JP4148402B2 - Cvdによるカーボン皮膜の選択的形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、CVDによるカーボン含有皮膜の選択的形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ダイヤモンドライクカーボン、アモルファスカーボン、iカーボン等と呼ばれる炭素原子を主体とする皮膜(カーボン含有皮膜)は、最も一般的にはイオン化蒸着法を用いて形成される。
【0003】
この場合、より具体的には、高真空中でメタンやベンゼン等の炭化水素をプラズマ放電によりイオン化し、このイオン(炭素原子イオンや炭素分子イオン)を基体(皮膜形成対象物)に印加した負のバイアス電圧により加速してその基体に衝突させ、その基体上にカーボン含有皮膜を形成している。
【0004】
このようにして形成されたカーボン含有皮膜は、ビッカース硬さがHv2000〜4000と充分な硬さを有し、電気抵抗が106〜1012Ω・cmと大きく、赤外線領域での透光性があり、かつ、高屈折率等の性質がある。さらに、このカーボン含有皮膜の結晶構造は非晶質(アモルファス)であるため、結晶粒界を持たずに摩擦係数が極めて小さい等の特徴がある。
【0005】
しかしながら、このような優れた特徴を持つ反面、カーボン含有皮膜を形成する際にかけた電界の影響によってカーボン含有皮膜中には圧縮残留応力が大きくなり、基体に対するカーボン含有皮膜の付着力が低くなる。さらに、大きな圧縮残留応力が存在して基体に対するカーボン含有皮膜の付着力が低くなっていることにより、高温時の熱膨張によってカーボン含有皮膜が基体から剥がれやすくなり、高温に対して弱くなる。
【0006】
このような欠点をなくすため、従来から、スパッタリング、電子ビーム蒸着、アーク放電等を利用して、基体に対する付着力が高く、耐熱性のあるカーボン含有皮膜の形成が行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−273621公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらのスパッタリング、電子ビーム蒸着、アーク放電等を利用したカーボン含有皮膜の形成は、いずれも、減圧真空下で操作がなされ、一方向に飛来する炭素原子や炭素分子を基体で受け止めるため、3次元的な面に対して均一な膜厚のカーボン含有皮膜を形成することは困難である。
【0009】
本発明の目的は、充分な硬さを有し、基体に対して高い付着力を有し、摩擦係数が小さく、3次元的に均一な膜厚のカーボン含有皮膜を、CVD(化学蒸着)法により、基体の表面の必要な箇所に選択的に形成することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明のCVDによるカーボン皮膜の選択的形成方法は、ジピバロイルメタン及びジピバロイルメタネート配位子を含有する化合物からなる群のうちの一つ以上の成分からなる原料に対してエネルギーを供給することにより前記原料を分解し、分解された前記原料を表面の材質が部分的に異なる基体に対してその材質に応じた被着効率の差を利用して選択的に蒸着させるようにした。
【0011】
ここで、「原料を分解する」とは、原料が熱、光、電磁波等のエネルギーを供給され、炭素と結合している水素が取り除かれることを意味する。
【0012】
「熱により分解する」とは、その一例として、原料をガス化させて原料ガスとし、この原料ガスを加熱した基体に接触させ、基体から熱エネルギーを受けて分解する場合が挙げられる。
【0013】
「光により分解する」とは、その一例として、原料をガス化させて原料ガスとし、この原料ガスに赤外線(又は紫外線)を照射して赤外線エネルギー(又は紫外線エネルギー)を吸収させて分解する場合が挙げられる。
【0014】
「電磁波により分解する」とは、その一例として、原料をガス化させて原料ガスとし、この原料ガスの近傍で高周波電界をかけてプラズマを発生させ、そこで発生した電子や紫外線やラジカル分子によって原料ガスを分解する場合が挙げられる。
【0015】
「被着効率」とは、基体へのカーボン皮膜の形成時に、カーボン皮膜が形成され易いか否かであり、「被着効率が低い」とはカーボン皮膜が形成されにくいことを意味し、「被着効率が高い」とはカーボン皮膜が形成され易いことを意味する。
【0016】
したがって、エネルギーの供給により分解された炭素が基体に蒸着することにより基体上にカーボン皮膜が形成される。このカーボン皮膜は、ビッカース硬さがHv2000以上の充分な硬さを有し、基体に対する高い付着力を有し、摩擦係数が0.1以下と小さく、3次元的に均一な膜厚となる。さらに、このカーボン皮膜が形成される基体は表面の材質が部分的に異なり、カーボン皮膜はその材質に応じた被着効率の差を利用して基体の表面に選択的に形成されるので、上述した特徴を有するカーボン皮膜が、基体の表面の必要な箇所に選択的に形成される。
【0017】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明のCVDによるカーボン皮膜の選択的形成方法において、前記基体は、カーボン皮膜の被着効率を低下させる部分に金属酸化物と窒化物と弗化物とのいずれかを用い、カーボン皮膜の被着効率を向上させる部分に金属を用いている。
【0018】
ここで、カーボン皮膜の被着率は、金属では高く、金属酸化物、窒化物、弗化物では低いという性質がある。
【0019】
したがって、カーボン皮膜を、基体における金属を用いた部分にのみ選択的に形成することができる。
【0020】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明のCVDによるカーボン皮膜の選択的形成方法において、前記基体が金属酸化物と窒化物と弗化物とのいずれかで形成され、前記基体におけるカーボン皮膜の被着率を向上させる部分の表面に金属層が形成されている。
【0021】
ここで、金属酸化物と窒化物と弗化物とのいずれかで形成された基体の表面への金属層の形成は、スパッタリング法、蒸着法、メッキ法等で行うことができる。
【0022】
したがって、基体が金属酸化物と窒化物と弗化物とのいずれかで形成されている場合でも、その基体の表面に金属層を形成することにより、基体における金属層の部分に対して選択的にカーボン皮膜を形成することができる。
【0023】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明のCVDによるカーボン皮膜の選択的形成方法において、前記基体が金属で形成され、前記基体におけるカーボン皮膜の被着率を低下させる部分の表面に金属酸化物と窒化物と弗化物とのいずれかの層が形成されている。
【0024】
ここで、金属で形成されている基体の表面への金属酸化物、窒化物、弗化物のいずれかの層の形成は、スパッタリング法、蒸着法、レーザーアブレーション法、CVD法、MBE(分子線エピタキシャル成長)法等で行うことができる。
【0025】
したがって、基体が金属で形成されている場合でも、その基体の表面に金属酸化物と窒化物と弗化物とのいずれかの層を形成することにより、基体における金属酸化物、窒化物、弗化物の層が形成されていない部分に対して選択的にカーボン皮膜を形成することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。基体1として、アルミニウム製の円柱体を準備する。この基体1は、直径が12mm、長さが55mmで、側面は鏡面に仕上げられている。また、アルミニウム母材は、加工前に予め500℃で焼きなまし工程が行われている。
【0027】
基体1を、図1に示すように電子ビーム蒸着器2に入れ、基体1の側面にSiNx膜を均一に蒸着できるように自公転器具3に取付ける。電子ビーム蒸着器2内の真空度は1.3×10−4(Pa)以下とし、蒸着源4として純度99.0%でサイズが10×10×t5mmのSi3N4を用いた。蒸着は、電子ビームによる加熱によって実施した。加熱温度は約1900℃として、蒸着レートは約0.25nm/秒とした。なお、「SiNx」の表記は、蒸着源4のSi3N4から蒸着された皮膜に若干の組成のずれが発生することを考慮したものである。基体1の側面に形成されたSiNx膜5の厚みを、約100±20nmとした。
【0028】
つぎに、側面にSiNx膜5が形成された基体1を、図2に示すようにレジスト液6に浸漬させ、その後95℃でプリベークすることによりレジスト膜7を形成した。レジスト膜7は0.6μmの厚さに形成した。
【0029】
レジスト膜7が形成された基体1の側面に対し、図4に示すように、スリット8が形成されたスリット板9を用いて紫外線を露光し、現像を行った。スリット8のサイズは、幅100μm、長さが36mmである。
【0030】
上記の露光、現像により、図5に示すように、基体1の側面では、中央部でSiNx膜5が露出し、その両端側にはレジスト膜(レジストパターン)7が残存した状態となる。
【0031】
つぎに、レジスト膜(レジストパターン)7を形成した基体1に対し、図6に示すように、平行平板型のPCVD装置10にてガスエッチングを行った。使用したガスは、SF6である。平板間隔は約30mmであり、このため、基体1は横置き保持治具11で固定した。ガスエッチングのためのRFパワーは100W(平行平板のサイズはφ27cm)、エッチング時間は7分間である。ガスエッチングにより、露出しているSiNx膜5が除去され、アルミニウムが露出する。エッチング終了後、基体1の両端側のレジスト膜7を除去するために、アセトン及びイソプロピルアルコールにて洗浄し、その後乾燥させた。これにより、基体1は図7に示すように、側面の中央部でアルミニウムが露出し、その両端側ではSiNx膜5が残存した状態となる。
【0032】
図7に示したように、側面の両端部にSiNx膜5が形成された基体1に対し、図8に示したCVD成膜装置12を用いてカーボン含有皮膜の形成を行った。このCVD成膜装置12は、皮膜成長容器13、窒素ガス供給部14、酸素ガス供給部15とを有し、窒素ガス供給部14と皮膜成長容器13とが接続管16により接続され、酸素ガス供給部15と皮膜成長容器13とが接続管17により接続されている。
【0033】
皮膜成長容器13内には、圧力調整バルブ18、基体加熱ヒータ19、加熱ボート20が配置されている。
【0034】
圧力調整バルブ18は、排気ポンプ(図示せず)と連動して皮膜成長容器13内の圧力を調整する。
【0035】
基体加熱ヒータ19には、カーボン含有皮膜が形成される基体1が取付けられる。
【0036】
加熱ボート20は、アルミナるつぼ21とアルミナるつぼ21に巻回されたタングステンフィラメント22とにより構成されている。アルミナるつぼ21にカーボン含有皮膜原料23を入れ、タングステンフィラメント22に通電することにより、そのカーボン含有皮膜原料23が原料ガスとなる。
【0037】
窒素ガス供給部14から皮膜成長容器13へは窒素ガスが供給され、酸素ガス供給部15から皮膜成長容器13内へは酸素ガスが供給される。
【0038】
このような構成において、基体1へのカーボン含有皮膜の形成工程について説明する。まず、図7に示したように、側面の両端側にSiNx膜5が形成されて側面の中央部にアルミニウムが露出されている基体1を基体加熱ヒータ19に取付け、アルミナるつぼ21にカーボン含有皮膜原料23としてビスディピバロイルメタネートジンク(Zn(C11H19O2)2:以下、DPM2Znと表記する)を0.25g投入し、皮膜成長容器13内を10−4(Pa)まで減圧する。
【0039】
その後、タングステンフィラメント22に通電して150℃で加熱し、DPM2Znを固体粉末状態から昇華させて原料ガスを発生させる。同時に、皮膜成長容器13内へ窒素ガスを10sccm、酸素ガスを2.5sccmの流量で投入し、圧力調整バルブ18の開度調節によって皮膜成長容器13内を10−3(Pa)の一定圧力とした。基体1は基体加熱ヒータ19により450℃まで加熱する。
【0040】
ここで、カーボン含有皮膜原料23であるDPM2Znは、その成分中に、ジピバロイルメタネート配位子[(CH3)3CCOCHCOC(CH3)3]を2つ含有したものである。
【0041】
また、皮膜成長容器13内に投入した窒素ガスと酸素ガスとは、カーボン含有皮膜を形成するために使用されるガスである。窒素ガスは、昇華したDPM2Znの気体(原料ガス)を拡散させる効果を有する。酸素ガスは、DPM2Znが気化することによりC−H結合から外れたHをH2Oとして安定化させる役割を担っていると推定される。
【0042】
上述した条件を50分継続した結果、基体1におけるアルミニウムが露出した部分にのみ90nmの厚みで、屈折率が2.4のカーボン含有皮膜が形成された。しかも、このカーボン含有皮膜は、基体1における加熱ボート20に対向する面のみではなく、3次元的に均一な膜厚に形成された。
【0043】
このカーボン含有皮膜を高倍率で顕微鏡観察した結果、カーボン含有皮膜には、基体1の母材であるアルミニウムとの熱膨張の差に伴うひずみによって生じたと思われるクラック状のすじが見られたが、そのすじの深さはカーボン含有皮膜の膜厚の半分以下であり、このクラックの発生に伴うカーボン含有皮膜の基体1からの剥離は一切見られなかった。即ち、カーボン含有皮膜の基体1への付着力が高いことが判明した。
【0044】
また、形成されたカーボン含有皮膜を蛍光X腺分析装置にて測定したところ、Znと思われるピークは検出されず、Znはカーボン含有皮膜中にも基体1との界面にも存在しないことが判明した。このことは、形成されたカーボン含有皮膜が、純粋にカーボンのみで形成された皮膜であることを意味している。
【0045】
また、形成されたカーボン含有皮膜をラマン分光法により測定した結果、その測定結果は図9に示すようになり、1330cm−1と1600cm−1付近にピークがあることを確認できた。ラマン分光法による測定結果として、1330cm−1付近にピークがあるということは、カーボン原子がsp3混成軌道を形成して結合していることを意味し、これは、カーボンがダイヤモンド結合している証となる。一方、1600cm−1付近にピークがあるということは、カーボン原子がsp2混成軌道を形成して結合していることを意味し、これは、カーボンがグラファイトのように六角形網目状に2次元的に広がって結合しているという証しとなる。ここでは、その両方のピークが出ており、1330cm−1のピークがやや優勢を示していることから、グラファイトよりダイヤモンドに近く、しかしながらダイヤモンドではないという皮膜になっていることを示している。
【0046】
形成されたカーボン含有皮膜の硬度は、ビッカース硬さがHv4200で、摩擦係数は0.1であった。
【0047】
一方、基体1の表面のSiNx膜5上には、カーボン含有皮膜は形成されなかった。このSiNx膜5が形成されている部分の屈折率を測定したところ、1.45で単層の薄膜であることが判明した。
【0048】
なお、本実施の形態では、基体1におけるカーボン含有皮膜の被着率を低下させる部分の表面に窒化物であるSiNx膜5を形成した場合を例に挙げて説明したが、SiNx膜5に代えて、カーボン含有皮膜の被着率が低い金属酸化物、弗化物の皮膜を形成した場合にも、同様の結果が得られた。
【0049】
また、本実施の形態では、母材としてアルミニウムを用いた基体1に対してSiNx膜5を形成した場合を例に挙げて説明したが、母材として金属酸化物、窒化物、弗化物を用いた基体の表面に部分的に金属層を形成した場合には、その金属層の部分にのみ選択的にカーボン含有皮膜を形成することができた。
【0050】
また、カーボン含有皮膜原料として他の原料を用いてカーボン含有皮膜の形成を行った。カーボン含有皮膜原料と形成されたカーボン含有皮膜の硬さ、付着力の強さ、摩擦係数、皮膜の形成方向は、以下の表1に示す結果となった。
【0051】
【表1】
【0052】
この表1に示す結果によれば、カーボン含有皮膜原料として、その成分中に、アセチルアセトン[CH3COCH2COCH3]、アセチルアセトナト配位子[CH3COCHCOCH3]、ジピバロイルメタン[(CH3)3CCOCH2COC(CH3)3]、ジピバロイルメタネート配位子[(CH3)3CCOCHCOC(CH3)3]及びβジケトンアニオン[(C 5 H7O2)1−]からなる群のうちの少なくとも一つ以上が含まれている場合には、ビッカース硬さがHv2000以上の充分な硬さを有し、基体に対する高い付着力を有し、摩擦係数が0.1以下と小さく、3次元的に均一な膜厚となるカーボン含有皮膜を形成できることが判明した。
【0053】
【発明の効果】
請求項1記載の発明のCVDによるカーボン皮膜の選択的形成方法によれば、ビッカース硬さがHv2000以上の充分な硬さを有し、基体に対する高い付着力を有し、摩擦係数が0.1以下と小さく、3次元的に均一な膜厚のカーボン皮膜を基体上に形成でき、しかも、このカーボン皮膜を表面の材質が部分的に異なる基体に対してその材質に応じた被着効率の差を利用して選択的に形成することができる。
【0054】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明のCVDによるカーボン皮膜の選択的形成方法において、前記基体は、カーボン皮膜の被着効率を低下させる部分に金属酸化物と窒化物と弗化物とのいずれかを用い、カーボン皮膜の被着効率を向上させる部分に金属を用いているので、カーボン皮膜を、基体における金属を用いた部分にのみ選択的に形成することができる。
【0055】
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明のCVDによるカーボン皮膜の選択的形成方法において、前記基体が金属酸化物と窒化物と弗化物とのいずれかで形成され、前記基体におけるカーボン皮膜の被着率を向上させる部分の表面に金属層が形成されているので、基体が金属酸化物と窒化物と弗化物とのいずれかで形成されている場合でも、その基体の表面に金属層を形成することにより、基体における金属層の部分に対して選択的にカーボン皮膜を形成することができる。
【0056】
請求項4記載の発明によれば、請求項2記載の発明のCVDによるカーボン皮膜の選択的形成方法において、前記基体が金属で形成され、前記基体におけるカーボン皮膜の被着率を低下させる部分の表面に金属酸化物と窒化物と弗化物とのいずれかの層が形成されているので、基体が金属で形成されている場合でも、その基体の表面に金属酸化物と窒化物と弗化物とのいずれかの層を形成することにより、基体における金属酸化物、窒化物、弗化物の層が形成されていない部分に対して選択的にカーボン皮膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における基体の表面へのSiNx膜の形成工程を説明する説明図である。
【図2】基体のSiNx膜の上にレジスト膜を形成する工程を説明する説明図である。
【図3】表面にレジスト膜が形成された基体を示す斜視図である。
【図4】基体に形成されたレジスト膜の露光工程を説明する説明図である。
【図5】レジスト膜の露光、現像処理が終了した基体を示す斜視図である。
【図6】基体上で露出しているSiNx膜のエッチング工程を説明する説明図である。
【図7】エッチング工程終了後に残存しているレジスト膜を除去した基体を示す斜視図である。
【図8】基体上にカーボン含有皮膜を形成するCVD装置を示す概略図である。
【図9】形成されたカーボン含有皮膜をラマン分光法により測定した結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 基体
23 カーボン含有皮膜原料
Claims (4)
- ジピバロイルメタン及びジピバロイルメタネート配位子を含有する化合物からなる群のうちの一つ以上の成分からなる原料に対してエネルギーを供給することにより前記原料を分解し、分解された前記原料を表面の材質が部分的に異なる基体に対してその材質に応じた被着効率の差を利用して選択的に蒸着させるようにしたCVDによるカーボン皮膜の選択的形成方法。
- 前記基体は、カーボン皮膜の被着効率を低下させる部分に金属酸化物と窒化物と弗化物とのいずれかを用い、カーボン皮膜の被着効率を向上させる部分に金属を用いている請求項1記載のCVDによるカーボン皮膜の選択的形成方法。
- 前記基体が金属酸化物と窒化物と弗化物とのいずれかで形成され、前記基体におけるカーボン皮膜の被着率を向上させる部分の表面に金属層が形成されている請求項2記載のCVDによるカーボン皮膜の選択的形成方法。
- 前記基体が金属で形成され、前記基体におけるカーボン皮膜の被着率を低下させる部分の表面に金属酸化物と窒化物と弗化物とのいずれかの層が形成されている請求項2記載のCVDによるカーボン皮膜の選択的形成方法。
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