JP4147513B2 - 電動車両の制動制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動車両の制動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平9−98609号公報には、ハイブリッド自動車において、回生制動から液圧制動に移行する時に、マスタシリンダ圧とホイールシリンダ圧との偏差に応じて回生制動を徐々に低減していくことで、液圧制動移行時のトルクショックを低減するものが提案されている。この従来技術では、ホイールシリンダ圧を検出するために高価なセンサを全車輪に取り付ける必要があり、コストに難がある。
【0003】
特開平9−98311号公報には、ハイブリッド自動車において、減速初期に前輪の回生制動のみを実行し、その後前後車輪の液圧制動を開始することで、制動タイミングをずらして変速ショックを低減するものが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ハイブリッド自動車では、減速時や制動時にモータにより回生制動を行いつつ、ドライバのブレーキ踏力圧等に応じた要求制動力Brefが所定閾値Bref0を超えると液圧制動に移行する(又は一部回生制動する)よう制御するが、図12に示すように、液圧制動開始時期はブレーキ系統の特性から時間TDだけ遅れると共に、実質的に液圧制動が開始される時点での液圧制動力の立ち上がりが急激であるために、減速ショック等が発生してブレーキフィーリングが悪化するという問題がある。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされ、その目的は、液圧制動遅れに起因する減速ショックを低減できる電動車両の制動制御装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明の電動車両の制動制御装置は、以下の構成を備える。即ち、
車輪を駆動するモータと、摺動部材を該車輪に押圧して制動力を付与するために該摺動部材を液圧作動させる液圧制動手段と、減速時に前記モータを回生制動させる回生制動手段と、要求された制動力が所定値以下の時は、前記モータに回生制動させると共に、前記要求された制動力が所定値を超える時は、前記回生制動に加えて前記液圧制動手段により液圧制動する制動制御手段とを備える電動車両の制動制御装置において、前記制動制御手段による液圧制動開始から車輪に対し実質的に液圧制動力が作用するまでの液圧制動遅れ時間を、車速及び前記液圧制動手段の温度関連値の少なくとも1つに基づいて設定する遅れ時間設定手段を備え、前記要求された制動力が所定値を超えた時には、前記液圧制動遅れ時間を経過するまでは回生制動力を要求された制動力に設定し、前記液圧制動遅れ時間を経過した後は前記回生制動力を前記液圧制動遅れ時間の経過時点に要求された制動力に維持する。
【0011】
また、好ましくは、前記制動制御手段による液圧制動開始からの車輪のトルク変動関連値を検出するトルク変動検出手段と、前記トルク変動関連値に基づいて、前記制動制御手段による液圧制動を開始してから前記車輪に対し実質的に液圧制動力が作用するまでの期間を検出する期間を検出する期間検出手段とを備え、前記期間検出手段により検出された期間が大きいほど前記液圧制動遅れ時間が大きくなるように補正する。
また、好ましくは、前記トルク変動関連値は、前記モータの回生電流の変化量又は車輪速の変化量である。
【0012】
また、好ましくは、前記期間検出手段により検出された期間が大きいほど前記液圧制動遅れ時間が大きくなるように補正するための補正値は、、学習により更新される。
【0013】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の発明によれば、液圧制動遅れ時間経過前では回生制動力を要求制動力に設定し、液圧制動遅れ時間経過後に回生制動力を維持するので液圧制動遅れに起因する減速ショックを低減できる。
【0014】
請求項2の発明によれば、適切な液圧制動遅れ時間を設定できるので、液圧制動遅れに起因する減速ショックを低減できる。
【0015】
請求項3の発明によれば、回生電流の変化量や車輪速の変化量から液圧制動遅れ時間を推定するので、ホイール圧センサ等を必要としないで、簡単且つ安価な構成で液圧制動遅れ時間や液圧制動力を高精度に推定できる。
【0018】
請求項4の発明によれば、補正値は学習により更新されることにより、液圧制動要素の経年変化に応じた適切な遅れ時間を設定できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。[ハイブリッド自動車の機械的構成]
図1は、本実施形態のハイブリッド自動車の機械的構成を示すブロック図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態のハイブリッド自動車は、自動変速機3を介して左右の前輪FR、FLを駆動するエンジン1及び前輪用モータ2と、左右の後輪RR、RLを駆動する後輪用モータ4とを備える。
【0021】
前輪用モータ2と後輪用モータ4とは、インバータ6、7を介してバッテリ5の電力により駆動されると共に、減速時及び制動時には発電機として前輪及び後輪が各々前輪用モータ2と後輪用モータ4とを駆動して回生発電を行い、バッテリ5を蓄電する。
【0022】
前輪FR、FLは、エンジン1のみ、前輪用モータ2のみ、エンジン1及び前輪用モータ2とによる3種類の形態で駆動され、これら駆動形態は遊星歯車及びクラッチからなる入力切替機構8により切り替えられる。
【0023】
エンジン1は主動力源として直噴型ガソリンエンジン或いは吸気バルブの閉弁タイミングを遅延させる高燃費タイプのものが使用され、前輪用モータ2及び後輪用モータ4は補助動力源として例えば最大出力20KWのIPM同期式モータが使用され、バッテリ3は例えば最大出力30KWのニッケル水素電池が搭載される。
【0024】
メインコントローラ10はCPU、ROM、RAM、インターフェース回路及びインバータ回路等からなり、エンジン1のスロットル弁開度や点火時期や燃料噴射量等を制御すると共に、前輪用及び後輪用モータ2、4の出力トルクや回転数等をエンジン1のトルク変動や自動変速機3の変速ショックを吸収するように制御する。また、メインコントローラ10は、エンジン1の駆動力により前輪用モータ2が発電した電力をバッテリ5に充電させるように制御する。
【0025】
次に、図2乃至図7を参照して本実施形態のハイブリッド自動車の走行状態に応じた駆動力の伝達形態について説明する。
[発進時(図2)]
停車中はエンジンを停止する。
【0026】
発進時はバッテリ5からの電力で前輪用及び後輪用モータ2、4を駆動する。
【0027】
エンジン1で走行する方が効率良い運転領域ならば、エンジン1を始動して自動変速機3を介して前輪駆動で走行する。
[通常走行及びバッテリ充電時(図3)]
通常走行時は、エンジン1により自動変速機3を介して前輪駆動で走行する。
【0028】
バッテリ充電時は、エンジン1で前輪用モータ2を発電機として駆動する。
[全開加速時(図4)]
エンジン1による駆動に加えて、バッテリ5から電力を供給して前輪用モータ2を駆動して、前輪FR、FLの駆動力を増大する。
【0029】
さらに、バッテリ5から電力を供給して後輪用モータ4を短時間駆動して、後輪RR、RLも駆動する。
[軽負荷時(図5)]
低速走行時や緩やかな下り坂走行時等は、エンジン効率が低下する運転領域ではエンジン1を止め、バッテリ5から電力を供給して前輪用及び後輪用モータ2、4を駆動して走行する。
[減速及び制動時(図6)]
前輪FR、FLが前輪用モータ2を駆動すると共に、後輪RR、RLが後輪用モータ4を駆動することにより、電力を回生してバッテリ5を蓄電する。
[滑りやすい路面等を走行時(図7)]
前輪スリップ時は、エンジン1により前輪用モータ2を発電機として駆動してエンジン1の駆動力をダウンすると同時に、前輪用モータ2で発電した電力で後輪用モータ4を駆動する。
【0030】
電力の過不足はバッテリ5で調整する。
【0031】
前輪FR、FLの駆動力が大きすぎる時は、エンジンによりトルクダウンを行う。
[ハイブリッド自動車の電気的構成]
図8は、本実施形態のハイブリッド自動車の電気的構成を示すブロック図である。
【0032】
図8に示すように、メインコントローラ10には、車速を検出する車速センサ11からの信号、エンジン1の回転数を検出するエンジン回転数センサ12からの信号、エンジン1に供給される電力を検出する電圧センサ13からの信号、エンジン1のスロットルバルブの開度を検出するスロットル開度センサ14からの信号、ガソリン残量センサ15からの信号、バッテリ5の蓄電残量を検出する蓄電残量センサ16からの信号、セレクトレバーによるシフトレンジを検出するシフトレンジセンサ17からの信号、運転者によるアクセルペダルの踏込量を検出するためのアクセルストロークセンサ18からの信号、スタートスイッチからの信号19、その他のセンサとして、自動変速機3の作動油温度を検出する油温センサからの信号等を入力してエンジン1に対してスロットル弁開度や点火時期や燃料噴射量の制御等を行うと共に、前輪用及び後輪用モータ2、4へ供給する電力量の制御等を行う。また、メインコントローラ10は、上記各種センサ信号から車両の運転状態に関するデータ、車速、エンジン回転数、電圧、ガソリン残量、バッテリの蓄電残量、シフトレンジ、電力供給系統等をLCD等の表示部20に表示させる。
【0033】
ブレーキコントローラ40はメインコントローラ10と双方向で通信可能に接続され、車輪速センサからの車輪速信号を入力して、各車輪速から推定演算される車体速と現在の車輪速から各車輪のスリップ量(率)を演算することにより、制動時の車輪のロックを抑制するABSや制動時の後輪のスリップを抑制するEBDを実行する。
[液圧制動装置]
本実施形態のハイブリッド自動車には、液圧制動装置が搭載されている。
【0034】
図9は、本実施形態のハイブリッド自動車に搭載される液圧制動装置の機械的構成を示す図である。
【0035】
図9に示すように、液圧制動装置は、運転者によって踏み込み操作されるブレーキペダル21と、このブレーキペダル21の踏み込み操作により、マスタバッグ22を介してマスタシリンダ圧を発生させるマスタシリンダ23と、前後左右の各車輪FR、FL、RR、RLに夫々設けられたディスクロータ25a及びキャリパ25b等からなるブレーキ装置25FR〜RLと、マスタシリンダ圧がブレーキ系統26を介して供給されたときにブレーキ装置25FR〜RLを作動させて車輪にブレーキ力を付与するホイールシリンダ27FR〜RLとを備える。
【0036】
カットバルブ41は、ブレーキ系統26のマスタシリンダ23側に配設されて開通又は遮断する。増圧バルブ42は、カットバルブ41の下流側のホイールシリンダ27FR〜RL側に配設されて、ブレーキ系統26を開通又は遮断する。減圧バルブ45は、増圧バルブ42の下流側で分岐してオイルパン43に至る減圧ライン44上に配設されて、減圧ライン44を開通又は遮断する。
【0037】
昇圧ポンプ48は、ブレーキ系統46におけるカットバルブ41と増圧バルブ42との間に接続された増圧ライン46上に配設され、モータ47により駆動されてブレーキ液を昇圧すると共に、ブレーキ液をオイルパン43からブレーキ系統26に供給する。昇圧ポンプ48の吐出側には、増圧ライン46を開通又は遮断する開閉バルブ49が配設されている。
【0038】
マスタシリンダ23には、リザーバタンク50が設けられ、このリザーバタンク50からオイルパン43にかけてブレーキ液の回収管51が設けられている。
【0039】
ブレーキコントローラ40は、CPU、ROM、RAM、インターフェース回路等からなり、各車輪に設けられた車輪速センサ61、ドライバによるブレーキペダル21の踏み込み操作を検出するブレーキスイッチ62、アクセルペダルの踏み込み操作を検出するアクセルスイッチ63、マスタシリンダ圧を検出するマスタシリンダ圧センサ64からの出力信号が入力され、上記各バルブ41、42、45、49及びモータ47に制御信号を出力して作動させる。
【0040】
ブレーキコントローラ40は、ABS制御として、各種センサの検出信号に基づいて、スリップ率が所定値以下に低下した車輪がある場合、その車輪の液圧バルブ45を開いてホイールシリンダ27内のブレーキ液圧を減圧ライン44を介してドレンさせることでブレーキ力を低減させる。また、ブレーキ力を低減させたことにより、当該車輪速が上昇したならば、減圧バルブ45を閉じると同時に、増圧バルブ42、開閉バルブ49を開いて昇圧ポンプ48から増圧ライン46を介してホイールシリンダ27にブレーキ液を供給する。この動作を繰り返すことにより車輪のロックを抑制しながら所要のブレーキ力が得られることになる。
【0041】
また、ブレーキコントローラ40は、ブレーキアシスト制御として、各種センサの検出信号に基づいて、マスタシリンダ圧が所定圧以上となった場合、各車輪に対して開閉バルブ49及び増圧バルブ42を開き、かつカットバルブ41及び減圧バルブ45を閉じて、昇圧ポンプ48のモータ47を作動する。これにより、オイルパン43から増圧ライン46及びブレーキ系統26を介して各車輪のホイールシリンダ27にブレーキ液が一斉に供給され、所要のブレーキ力が得られることになる。
[液圧制動時の応答遅れ制御]
図10及び図11は、本実施形態の回生制動及び液圧制動制御を示すフローチャートである。
【0042】
ブレーキコントローラ40は、図10に示すように、ドライバが車両に乗り込んでスタートスイッチをオンすると、ステップS9で、各種センサの検出信号を読み込む。
【0043】
ステップS11では、ブレーキ踏力圧を演算する。ステップS13では、ドライバのブレーキペダル21の操作によりブレーキスイッチ62がオンされたか判定し、オンされたならば(ステップS13でYES)、ステップS15に進み、オンされていないならば(ステップS13でNO)、ステップS14に進む。
【0044】
ステップS14では、後述する液圧制動遅れ時間TDをリセットしてリターンする。
【0045】
ステップS15では、ブレーキ踏力圧に応じた要求制動力Brefを設定する。回生制動力Brefは、図12に示すマップから求められ、所定閾値Bref0以下であれば回生制動力BMが設定され、所定閾値Bref0を超えるのであれば液圧制動力BFrefが設定される。つまり、要求制動力Brefが所定閾値Bref0を超えたならば、より大きな制動力を付与するために液圧制動に移行する(又は一部回生制動する)。
【0046】
ステップS17では、前輪用及び後輪用モータ2、4による回生制動力BMを推定する。回生制動力BMは、図13に示すマップを用いて、モータ回転数NMから推定される。
【0047】
ステップS19では、要求制動力Brefが所定閾値Bref0を超えるか判定し、要求制動力Brefが所定閾値Bref0を超えるならば(ステップS19でYES)、液圧制動による制動力を付加するので、ステップS21に進み、要求制動力Brefから回生制動力BMを差し引いた不足分を液圧制動力BFrefに設定する。このステップS21では、前回の処理において回生制動力BMが保持されている場合は、保持された回生制動力BMを用いる。
【0048】
また、ステップS19で要求制動力Brefが所定閾値Bref0を超えないならば(ステップS19でNO)、回生制動のみを実行するので、ステップS29に進み、前輪用及び後輪用モータ2、4による回生制動力BMを要求制動力Brefに設定し、ステップS31で液圧制動により補う必要はないので液圧制動力BFrefをゼロに設定してリターンする。
【0049】
ステップS23ではタイマTをインクリメントし、ステップS25では液圧制動開始直後か判定する。
【0050】
ステップS23で液圧制動開始直後ならば(ステップS25でYES)、ステップS27に進み、図14に示すマップから液圧制動遅れ時間TDを設定する。この液圧制動遅れ時間TDは、図14に示すように、ブレーキ液圧温度と車速との関係から求められ、ブレーキ液温度が低いほど、車速が大きいほど大きな値に設定される。
【0051】
図11のステップS33では、カウンタTが液圧制動遅れ時間TD経過したか判定し、遅れ時間TD経過後ならば(ステップS33でYES)、液圧制動遅れを考慮せずに、ステップS35で回生制動力BMを所定時間保持し、遅れ時間TD未経過ならば(ステップS33でNO)、液圧制動遅れによる遅れ時間TD後に発生するトルクショックを低減するために、ステップS34で回生制動力BMを要求制動力Brefにまで高めて設定する。
【0052】
ステップS37では、前輪用及び後輪用モータ2、4から回生制動力BMが発生するようにインバータ7を制御する回生制動制御を実行する。
【0053】
ステップS39では、液圧制動力BFrefに応じて、各車輪に対して開閉バルブ49及び増圧バルブ42を開き、かつカットバルブ41及び減圧バルブ45を閉じて、昇圧ポンプ48のモータ47を作動する。これにより、オイルパン43から増圧ライン46及びブレーキ系統26を介して各車輪のホイールシリンダ27にブレーキ液が一斉に供給され、所要のブレーキ力が得られる液圧制動制御を実行する。
【0054】
ステップS41では、液圧制動力BFrefが設定されているか判定し、設定されているならば(ステップS41でYES)、ステップS43に進み、未設定ならば(ステップS41でNO)、リターンする。
【0055】
ステップS43では、前輪用及び後輪用モータ2、4のトルク変動を検出するために、トルク変動関連値として回生電流の変化量ΔIMが所定閾値ΔIM0を下回るか判定し、下回るならば(ステップS43でYES)、ステップS45に進み、下回らないならば(ステップS43でNO)、リターンする。
【0056】
このステップS43では、トルク変動関連値として回生電流の変化量ΔIMの代えて、車輪速vFR,FL,RR,RLの変化量が所定閾値より大きいならば、ステップS45に進んでもよい。
【0057】
ステップS45では、回生電流の変化量ΔIMから液圧制動開始時点(Bref>Bref0となるとき)から実質的に液圧制動を開始するまでの期間TMを検出する。
【0058】
ステップS47では、期間TMが所定閾値TM0を下回るか判定し、下回るならば(ステップS47でYES)、ステップS49に進み、下回らないならば(ステップS47でNO)、ステップS48に進む。
【0059】
ステップS48では、期間TMが長すぎるためブレーキ系統26やブレーキパッド等の劣化等の異常があると判定して、表示部20やラーニングランプ等によりドライバに報知する。
【0060】
ステップS49では、期間TMの前回値TMn-1と今回値TMnとの平均値を演算してなまし処理を行い、このなまし後の値を新たに遅れ時間TDとして演算し、ステップS51で新たな遅れ時間TDにより図14のマップを更新してリターンする。
【0061】
図15は,図10及び図11に示す液圧制動時の応答遅れ制御における回生制動力BMと液圧制動力BFrefの時間変化を示すタイムチャートである。図16は、図10及び図11に示す液圧制動時の応答遅れ制御におけるモータ回転数NMの時間変化を示すタイムチャートである。図17は、図10及び図11に示す液圧制動時の応答遅れ制御における回生電流IMの時間変化を示すタイムチャートである。
【0062】
本実施形態の液圧制動時の応答遅れ制御では、図15乃至図17に示すように、要求制動力Brefが所定閾値Bref0を超えた時点P1から、液圧制動遅れ時間TDが経過する時点P2までは回生制動力BMを要求制動力Brefに設定し(ステップS34)、時間TD経過後はモータ回転数NMを保持して回生制動力BMを要求制動力Brefに保持する(ステップS35)。また、液圧制動力BFrefの急激な立ち上がり時点P3(実質的な液圧制動開始時点)をモータ回転数NMの落ち込み(回生制動トルク変動)による回生電流の変化量ΔIMから検出して(ステップS43)、液圧制動開始時点P1から実質的な液圧制動開始時点P3までの期間TMが許容範囲ならば(ステップS47)、期間TMの前回値及び今回値に基づいて期間TMが大きいほど遅れ時間TDが大きくなるように学習補正する(ステップS49、S51)。
【0063】
上記制御により、回生電流の変化量ΔIMや車輪速の変化量から液圧制動遅れ時間TDを推定するので、ホイール圧センサ等を必要としないで、簡単且つ安価な構成で液圧制動遅れ時間や液圧制動力を高精度に推定できるが、ホイール圧センサ等を併用することで、より高精度に推定することも可能となる。
【0064】
また、液圧制動遅れ時間TD経過前では回生制動力BMを要求制動力Brefにまで高めて設定し、液圧制動遅れ時間TD経過後に回生制動力BMを保持するので液圧制動遅れに起因する減速ショックを低減できる。
【0065】
また、液圧制動開始時点P1から実質的な液圧制動開始時点P3までの期間TMが大きいほど遅れ時間TDが大きくなるように学習補正するので、ブレーキ系統の経年変化に応じた適切な遅れ時間TDを設定できる。
【0066】
尚、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で上記実施形態を修正又は変形したものに適用可能である。
【0067】
例えば、本実施形態は、モータで車輪を駆動する電気自動車や、エンジンで車輪を駆動する自動車に電力回生用のモータを搭載した車両等にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態のハイブリッド自動車の機械的構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態のハイブリッド自動車の発進時の駆動力の伝達形態を説明する図である。
【図3】本実施形態のハイブリッド自動車の通常走行時及びバッテリ充電時の駆動力の伝達形態を説明する図である。
【図4】本実施形態のハイブリッド自動車の加速時の駆動力の伝達形態を説明する図である。
【図5】本実施形態のハイブリッド自動車の軽負荷時の駆動力の伝達形態を説明する図である。
【図6】本実施形態のハイブリッド自動車の減速時及び制動時の駆動力の伝達形態を説明する図である。
【図7】本実施形態のハイブリッド自動車の滑りやすい路面走行時の駆動力の伝達形態を説明する図である。
【図8】本実施形態のハイブリッド自動車の電気的構成を示すブロック図である。
【図9】本実施形態のハイブリッド自動車に搭載される液圧制動装置の機械的構成を示す図である。
【図10】本実施形態の回生制動及び液圧制動制御を示すフローチャートである。
【図11】本実施形態の回生制動及び液圧制動制御を示すフローチャートである。
【図12】液圧制動応答遅れを説明する図である。
【図13】モータ回転数と回生制動力との関係を示す図である。
【図14】液圧制動遅れ時間をブレーキ液温度と車速との関係で示す図である。
【図15】図10及び図11に示す液圧制動時の応答遅れ制御における回生制動力BMと液圧制動力BFrefの時間変化を示すタイムチャートである。
【図16】図10及び図11に示す液圧制動時の応答遅れ制御におけるモータ回転数NMの時間変化を示すタイムチャートである。
【図17】図10及び図11に示す液圧制動時の応答遅れ制御における回生電流IMの時間変化を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン
2 前輪用モータ
3 自動変速機
4 後輪用モータ
5 バッテリ
6、7 インバータ
8 入力切替機構
Claims (4)
- 車輪を駆動するモータと、摺動部材を該車輪に押圧して制動力を付与するために該摺動部材を液圧作動させる液圧制動手段と、減速時に前記モータを回生制動させる回生制動手段と、要求された制動力が所定値以下の時は、前記モータに回生制動させると共に、前記要求された制動力が所定値を超える時は、前記回生制動に加えて前記液圧制動手段により液圧制動する制動制御手段とを備える電動車両の制動制御装置において、
前記制動制御手段による液圧制動開始から車輪に対し実質的に液圧制動力が作用するまでの液圧制動遅れ時間を、車速及び前記液圧制動手段の温度関連値の少なくとも1つに基づいて設定する遅れ時間設定手段を備え、
前記要求された制動力が所定値を超えた時には、前記液圧制動遅れ時間を経過するまでは回生制動力を要求された制動力に設定し、前記液圧制動遅れ時間を経過した後は前記回生制動力を前記液圧制動遅れ時間の経過時点に要求された制動力に維持することを特徴とする電動車両の制動制御装置。 - 前記制動制御手段による液圧制動開始からの車輪のトルク変動関連値を検出するトルク変動検出手段と、
前記トルク変動関連値に基づいて、前記制動制御手段による液圧制動を開始してから前記車輪に対し実質的に液圧制動力が作用するまでの期間を検出する期間を検出する期間検出手段とを備え、
前記期間検出手段により検出された期間が大きいほど前記液圧制動遅れ時間が大きくなるように補正することを特徴とする請求項1に記載の電動車両の制動制御装置。 - 前記トルク変動関連値は、前記モータの回生電流の変化量又は車輪速の変化量であることを特徴とする請求項2に記載の電動車両の制動制御装置。
- 前記期間検出手段により検出された期間が大きいほど前記液圧制動遅れ時間が大きくなるように補正するための補正値は、学習により更新されることを特徴とする請求項2又は3に記載の電動車両の制動制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000074733A JP4147513B2 (ja) | 2000-03-16 | 2000-03-16 | 電動車両の制動制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2000074733A JP4147513B2 (ja) | 2000-03-16 | 2000-03-16 | 電動車両の制動制御装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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