JP4147609B2 - 脱リン装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はリン含有水中のリンをMAP(リン酸マグネシウムアンモニウム)として除去する装置に係り、特にMAP生成のためのマグネシウム源として水酸化マグネシウムを用いるようにした脱リン装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
下水、し尿、排水等の嫌気、好気処理工程で発生する汚泥脱水濾液、消化脱離液等のリン含有水からリンを除去する方法として、従来、リン含有水中にマグネシウムイオンを添加して、該水中に含有されるアンモニア成分及びリンとマグネシウムイオンとからMAPを生成させ、生成したMAP粒子を分離回収する方法が提案されている。
【0003】
このMAP生成反応を利用する従来の脱リン装置では、MAP粒子を充填した反応塔に、リン含有水を上向流で通水し、マグネシウム塩(通常は塩化マグネシウム)を添加すると共に必要に応じてアルカリ(通常はNaOH)を添加してpH8以上に調整しMAPを該MAP粒子上に析出させる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようにMAPプロセスによる従来の脱リン装置にあっては、マグネシウムイオン源として塩化マグネシウムを添加しているが、この塩化マグネシウムは水酸化マグネシウムよりも高価であり、安価な水酸化マグネシウムの使用が期待されている。ところが、水酸化マグネシウムの水に対する溶解度は塩化マグネシウムに比べるとかなり低く、水酸化マグネシウムスラリーの水中にはマグネシウムイオンは数ppm程度しか存在しない(pH約10.5)。特に、MAP析出反応が進行するpH8〜9のアルカリ性の水に対する水酸化マグネシウムの溶解速度はかなり低い。このため、MAP析出反応において水酸化マグネシウムの溶解速度が律速となり、リン除去のための処理時間が著しく長いものとなる。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決し、安価な水酸化マグネシウムを用いてMAP粒子を効率よく生成させることができる脱リン装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の脱リン装置は、リン含有水を反応塔下部に導入し、処理水を反応塔上部より取り出す脱リン装置において、水酸化マグネシウムと水酸化マグネシウムの0.3〜0.8当量の硫酸とを混合して該リン含有水に添加する手段を設け、リン含有水中のリンをリン酸マグネシウムアンモニウムとして除去することを特徴とするものである。
【0007】
このように硫酸を添加することにより水酸化マグネシウムの溶解が促進され、MAP析出反応速度が大きくなる。この硫酸の添加量は水酸化マグネシウムの当量よりも少なくて良い。これは、硫酸の添加量が水酸化マグネシウムの当量よりも少なく、水酸化マグネシウムが酸によっては溶解しきれない場合であっても、硫酸に溶解することにより一部凝集して大きな粒径になっている2次粒子を単粒子(1次粒子)に分散させ、また、1次粒子自身の粒径が小さくなり、水酸化マグネシウムの溶解が促進されるからである。なお、硫酸の水酸化マグネシウムに対する比率は、0.3〜0.8当量であり、特に0.5〜0.7当量であることが好ましい。
【0008】
この硫酸と水酸化マグネシウムとは、被処理水(リン含有水)に対し硫酸と水酸化マグネシウムとを混合してからリン含有水に対しこの混合後の液を添加する。
【0009】
この硫酸、水酸化マグネシウムは、反応塔に導入される前のリン含有水に対し添加されても良く、反応塔内に導入されたリン含有水に対し硫酸添加水酸化マグネシウムを供給しても良い。
【0010】
本発明において、リン含有水としては汚泥溶融時の電気集塵排水(リン濃度約70〜80ppm)、下水またはし尿、下水又はし尿等の処理工程で発生する汚泥脱水濾液、消化脱離液などが例示される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
図1は請求項1の発明の実施の形態に係る脱リン装置を示す概略的な断面図である。
【0013】
反応塔1の下部に、ポンプP1を有した原水(下水、し尿の嫌気消化脱離液、生し尿等のリン含有水)の導入配管2が接続され、反応塔1の上部に処理水の取出配管3が接続されている。11は溢流堰、12はpH計である。なお、反応塔1の頂部は開放している。
【0014】
反応塔1の下部はMAP粒子を引き抜き易いようにコーン状とされている。反応塔1の下部には水酸化マグネシウムのスラリー(混合槽4Aにおいて水酸化マグネシウムに対し0.3〜0.8当量の硫酸を加えて水酸化マグネシウムを部分的に溶解させた水酸化マグネシウムスラリー)の供給管4及びNaOH等のアルカリ剤の供給管5が接続され、底部にはMAP粒子の排出管6が設けられている。6aはバルブを示す。
【0015】
反応塔1内の下部には散気管10が設けられている。なお、この散気管10を省略し、上昇水流によってMAP粒子を展開させるようにしても良い。
【0016】
溢流堰11を溢流した水の一部を塔底部へ循環させるように配管7、ポンプP2及び配管8が設けられている。
【0017】
配管7への水の取り出しは、溢流堰11に限らず、取出配管3であっても良く、また反応塔1内の液面から1m以内程度の反応塔1上部であっても良い。
【0018】
散気管10を設置する場合は、反応塔1の下部における円筒部とコーン部との境界部から上方10cm以内に配置するのが好ましい。配管2,4,5,8は反応塔1の下端から20cm以内の高さに接続されるのが好ましい。
【0019】
以下に、この脱リン装置の作動について説明する。
【0020】
反応塔1の下部に配管2から原水が導入される。反応塔1では、MAPが析出するpH条件、即ちpH約8〜10となるように、供給管5よりNaOH等のアルカリ剤が注入される。また、供給管4より水酸化マグネシウムスラリーが注入される。
【0021】
反応塔1内では、既に析出しているMAP粒子を種晶としてMAPが造粒される。即ち、原水の流入と処理水の循環及び散気管10からの曝気によりMAP粒子が流動状態となり、このMAP粒子の表面に新たなMAPが析出し、MAP粒子が粒成長する。
【0022】
このMAPの析出プロセスにおいて、原水のリン濃度が過度に高いと、種晶の表面以外の液中でMAPの微小結晶が自己析出し、MAP粒子が粒成長しにくいという不具合があるが、この脱リン装置では、反応塔1の処理水を配管7,8及びポンプP2により循環することにより、反応塔1内のMAP析出反応部のリン濃度を低下させることができる。
【0023】
これにより反応塔1内のMAPの過飽和度が低下し、MAPは微小結晶として自己析出することなく、殆どが種晶のMAP粒子の表面で析出してMAP粒子の粒成長を促進する。この処理水の循環は、反応塔1内の反応部のリン濃度をリン酸塩濃度100mg/L以下、特に40〜80mg/Lとなるように行うのが好ましい。
【0024】
MAPの析出によりリン濃度が低下した処理水は、取出配管3より排出される。
【0025】
反応塔1内のMAP粒子量が所定以上になったときには、反応塔1下部の排出管6より間欠的又は連続的に取り出す。
【0026】
なお、図示の例では、水酸化マグネシウムスラリー及びアルカリ剤のみを添加しているが、MAPの生成にアンモニア成分が不足する場合には、反応塔に更にアンモニア又はアンモニウム塩を添加する。
【0027】
図1では水酸化マグネシウムスラリーを反応塔1に添加しているが、原水供給配管2に対し水酸化マグネシウムスラリーを添加しても良い。例えばMg(OH)2スラリーに対し硫酸を添加し、この混合液を原水供給管2に添加しても良い。
【0028】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0029】
実施例1
図1に示す装置(ただし、散気管は設置せず。)の各部材の寸法等を次の通りとした。
【0030】
反応塔1
反応部 高さ 1500mm, 直径 50mm,
コーン状部分 高さ 43mm
分離部 高さ 150mm, 直径 70mm
通水条件は次の通りとした。
【0031】
原水:次の濃度となるようにリン酸1カリウム及び塩化アンモニウムを水に溶解したもの。
【0032】
PO4−P 150ppm
NH4−N 600ppm
pH 7.3
原水供給量:35.7L/Hr(原水の反応塔の反応部内平均滞留時間:5分)
循環流量:82L/Hr
反応部の上向流LV:60m/Hr
マグネシウム剤:Mg(OH)2の1wt%スラリーに対し、混合槽4Aにおいて硫酸
をMg(OH)2の0.5当量だけ添加した液(スラリー)。このス
ラリーを原水PO4−P濃度に対し、Mg/Pのモル比が1.5とな
るよう添加
NaOH添加量:1%溶液を、溢流液pHが8.0となるよう添加
初期種晶 :0.5〜1mmのMAP1500g
上記条件にて3日間連続通水し、処理水中のPO4−Pの濃度を測定した結果を表1に示す。
【0033】
比較例1
水酸化マグネシウム及び硫酸を全く使用せず、供給配管4から反応塔1にMgCl2の1%水溶液をMg/P(モル比)=1.5となるように供給したこと以外は実施例1と同一の脱リン装置を用い、同一条件にてこの脱リン装置の運転を行い、処理水中のPO4−P濃度を測定した。結果を表1に示す。
【0034】
比較例2
実施例1において混合槽4Aへの硫酸添加を停止した。また原水流量及び循環水量を表1の通りとし、原水の反応部内の平均滞留時間を30分とした。なお、Mg(OH)2の添加量を表1の通り増大させた。
【0035】
その他は実施例1と同様にして脱リン装置の運転を行い、処理水中のPO4−P濃度を測定した。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
表1から明らかな通り、実施例1によればMgCl2を用いた比較例1と同等のリン除去を行うことができる。Mg(OH)2のみを用いる比較例2は、これらに比べリン除去性能に劣る。
【0038】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の脱リン装置によれば、原水のリンをMAP粒子として除去、回収する脱リン装置において、安価な水酸化マグネシウムを用いて効率よく脱リン処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る脱リン装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1 反応塔
7,8 循環用配管
10 散気管
Claims (1)
- リン含有水を反応塔下部に導入し、処理水を反応塔上部より取り出す脱リン装置において、
水酸化マグネシウムと水酸化マグネシウムの0.3〜0.8当量の硫酸とを混合して該リン含有水に添加する手段を設け、
リン含有水中のリンをリン酸マグネシウムアンモニウムとして除去することを特徴とする脱リン装置。
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