JP4148149B2 - ディーゼルパティキュレートフィルタ及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、マイクロ波の照射により捕集された粒子状物質(PM)を燃焼除去してフィルタ機能を再生できるディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)及びその製造方法に関する。
誘電損失の大きい無機材料として、炭素(C)、炭化ケイ素(SiC)等が知られている。これらの材料は誘電損失が大きいという特性を有するために、マイクロ波の照射による誘電加熱が可能であり、この特徴を利用して、マイクロ波加熱、焼結の加熱源、オイルバス用ヒータ、マントルヒータ、及び、マイクロ波の照射により粒子状物質(PM)を再生できるディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)等への応用についての研究及び開発がなされている。
その一つとして、炭化ケイ素質の多孔体でDPFを形成すると共に、マイクロ波を発生するマグネトロンを設け、この多孔体にマイクロ波を照射して誘導加熱することにより、捕集されたPMを燃焼除去するDPFが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、マイクロ波に曝されると、フィルタの温度が時間の関数として約1,100℃近辺で、より好ましくは900℃〜1,000℃で平衡点に達するような、温度上昇と共に減少する誘電正接を有する、特定の耐火性酸化物セラミック材料から形成され、2.45GHzにおいて高い誘電正接を有する耐火性酸化物セラミック材料から形成されたマイクロ波吸収性フィルター本体を備えたDPFも提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、これらの炭化ケイ素や耐火性酸化物セラミック材料は、強度、靱性が低く熱衝撃性が低いため、構造材料としては扱い難いという問題がある。そのため、これらの材料で、マイクロ波の照射によりPMを再生できるDPF等を形成した場合には、構造的な強度が不足するという問題がある。例えば、炭化ケイ素材料は靱性と熱衝撃性が低く、炭素材料に至っては400℃以上の大気中では酸化して消失するため使用できない。
特開平6−17638号公報 特開2002−80271号公報
本発明の目的は、強度、靱性、熱衝撃性、耐熱性に優れる窒化ケイ素(Si3 4 )系セラミックスの母相(母材)中に鉄ケイ化物(FexSiy)を所定量分散させて、優れた機械的特性を維持しつつ、誘電損失を大きくした窒化ケイ素系セラミックス製のDPF及びその製造方法を提案することにある。
上記の目的を達成するためのディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)は、排気ガス中の粒子状物質(PM)を捕集し、電磁波により加熱して、捕集された粒子状物質を燃焼除去してフィルタ機能の再生を行うディーゼルパティキュレートフィルタにおいて、窒化ケイ素系セラミックスを基材とし、1kHz〜20GHzの範囲の少なくとも一つの周波数における比誘電率と誘電正接の積が0.01以上、3以下であり、且つ、電気抵抗率が1×108 Ω・m以上、1×1013Ω・m以下であるセラミックスで形成することを特徴として構成される。
この比誘電率ε’と誘電損失tanδの積は、誘電加熱時に加えたエネルギーが熱として失われる誘電損失Pに関係する値であり、この誘電損失Pは、比誘電率ε’と誘電損失tanδの積に比例する。
なお、比誘電率ε’、誘電正接tanδは、通常の一般的な測定方法で求めればよいが、例えば、次のようにして求めることができる。100kHz〜5MHzの周波数における比誘電率ε’及び誘電正接tanδは、φ20×tの試料表面に金の蒸着を行い、100nmの電極を形成して、インピーダンスアナライザーにより電極間の静電容量Cxを測定し、Sを電極面積、tを試料の厚さ、ε0を真空の誘電率、Ceを絶縁容量、Dを試料の直径(3端子法:D=(D1 +D2 )/2,2端子法:D=D1 ,D1 は主電極の直径、D2 はガード電極の内径)とした時の、ε’=(Cx−Ce)/C0,Ce=πD(0.029−0.581×log(t)),C0=ε0×S/t,S=(D2 )/4の式から、比誘電率ε’を算出する。また、誘電正接tanδはLCRメータ指示量である。なお、100kHzより下では3端子法で、100kHz以上では2端子法とする。また、5MHzを越える周波数ではJIS R1627(1996)「マイクロ波用ファインセラミックスの誘電特性の試験方法」に従う。
また、電気抵抗率ρに関しても、通常の一般的な測定方法で求めればよいが、例えば、次のようにして求めることができる。φ20×tの試料表面に金の蒸着を行い、100nmの電極を形成して、電気抵抗率測定装置を用いて、試料に直流電圧(V)を加え、1分間充電後のデジタル・エレクトロメータに流れる電流(I)を読み抵抗(R)を求めた後、Rと試料寸法とから算出する。
上記の構成のDPFを形成するセラミックスは、窒化ケイ素系セラミックスに、所定の周波数に関しての比誘電率と誘電正接の積が所定の範囲内で、且つ、電気抵抗率が所定の範囲内になるように形成すると、母材(マトリックス)の特性を活かしたまま高周波やマイクロ波により容易且つ均一に加熱でき、しかも、誘電加熱の制御が容易となるセラミックスとなるので、DPFは、高強度、高靱性、高耐熱衝撃性を有すると共に、マイクロ波の照射により容易にPMを燃焼除去してフィルタを再生できるDPFとなる。
そして、上記のDPFにおいて、前記セラミックスの基材中に、誘電加熱物質を2.5vol%以上、10vol%以下分散する。このような範囲内における誘電加熱物質の分散により、上記の比誘電率、誘電正接、電気抵抗率を得ることができる。つまり、セラミックス基材(母材:マトリクッス)中に、基材に比べて比誘電率、誘電損失が大きく高周波やマイクロ波の照射により容易に加熱できる誘電加熱物質を所定の範囲量内で分散させることにより、母材の特性を活かしたまま良好な誘電加熱性能を持たせることができる。また、誘電加熱物質の分散量をこの範囲内とすることにより、耐熱性、耐熱衝撃性を良好なものにすることができる。
なお、vol%は体積%を示し、100×(誘電加熱物質の体積)/(セラミックス基材の体積+誘電加熱物質の体積)であり、この誘電加熱物質の体積%測定方法としては、走査電子顕微鏡で撮影した試料の断面を画像解析処理にて誘電加熱物質の体積%を算出する方法等がある。
この誘電加熱物質として、少なくともFe(鉄)−Si(ケイ素)(FexSiy)系化合物を用いて形成することができる。つまり、強度や靱性等の機械的性質に優れた窒化ケイ素系セラミックスを基材とし、比誘電率、誘電損失が大きく、マイクロ波によって加熱可能なFe−Si系化合物である誘電加熱物質(誘電加熱粒子)を分散させることにより、温度制御性が良く早期に加熱可能なDPFとすることができる。また、Fe−Si系化合物を用いると、DPFに必要な特性である、高強度、耐熱性、耐熱衝撃性、及び、コストの点で有利となる。このFe−Si系化合物としてはFe5 Si3 が好ましく、このFe5 Si3 を焼結時に生成する誘電加熱物質生成成分としては、四酸化三鉄(Fe3 4 )がある。
また、その他の誘電加熱物質として、Fe(鉄)、Ti(チタン)、W(タングステン)、Ce(セリウム)のいずれか一つ又はその組み合わせとセラミックス基材含有成分との化合物を用いたりすることもできる。なお、セラミックス基材含有成分とは、セラミックス基材に含まれる成分であり、例えば、窒化ケイ素系セラミックスでは、窒化ケイ素(Si3 4 )、酸化アルミニウム(アルミナ:Al2 3 )、酸化イットリウム(Y2 3 )等である。
あるいは、前記誘電加熱物質を生成する誘電加熱物質生成成分として、Al(アルミニウム)、C(炭素)、Ni(ニッケル)、CuO(酸化第二銅)、V2 5 (五酸化二バナジウム)、WO3 (三酸化タングステン)、NiO(一酸化ニッケル)、Co2 3 (酸化第二コバルト)、Fe2 3 (三酸化二鉄)のいずれか一つ又はその組み合わせを用いたりすることができる。これらの誘電加熱物質生成成分は、焼結時に、セラミックスの基材(母材)と反応して複合酸化物、ケイ化物、炭化物に変化する。
これらの構成により、焼結時にセラミックスの母材中に、金属や遷移金属の金属化合物や遷移金属化合物を生成すると共に、母材中に分散させることができる。
また、上記のDPFにおいて、前記ディーゼルパティキュレートフィルタの比表面積を3m2 /g〜20m2 /gとする。この比表面積は、焼結時の四酸化三鉄(Fe3 4 )の揮発によって発生する1μm程度の気孔や発泡剤による気孔等により大きくなるが、この比表面積の範囲は、強度、破壊靱性及び排気ガスの浄化効率から考えて、DPFに望ましい範囲である。
本発明の排気ガス浄化装置は、上記のディーゼルパティキュレートフィルタを備えて形成される。これにより、捕集したPMを燃焼除去してフィルタ機能を再生する時に、高周波やマイクロ波により容易且つ均一に加熱でき、しかも、誘電加熱の制御が容易となる。また、DPFは、高強度、高靱性、高耐熱衝撃性を有するので、車に搭載可能な排気ガス浄化装置とすることができる。
そして、上記のディーゼルパティキュレートフィルタの製造方法は、排気ガス中の粒子状物質(PM)を捕集し、該捕集された粒子状物質を電磁波により加熱して、フィルタ機能の再生を行うディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)において、窒化ケイ素系セラミックスを基材とし、1kHz〜20GHzの範囲の少なくとも一つの周波数における比誘電率と誘電正接の積が0.01以上、3以下であり、且つ、電気抵抗率が1×108 Ω・m以上、1×1013Ω・m以下であるセラミックスで形成したディーゼルパティキュレートフィルタを製造する方法であって、前記窒化ケイ素(Si3 4 )系のセラミックス原料に、四酸化三鉄(Fe3 4 )を10mass%以上、30mass%以下添加し、焼結時に前記四酸化三鉄を揮発させて、気孔を形成することを特徴とする製造方法として構成される。
そして、上記のDPFの製造方法において、焼結時に、前記四酸化三鉄を揮発させて0.01μm以上、1μm以下の気孔を造るようにすると、PMの微細な粒子も捕集できるようになる。
このDPFの製造方法によれば、この四酸化三鉄(Fe3 4 )を10mass%以上、30mass%以下添加することにより、焼結後のFe−Si系化合物(主にFe5 Si3 )、即ち、誘電加熱物質の分散量を、2.5vol%以上、10vol%以下とすることができる。その上、焼結時に四酸化三鉄を揮発させて、1μm以下の気孔を多数形成することができ、比表面積が大きくPMの捕集効率が高いDPFを得ることができる。
また、この四酸化三鉄の添加量の範囲は、強度、破壊靱性の値から、構造物として使用するためには、30mass%以下が望ましく、比誘電率と誘電損失の積の値、及び電気抵抗率等の静電特性からは、10mass%〜40mass%の範囲であることが望ましい。また、この範囲内においては、セラミックス材料の静電特性は、1kHz〜20GHzの範囲で大きな変化が認められない。その結果、DPFの材料としては、10mass%〜30mass%の範囲であることが望ましいことになる。
なお、mass%は質量%を示し、100×(誘電加熱物質生成成分の質量)/(セラミックス基材の質量+誘電加熱物質生成成分の質量)であり、100×(誘電加熱物質生成成分の重量)/(セラミックス基材の重量+誘電加熱物質生成成分の重量)で計算される重量%(wt%)と同じ値となり、この誘電加熱物質生成成分の質量%算出方法としては、原料混合の際に電子天秤で秤量する方法等がある。
本発明のディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)は、これを構成する窒化ケイ素系セラミックスは、通常の窒化ケイ素系セラミックスとほぼ同等の強度、破壊靱性、耐熱衝撃性を有している上に、これらよりも大きな誘電損失を有し、1kHz〜20GHzの範囲において誘電特性に大きな変化は認められないので、このセラミックスで形成したDPFは、機械的性質に優れていると共に、電磁波の照射により容易に加熱して昇温でき、また、加熱制御も容易となるので、PMを燃焼除去してDPFを容易に再生できる。
そして、本発明のDPFは、捕集したPMを燃焼除去してフィルタ機能を再生する時に、高周波やマイクロ波により容易且つ均一に加熱でき、しかも、誘電加熱の制御が容易となる。また、高強度、高靱性、高耐熱衝撃性等の優れた機械的特性を有するので、車に搭載可能なDPFとすることができる。
また、本発明のDPFの製造方法によれば、窒化ケイ素系のセラミックス原料に、四酸化三鉄を所定の範囲内添加することにより、高強度、高靱性、高耐熱衝撃性に優れ、電磁波による再生が容易で、しかも好ましい比表面積を有して排ガス浄化率の高いDPFを提供することができる。
以下、本発明に係る実施の形態のディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)、その製造方法について図面を参照しながら説明する。
最初に、図1に本発明に係わる実施の形態のDPF2を使用した排気ガス浄化装置1を示す。このDPF2を備えた排気ガス浄化装置1は、エンジン10の排気通路11に配設される。このDPF2の前後に網状の電磁波遮蔽部材4、4を設けると共に、この電磁波遮蔽部材4、4の間にマイクロ波発生部(マグネトロン)3を配設する。このマイクロ波発生部3は制御部5と電源6により、DPF再生時にDPF2に捕集されたPMを燃焼除去するために、DPF加熱用のマイクロ波を発生する。
そして、この本発明に係わる実施の形態のDPF2は、次のようにして作製することができる。このDFP2においては、窒化ケイ素(Si3 4 )を92mass%(質量%)、酸化アルミニウム(Al2 3 )を3mass%、酸化イットリウム(Y2 3 )を5mass%で混合した窒化ケイ素系セラミックス原料を作製し、この窒化ケイ素系セラミックス原料に、四酸化三鉄(Fe3 4 )を90:10〜70:30の重量割合で秤量し混合する。つまり、四酸化三鉄の添加量を10mass%〜30mass%とする。この混合した0.2μmφ〜2.0μmφ程度の粉末を、粒状の発泡剤、水、バインダ、可塑剤と共に混合して成形用の40μmφ〜100μmφ程度の組成物を作製する。この発泡剤は、600℃程度で蒸発又は気化して気孔を形成する。この気孔により所望の気孔率を得る。
この混合により得られた組成物を、押し出し成形装置に投入して、金型より押し出すことにより、DPFの基になるハニカム構造成形体を作製する。このハニカム構造成形体を十分に乾燥した後、脱脂処理を行ってバインダや可塑剤を除去すると共に、発泡剤を蒸発又は気化させて気孔を形成し、ハニカム構造体を多孔質化する。その後、1850℃の窒素中で焼成処理を行って、多孔質窒化ケイ素系セラミックス製のハニカム構造体を作製する。このセラミックスの焼結時に四酸化三鉄が揮発して、0.01μm〜1μm程度の気孔を多数形成する。
このハニカム構造体の排気ガス入口側と排気ガス出口の両端面において、セルの出入口を千鳥状、あるいは、市松模様状に、互い違いに目封じして、所謂、ウォールフロータイプのハニカム構造体を作製する。その後、このハニカム構造体の多孔質の隔壁に白金(Pt)、アルミナ(Al2 3 )等からなる触媒を40g/L担持させてDPF2を作製する。更に、この作製したDPF2をケース1cに収納して排気ガス浄化装置1とする。このDPF2を備えた排気ガス浄化装置1を、排出される排気ガスを浄化できるように、ディーゼルエンジン10の排気通路11に配置する。それと共に、排気ガス浄化装置1に対して、マイクロ波発生部3、電磁波遮蔽部材4,4、制御装置5、電源6を配置し、図1に示すような構成にする。
このようにして得られたDPFの機械的特性と電気的特性は、同じ製造方法で作製した板状の試験片に対する試験結果から、図2〜図8に示すようなものとなり、DPFのフィルタ性能は図9〜図12に示すようなものとなる。
図2、図3に、作製した多孔質窒化ケイ素系セラミックスの機械的性質を示し、図4、図5に、四酸化三鉄の添加量と、比誘電率と静電正接の積との関係を示し、図6に、四酸化三鉄の添加量と電気抵抗率との関係を、また、図7に、四酸化三鉄の添加量と誘電加熱時間と温度の関係を示す。また、図8に、四酸化三鉄の添加量と鉄ケイ化物分散量との関係を示す。なお、比較のために、四酸化三鉄(Fe3 4 )の重量割合が100:0(0mass%:添加しない)と60:40(40mass%)の多孔質窒化ケイ素系セラミックス、及び、多孔質炭化ケイ素(SiC)系セラミックス(「SiC」で表示)の値も示す。
これらの図から次のようなことが分かる。
四酸化三鉄の添加量が20mass%を越えると、図2に示すように、JIS規格R1601に基づく、4点曲げ試験による曲げ強度は急激に低下し、30mass%を越えると、図3に示すようにJIS規格R1607に基づく試験によって測定された破壊靱性が急激に低下する。また、10mass%以上では、図4及び図5に示すように比誘電率と静電正接の積は0.01以上となる。
また、各試料の比誘電率と静電正接の積の周波数特性を示す図5によれば、四酸化三鉄の添加量が変化しても、1kHzから20GHzの広範囲において、比誘電率と静電正接の積の変化は認められない。また、四酸化三鉄の添加量が30mass%を越えると、図6に示すように、電気抵抗率は急激に低下する。図4と図6に好ましい四酸化三鉄の添加量の範囲や比誘電率と静電正接の積の範囲や電気抵抗率の範囲をZで示す。
次に、周波数2.45GHzのマイクロ波を照射して、多孔質窒化ケイ素系セラミックス及び多孔質炭化ケイ素系セラミックスの各試験片を誘電加熱した結果を図7に示す。この図7によれば、四酸化三鉄の添加量が10mass%以上、即ち、比誘電率と誘電正接の積が0.01以上のセラミックスであれば短時間で加熱できることが分かる。また、四酸化三鉄の添加量が40mass%で、電気抵抗率が1×103 Ω・mより小さくなった多孔質窒化ケイ素系セラミックスと、比較例の多孔質炭化ケイ素系セラミックスでは、図示した以後では加熱制御が困難となった。また、四酸化三鉄の添加量が30mass%を越えて比誘電率と誘電正接の積が3を越えた多孔質窒化ケイ素系セラミックスでは均一加熱性が失われた。
更に、マイクロ波の照射を用いた900℃までの誘電加熱と冷風による200℃までの強制冷却を繰り返したところ、表1に示すように、多孔質炭化ケイ素ハニカムは9回の繰り返しで割れが生じた。これに対して四酸化三鉄の添加量が10、20、30mass%の多孔質窒化ケイ素ハニカムでは、加熱と冷却を100回繰り返しても、クラックや割れの発生等の異常は認められなかった。
Figure 0004148149
また、四酸化三鉄を添加した多孔質窒化ケイ素系セラミックスの焼成後の組織分析を行った結果、添加した四酸化三鉄(Fe3 4 )は焼成後に鉄ケイ化物(FexSiy:Fe5 Si3 等)に変化していることが分かった。図8に四酸化三鉄の添加量と焼成後に検出された鉄ケイ化物分散量の関係を示す。なお、図2〜図4、図6において、四酸化三鉄(Fe3 4 )ベースだけでなく、鉄ケイ化物(Fe5 Si3 )分散量ベースでも図を見ることができるように、図8から得られるケイ化物(Fe5 Si3 )分散量を図2〜図4、図6の横軸の目盛りに併記した。
次に、DPFのフィルタ性能について説明する。四酸化三鉄の添加量と、ガス吸着法により測定した多孔質窒化ケイ素系セラミックスの比表面積との関係を図9に示す。また、図10に気孔分布の測定結果を、気孔径と気孔率で示す。四酸化三鉄を添加しない場合には、発泡剤の揮発により生じた20μm前後の気孔の分布を有するが、四酸化三鉄を添加した場合は、この20μm前後の気孔の分布に加えて、添加した四酸化三鉄が増えると酸素分圧が増えて、焼結中に蒸発即ち揮発して窒化ケイ素系セラミックス中に微細な気孔を形成するため、気孔径が1μm前後の気孔が5%〜20%分布するようになる。そのため、四酸化三鉄を10mass%以上添加すると比表面積が増大する。なお、比較例の多孔質炭化ケイ素系セラミックスのDPFは、20μmの平均気孔径と55%〜62%の気孔率を示した。
また、排気ガスの浄化に関して、排気ガス温度が150℃におけるHCの浄化率の測定結果を図11に示す。この図11に示すように、四酸化三鉄の添加量が10mass%以上でHCの浄化率が向上する。これはハニカム構造のDPFにおける比表面積の増大により、触媒表面への排気ガス接触頻度が向上するためと考えられる。また、排気ガス中に含まれる粒子径400nm以下のPMの粒子低減率を図12は示す。この図12に示すように、四酸化三鉄の添加量が10mass%以上になるとPMの低減率が向上する。これはDFPの微細気孔がPMの微細な粒子の捕集に寄与しているためと考えられる。
これらの結果から、強度、破壊靱性の値から、構造物として使用するためには四酸化三鉄(Fe3 4 )の添加量は30mass%以下であることが望ましい。また、均一なマイクロ波を用いた誘電加熱が行える範囲としては、比誘電率と誘電損失の積に関しては0.01〜3の範囲で、電気抵抗率に関して、1×108 Ω・m〜1×1013Ω・mの範囲が望ましい。この場合に、四酸化三鉄の添加量は10mass%〜40mass%の範囲となる。更に、強度、破壊靱性及び排気ガスの浄化効率から考えて、多孔質窒化ケイ素の比表面積は3m2 /g〜20m2 /gの範囲が望ましい。
従って、総合的に考えると、マイクロ波を用いて誘電加熱できるDPFを形成する多孔質窒化ケイ素系セラミックスは、四酸化三鉄の添加量は10mass%〜30mass%の範囲であり、窒化ケイ素系セラミックスの焼結体中における鉄ケイ化物(主にFe5 Si3 )の分散量が2.5vol%〜10vol%であるものが望ましく、本発明のDPFを形成する多孔質窒化ケイ素系セラミックスはこの範囲内のものとなるように構成される。
そして、DPF及びこれを備えた排気ガス浄化装置としては、上記のウォールフロータイプのハニカム構造体のDPFが好ましいが、これに限定されるものではなく、他の構造であって、フィルタ機能を有していれば、本発明の効果を十分に発揮できる。また、マイクロ波の代りに高周波を用いて誘電加熱することもできる。
更に、鉄ケイ化物以外にも、その他の誘電加熱物質として、Fe(鉄)、Ti(チタン)、W(タングステン)、Ce(セリウム)のいずれか一つ又はその組み合わせとセラミックス基材含有成分との化合物を用いたりすることもできる。なお、セラミックス基材含有成分とは、セラミックス基材に含まれる成分であり、例えば、窒化ケイ素系セラミックスでは、窒化ケイ素(Si3 4 )、酸化アルミニウム(アルミナ:Al2 3 )、酸化イットリウム(Y2 3 )等である。
また、四酸化三鉄以外にも、誘電加熱物質を生成する誘電加熱物質生成成分として、Al(アルミニウム)、C(炭素)、Ni(ニッケル)、CuO(酸化第二銅)、V2 5 (五酸化二バナジウム)、WO3 (三酸化タングステン)、NiO(一酸化ニッケル)、Co2 3 (酸化第二コバルト)、Fe2 3 (三酸化二鉄)のいずれか一つ又はその組み合わせを用いたりすることができる。これらの誘電加熱物質生成成分は、焼結時には、セラミックスの基材(母材)と反応して複合酸化物、ケイ化物、炭化物に変化する。
これらの構成により、焼結時に、セラミックスの母材中に、金属や遷移金属の金属化合物や遷移金属化合物を生成すると共に、母材中に及び分散させることができる。
上記の構成のDPFは、通常の窒化ケイ素系セラミックスとほぼ同等の強度、破壊靱性、耐熱衝撃性を有している上に、これらよりも大きな誘電損失を有し、1kHz〜20GHzの範囲において誘電特性に大きな変化は認められないので、捕集したPMを燃焼除去してフィルタ機能を再生する時に、高周波やマイクロ波により容易且つ均一に加熱でき、しかも、誘電加熱の制御が容易となる。そのため、DPFの再生時に、電磁波によりDPFを誘電加熱してPMを燃焼除去し、DPFを容易に再生できる。その上、微小気孔と大きな比表面積を有して微小粒子のPMの捕集性能が優れていると共に、高強度、高靱性、高耐熱衝撃性等の優れた機械的特性を有するので、車に搭載可能なDPFとなる。
また、上記のDPFの製造方法によれば、窒化ケイ素系のセラミックス原料に、四酸化三鉄を所定の範囲内添加することにより、高強度、高靱性、高耐熱衝撃性に優れ、電磁波による再生が容易で、しかも好ましい比表面積を有して排ガス浄化率の高いDPFを提供することができる。
本発明の実施の形態のDPFを備えた排気ガス浄化装置の構成を示す図である。 本発明の実施の形態のDPFを形成するセラミックスにおける四酸化三鉄の添加量と曲げ強度との関係を示す図である。 本発明の実施の形態のDPFを形成するセラミックスにおける四酸化三鉄の添加量と破壊靱性との関係を示す図である。 本発明の実施の形態のDPFを形成するセラミックスにおける四酸化三鉄の添加量と比誘電率×誘電正接との関係を示す図である。 本発明の実施の形態のDPFを形成するセラミックスにおける四酸化三鉄の添加量と周波数と比誘電率×誘電正接との関係を示す図である。 本発明の実施の形態のDPFを形成するセラミックスにおける四酸化三鉄の添加量と電気抵抗率との関係を示す図である。 本発明の実施の形態のDPFを形成するセラミックスにおける四酸化三鉄の添加量と誘電時間と温度との関係を示す図である。 本発明の実施の形態のDPFを形成するセラミックスにおける四酸化三鉄の添加量と鉄ケイ化物分散量との関係を示す図である。 本発明の実施の形態のDPFにおける四酸化三鉄の添加量と比表面積との関係を示す図である。 本発明の実施の形態のDPFにおける気孔径と気孔率との関係を示す図である。 本発明の実施の形態のDPFにおける四酸化三鉄の添加量とHC浄化率との関係を示す図である。 本発明の実施の形態のDPFにおける四酸化三鉄の添加量とPM400nm以下の粒子低減率との関係を示す図である。
符号の説明
1 排気ガス浄化装置
2 DPF
3 マイクロ波発生部(マグネトロン)
4 電磁波遮蔽部材
5 制御部
6 電源
10 エンジン
11 排気通路

Claims (6)

  1. 排気ガス中の粒子状物質を捕集し、電磁波により加熱して、捕集された粒子状物質を燃焼除去してフィルタ機能の再生を行うディーゼルパティキュレートフィルタにおいて、窒化ケイ素系セラミックスを基材とし、1kHz〜20GHzの範囲の少なくとも一つの周波数における比誘電率と誘電正接の積が0.01以上、3以下であり、且つ、電気抵抗率が1×108 Ω・m以上、1×1013Ω・m以下であるセラミックスで形成することを特徴とするディーゼルパティキュレートフィルタ。
  2. 前記セラミックスの基材中に、誘電加熱物質を2.5vol%以上、10vol%以下分散することを特徴とする請求項1記載のディーゼルパティキュレートフィルタ。
  3. 前記誘電加熱物質として、少なくともFe−Si系化合物を用いることを特徴とする請求項2記載のディーゼルパティキュレートフィルタ。
  4. 前記ディーゼルパティキュレートフィルタの比表面積を3m2 /g〜20m2 /gとすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のディーゼルパティキュレートフィルタ。
  5. 排気ガス中の粒子状物質を捕集し、電磁波により加熱して、捕集された粒子状物質を燃焼除去してフィルタ機能の再生を行い、窒化ケイ素系セラミックスを基材とし、1kHz〜20GHzの範囲の少なくとも一つの周波数における比誘電率と誘電正接の積が0.01以上、3以下であり、且つ、電気抵抗率が1×108 Ω・m以上、1×1013Ω・m以下であるセラミックスで形成したディーゼルパティキュレートフィルタを製造する方法であって、前記窒化ケイ素系のセラミックス原料に、四酸化三鉄を10mass%以上、30mass%以下添加し、焼結時に前記四酸化三鉄を揮発させて気孔を形成することを特徴とするディーゼルパティキュレートフィルタの製造方法。
  6. 焼結時に、前記四酸化三鉄を揮発させて0.01μm以上、1μm以下の気孔を造ることを特徴とする請求項5に記載のディーゼルパティキュレートフィルタの製造方法。
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