JP4150766B2 - 本締り錠における防犯装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、本締り錠における防犯装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
扉に取り付けられる錠箱内に設けられたデッドボルトをフロント板から出没させるために、室内側のサムターン又は室外側のシリンダ錠で回動操作できるように錠箱に回動可能に支承させたカムを該デッドボルトに係合させて成る本締り錠は、従来より周知のものである。
【0003】
このような錠においては、その錠が取り付けられた扉自体又はその近傍にガラス窓が設けられていると、施錠時窓ガラスが破られてそこから差し込んだ手でサムターンが回動操作され、不正解錠により扉が開放されてしまうことがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明に係る本締り錠における防犯装置は、前述のようなサムターンによる不正解錠を無くすために提案されたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明は、扉に取り付けられる錠箱内に設けられたデッドボルトをフロント板から出没させるために、室内側のサムターン又は室外側のシリンダ錠で回動操作できるように錠箱に回動可能に支承させたカムを該デッドボルトに係合させて成る本締り錠において、前記カムの軸部とサムターン軸との間を結合状態又は非結合状態とするために、カムの軸部とサムターン軸との間に軸線方向にのみ可動のクラッチ片を装着し、クラッチ片は常態でカムの軸部とサムターン軸とが結合された状態となるように結合位置に向け付勢してあり、更に、前記クラッチ片を結合位置又は非結合位置を占めるようにするために、錠箱内に水平方向に移動可能で、山形をなす作動部をクラッチ片に係合させた作動部材を設け、扉に装着されたガラスを破壊することにより室内側のサムターンを不正に操作することを防止するため、その作動部材の一端は手指で直接又は間接的に操作することができるようにフロント板に設けた開口部分に臨ませると共に、他端側は前記作動部を介してクラッチ片に連係させたことを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施例に基いてこの発明について説明する。
図1〜図4において、符号1は扉10に取り付けられる錠箱、11は錠箱1のフロント板、12はその裏板、2は扉枠20又は両開き扉における他の扉に取り付けられるストライク板、21はデッドボルト3を係入させるためストライク板2に設けた係入孔をそれぞれ示す。
【0007】
錠箱1内に設けられたデッドボルト3は、ストライク板11の貫通孔13や任意の案内手段31等により水平方向に移動可能に案内され、収納位置と突出位置との間で変位される。
【0008】
図示例の案内手段31は、錠箱1に固定された支柱を兼ねるピンとデッドボルト3に設けられた長孔の組で成り、これらピンと長孔はデッドボルト3のストロークの両端におけるストッパとしての役割も果たす。
【0009】
デッドボルト3の一側を構成する側板32の後部には後記のカム4の腕片42が係合される従動切欠33が形成されている。
【0010】
カム4は錠箱1の両側板に回動可能に支承され、カム4の胴部とも言うべき軸部41から半径方向に延出させた一体の腕片42がデッドボルト3の従動切欠33に係合させてあり、カム4にはその軸線方向において扉10の室内側のサムターン及び扉10の室外側のシリンダ錠(いずれも図示しない)が連係させてある。
【0011】
後述のように図示例のカム部分はカム本体4とそれに組み付けられたクラッチ片5とから成るが、それとは異なりカム部分が一体のものとされた本締り錠は従来周知のものである。
【0012】
そして、室内側のサムターン又は室外側のシリンダ錠に差し込んだ鍵を回動操作することにより、そのカムを介してデッドボルトは錠箱のフロント板から出没させるようにしてあることも周知の通りである。
【0013】
なお、図1(B)及び図3において、符号45はカム4に一体に突設した三角形状の突部44に当接させたカム用のクリック手段を示し、そのクリック手段45は横断面がコ字状の揺動部片及びそれをカム4の突部44に押圧させるためのねじりばねで構成されている。
【0014】
本発明においては、図1〜図4に示すように、カム本体4の軸部41とサムターン軸6との間を結合状態又は非結合状態とするために、カム4における軸部41とサムターン軸6との間に回転方向には拘束され、軸線方向にのみ可動のクラッチ片5を装着する。
【0015】
そして、クラッチ片5は、本発明の防犯装置が非作動状態である常態においてカム4の軸部41とサムターン6とが結合された状態となるように圧縮コイルばね等の付勢手段7で結合位置に向け(図3で左方に向け)付勢してある。図示はしないが、付勢手段7として磁石形式のものを用いることもできる。
【0016】
図示例におけるクラッチ片5は、その外形の横断面が例えばだるま形等の非円形に形成してあって、横断面が同形とされた、カム4の軸部41における連係孔43内に軸線方向について摺動可能に嵌め合わせてある。
【0017】
図3において、カム4の連係孔43の室外側(図で右側)には、図示しないシリンダ錠のテイルピースがある角度範囲(例えば90°の範囲)を遊動できるようにして係合させてあり、連係孔43の室内側(図で左側)にはクラッチ片5が嵌め込んである。
【0018】
一方、クラッチ片5の半径方向の周面部には少くも1本(図示例では3本)の受動ピン51が突設してあって、各受動ピン51はカム4の軸部41に軸線方向に沿って穿設された少くも1つの長孔46を各別に貫通させてあり、その先端部は後述の作動部材8に可動な状態で係合させてある。
【0019】
前記の受動ピン51と長孔46の各組はクラッチ片5の長さ方向(軸線方向)の移動の範囲を制限するストッパの役割も果たす。
【0020】
図示例の3本の受動ピン51はそれらと対応する後述の作動部材8における作動部84の形状や位置の関係で適当な角度を隔ててクラッチ片5に植設されている。
【0021】
また、前記クラッチ片5の長さ方向の内端側には例えば円柱形をなすばね受け孔52が形成してあり、また、クラッチ5の外端側にはサムターンの角軸その他の非円形軸6が嵌め外しできるようにした角孔その他の非円形の嵌め孔53が形成してある。
【0022】
そして、クラッチ片5のばね受け孔52とカム4の連係孔43内に固設したばね止めピン47との間には付勢手段としての圧縮コイルばね7が装着してあり、この圧縮コイルばねの弾力によりクラッチ片5は結合位置に向け(図3で左方に向け)付勢されている。
【0023】
図3に明示する常態(本発明の防犯装置の非作動状態)においては、該クラッチ片5は左方の結合位置にあってカム4の軸部41とサムターン軸6とを回動方向に関し一体的に連結させている。
【0024】
一方、前記のクラッチ片5を結合位置と非結合位置の間で移動変位させるための作動部材8は、錠箱1内で例えば符号85で示す適当な案内手段等により案内されて水平方向(前後方向)に摺動変位できるように設けてある。
【0025】
その作動部材8は、図1、図4及び図5に示すように、例えば1枚の板材を折り曲げて横長に形成してあり、一端側(前端側)にはフロント板11に設けた開口部分14を常態において封ずることができるように箱形に折り曲げた頭部81を有し、他端側には呼び付けボルトを貫通させるため錠箱1に固定させたスリーブ9及びカム4の軸部51を逃がすためにU字状に形成した脚部82、82を有する。
【0026】
図示の作動部材8において、符号83は操作する人が指を差し込むための操作穴を示し、また、符号84は、上記受動ピン51を介してクラッチ片5を変位させるために、各脚部82の長さ方向の中央部を内向きの山形に折り曲げて形成した作動部を示している。
【0027】
作動部材8の案内手段を更に具体的に述べれば、図示例においては、作動部材8に設けた案内長孔と錠箱1に固設したピンの組から成る案内手段85並びに作動部材8の対を成す脚部82、82の内側辺をカム4の胴部(軸部)41に摺接させた案内手段が用いられているが、他の周知の案内手段を用いてもよいことは言うまでもない。
【0028】
また、図示の作動部材8では、その頭部81に設けた操作穴83に指を差し込んで該作動部材8を直接操作するようにしてあるが、フロント板11の開口部分14に切換スイッチ又は押釦等を設け、その操作部片に作動部材8を連係させるなどして該操作部材8を間接的に操作するようにしてもよい。
【0029】
次に、この発明に係る防犯装置の作用を図示例に基いて説明する。
図1及び図3はいずれも本装置の非作動状態である常態を示しており、作動部材8は前方の位置にあり、また、クラッチ片5は付勢手段7で押されて結合位置(図3で左方の位置)を占めている。
【0030】
従って、クラッチ片5の室内側の端部は非円形の嵌め孔53をもって非円形のサムターン軸6に嵌め合わされているので、カム4の軸部41及びサムターン軸6は回転方向に関しては一体的に結合されており、この状態では、従来の本締り錠と同様施解錠はサムターン及びシリンダ錠に差し込んだ鍵のいずれによっても行うことができる。
【0031】
本発明に係る防犯装置を作動状態にするためには、図5に示すように、扉10を開放させた上でフロント板11の開口部分14を通じて作動部材8の前端部に指を掛け該作動部材8を矢印Aのように押し込む。
【0032】
この際、作動部材8の山形をなす作動部84が、図7に示すように、作動ピン51の少くも1本に摺接して、その作動ピン51をそれが固設されたクラッチ片5と共に図7で右方の非結合位置に付勢手段7の付勢力に抗して押し込むので、クラッチ片5の嵌め孔53とサムターン軸6との結合状態(嵌まり合い)が解除される。
【0033】
この作動状態では、サムターン軸6とカム4の軸部41との間の連結状態が断たれるので、室内側のサムターンを手で回してもそれが空回りすることになり、サムターンによる施解錠は不能となる。
【0034】
しかしながら、居住者等は外出に際し室外側のシリンダ錠に差し込んだ鍵でカム4を所定角度(例えば90°)回動させることにより施錠することができ(図6参照)、また、帰宅時には同様にして解錠できることは勿論である。
【0035】
なお、この作動状態では、図5に示すように、時計盤面に換算して12時と6時の角度位置にある受動ピン51、51が先ず作動部材の作動部84に乗り上がる。
【0036】
この状態でシリンダ錠に差込んだ鍵でカム4を90゜回動させると、図6に示すように、これらの受動ピン51、51は作動部材8との係合から外れてしまい、通常ならば付勢手段7の弾力によってクラッチ片5は図3に示すサムターン軸6との結合位置に戻ってしまう。
【0037】
しかしながら、図示の実施例では、図5に示すように時計盤面に換算して4時半の角度位置にもう1本受動ピン51が植設されており、カム4を90゜回動させたときにこの受動ピン51が作動部材の作動部84に乗り上がるので、作動状態は保たれる。
【0038】
この余分の受動ピン51は、カム4の特定の作動角度に応じて付設されたもので、カム4の作動角度が例えば45゜の錠機構では必要ではないことは明らかで、本発明の必須の構成要素ではない。
【0039】
一方、居住者等が外出中、窃盗等を目的とする者が、扉自体又は扉の近傍に設けた窓ガラスを割ってその穴から手を差し込んでサムターンを回動しようとしても、サムターン軸6は前述の通り空回りするだけなので、サムターンによる不正解錠は不能である。
【0040】
なお、居住者等が外出から戻り、この防犯装置を非作動状態である常態に戻すには、扉10を開放させた状態において後方位置に押し込んだ作動部材8をフロント板11の開口部分14を通じて前方位置に引き出せば良い。
【0041】
その際、非結合状態を占めていたクラッチ片5は付勢手段5の付勢力により当初の結合位置に復帰することになり、カム4の軸部41及びサムターン軸6は回転方向に関しクラッチ片5を介して再び一体的に連結されることになる(図1及び図3参照)。
【0042】
【発明の効果】
以上に説明したこの発明に係る本締り錠における防犯装置によれば、扉自体又はその近傍に設けられた窓ガラスを破って、そこから手を差し込んでサムターンを回動操作しようとしても、居住者等は外出に際しサムターン軸をカムに対し空転させるようにすることができるので、サムターンによる不正解錠を防止するに極めて有効である。
【0043】
また、この発明の防犯装置の作動状態は扉を開放させない限り解除することができないので、防犯上高度の安全性が保てるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の本締り錠における防犯装置の実施例を非作動状態で示す図で、(A)は正面図、(B)は部分縦断側面図である。
【図2】図1の実施例から取り外したカム、クラッチ片及び内蔵された圧縮コイルばねの組立体を示す側面図。
【図3】図1(B)のIII−III線による横断部分背面図。
【図4】図1の実施例から取り外した作動部材を示す図で、(A)は側面図、(B)は平面図である。
【図5】図1の実施例を作動状態とし、かつ解錠状態で示す部分縦断側面図である。
【図6】図1の実施例を作動状態とし、かつ施錠状態で示す部分縦断側面図である。
【図7】図5及び図6のVII−VII線による共通の横断部分背面図である。
【符号の説明】
10 扉
1 錠箱
11 フロント板
14 開口部分
3 デッドボルト
4 カム
41 軸部
5 クラッチ片
6 サムターン軸
7 付勢手段
8 作動部材
Claims (1)
- 扉に取り付けられる錠箱内に設けられたデッドボルトをフロント板から出没させるために、室内側のサムターン又は室外側のシリンダ錠で回動操作できるように錠箱に回動可能に支承させたカムを該デッドボルトに係合させて成る本締り錠において、前記カムの軸部とサムターン軸との間を結合状態又は非結合状態とするために、カムの軸部とサムターン軸との間に軸線方向にのみ可動のクラッチ片を装着し、クラッチ片は常態でカムの軸部とサムターン軸とが結合された状態となるように結合位置に向け付勢してあり、更に、前記クラッチ片を結合位置又は非結合位置を占めるようにするために、錠箱内に水平方向に移動可能で、山形をなす作動部をクラッチ片に係合させた作動部材を設け、扉に装着されたガラスを破壊することにより室内側のサムターンを不正に操作することを防止するため、その作動部材の一端は手指で直接又は間接的に操作することができるようにフロント板に設けた開口部分に臨ませると共に、他端側は前記作動部を介してクラッチ片に連係させたことを特徴とする本締り錠における防犯装置。
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JP02283698A JP4150766B2 (ja) | 1998-01-20 | 1998-01-20 | 本締り錠における防犯装置 |
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