JP4151404B2 - 圧縮機及び圧縮機のバランス取り方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、圧縮機及び圧縮機のバランス取り方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、スクロール圧縮機においては、バランサの設置位置を工夫することによって、小さなバランサで偏心軸領域に発生するモーメント成分を打ち消し、静かで円滑な圧縮機を得る技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平4−314985号公報(図1〜図3)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、実際には部品の加工公差や組付け精度等の影響から、静バランス及び動バランスが設計上の値からズレを生じて、振動が大となるという欠点があった。そして、圧縮機が大型化すればする程その欠点は顕著となり、改善が求められていた。特に、その圧縮機が電気自動車等の静粛な自動車に搭載される場合は、その改善要求も、より高いものとなっていた。
この発明は、上記欠点に鑑みてなされたもので、その目的は、圧縮機に掛かるアンバランスを微細に調整することで、振動を抑制することのできる圧縮機を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、ハウジング内に主軸受に回転可能に支持された駆動軸の先端部に形成され該駆動軸の軸心線より所定量偏心した偏心軸と、該偏心軸に装着され基板に渦巻体が設けられた可動スクロールと、該可動スクロールと互いに噛み合い可能に固定支持され基板に渦巻体が設けられた固定スクロールと、前記駆動軸の基端部に取付けられたロータと該ロータに対応してハウジングに取付けられたステータとで構成されるモータと、前記偏心軸の基端部に対して該偏心軸の偏心向きと反対の偏心向きとなるように設置されたコンプレッサバランサと、前記主軸受とロータとの間の駆動軸に対して前記偏心軸の偏心向きと反対の偏心向きとなるように設置されたモータバランサと、前記ロータの主軸受とは反対端面側の駆動軸に対して前記偏心軸の偏心向きと同じ偏心向きとなるように設置されたモータカウンタバランサとを備え、かつ前記コンプレッサバランサを、本体部と調整部とより構成し、該調整部の重量及び形状の少なくとも一方を変更可能とし、前記調整部を調整可能となるよう、前記ハウジングには、前記ハウジング外と前記コンプレッサバランサが存在する領域とを連通させるようにした連通穴が設けられていることを特徴とする圧縮機。
この発明によると、モータのロータを挟んで両側部にそれぞれモータバランサとモータカウンタバランサとを配設し、さらに、調整部の重量及び形状の少なくとも一方を変更可能とするコンプレッサバランサを偏心軸の基端部に対して設置したため、静バランス及び動バランスの両方を取ることができる。また、連通穴を通じてハウジング外からコンプレッサバランサの調整を行うことができる。
【0006】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記調整部は前記本体部の外周面に取り付けられているとしたものである。
この発明によると、請求項1記載の発明のものにおいて、調整部の取り外しや取り付けにより、ハウジング外から連通穴を通じてコンプレッサバランサの調整を行うことができる。
【0007】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明において、前記モータバランサ及びモータカウンタバランサの少なくとも一方を、本体部と調整部とより構成し、該調整部の重量及び形状の少なくとも一方を変更可能としたものである。
【0008】
この発明によると、請求項1又は2に記載の発明のものにおいて、より高精度なバランス取りができる。
【0009】
請求項4に記載の発明は、ハウジング内に主軸受に回転可能に支持された駆動軸の先端部に形成され該駆動軸の軸心線より所定量偏心した偏心軸と、該偏心軸に装着され基板に渦巻体が設けられた可動スクロールと、該可動スクロールと互いに噛み合い可能に固定支持され基板に渦巻体が設けられた固定スクロールと、前記駆動軸の基端部に取付けられたロータと、前記偏心軸の基端部に対して該偏心軸の偏心向きと反対の偏心向きとなるように設置されたコンプレッサバランサと、前記主軸受とロータとの間の駆動軸に対して前記偏心軸の偏心向きと反対の偏心向きとなるように設置されたモータバランサと、前記ロータの主軸受とは反対端面側の駆動軸に対して前記偏心軸の偏心向きと同じ偏心向きとなるように設置されたモータカウンタバランサとを備えた圧縮機構アッセンブリにおいて、該駆動軸を回転させて振動の振幅と位相を測定し、該測定値に基づいて前記コンプレッサバランサの調整部の重量及び形状の少なくとも一方を変更するようにしたバランス取りの方法である。
【0010】
この発明によると、圧縮機の圧縮機構アッセンブリを組付けた状態で総合的なバランス調整ができるため、より精度の高いバランス取りが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を燃料電池に空気を供給するためのスクロール圧縮機に適用した実施の形態について添付図面に基づいて説明する。
【0012】
(第一実施形態)
本実施の形態に係る圧縮機の全体を示す断面図である図1において、吐出室カバー10、リアハウジング11、フロントハウジング12及びモータハウジング13が結合されて圧縮機の外郭が形成され、これらは図示しない適数本の通しボルト等にて締付け固定されている。リアハウジング11には、基板14aと渦巻体14bとよりなる固定スクロール14が一体的に形成されている。また該リアハウジング11には、エアクリーナ等に繋がる管路と連結され外部空気を導入するための吸入口15が設けられている。リアハウジング11とフロントハウジング12で囲まれた空間内には、基板16aと渦巻体16bとよりなる可動スクロール16が配設されている。このとき、該渦巻体16bは固定スクロール14の渦巻体14bと噛み合った状態とされ、両スクロール部材間には複数の閉じられた圧縮室17が形成されている。固定スクロール14の基板14aのほぼ中央部には、圧縮室17で圧縮された空気を、基板14a背面側の吐出室18に吐出するための吐出穴19が形成されている。また、吐出室カバー10には吐出室18内の圧縮空気を外部管路を通じて燃料電池装置へと送り出すための吐出口20が設けられている。
【0013】
モータハウジング13の内周面にはステータ21が取付けられ、これに対応するロータ22は、フロントハウジング12とモータハウジング13に亘ってそれらの軸心部に主軸受23と端軸受24によって回転可能に支持された駆動軸25に嵌着固定されている。該駆動軸25の先端部(図1中左方端)は、該駆動軸25の軸心線より所定量偏心した偏心軸26となっており、該偏心軸26はブッシュ27を介して可動スクロール16のボス28に挿入されている。可動スクロール16の背面には、可動スクロール16の固定スクロール14軸心周りの公転は許容し、その自転は阻止する自転防止機構29が備えられている。
【0014】
前記偏心軸26の基端部には、該偏心軸26の偏心向きと反対の偏心向きとなるようにコンプレッサバランサ30が配設され、前記主軸受23とロータ22との間の駆動軸25に対しては、前記偏心軸26の偏心向きと反対の偏心向きとなるようにモータバランサ31が設置され、さらに、前記ロータ22の主軸受23とは反対端面側(図1中右側)の駆動軸25に対しては、前記偏心軸26の偏心向きと同じ偏心向きとなるようにモータカウンタバランサ32が設置されている。
【0015】
前記フロントハウジング12には、フロントハウジング12外とコンプレッサバランサ30が存在する領域とを連通させるようにした連通穴41が設けられている。
この連通穴41は、次に説明するコンプレッサバランサ30の調整部77をフロントハウジング12外から調整可能とするために設けられたものである。
従って、フロントハウジング12外から連通穴41を通じてコンプレッサバランサ30の調整部77が視認可能であることが望まれる。
また、連通穴41には粉塵や異物の混入を防止するための閉塞栓43が嵌め込まれており、この閉塞栓43はコンプレッサバランサ30の重量調整を実施する際に一時的に取り外される。
この実施形態では連通穴41を1個設けるようにしているが、複数個の連通穴41を設けることを妨げるものではなく、連通穴41の形状も自由である。
【0016】
次に、コンプレッサバランサ30の詳細について説明する。
図3に示されるように、コンプレッサバランサ30は、分割式のものであって主に本体部70と調整部77から構成されている。
この本体部70は、嵌合穴74を形成するリング状部材71、リング状部材71に備えられた略扇形の板状部材72、板状部材72から駆動軸25の軸方向に延出された延出部材73から構成されている。
リング状部材71により形成される嵌合穴74は、偏心軸26が有するブッシュ27にコンプレッサバランサ30を嵌着するためのものである。
また、板状部材72は偏心軸26の軸方向から見て略扇形であり、板状部材72から延出された延出部材73は、図1において可動スクロール16の基板16aへ向かうものとなっている。
さらに、この延出部材73の外周面は、フロントハウジング12の内径面と対峙するものとなっている。
そして、延出部材73の外周面の2箇所には、次に説明する調整部77が嵌挿される嵌挿穴75が穿設されており、この嵌挿穴75の底部には調整部77を固定するためのボルト79用のボルト穴76が夫々穿設されている。
【0017】
一方、コンプレッサバランサ30の調整部77は、本体部70に対してボルト79によって結合されるものであるが、本体部70に設けられた嵌挿穴75に対応する略環状のものであり、その中心にはボルト79に対応する通穴78が形成されている。
この実施形態では、調整部77としての、異なる高さの複数個の調整部77a、77b、77cを準備しておき、コンプレッサバランサ30の重量調整を図るようにしている。
なお、調整部77の高さは、調整部77がフロントハウジング12と干渉しないように嵌挿穴75の深さを考慮して設定する必要がある。
【0018】
次に、モータバランサ31について説明する。
図4及び図5に示すように、モータバランサ31は分割式となっている。即ち、駆動軸25に嵌着するための嵌合穴33を有し、概略扇形の本体部34と、該本体部34に対してボルト35によって結合される調整部36とより構成されている。なお、前記調整部36は図5に示す高さHの異なる数種類のものを準備しておき、重量調整に対応できるようになっている。
【0019】
また、モータカウンタバランサ32は、図6に示すように、同じく概略扇形の本体部37と、該本体部37に対しボルト38によって適宜取付けられる調整部39とより構成されている。この調整部39も大きさの異なる数種類のものを準備しておき、重量調整に対応できるようになっている。
【0020】
次に、図7を参照しながらバランス取り作業のための治具について説明する。
【0021】
スクロール部を含んだ圧縮機本体部分60、即ち、固定スクロール14、可動スクロール16、リアハウジング11及びフロントハウジング12等を実機の状態で組立てたものに対して、前記フロントハウジング12の前端に、ステータを備えたダミーハウジング42が固定される。そして、該ダミーハウジング42の外周壁には、モータバランサ31及びモータカウンタバランサ32のそれぞれに対面して、貫通穴44、45が設けられている。
【0022】
引き続き、上記のように構成された本実施形態の作用を説明する。
【0023】
ステータ21とロータ22とよりなる電気モータの駆動によって、駆動軸25が回転されると、可動スクロール16が固定スクロール14の軸心の周りを公転運動する。この公転運動によって容積変化する圧縮室17の吸入・圧縮作用により、吸入口15を介して外部管路から吸入された空気を、該圧縮室17内で所定圧まで圧縮して吐出穴19を経て吐出室18へと吐出する。該吐出室18へ流入した圧縮空気は吐出口20から外部管路を経て燃料電池装置へと送り出される。
【0024】
この運転の状態において、回転部分のバランス状況を図2を参照しながら説明する。該図2は、駆動軸25に対して各回転体M1、M2、M3、M4が支持され、主軸受23がモーメントの中心としてモデル化して示されている。なお、ここで使用されている符号は下記の定義によるものとする。
【0025】
M1:可動スクロール16と自転防止機構29及び偏心軸26部分とを合わせた重量
M2:コンプレッサバランサ30の重量
M3:モータバランサ31の重量
M4:モータカウンタバランサ32の重量
(なお、符号M1〜M4は便宜上これら回転体の呼び名としても使用)R1〜R4:回転体M1〜M4のそれぞれの重心位置から駆動軸25の軸心線までの距離
L1〜L4:駆動軸25の軸心線上における主軸受23から回転体M1〜M4のそれぞれの重心位置までの距離
このとき、回転体の遠心力に起因する静バランスは
M1R1−M2R2−M3R3+M4R4=0 ・・・・・・・・・・(1)
で示される式で成立し、遠心力によるモーメントに起因する動バランスは
M1R1L1−M2R2L2+M3R3L3−M4R4L4=0 ・・(2)
で示される式で成立する。
【0026】
従って、上記(1)式及び(2)式が同時に成立するように各回転体M1〜M4の重さを設定すれば、理想的には振動の無い圧縮機が得られる。ところが実際には、部品の加工時の公差や組付け精度等の影響で、静バランス及び動バランスのズレが生ずるため、微調整が必要になってくる。また、上記式(1)、(2)は二次元での考察であるが、実際にはバランサの偏心向きが駆動軸25の回転方向にズレることもあるため、偏心向きの微調整も必要になってくる。
【0027】
その微調整を行うために、図7に示した治具即ちダミーハウジング42を使用する。圧縮機の回転する部分、即ち、駆動軸25、ロータ22、ブッシュ27、可動スクロール16、自転防止機構29、コンプレッサバランサ30、モータバランサ31及びモータカウンタバランサ32等を全て含んで、圧縮機本体部分60を実機の状態で組立てた後、ロータ22を、内周面にステータを備えた前記ダミーハウジング42内に収納した状態で固定し、アッシー状態で回転させる。
ここでは、駆動軸25と、偏心軸26と、可動スクロール16と、固定スクロール14と、ロータ22と、コンプレッサバランサ30と、モータバランサ31と、モータカウンタバランサ32とからなる部分を圧縮機構アッセンブリとし、この圧縮機構アッセンブリが組み付けられた状態にある。
このとき、図示しない振動測定器で、振動の振幅と位相を測定し、これらのデータを解析して回転体M2、M3及びM4、即ち、コンプレッサバランサ30、モータバランサ31とモータカウンタバランサ32の重さと偏心方向を微調整する。この微調整のうち、コンプレッサバランサ30の微調整は、圧縮機本体部分60のフロントハウジング12に設けられた連通穴41を通じて行われる。他方、モータバランサ31とモータカウンタバランサ32の微調整は、上記全ての回転体をダミーハウジング42内に組込んだままの状態で、該ダミーハウジング42の外周壁に穿設された貫通穴44、45を通して行われる。
【0028】
コンプレッサバランサ30の具体的な微調整は次の通りである。
まず、フロントハウジング12に設けられた連通穴41を通じて、コンプレッサバランサ30のボルトを緩め、調整部77を本体部70から取り外す。次いで、予め準備された高さの異なる複数の調整部77a、77b、77cの中から、解析結果より選定される最適な調整部77aを選択し、選択した調整部77aをボルト79を介して本体部70に取付ける。このとき、位相のズレのデータに基づき2箇所の調整部77aの重さを互いに異ならせることによって、偏心方向のズレの修正も同時に行える。
なお、ここでは調整部77の異なる高さを異ならせることにより、調整部77の重さが互い異なるようにしたが、調整部77の直径を相違させる等の適宜の手段により複数の調整部77の重さが互いに異なればよい。
【0029】
一方、モータバランサ31の具体的な微調整は次の通りである。貫通穴44を通してモータバランサ31のボルト35を緩めて、調整部36を本体部34から取り外し、予め高さHを異ならせて重さを変化させた複数種類の別な調整部36の中から、解析結果より選定される最適なものを選んで、今度はそれをボルト35によって本体部34に取付ける。このとき、位相のズレのデータに基づき、前記調整部36の肩部の何れかの側を削る等して形状を変更させて、偏心方向のズレの修正も同時に行う。
【0030】
他方、モータカウンタバランサ32の具体的な微調整は次の通りである。貫通穴45を通じてはモータカウンタバランサ32の微調整を行う。即ち、貫通穴45を通してボルト38を緩めて、調整部39を本体部37から取り外し、予め大きさ(直径や厚さ)を異ならせて重さを変化させた複数種類の別な調整部39の中から、解析結果より選定される最適なものを選んで、今度はそれをボルト38によって本体部37に取付ける。このとき、2つの調整部39の重さを互いに異ならせることによって、偏心方向のズレの修正が同時に行える。
【0031】
このように、コンプレッサバランサ30、モータバランサ31及びモータカウンタバランサ32の夫々を微調整することによって、静バランスと動バランスの両方を取ることができ、その後は、組付けられた全回転体を含む圧縮機本体部分60をダミーハウジング42から取り出して、実機となるモータハウジング13にそのまま組込んで製品化される。
【0032】
なお、コンプレッサバランサ31のみ微調整する場合では、モータハウジング13を備えた完成品としての圧縮機の状態であっても、フロントハウジング12に設けられた連通穴41を通じてハウジング外からコンプレッサバランサ31の微調整を行うことが可能であり、この場合、ダミーハウジング42を用いる必要はない。
【0033】
上述の第一実施形態によって次のような効果を奏する。
(1)各バランサを分割式としたので、重さや偏心方向の微調整が可能となり、より効果的な振動低減が可能となるほか、各バランサの微調整の組み合わせにより、圧縮機のバランス取りを段階的でしかも高い精度で実施することができる。
(2)静バランスと動バランスの両方を取ることができるため、回転速度の上昇による振動増大を抑制することが可能となる。
(3)すべての回転体を組付けたままの状態でバランス取りを行うため、圧縮機全体として精度の高い振動低減を行うことができる。
(4)燃料電池装置に酸素を供給するための比較的大型の圧縮機においては、機台が大型となるが故に、組付け精度の微小な低下や、僅かな寸法公差によっても、比較的大きな影響が現れ易いが、この発明のものによると極めて精度の高い状態でのバランス取りが可能となるため、そのような虞は無くなる。
【0038】
(第二実施形態)引き続き、図8に基づき本発明の第二の実施形態について説明する。この実施形態は、上記第一実施形態のものにおけるモータバランサ31の構成を変形したものである。即ち、本実施形態におけるモータバランサ50は、本体部51に対してボルト53で取付けられる調整部52とよりなり、これらの結合部に2本の位置決めピン54が配設されている。該位置決めピン54は、本体部51と調整部52に連続して穿設されたピン穴55に嵌挿されている。また、位置決めピン54は、長さの異なる複数種類のものを予め準備しておく。
【0039】
この実施形態のものにおいて、バランスの微調整を行うには、先ず、適切な大きさの調整部52を選んで調整部52に取付けるところまでは、上記第一実施形態と同様であるが、さらに、もっと細かい微調整が必要な場合は、位置決めピン54の長さを変更して重量調整を行う。このとき、2本の位置決めピン54の長さを互いに異ならせて、偏心方向のズレの修正も行うことができる。このとき、位置決めピン54の材質を、本体部51や調整部52の材質より比重の大きなものとすれば、余り嵩張ることなく効果的に微調整が可能となる。
【0040】
本実施形態は、第一実施形態の効果の他に次のような効果を有する。
(1)より細かな微調整が可能となるため、より精度の高いバランス取りができ、振動低減に大きく貢献できる。
【0041】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、下記のようにしても実施は可能である。
○ 上記実施形態においては、燃料電池装置に酸素を供給するための圧縮機に適用したため、圧縮機の吸入口及び吐出口は空気管路に接続されていたが、これに代えて、外部冷凍回路に連結して冷媒圧縮機としてもよい。
○ 上記実施形態においては、スクロール圧縮機に適用したが、これに限られるものではなく、回転体を有する全ての圧縮機に対して適用可能である。
○ 上記実施形態においては、静バランスと動バランスの両方を取るものとしたが、駆動軸の比較的短い圧縮機においては、動バランスの影響は実用上無視できる程度のものであるため、静バランスを取るだけでも十分な振動低減効果を得ることができる。
○ 上記実施形態においては、コンプレッサバランサ30の調整部77は、図3に示されるように、互いに異なる高さを有する複数個の調整部77a、77b、77cを準備し、調整部77の交換により重量調整するようにしたが、互いに高さの異なる調整部の複数個を組み合わせ、組み合わされた調整部を本体部に取付けることにより、重量調整を図るようにしてもよい。あるいは、形状・寸法は互いに同じとし比重のみ異なる調整部を複数個準備し、これらの調整部の中から適したものを選択するようにして重量調整を図ってもよい。また、こうした調整部をモータバランサ31、モータカウンタバランサ32に適用してもよい。
○ 上記実施形態においては、モータバランサ31を図4に示した形式のものとし、かつ、モータカウンタバランサ32を図6に示した形式のものとしたが、これらを互いに逆の形式としても良く、また、両方を何れか一方と同じ形式のものとしても良い。さらに、モータバランサ31又はモータカウンタバランサ32の形式をコンプレッサバランサ30に適用してもよい。
○ 上記実施形態ではダミーハウジング42を用いて各バランサ30、31、32、50を重量調整しているが、完成品としての圧縮機を分解し、各バランサの重量調整を実施するようにしてもよい。
○ ステータを備えた治具を用いて圧縮機構アッセンブリを回転させ、測定を行う代わりに、吐出口20から空気を送り込み、圧縮機構アッセンブリを圧縮作用を行う通常の運転とは逆回転にて回転させ、振動測定器等の測定機器で測定し、各バランサ30、31、32の重量調整を実施するようにしてもよい。
○ 各バランサの調整部は本体部と別部材で構成される必要はなく、例えば、測定結果を元に本体部の一部を構成する調整部を削る等、バランサとしての形状を変更させることも含まれる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、各バランサを分割式として、バランス量調整機能をもたせたため、精密に静バランスと動バランスを取ることができ、振動低減に大きく貢献することができる。また、すべての回転体を組付けたままの状態でバランス取りを行うため、圧縮機全体として精度の高い振動低減を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧縮機を示す側面断面図
【図2】圧縮機の回転部分のバランス状況を示す説明図
【図3】コンプレッサバランサを示す斜視図
【図4】モータバランサを示す斜視図
【図5】モータバランサの調整部を示す正面図
【図6】モータカウンタバランサを示す正面図
【図7】バランス取りを行うための治具であるダミーハウジングを示す斜視図
【図8】モータバランサの別例を示す断面斜視図
【符号の説明】
10 吐出室カバー
11 リアハウジング
12 フロントハウジング
13 モータハウジング
14 固定スクロール
15 吸入口
16 可動スクロール
17 圧縮室
18 吐出室
20 吐出口
21 ステータ
22 ロータ
23 主軸受
25 駆動軸
26 偏心軸
30 コンプレッサバランサ
31、50 モータバランサ
32 モータカウンタバランサ
34、37、51、70 本体部
36、39、52、77 調整部
42 ダミーハウジング
43 連通穴
44、45 貫通穴
54 位置決めピン
60 圧縮機本体部分
Claims (4)
- ハウジング内に主軸受に回転可能に支持された駆動軸の先端部に形成され該駆動軸の軸心線より所定量偏心した偏心軸と、該偏心軸に装着され基板に渦巻体が設けられた可動スクロールと、該可動スクロールと互いに噛み合い可能に固定支持され基板に渦巻体が設けられた固定スクロールと、前記駆動軸の基端部に取付けられたロータと該ロータに対応してハウジングに取付けられたステータとで構成されるモータと、前記偏心軸の基端部に対して該偏心軸の偏心向きと反対の偏心向きとなるように設置されたコンプレッサバランサと、前記主軸受とロータとの間の駆動軸に対して前記偏心軸の偏心向きと反対の偏心向きとなるように設置されたモータバランサと、前記ロータの主軸受とは反対端面側の駆動軸に対して前記偏心軸の偏心向きと同じ偏心向きとなるように設置されたモータカウンタバランサとを備え、かつ前記コンプレッサバランサを、本体部と調整部とより構成し、該調整部の重量及び形状の少なくとも一方を変更可能とし、前記調整部を調整可能となるよう、前記ハウジングには、前記ハウジング外と前記コンプレッサバランサが存在する領域とを連通させるようにした連通穴が設けられていることを特徴とする圧縮機。
- 前記調整部は前記本体部の外周面に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
- 前記モータバランサ及びモータカウンタバランサの少なくとも一方を、本体部と調整部とより構成し、該調整部の重量及び形状の少なくとも一方を変更可能としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の圧縮機。
- ハウジング内に主軸受に回転可能に支持された駆動軸の先端部に形成され該駆動軸の軸心線より所定量偏心した偏心軸と、該偏心軸に装着され基板に渦巻体が設けられた可動スクロールと、該可動スクロールと互いに噛み合い可能に固定支持され基板に渦巻体が設けられた固定スクロールと、前記駆動軸の基端部に取付けられたロータと、前記偏心軸の基端部に対して該偏心軸の偏心向きと反対の偏心向きとなるように設置されたコンプレッサバランサと、前記主軸受とロータとの間の駆動軸に対して前記偏心軸の偏心向きと反対の偏心向きとなるように設置されたモータバランサと、前記ロータの主軸受とは反対端面側の駆動軸に対して前記偏心軸の偏心向きと同じ偏心向きとなるように設置されたモータカウンタバランサとを備えた圧縮機構アッセンブリにおいて、
該駆動軸を回転させて振動の振幅と位相を測定し、該測定値に基づいて前記コンプレッサバランサの調整部の重量及び形状の少なくとも一方を変更することを特徴とする圧縮機のバランス取り方法。
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---|---|---|---|
JP2002373541A JP4151404B2 (ja) | 2002-12-25 | 2002-12-25 | 圧縮機及び圧縮機のバランス取り方法 |
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