JP2015030427A - 車両の制動装置 - Google Patents

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卓永 山本
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Abstract

【課題】下り坂走行中にエンジンブレーキ相当の制動力の発生源を切り替えるときに、運転者に与える制動フィールの違和感や不安感を抑制できる車両の制動装置を提供する。【解決手段】制御ユニットは、回生制動力発生手段に発生させる回生制動力FBRに制限が加わった場合(充電率SOC≧所定値)、電動アクチュエータを駆動して、アクセルオフ制動力FBAFを回生制動力FBRから摩擦制動力FBFに持ち替える切替制御を行う。勾配判定手段によって路面が坂道であると判定された場合(ステップST1:Yes)、制御ユニットは、路面の勾配LSに応じて切替制御の開始時点および切替制御の切替時間Tの少なくとも一方を変更する(ステップST4、ステップST6)ことで、坂道走行時の切替中に発生するアクセルオフ制動力FBAFの変動を抑制する。【選択図】図6

Description

本発明は、運転者の操作から独立して摩擦制動力を発生可能な摩擦制動力発生手段と回生制動力を発生可能な回生制動力発生手段とを備えた車両の制動装置に関する。
駆動源であるエンジンの他に走行用の電動機を備えるハイブリッド自動車や駆動源として電動機のみを備える電気自動車では、制動時に電動機を発電機として制御し、電動機が発生する回転抵抗を制動力として用いる回生制動を行うことにより、運動エネルギを電気エネルギに変換してバッテリに回収している。これらのハイブリッド自動車や電気自動車においては、走行中に運転者がアクセルをオフにしたときに、駆動源としてエンジンのみを搭載した従来のエンジン自動車が発生するエンジンブレーキ相当の回生制動力を発生させることで、運転フィーリングの向上を図るとともに、エネルギ回収の効率化を図ってバッテリの充電容量を補うようにしている。
ところが、バッテリが満充電や満充電に近い状態にあるときには、回生制動に伴うエネルギをバッテリに回収することは困難であり、回生制動力を発生させることができない。しかもバッテリの過充電はバッテリの劣化を招く原因ともなる。そのため、バッテリが満充電状態のときには、運転者がアクセルをオフにしてもエンジンブレーキ相当の回生制動力が発生しなくなり、運転者に不安感や違和感を生じさせる。
これを防止するために、電動機に回生制動力を発生させて車両に制動力を加える電気的制動手段と、油圧ブレーキに代表される、機械的な制動力すなわち摩擦制動力を車両に作用させる機械的制動手段とを備えた電気自動車において、アクセル操作およびブレーキ操作がなされていなく且つバッテリが満充電状態であるときには、車両の走行状態に基づいて算出した減速度に応じた電気的制動手段の作動を禁止するとともに、算出した減速度に応じて機械的制動手段を作動させるようにした発明が提案されている(特許文献1参照)。
特開平10−271605号公報
特許文献1に記載の発明では、電気的制動手段による制動力から機械的制動手段による制動力に切り替える際に、単に電気的制動手段による制動力を禁止し、機械的制動手段を作動させるようにしている。しかしながら、発生させる制動力源を切り替える際に、電気的制動手段による制動力の低減量と機械的制動手段による制動力の増大量とを完全に一致させることは困難である。そして、切替中に総制動力が変化して車両の前後加速度が変化すると、運転者に制動フィールの違和感を与える。特に、下り坂を走行中に制動力が急激に低下すると、運転者に不安感を与える虞がある。
本発明は、このような背景に鑑みなされたもので、下り坂を走行中にエンジンブレーキに相当する制動力の発生源を切り替えるときに、運転者に与える制動フィールの違和感や不安感を抑制できる車両の制動装置を提供することを目的とする。
このような課題は、本発明の一側面によれば、回生制動力(FBR)を発生させる回生制動力発生手段(3)と、電動アクチュエータ(13、26)によって駆動され、摩擦制動力(FBF)を発生させる摩擦制動力発生手段(6)と、車両走行中にアクセルがオフ(AS=0)にされたときに、前記回生制動力発生手段(3)を制御して前記回生制動力(FBR)によって車速(v)に応じたアクセルオフ制動力(FBAF)を発生させるとともに、前記回生制動力発生手段(3)に発生させる前記回生制動力(FBR)に制限が加わった場合(充電率SOC≧所定値)、前記電動アクチュエータ(13、26)を駆動して、前記アクセルオフ制動力(FBAF)を前記回生制動力(FBR)から前記摩擦制動力(FBF)に持ち替える切替制御を行う制御ユニット(11)と、車両(V)が走行する路面の勾配(LS)を判定する勾配判定手段(39)とを備え、前記勾配判定手段(39)によって前記路面が坂道であると判定された場合(ステップST1:Yes)、前記制御ユニット(11)は、前記勾配(LS)に応じて前記切替制御の開始タイミング(t3)および切替制御の開始から完了までの切替時間(T)の少なくとも一方を変更する(ステップST4、ステップST6)車両(V)の制動装置(1)を提供することにより達成される。
この構成によれば、路面が坂道であると判定された場合には、回生制動力に制限が加わってアクセルオフ制動力を回生制動力から摩擦制動力に持ち替える切替制御が行われる可能性があるため、切替制御の開始タイミングおよび切替制御の切替時間の少なくとも一方を変更することにより、坂道走行中のアクセルオフ制動力の発生源切替が運転者に与える制動フィールの違和感や不安感を抑制することが可能である。
また、本発明の一側面によれば、前記勾配判定手段(39)によって前記路面が下り坂であると判定された場合、前記制御ユニット(11)は、前記下り坂の勾配(LS)が大きいほど前記切替制御の開始から完了までの切替時間(T)を長くする構成とすることができる。
下り坂の勾配が大きいほど、回生制動力によってアクセルオフ制動力を発生させることで回生制動力に制限が加わる可能性が高く、切替時間が短いほど、回生制動力と摩擦制動力との和がアクセルオフ制動力の目標値に対して急激に変化する可能性が高い。下り坂走行によって車速が高くなる可能性が高い。そこで、このような構成とすることにより、切替制御中における回生制動力の低減量の変化および摩擦制動力の増大量の変化を緩やかにして運転者に与える制動フィールの違和感や不安感を抑制することができる。
また、本発明の一側面によれば、前記勾配判定手段(39)によって前記路面が下り坂であると判定検出された場合、前記制御ユニット(11)は、前記下り坂の勾配(LS)が大きいほど前記切替制御の開始タイミング(t1)を早くする構成とすることができる。
下り坂の勾配が大きいほど、回生制動力によってアクセルオフ制動力を発生させることで回生制動力に制限が加わる可能性が高く、切替が遅くなるほど、下り坂走行によって車速が高くなる可能性が高い。そこで、このような構成とすることにより、車速がより低い早期に切替制御を行って運転者に与える制動フィールの違和感や不安感を抑制することができる。
また、本発明の一側面によれば、前記勾配判定手段(39)によって前記路面が下り坂であると判定された場合、前記制御ユニット(11)は、前記回生制動力に制限が加わることが予測される程度に応じて前記切替制御の開始タイミング(t1)を早くする構成とすることができる。
この構成によれば、回生制動力に制限が加わることが予測される程度に応じて車速がより低い早期に切替制御を行って運転者に与える制動フィールの違和感や不安感を抑制することができる。
また、本発明の一側面によれば、前記勾配判定手段(39)は、道路情報に基づいて車両(V)が走行すると予測される前方路面の勾配(LSA)を判定し、前記勾配判定手段(39)によって予測される前方路面が下り坂であると判定された場合、前記制御ユニットは、前記下り坂が長いほど前記切替制御の開始タイミング(t1)を早くする構成とすることができる。
回生制動力によってアクセルオフ制動力を発生させることで回生制動力に制限が加わる可能性が高く、切替制御が遅くなるほど下り坂走行によって車速が高くなる可能性が高い。そこで、このような構成とすることにより、車速がより低い早期に、あるいは下り坂に進入する前に切替制御を行って運転者に与える制動フィールの違和感や不安感を抑制することができる。
このように本発明によれば、回生制動に制限が加わっているときに長い下り坂が続いても、摩擦制動力発生手段の温度上昇を抑制し、摩擦制動力発生手段の磨耗を抑制できる車両の制動装置を提供することができる。
本発明が適用された自動車の制動装置の概略構成図 図1に示すブレーキ液圧発生装置を模式的に示す油圧回路図 図1に示す制御ユニットの機能ブロック図 アクセルオフ時の制駆動力の対車速特性を示すグラフ (A)本発明に係る自動車の制動力を示すタイムチャート(B)比較例に係る自動車の制動力を示すタイムチャート アクセルオフ制動力の設定・配分切替制御の手順を示すフローチャート 路面の勾配に応じた充電率の切替閾値を示すグラフ 現在の充電率に応じた切替閾値係数を示すグラフ 路面の勾配に応じた切替制御の切替時間を示すグラフ 配分切替制御による回生制動力および摩擦制動力の変化を示すタイムチャート 変形例に係る制御ユニットの機能ブロック図 変形例に係るアクセルオフ制動力の設定・配分切替制御の手順を示すフローチャート 変形例に係る下り坂長さに応じた切替閾値係数を示すグラフ
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は本発明に係る制動装置1が適用された電気自動車またはハイブリッド自動車(以下、単に自動車Vと記す。)の制動装置1の概略構成図である。自動車Vは、車両前側に配設された左右一対の前輪2Fと、車両後側に配設された左右一対の後輪2Rとを有する。左右の前輪2Fに連結された前輪車軸にはモータ・ジェネレータ3が自動変速機4を介して機械的に連結されている。図示の例では自動車Vは前輪駆動とされているが、他の実施形態では、後輪2Rを駆動するモータ・ジェネレータ3を設けて四輪駆動とすることもできる。
モータ・ジェネレータ3は、車両走行用の電動機と回生用の発電機とを兼ねたものである。モータ・ジェネレータ3は、二次電池であるバッテリBを電源として、後述する制御ユニット11によってインバータ5を介してバッテリBからの電力供給とバッテリBに対する電力供給(充電)とを制御され、減速時には減速エネルギを電力に変換回生して回生制動力を発生する回生制動力発生手段をなす。
前輪2Fおよび後輪2Rの各車輪2には、摩擦制動力を発生する摩擦制動力発生手段として、車輪2(前輪2F、後輪2R)と一体のディスク6aおよびホイールシリンダ6bを備えるキャリパによって構成される公知のディスクブレーキ6が設けられている。ホイールシリンダ6bには、公知のブレーキ配管を介してブレーキ液圧発生装置7が接続されている。ブレーキ液圧発生装置7は、後に詳述するが、各車輪別にブレーキ圧を増減可能な油圧回路によって構成されており、運転者の操作から独立して摩擦制動力を発生する摩擦制動力発生手段をなす。
前輪2Fおよび後輪2Rの各車輪2には、対応する車輪速vwを検出する車輪速検出手段としての車輪速センサ2aが設けられている。バッテリBには、バッテリBの端子間電圧VBを検出する電圧センサBaが設けられている。運転者のアクセル操作に供されるアクセルペダル8には、その操作量(踏み込み量)を検出するアクセル開度センサ8aが設けられ、運転者のブレーキ操作に供されるブレーキペダル9には、その操作量(踏み込み量)を検出するブレーキペダルセンサ9aが設けられている。また、自動変速機4のレンジ操作に供されるセレクトレバー10には、パーキングレンジ、リバースレンジ、ニュートラルレンジ、走行レンジ(以下、Dレンジと記す)および減速レンジ(以下、Bレンジと記す)を含む設定された複数のレンジの中から選択されているレンジを検出するポジションセンサ10aが設けられている。さらに、自動車Vには、車体の前後加速度Gxを検出する前後Gセンサ30が適所に設けられている。
自動車Vには、CPUを用いた制御回路を備えることで車両の各種制御を行い、制動力配分手段として機能する制御ユニット11が設けられている。制御ユニット11には、上記インバータ5が電気的に接続されている。制御ユニット11には各車輪速センサ2a、アクセル開度センサ8a、ブレーキペダルセンサ9a、ポジションセンサ10aおよび前後Gセンサ30の各検出信号が入力する。なお、電気自動車の場合にはこの構成のままでよいが、ハイブリッド自動車の場合には、自動変速機4に図の二点鎖線で示されるエンジン(内燃機関)Eの出力軸が連結される。
制御ユニット11は、セレクトレバー10によってDレンジやBレンジが選択されているときにアクセルペダル8のアクセル開度センサ8aの出力信号が初期値(=0)から増大した場合に駆動(走行)の指令が発生したと判断し、モータ・ジェネレータ3またはエンジンEによる駆動時の制御を行う。自動車VがエンジンEを搭載していない場合、あるいはエンジンEを搭載している場合であって停車中にエンジンEの駆動を停止する場合、制御ユニット11は、セレクトレバー10によってDレンジやBレンジが選択されているときには、アクセル開度センサ8aの出力信号が初期値(=0)であっても、モータ・ジェネレータ3を駆動してオートマチック車のクリープと同程度の駆動力を出力させる。
また、制御ユニット11は、ブレーキペダル9のブレーキペダルセンサ9aの出力信号が初期値(=0)から増大した場合に制動の指令が発生したと判断し、ブレーキ液圧発生装置7による制動時の制御を行う。このように回生制動を行い且つ油圧制動も行う回生協調制御を行うことから、制動装置1にはブレーキ・バイ・ワイヤが採用される。
次に、図2を参照して本発明が適用された制動装置1について説明する。本実施形態の制動装置1は、運転者の操作から独立して摩擦制動力を制御可能ないわゆるブレーキ・バイ・ワイヤを構成している。すなわち、ブレーキペダル9の操作を機械的にブレーキ液圧発生シリンダに伝達してブレーキ液圧PBを発生させるのではなく、ブレーキペダル9の操作量(ブレーキペダル操作量BS)をブレーキペダルセンサ9aで検出し、この操作量検出値に基づいて電動サーボモータ12を駆動してモータ駆動シリンダ13を作動させてブレーキ液圧PBを発生させる。
ブレーキペダル9は車体に回動自在に支持されており、運転者の制動操作に応じて円弧運動を行う。ブレーキペダル9にはその円弧運動を略直線運動に変換するロッド14の一端が連結されており、ロッド14の他端は、直列的に配設されたマスターシリンダ15の第1ピストン15aに対し、運転者の制動操作に応じて押し込むように係合している。マスターシリンダ15における第1ピストン15aのロッド14と相反する側には、第2ピストン15bが直列的に配設されており、各ピストン15a・15bはそれぞれロッド14側にばね付勢されている。なお、ブレーキペダル9は、ばね付勢され、図示されないストッパによって止められて図2の状態である待機位置に位置している。
マスターシリンダ15には、各ピストン15a・15bの変位によってブレーキ液が不足した際にブレーキ液を補充するためのリザーバタンク16が設けられている。なお、各ピストン15a・15bには、リザーバタンク16と連通する各油路16a・16bとの間をシールするための公知構造のシール部材が各適所に設けられている。そして、マスターシリンダ15の筒内には、第1ピストン15aと第2ピストン15bとの間に第1液室17aが形成され、第2ピストン15bの第1ピストン15aと相反する側に第2液室17bが形成されている。
一方、上記したモータ駆動シリンダ13には、上記電動サーボモータ12と、電動サーボモータ12に連結されたギアボックス18と、ギアボックス18にボールねじ機構を介してトルク伝達されることにより軸線方向に変位するねじ溝付きロッド19と、ねじ溝付きロッド19と同軸かつ互いに直列的に配設された第1ピストン21aおよび第2ピストン21bとが設けられている。
第2ピストン21bには第1ピストン21a側に延出する連結部材20の一端部が固設されており、連結部材20の他端部は第1ピストン21aに対して相対的に軸線方向に所定量変位可能に支持されている。これにより、第1ピストン21aの前進(第2ピストン21b側への変位)時は第2ピストン21bと別個に変位可能であるが、第1ピストン21aの前進状態から図2の初期状態に戻る後退時には、連結部材20を介して第2ピストン21bも初期位置まで引き戻されるようになっている。なお、各ピストン21a・21bは、それぞれに対応して設けられた各戻しばね27a・27bによってロッド19側にばね付勢されている。
モータ駆動シリンダ13には、上記リザーバタンク16に連通路22を介してそれぞれ連通する各油路22a・22bが設けられており、各ピストン21a・21bには、各油路22a・22bとの間をシールするための公知構造のシール部材が各適所に設けられている。モータ駆動シリンダ13の筒内には、第1ピストン21aと第2ピストン21bとの間に第1液圧発生室23aが形成され、第2ピストン21bの第1ピストン21aと相反する側に第2液圧発生室23bが形成されている。
そして、マスターシリンダ15の第1液室17aが、常時開型の電磁弁24aを介してモータ駆動シリンダ13の第1液圧発生室23aと連通し、第2液室17bが、常時開型の電磁弁24bを介してモータ駆動シリンダ13の第2液圧発生室23bと連通し得るようにそれぞれ配管されている。なお、第1液室17aと電磁弁24aとの間には、マスターシリンダ15が発生するマスターシリンダ側液圧を検出するマスターシリンダ側ブレーキ圧センサ25aが接続され、電磁弁24bと第2液圧発生室23bとの間には、モータ駆動シリンダ13が発生する実ブレーキ液圧PBaを検出するモータ駆動シリンダ側ブレーキ圧センサ25bが接続されている。
第2液室17bと電磁弁24bとの間には、常時閉型の電磁弁24cを介してシリンダ型のシミュレータ28が接続されている。シミュレータ28には、そのシリンダ内を分断するピストン28aが設けられ、ピストン28aの電磁弁24c側に貯液室28bが形成され、ピストン28aの貯液室28b側と相反する側には圧縮コイルばね28cが受容されている。両電磁弁24a・24bが閉じていると共に電磁弁24cが開いている状態で、ブレーキペダル9を踏み込んで第2液室17b内のブレーキ液が貯液室28bに入り込むことにより、圧縮コイルばね28cの付勢力がブレーキペダル9に伝達され、これによりマスターシリンダ15とホイールシリンダ6bとが直結されている公知のブレーキ装置と同様の踏み込みに対する反力が得られるようになっている。
さらに、モータ駆動シリンダ13の第1液圧発生室23aと第2液圧発生室23bとは、それぞれVSA装置26を介して複数(図示例では4つ)のホイールシリンダ6bに連通するように配管されている。なお、VSA装置26は、ブレーキ時の車輪ロックを防ぐABS、加速時などの車輪空転を防ぐTCS(トラクションコントロールシステム)、旋回時のヨーモーメント制御、ブレーキアシスト機能、衝突回避・レーンキープなどのための自動ブレーキ機能等を備えた車両挙動安定化制御システムとして公知のものであってよく、ここではその詳細な説明は省略する。なお、VSA装置26には、前輪2Fの各ホイールシリンダ6bに対応する第1系統と、後輪2Rの各ホイールシリンダ6bに対応する第2系統とをそれぞれ構成する各種油圧素子を用いた各ブレーキアクチュエータと、それらを制御するVSA制御ユニット26aとによって構成されている。
このようにして構成されたブレーキ液圧発生装置7は、上記制御ユニット11によって総合的に制御されるようになっている。制御ユニット11には、ブレーキペダルセンサ9aと各ブレーキ圧センサ25a・25bとの各検出信号が入力し、また車両の挙動を検出するための各種センサ(図示せず)からの検出信号も入力している。制御ユニット11は、ブレーキペダルセンサ9aからの検出信号と上記各種センサからの検出信号に基づき、モータ駆動シリンダ13を駆動制御してディスクブレーキ6に発生させる摩擦制動力を制御する。さらに、本実施形態の対象車両となる電気自動車(またはハイブリッド車)の場合には、モータ・ジェネレータ3による回生制御を行うようにしており、制御ユニット11は、回生制御を行う場合の回生制動力の大きさに対するモータ駆動シリンダ13による摩擦制動力の大きさの配分制御も行う。
次に、通常制動時の制御要領について説明する。図2は、運転者がブレーキペダル9を操作していない状態である。ブレーキペダルセンサ9aの検出値は初期値(=0)であり、基本的には制御ユニット11からブレーキ液圧発生信号は出力されない。この状態では、図2に示されるように、モータ駆動シリンダ13では、ねじ溝付きロッド19が最も後退した位置にあり、それに伴って各戻しばね27a・27bによって付勢されている各ピストン21a・21bも後退しており、両液圧発生室23a・23bにブレーキ液圧PBは発生していない。
ブレーキペダル9が踏み込まれて、ブレーキペダルセンサ9aの検出値が0よりも大きくなった場合には、ブレーキ・バイ・ワイヤによる制御を行うべく、両電磁弁24a・24bを閉じて、マスターシリンダ15で発生する液圧がモータ駆動シリンダ13へ伝達されるのを遮断すると共に、電磁弁24cを開いてシミュレータ28に伝達されるようにする。そして、ブレーキペダルセンサ9aで検出された制動操作量の検出値(ブレーキペダル操作量BS)に基づいて、回生制動力を考慮したうえで目標ブレーキ液圧PBtが設定され、この目標ブレーキ液圧PBtに対応する目標電流Itが制御ユニット11から電動サーボモータ12に出力される。これにより、ねじ溝付きロッド19すなわち第1ピストン21aが押し出される向きに駆動されて、入力としてのブレーキペダル9の踏み込み量(ブレーキペダル操作量BS)に応じたブレーキ液圧PBが第1液圧発生室23aに発生する。同時に、第1液圧発生室23aの液圧によって押圧されて第2ピストン21bが戻しばね27bの付勢力に抗して変位し、第2液圧発生室23bにも同じ大きさのブレーキ液圧PBが発生する。
運転者がブレーキペダル9を戻す方向に変位させた場合には、ブレーキペダルセンサ9aで検出された戻し方向変位に応じて、電動サーボモータ12によってねじ溝付きロッド19すなわち第1ピストン21aを初期位置側に戻すことにより、ブレーキペダル9の踏み込み量に応じてブレーキ液圧PBを低減させることができる。また、ブレーキペダル9が図示されない戻しばねによって初期位置に戻された場合には、制御ユニット11が電磁弁24a・24bを開く。それに伴って各ホイールシリンダ6bのブレーキ液がモータ駆動シリンダ13を介してリザーバタンク16に戻ることができ、摩擦制動力は解除される。基本的にはブレーキペダルセンサ9aの検出値が初期値になることにより、第1ピストン21aが初期位置に戻り、前述したように連結部材20を介して第2ピストン21bも初期位置に戻る。
上記モータ駆動シリンダ13で発生したブレーキ液圧PBは、VSA装置26が作動していない場合には、前後輪の各ホイールシリンダ6bに均等に供給される。一方、VSA装置26による各車輪2に対する制動力分配制御が行われる場合には、その制御に応じて各車輪2のホイールシリンダ6bに供給されるブレーキ液圧PBが調整される。
回生制動が同時に作動する場合には、制御ユニット11がモータ・ジェネレータ3を発電機として制御し、ブレーキペダル9によるブレーキペダル操作量BSなどに応じて回生制動力を増減する。そして、ブレーキペダル操作量BSの大きさ(運転者が要求する減速力の大きさ)に対して回生制動だけでは不足する車体減速度に対応するよう、制御ユニット11が上記した電動サーボモータ12によってモータ駆動シリンダ13を駆動制御して、回生制動と油圧式の摩擦制動とによる回生協調制御を行う。上述の例においては、ブレーキペダル9の踏み込み量に対応した摩擦制動力をモータ駆動シリンダ13が発生するように構成したが、この場合には公知の方法を用いてモータ駆動シリンダ13の作動量を決定するように構成することができる。例えばブレーキペダル操作量BSに対応して決定される総制動力から実際の回生制動力を減じた値に対応する制動力要求を入力として目標ブレーキ液圧PBtを設定したり、総制動力に対してある比率の制動力が発生するようにモータ駆動シリンダ13の作動量を決定したりすればよい。
次に、図3を参照して第1実施形態に基づく制御ユニット11の要部の構成について説明する。ここでは、自動車VがエンジンEを搭載しない電気自動車であるものとして説明する。車輪速センサ2aからの検出信号である各車輪速vwが車速推定部31に入力しており、車速推定部31では、例えば4つの車輪速vwの平均値から自動車Vの車速vを推定する。推定された車速vは、変速段設定部32および後述する目標制動力設定部36に入力する。
変速段設定部32には、ポジションセンサ10aからの検出信号である選択中のレンジ信号SRおよびアクセル開度センサ8aからの検出信号であるアクセルペダル操作量(変位)ASも入力している。変速段設定部32は、入力するこれらの信号に基づいて、自動変速機4のギヤ段信号SG(あるいはギヤ比)を設定する。設定されたギヤ段信号SGは変速機制御部33に入力し、変速機制御部33は入力したギヤ段信号SGに基づいて自動変速機4のギヤ段(あるいはギヤ比)を変更する制御を行う。
ポジションセンサ10aからのレンジ信号SRはまた、目標駆動力設定部34にも入力している。目標駆動力設定部34には、レンジ信号SRの他にアクセル開度センサ8aからのアクセルペダル操作量ASも入力しており、目標駆動力設定部34は、入力するこれらの信号に基づいて、モータ・ジェネレータ3に発生させるべき目標駆動力(出力)FDを設定する。なお、目標駆動力FDは、自動車Vの推進力ではなく、モータ・ジェネレータ3の出力である駆動トルクである。目標駆動力設定部34は、具体的には、入力するアクセルペダル操作量ASに応じた目標駆動力FDを設定し、アクセルペダル操作量ASが0であっても入力するレンジ信号SRがDレンジおよびBレンジである場合には、クリープ相当の駆動力を目標駆動力FDに設定する。目標駆動力設定部34で設定された目標駆動力FDはモータ・ジェネレータ制御部35に入力し、モータ・ジェネレータ制御部35は、入力した目標駆動力FDに基づいてインバータ5を介してモータ・ジェネレータ3を電動機として制御する。
車輪速センサ2aからの各車輪速vw、ポジションセンサ10aからのレンジ信号SRおよびアクセル開度センサ8aからのアクセルペダル操作量ASは、目標制動力設定部36にも入力している。目標制動力設定部36には、これらの信号の他にブレーキペダルセンサ9aからの検出信号であるブレーキペダル操作量(変位)BSも入力している。目標制動力設定部36は、入力するこれらの信号に基づいて、自動車Vに発生させるべき総制動力の目標値である目標制動力FBを設定する。具体的には、目標制動力設定部36は、入力するブレーキペダル操作量BSに基づいて、吸気負圧を利用したマスターパワーを用いて発生させた液圧を直接ホイールシリンダ6bに作用させる従来型車両と同様の制動フィールを達成するように目標制動力FBを設定する。また、ブレーキペダル操作量BSおよびアクセルペダル操作量ASが0であっても、入力するレンジ信号SRがDレンジおよびBレンジである場合には、目標制動力設定部36は、エンジンEを駆動源とする従来型のエンジン自動車のエンジンブレーキに相当する制動力(以下、アクセルオフ制動力FBAFと称する)を目標制動力FBに設定する。
なお、アクセルオフ制動力FBAFに対応する目標制動力FBは、図4に示すように設定される。すなわち、目標制動力FB(アクセルオフ制動力FBAF)は、車速vが所定値(例えば10km/h)以上のときに、車速vに応じて大きくなる(図4では、制動力を負の値として示しており、その絶対値が大きくなる)対車速特性を有するように設定される。そして、Bレンジでの目標制動力FBは、Dレンジでの目標制動力FBに比べて大きく設定される。つまり、Bレンジが選択されている場合には、Dレンジ選択時に比べて大きなアクセルオフ制動力FBAFが発生するとともに、アクセルオフ制動力FBAFに応じた大きな制動エネルギの回生が行われる。なお、図4は、DレンジおよびBレンジにおける自動車Vの制駆動力と車速vとの関係を示しており、10km/h以下の低速域で駆動側に出ている制駆動力は、前述した目標駆動力設定部34によって設定されるクリープ相当の駆動力である。
目標制動力設定部36によって設定された目標制動力FBは、制動配分設定部37に入力する。制動配分設定部37には、後述する勾配判定部39からの勾配LSや、充電率推定部40からの充電率SOCも入力している。制動配分設定部37は、入力したこれらの信号に基づいて、目標制動力FBを、モータ・ジェネレータ3に発生させる回生制動力FBRとディスクブレーキ6に発生させる摩擦制動力FBFとに配分する。
制動配分設定部37は、運動エネルギがディスクブレーキ6で熱エネルギに変換されて消費されることを抑制するために、原則的には、モータ・ジェネレータ3に発生させる回生制動力FBRを比較的大きな割合に設定する。特に、アクセルペダル操作量ASおよびブレーキペダル操作量BSがともに0であり、DレンジまたはBレンジが選択されているときに、アクセルオフ制動力FBAFが目標制動力FBに設定される場合には、原則的に、制動配分設定部37は、回生制動力FBRの配分を100%とし、摩擦制動力FBFの配分を0%とする。
例えば、エンジンEを駆動源とする従来型のエンジン自動車では、図5(B)に示すように、DレンジまたはBレンジでの走行中には、時点t1でアクセルペダル8の踏み込みが戻されてアクセルペダル操作量ASが0になるまでは、車両に走行抵抗等が制動力として発生しているだけであるが、時点t1以降にはエンジンブレーキが制動力として発生する。時点t2でブレーキペダル9が踏み込まれてブレーキペダル操作量BSが大きくなると、ブレーキペダル操作量BSに応じた摩擦制動力FBFが発生する。これにより、時点t2以降では、車速vの低下(減速度)が時点t1〜時点t2の期間に比べて大きくなる。
これに対し、本実施形態では、図5(A)に示すように、DレンジまたはBレンジでの走行中には、時点t1でアクセルペダル8の踏み込みが戻されてアクセルペダル操作量ASが0になるまでは、車両に走行抵抗等が制動力として発生することは(B)の比較例と同様であるが、時点t1以降にはエンジンブレーキ相当のアクセルオフ制動力FBAFが回生制動力FBRによって発生される。時点t2でブレーキペダル9が踏み込まれてブレーキペダル操作量BSが大きくなると、ブレーキペダル操作量BSに応じた総制動力が、配分された摩擦制動力FBFと回生制動力FBRとによって発生される。結果として、時点t2以降では、(B)の比較例と同様に、車速vの低下が時点t1〜時点t2の期間に比べて大きくなる。
ところが、バッテリBの充電率SOCが100%になると、モータ・ジェネレータ3に回生制動力FBRを発生させることができなくなる。そこで、充電率SOCが満充電に近い所定値(例えば95%)以上のときには、図3の制動配分設定部37は、回生制動力FBRに制限を加え、モータ・ジェネレータ3による回生制動力FBRの割合を0%に、ディスクブレーキ6に発生させる摩擦制動力FBFの割合を100%に設定する配分切替制御を行う。配分切替制御については後に詳述するが、入力する勾配LSが坂道を示す場合には、勾配LSに応じて、切替制御の開始タイミングおよび切替制御の開示から完了までの切替期間を変更する。
制動配分設定部37によって設定された回生制動力FBRは、モータ・ジェネレータ制御部35に入力する。モータ・ジェネレータ制御部35は、入力した回生制動力FBRに基づいてインバータ5を介してモータ・ジェネレータ3を発電機として制御し、モータ・ジェネレータ3に回生制動力FBRを発生させる。一方、制動配分設定部37によって設定された摩擦制動力FBFは、モータ駆動シリンダ制御部38に入力する。モータ駆動シリンダ制御部38は、入力した摩擦制動力FBFに基づいてモータ駆動シリンダ13(電動サーボモータ12)を駆動制御し、ディスクブレーキ6に摩擦制動力FBFを発生させる。なお、モータ駆動シリンダ制御部38には、モータ駆動シリンダ側ブレーキ圧センサ25bからの検出信号である実ブレーキ液圧PBaが入力しており、モータ駆動シリンダ制御部38は、入力した実ブレーキ液圧PBaと目標ブレーキ液圧PBtとの偏差に基づく液圧フィードバック制御を行う。
勾配判定部39には、車輪速センサ2aの検出信号に基づいて車速推定部31が推定した車速v、および前後Gセンサ30からの検出信号である前後加速度Gxが入力している。勾配判定部39は、入力したこれらの信号に基づいて、前後加速度Gxと車速vの微分値との偏差から走行中の路面の勾配LS(前後方向勾配)を算出する。充電率推定部40には、電圧センサBaからの検出信号であるバッテリBの端子間電圧VBなどが入力している。充電率推定部40は、バッテリBの端子間電圧VBやバッテリBの充放電電流の変化量などに基づいて、バッテリBの充電率SOCを推定する。
次に、図6を参照して、制御ユニット11の目標制動力設定部36および制動配分設定部37が行うアクセルオフ制動力FBAFの設定・配分切替制御の手順について説明する。なお、アクセルオフ制動力FBAFの設定・配分制御は、入力するレンジ信号SRがDレンジおよびBレンジであり、ブレーキペダル操作量BSが0であるとに行われる制御であり、所定の処理間隔(例えば、10ms)で繰り返し実行される。
制御ユニット11は、まず、勾配判定部39から入力する勾配LSが下り坂を示すものであるか否かを判定する(ステップST1)。勾配LSによって走行路面が下り坂でないと判定された場合(ステップST1:No)、制御ユニット11は、アクセルオフ制動力FBAFの全量をモータ・ジェネレータ3に発生させる回生制動力FBRに配分する。すなわち回生制動力FBRをアクセルオフ制動力FBAFの値に設定し、摩擦制動力FBFを0に設定する(ステップST2)。その後、制御ユニット11(制動配分設定部37)は、これらの値をモータ・ジェネレータ制御部35およびモータ駆動シリンダ制御部38に出力する(ステップST3)。
一方、ステップST1で走行路面が下り坂であると判定された場合(ステップST1:Yes)、制御ユニット11は、勾配LSに応じ、配分切替制御を行う条件となる充電率SOCの切替閾値を設定する(ステップST4)。充電率SOCの切替閾値は、図7に示すように、概ね平坦であるか上り勾配であるときには、前述した所定値(例えば95%)に設定され、走行路面の下り勾配が大きいほど小さくなるように設定される。これは、下り勾配が大きいほど、配分切替制御の開始タイミングを早くするためである。次いで制御ユニット11は、現在の充電率SOCに応じ、図8に示すように設定される充電率SOCの切替閾値係数を求め、これをステップST4で設定した切替閾値に乗算して切替閾値を補正する(ステップST5)。切替閾値係数は、現在の充電率SOCが大きいほど小さく設定される。これは、現在の充電率SOCが大きいほど回生制動力FBRに制限が加わる可能性が高いことから、回生制動力FBRに制限が加わることが予測される程度に応じて切替閾値が低くなるように補正し、配分切替制御の開始タイミングを早くするためである。
次に、制御ユニット11は、勾配LSに応じ、配分切替制御の開始から完了までの切替時間Tを設定する(ステップST6)。切替時間Tは、図9に示すように、概ね平坦であるか上り勾配であるときには、比較的短い時間に設定され、走行路面の下り勾配が大きいほど長くなるように設定される。これは、下り勾配が大きいほど、走行中に制動力が低下したときに運転者が覚える不安感が大きいことから、下り勾配の程度に応じて配分切替制御の切替時間Tを長くして、制動力の変化、特に制動力の低下を運転者が感じとりにくくするためである。
その後、制御ユニット11は、現在の充電率SOCが設定された閾値以下であるか否かを判定し(ステップST7)、充電率SOCが閾値以下である場合には(Yes)、回生制動力FBRを、設定された切替時間Tに応じて漸減させる漸減設定処理を行うとともに、摩擦制動力FBFを、設定された切替時間Tに応じて漸増させる漸増設定処理を行い(ステップST8)、これらの値を出力する(ステップST3)。これにより、回生制動力FBRおよび摩擦制動力FBFの配分は、図10に示すように、切替制御の開始時点t3から切替時間Tに応じた変化量をもって変化し、配分切替制御の完了時点t4において、回生制動力FBRが0になり、摩擦制動力FBFがアクセルオフ制動力FBAFの値になる。つまり、アクセルオフ制動力FBAFが回生制動力FBRから摩擦制動力FBFに持ち替えられる。
一方、ステップST7で充電率SOCが閾値よりも大きいと判定された場合には(No)、ステップST8の処理とは逆に、回生制動力FBRを、設定された切替時間Tに応じて漸増させる漸増設定処理を行うとともに、摩擦制動力FBFを、設定された切替時間Tに応じて漸減させる漸減設定処理を行い(ステップST9)、これらの値を出力する(ステップST3)。これは、配分切替制御中に下り坂の程度が小さくなって回生制動力FBRに制限を加える必要がなくなった場合には、ステップST8の処理と同様に、勾配LSに応じた切替時間Tをもって徐々に元の回生制動力FBRをアクセルオフ制動力FBAFの値にするためである。
ところで、ステップST8およびステップST9において、両制動力(FBR、FBF)の和がアクセルオフ制動力FBAFと一致するように目標値を設定したとしても、実際に発生する回生制動力FBRおよび摩擦制動力FBFの和がアクセルオフ制動力FBAFと一致するとは限らない。実際に発生する両制動力(FBR、FBF)の和がアクセルオフ制動力FBAFと異なると、自動車Vの前後加速度Gxが変化し、運転者に制動フィールの違和感を与える。
そして、勾配判定部39によって路面が坂道であると判定された場合には(ステップST1:Yes)、バッテリBの充電率SOCが高くなって回生制動力FBRに制限が加わり、アクセルオフ制動力FBAFを回生制動力FBRから摩擦制動力FBFに持ち替える配分切替制御が行われる可能性がある。そこで、このように制御ユニット11が、ステップST4において勾配LSに応じて配分切替制御の開始時点t3を変更するための処理を行うか、あるいはステップST6において勾配LSに応じて配分切替制御の開始から完了までの切替時間Tを変更することにより、坂道走行中のアクセルオフ制動力FBAFの発生源切替によって運転者が感じる制動フィールの違和感や不安感を抑制することが可能となる。
また、下り坂の勾配LSが大きいほど、回生制動力FBRによってアクセルオフ制動力FBAFを発生させることで回生制動力FBRに制限が加わる可能性が高く、切替時間Tが短いほど、回生制動力FBRおよび摩擦制動力FBFの和がアクセルオフ制動力FBAFの目標値に対して急激に変化する可能性が高い。そこで本実施形態では、勾配判定部39によって路面が下り坂であると判定された場合(ステップST1:Yes)、ステップST6において制御ユニット11が、図9に示すように下り坂の勾配LSが大きいほど配分切替制御の切替時間Tを長くすることにより、配分切替制御中における回生制動力FBRの低減量の変化および摩擦制動力FBFの増大量の変化を緩やかにしている。これにより、運転者に与える制動フィールの違和感や不安感が抑制される。
加えて、下り坂の勾配LSが大きいほど、回生制動力FBRに制限が加わる可能性が高く、配分切替が遅くなるほど、下り坂走行によって車速vが高くなる可能性が高い。そこで本実施形態では、勾配判定部39によって路面が下り坂であると判定された場合(ステップST1:Yes)、ステップST4において制御ユニット11が、図7に示すように下り坂の勾配LSが大きいほど、充電率SOCの切替閾値を小さくして配分切替制御の開始時点t3を早くしている。これにより、車速vがより低い早期に配分切替制御が行われるようになり、運転者に与える制動フィールの違和感や不安感が抑制される。
さらに、ステップST5において制御ユニット11が、図8に示すように、現在の充電率SOCが大きいほど、すなわち回生制動力FBRに制限が加わることが予測される程度が大きいほど、配分切替制御の開始時点t3を早くすることにより、車速vがより低い早期に切替制御が行われるようになり、運転者に与える制動フィールの違和感や不安感が一層抑制される。
なお、上記図3に関する説明以降では、自動車Vが電気自動車であるものとして説明してきたが、図1を参照しながら説明したように、本発明はハイブリッド自動車にも適用することができる。
自動車Vがハイブリッド車である場合には、制御ユニット11は、図11に示すように、駆動配分設定部41およびエンジン制御部42を追加的に備える。つまり、目標駆動力設定部34によって設定された目標駆動力FDは駆動配分設定部41に入力し、駆動配分設定部41は、入力した目標駆動力FDを各種運転状態に応じてモータ・ジェネレータ3に発生させるモータ駆動力FDMとエンジンEに発生させるエンジン駆動力FDEとに配分する。モータ駆動力FDMはモータ・ジェネレータ制御部35に入力し、モータ・ジェネレータ制御部35は、入力したモータ駆動力FDMに基づいてインバータ5を介してモータ・ジェネレータ3を電動機として制御し、モータ駆動力FDMを発生させる。一方、エンジン駆動力FDEはエンジン制御部42に入力し、エンジン制御部42は、入力したエンジン駆動力FDEに基づいてエンジンEを駆動制御する。
制御ユニット11がこのように構成されることによっても、前述した電気自動車のときと同様の作用効果を得ることができる。
また、図11に示す変形例では、勾配判定部39に、車速vと前後加速度Gxが入力する代わりに、カーナビケーションシステム50から道路情報が入力している。勾配判定部39は、入力する道路情報に基づいて、上記実施形態と同様に現在走行中の路面の勾配LSを判定する形態とすることもできるが、これから走行すると予測される前方路面の勾配LSAを判定する形態とすることが可能である。
このように前方路面の勾配LSAを取得できる場合のアクセルオフ制動力FBAFの設定・配分切替制御について、図12を参照しながら説明する。なお、上記実施形態(図6)と同じ処理を行う手順には、同じステップ番号を付しており、ここでは上記実施形態と異なる手順のみを説明する。
制御ユニット11は、ステップST4で勾配LSに応じて充電率SOCの切替閾値を設定した後、これから走行すると予測される前方路面の下り坂長さLLに応じ、図13に示すように設定される充電率SOCの切替閾値係数を求める(ステップST101)。そして制御ユニット11は、この切替閾値係数をステップST4で設定した充電率SOCの切替閾値に乗算して切替閾値を修正する(ステップST102)。図13の切替閾値係数は、前方路面の下り坂長さLLが長いほど小さく設定される。これは、下り坂の勾配LSだけでなく、下り坂長さLLが長いほど、走行によって回生制動力FBRに制限が加わる可能性が高いことから、回生制動力FBRに制限が加わることが予測される程度に応じて切替閾値が低くなるように切替閾値を修正して配分切替制御の開始タイミングを早くするためである。
制御ユニット11がこのように構成されることによっても、上記実施形態で説明した作用効果が得られるうえ、車速vがより低い早期に、あるいは下り坂に進入する前に配分切替制御を行うことができ、運転者に与える制動フィールの違和感や不安感を抑制することができる。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、上記実施形態では、アクセルがオフにされたときにアクセルオフ制動力FBAFに対応する摩擦制動力FBFを発生させるために、モータ駆動シリンダ13を駆動しているが、VSA装置26を駆動してもよい。また、勾配判定部39は、勾配LSを、上記実施形態で説明した前後加速度Gxなどに基づいて算出する構成やカーナビゲーションの道路情報から取得する構成のほか、道路に設置された道路情報送信装置から送信される道路情報から取得する構成や、前方カメラによって撮影された路面の撮像データから車両前方の路面を抽出して路面の勾配LSを算出する構成、あるいはこれらを組み合わせた構成としてもよい。この他、各部材や部位の具体的構成や配置、数量、および具体的制御手順など、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更可能である。一方、上記実施形態に示した制動装置1の各構成要素や手順は必ずしも全てが必須ではなく、適宜選択することができる。
1 制動装置
3 モータ・ジェネレータ(回生制動力発生手段)
6 ディスクブレーキ(摩擦制動力発生手段)
11 制御ユニット
13 モータ駆動シリンダ(電動アクチュエータ)
26 VSA装置(電動アクチュエータ)
36 目標制動力設定部
37 制動配分設定部
39 勾配判定部(勾配判定手段)
V 自動車
AS アクセルペダル操作量
FB 目標制動力
FBF 摩擦制動力
FBR 回生制動力
FBAF アクセルオフ制動力
LS 走行路面の勾配
LSA 前方路面の勾配
SOC 充電率
t3 開始時点(開始タイミング)
T 切替時間
v 車速

Claims (5)

  1. 回生制動力を発生させる回生制動力発生手段と、
    電動アクチュエータによって駆動され、摩擦制動力を発生させる摩擦制動力発生手段と、
    車両走行中にアクセルがオフにされたときに、前記回生制動力発生手段を制御して前記回生制動力によって車速に応じたアクセルオフ制動力を発生させるとともに、前記回生制動力発生手段に発生させる前記回生制動力に制限が加わった場合、前記電動アクチュエータを駆動して、前記アクセルオフ制動力を前記回生制動力から前記摩擦制動力に持ち替える切替制御を行う制御ユニットと、
    車両が走行する路面の勾配を判定する勾配判定手段と
    を備え、
    前記勾配判定手段によって前記路面が坂道であると判定された場合、前記制御ユニットは、前記勾配に応じて前記切替制御の開始タイミングおよび前記切替制御の開始から完了までの切替時間の少なくとも一方を変更することを特徴とする車両の制動装置。
  2. 前記勾配判定手段によって前記路面が下り坂であると判定された場合、前記制御ユニットは、前記下り坂の勾配が大きいほど前記切替制御の開始から完了までの切替時間を長くすることを特徴とする、請求項1に記載の車両の制動装置。
  3. 前記勾配判定手段によって前記路面が下り坂であると判定された場合、前記制御ユニットは、前記下り坂の勾配が大きいほど前記切替制御の開始タイミングを早くすることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の車両の制動装置。
  4. 前記勾配判定手段によって前記路面が下り坂であると判定された場合、前記制御ユニットは、前記回生制動力に制限が加わることが予測される程度に応じて前記切替制御の開始タイミングを早くすることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車両の制動装置。
  5. 前記勾配判定手段は、道路情報に基づいて車両が走行すると予測される前方路面の勾配を判定し、
    前記勾配判定手段によって予測される前方路面が下り坂であると判定された場合、前記制御ユニットは、前記下り坂が長いほど前記切替制御の開始タイミングを早くすることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の車両の制動装置。
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