次に、本発明の記録媒体、記録方法、記録装置の形態について説明する。本発明の記録媒体は、誤り訂正ブロック単位毎に一の情報を記録する際に、追加記録の先頭を示すリンキング位置を前記誤り訂正ブロック内の特定位置に設けた記録媒体であって、前記各誤り訂正ブロックは、所定数のセクターから構成され、前記各セクターは、所定数のシンクフレームから構成され、前記リンキング位置は、特定の前記セクター内の特定の前記シンクフレームの先頭位置付近のデータ領域に設けられていることを特徴とする記録媒体である。
また、本発明の記録媒体は、誤り訂正ブロック単位毎に一の情報を記録する際に、追加記録の先頭を示すリンキング位置を前記誤り訂正ブロック内の特定位置に設けた記録媒体であって、前記各誤り訂正ブロックは、16のセクターから構成され、前記各セクターは、26のシンクフレームから構成され、前記リンキング位置は、第1セクター内の第3シンクフレームのシンクコードの直後のデータ領域内に設けられていることを特徴とする記録媒体である。
また、本発明の記録媒体は、誤り訂正ブロック単位毎に一の情報を記録する際に、追加記録の先頭を示すリンキング位置を前記誤り訂正ブロック内の特定位置に設けた記録媒体であって、前記各誤り訂正ブロックは、16のセクターから構成され、前記各セクターは、26のシンクフレームから構成され、前記リンキング位置は、第1セクター内の第3シンクフレームのシンクコードの直後のデータ領域内であり、かつ前記データ領域の先頭バイトから10バイトまでの間に設けられていることを特徴とする記録媒体である。
また、本発明の記録方法は、誤り訂正ブロック単位毎に一の情報を追加記録する際に、追加記録の先頭を示すリンキング位置を記録媒体の前記誤り訂正ブロック内の特定位置に設ける記録方法であって、前記記録媒体上に追加記録しようとする一の情報の誤り訂正ブロック内の特定のセクターを検出する第1のステップと、前記特定のセクターを構成する複数のシンクフレームから特定のシンクフレームを検出する第2のステップと、前記第2のステップで検出された前記特定のシンクフレーム内のデータ領域の先頭バイトをリンキング位置として、新たな一の情報を追加記録する第3のステップとを備えたことを特徴とする記録方法である。
また、本発明の記録装置は、誤り訂正ブロック単位毎に一の情報を記録する際に、追加記録の先頭を示すリンキング位置を記録媒体の前記誤り訂正ブロック内の特定位置に設ける記録装置であって、前記記録媒体上に追加記録しようとする一の情報の誤り訂正ブロック内の特定のセクターを検出する第1の検出手段と、前記特定のセクターを構成する複数のシンクフレームから特定のシンクフレームを検出する第2の検出手段と、前記第2の検出手段で検出された前記特定のシンクフレーム内のデータ領域の先頭バイトをリンキング位置として、新たな一の情報を追加記録する記録手段とを備えたことを特徴とする記録装置である。
さらに、本発明の記録媒体は、予め設定された誤り訂正の横列と縦列の単位毎に予め分割された記録情報に対して所定の信号処理を施し、複数の記録単位よりなる処理記録情報を記憶する情報記録媒体であって、追記記録する位置が前記誤り訂正の横列の先頭位置であることを特徴とする記録媒体である。
さらに、本発明の記録媒体は、前記予め設定された誤り訂正の横列にはシンクコード等の制御情報の後に、記録情報が配置される構造であって、追記記録する位置が前記誤り訂正の横列のシンクコード等の制御情報の直後の位置であることを特徴とする記録媒体である。
さらに、本発明の記録方法は、予め設定された誤り訂正の横列と縦列の単位毎に予め分割された記録情報に対して所定の信号処理を施し、複数の記録単位よりなる処理記録情報を生成し、当該処理記録情報を情報記録媒体に記録する情報記録方法であって、前記処理記録情報を生成し、前記情報記録媒体に追記記録する位置が前記誤り訂正の横列の直後の位置とすることを特徴とする記録方法である。
さらに、本発明の記録方法は、前記予め設定された誤り訂正の横列にはシンクコード等の制御情報の後に、記録情報が配置される構造であって、情報記録媒体に追記記録する位置を前記誤り訂正の横列のシンクコード等の制御情報の直後の位置とすることを特徴とする記録方法である。
さらに、本発明の記録装置は、予め設定された誤り訂正の横列と縦列の単位毎に予め分割された記録情報に対して所定の信号処理を行う手段、複数の記録単位よりなる処理記録情報を生成する手段、当該処理記録情報を情報記録媒体に記録する情報記録手段、前記情報記録媒体に追記記録する位置が前記誤り訂正の横列の直後の位置とする追記記録手段からなることを特徴とする記録装置である。
さらに、本発明の記録装置は、前記予め設定された誤り訂正の横列にはシンクコード等の制御情報の後に、記録情報が配置される構造であって、前記情報記録媒体に追記記録する位置を前記誤り訂正の横列のシンクコード等の制御情報の直後の位置追記記録手段からなることを特徴とする記録装置である。
次に、本発明の記録媒体、記録方法、記録装置の好適な実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態は、DVD−RWに対して情報を記録するための情報記録装置について本発明を適用した実施の形態を説明するものであるが、他の追加記録可能なCD−R、CD―RW、DVD+RW等の記録媒体を用いても本発明を適用できることは言うまでもない。
「記録フォーマットの実施の形態」以下、まず、本発明に用いられる「記録フォーマットの実施の形態」について説明する。始めに、DVD−RWに記録情報を記録する際の一般的な物理フォーマット及び当該記録情報における誤り訂正処理について、図1、図2及び図3を用いて説明する。
先ず、本実施の形態のDVD−RWにおける誤り訂正処理及び当該誤り訂正処理における誤り訂正単位としてのECCブロックについて、図1を用いて説明する。
一般に、DVD−RWに記録される記録情報は、図1(A)に示すデータセクター20を複数個含む物理構造を成して構成されている。そして、一のデータセクター20中には、その先頭から、データセクター20の開始位置を示すID情報21と、当該ID情報21の誤りを訂正するためのID情報誤り訂正コード(IED)22と、予備データ(例えばCPM)23と、記録すべき主たるデータを格納するデータ領域24と、データ領域24におけるエラーを検出するためのエラー検出コード(EDC)25とにより構成され、このデータセクター20が複数連続することにより記録すべき記録情報が構成されている。
次に、このデータセクター20を用いてECCブロックを構成する際の処理を、図1(B)を用いて説明する。データセクター20を用いてECCブロックを構成する際には、図1(B)に示すように、始めに、一のデータセクター20を横に172バイト毎に分割し、分割した夫々のデータ(これを、以下、データブロック33という。)を垂直方向に並べる。このとき、垂直方向には12行のデータブロック33が並ぶこととなる。
そして、垂直方向に並べた横の夫々のデータブロック33に対して10バイトのECC内符号(PI(Pality In )符号)31を当該データブロック33の最後に付加して一の訂正ブロック34を構成する。この段階では、ECC内符号31が付加された訂正ブロック34が垂直方向に12行並んでいることとなる。その後、この処理を16のデータセクター20分だけ繰返す。これにより、192行の訂正ブロック34が得られる。
次に、上記の192行の訂正ブロック34が垂直方向に並べられた状態で、今度は、当該192行の訂正ブロック34を1バイト毎に最初から垂直方向に分割し、分割した夫々のデータに対して16個のECC外符号(PO(Pality Out)符号)32を付加する。なお、当該ECC外符号32は、上記訂正ブロック34のうち、ECC内符号31の部分に対しても付加される。
以上の処理により、16のデータセクター20を含む一のECCブロック30が図1(B)に示すように形成される。このとき、一のECCブロック30内に含まれる情報の総量は、(172+10)バイト×(192+16)行=37856バイトであり、この内、実際のデータ領域24内に記録されるデータは、2048バイト×16=32768バイトとなる。
また、図1(B)に示すECCブロック30においては、1バイトのデータを「D#.*」で示している。例えば、「D1.0」は第1行第0列に配置されている1バイトのデータを示しており、「D190.170」は第190行第170列に配置されている1バイトのデータを示している。従って、ECC内符号31は第172列乃至第181列に配置され、ECC外符号32は第192行乃至第207行に配置されることとなる。
更に、一の訂正ブロック34はDVD−RW上には連続して記録される。ここで、図1(B)に示すように、ECCブロック30をECC内符号31とECC外符号32の双方を含むように構成するのは、図1(B)における横(水平)方向に並んでいるデータの訂正をECC内符号31で行い、図1(B)における縦(垂直)方向に並んでいるデータの訂正をECC外符号32で行うためである。すなわち、図1(B)で示すECCブロック30内においては、横(水平)方向と縦(垂直)方向の二重に誤り訂正することが可能となり、従来のCD(Compact Disk)等に用いられている誤り訂正処理に比してより強力に誤り訂正ができるように構成されている。
この点についてより具体的には、例えば、一の訂正ブロック34(上述のように、一行分のECC内符号31を含んで計182バイトのデータを含み、連続してDVD−RW上に記録される。)が5バイトまでであれば、キズ等により破壊されたとしても訂正可能であるが、6バイト以上で1列全てがDVD−RWのキズ等により破壊されたすると、ECC内符号31では訂正できなくなる。しかし、1列全てがキズ等により破壊されたするととしても、それを垂直方向から見ると、1列のECC外符号32に対して1バイトのデータ破壊でしかない。従って、夫々の列のECC外符号32を用いて誤り訂正を行えば、たとえ一の訂正ブロック34の全てが破壊されていても、正しく誤り訂正を行って正確に再生することができるのである。ただし、後天的な傷の発生等を考慮すれば、横列(水平)の傷は大きくなると、次の垂直方向の横列(水平)のエラーにもつながるので最小限に留めることはいうまでもない。ちなみに、この縦方向のエラーについては横8列(イレージャー訂正で16列)あっても訂正可能である。
次に、図1(B)で示すECCブロック30に構成されたデータセクター20が、具体的にDVD−RWにどのように記録されるかについて、図2を用いて説明する。なお、図2において、「D#.*」で示されるデータは、図1(B)内に記述されているデータに対応している。ECCブロック30をDVD−RWに記録する際には、始めに、図2(A)に示すように、ECCブロック30が訂正ブロック34毎に水平方向に一列に並べられてインターリーブされることにより、16のレコーディングセクター40に分割される。このとき、一のレコーディングセクター40は、2366バイト(37856バイト÷16)の情報を含むこととなり、この中には、データセクター20とECC内符号31又はECC外符号32が混在している。但し、各レコーディングセクター40の先頭には、データセクター20におけるID情報21(図1(A)参照)が配置される。
そして、一のレコーディングセクター40は、図2(B),(C)に示すように、91バイト毎のデータ41に分割され、夫々にシンクHが付加される。その後、この状態のレコーディングセクター40を8−16変調することにより、夫々のデータ41毎に一のシンクフレーム42が形成される。このとき、一のシンクフレーム42は、図2(D)に示すように、シンクH’とデータ43とにより構成されている。また、一のシンクフレーム42内の情報量は、91バイト×8×(16/8)=1456バイトとなり、このシンクフレーム42が連続した形態でDVD−RWディスクに情報が書き込まれる。このとき、一のレコーディングセクター40は、26のシンクフレーム42を含むこととなる。
これをまとめて図3にて説明する。物理的な16セクターからなるECCブロックの先頭のセクターは図3のように構成されている。つまり、横列はデータ172バイトにPIの10バイトとシンクの4バイトで186バイトからなり、縦列12行にPOの1行を加えた13行からなる。シンクはH0からH25までの2バイトの26個である。
以上説明した物理フォーマットを構成してDVD−RWディスクに情報を記録することにより、当該情報を再生する際に8−16復調及びデインターリーブを行えば(図2参照)、もとのECCブロック30を復元することができ、破壊されるデータブロック量を最小にすることが出来るので、上記のように強力な誤り訂正を行って情報を最も正確に再生することができるのである。
次に、図4と図5を用いて、追記記録する位置つまりリンキング位置についての説明を行う。図4では図3に示したDVD−Rの規格に合致したECCブロックに基いている。図4に示すように、ここでは、リンキング位置LはECCブロックの第一セクターの第二シンクH1の先頭から82〜87バイトの間の範囲と規定されている。即ち、この第二シンクフレームsy2は、2バイトの第二シンクH1、81バイトのデータ、10バイトのPI符号(PI)から構成されているから、このPIの先頭から2〜7バイト目の間でリンキングが行われることになる。リンキング位置Lの前後では、記録データの位相や周波数が変動する(ずれる)から前のデータに対してPLL等でクロックを生成しデータを確立しようとした場合に、PLLがロックできなくなり、データが読み出せなくなることがある。
このリンキング位置Lが第二シンクH1の先頭から例えば82バイト目の位置であると、82〜91バイト目までの間の10バイトのデータが読み出せないことになる。即ち、このリンキング位置Lの幅は6バイトであり、また、前記のようにPI列の訂正能力は5バイトまでであるから、この第一横列(即ち、第一及び第二シンクフレームsy1,2の各データ)は訂正不能となる。次に、H2のシンクを含む第二横列(即ち、第三及び第四シンクフレームsy3,4の各データ)は、この第三シンクH2のシンク位置になるまでの間に、PLLがロックすれば読み出すことができるが、位相に加えて周波数の変動等がある場合には、PLLが引き込むのに数十バイトの信号が必要であり、第三シンクH2が検出できなくなる。この結果、前記した第二横列におけるデータを確立する事ができず、この列も訂正不能になってしまう。
前記のようにPI列が8列壊れてもPOにより訂正ができるので、最終的にはデータの読み出しは可能である。ただし、潜在的に2列のエラーがあることは、後天的要因のエラー増加に対して弱いという問題がある。
一方、図5では本発明の記録媒体の一例であるDVD−RW等の仕様を示している。ここでは、リンキング位置LはECCブロックの第一セクターの第三シンクH2の直後のデータ領域の先頭から1〜3バイトの間の範囲と規定されている。即ち、このリンキング位置Lの幅は、3バイトであり(前記した図4の場合の半分)、この第三シンクフレームsy3は、2バイトの第三シンクH2、81バイトのデータ、10バイトのPIから構成されているから、この第三シンクフレームsy3のデータ領域の先頭から1〜3バイト目までを用いてリンキングが行われることになる。このリンキング位置Lは、第三シンクフレームsy3のデータ領域の先頭データ位置(データ領域の先頭から3バイト目)に掛かっている。
このリンキング位置Lの前後では、記録データの位相や周波数が変動する(ずれる)から前のデータに対してPLL等でクロックを生成しデータを確立しようとした場合に、PLLがロックできなくなりデータが読み出せなくなることがある。仮にこのリンキング位置Lが第三シンクH3の直後のデータ領域の先頭から例えば2バイト目までの位置であると、2〜91バイト目までの間の89バイトのデータが読み出せないことになる。前記のようにPI列の訂正能力は5バイトまでであるから、この第二横列(即ち、第三及び第四シンクフレームsy3,4の各データ)は訂正不能となる。しかし、次の第三横列(即ち、第五及び第六シンクフレームsy5,6の各データ)のタイミングになるまでの間には最悪の条件であってもPLLが引き込むのに十分であり、この結果、第四シンクH4のシンクが検出できる。この結果、前記した第二横列のデータを確立する事ができないものの、誤り訂正不能になってしまうのはこの第二横列のみであり、前記した図4に示したもののように、第一及び第二横列の2列が誤り訂正不能になってデータが破壊されることを未然に回避できる。つまり、PI列としてのデータの破壊される量を1/2にする事ができる。
前記したリンキング位置Lは、第三シンクフレームsy3のデータ領域の先頭から3バイト目に設けられることについて説明したが、この他に、(1)リンキング位置Lは第三シンクフレームsy3のデータ領域の先頭から10バイト目までの間の3バイトを用いて設けられるようにしたり、(2)リンキング位置Lは第一シンクフレームsy1のデータ領域の先頭から3バイト目に設けられるようにしたり、(3)リンキング位置Lは第一シンクフレームsy3のデータ領域の先頭から10バイト目までの間の3バイトを用いて設けられるようにしても良いことは勿論である。
「情報記録装置の実施の形態」次に、図1、2、3、4及び図5を用いて説明した「記録フォーマットの実施の形態」を有する物理フォーマットで、情報をDVD−RWに記録するための本発明に係る記録装置の実施の形態について、図6を用いて説明する。なお、以下の実施の形態では、DVD−RWにおいて、当該DVD−RW上のアドレス情報等を記録したプリピットが、記録情報を記録すべき情報トラック上等に予め形成されており、記録情報の記録時には、当該プリピットを予め検出することによりDVD−RW上のアドレス情報を得、これにより記録情報を記録するDVD−RW上の記録位置を検出して記録するものとする。
以下、本発明に係る記録媒体、記録方法、記録装置の好ましい実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。まず、本発明に係る記録装置の構成について図6を用いて説明する。
図6には、本発明に係る記録媒体、記録方法及び装置が適用される一実施の形態としての光ディスク装置の概略構成を示す。なお、本発明の実施の形態では、圧縮伸長技術として例えばMPEG2を採用し、光ディスクの一例として書き換え可能なDVD−RWを挙げている。また、図6の構成では、いわゆるDVD装置等において通常設けられている多くの部分については省略している。
この図6において、光ディスク1は、例えば相変化材料からなる記録型の光ディスクであり、本実施の形態では、例えばいわゆるDVD−RWディスクを使用する。なお、DVD−RWディスクは、ディスク内でセクター(トラック)が螺旋状に配され、線速度一定(CLV)にて回転が制御され、また、連続する16セクターで1ブロックを構成し、この1ブロックが前記のエラー訂正の処理単位(ECCブロック)となされている。この光ディスク1は、図示しないチャッキング機構によってスピンドルモータ2に取り付けられている。
当該スピンドルモータ2は、ドライバ7により回転駆動され、チャッキング機構によってチャッキングされている光ディスク1を回転させる。また、このスピンドルモータ2は、FGジェネレータと、ホール素子などの回転位置信号の検出手段とを備えて成る。このFGジェネレータからのFG信号及びホール素子からの回転位置信号は、回転サーボ信号としてドライバ7を介してサーボ部8に帰還される。
光学ヘッド3は、半導体レーザを光源とし、コリメータレンズ、対物レンズ等によって、光ディスク1の所定のトラック上にレーザスポットを形成し、また、2軸アクチュエータにて対物レンズを駆動することにより、レーザスポットのフォーカシング及びトラッキングを行う。半導体レーザはレーザ駆動回路により駆動され、2軸アクチュエータはドライバ7により駆動される。
キー入力部10は、ユーザにより操作される複数のキーを備えてなり、ユーザからのキー操作入力情報をシステムコントローラ9に送る。すなわちこのキー入力部10からは、記録開始や再生開始、記録停止、再生停止等を指示する各種のキー操作入力情報がユーザにより入力可能となされている。
インターフェイス部13は、例えばコンピュータ等との間でデータの送受を行うためのインターフェイスであり、例えばいわゆるATAPI(ATA Packet Interface)のインターフェースである。
システムコントローラ9は、キー入力部10からのキー操作入力情報として、記録開始や再生開始、記録停止、再生停止等の各種キー操作入力情報に応じて、本実施の形態の光ディスク装置の各部のLSI(信号処理部5やサーボ部8、アンプ部4、AV符号化復号化部6等)を制御する。また、インターフェイス部13を介してデータの送受を行う。なお、例えば記録したい画像の解像度や、カーレースなどのスピードの速いシーン等を取り分ける場合や、記録時間優先で設定するための制御データが、キー入力部10や入力端子12から入力された場合も、当該システムコントローラ9はその制御データを認識し、その認識結果に基づいて記録時間を変更したり、その設定を外部のユーザが選択出来るようにしている。
ここで、例えば光ディスク1から信号の再生を行う場合は、キー入力部10から再生開始の指令がなされ、このときのシステムコントローラ9は、当該再生開始の指令に応じて、後述するアンプ部4、サーボ部8及びドライバ7を制御する。すなわち、光ディスク1から信号の再生を行う場合、システムコントローラ9は、先ず最初に、光ディスク1を回転させると共にレーザースポットを光ディスク1上に照射させ、当該光ディスク1上の信号トラックに予め形成されているアドレス信号を読み取り、そのアドレス情報から再生するべき目的セクター(トラック)を見つけ、その目的セクター(トラック)上にレーザスポットが配置するように光学ヘッド3を移動させる。この目的セクターへの移動が完了した後は、当該目的セクターからの信号再生を開始する。
光ディスク1の再生時のアンプ部4は、光学ヘッド3にて当該光ディスク1の目的セクターから再生されたRF信号を増幅すると共に、このRF信号から再生信号とトラッキング及びフォーカシングサーボ信号(トラッキングエラー及びフォーカスエラー信号)を生成する。また、当該アンプ部4は、少なくとも再生信号の周波数特性を最適化するイコライザと、再生信号からバイトクロックを抽出すると共に速度サーボ信号を生成するPLL(位相ロックループ)回路と、このPLL回路からのバイトクロックと再生信号の時間軸との比較からジッタ成分を取り出すジッタ生成器とを備えている。このアンプ部4にて生成されたジッタ値は、システムコントローラ9に送られ、トラッキング及びフォーカシングサーボ信号及び速度サーボ信号はサーボ部8に、再生信号は信号処理部5に送られる。
サーボ部8は、アンプ部4からの速度サーボ信号と、光学ヘッド3のフォーカシング及びトラッキングサーボ信号を受け取ると共に、スピンドルモータ2からの回転サーボ信号を受け取り、これら各サーボ信号に基づいて、それぞれ対応する部位のサーボ制御を行う。具体的にいうと、サーボ部8は、アンプ部4のPLL回路がディスク回転速度に応じて生成した速度サーボ信号と、スピンドルモータ2からの回転サーボ信号とに基づいて、当該スピンドルモータ2を所定の回転速度で回転させるように、すなわち光ディスクを所定の一定線速度にて回転させるような、回転速度サーボ制御信号を生成する。なお、詳細については後述するが、本実施の形態では、内部における圧縮/伸長時のデータ最大転送レートよりも速い記録速度(記録データ転送レート)/再生速度(再生データ転送レート)で光ディスク1の記録/再生を行うようにしており、したがって、サーボ部8は、光ディスク1を当該記録速度/再生速度に合うような一定線速度にて回転させるための回転速度サーボ制御信号を生成する。また、サーボ部8は、フォーカシング及びトラッキングサーボ信号に基づいて、光学ヘッド3が光ディスク1上に正確にフォーカシング及びトラッキングするための光学ヘッドサーボ制御信号を生成する。これら回転速度サーボ制御信号と光学ヘッドサーボ制御信号は、ドライバ7に送られる。なお、これ以降、光ディスク1の記録速度(記録データ転送レート)を記録レートと呼び、光ディスク1の再生速度(再生データ転送レート)を再生レートと呼ぶことにする。
ドライバ7は、サーボ部8からの各サーボ制御信号に基づいて動作するものであり、サーボ部8からの回転速度サーボ制御信号に応じてスピンドルモータ2を回転駆動すると共に、光学ヘッドサーボ制御信号に応じて光学ヘッド3の2軸アクチュエータを駆動する。本実施の形態においては、当該ドライバ7が回転速度サーボ制御信号に応じてスピンドルモータ2を駆動することにより、光ディスク1を所定の線速度にて回転させ、また、当該ドライバ7が光学ヘッドサーボ制御信号に応じて光学ヘッド3の2軸アクチュエータを駆動することにより、光ディスク上でのレーザスポットのフォーカシング及びトラッキングが行われる。
光ディスク1の再生時の信号処理部5は、アンプ部4より供給された再生信号をA/D(アナログ/ディジタル)変換し、このA/D変換により得られたディジタル信号から同期検出を行うと共に、当該ディジタル信号に施されているいわゆるEFM+信号(8−16変調信号)からNRZ(Non Return to Zero)データへのデコードを行い、さらにエラー訂正処理を行って、光ディスク1上のセクターのアドレスデータと再生データとを得る。信号処理部5にて得られたアドレスデータと同期信号はシステムコントローラ9に送られる。なお、当該信号処理部5にて行われるエラー訂正処理等についての詳細は後述する。
ここで、当該再生データが例えばMPEGの可変転送レートで圧縮符号化されたデータである場合、本実施の形態の光ディスク装置では、当該データを例えば64MバイトのD−RAM(トラックバッファメモリ7)に一時的に記憶させ、このトラックバッファメモリ7の書き込み/読み出しを制御することで、その再生データの可変転送レートの時間変動分を吸収するようにしている。なお、本実施の形態にて使用するトラックバッファメモリとは、圧縮したデータを一時記憶するバッファメモリのことを示しており、例えばDVDにおいて一般的に備えられている可変転送レートを吸収するためのバッファメモリや、MPEGのエンコードやデコード時に用いるバッファメモリを含む。このトラックバッファメモリ7の記憶容量及び記憶領域の管理、書き込み/読み出し制御は、信号処理部5を介して例えばシステムコントローラ9が行う。
光ディスク1の再生時のAV符号化復号化部6は、トラックバッファメモリ7から供給された再生データが、例えばMPEG2にて圧縮符号化され且つオーディオデータとビデオデータが多重化されたデータであるとき、この多重化された圧縮オーディオデータと圧縮ビデオデータを分離すると共に、それぞれをMPEG2にて伸長復号化し、さらにD/A(ディジタル/アナログ)変換して、オーディオ信号及びビデオ信号として端子11から出力する。この端子11から出力されたビデオ信号は、図示しないNTSC(National Television System Committee)エンコーダ等にて処理されてモニタ装置に表示され、オーディオ信号は、図示しないスピーカ等に送られて放音される。なお、この再生時におけるAV符号化復号化部6での伸長復号化の速度(伸長復号化時のデータ転送レート、以下、伸長レートと呼ぶことにする)は、記録時に設定された後述する記録モードに応じた伸長レートとなされる。言い換えると、AV符号化復号化部6は、複数の伸長レートに応じた伸長復号化処理が可能となされており、記録時に設定された記録モードに応じて当該伸長レートを決定し、そのレートで伸長復号化を行う。この記録モードの情報は、コントロールデータとして記録データと共に光ディスク1に記録されており、当該コントロールデータが光ディスク1の再生時に読み出されてシステムコントローラ9に送られ、システムコントローラ9がこのコントロールデータに基づいてAV符号化復号化部6の伸長レートを設定する。なお、D/A変換は、当該AV符号化復号化部6の外部にて行うことも可能である。
一方で、例えば光ディスク1への信号記録を行う場合には、キー入力部10から記録開始の指令がなされ、システムコントローラ9は当該記録開始指令に応じて、アンプ部4、サーボ部8及びドライバ7を制御する。すなわち、光ディスク1の信号記録を行う場合には、先ず最初に、光ディスク1を回転させると共にレーザースポットを光ディスク1上に照射させ、当該光ディスク1上の信号トラックに予めプリピットとして形成されているアドレス信号を読み取り、そのアドレス情報から記録するべき目的セクター(トラック)を見つけ、その目的セクター(トラック)上にレーザスポットが配置するように光学ヘッド3を移動させる。なお、当該光ディスク1上に予め記録されているアドレス信号の詳細については後述する。
また、端子11からは、記録すべきオーディオ及びビデオ信号が入力され、これら信号がAV符号化復号化部6に送られる。当該光ディスクの記録時において、AV符号化復号化部6は、オーディオ信号及びビデオ信号をA/D変換し、それぞれオーディオデータ及びビデオデータを、後述する記録モードに応じた速度にてMPEG2の圧縮符号化を行い、さらにそれらを多重化して信号処理部5に送る。以下、このAV符号化復号化部6における圧縮符号化の速度(圧縮符号化時のデータ転送レート)を圧縮レートと呼ぶことにする。すなわち、AV符号化復号化部6は、記録モードに応じた複数の圧縮レートで圧縮符号化を行い得るものである。
なお、16MバイトのD−RAM8は、AV符号化復号化部6における圧縮伸長の際にデータを一時的に記憶するためのメモリである。このD−RAM8は64Mバイトの容量を有するものであってもよい。また、A/D変換は、当該AV符号化復号化部6の外部にて行うことも可能である。
また、本実施の形態の装置は、映像や音声情報の他に静止画情報やコンピュータ上のプログラムファイル等のデータを記録再生することも可能である。この場合、インターフェイス部13から静止画情報やプログラムファイル等のデータが供給され、これらデータがシステムコントローラ9を介して信号処理部5に送られる。
当該光ディスクの記録時の信号処理部5では、AV符号化復号化部6からの圧縮データやシステムコントローラ9を介したプログラムファイル等のデータに対して、エラー訂正符号を付加し、NRZとEFM+のエンコードを行い、さらにシステムコントローラ9から供給される同期信号を付加して記録データを生成する。
ここで、当該記録データは、トラックバッファメモリ7に一時的に記憶された後、光ディスク1への記録レートに応じた読出レートで当該トラックバッファメモリ7から読み出されるようになっている。なお、この記録時におけるトラックバッファメモリ7の記憶容量及び記憶領域の管理、書き込み/読み出し制御の詳細については後述する。このトラックバッファメモリ7から読み出された記録データは、信号処理部5にて所定の変調処理が行われ、記録信号としてアンプ部3に送られ、光学ヘッド3にて光ディスク1上の目的セクター(トラック)に記録される。
また、このときのシステムコントローラ9は、アンプ部4からのジッタ値をA/D(アナログ/ディジタル)変換して測定し、この測定ジッタ値やアシンメトリ値に従って、記録時のアンプ部4における波形補正量を変更する。すなわち、光ディスク1に信号を記録する場合、アンプ部4では、信号処理部5からの信号を波形補正し、この波形補正した信号を光学ヘッド4のレーザ駆動回路へ送る。
次に、本発明実施の形態に係る光ディスク1上のデータ領域のアドレスについて以下に説明する。
本実施の形態の光ディスク1は、DVDビデオやDVDオーディオ、DVD−ROM等と互換性を有し、DVDの規格に準拠したDVD−RWのディスクである。このDVD−RWに限らず、追記型や書き換え可能な光ディスクには、通常、記録時におけるアドレス制御を可能とするために、セクターのアドレスが予めディスク上に記録或いは形成されている。但し、従来より存在している光ディスクでは、アドレスデータに基づいて変調された周波数に応じてグルーブをウォブリングさせることによるアドレス記録がなされているが、本実施の形態のDVD−RWの場合は、より高速且つ高密度の記録を可能にするために、当該グルーブのウォブリング周波数信号と共に、光ディスク上のランド部に所定のピットを形成する、いわゆるLPP(ランドプリピット)アドレス方式をも採用している。
ここで、光ディスク1に対して実際にデータ記録を行う場合、その光ディスク1上に予め記録されていて記録のタイミング信号でもあるLPPアドレスによるセクタードレス(以下、単にLPPアドレスとする)と、実際に記録がなされる記録データに含まれるセクタードレス(以下、データアドレスとする)とを一致させるのが一般的である。なお、このようにLPPアドレスとデータアドレスが一致するデータ記録の一例としては、例えば通常のDVDから再生したデータをそっくりDVD−RWに記録するような場合を挙げることができる。この場合、当該DVD−RWのディスク上には連続してデータの記録がなされることになり、したがってLPPアドレスとデータアドレスとの関係を一致した状態にすることができる。
次に、本発明実施の形態にて扱う追記記録の動作について以下に説明する。本実施の形態においては、図7(A)に示すように、データ領域の連続する16データセクター(32kByte)で1ECCブロックを構成しており、このECCブロックが記録や再生時の最小の基本単位となっている。また、各データセクターはLPPで構成されたアドレスと記録のためのシンクタイミング信号と同期して記録された26個のシンクを有するシンクフレームからなっている。さらに、DVD−RWにおいては、セクターのアドレスが所定の間隔で形成されている。
ここで、図7(B)に示すように、前述したトラックバッファメモリ7を用いた間欠記録のように、例えば前に記録されたエリア(データ領域)の後に連続したデータを新たに記録するような場合には、その前記録と後記録の繋ぎ目の部分におけるデータが不連続となる。そこで、そのデータ不連続の影響を最も小さくするため、図7(C)に示すように、例えばECCブロックの先頭セクター(物理セクター。第1セクター)の第3シンクフレーム(3rdシンクフレーム)の1バイト目から3バイト目に当該繋ぎ目位置を持ってくるようにする。すなわち、この繋ぎ目の位置を、リンキング(linking)を行うためのリンキング位置とする。なお、当該リンキング位置Lが存在する第3シンクフレームはリンキングフレームとなり、また当該リンキングフレームを含む先頭セクターはリンキングセクターとなる。
このように、連続的なデータ記録が不連続になった場合、当該不連続部分の影響を回避するために、その位置にてリンキングを行う。前に記録したECCブロックに対して新しく記録するECCブロックが連続的に接続するために、当該ECCブロックの先頭セクターの第3シンクフレームの1から3バイト目の間をリンキング位置とし、リンキングにてデータをロスしないようにするために、第2シンクフレーム(2ndシンクフレーム)までに記録されているデータに対して、一部のデータが重複するようにし、連続的なデータとしてオーバーライトする。
この図7の方法は、前記したトラックバッファメモリ7を用い、予めECCブロックの訂正付加データ(PI,PO)を生成しておき、その後、前のECCブロックに続いて後のECCブロックの第1、第2、第3シンクフレームsy1,sy2,sy3までをLPPのシンク信号(図7(A)に図示のシンク)のタイミングを基準としてデータを記録し、この第3シンク信号とオーバーライトするための3バイトの信号を記録した時点で、データの記録を一時中止する。その後、トラックバッファメモリ7に記録すべきデータが所定量貯まった時点で、再度前記ECCブロックにピックアップ3を位置決めし、前記ECCブロックの第3シンク信号に相当するLPPの第3シンク信号のタイミングを検出し、このタイミングを基準として前記オーバーライトするための3バイトの信号(リンキング位置L)を再度重ね書きし、これ以降のデータを連続記録するようなことで実現可能となる。なお、この図7の方法を実現する場合、上記オーバーライトを行うために、データを一部重複することが必要であるから、その繋ぎのデータ部分の重複加工を行うことになる。
このリンキング位置Lが記録タイミング信号であるLPPシンク信号(第3シンク信号)の直後であり、記録タイミングを正確に生成できることから、従来のリンキング方法に対してリンキングの位置の範囲を少なくでき、また前後の信号のつながりの位相関係のずれの精度を向上でき、再生信号の性能の向上と、リンキングによるロス領域の縮小が可能となる。
しかし、この図7の方法でも、記録を繰り返すことによりリンキング部分の数バイトが破壊され、この記録の前後での位相や周波数の不連続により再生回路のPLL回路等の安定化の時間の間で最悪の場合は、リンキングの部分の数バイトから数百バイト程度が読めなくなるという問題が発生する。
このようなことから、光ディスク1のリードイン領域の内側の、例えばいわゆるレコーディングマネージメントエリア(RMA)に管理データ領域を設け、この管理データ領域に、記録時のリンキング位置Lを示す情報を記録しておき、後の再生時に、当該管理データ領域のリンキング位置Lを示す情報に基づいて後述するような所定の処理(リンキングのための応答特性の変更やウィンドウの切り替え処理)を行うことにより、基本的にデータを余りロスせず、記録と記録の繋ぎ目によるデータ不連続の影響を回避可能にしている。なお、当該リンキング位置Lを示す情報は、管理データ領域のうち、データ記録の開始位置及び終了位置のアドレス、又は、データ記録の開始位置と終了間での間隔を記録する領域とは別に記録される。また、当該リンキング位置Lを示す情報は、光ディスク1のリードイン領域の内側のレコーディングマネージメントエリア内ではなく、例えば、データ記録領域に、記録データと同時に、コントロールデータの一つとして記録することも可能である。
この記録動作は、図6の光ディスク装置において、トラックバッファメモリ7の上限容量(フル)と下限容量(エンプティ)の値をそれぞれ設定し、AV符号化復号化部6にて圧縮した信号を所定の記録単位にして64Mバイトのトラックバッファメモリ7に一時的に書き込むと共に、当該トラックバッファメモリ7の残容量を管理しつつ、光学ヘッド3の動作を制御するようにしている。例えば、光ディスク1への記録時には、トラックバッファメモリ7の圧縮データにエラー訂正コード、アドレスやシンク信号を加えて、アンプ部4のストラテジ回路にてレザーパワーの変調を行い、光ヘッド3から光ディスク1に記録を行う。
ここで、当該記録を続けている際に、入力する記録信号の転送レートとディスクに記録する記録信号の転送レートの差によってトラックバッファメモリ7の容量が下限容量(エンプティ)になったとき、当該トラックバッファメモリ7からの読み出しを一時中止し、光ディスク1への前記リンキングの処理を行い記録を一旦停止することになる。
このため、図6の光ディスク装置では、例えばシステムコントローラ9の内蔵RAM領域に当該リンキング位置のECCブロックを管理するためのECCブロック管理領域を備えており、このECCブロック管理領域において当該リンキング位置に対応するバイトを例えば「1」にすることで、リンキング位置のECCブロックアドレスを記録するようにしている。
次に、トラックバッファメモリ7の残容量が回復し、当該トラックバッファメモリ7からデータを読み出し可能となったとき、システムコントローラ9は、リンキング位置に対応するアドレスのECCブロックから前記のリンキングの処理を行い利記録を再開させるようにする。この動作を、繰り返すことにより連続的な記録を行う。
次に、上述したような記録が行われている光ディスク1を再生する場合は、以下のようになる。当該再生時には、先ず、光ディスク1の最内周にあるレコーディングマネージメントエリア上の管理データ領域を再生し、システムコントローラ9がその管理データ領域の再生データからリンキングバイトマップを読み取る。
すなわち、システムコントローラ9は、レコーディングマネージメントエリアの中に記載されたレコーディングマネージメントデータ(RMD)に配置されたリンキングバイトマップのデータ記録開始位置と記録終了位置のアドレスを読み出し、光ディスク1上での記録が行われた領域の範囲を認識する。
次に、システムコントローラ9は、リンキングバイトマップを読み出し、これを内蔵RAMに設けたリンキング位置管理領域に記憶して管理する。システムコントローラ9では、内蔵RAM上のリンキング位置管理領域に記憶したリンキングバイトマップを、信号処理部5でのシンク検出を経て検出されたアドレス信号に基づいてアドレス位置に変換し、当該変換されたアドレス位置と現在のアドレス位置とを比較し、次に再生するECCブロックのアドレスがリンキングを含んでいるか計算する。
ここで、システムコントローラ9は、次に再生するECC部がリンキングを含んでいると予測した場合は、その情報を後述するように、信号処理部5やアンプ部4に送る。信号処理部5やアンプ部4では、当該リンキングの情報を受け取ると、その情報に基づいて、後述するようなリンキングのための応答特性の変更やウィンドウの切り替え等の、補間のための処理を行う。なお、当該信号処理部5における補間のための処理の詳細については後述する。
また、異なる実施例では、より簡易的にリンキングを含んでいるECC部の応答特性の変更やウィンドウの切り替え等の、補間の処理を行うために、前述のようにリンキングバイトマップにて実際にリンキングが行われているECCブロックを特定し、そのECCブロックについて補間の処理を行うのではなく、後述するように全てのECCブロックのリンキングが行われる位置に相当する位置のタイミング(以降リンキング位置と言う)にて、補間の処理を行うことにより、後述するシステムコントローラ9の中のリンキング位置管理92を必要とせずに安価な装置が実現可能である。この場合、DVD−RWに対して、再生互換性のある再生専用のDVD−ROMフォーマットのように、全く同一のECCブロック構造を持つようなディスクでは、DVD−RWのように上書き記録を行わないからリンキングは無いため、リンキング位置に相当する位置での補間処理は必要ない。このような場合には、ディスクの種類を判別して、ディスクの種類がDVD−RやDVD−RWのような記録型のディスクのみについて、前記のような補間処理を行うようにすることにより、再生専用のディスクについては、従来同様の再生性能を維持することが出来る。
つまり、再生時において、当該リンキング位置Lではデータの一部が破壊されている可能性が高く、したがって、再生時にそれらのバイトのデータを再生できないところがある。このような背景から、本実施の形態では、リンキング位置に対応するデータ(信号)に対して以下に述べるような特別の対処を行うことによって、より信頼性の高い再生を実現している。
当該リンキング位置Lのデータに対する第1の対処方法としては、リンキング位置Lに対応する再生信号に対して、以下に述べるような所定の処理を施すことで、安定な再生処理を実現する方法が考えられる。
即ち、リンキング位置Lでは記録が断続的に行われているため、当該リンキング位置Lに対応する再生信号の前と後の信号は、振幅や周波数、位相(時間的タイミング)、アシンメトリ、品質(ジッタ等)が変わっている可能性がある。また、バイト抜けや不要なバイトの発生も考えられる。
そこで、本実施の形態の光ディスク装置では、光ディスク再生時において、当該リンキング位置に対応する再生信号に対しては、例えば、(1)PLL回路の応答特性を変更する(例えば応答速度を上げる)、或いは、リンキング位置Lでは例えばディフェクトの場合のようにデータが存在しない可能性があるので当該一部区間ではPLLをロックすること、(2)再生RF信号を2値化するためのスライスレベルを変更(例えば過渡的な波形を挿入してスライスレベルの電圧を変更)、或いは、フィルタ(帰還型のローパスフィルタ)の応答特性を変更する(例えば周波数特性や応答速度を上げる)こと、(3)再生RF信号の利得調整を行うためのAGC(自動利得制御)回路の応答特性を切り換える(例えば応答速度を上げる)こと、(4)再生RF信号の周波数特性を調整するためのイコライザ(EQ)のイコライジング特性を変更すること、(5)リンキング位置では例えばディフェクトの場合のようにデータが存在しない可能性があるので、その区間ではサーボ系の駆動出力を前置ホールドすること、(6)リンキング位置では記録位相がずれることにより、以前のシンク信号に対して、次に来るシンク信号のタイミングがずれることにより次に来ると予想されるシンク信号のウィンドウにシンク信号が入らない可能性があるので、次のシンク信号のタイミングでは、シンク信号のウィンドウを広げる処理を行うこと、などの処理を行うことにより、安定な再生処理を実現する。
但し、通常の再生信号に対して上述のような応答特性を上げるなどの処理を行うと、例えば指紋や傷がある光ディスクを再生した場合に性能が悪化したりする事があるので、前記した(1)から(6)の対処方法の所定の処理はリンキング位置に対応する信号の区間のみとする。なお、光ディスク装置には、例えば目的のトラックへのシーク直後や、記録再生の切り換えの直後に、同様な目的で上述のような応答特性の切り換え等を行うための構成が存在するので、この構成を当該リンキング位置に対応する再生信号区間に対して適用することができる。
図8には、前記した(1)から(6)の対処方法を実現するための、本発明の実施の形態の光ディスク装置の要部構成を抜き出して示す。この図8の例では、図6のアンプ部(プリアンプ)4、信号処理部5、サーボ部8、システムコントローラ9を抜き出し、これらの内部構成を示している。
この図8において、光学ヘッド(PU)3からの再生RF信号は、アンプ部4のAGC回路41に入力される。当該AGC回路41では、光学ヘッド3からの再生RF信号を所定の信号レベルに自動利得調整し、その利得調整後の再生RF信号をイコライザ42に送る。イコライザ42は、AGC回路41からの再生RF信号の周波数特性を持ち上げ、2値化回路43に送る。この2値化回路43では、イコライザ42からの再生RF信号を所定のスライスレベルで2値化し、当該2値の再生信号をPLL回路44に送る。PLL回路44では、2値の再生信号にてPLLがロックされる。このようにしてPLLロックされた2値の再生信号は、信号処理部5に送られる。
信号処理部5に入力された2値の再生信号は、先ずシンク検出器51に送られる。このシンク検出器51では、2値の再生信号に含まれる前述の図2(D)に示したシンクH‘をPLLからのクロック信号をカウントし、次に来るべきシンク信号のタイミングでシンク信号のウィンドウ信号(図11(b))を生成し、このウィンドウの中に入るシンク信号を正規なシンク信号とし、また、このウィンドウに次のシンク信号が来ない場合は、内挿シンクとしてシンク信号を発生させ、このシンク信号が例えば2回続けて得られない場合は、次のシンクタイミングがずれた可能性があるので、シンクウィンドウを従来の値より広げて、広い範囲でシンク信号が得られるように制御する。また、後述するようにECCブロックのリンキング位置にて、リンキングが行われる場合も同様にリンキング後の次のシンクタイミングがずれる可能性があるから、リンキング位置管理92からのリンキングを含むECCブロックの情報と、アドレス検出52からの情報と、シンクタイミングの情報から、リンキングタイミング生成54にて、リンキングタイミング信号が51のシンク検出に送られ、次のシンク信号のウィンドウを広げる動作を行う(図11(b)のw4)。また、異なる実施例では、リンキング位置管理92部は無く、全てのECCブロックにおいて、アドレス検出52からの情報と、シンクタイミングの情報から、リンキングタイミング生成54にて、リンキングタイミング信号が51のシンク検出に送られ、次のシンク信号のウィンドウを広げる動作を行う(図11(b)のw4)。これにより、安定に、シンク信号を検出し、当該シンクに基づくタイミング信号をアドレス検出器52とリンキングタイミング生成器54に送る。また、アドレス検出器52には、このシンク検出器51を介した再生信号も送られる。アドレス検出器52では、当該シンクのタイミングで、再生信号に含まれるアドレスをデコードし、そのアドレスをシステムコントローラ9に送る。また、アドレス検出器52を介した再生信号は、データ処理器53に送られる。データ処理器53では、ディジタル信号である再生信号に対してEFM+信号の復調とNRZデータへのデコードを行い、さらにエラー訂正処理を行って、再生データを生成する。
システムコントローラ9のECCブロックアドレス管理部91は、アドレス検出器52からのアドレスに基づいてECCブロック単位のアドレスを管理し、当該ECCブロック単位のアドレスにより、信号処理部5のデータ処理器53におけるECCブロック単位のデータ処理を制御する。また、システムコントローラ9のリンキング位置管理部92は、アドレス検出器52からのアドレスと再生信号から取り出したリンキング位置に関する情報とに基づいて、ECCブロック中のリンキング位置に対応するタイミング信号を生成する。このECCブロック中のリンキング位置に対応するタイミング信号は、信号処理部5のリンキングタイミング生成器54に送られる。
リンキングタイミング生成器54では、シンク検出器51から供給されたシンクに基づくタイミング信号と、システムコントローラ9のリンキング位置管理部92から供給されたECCブロック内のリンキング位置に対応するタイミング信号とにより、図9中(C)に示すようなリンキングタイミング信号を生成する。異なる実施例では、システムコントローラ9のECCブロックアドレス管理部91は、アドレス検出器52からのアドレスに基づいてECCブロック単位のアドレスを管理し、当該ECCブロック単位のアドレスにより、信号処理部5のデータ処理器53におけるECCブロック単位のデータ処理を制御する。また、システムコントローラ9ではリンキング位置管理部92を持たず、アドレス検出器52から、全てのECCブロック中のリンキング位置に対応するタイミング信号を生成する。このECCブロック中のリンキング位置に対応するタイミング信号は、信号処理部5のリンキングタイミング生成器54に送られる。
すなわち、リンキングタイミング生成器54は、図9中(B)に示す再生RF信号から図9中(A)に示すようなリンキング位置に対応する信号区間を抜き出すための、図9中(C)に示す「H」,「L」2値のリンキングタイミング信号を生成する。なお、図9の例では、リンキングタイミング信号の「L」の部分が、再生RF信号からリンキング位置の信号区間を抜き出すための信号区間に対応している。このリンキングタイミング信号は、アンプ部4の各切換制御回路45,46,47,48と、サーボ回路8のホールド回路81に送られる。
また、リンキングタイミング生成器54は、リンキング位置に対応するタイミング信号をシンク検出51に送り、シンク検出51ではPLLからのクロック信号をカウントし、次に来るべきリンキング後のシンク信号のシンクウィンドウを従来の値より広げて、広い範囲でシンク信号が得られるように制御する。また、異なる実施例では、リンキング位置管理92部は無く、全てのECCブロックにおいて、アドレス検出52からの情報と、シンクタイミングの情報から、リンキングタイミング生成54にて、リンキングタイミング信号が51のシンク検出に送られ、次のシンク信号のウィンドウを広げる動作を行う。
この時、ディスク種類判別部100にて記録型のディスクと判別した場合にのみ、前記のよういにリンキング位置でのウィンドウを広げるようにしても良い。すなわち、装置は、ディスク挿入時に、ディスクの種類を判別する。その結果ディスクの種類が、再生専用のDVD−ROMの場合は、リンキングは無いのでウィンドウを広げる制御を行わないように制御し、記録型のDVD−RやDVD−RWの場合には、リンキング位置が存在する可能性があるのでウィンドウを広げる制御を行う。
アンプ部4の切換制御回路45は、AGC回路41の応答特性を切換制御する制御回路であり、リンキングタイミング信号が「L」となっている区間、すなわちリンキング位置に対応する信号区間で、再生RF信号に対するAGCの応答速度を例えば上げる制御を行う。
また、アンプ部4の切換制御回路46は、イコライザのイコライジング特性を変更する制御回路であり、リンキングタイミング信号が「L」となっている区間、すなわちリンキング位置に対応する信号区間で、再生RF信号に対するイコライジング特性を変更する制御を行う。
アンプ部4の切換制御回路47は、2値化回路43のスライスレベルやフィルタの応答特性を変更制御する制御回路であり、リンキングタイミング信号が「L」となっている区間、すなわちリンキング位置に対応する信号区間で、再生RF信号に対するスライスレベルの電圧、又は応答速度を上げる処理を変更、或いは、フィルタの周波数特性や応答速度を上げる制御を行う。
アンプ部4の切換制御回路48は、PLL回路の応答特性を変更制御する制御回路であり、リンキングタイミング信号が「L」となっている区間、すなわちリンキング位置に対応する信号区間で、PLL回路の応答速度を上げる、或いは、リンキング位置近傍ではデータが乱れていることが考えられるのでその区間のみPLLをロックするような制御を行う。
さらに、サーボ部8は、フォーカスサーボ回路82とトラッキングサーボ回路83とスピンドルサーボ回路84とを少なくとも備えてなり、ホールド回路81は、これらフォーカスサーボ回路82とトラッキングサーボ回路83とスピンドルサーボ回路84の各駆動出力を、リンキングタイミング信号が「L」となっている区間、すなわちリンキング位置に対応する信号区間で、前置ホールドや基準電圧を出力するように制御する。
本発明の実施の形態の光ディスク装置は、図8に示した構成を備えることで、リンキング位置に対する信号区間において、前述した第3の対処方法の処理を実現可能となっている。なお、アンプ部4の各切換制御回路45,46,47,48における切換制御は、リンキングタイミング信号が「L」となっている区間(リンキング位置に対応する信号区間)で、全ての切り換え制御を行うこと、或いは、それらのうちの何れか一つの切換制御のみ行うこと、若しくは、それら切換制御の幾つかを適応的に組み合わせて行うことの何れであってもよい。
また、この実施の形態において、管理データ領域に、リンキング位置の情報以外のデータ、例えば記録時のレーザーパワー、周囲温度、ストラテジー値等を記録しておくことにすれば、リンキング位置の前と後のデータの差を予想できるようになり、その結果、前記の第1の対処方法における各項目の応答特性等をより適切に設定することが可能となる。
ここでは、図7のリンキング位置からPLLが引き込むまでの時間が最悪第4シンクフレームの途中まで必要であるとしても、リンキング位置がECCブロックの横列のシンク信号の直後の先頭位置であるために、PLL引き込みまでの時間を1列の中で十分確保する事ができ、次の列の影響を与えないメリットを持っている。
なお、このリンキング位置は、この実施例では、ECCブロックの横列の第2列の先頭位置としているが、第3列以降でもよいし、第1列のID等の重要なデータ(CMP)の直後の位置でもよい。
再生の際のリンキング位置での最適化の処理の他の例について、図11を参照して説明する。リンキング位置では前記録データが図11(d)に示すように記録された後、新記録データが図11(e)に示すように記録されるので、記録されたデータは図11(f)に示すようにリンキング位置において不連続となるので、再生にあたっては、誤り訂正ブロック内でのリンキング位置に相当するタイミングを生成し、このタイミングに基づいて、リンキング位置の前後(例えば、図11(a)においてwで示した期間やその近傍等)または後(例えば、図11(b)においてw4で示した期間やその近傍等)の再生情報信号の最適化を行う必要がある。最適化の制御としては、リンキング位置の前後(例えば、図11(a)においてwで示した期間)においては、以下に示した(a)から(e)のうちの少なくとも1つの処理、もしくは、複数の処理を行う。(a)再生情報信号のPLL回路の応答特性、(b)再生RF信号を2値化するためのスライスレベル、(c)再生RF信号の利得調整を行うためのAGC(自動利得制御)回路の応答特性、(d)再生RF信号の周波数特性を調整するためのイコライザ(EQ)のイコライジング特性、(e)サーボ系の駆動出力をホールド
また、リンキング位置の後においては、図11(c)に示すようにシンクの到来位置がずれるので、シンク信号のウィンドウの制御を行う、具体的には、例えば、図11(b)においてw4で示した期間のようにウィンドゥの幅を広げる処理を行う。
ディスク種類判別部100は記録型ディスク(DVD−RW、DVD−R等)と再生専用ディスク(DVD−ROM等)とを判別して、記録型ディスクの場合にはリンキング位置付近で最適化処理を行う例を説明したが、さらに、他の例としては、図10に示したディスク種類判別部100において記録型ディスクの記録再生特性の違い等を判別し、判別された記録媒体の種類(記録再生特性)の判別結果に応じて最適化の制御を行うこと、例えば、上述した(a)〜(e)の最適化処理をディスク種類判別の結果に基づいて選択組合せして処理したり、シンク信号のウィンドゥw4のウィンドゥの幅の設定をディスク種類判別の結果に基づいて可変設定することも可能である。
上述した説明においては、リンキングバイトマップを使用した例を説明をしたが、リンキングビットマップを使用することも可能である。
1…光ディスク(記録媒体)、2…スピンドルモータ、3…光ヘッド、4…アンプ部、5…信号処理部、6…AV符号化復号化部、7…トラックバッファメモリ、8…16MバイトD−RAM、9…システムコントローラ、10…キー入力部、11…オーディオ,ビデオ信号の入出力端子、12…制御データの入力端子、13…ATAPIのインターフェイス部、100…ディスク種類判別部