JP4148850B2 - 空気調和装置 - Google Patents

Description

本発明は、室内の壁面に設置されて室内を空調する空気調和装置に関し、特に前面パネルに吹出し口と風向変更用のフラップとを設けてなる空気調和装置に関する。

従来一般に、この種の空気調和装置では、空気調和機本体の前面部に、吸込み格子にて形成される吸込み口を設けた前面パネルが、開閉自在或いは着脱可能に取り付けられ、一方、空気調和機本体の下部には空調用空気を被調和室に吹出す吹出し口が設けられ、そして、この吹出し口には、吹出し空気の風向を上下方向に変更する水平フラップが設けられている（特許文献１参照）。

ところで、特許出願人は、吹出し口及びこの吹出し口に設けられるモータ駆動の水平フラップを、空気調和機本体側では無く、この本体に開閉自在或いは着脱可能に取り付けられる前面パネルの下部に備えた構成の空気調和装置の開発を試みた。

このものでは、前面パネルに、吹出し口と、この吹出し口に設けられたフラップと、このフラップを駆動するフラップ駆動用ギアとを設け、一方、空気調和機本体にはフラップ駆動用のモータと、前面パネル側のフラップ駆動用ギアに噛み合うモータギアとを設けた構成としている。そして、この構成のものでは、前面パネルを本体側に閉じた場合、その押しつける力によって、前記フラップ駆動用ギアと、前記モータギアとを嵌合させる構成を採用した。
特開２００３−１３０４４０号公報

しかし、上述の構成では、前面パネルを完全に閉じたとしても、例えばフラップの動作反力等によって、前面パネルが空気調和機本体から浮き上がり、フラップ駆動用ギアと、モータギアとの嵌合状態が浅くなり、フラップの動作不良につながる心配があった。

また、空気調和機本体から前面パネルが取り外された場合、各ギアの係合が解除されるため、前面パネルを移動させるときなど、フラップが不必要に動き、特に、前面パネルを空気調和機本体に取り付けるとき、フラップの動きが邪魔をして、前面パネルを取り付けにくいといった課題があった。

そこで、本発明の目的は、上述した先行技術が有する課題を解消し、フラップ駆動用ギアと、モータギアとの嵌合状態を十分に確保することができ、一旦、前面パネルが取り外された場合に、フラップが不必要に動くことが無い、空気調和装置を提供することにある。

請求項１に記載の発明は、熱交換器及び送風機を収納した空気調和機本体と、この空気調和機本体の前面部に開閉自在に取り付けられる前面パネルとを備えた空気調和装置において、前記前面パネルは、吹出し口と、この吹出し口に設けられた風向変更用のフラップと、このフラップを駆動するためのフラップ駆動用ギアとを備え、前記空気調和機本体は、前面パネルのフラップ駆動用ギアに噛み合うモータギアを備え、前記フラップ駆動用ギアとモータギアとを噛み合せた状態において、前記フラップ駆動用ギアの軸芯と、前記モータギアの軸芯との間の距離を略一定に保持する保持機構を設けるとともに、前記前面パネルには、この前面パネルが前記空気調和機本体から取り外された場合、前記フラップ駆動用ギアに係合して、前記フラップの動きを規制する規制手段が設けられていることを特徴とする。

請求項２に記載の発明は、請求項４に記載の空気調和装置において、前記規制手段は、規制用ギアであることを特徴とする。

請求項３に記載の発明は、請求項５に記載の空気調和装置において、前記規制用ギアを前記フラップ駆動用ギアへの係合側に付勢する付勢部材を備え、前記前面パネルが前記空気調和機本体に取り付けられた場合、この付勢部材による付勢を解除して、前記規制用ギアを前記フラップ駆動用ギアから離間させる解除手段を備えたことを特徴とする。

請求項４に記載の発明は、請求項６に記載の空気調和装置において、前記解除手段が、前記空気調和機本体に形成された当接部材であり、前記前面パネルが前記空気調和機本体に取り付けられた場合、この当接部材が前記付勢部材を押動し、この付勢部材による付勢を解除して前記規制用ギアを前記フラップ駆動用ギアから離間させることを特徴とする。

本発明では、前面パネル側のフラップ駆動用ギアと空気調和機本体側のモータギアとを噛み合せた状態において、前記フラップ駆動用ギアの軸芯と、前記モータギアの軸芯との間の距離を略一定に保持する保持機構を設けた構成としたので、フラップ駆動用ギアと、モータギアとの嵌合状態を十分に深く確保することができ、モータギアの駆動力が確実にフラップへ伝達され、因って、フラップの駆動を良好に行うことができる。

以下、本発明の一実施例を添付した図面を参照して説明すると、図１は、壁掛け型の空気調和装置の断面図であり、この壁掛け型の空気調和装置１００は、空気調和装置本体１と、前面パネル３と、フィルター構造の天面部材５とを備えて構成されている。また、空気調和装置本体１は、熱交換器７と、クロスフローファン（送風機）９と、ドレンパン１１と、風向を左右方向へ変更するための複数の縦羽根１３Ａと、空気清浄器１９等を備えて構成されている。

図２は、壁掛け型の空気調和装置１００の斜視図である。この空気調和装置１００は、図３〜図５に示す構成体を、その順番に重ね合わせて構成されている。すなわち、図３にて、１５はフレームを示し、このフレーム１５に対し、上述した熱交換器７、送風機９、ドレンパン１１及び縦羽根１３Ａが支持され、その上に図４に示すグリル１７が重ね合わされる。

これを重ね合わせる場合、まず、グリル１７の上縁部から後方に突出する３つの凸体１７Ａを、フレーム１５の凹部１５Ａ（図３参照）に嵌合し、グリル１７の下縁部のねじ孔１７Ｂに、フレーム１５まで貫通するねじを通して固定する。このグリル１７には、空気清浄器１９等が支持され、その上に、図５に示す前面パネル３と、天面部材５とが重ね合わされる。

これを重ね合わせる場合、前面パネル３を両手でつかみ、天面部材５がグリル１７の天面部１７Ｃ（図４参照）に乗る位置まで、前面パネル３を運び、そこから前面パネル３をグリル１７側に押し込む。すると、前面パネル３の裏側に形成された一対の凸部３Ａ（図８参照）が、グリル１７の係止部１７Ｄ（図４参照）に係止され、その後、前面パネル３の下縁部に設けられたロック機構（後述する）をスライドさせることで、グリル１７の上に前面パネル３と天面部材５とが重ね合わされ、図２に示す壁掛け型の空気調和装置１００が構成される。前面パネル３には、風向を上下方向へ変更するための水平方向に設けられたフラップ１３等が支持される。なお、図３と図４の構成によって、空気調和機本体１が構成されている。本構成では、図５に示すように、前面パネル３と天面部材５とが一体に連結され、この状態で、前面パネル３と天面部材５は、空気調和機本体１に開閉自在に、かつ、着脱可能に取り付けられる。

上記の構成では、図６に示すように、前面パネル３が吹出し口（フラップ１３が存在する部分）と、この吹出し口に設けられたフラップ１３と、このフラップ１３を駆動するためのフラップ駆動用ギア２１とを備えて構成され、図７に示すように、フラップ駆動用ギア２１に噛み合うモータギア２３が、本体１側の所定位置に設けられている。

そして、ロック機構（後述する）をスライドさせて、前面パネル３を完全に閉じた場合、図８に示すように、前面パネル３の押圧力によってフラップ駆動用ギア２１と本体１側のモータギア２３とが係合し、フラップ駆動用モータ２５（図７）の駆動力がフラップ１３に伝導される。

ただし、前面パネル３を完全に閉じたとしても、例えば、フラップ１３の動作反力等によって、前面パネル３が空気調和機本体１から浮き上がる場合がある。この場合、フラップ駆動用ギア２１とモータギア２３の嵌合が浅くなり、フラップ１３の動作不良を生じる恐れがある。

本実施例では、図９に示すように、前面パネル３を閉じた場合、フラップ駆動用ギア２１の軸芯と、モータギア２３の軸芯との間の距離Ｌ（図８）を略一定に保持する保持機構２７を備えて構成される。

前記保持機構２７は、保持プレート２９を備えている。そして、この保持プレート２９には、フラップ駆動用ギア２１に対応した軸芯ピン２１Ａ（図１０）が嵌合する第一孔２９Ａと、モータギア２３に対応した軸芯ピン２３Ａ（図７）が嵌合する第二孔２９Ｂとを設けている。この構成では、軸芯ピン２１Ａ（図１０）が、フラップ軸７１に固定されたプレート２１Ｂに形成され、軸芯ピン２３Ａ（図７）が、空気調和装置本体１に固定されたプレート２３Ｂに形成され、各ピン２１Ａ，２３Ａ間の距離が、フラップ駆動用ギア２１の軸芯と、モータギア２３の軸芯との間の距離Ｌ（図８）に対応している。

図９に示すように、前記保持プレート２９は、ロック機構６１の一部を構成し、このロック機構６１は、保持プレート２９の他に、この保持プレート２９の台座６２とスライド板６３とレバー６４とを備えている。この構成では、スライド板６３とレバー６４とが、前面パネル３の下縁部の表面に突出し、前面パネル３を閉じて、ロック機構６１のレバー６４を矢印Ａ方向に移動させると、これと一体にスライド板６３が矢印Ａ方向に移動することにより、このスライド板６３の一部が本体１の適所に係合し、それによって、前面パネル３が空気調和機本体１の前面部に安定的に固定保持される。

そして、前面パネル３が空気調和機本体１の前面部に固定されると同時に、保持プレート２９の第一孔２９Ａに、フラップ駆動用ギア２１に対応した軸芯ピン２１Ａが嵌合し、第二孔２９Ｂにモータギア２３に対応した軸芯ピン２３Ａが嵌合する。これによれば、前面パネル３を閉じた状態において、フラップ駆動用ギア２１の軸芯と、モータギア２３の軸芯との間の距離Ｌが一定に保持され、例えば、フラップ１３の動作反力等によって、前面パネル３が空気調和機本体１から浮き上がったとしても、軸芯間の距離Ｌは変化せず、フラップ駆動用ギア２１とモータギア２３との嵌合が保持される。

また、前面パネル３を空気調和機本体１から取り外す場合、ロック機構６１のレバー６４を矢印Ｂ方向に移動する。これによれば、スライド板６３が矢印Ｂ方向に移動し、このスライド板６３のロック状態が解除され、前記保持プレート２９の第一孔２９Ａ及び第二孔２９Ｂから、フラップ駆動用ギア２１に対応した軸芯ピン２１Ａ及びモータギア２３に対応した軸芯ピン２３Ａが抜け出し、前面パネル３と空気調和機本体１との連結が解除される。

図１０は、フラップ駆動用ギア２１を拡大して示す図、図１１は、同じくフラップ駆動用ギア２１を拡大して示す図である。

前記フラップ駆動用ギア２１は、フラップ軸７１に固定され、このフラップ軸７１は軸受けカバー７２のＶ溝７２Ａに保持されている。この軸受けカバー７２には、規制板７３がスライド自在に保持され、この規制板７３は、ばね７４を介してフラップ駆動用ギア２１側に付勢され、前面パネル３が空気調和機本体１から取り外された場合、規制板７３の規制用ギア（規制手段）７３Ａがフラップ駆動用ギア２１に係合し、フラップ１３の回動が規制される。

また、前面パネル３が本体１から取り外された場合、前記規制用ギア（規制手段）７３Ａがなければ、前面パネル３を移動させるとき等に、前記フラップ１３が不必要に動き、特に、前面パネル３を空気調和機本体１に取り付けるとき、フラップ１３の動きが邪魔をして、前面パネル３が取り付けにくいものとなる。

本構成では、前面パネル３が本体１から取り外された場合、規制用ギア７３Ａがフラップ駆動用ギア２１に係合し、フラップ１３の動きが規制されるため、フラップ１３が不必要に動かないようにできる。

一方、前面パネル３が空気調和機本体１に取り付けられた場合、図８に示すように、空気調和機本体１に形成された当接部材（解除手段）７５に、規制板７３が当接し、この規制板７３がばね（付勢部材）７４のばね力に抗して後退し、ばね７４による付勢力が解除され、規制用ギア７３Ａが、フラップ駆動用ギア２１から離間する。これにより、フラップ駆動用ギア２１と本体１側のモータギア２３とが係合し、モータ２５の駆動力がフラップ１３に伝達される。

図１２は、前面パネル３とフィルター構造の天面部材５を折り畳んだ状態を示す。このように、前面パネル３と天面部材５とは折り畳み自在であるから、清掃時には、空気調和機本体１から取り外した後、折り畳んだ状態で、清掃場所、例えば浴室等に簡単に運ぶことができる。

また、前面パネル３と天面部材５を折り畳んで、これを小脇に抱えて運ぶ場合、図１２に示すように、手をかける凹部５１が、前面パネル３の下縁部略中央に形成されている。この凹部５１は、図２に示すように、本体側に固定された表示部５３を正面に露出させる凹部を兼ねている。この凹部５１に手をかけて運ぶことによって、極めて容易に運搬することができる。

この場合、本実施例では、規制用ギア７３Ａがフラップ駆動用ギア２１に係合し、フラップ１３の動きが規制されるため、フラップ１３が不必要に動くことがなく、運搬を容易となせる。

以上、一実施例に基づいて、本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものでないことは明らかである。上記実施例では、前面パネル３及び天面部材５が一体に連結されていたが、それらが連結されていない構成であっても適用可能である。

本発明による壁掛け型空気調和装置の一実施例を示す断面図である。 同じく斜視図である。 フレームを示す斜視図である。 グリルを示す斜視図である。 前面パネル及び天面部材を示す斜視図である。 前面パネルの裏面を示す斜視図である。 フラップ駆動用モータの取付状態を示す斜視図である。 フラップ駆動用ギアとモータギアとの係合状態を示す断面図である。 保持機構を示す斜視図である。 フラップ駆動用ギア部分を拡大して示す図である。 同じく駆動用ギア部分を拡大して示す図である。 前面パネルと天面部材を折り畳んだ状態を示す図である。

符号の説明

１ 空気調和機本体
３ 前面パネル
５ 天面部材
７ 熱交換器
９ クロスフローファン（送風機）
１３ フラップ
２１ フラップ駆動用ギア
２３ モータギア
２７ 保持機構
２９ 保持プレート
２９Ａ 第一孔
２９Ｂ 第二孔
６１ ロック機構

Claims (4)

1. 熱交換器及び送風機を収納した空気調和機本体と、この空気調和機本体の前面部に開閉自在に取り付けられる前面パネルとを備えた空気調和装置において、
   前記前面パネルは、吹出し口と、この吹出し口に設けられた風向変更用のフラップと、このフラップを駆動するためのフラップ駆動用ギアとを備え、
   前記空気調和機本体は、前記前面パネルの前記フラップ駆動用ギアに噛み合うモータギアを備え、
   前記フラップ駆動用ギアと前記モータギアとを噛み合せた状態において、前記フラップ駆動用ギアの軸芯と、前記モータギアの軸芯との間の距離を略一定に保持する保持機構を設けると共に、前記前面パネルには、この前面パネルが前記空気調和機本体から取り外された場合、前記フラップ駆動用ギアに係合して、前記フラップの動きを規制する規制手段が設けられていることを特徴とする空気調和装置。
2. 前記規制手段は、規制用ギアであることを特徴とする請求項１に記載の空気調和装置。
3. 前記規制用ギアを前記フラップ駆動用ギアへの係合側に付勢する付勢部材を備え、前記前面パネルが前記空気調和機本体に取り付けられた場合、この付勢部材による付勢を解除して、前記規制用ギアを前記フラップ駆動用ギアから離間させる解除手段を備えたことを特徴とする請求項２に記載の空気調和装置。
4. 前記解除手段が、前記空気調和機本体に形成された当接部材であり、前記前面パネルが前記空気調和機本体に取り付けられた場合、この当接部材が前記付勢部材を押動し、この付勢部材による付勢を解除して前記規制用ギアを前記フラップ駆動用ギアから離間させることを特徴とする請求項３に記載の空気調和装置。

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