JP4147732B2 - 永久磁石型回転電機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、永久磁石を有する磁石ロータがステータコアの内周面に対面しつつ回転する永久磁石型回転電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
同期機(いわゆるブラシレスDCモータを含む)としては、マグネット型ロ−タ構造や磁気突極型ロータ構造などが知られているが、いずれもこれらロータの界磁極ベクトル(回転ベクトル)と電機子電流ベクトル(回転ベクトル)との間の相対回動角度(位相角)を、電機子電流ベクトルを調整することにより、トルクや発電電圧を調整する制御を行うことが知られている。
【0003】
また、特開平11ー275789号公報は、埋め込み磁石式ロータの磁石挿入部近くのスリットに、遠心力により径外側に移動して界磁束を短絡する短絡鉄片を内蔵した埋め込み磁石式電動機を開示している。
【0004】
この短絡鉄片の移動によりステータコイルと鎖交する有効界磁束を減少させることができるため、上記した従来の同期機のように電機子電流ベクトルの位相制御(いわゆる弱め界磁)を行う必要がなく、電機子コイルにわざわざ界磁束減少のための弱め界磁電流を通電する必要がなく、効率を向上することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、短絡鉄片を用いる上記従来技術では、短絡鉄片を付勢するバネの弾性力と短絡鉄片の遠心力との微妙なバランスによって短絡鉄片の動作を制御しているため、ロータが速度変動あるいは急加減速しながら回転するときには磁束量が変動又は振動してしまい、ハンチングを起こしたり、必要なトルクや発電電圧を確保できないという問題があった。
【0006】
また、高速回転するロータに可動短絡鉄片を可動性を維持しつつ保持させるので、構造が複雑となることに起因して信頼性及び耐久性に劣るという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、動作信頼性に優れ、効率低下や発熱増大を抑止可能な永久磁石型回転電機を提供することをその目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の永久磁石型回転電機は、電機子コイルが巻装された電機子コアを有してハウジングに固定される固定子と、複数の永久磁石を有して前記電機子コアの内周面に対面しつつ回転する回転子とを備える永久磁石型回転電機において、前記回転子は、前記電機子コイルと鎖交する界磁束を形成する永久磁石を有して回転自在に配設される円筒状の径外側ロータと、前記径外側ロータの内周面に対面する外周面を有して回転自在に配設されて前記径外側ロータに対する相対角度位置により前記界磁束を調整する径内側ロータと、前記両ロータ間の相対角度位置を機械的に調整するロータ角度調整部とを備えることを特徴としている。
【0009】
すなわち、本構成の回転子は、ステータコアの内周面に対面して回転する磁石ロータ(径外側ロータ)の更に径内側に径内側ロータを設ける。これら両ロータは、前記永久磁石により形成される界磁束が流れる閉磁気回路のそれぞれ一部を構成する。
【0010】
本構成では、ロータ角度調整部を駆動してこの径内側ロータを磁石ロータに対して相対回動させることができるので、両ロータの周方向各部の磁気特性の一致の度合いに応じてステータコイルと鎖交する有効界磁束を調整し、回転電機の特性を最適状態に調整することができる。
【0011】
たとえば、高速回転時の過大な発電電圧を弱めたり、たとえば交直双方向変換回路の出力端が開放されて過大な発電電圧が交直双方向変換回路の内部半導体素子に長時間印加されるといった不具合を防止することができる。
【0012】
本構成によれば、上記短絡鉄片の使用による動作信頼性の低下を回避することができ、更に電機子コイルに弱め界磁電流を通電する必要がないので、効率低下や発熱増大を抑止することができる。
【0013】
また、無効な励磁電流ベクトルの通電削減に伴う電機子電流の最大値や実効値を低減できるので、電機子コイルに給電する交直双方向変換回路の半導体スイッチング素子を小型化でき、その発熱を低減することができる。
【0014】
請求項2記載の構成によれば請求項1記載の永久磁石型回転電機において更に、前記径内側ロータが、前記界磁束が流れる磁気回路の一部としてのヨーク部をなす磁気突極型ロータからなるので、径内側ロータを簡素な構成とすることができ、堅牢性を向上することができる。
【0015】
なお、本明細書でいう磁気突極型ロータとは、径内側ロータが軟磁性材料で構成されるとともに、外周面の周方向所定ピッチ離れた二点間の磁気抵抗が周方向各部において異なるロータを意味し、好適には、上記二点間の磁気抵抗は、上記二点を周方向に移動するにつれて、連続的に変化を繰り返す。
【0016】
請求項3記載の構成によれば請求項1記載の永久磁石型回転電機において更に、前記径外側ロータの前記永久磁石は、前記径外側ロータの内、外周面にそれぞれ複数の磁極を周方向極性交互に形成し、前記径内側ロータは、前記径内側ロータの外周面にそれぞれ複数の磁極を周方向極性交互に形成し、前記両ロータの前記磁極は、周方向同一ピッチで形成されることを特徴としている。
【0017】
本構成によれば、両ロータの各磁極が周方向に径方向同極性で対面する場合にほとんど有効界磁束は0に近くなり、径方向逆極性で対面する場合に並んだ場合に界磁束は径外側ロータ単独の場合に比較して略倍増することができ、トルク又は電圧調整範囲を大きく取ることができ、コンパクトかつ大出力化を実現することができる。
【0018】
請求項4記載の構成によれば請求項1乃至3のいずれか記載の永久磁石型回転電機において更に、前記ロータ角度調整部は、前記両ロ−タに個別に固定されるサンギヤと、同一の支軸にそれぞれ回転自在に支持されて前記両サンギヤに個別に噛合する遊星ギヤと、前記両遊星ギヤと個別に噛合する一対のリングギヤと、前記ハウジングに固定されて前記両リングギヤの一方を回動させるリングギヤ回動機構とを有する。
【0019】
本構成によれば、両ロ−タ間の相対回動角度を上述した遠心力及びスプリングの間の微妙な力のバランスで作動する可動短絡鉄片方式に比較して格段に動作信頼性に優れ、外部よりの振動などに対して異常作動しにくい遊星減速ギヤ機構を用いて合成界磁束を制御するので、信頼性、耐久性において格段に優れる。更に、リングギヤの一方を回動させるという簡素な構成で両ロータの相対回転変更を実現することができる。なお、リングギヤの他方はハウジングに固定すればよい。
【0020】
請求項5記載の構成によれば請求項1乃至4のいずれか記載の永久磁石型回転電機において、高速回転時又は動作不良時に、前記ロータ角度調整部の前記リングギヤ回動機構を駆動して前記電機子コイルと鎖交する前記界磁束を減少させる制御部を有する。
【0021】
このようにすれば、高速回転時に有効界磁束を減少するので過大な発電電圧が発生することがないので、たとえばバッテリが満充電となったり、交直双方向変換回路が不調となって発電電流がバッテリで十分に吸収できない場合、回転電機の出力端に大きな開放電圧が発生し、この開放電圧が平滑コンデンサやバッテリや交直双方向変換回路に悪影響を与えるという問題を防止することができる。
【0022】
好適な態様において、ステータ(電機子コイル)は、交直双方向変換回路と電力授受し、ロータ角度調整部は、電機子コイルの誘起電圧が所定しきい値以下となるように駆動される。
【0023】
このようにすれば、交直双方向変換回路の直流端子の外れや交直双方向変換回路の半導体スイッチング素子の動作不良などにより過大な電機子コイル誘起電圧が発生することがなく、交直双方向変換回路やその一対の直流端子間に接続される平滑コンデンサなどの絶縁に悪影響が長期にわたって加えられるのを防止することができ、信頼性を向上することができる。
【0024】
【発明を実施するための形態】
本発明の好適な態様を以下の実施例を参照して以下に説明する。
【0025】
【実施例1】
本発明の永久磁石型回転電機を用いた車両用回転電機の一例を、模式軸方向断面図である図1を参照して以下に説明する。
【0026】
(構成)
1は固定子、2は回転子、3はモータハウジング、4はギヤハウジング、5は出力軸である。
【0027】
固定子1は、積層電磁鋼板からなるステータコア301に電機子巻線(ステ−タコイル)302を巻装してなり、モータハウジング3の内周面に固定されている。
【0028】
回転子2は、径外側ロータ100と、径外側ロータ100の径内側に収容される径内側ロータ200とを有している。径内側ロータ200はシャフト201に嵌着、固定され、径外側ロータ100の両端面はフランジ状部材106、101に固定されている。フランジ状部材106は軸受け402を介してモータハウジング3に支持されている。
【0029】
径外側ロータ100は、積層電磁鋼板からなる円筒状の鉄心102と、鉄心102の内部に埋め込まれた永久磁石103とにより構成されている。図2に回転子2のAーA矢視断面を示す。
【0030】
鉄心102の外周部には8つの磁石挿入穴104が軸方向に貫設され、各磁石挿入穴104には、厚さ方向(回転子挿入状態で径方向)に着磁された8つの永久磁石103が極性交互に挿入されている。永久磁石103は、互いに磁極面の極性が反対となっている永久磁石103a、103bからなる。各磁石挿入穴104の両端部は径方向に延在して、漏れ磁束を低減している。105は、鉄心102の内周面に等ピッチで凹設されて軸方向に延在する8条の溝部であり、これら溝部105も漏れ磁束を低減している。
【0031】
径内側ロータ200は、シャフト201に嵌着、固定された積層電磁鋼板からなる鉄心202を有し、鉄心202は、図2に示すように、いわゆる磁気突極型ロータとなっている。更に説明すれば、鉄心202は、それぞれ径が異なる合計5つの部分円弧状溝部203a、203b、203c、203d、203eを同軸配置した円弧群を、鉄心202の外周部に周方向等ピッチで8個有している。部分円弧状溝部203a、203b、203c、203d、203eの両端は鉄心202の外周面近傍に達している。これにより、周方向に隣接する2つの円弧群の間が磁気突極部(磁化容易領域)の中心となり、各磁気突極部の周方向中心部が磁気凹極部(磁化困難領域)となる。
【0032】
フランジ状部材101の円筒状の軸部は軸受け401を介してモータハウジング3に支持されて、軸受けメタル403を介してシャフト201を回転自在に支持している。互いに径方向に同軸配置されたフランジ状部材101の軸部及びシャフト201の各前端部は、メカニカルシール902を貫通してギヤハウジング4内に突出している。
【0033】
ギヤハウジング4は、モータハウジング3の前端壁に固定され、内部に潤滑油が所定レベルまで注入されたギヤ室が形成され、ギヤ室内には遊星減速ギヤ機構が収容されている。
【0034】
フランジ状部材101の軸部とシャフト201の前端部には、サンギヤ502、503が軸方向に近接して固着され、サンギヤ502はプラネタリギヤ504を介してリングギヤ506に、サンギヤ503はプラネタリギヤ505を介してリングギヤ507に噛合している。プラネタリギヤ504、505は軸受509、510を介して共通のシャフト(支軸)508に回転自由に支承されている。シャフト508はシャフト(入出力軸)5の後端径大部に固定され、シャフト5の前端軸部は軸受405を介してギヤハウジング4に回転自在に支承されてメカニカルシール901を貫通して外部に突出している。
【0035】
リングギヤ506はギヤハウジング4の内周面に固定され、リングギヤ507は軸受511を介してギヤハウジング4の内周面に回動自在に支承されている。リングギヤ507の前側面は、ギヤハウジング4に設けられた回転型アクチュエータ700の出力軸に設けられたウォームギヤ701と噛合するギヤ部512を有している。
【0036】
801は回転位置センサであって、径外側ロータ100の回転角度位置をセンシングしている。
【0037】
(基本動作)
径外側ロータ100が電機子コイル302の回転磁界に同期して回転する時、径内側ロータ200もサンギヤ503がプラネタリギヤ505により駆動されて同速回転する。回転型アクチュエータ700のウォームギヤ701を回転させてリングギヤ(インターナルギヤ)507を回動させると、それに応じてサンギヤ503が回動し、径内側ロータ200を径外側ロータ100に対して相対回動させることができる。この両ロ−タ100,200間の相対角の調節により、永久磁石103が形成してステータコイル(電機子コイル)302と鎖交する有効界磁束の量が調整される。
【0038】
たとえば、図2は、径内側ロータ200が径外側ロータ100の界磁束を最も通過させ易い相対角度位置(磁化容易位置)を示し、有効界磁束は最大となる。図3は、径内側ロータ200が径外側ロータ100の界磁束を最も通過させにくい相対角度位置(磁化容易位置)を示し、有効界磁束は最小となる。すなわち、両ロ−タ100,200間の相対角の調節による有効界磁束の調節は、トルクや発電電圧の調節に利用することができる。なお、鉄心202には電磁鋼板ではなく安価な軟鉄心を用いてもよい。
【0039】
本実施例による機械的界磁束制御による効果を図10、図11を参照して以下に説明する。図10、図11中、%表示された数値は永久磁石型回転電機の効率を示す。
【0040】
永久磁石型回転電機すなわち磁石ロータを有する同期機では、トルク制御のために、トルク電流と、このトルク電流とπ/2位相差をもつ界磁束制御電流とを独立に制御し、前者でトルクを制御し、後者で永久磁石の界磁束(磁石磁束)を通常弱め側に制御している。この界磁束制御電流は、よく知られているように高速回転時にステータコイルの誘起電圧が増大して電機子電流を流しにくくなるため、磁石磁束を逆方向の界磁束制御電流の界磁束(電流磁束)で一部相殺して合成界磁束を減少させるために行われる。図11に示す本実施例では、回転数に応じて連続的に両ロータの相対角度を調整して界磁束が流れる磁気回路の磁気抵抗を回転数が増大するほど大きくする。したがって、図10に示す従来の弱め界磁束制御電流の通電量を減らしても、図10と同一のトルクー速度特性を実現することができる。この弱め界磁束制御電流を低減できるということは、電機子コイルの銅損、電力損失を低減できるので、温度上昇抑止及び効率向上の点で極めて有利となる。なお、径内側ロータ200の回動制御は上記のように回転数に応じて連続的に調整してもよく、又は段階的に制御してもよい。ただし、どちらにしても、万が一、制御回路の不調などにより電機子コイルに開放誘起電圧が生じても、この開放誘起電圧が回路系に問題を生じない範囲に保たれるように、径内側ロータ200の回動角と回転数との関係を設定することが重要である。この設定は、検出した回転数をコントローラに入力し、コントローラに上記関係をデジタル又はアナログ情報の形式で記憶するか又は回路構造の形式で固定しておき、入力回転数とこの関係とから必要な回動角を抽出すればよい。
【0041】
この種の制御装置の一例を図13に示す。この制御装置は典型的には後述する図9の回路におけるマイコン内蔵のコントローラ4000で実行できる。まず回転数を検出し(S200)、回転数に応じた径内側ロータ200の回動角をマップからサーチし(S202)、径内側ロータ200の回動角がマップから求めた回動角に一致するようにコントローラ4000を制御すればよい。この種の制御装置自体は、電気制御技術では周知事項であるので、これ以上の詳細な説明は省略する。もちろん、回動角と回転数との関係を段階的に設定して回路構造を簡素化することも可能である。
【0042】
上記説明したこの実施例の永久磁石型回転電機では、並列型遊星減速ギヤ機構の一方のリングギヤを回動制御可能とすることにより、有効界磁束を調節することができるので、高回転数域においても弱め界磁を行う必要はなく、又は、それを行う場合でも電流を低減することができる。図8に回転数と誘起電圧(発電電圧)との関係を示す。
【0043】
(変形態様)
径内側ロータ200の変形例を図4,図5に示す。この変形態様では径内側ロータ200は磁気突極型ロータであることは上記実施例1と同じであるが、径内側ロータ200を構成する鉄心202aは4つの径外方向突起部を有する構造を有している。
【0044】
図4は、径内側ロータ200が径外側ロータ100の界磁束を最も通過させ易い相対角度位置(磁化容易位置)を示し、有効界磁束は最大となる。図5は、径内側ロータ200が径外側ロータ100の界磁束を最も通過させにくい相対角度位置(磁化容易位置)を示し、有効界磁束は最小となる。すなわち、両ロ−タ100,200間の相対角の調節による有効界磁束の調節は、トルクや発電電圧の調節に利用することができる。なお、鉄心202aには電磁鋼板ではなく安価な軟鉄心を用いてもよい。
【0045】
この変形態様においても、実施例1と同様の効果を奏することができる。
【0046】
【実施例2】
本発明の他の実施例を図6,図7を参照して以下に説明する。ただし、実施例1の構成要素と主要機能が共通する構成要素には同一符号を付す場合もあるものとする。
【0047】
この実施例は、図1〜図3に示す径内側ロータ200を磁気突極型ロータから磁石ロータに変更した点に特徴がある。この径内側ロータ200は、鉄心202と、この鉄心202に埋設された永久磁石205からなる。
【0048】
鉄心202の外周部には8つの磁石挿入穴204が軸方向に貫設され、各磁石挿入穴204には、厚さ方向(回転子挿入状態で径方向)に着磁された8つの永久磁石205が極性交互に挿入されている。永久磁石205は、互いに磁極面の極性が反対となっている永久磁石205a、205bからなる。
【0049】
図6は、径内側ロータ200が径外側ロータ100の界磁束を最も通過させ易い相対角度位置(磁化容易位置)を示す。
【0050】
径内側ロータ200の永久磁石205aの外周側のN極面は径外側ロータ100の永久磁石103aの内周側のS極面に鉄心102、202を介して対面する。径内側ロータ200の永久磁石205bの外周側のS極面は径外側ロータ100の永久磁石103bの内周側のN極面に鉄心102、202を介して対面する。したがって、有効界磁束は最大となる。
【0051】
図7は、径内側ロータ200が径外側ロータ100の界磁束を最も通過させにくい相対角度位置(磁化容易位置)を示す。
【0052】
径内側ロータ200の永久磁石205aの外周側のN極面は径外側ロータ100の永久磁石103bの内周側のN極面に鉄心102、202を介して対面する。径内側ロータ200の永久磁石205bの外周側のS極面は径外側ロータ100の永久磁石103aの内周側のS極面に鉄心102、202を介して対面する。したがって、有効界磁束は最小となる。
【0053】
この変形態様においても、実施例1と同様の効果を奏することができる。
【0054】
【実施例3】
上記実施例1又は2の回転電機を電気自動車又はハイブリッド電気自動車又は燃料電池自動車の走行モータとして用いる実施例を図9に示すブロック回路図を参照して説明する。
【0055】
1000は上記実施例1又は実施例2で説明した回転電機、2000は回転機1000とバッテリ3000との間の電力授受を制御する三相インバータ回路(交直双方向変換回路)、700は回転型アクチュエータ、801は回転機のロータ位置を検出する回転位置センサ、4000は回転位置センサ801からのロータ角度および外部からのトルク指令に基づいてインバータ2000を制御するコントローラ、5000はバッテリ3000と並列接続された平滑コンデンサである。
【0056】
高速走行時にコントローラ4000が行うインバータ2000の制御が不調となり、その上、バッテリ3000が満充電などで電流吸収ができない場合を考える。
【0057】
通常の同期機であれば、電機子電流が流れないということは電機子コイルの三相出力端が開放されたに等しいために、電機子コイルの三相出力端に誘導される発電電圧は開放電圧にほとんど等しくなり、高速走行時には大きな発電電圧が三相インバータ回路2000の各半導体スイッチング素子や平滑コンデンサ5000やバッテリ3000に高速走行期間中ずっと印加され、それらに悪影響を及ぼすことを免れない。これが、マグネット型ロ−タ型同期機を車両走行モータとして用いる場合における従来では解決が困難であった重大問題である。
【0058】
これに対し、本実施例では、回転機1000の発電電圧はロータ相対角度の調整更に具体的に言えば回転型アクチュエータ700による径内側ロータ200の相対角度制御により、この発電電圧を減少させることができる。
【0059】
その結果、インバータ2000や平滑コンデンサ5000の必要耐圧を低減することができ、バッテリ3000の過充電防止を実現することができる。
【0060】
(制御例1)
コントローラ4000による径内側ロータ200の一つの回動制御例を図12に示す。
【0061】
図12では、まず回転数が所定値を超えた高速運転状態でインバータ制御不良かどうかを検出し(S100)、そうであればバッテリが満充電かどうかを調べ(S102)、そうであれば径内側ロータ200の回動角を有効界磁束が最小になるように制御する(S104)。
【0062】
このようにすれば、高速運転時に突然、インバータ2000がそれを構成するスイッチング素子の不良により動作不良となった場合でも、高い誘起電圧がバッテリ3000や平滑コンデンサ5000に印加されてそれらの寿命低下を生じさせることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の永久磁石型回転電機の模式軸方向断面図である。
【図2】 図1の永久磁石型回転電機(界磁束最大状態)のA−A線矢視模式断面図である。
【図3】 図1の永久磁石型回転電機(界磁束最小状態)のA−A線矢視模式断面図である。
【図4】 図1の永久磁石型回転電機(界磁束最大状態)の変形態様のA−A線矢視模式断面図である。
【図5】 図1の永久磁石型回転電機(界磁束最小状態)の変形態様のA−A線矢視模式断面図である。
【図6】 図1の永久磁石型回転電機(界磁束最大状態)の他の実施例のA−A線矢視模式断面図である。
【図7】 図1の永久磁石型回転電機(界磁束最小状態)の他の実施例のA−A線矢視模式断面図である。
【図8】 図1の永久磁石型回転電機(界磁束最小状態)の回転数と電機子コイル誘起電圧との関係を示す特性図である。
【図9】 図1の永久磁石型回転電機を車両走行モータとして用いる制御装置を示すブロック回路図である。
【図10】従来の永久磁石型回転電機のトルクー回転数特性図である。
【図11】図1の永久磁石型回転電機のトルクー回転数特性図である。
【図12】図9の制御装置による一制御例を示すフローチャートである。
【図13】図9の制御装置による他の制御例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
100:径外側ロータ
200:径内側ロータ
700:回転アクチュエータ(ロ−タ角度調整部)
Claims (5)
- 電機子コイルが巻装された電機子コアを有してハウジングに固定される固定子と、複数の永久磁石を有して前記電機子コアの内周面に対面しつつ回転する回転子とを備える永久磁石型回転電機において、
前記回転子は、
前記電機子コイルと鎖交する界磁束を形成する永久磁石を有して回転自在に配設される円筒状の径外側ロータと、
前記径外側ロータの内周面に対面する外周面を有して回転自在に配設されて前記径外側ロータに対する相対角度位置により前記界磁束を調整する径内側ロータと、
前記両ロータ間の相対角度位置を機械的に調整するロータ角度調整部と、
を備えることを特徴とする永久磁石型回転電機。 - 請求項1記載の永久磁石型回転電機において、
前記径内側ロータは、前記界磁束が流れる磁気回路の一部としてのヨーク部をなす磁気突極型ロータからなることを特徴とする永久磁石型回転電機。 - 請求項1記載の永久磁石型回転電機において、
前記径外側ロータの前記永久磁石は、前記径外側ロータの内、外周面にそれぞれ複数の磁極を周方向極性交互に形成し、
前記径内側ロータは、前記径内側ロータの外周面にそれぞれ複数の磁極を周方向極性交互に形成し、
前記両ロータの前記磁極は、周方向同一ピッチで形成されることを特徴とする永久磁石型回転電機。 - 請求項1乃至3のいずれか記載の永久磁石型回転電機において、
前記ロータ角度調整部は、前記両ロ−タに個別に固定されるサンギヤと、
同一の支軸にそれぞれ回転自在に支持されて前記両サンギヤに個別に噛合する遊星ギヤと、
前記両遊星ギヤと個別に噛合する一対のリングギヤと、
前記ハウジングに固定されて前記両リングギヤの一方を回動させるリングギヤ回動機構と、
を有することを特徴とする永久磁石型回転電機。 - 請求項1乃至4のいずれか記載の永久磁石型回転電機において、
高速回転時又は動作不良時に、前記ロータ角度調整部の前記リングギヤ回動機構を駆動して前記電機子コイルと鎖交する前記界磁束を減少させる制御部を有することを特徴とする永久磁石型回転電機。
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