の存在下に水素化して脂環式不飽和アルコールを製造するに際し、
(1)原料として酸価が10mgKOH/g以下の不飽和環状アルデヒドを用いて水素化し、
(2)反応率70〜99.8%、好ましくは80〜99.8%、更に好ましくは90〜99.8%で水素化反応を止め、
(3)ついで、未反応不飽和環状アルデヒドを含む反応生成物を精留することを特徴とする、純度99重量パーセント以上、水分0.1重量パーセント以下、酸価0.1mgKOH/g以下の脂環式不飽和アルコールの製造方法である。
本発明で使用される不飽和環状アルデヒドは、合成品でも天然品でもよい。合成品の場合、原料の入手の容易性から、式(1)でRが水素であるテトラヒドロベンズアルデヒド(3-シクロヘキセンカルボアルデヒド、別名1,2,3,6−テトラヒドロベンズアルデヒド)が多用される。
原料の酸価は、10mgKOH/g以下であり、好ましくは1mgKOH/g以下である。
原料の酸価が10mgKOH/gより高い場合は、水素化工程時に触媒の銅成分を溶出させて触媒劣化を引き起こす。更に、溶解銅は水素ガスによって還元されて反応管内部に再度沈着して鏡状の金属被膜を形成したり、蒸留塔底に残存アルデヒドに還元された金属被膜を形成する等、様々な問題点を引き起こす。原料の酸価が10mgKOH/gより高いと、たとえ、反応率を70〜99.8%の範囲内にコントロールしても得られる脂環式不飽和アルコールの酸価が高くなり、医薬、農薬、香料、染料などの合成用原料薬品としては好ましくない。
又、水素化工程後にも遊離カルボン酸が多く存在することになる為、精留工程において遊離カルボン酸を留出させない目的で高還流比の状態で主留分テトラヒドロベンジルアルコールを精留し続ける操作が必要であり、著しく生産性を損ねるものである。
【0011】
本発明に使用される触媒としては、銅、銅−亜鉛、銅−クロム、銅−亜鉛−クロム又はこれらの酸価物から選ばれた1種又は2種以上の混合触媒、並びに、これらのモリブデン、タングステン、マグネシウム、バリウム、アルミニウム、カルシウム、ジルコニウム、マンガン、ニッケル及びこれらの酸化物による変性物が挙げられる。
好ましい触媒としては、具体的には、銅−クロム酸化物、銅−亜鉛酸化物、銅−亜鉛−クロム酸化物、銅−クロム−マグネシウム酸化物、銅−クロム−バリウム酸化物、銅−クロム−マンガン酸化物、銅−クロム−マグネシウム−マンガン酸化物、銅−クロム−マグネシウム−バリウム酸化物、銅−クロム−マンガン−バリウム酸化物、銅−クロム−マグネシウム−マンガン−バリウム酸化物、銅−亜鉛−アルミニウム酸化物、銅−亜鉛−マグネシウム酸化物、銅−亜鉛−バリウム酸化物、銅−亜鉛−マンガン酸化物、銅−亜鉛−マグネシウム−マンガン酸化物、銅−亜鉛−マグネシウム−バリウム酸化物、銅−亜鉛−マンガン−バリウム酸化物、銅−亜鉛−マグネシウム−マンガン−バリウム酸化物が例示される。これらの触媒としては、日揮化学(株)製N−203、N203S、N203SD、N203SDB、N・E・ケムキャット(株)製Cu−0202P、Cu−1106P、Cu−1160P、Cu−1800P、Cu−1850P、Cu−1950P、Cu−0891P、堺化学工業(株)製CB−2、C−5A、C−100、C−700、C−900といった市販の触媒を用いることも可能である。更に、上記金属及び金属酸化物以外に、ケイソウ土、白土、グラファイト等の形成助剤を添加した触媒や上記の金属酸化物をアルミナやシリカなどの担体に担持させた触媒などが使用できる。
これらの触媒は、そのまま用いることもできるが、使用する前に還元処理などの適当な活性化処理を行うことも好ましい方法である。
これらの触媒の使用量は出発原料物質である不飽和環状アルデヒドに対して0.001重量%以上、好ましくは0.1〜10重量%である。触媒の使用量が0.001重量%以下の場合は反応速度が非常に遅くなるので、実用的ではなく、逆に10重量%以上使用しても反応速度が改善されるわけではないので、経済的に不利になるだけである。
【0012】
本発明の水素化反応は、回分式、半回分式、連続式のいずれでもよい。反応装置としては、混合槽、管型反応器等が使用できる。
上記触媒は通常、固体または粉体状であり、製造方法がバッチ式の場合は、不飽和環状アルデヒドが満たされた反応容器に、固体または粉体状の触媒を挿入し、チッ素ガス等の不活性ガスで置換した後、水素ガスを充満させ、水素化反応を進める。
また、連続式の場合は、予備混合槽で不飽和環状アルデヒドと触媒を混合させ、水素化反応器に連続的に仕込んで、反応を行う。
固定床反応器を使用する場合は、タブレット型固形触媒を管型反応器に充填して使用する。
【0013】
本発明の製造方法は、溶媒を特に必要としないが、必要に応じて溶媒を用いることも可能である。選択される溶媒は、本反応に不活性なもので、原料及び反応生成物である脂環式不飽和アルコールを溶解させ、かつ精留で分離できるものであれば特に限定されず、炭素数2〜6の1級アルコール、エーテルなどが選択される。
【0014】
本発明における水素化反応温度は特に限定されないが、反応温度が高すぎると選択性が悪くなり、分離不可能な飽和アルコールが多く生成し、分離されずに製品に残存するため工業的純度を満足することができなくなる。また、温度が高すぎると脱水反応を生じせしめ、反応物中の水分が増加するので、好ましくは30〜200℃、さらに好ましくは100〜180℃の範囲内で水素化反応を行う。
【0015】
本発明における水素化反応の圧力は、0.1〜8MPaが好ましく、さらに好ましくは0.5〜5MPaの範囲内の圧力が望ましい。水素化反応の圧力が低いと、反応が進行せず、逆に高すぎるとアルデヒドの還元と二重結合の水素化との選択性が低下し、好ましくない。
水素化反応は、反応率70〜99.8%で止める。反応率70〜99.8%、好ましくは、80〜99.8%、さらに好ましくは、90〜99.8%で止めることにより、必要な反応選択性と生産性が得られる。70%より低い反応率で停止した場合は生産性が損なわれ、99.8%より高い反応率では不要な過反応物であるシクロヘキシルアルコールの生成率が高く、好ましくない。なお、水素化反応の停止点は、反応系の残留不飽和環状アルデヒドの分析により決めることができる。
【0016】
水素化反応後、不純物を精留により分離する。分離には5段〜30段の理論段数を有する精留塔があればよいが、好ましくは、10〜25段の理論段数を有する精留塔で分離する。通常、理論段数20段のものが使用される。精留温度、減圧度は、脂環式不飽和アルコール及び不純物によって異なるが、テトラヒドロベンジルアルコールの場合、塔頂における温度は80〜200℃、減圧度は10〜300mmHgで行うのが好ましい。
こうして得られる脂環式不飽和アルコールは、純度99重量パーセント以上、水分0.1重量パーセント以下、酸価0.1mgKOH/g以下、好ましくは0.05mgKOH/g以下である。
【0017】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、これら実施例によつて本発明は限定されるものではない。なお、下記の「触媒」は、便宜上、市販品をそのまま使用した。なお、分析方法は、以下に従った。
ガスクロマトグラフィー分析
カラム:DB−5(キャピラリーカラム)、30m、内径0.53mm、膜厚1.5micron
内部標準試薬としてドデカンを用い、内部標準と各組成の面積比より各組成の重量パーセントを算出した。
水分:カールフイシャー法(重量%)
酸価:基準油脂分析法(mgKOH/g)
【0018】
実施例1
攪拌機、温度計、圧力計を備えた500mlのステンレス製のオートクレーブに、テトラヒドロベンズアルデヒド(3-シクロヘキセンカルボアルデヒド、純度99.7重量パーセント、酸価0.5mgKOH/g)50gと、堺化学(株)製銅クロマイト触媒C−700(マンガン・マグネシウム変性銅クロマイト)を0.5g入れ、チッ素で置換後、水素を充満させ、温度150℃、圧力3MPaで、9時間水素化反応をさせ、反応率98.1パーセントで水素をパージし反応を停止させた(反応停止点はガスクロマトグラフィー分析による残存テトラベンズアルデヒド量により決めた。以下同じ)。
ガスクロマトグラフィー分析による粗反応物の組成は、目的物のテトラヒドロベンジルアルコール97.6重量パーセント、原料のテトラヒドロベンズアルデヒド1.9重量パーセント、ヘキサヒドロベンジルアルコール0.2重量パーセント、不明成分0.3重量パーセントであった。
該粗反応物を理論段数10段のラボ用精留塔に入れ、塔頂における温度96〜109℃、減圧度23〜44mmHg、還流比1で精留し、46.5gのテトラヒドロベンジルアルコール(3-シクロヘキセンメタノール)の精留物を得た(収率91.3%)。このものを分析した結果、水分0.02重量パーセント、酸価0.01mgKOH/gで、ガスクロマトグラフィー分析による純度は99.6重量パーセントであった。
【0019】
実施例2
銅クロマイト触媒をエヌ・イーケムキャット(株)製1850P(銅−クロマイト)に代えた以外、実施例1と同様に行い、反応率98パーセントで水素をパージし反応を停止させた。ガスクロマトグラフィー分析による粗反応物の組成は、目的物のテトラヒドロベンジルアルコール97.4重量パーセント、原料のテトラヒドロベンズアルデヒド2.0重量パーセント、ヘキサヒドロベンジルアルコール0.3重量パーセント、不明成分0.3重量パーセントであった。
実施例1と同様に精留を行い、47.6gの精留物が得られた(収率93.5%)。このものを分析した結果、水分0.03重量パーセント、酸価0.01mgKOH/gで、ガスクロマトグラフィー分析による純度は99.3重量パーセントであった。
【0020】
実施例3
銅クロマイト触媒を日揮化学(株)製N−203(マンガン変性銅−クロマイト)に代えた以外、実施例1と同様に行い、反応率96.0パーセントで水素をパージし反応を停止させた。ガスクロマトグラフィー分析による粗反応物の組成は、目的物のテトラヒドロベンジルアルコール95.4重量パーセント、原料のテトラヒドロベンズアルデヒド4.0重量パーセント、ヘキサヒドロベンジルアルコール0.3重量パーセント、不明成分0.3重量パーセントであった。
実施例1と同様に精留を行い、46.2gの精留物が得られた(収率90.8%)。このものを分析した結果、水分0.02重量パーセント、酸価0.01mgKOH/gで、ガスクロマトグラフィー分析による純度は99.4重量パーセントであった。
【0021】
実施例4
水素化反応の停止を、反応率85.0パーセントで行った以外、実施例1と同様に行った。
ガスクロマトグラフィー分析による粗反応物の組成は、目的物のテトラヒドロベンジルアルコール84.5重量パーセント、原料のテトラヒドロベンズアルデヒド15.0重量パーセント、ヘキサヒドロベンジルアルコール0.2重量パーセント、不明成分0.3重量パーセントであった。
実施例1と同様に精留を行い、38.9gの精留物が得られた(収率76.4%)。このものを分析した結果、水分0.02重量パーセント、酸価0.01mgKOH/gで、ガスクロマトグラフィー分析による純度は99.1重量パーセントであった。
【0022】
実施例5
水素化反応の停止を、反応率99.8パーセントで行った以外、実施例1と同様に行った。ガスクロマトグラフィー分析による粗反応物の組成は、目的物のテトラヒドロベンジルアルコール99.1重量パーセント、原料のテトラヒドロベンズアルデヒド0.2重量パーセント、ヘキサヒドロベンジルアルコール0.7重量パーセント、不明成分0.3重量パーセントであった。
実施例1と同様に精留を行い、45.7gの精留物が得られた(収率89.8%)。このものを分析した結果、水分0.02重量パーセント、酸価0.01mgKOH/gで、ガスクロマトグラフィー分析による純度は99.1重量パーセントであった。
【0023】
実施例6
純度99.7重量パーセントおよび酸価3mgKOH/gを有するテトラヒドロベンズアルデヒドを使用した以外は実施例1と同様に行った。ガスクロマトグラフィー分析による粗反応物の組成は、目的物のテトラヒドロベンジルアルコール97.4重量パーセント、原料のテトラヒドロベンズアルデヒド1.9重量パーセント、ヘキサヒドロベンジルアルコール0.2重量パーセント、不明成分0.5重量パーセントであった。
実施例1と同様に精留を行い、45.6gの精留物が得られた(収率91.2%)。このものを分析した結果、水分0.04重量パーセント、酸価0.06mgKOH/gで、ガスクロマトグラフィー分析による純度は99.5重量パーセントであった。
【0024】
実施例7
純度99.7重量パーセントおよび酸価8mgKOH/gを有するテトラヒドロベンズアルデヒドを使用した以外は実施例1と同様に行った。ガスクロマトグラフィー分析による粗反応物の組成は、目的物のテトラヒドロベンジルアルコール97.5重量パーセント、原料のテトラヒドロベンズアルデヒド1.9重量パーセント、ヘキサヒドロベンジルアルコール0.2重量パーセント、不明成分0.4重量パーセントであった。
実施例1と同様に精留を行い、45.0gの精留物が得られた(収率90.0%)。このものを分析した結果、水分0.06重量パーセント、酸価0.08mgKOH/gで、ガスクロマトグラフィー分析による純度は99.3重量パーセントであった。
【0025】
比較例1
水素化反応の停止を反応率67.5パーセントで行った以外は、実施例1と同様にして行った。
ガスクロマトグラフィー分析による粗反応物の組成は、目的物のテトラヒドロベンジルアルコール66.0重量パーセント、原料のテトラヒドロベンズアルデヒド33.5重量パーセント、ヘキサヒドロベンジルアルコール0.2重量パーセント、不明成分0.3重量パーセントであった。
次いで、実施例1と同様の精留を行い、26.8gのテトラヒドロベンジルアルコール(3-シクロヘキセンメタノール)の精留物を得た(収率52.6%)。このものを分析した結果、水分0.02重量パーセント、酸価0.01mgKOH/gで、ガスクロマトグラフィー分析による純度は98.6重量パーセントであった。
【0026】
比較例2
水素化反応の停止を、反応率99.95パーセントで行った以外、実施例1と同様に行った。ガスクロマトグラフィー分析による粗反応物の組成は、目的物のテトラヒドロベンジルアルコール94.8重量パーセント、原料のテトラヒドロベンズアルデヒド0.1重量パーセント、ヘキサヒドロベンジルアルコール5.0重量パーセント、不明成分0.1重量パーセントであった。
ついで実施例1と同様に精留を行い、45.0gの精留物が得られた(収率88.4%)。このものを分析した結果、水分0.02重量パーセント、酸価0.01mgKOH/gで、ガスクロマトグラフィー分析による純度は94.8重量パーセントであった。5.0重量パーセントのヘキサヒドロベンジルアルコールが含まれていた。
【0027】
比較例3
原料の酸価が11.0mgKOH/gのものを用いた以外は、実施例1と同様に行い、反応率98.1パーセントで水素をパージし反応を停止させた。ガスクロマトグラフィー分析による粗反応物の組成は、目的物のテトラヒドロベンジルアルコール97.6重量パーセント、原料のテトラヒドロベンズアルデヒド1.9重量パーセント、ヘキサヒドロベンジルアルコール0.2重量パーセント、不明成分0.3重量パーセントであった。
ついで実施例1と同様に精留を行い、46.4gの精留物が得られた(収率91.1%)。このものを分析した結果、水分0.02重量パーセント、酸価0.5mgKOH/gで、ガスクロマトグラフィー分析による純度は99.5重量パーセントであった。オートクレーブ内及び蒸留塔底に触媒に由来する金属の付着が著しく認められた。
【0028】
【発明の効果】
本発明の製造法によれば、高純度で水分が少なく酸価の低い脂環式不飽和アルコールを選択性よく、高収率で製造することができる。
Claims (4)
- テトラヒドロベンズアルデヒドを触媒の存在下に水素化してテトラヒドロベンジルアルコールを製造するに際し、
(1)原料として酸価が10mgKOH/g以下のテトラヒドロベンズアルデヒドを用いて水素化し、
(2)反応率70〜99.8%で水素化反応を止め、
(3)ついで、未反応テトラヒドロベンズアルデヒドを含む反応生成物を精留することを特徴とする、純度99重量パーセント以上、水分0.1重量パーセント以下、酸価0.1mgKOH/g以下のテトラヒドロベンジルアルコールの製造方法。 - 触媒として、銅、銅−亜鉛、銅−クロム、銅−亜鉛−クロム又はこれらの酸化物から選ばれた1種又は2種以上の混合触媒、並びに、これらのモリブデン、タングステン、マグネシウム、バリウム、アルミニウム、カルシウム、ジルコニウム、マンガン、ニッケル及びこれらの酸化物による変性物を使用することを特徴する請求項1又は請求項2に記載の製造方法。
- 水素圧0.1〜8MPaで水素化することを特徴する請求項1又は請求項2記載の製造方法。
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