JP4147858B2 - 光デバイスおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光デバイス、特にその電極構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信システムにおける情報量の増大に伴い、当該システムに使用される光デバイスの高周波特性の向上が求められている。高周波特性の向上のため、光デバイスの静電容量を低減する種々の試みが行われている。例えば、半導体レーザ素子といった光デバイスでは、活性層を含む半導体メサを樹脂で埋め込むことが試みられている。半導体メサを樹脂で埋め込み、半導体メサと接続する電極を樹脂上に引き出すように形成すれば、電極と半導体基板との間の容量が低減される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、樹脂上に電極を形成すると、電極の剥離が発生することが多い。そのため、製造歩留りを向上できないという問題がある。本発明者らはこの問題の原因を究明するために研究を重ねた結果、その原因は電極を構成する金属は樹脂に対して強固に密着しないことにあることがわかった。
【0004】
また、電極には、光デバイスと外部回路とを接続する金属ワイヤが固定される。このため、金属ワイヤを固定し易くするためパッド部が設けられることが多い。金属ワイヤを電極またはパッド部に固定する際には、これらに対して金属ワイヤが圧着固定される。このとき、電極またはパッド部が剥れてしまうこともある。
【0005】
そこで、本発明は、電極の剥離を防止できる構造を有する光デバイスおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光デバイスは、(1)光を発生する活性層と、活性層が間に配置されるよう設けられたクラッド層と、活性層およびクラッド層を挟むように設けられ、活性層に電流を導くための半導体部を含み、III−V族化合物半導体から構成される半導体メサ部と、(2)半導体メサ部に接続する電極と、(3)ビスベンゾシクロブテン樹脂から構成され、ビスベンゾシクロブテン樹脂で半導体メサ部を埋め込み、ビスベンゾシクロブテン樹脂が半導体メサ部の上部より盛り上がるように形成される樹脂埋込部と、を備える。樹脂埋込部の上面には凹部が設けられており、凹部の形状は、凹部の側面が底部より開口部の間隔が広くなるように傾斜し、かつ、凹部の側面における底部に対する傾斜角度が開口部上端に近づくほど大きく、凹部は上記の電極で埋め込まれている。
【0007】
この構成によれば、樹脂埋込部に設けられた凹部は電極で埋め込まれている。このため、電極は、その底面および側面で樹脂埋込部と接することとなる。したがって、電極が樹脂埋込部から剥れるのが防止される。
【0008】
また、半導体メサ部は、活性層およびクラッド層を挟むように設けられ、活性層に電流を導くための半導体部を備えるので、活性層内の電流密度を高くすることができる。よって、本発明に係る光デバイスは、電極が剥離されるのが防止される構造を有するとともに、放射される光の強度が向上される。
【0009】
さらに、半導体メサ部と樹脂埋込部との間に無機絶縁膜を更に備えると好ましい。このように無機絶縁膜を用いれば、半導体素子の信頼性を向上できる。
【0010】
また、上記の光デバイスは、(1)活性層と光学的に結合し活性層からの光が伝搬するとともに、電力の供給により該光に対する吸収率が変化する光導波路と、光導波路を挟むように設けられ、光導波路に電流を導くための第2の半導体部を含み、III−V族化合物半導体から構成される第2の半導体メサ部と、(2)第2の半導体メサ部に接続する第2の電極と、(3)ビスベンゾシクロブテン樹脂から構成され、ビスベンゾシクロブテン樹脂で第2の半導体メサ部を埋め込み、ビスベンゾシクロブテン樹脂が第2の半導体メサ部の上部より盛り上がるように形成される第2の樹脂埋込部と、を更に備え、第2の樹脂埋込部の上面には凹部が設けられており、凹部の形状は、凹部の側面が底部より開口部の間隔が広くなるように傾斜し、かつ、凹部の側面における底部に対する傾斜角度が開口部上端に近づくほど大きく、第2の電極は凹部に埋め込まれる配線部を有すると好適である。このようにすれば、上記の半導体メサ部からの光が第2の半導体メサ部で変調される光変調器を構成できる。
【0011】
第2の半導体メサ部は、光導波路を挟むように設けられ、光導波路に電流を導くための第2の半導体部を備えるので、第2の電極からの電流を光導波路に導くことができる。よって、光導波路の吸収率を効率よく変化できる。
【0012】
また、第2の半導体メサ部と第2の樹脂埋込部との間に無機絶縁膜を更に備えると有用である。
【0013】
さらに、上記の樹脂はビスベンゾシクロブテン(BCB)樹脂であるので、上記の半導体メサ部および第2の半導体メサ部を確実に埋め込むことができる。
【0014】
本発明に係る光デバイスの製造方法は、(1)光を発生する活性層と、活性層が間に配置されるよう設けられたクラッド層とを含み、III−V族化合物半導体から構成される半導体メサ部を半導体基板上に形成する工程と、(2)ビスベンゾシクロブテン樹脂で半導体メサ部を埋め込み、ビスベンゾシクロブテン樹脂が半導体メサ部の上部より盛り上がるように樹脂埋込部を形成する工程と、(3)樹脂埋込部上にレジスト膜を形成し、遮蔽部を有するフォトマスクを用いてレジスト膜を露光した後にレジスト膜の全面を露光してレジストマスクを形成し、当該レジストマスクを用いて樹脂埋込部をエッチングし、樹脂埋込部に凹部を形成する工程と、(4)凹部に埋め込むとともに、半導体メサ部に接続する電極を形成する工程と、を備える。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る光デバイスの好適な実施形態を説明する。本実施形態の光デバイスは、III−V族半導体から構成される光集積デバイスである。なお、図面の説明においては、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
(第1の実施形態)
先ず、図1〜図3を参照しながら、第1の実施形態による光集積デバイスを説明する。図1は、第1の実施形態による光集積デバイスを示す斜視図である。図2は図1のI−I線に沿う断面図であり、図3は図1のII−II線に沿う断面図である。図1を参照すると、光集積デバイス1は、発光素子部2a、変調素子部2b、および分離部2cを備える。発光素子部2a、変調素子部2bおよび分離部2cは、基板2上に形成されている。基板2はn型InP半導体から構成される。また、基板2と、発光素子部2a、変調素子部2bおよび分離部2cとの間にはバッファ層3が設けられている。バッファ層3は基板2と同じくInPから構成されている。
【0018】
発光素子部2aは所定の波長の光を発生する。発光素子部2aと変調素子部2bとは、これらの間に位置する分離部2cを介して光学的に結合されている。発光素子部2aからの光は、分離部2cを介して変調素子部2bに入射される。この光は変調素子部2bにより変調される。以下、発光素子部2a、変調素子部2bおよび分離部2cのそれぞれの構成および機能について詳述する。
(発光素子部2a)
図1および図2を参照すると、発光素子部2aは、半導体メサ部12を備えている。半導体メサ部12は、第1の半導体層8および第2の半導体層10と、これらの間に配置される活性層6とを備えている。後述するように、電極から活性層6にキャリアが注入され、活性層6から所定の波長の光が発生する。
【0019】
第1の半導体層8は、n型のIII−V族化合物半導体から構成される。また、第1の半導体層8は、バッファ層3上に形成されている。バッファ層3と第1の半導体層8との境界には、回折格子5aが設けられている。回折格子5aは、後述の通り、バッファ層3の表層部に周期的な溝部を形成することにより構成される。回折格子5aは、活性層6と光学的に結合されるように設けられている。回折格子5aの周期は、光集積デバイス1から放射される光が所望の波長となるよう決定される。この構成により、発光素子部2aは、分布帰還型半導体レーザ素子として動作する。
【0020】
第2の半導体層10は、p型のIII−V族化合物半導体から構成される。第1の半導体層8および第2の半導体層10は、屈折率が活性層6よりも小さく、このため、活性層6に対してクラッド層として働く。すなわち、活性層6、第1の半導体層8および第2の半導体層10は、光導波路12aを構成している。
【0021】
以上の半導体層の材料および厚さを例示すると、以下の通りである。
・バッファ層3:SiドープInP、厚さ550nm
・第1の半導体層8:SiドープInP、厚さ550nm
・活性層6:アンドープGaInAsP、厚さ300nm
・第2の半導体層10:ZnドープInP、厚さ200nm
・キャップ層20:ZnドープInP、厚さ200nm
活性層6は、MQW(Multi-Quantum Well)構造またはSQW(Single Quantum Well)構造を含むことができる。活性層6のフォトルミネセンス光の波長は、1.55μm程度とすることができる。また、第1の半導体層8および第2の半導体層10は、InPから構成されるため、活性層6に比べて、大きなバンドギャップエネルギーおよび小さな屈折率を有する。したがって、活性層6に光を閉じ込めるクラッド層して働くと共に、活性層6にキャリアを閉じ込める障壁層として働く。
【0022】
なお、第2の半導体層10およびキャップ層20には、Znが添加されているが、Znに限らず炭素(C)が添加されていてもよい。
【0023】
また、図1および図2を参照すると、半導体メサ部12は、光導波路12aの側面に電流狭窄部としての半導体部16を有する。半導体部16は、高抵抗半導体から構成される。具体的には、半導体部16は、鉄(Fe)ドープInPから構成されることができる。よって、半導体部16により、電極を通して半導体メサ部12に提供される電流は、主として光導波路12aを通過することとなる。また、半導体部16は、InPから構成されるため、活性層6で発生する光を活性層6内に閉じ込めるクラッド層としても働く。
【0024】
半導体メサ部12は、光導波路12aおよび半導体部16上にキャップ層20を更に有する。キャップ層20は、第2の半導体層10と同様にp型のIII−V族化合物半導体から構成され、第2のクラッド層として働く。半導体メサ部12は、キャップ層20上にコンタクト層22を更に有する。コンタクト層22は、ZnドープInGaAsから構成され、その厚さは500nm程度である。
【0025】
発光素子部2aは、半導体メサ部12を形成するように設けられたトレンチ溝17を有する。トレンチ溝17の底面17aはバッファ層3に位置している。トレンチ溝17内には、樹脂埋込部24が設けられている。樹脂埋込部24は、光集積デバイス1においては、BCB樹脂から構成されている。本発明者らの検討によれば、BCB樹脂は、気泡や空隙などが形成されることなく、半導体メサ部12を埋め込むことができる。
【0026】
また、樹脂埋込部24と半導体メサ部12との間に、酸化シリコン(SiO2)から構成される絶縁膜26が設けられている。絶縁膜26は、SiO2に限らず、シリコン窒化膜、またはシリコン酸窒化膜といったシリコン系無機絶縁物から構成されることができる。絶縁膜26により、半導体メサ部12が保護され、発光素子部2aの信頼性が向上される。
【0027】
発光素子部2aは、コンタクト層22上に設けられたオーミック接触性の電極28を備える。図2を参照すると、絶縁膜26には開口部26aが設けられており、電極28はこの開口部26aに現れるコンタクト層22と接している。また、図2に示す通り、樹脂埋込部24には凹部24aが設けられている。電極28は、この凹部24aに埋め込まれるように設けられている。図1および図2から分かる通り、電極28は、コンタクト層22に接するとともに、樹脂埋込部24の凹部24aにより形状が規定されている。さらに、電極28は、凹部24aの形状により規定されるパッド部28aを有する。パッド部28aには、発光素子部2aと外部回路とを接続するための金属ワイヤといった電線が固定される。
(変調素子部2b)
図1および図3を参照すると、変調素子部2bは半導体メサ部52を備えている。半導体メサ部52は、活性層46、第4の半導体層48および第5の半導体層50を備えている。活性層46は、III−V族化合物半導体から構成される。このIII−V族化合物半導体のフォトルミネセンスピーク波長は発光素子部2aから発生されるべき光の波長よりも短い。また、活性層46は、単一の半導体層から成ることができ、またSQW構造あるいはMQW構造を備えることもできる。活性層46は、第4の半導体層48および第5の半導体層50との間に設けられている。
【0028】
第4の半導体層48は、n型のIII−V族化合物半導体から構成される。第5の半導体層50は、p型のIII−V族化合物半導体から構成される。これらの半導体層48,50は、活性層46よりも小さい屈折率を有しており、このため、活性層46に光を閉じ込めるクラッド層として働く。すなわち、これらの各半導体層46、48、50は光導波路52aを構成する。
【0029】
上記の半導体層の材料および厚さの好適な例示すると、以下の通りである。
・第4の半導体層48:SiドープInP、厚さ50nm
・活性層46:アンドープInGaAsP、厚さ260nm
・第5の半導体層50:ZnドープInP、厚さ100nm
・コンタクト層54:ZnドープGaInAs、厚さ530nm
半導体メサ部52は、光導波路52aの側面に半導体部16を有する。半導体部16は、発光素子部2aおよび変調素子部2bに共有されている。半導体部16により、電流が光導波路52aに導かれる。
【0030】
半導体メサ部52は、光導波路52aおよび半導体部16上に設けられたキャップ層20を更に備える。キャップ層20は、発光素子部2aおよび変調素子部2bに共有されている。キャップ層20は、p型のIII−V族化合物半導体から構成され、第5の半導体層50と同様にクラッド層として働く。半導体メサ部52はキャップ層20上にコンタクト層54を更に備える。
【0031】
また、変調素子部2bは、半導体メサ部52を形成するように設けられたトレンチ溝17を有する。トレンチ溝17は、半導体層54、20、16を貫通してバッファ層3に到達するとともに、発光素子部2a、分離部2cおよび変調素子部2bに沿って設けられている。トレンチ溝17内には、樹脂埋込部24が設けられている。樹脂埋込部24は、発光素子部2aと共有されており、BCB樹脂から形成されている。変調素子部2bは、発光素子部2aと同様に、樹脂埋込部24と半導体メサ部52との間に絶縁膜26を備えることができる。
【0032】
変調素子部2bは、コンタクト層54上に設けられたオーミック接触性の電極58を備える。図3を参照すると、絶縁膜26には開口部26aが設けられている。電極58はこの開口部26aに現れるコンタクト層54に接している。また、樹脂埋込部24に凹部24aが設けられており、この凹部24aに埋め込まれるように電極58が設けられている。図1および図3から分かる通り、電極58は、コンタクト層54に接するとともに、樹脂埋込部24の凹部24aにより形状が規定されている。さらに、電極58は、凹部24aの形状により規定されるパッド部58aを有する。パッド部58aは、変調素子部2bと外部回路との接続のための金線などといった電気リード線の固定に利用される。
(分離部2c)
図1を参照すると、分離部2cは、バッファ層3、第4の半導体層48、活性層46、第5の半導体層50、およびキャップ層20を変調素子部2bと共有している。分離部2cは、コンタクト層および電極を有しておらず、このため、発光素子部2aと変調素子部2bとが電気的に分離される。また、分離部2cの光導波路12aは、発光素子部2aの光導波路12aに境界面64において突き当てられており、この突き当てにより、光導波路12aは光導波路52aに光学的に結合される。
【0033】
続いて、光集積デバイス1の動作を説明する。図4は、電源が接続された光集積デバイスを示す模式図である。発光素子部2aは、電源70により順方向にバイアスされている。変調素子部2bは、電源72により逆方向にバイアスされている。電源72は、外部信号に応じて変調された駆動信号を変調素子部2bに提供する。この構造により、変調素子部2bは、発光素子部2aから連続的に提供される光を外部信号74に応答して変調する。
【0034】
以下、上記の構成を有する光集積デバイス1の効果を説明する。電極28は、凹部24aに埋め込められるよう形成されているため、その裏面が凹部24aの底面に接するだけでなく、電極28の側面が凹部24aの内壁面に接している。このため、電極28は、その裏面のみで樹脂埋込部に密着する場合に比べ、樹脂埋込部24に対して強固に密着することなる。しかも、電極の裏面のみが樹脂埋込部に密着する場合には電極の縁部から電極が剥れてしまうことが多いが、光集積デバイス1における電極28ではその側面が樹脂埋込部24の凹部24aの内壁面に接しているため、縁部からの電極の剥れを十分に防止できる。
【0035】
電極58は、凹部24aに埋め込められるよう形成されているため、その裏面が凹部24aの底面に接するだけでなく、電極58の側面が凹部24aの内壁面に接している。このため、電極58は、その裏面のみで樹脂埋込部に密着する場合に比べ、樹脂埋込部24に対して強固に密着することなる。しかも、電極の裏面のみが樹脂埋込部に密着する場合には電極の縁部から電極が剥れてしまうことが多いが、光集積デバイス1における電極58ではその側面が樹脂埋込部24の凹部24aの内壁面に接しているため、縁部からの電極の剥れを十分に防止できる。
(光集積デバイスの製造方法)
続いて、第2の実施形態による光デバイスの製造方法を説明する。第2の実施形態では、上述の光集積デバイス1を例にとり、その製造方法について説明する。図5(A),(B)、図6(A),(B)、図7(A),(B)、図8(A),(B)、図9(A),(B)、および図10(A),(B)は、光集積デバイス1を製造する方法を説明する図である。
(第1の半導体多層膜形成工程)
図5(A)を参照すると、n型InPから構成される基板82は、発光素子領域82a、変調素子領域82b、および分離部領域82cに区分される。これらの領域82a〜82cは、所定の軸方向に沿って配置されている。基板82上に、領域82a〜82cに渡って、バッファ層83が形成されている。バッファ層83は、n型InPから構成される。発光素子領域82aにおいて、バッファ層83上に第1の半導体膜88、活性層膜86および第2の半導体膜81が順に形成されている。第1の半導体膜88はn型のInPから構成され、第2の半導体膜81はp型のInPから構成される。また、活性層膜86はGaInAsPから構成される。これらの半導体膜は、バッファ層83の全面に所定の半導体多層膜をエピタキシャル成長し、シリコン系無機絶縁膜のマスク90を用いて、変調素子領域82bおよび分離部領域82cの当該半導体多層膜を除去することにより形成される。半導体多層膜の形成に先立って、発光素子領域82aには回折格子92として機能する周期的な溝部が形成されている。
(第2の半導体多層膜形成工程)
図5(B)を参照すると、領域82a,82bにおいて、バッファ層83上に、第4の半導体膜98、活性層膜96および第5の半導体膜95がこの順に選択的に形成されている。これらの半導体多層膜は、変調素子領域82bおよび分離部領域82cに、マスク90を利用し選択的に形成される。第4の半導体膜98はn型のInPから構成され、第5の半導体膜95はp型のInPから構成される。また、活性層膜96はGaInAsPから構成される。この後、マスク90の除去により、第2の半導体多層膜形成工程が終了する。
【0036】
なお、好適な実施例では、バッファ層83、第1の半導体膜88、活性層膜86、第2の半導体膜81、第4の半導体膜98、活性層膜96および第5の半導体膜95は、有機金属気相成長(Organo Metallic Chemical Vapor Deposition:OMCVD)法によりエピタキシャル成長される。
(光導波路メサ形成工程)
図6(A)を参照すると、光導波路メサ100a、100bが形成されている。これらは以下のように形成される。先ず、光導波路メサ100a,100bを形成するために、メサ形成用のマスク201を形成する。マスク201は、シリコン系無機絶縁膜のマスクであり、第2の半導体膜81および第5の半導体膜95上に形成される。また、マスク201は第2の半導体膜81と第5の半導体膜95との境界と直交する方向に伸びている。
【0037】
次いで、マスク201を用いてエッチングを行う。このエッチングは、好適な実施例ではウエットエッチングにより行われる。エッチング溶液としては、ブロムメタノール液を使用すると好適である。このエッチングは、バッファ層83が露出するまで行われる。このエッチングの結果、光導波路メサ100aおよび光導波路メサ100bが形成される。光導波路メサ100aは、第1の半導体層8、活性層6、および第2の半導体層10を備える。光導波路メサ100bは、第4の半導体層48、活性層46および第5の半導体層50を備える。
(埋込半導体膜形成工程)
図6(B)を参照すると、光導波路メサ100a,100bを埋め込むように半導体埋込部116が形成されている。半導体埋込部116は、FeドープInPから構成される。半導体埋込部116は、好適な実施例では、有機金属気相成長(OMCVD)法により形成される。半導体埋込部116が形成された後に、マスク201を除去する。
(分離部形成工程)
図7(A)を参照すると、第5の半導体層50および半導体埋込部116上に、キャップ膜110、コンタクト膜112およびマスク213がこの順に形成されている。キャップ膜110はp型InPから構成され、コンタクト膜112はp型InGaAsから構成される。
【0038】
マスク213は開口部213aを有する。開口部213aは、ほぼ矩形形状を有し、後の工程で形成される半導体メサ部の幅よりも広い幅Wと、分離部2cの長さと等しい長さLとを有する。マスク213を用いたウエットエッチングにより、コンタクト膜112の開口部213aに露出する部分を除去する。このエッチングには、リン酸(H3PO4)と過酸化水素水(H2O2)と純水(H2O)とがH3PO4:H2O2:H2O=5:1:10の比率で混合された混合液をエッチング液として使用できる。このエッチング液は、選択性を有するため、コンタクト膜112(InGaAs)がエッチングされてキャップ膜110(InP)が露出したとき、実質的にエッチングが終了する。エッチング後にマスク213を除去すると、図7(B)に示す通り、開口部112aを有するコンタクト膜112が現れる。
(トレンチ用マスク形成工程)
図8(A)を参照すると、コンタクト膜112上にトレンチ溝を形成するためのマスク214が形成されている。マスク214は、所定の方向に伸びており、光導波路メサ100a及び100bを含む半導体メサ部を形成するために用いられる。
(トレンチ形成工程)
図8(B)を参照すると、トレンチ溝117が形成されている。トレンチ溝117は、コンタクト膜112、キャップ膜110及び半導体部16を貫通してバッファ層3に到達している。トレンチ溝117は、5μm程度の深さを有する。トレンチ溝117は、上述のマスク214を用いたエッチングにより形成される。トレンチ溝117により、半導体メサ部118が画定される。半導体メサ部118は、発光素子部2aを構成する半導体メサ部118aと、変調素子部2bを構成する半導体メサ部118bと、発光素子部2aおよび変調素子部2bを分離するための半導体メサ部118cとを含む。トレンチ溝117を形成した後に、マスク214を除去する。
(樹脂埋込工程)
図9(A)を参照すると、絶縁膜26で覆われたトレンチ溝117は樹脂埋込部24で埋め込まれている。また、図示の通り、樹脂埋込部24は、半導体メサ部118上に堆積された絶縁膜26の上面26cから盛り上がるように形成されている。このような樹脂埋込部24は、以下の通り形成される。トレンチ溝117の形成後、半導体メサ部118の上面およびトレンチ溝117の側面を覆うように絶縁膜26が形成される。絶縁膜26は、SiO2から構成されることができる。また、絶縁膜26の形成にはCVD法を使用することができる。
【0039】
次いで、絶縁膜26が形成された基板82上にBCB樹脂を塗布する。塗布時には、BCB樹脂は、半導体メサ部118上での厚さが約1μmとなるように塗布される。次いで、熱処理を行ってBCB樹脂を硬化する。ここで、熱処理温度は250℃程度とし、熱処理時間は1時間程度とすることができる。この後、硬化されたBCB樹脂はプラズマエッチングチャンバ内でCF4(又はSF6)+O2のプラズマに曝される。このプラズマにより硬化されたBCB樹脂がフルエッチバックされ、絶縁膜26の上面26cが露出する。このエッチングでは、BCB樹脂の下地層である絶縁膜(SiO2)26に対するエッチング速度が十分に遅くなるように、CF4(又はSF6)ガスとO2ガスとの供給量、プラズマを発生するための高周波電力、およびチャンバ内の圧力といった条件が適宜調整されることができる。これにより、実質的にBCB樹脂だけが除去される。以上の手順により、図9(A)に示す通り、樹脂埋込部24が完成する。
(コンタクト孔形成工程)
図9(B)を参照すると、半導体メサ部118および樹脂埋込部24上に、マスク236が形成されている。マスク236は、絶縁膜26にコンタクト孔26a,26bを形成するために使用される(図10参照)。マスク236は、開口部236aと開口部236bとを有する。開口部236aおよび開口部236bは、半導体メサ部118上に位置する。また、マスク236は、フォトレジストから構成されることができる。マスク236を用いて絶縁膜26をエッチングすると、図10(A)に示す通り、絶縁膜26にコンタクト孔26a,26bが形成される。この後、マスク236を除去する。
(樹脂埋込部エッチング工程)
図10(B)を参照すると、樹脂埋込部24、絶縁膜26、およびコンタクト層112上に、レジストマスク237が形成されている。レジストマスク237は、樹脂埋込部24をエッチングして、樹脂埋込部24に凹部を形成するのに使用される。以下、図11(A)〜(C)および図12(A),(B)を参照しながら、レジストマスク237を形成する手順を説明する。これらの図は、コンタクト孔26a,26bの形成終了後の光集積デバイス(仕掛品)の断面の一部を示すものであり、その断面とは図10(A)のI−I線に沿う。
【0040】
先ず、図11(A)に示す通り、樹脂埋込部24上にポジタイプのレジスト膜202が形成される。次に、図11(B)に示す通り、遮蔽部203を有するフォトマスク204を用いて、レジスト膜202に露光光L1が照射される(第1の露光)。遮蔽部203の平面形状は、樹脂埋込部24に形成されるべき凹部の平面形状にほぼ等しい。次いで、レジスト膜202が熱処理される。熱処理によって、レジスト膜202のうち露光光L1が照射された部分が硬化されて硬化部202aができる(図11(C))。一方、露光光L1が照射されなかった部分は、硬化されず、非硬化部202bとなる。この後、図12(A)に示す通り、レジスト膜202の全面に露光光L2が照射される(第2の露光)。この後、レジスト膜202を現像液に浸すと、非硬化部202bが現像液中に溶け出す。このようにして、レジストマスク205が得られる(図12(B))。ここで、レジストマスク205の開口部205aは、その下部ほど幅が広くなるよう形成されている。これは、第1の露光の際、遮蔽部203による回折のため、レジスト膜202中を進行する光の強度が深さ方向に徐々に弱くなることから生じる。
【0041】
図10(B)を参照すると、樹脂埋込部24に凹部24aが形成されている。凹部24aの深さは、例えば、0.5〜1.5μm程度である。凹部24aは、レジストマスク237を用いて、RIE法により樹脂埋込部24がエッチングされて形成される。RIE法におけるエッチングガスとしては、例えば、四弗化炭素(CF4)および酸素(O2)を用いることができる。ここで、図13を参照しながら、凹部24aの断面形状を説明する。図13は、図10のI−I線に沿う断面図である。図示の通り、凹部24aの側面は、その間隔が凹部24aの底面から開口部上端に向かうに従って広くなるように傾斜している。さらに、凹部24aの側面は、凹部24aの開口部上端に近づくにつれて凹部24aの底部に対する傾斜角度が大きくなるよう反っている。
【0042】
凹部24aがこのような断面形状を有する理由を図14(A),(B)を参照しながら説明する。図14(A)に示す通り、RIE装置内にプラズマPが発生されると、エッチングガスがイオン化されてイオンIが発生する。このイオンIは、樹脂埋込部24が形成された基板(図示せず)がプラズマPに対して負電位に維持されるため、レジストマスク237および樹脂埋込部24に引き寄せられる。このイオンIにより、樹脂埋込部24がエッチングされる。エッチング開始直後には、レジストマスク237の開口部237aの開口幅はL1であり、したがって、樹脂埋込部24のエッチングされる幅もまた、L1にほぼ等しい。ところが、樹脂埋込部24のエッチング中には、樹脂埋込部24だけでなくレジストマスク237もまたエッチングされる。したがって、レジストマスク237が薄くなるとともに、その開口部237aの開口幅もまた広がっていく。図14(B)においては、開口部237aの開口幅がL1より広いL2の場合を例示している。エッチングの進行とともにレジストマスク237の開口部237aの開口幅が広がっていくため、凹部24aの幅は凹部24aの開口上端ほど広くなる。
(電極形成工程)
凹部24aが形成された後、レジストマスク237を除去することなく、レジストマスク237が形成される面上に、チタン(Ti)/白金(Pt)/金(Au)といった金属を蒸着する。すると、これらの金属から構成される金属膜238がレジストマスク237上に堆積されると共に、凹部24aが金属膜238により埋め込まれる。
【0043】
図15(A)は、金属膜238堆積後の凹部24aの断面を示す図である。図示の通り、凹部24aの断面形状は、開口部上端ほど開口幅が広いため、隙間ができることなく金属が凹部24aに埋め込まれる。また、レジストマスク237の開口部237aの側面は、凹部24aとは逆に、開口部上端ほど開口幅が狭い。このため、開口部237aの側面に金属が堆積されるのが抑制される。すなわち、金属膜238は、凹部24aを埋める部分238aと、レジストマスク237上に堆積される部分238bといった互いに分離された2つの部分を有することとなる。よって、レジストマスク237を除去することにより、部分238aが剥離することなく、部分238bが確実に取り除かれる(図15(B))。
【0044】
なお、金属膜238の厚さが凹部24aの深さより小さくなるように金属膜238を形成すると好ましい。このようにすれば、金属膜238のうち、凹部24aを埋める部分と、レジストマスク237上に堆積される部分とは、一層確実に分離される。
【0045】
続けて、基板82の裏面に、AuGeNi/Auといった金属から構成される電極が形成される。そして、これら電極が形成された基板82を窒素雰囲気中で、320℃といった温度に加熱することにより、オーミック接触性が実現される。以上の工程により、図1に示した光集積デバイス1が完成する。
【0046】
第2の実施形態による製造方法により製造された光集積デバイス1は、半導体メサ部を埋め込む樹脂埋込部を有する。樹脂埋込部には凹部が設けられており、半導体メサ部と接続する電極は、凹部に埋め込まれている。よって、電極は、その下面だけでなく、その側面においても樹脂埋込部に接している。このため、電極がその周辺部から剥れるのが防止される。
(第3の実施形態)
次に、図16(A),(B)を参照しながら、本発明に係る光デバイスの第3の実施形態について説明する。図16(A)は、第3の実施形態による光デバイスの斜視図である。図16(B)は、図16(A)のI−I線に沿う断面を示す概略説明図である。
【0047】
光デバイス500は、ファブリペロ型の半導体レーザデバイスである。図16(A)を参照すると、光デバイス500は、半導体基板502と、半導体基板502上に設けられた半導体メサ部503と、半導体基板502および半導体メサ部503を覆うように設けられた絶縁層504と、絶縁層504上に設けられた樹脂部505と、半導体メサ部に接続するとともに樹脂部505上に延びる電極506とを有する。
【0048】
また、光デバイス500には、後述するコンタクト層503dおよび半導体部503e(図16(B)参照)を貫通して半導体基板502に到達するトレンチ507が設けられている。トレンチ507により、半導体メサ部503が画定されている。トレンチ507もまた樹脂部505で埋められている。また、上記の絶縁層504は、例えば、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、および酸窒化シリコン(SiON)といったシリコン系無機絶縁物から構成されることができる。さらに、樹脂部505は、例えば、BCB樹脂から構成されることができる。
【0049】
電極506は、後述するコンタクト層503dと接続しストライプ状の平面形状を有する第1の部分506aと、外部回路と接続する金属ワイヤが固定されるパッド部としての第2の部分506bと、第1の部分506aおよび第2の部分506bを接続する第3の部分506cとを有する。また、光デバイス500は、半導体基板502の裏面に電極508を有する。
【0050】
図16(B)を参照すると、半導体メサ部503は、光を発する活性層503aと、活性層503aが間に配置されるよう設けられたクラッド層503b,503cと、を有する。クラッド層503b,503cは、活性層503aよりも小さい屈折率を有する。このため、活性層503aで発生した光は活性層503aに閉じ込められる。クラッド層503c上には、コンタクト層503dが設けられている。また、半導体メサ部503においては、活性層503aに導くための電流狭窄部としての半導体部503eが設けられている。半導体部503eは高抵抗半導体より構成されている。また、半導体部503eは、図16(B)に示す通り、活性層503aおよびクラッド層503b,503cを挟むように設けられている。このような構成により、半導体部503eは電流狭窄部として有効に働く。
【0051】
上記の半導体基板および各層の材料およびドーパントを例示すると、以下の通りである。
・半導体基板502:SnドープInP
・活性層503a:アンドープInGaAsP
・クラッド層503b:SiドープInP
・クラッド層503c:ZnドープInP
・コンタクト層503d:ZnドープInGaAs
・半導体部503e:FeドープInP
また、光デバイス500においては、半導体メサ部503の端面の一方は光反射膜(図示せず)から構成され、他方は光透過膜(図示せず)から構成されている。光反射膜の反射率は80〜90%とすることができ、光透過膜の反射率は0.05〜2%とすることができる。このような構成は、光共振器を構成している。
【0052】
図16(A),(B)を参照すると、樹脂部505には凹部505aが設けられている。凹部505aは、図16(A)から理解される通り、平面形状がほぼ円形の円形部と、円形部から延び平面形状が方形の方形部とを有している。図16(B)を参照すると、凹部505aには、電極506の第2の部分506bと第3の部分506c(一部)とが埋め込まれている。第2の部分506bは、凹部505aにより画定され、ほぼ円形の形状を有する。ただし、第2の部分506bは、楕円形、または略方形といった平面形状を有することができる。このような形状もまた樹脂部505に設けられた凹部505aにより画定される。
【0053】
光デバイス500においては、電極506の第2の部分506bと第3の部分506cが樹脂部505に形成されているため、素子容量が低減される。よって、光デバイス500の高周波特性が向上される。また、これらの部分506a,506bは樹脂部505に設けられた凹部505aに埋め込まれている。凹部505aに埋め込まれているため、第2の部分506bおよび第3の部分506cは、その底面だけでなく、その側面においても樹脂部505と接することとなる。したがって、電極506が樹脂部505から剥離するのが防止される。
(第4の実施形態)
続いて、図17(A),(B)を参照しながら、本発明に係る光デバイスの第4の実施形態について説明する。第4の実施形態の光デバイスは、第3の実施形態による光デバイス500と同様にファブリペロ型の半導体レーザデバイスである。
【0054】
図17(A)は、第4の実施形態による光デバイスの斜視図である。図17(B)は、図17(A)のI−I線に沿う断面を示す概略説明図である。図17(A)を参照すると、光デバイス600は、半導体基板602と、半導体基板602上に設けられた半導体メサ部603と、半導体基板602および半導体メサ部603を覆うように設けられた絶縁層604と、絶縁層604上に設けられた樹脂部605と、半導体メサ部に接続するとともに樹脂部605上に延びる電極606とを有する。半導体メサ部603は、例えば、第3の実施形態における光デバイス600の半導体メサ部603と同じ構成を有することができる。樹脂部605は、光デバイス600においてもBCB樹脂から構成されると好ましい。また、絶縁層604についても、第3の実施形態における絶縁層504と同様なシリコン系無機絶縁物から構成されることができる。
【0055】
電極606は、半導体メサ部603と電気的に接続しストライプ状の平面形状を有する第1の部分606aと、光デバイス600と外部回路とを接続するための金属ワイヤが固定される第2の部分606bと、第1の部分606aと第2の部分606bとを接続する第3の部分606cとを有する。また、光デバイス600においては、半導体基板602の裏面に電極607が設けられている。
【0056】
図17(A),(B)を参照すると、樹脂部605には凹部605aが設けられている。凹部605aは、図17(A)に示す通り、平面形状がほぼ円形の円形部と、円形部から延び平面形状が方形の方形部とを有している。また、図17(B)に示す通り、凹部605aには、電極606の第2の部分606bと第3の部分606cの一部とが埋め込まれている。第2の部分606bは、凹部605aにより画定され、ほぼ円形の形状を有する。
【0057】
光デバイス600においては、電極606の第2の部分606bと第3の部分606cの一部は、樹脂部605上に形成されている。このため、これらの部分と半導体基板602との距離は、これらの部分606b,606cが絶縁層604上に直接設けられている場合に比べ、遠くなる。したがって、素子容量が低減される。よって、光デバイス600の高周波特性が向上される。また、電極606の第2の部分606bの一部と、第3の部分606cとは樹脂部605に設けられた凹部605aに埋め込まれているため、電極606が樹脂部605から剥離するのが防止される。
(第5の実施形態)
次に、図18(A)〜(C)を参照しながら、本発明に係る光デバイスの第5の実施形態について説明する。第5の実施形態では、電気光学効果を利用した光変調器について説明する。図18(A)は、第5の実施形態における光デバイスの斜視図である。図18(B)は、第5の実施形態の光デバイスが有する光導波路の上面図である。図18(C)は、図18(A)のI−I線に沿った断面を示す概略説明図である。
【0058】
図18(A)を参照すると、光デバイス700は、電気光学結晶から構成される基板702と、基板702上に設けられた光導波路703と、基板702と光導波路703とを覆うように設けられた絶縁層704と、光導波路703を埋め込むよう設けられた樹脂部705と、電気光学結晶に電圧を印加して当該結晶の屈折率を変える電極706a,706bとを有する。光デバイス700では、電気光学結晶としてニオブ酸リチウム(LiNbO3)が用いられている。ただし、これに限られることなく、LiTaO3やBi12SiO20といった電気光学結晶を用いることができる。また、絶縁層704は、SiO2から構成されることができる。さらに、樹脂部705は、BCB樹脂から構成されることができる。樹脂部705の厚さは、4〜5μmであってよい。
【0059】
光導波路703は、チタン(Ti)を含有するLiNbO3から構成される。光導波路703を形成する手順の一例を以下に例示する。まず、基板702となるべきLiNbO3板を用意し、このLiNbO3板の表面にTiを所定の深さまで熱拡散する。ここで、所定の深さは、形成すべき光導波路703の厚さとほぼ等しい。次いで、当該表面に所定のパターンを有するマスク層を設ける。この後、このマスク層を用い、例えば、プラズマイオンエッチングといったエッチング法により、LiNbO3板をエッチングする。この結果、所定のパターンを有する光導波路703が形成される。なお、光導波路703は、機械加工によって形成されることもできる。すなわち、LiNbO3板にTiを熱拡散した後、このLiNbO3板を所定の機械加工装置により研削し、光導波路703を形成することができる。
【0060】
光デバイス700においては、光導波路703のパターンは以下の通りである。すなわち、図18(B)に示す通り、光導波路703は、外部からの光が入射される光入射部703aと光学的に接続するとともに光入射部703aからの光を2分岐する光分岐部703bと、光分岐部703bにおいて2分岐された光が各々伝搬する分岐導波路703c,703dと、分岐導波路703c,703dの各々を伝搬する光を合波する合波部703eと、合波部703eで合波された光を外部へ導く光出射部703fとを有する。
【0061】
図18(B)を参照すると、絶縁層704は、分岐導波路703c,703d上に開口部704aを有する。この開口部704aにおいて、電極706aは分岐導波路703cに接しており、電極706bは分岐導波路703dに接している。また、電極706a,706bは、樹脂部705に設けられた凹部705aに埋め込まれている。
【0062】
次に、光デバイス700の動作について説明する。光デバイス700においては、光入射部703aから入射された光は、光分岐部703bにより分岐されて、分岐導波路703c,703dへと至る。分岐導波路703c,703dには電極706a,706bを介して電圧が印加されており、この電圧により、分岐導波路703c,703dの屈折率が変化する。この電圧は所定の電気信号を含んでおり、この電気信号の強度変化に従って分岐導波路703c,703dを導波する光の強度が変調される。すなわち、分岐導波路703c,703dは、変調部を構成する。変調部で変調された光は光分岐部703eにおいて合波され、合波された光は光出射部703fから外部へと出射される。
【0063】
上述の通り、光デバイス700において、電極706a,706bは凹部705aに埋め込まれている。したがって、電極706a,706bの剥離が防止される。
【0064】
以上、幾つかの実施形態を参照しながら、本発明に係る光デバイスおよびその製造方法について説明したが、本発明はこれらに限られることなく、様々に変更可能である。
【0065】
第3および第4の実施形態においては、ファブリペロ型の半導体レーザデバイスを例示した。しかし、第3の実施形態による光デバイス500および第4の実施形態による600は、DFB(Distributed Feedback)型あるいはDBR(Distributed Bragg Reflector)型の半導体レーザデバイスであってよい。
【0066】
第1および第2の実施形態において、電流狭窄部としての半導体部は、高抵抗半導体より構成された。しかし、これに限らず、バッファ層上にn型半導体、p型半導体、およびn型半導体をこの順に積層することにより、半導体部を構成してもよい。
【0067】
また、第5の実施形態において光変調器を例示したが、本発明は、これに限ることなく、光スイッチ、方向性光結合器、SOA、光増幅器および光分波合波器といった光デバイスに適用可能である。
【0068】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、電極の剥離を防止できる構造を有する光デバイスおよびその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、第1の実施形態による光集積デバイスを示す斜視図である。
【図2】図2は、図1のI−I線に沿う断面図である。
【図3】図3は、図1のII−II線に沿う断面図である。
【図4】図4は、電源が接続された光集積デバイスを示す模式図である。
【図5】図5(A),(B)は、光集積デバイスを製造する方法を説明する図である。
【図6】図6(A),(B)は、光集積デバイスを製造する方法を説明する図である。
【図7】図7(A),(B)は、光集積デバイスを製造する方法を説明する図である。
【図8】図8(A),(B)は、光集積デバイスを製造する方法を説明する図である。
【図9】図9(A),(B)は、光集積デバイスを製造する方法を説明する図である。
【図10】図10(A),(B)は、光集積デバイスを製造する方法を説明する図である。
【図11】図11(A)〜(C)は、レジストマスクを形成する手順を説明する図である。
【図12】図12(A),(B)は、レジストマスクを形成する手順を説明する図である。
【図13】図13は、凹部の断面形状を説明する図である。
【図14】図14(A),(B)は、凹部の断面形状を説明する図である。
【図15】図15(A),(B)は、リフトオフ法による電極形成方法を説明する図である。
【図16】図16(A)は、第3の実施形態による光デバイスの斜視図である。図16(B)は、図16(A)のI−I線に沿う断面を示す概略説明図である。
【図17】図17(A)は、第4の実施形態による光デバイスの斜視図である。図17(B)は、図17(A)のI−I線に沿う断面を示す概略説明図である。
【図18】図18(A)は、第5の実施形態における光デバイスの斜視図である。図18(B)は、第5の実施形態の光デバイスが有する光導波路の上面図である。図18(C)は、図18(A)のI−I線に沿った断面を示す概略図である。
【符号の説明】
1…光集積デバイス、2a…発光素子部、2b…変調素子部、2c…分離部、3…バッファ層、5a…回折格子、6…活性層、8…第1の半導体層、10…第2の半導体層、12…半導体メサ部、16…半導体部、20…キャップ層、22…コンタクト層、24…樹脂埋込部、24a…凹部、28…電極、28a…パッド部、46…活性層、48…第4の半導体層、50…第5の半導体層、52…半導体メサ部、58…電極、58a…パッド部、74…外部信号、82…基板、82a…発光素子領域、82b…変調素子領域、82c…分離部領域、83…バッファ層、81…第2の半導体膜、86…活性層膜、88…第1の半導体膜、90…マスク、92…回折格子、96…活性層膜、110…キャップ膜、112…コンタクト膜、116…半導体埋込部、118…半導体メサ部、500…光デバイス、502…半導体基板、503…半導体メサ部、503a…活性層、503b…クラッド層、503c…クラッド層、503d…コンタクト層、503e…半導体層、504…絶縁層、505…樹脂部、505a…凹部、506…電極、507…トレンチ、508…電極、600…光デバイス、602…半導体基板、603…光導波路、603…半導体メサ部、604…絶縁層、605…樹脂部、605a…凹部、606…電極、700…光デバイス、702…基板、703…光導波路、704…絶縁層、704a…開口部、705…樹脂部、705a…凹部、706a,706b…電極。
Claims (5)
- 光を発生する活性層と前記活性層が間に配置されるよう設けられたクラッド層とを含み、III−V族化合物半導体から構成される半導体メサ部を半導体基板上に形成する工程と、
ビスベンゾシクロブテン樹脂で前記半導体メサ部を埋め込み、前記ビスベンゾシクロブテン樹脂が前記半導体メサ部の上部より盛り上がるように樹脂埋込部を形成する工程と、
前記樹脂埋込部上にレジスト膜を形成し、遮蔽部を有するフォトマスクを用いてレジスト膜を露光した後にレジスト膜の全面を露光してレジストマスクを形成し、当該レジストマスクを用いて前記樹脂埋込部をエッチングし、前記樹脂埋込部に凹部を形成する工程と、
前記凹部に埋め込むとともに、前記半導体メサ部に接続する電極を形成する工程と、
を備える、光デバイスの製造方法。 - 光を発生する活性層と、前記活性層が間に配置されるよう設けられたクラッド層と、前記活性層および前記クラッド層を挟むように設けられ、前記活性層に電流を導くための半導体部を含み、III−V族化合物半導体から構成される半導体メサ部と、
前記半導体メサ部に接続する電極と、
ビスベンゾシクロブテン樹脂から構成され、前記ビスベンゾシクロブテン樹脂で前記半導体メサ部を埋め込み、前記ビスベンゾシクロブテン樹脂が前記半導体メサ部の上部より盛り上がるように形成される樹脂埋込部と、
を備え、
前記樹脂埋込部の上面には凹部が設けられており、
前記凹部の形状は、前記凹部の側面が底部より開口部の間隔が広くなるように傾斜し、かつ、前記凹部の側面における底部に対する傾斜角度が開口部上端に近づくほど大きく、
前記凹部は前記電極で埋め込まれている、光デバイス。 - 前記半導体メサ部と前記樹脂埋込部との間に無機絶縁膜を更に備える請求項2に記載の光デバイス。
- 前記活性層と光学的に結合し前記活性層からの光が伝搬するとともに、電力の供給により該光に対する吸収率が変化する光導波路と、前記光導波路を挟むように設けられ、前記光導波路に電流を導くための第2の半導体部を含み、III−V族化合物半導体から構成される第2の半導体メサ部と、
前記第2の半導体メサ部に接続する第2の電極と、
ビスベンゾシクロブテン樹脂から構成され、前記ビスベンゾシクロブテン樹脂で前記第2の半導体メサ部を埋め込み、前記ビスベンゾシクロブテン樹脂が前記第2の半導体メサ部の上部より盛り上がるように形成される第2の樹脂埋込部と、
を更に備え、
前記第2の樹脂埋込部の上面には凹部が設けられており、
前記凹部の形状は、前記凹部の側面が底部より開口部の間隔が広くなるように傾斜し、かつ、前記凹部の側面における底部に対する傾斜角度が開口部上端に近づくほど大きく、
前記凹部は第2の電極で埋め込まれている、
請求項2又は請求項3に記載の光デバイス。 - 前記第2の半導体メサ部と前記第2の樹脂埋込部との間に無機絶縁膜を更に備える請求項4に記載の光デバイス。
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