JP4147132B2 - 燃料電池用電磁弁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、燃料電池システムにおいて、燃料電池から反応ガスを排気する燃料電池用電磁弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、固体高分子膜型燃料電池は、固体高分子電解質膜をアノードとカソードとで両側から挟み込んで形成されたセルに対し、複数のセルを積層して構成されたスタック(以下、燃料電池という)を備えており、アノードに燃料として水素が供給され、カソードに酸化剤としてエアーが供給されて、アノードで触媒反応により発生した水素イオンが、固体高分子電解質膜を通過してカソードまで移動して、カソードで電気化学反応を起こして発電するようになっている。
【0003】
このような燃料電池装置は、例えば、燃料電池のカソード側に反応ガスとしてエアーを供給するためのエアーコンプレッサ等を備え、さらに、燃料電池のアノード側に反応ガスとして水素を供給する圧力制御弁を備え、燃料電池のカソード側に対するアノード側の反応ガスの圧力を所定圧に調圧して所定の発電効率を確保するとともに、燃料電池に供給される反応ガスの流量を制御することで所定の出力が得られるように設定されている。
【0004】
ところで、本出願人は、この種の燃料電池装置に関し、低温状況下においても安定且つ円滑に開閉動作を遂行して反応ガスを外部へと好適に排気することが可能な燃料電池用電磁弁を提案している(特願2002−347156号)。
【0005】
なお、本発明に関連する文献公知発明としては、燃料電池システムを構成する水素戻しラインに対し、制御部によって開閉制御可能な逆止弁を設け、水素パージ中における余剰水素の再循環および新規水素の外部放出を防止し、確実な水素パージの実施と新規水素の無駄防止を図ることが可能な燃料電池システムが挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−93438号公報(第3頁左欄)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記提案に関連してなされたものであり、反応ガスを外部に排気する電磁弁において、ダイヤフラムに付与される圧力を低減して前記ダイヤフラムの耐久性を向上させることが可能な燃料電池用電磁弁を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本発明は、燃料電池から反応ガスを排気する燃料電池用電磁弁において、
前記反応ガスが導入される第1ポートと、前記第1ポートから導入された反応ガスが排気される第2ポートとを有する本体部と、
前記本体部と連結されるケーシングの内部に配設され、電流により励磁作用を伴うソレノイド部と、
前記ソレノイド部の励磁作用下に軸線方向に沿って変位するシャフトと、
前記ケーシングに連結される前記本体部の内部に配設され、前記シャフトの一端部に係合される弁体と、
前記弁体が前記シャフトの変位作用下に着座・離間する弁座と、
前記シャフトに係着されて該シャフトの変位動作に伴って撓曲するダイヤフラムと、
前記第1ポートに配設され、導入される反応ガスの流量を絞るオリフィスが形成された絞り部材と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、反応ガスが導入される第1ポートに、前記反応ガスの流量を絞るオリフィスが形成された絞り部材を設けることにより、第2ポート側に向かって流通する反応ガスの流量が絞られて減圧され、前記反応ガスの流通路に設けられたダイヤフラムに対する荷重を低減させることができる。従って、ダイヤフラムの耐久性を向上させることができる。
【0010】
また、フィルタの上流側に設けられた前記絞り部材によって、反応ガス中に含有される余分な加湿水分がフィルタ側に導入されることが抑制されるため、該フィルタが目詰まりすることを低減することができる。
【0011】
さらに、基布を薄肉の弾性材料によって被覆して形成されたダイヤフラムを用いることにより、前記絞り部材による絞り作用と共働してより一層ダイヤフラムの耐久性が向上する。
【0012】
この場合、ダイヤフラムの略中央が、シャフトの段差部と、前記シャフトの拡径部に圧入される圧入固定部材とによって挟持されることによりシール性が発揮され、反応ガスがソレノイド部側に向かって漏出することを阻止することができる。
【0013】
さらにまた、弁体をソレノイド部の軸線と同軸上で前記本体部の内部に設けることにより、前記弁体を介して本体部の内部に導入される反応ガスに含有される塵埃がダイヤフラムによってソレノイド部の内部に進入することを防止することができる。
【0014】
またさらに、本体部内において弁体を、ダイヤフラムに対して前記第1ポートから前記第2ポートへと流通する反応ガスの上流側となる位置に設けることによって、前記ダイヤフラムが前記弁体より低圧に配設されるため、該ダイヤフラムに付勢される圧力の影響を抑制することができる。そのため、可動コアを介してシャフトを変位させるソレノイド部を小型化することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の形態に係る燃料電池用電磁弁10が含まれる燃料電池システム200の構成図である。なお、燃料電池システム200は、例えば、自動車等の車両に搭載される。まず、前記燃料電池システム200の構成について説明する。
【0016】
図1に示すように、この燃料電池システム200は、例えば、固体ポリマーイオン交換膜等からなる固体高分子電解質膜をアノードとカソードとで両側から挟み込んで形成されたセルを複数枚積層して設けた燃料電池スタック202を含む。前記燃料電池スタック202には、燃料として、例えば、水素が供給されるアノードと、酸化剤として、例えば、酸素を含むエアーが供給されるカソードとが設けられる。なお、本実施の形態で用いられる反応ガスは、水素、エアー、または、水素、エアー中の余剰水素を総称するものとする。
【0017】
前記カソードには、酸化剤供給部204からエアーが供給されるエアー供給口206と、前記カソード内のエアーを外部に排出するためのエアー排出部208が接続されたエアー排出口210とが設けられる。一方、アノードには、燃料供給部212から水素が供給される水素供給口214と、水素排出部216が接続された水素排出口218とが設けられる。
【0018】
前記燃料電池スタック202では、アノードで触媒反応により発生した水素イオンが、固体高分子電解質膜を通過してカソードまで移動し、カソードで酸素と電気化学反応を起こして発電するように設定されている。
【0019】
前記エアー供給口206には、エアー供給用通路を介して酸化剤供給部204、放熱部220、カソード加湿部222がそれぞれ接続され、また、前記エアー排出口210には、エアー排出用通路を介してエアー排出部208が接続される。
【0020】
前記水素供給口214には、水素供給用通路を介して燃料供給部212、圧力制御部224、エゼクタ226、アノード加湿部228がそれぞれ接続され、また、前記水素排出口218には、循環用通路230を介して水素排出部216が接続される。
【0021】
酸化剤供給部204は、例えば、図示しないエアーコンプレッサ(圧縮機)およびこれを駆動するモータ等から構成され、燃料電池スタック202で酸化剤ガスとして使用される供給エアーを断熱圧縮して燃料電池スタック202に圧送する。
【0022】
また、前記酸化剤供給部204から供給されるエアーは、例えば、燃料電池スタック202の負荷や図示しないアクセルペダルの操作量等に応じて所定の圧力に設定されて燃料電池スタック202に導入される。
【0023】
放熱部220は、例えば、図示しないインタークーラ等から構成され、流路に沿って流通する冷却水と熱交換することによって、燃料電池スタック202の通常運転時において前記酸化剤供給部204から供給される供給エアーを冷却する。このため、供給エアーは、所定温度に冷却された後、カソード加湿部222に導入される。
【0024】
前記カソード加湿部222は、例えば、水透過膜を備えて構成され、水分を水透過膜の一方側から他方側へと透過させることにより、前記放熱部220によって所定の温度に冷却されたエアーを所定の湿度に加湿して燃料電池スタック202のエアー供給口206へと供給している。前記加湿されたエアーは燃料電池スタック202に供給され、該燃料電池スタック202の固体高分子電解質膜のイオン導電性が所定の状態に確保される。
【0025】
なお、燃料電池スタック202のエアー排出口210には、エアー排出部208が接続され、前記エアー排出部208に設けられた図示しない排出弁を通じてエアーが大気中に排気される。
【0026】
燃料供給部212は、例えば、燃料電池に対する燃料として水素を供給する図示しない水素ガスボンベからなり、燃料電池スタック202のアノード側に供給する供給水素が貯蔵される。
【0027】
圧力制御部224は、例えば、空気式の比例圧力制御弁からなり、前記圧力制御部224の出口側圧力である2次側圧力を所定範囲の圧力に設定している。
【0028】
エゼクタ226は、図示しないノズル部とディフューザ部とから構成され、圧力制御部224から供給された燃料(水素)はノズル部を通過する際に加速されてディフューザ部に向かって噴射される。前記ノズル部からディフューザ部に向かって燃料が高速で流通する際、ノズル部とディフューザ部との間に設けられた副流室内で負圧が発生し、循環用通路230を介してアノード側の排出燃料が吸引される。前記エゼクタ226で混合された燃料および排出燃料はアノード加湿部228へと供給され、燃料電池スタック202から排出された排出燃料は、前記エゼクタ226を介して循環するように設けられている。
【0029】
従って、燃料電池スタック202の水素排出口218から排出された未反応の排出ガスは、循環用通路230を介してエゼクタ226に導入され、圧力制御部224から供給された水素と、燃料電池スタック202から排出された排出ガスとが混合されて燃料電池スタック202に再び供給されるように設けられている。
【0030】
アノード加湿部228は、例えば、水透過膜を備えて構成され、水分を水透過膜の一方側から他方側へと透過させることにより、エゼクタ226から導出された燃料を所定の湿度に加湿して燃料電池スタック202の水素供給口214へと供給している。前記加湿された水素は燃料電池スタック202に供給され、該燃料電池スタック202の固体高分子電解質膜のイオン導電性が所定の状態に確保される。
【0031】
燃料電池スタック202の水素排出口218には、循環用通路230を介して前記燃料電池スタック202の内部で余剰した水素を外部へと排気する水素排出部216が接続される。前記水素排出部216には、燃料電池スタック202の運転状態に応じて開閉動作が制御され、前記燃料電池スタック202の内部の水素を外部へと排気する燃料電池用電磁弁10が設けられ、前記燃料電池用電磁弁10より反応ガスが排気される。
【0032】
次に、前記燃料電池システム200に組み込まれた燃料電池用電磁弁10について好適な実施の形態を挙げ、図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0033】
この燃料電池用電磁弁10は、図3〜図5に示されるように、水素(反応ガス)が導入される第1ポート16と、前記水素が導出される第2ポート18とを有する本体部11と、前記本体部11の下部に一体的に連結され、金属製材料からなる薄板材によって形成されるケーシング12と、前記ケーシング12の内部に配設されるソレノイド部14と、前記ソレノイド部14の励磁作用下に第1ポート16と第2ポート18との連通状態を切り換える弁機構部24とを有する。
【0034】
本体部11は、前記ケーシング12の上部に一体的に連結され、水素が導入される第1ポート16が側面に形成される第1バルブボディ20と、前記第1ポート16より内部に導入された水素を導出する第2ポート18を有する第2バルブボディ22とから構成される。
【0035】
第1バルブボディ20は、略中央部に水素が導入される第1連通室116と、第1バルブボディ20の側面に形成され、前記第1連通室116の内部に水素を導入する第1ポート16とを有する。
【0036】
第1バルブボディ20の上部には、ねじ部材82およびワッシャ118を介して蓋部材120が装着され、第1バルブボディ20の上部を閉塞している。その際、第1バルブボディ20の上面の環状溝に装着されるシール部材60aによって第1連通室116の内部が気密に保持される。
【0037】
前記蓋部材120の下面の略中央部には、下方に向かって突出したストッパ部122が形成されている。前記ストッパ部122は、後述する弁体126が上方に変位した際、前記弁体126の上面がストッパ部122に当接することによりその変位を阻止する機能を有する。
【0038】
図3に示されるように、第1通路123には、網目状の有底円筒体からなるフィルタ124が装着され、前記フィルタ124の上流側の第1ポート16には、第1および第2連通室116、84に向かって供給される水素の流量を絞るオリフィス125が形成された絞り部材127が装着される。前記絞り部材127およびフィルタ124は、それぞれ同軸状に直列に配設される。なお、前記フィルタ124の網目の開口径は、例えば、100μm以下、好ましくは80μm以下とするとよい。
【0039】
この場合、前記第1ポート16にオリフィス125を有する絞り部材127を配設することにより、第1ポート16から第2ポート18側に向かって流通する水素の流量が制限され、第2連通室84に設けられたダイヤフラム92に付与される荷重を低減することができる。換言すると、前記第2連通室84を流通する圧力流体(水素)が減圧されることにより、前記ダイヤフラム92が許容範囲以上に変形することが阻止され、該ダイヤフラム92の耐久性を向上させることができる。
【0040】
前記フィルタ124は、第1通路123を形成する管体の内周面に沿って圧入され、該フィルタ124の拡径端部124aが前記内周面に形成された第1環状段差部129aに突き当たることにより、該フィルタ124が位置決めされた状態で第1通路123内に係止される(図6参照)。
【0041】
一方、前記絞り部材127は、第1ポート16を形成する管体の内周面に沿って圧入され、該絞り部材127の端部127aが前記内周面に形成された第2環状段差部129bに突き当たることにより、該絞り部材127が第1ポート16内に位置決めされた状態で係止される(図6参照)。
【0042】
前記フィルタ124の拡径端部124aが第1環状段差部129aによって係止されることにより、該フィルタ124が第1通路123においてさらに内部側へと変位することが防止される。第1通路123の内部にフィルタ124を装着することにより、第1連通室116の内部に塵埃等が進入することを阻止することができる。
【0043】
従って、第1ポート16より燃料電池用電磁弁10の内部に進入した塵埃等が第1連通室116の内部に配設される弁体126(後述する)の当接面もしくは後述する弁座104の着座部106に付着して弁体126が着座部106に着座した際の気密性が低下することが防止され、前記塵埃等がシャフト46の摺動部位へと進入することによってシャフト46の円滑な動作が妨げられることがなく、また、燃料電池用電磁弁10の第2ポート18から図示しないチューブを介して燃料電池システム200における下流側へと塵埃等が流出することが防止される。
【0044】
さらに、フィルタ124の上流側にオリフィス125を有する絞り部材127を配設することにより、フィルタ124側に余分な加湿水分が導入されることが抑制され、該フィルタ124が目詰まりすることを低減することができる。
【0045】
第1ポート16の外周面には、環状溝を介してシール部材60bが装着されている。前記第1ポート16に図示しないチューブを装着した際、前記シール部材60bが前記チューブの内周面との間に挟持され、前記チューブの内部を流通する水素の気密性が保持される。
【0046】
第2バルブボディ22は、図3および図4に示されるように、第1バルブボディ20の下部にねじ部材82およびワッシャ118を介して一体的に連結される。また、図3〜図5に示されるように、第2バルブボディ22には、略中央部に水素が導入される第2連通室84と、第2バルブボディ22の側面に形成され、前記第2連通室84の内部に導入された前記水素が導出される第2ポート18と、前記第2ポート18と略直交するように第2バルブボディ22の側面に形成され(図2参照)、ダイヤフラム92(後述する)の内部の流体を排気するエア抜きポート86(図5参照)とが設けられる。
【0047】
第2ポート18は、第2バルブボディ22の側面から半径外方向へと突出するように形成され、その内部に形成される第2通路88を介して第2連通室84と連通している。
【0048】
第2連通室84には、第2バルブボディ22とソレノイド部14のシャフトガイド40(後述する)との間で挟持されたダイヤフラム92が設けられる。前記ダイヤフラム92は、例えば、高強度の基布をニトリルゴム(NBR)からなる薄肉のゴム状弾性体によって被覆した二層一体構造によって構成されることにより、耐圧性を向上させることができる。この結果、第2連通室84に導入される圧力流体の減圧作用と伴ってダイヤフラム92の耐久性をより一層向上させることができる。
【0049】
前記ダイヤフラム92は、シャフト46(後述する)の段差部54と該シャフト46の拡径部46aに圧入される圧入固定部材93とによって挟持される略中央の挟持部94と、前記挟持部94より半径外方向へと延在し該シャフト46の変位作用下に撓曲自在に形成された屈曲部96と、前記屈曲部96の外周端に形成される周縁部98とから構成される(図7参照)。
【0050】
シャフト46に形成された段差部54と、該シャフト46の拡径部46aに圧入される圧入固定部材93の端部とによって前記ダイヤフラム92の略中央を挟持することによりシール機能が発揮され、第2連通室84の気密性を好適に保持し、反応ガスがソレノイド部14側に漏出することが阻止される。
【0051】
第2連通室84の内部には、燃料電池スタック202(図1参照)から導入される加湿された水素が水分を含有しているため、第2連通室84の内部に水分が進入するおそれがある。その際においても、前記水分が前記ダイヤフラム92によってソレノイド部14の内部へ進入することが防止されるため、シャフトガイド40とシャフト46との間に付着した水分が寒冷地等の低温状況下において凍結することがなく、また前記水分が凍結することによってシャフト46の円滑な動作が妨げられることがない。
【0052】
さらに、第2連通室84の内部の水分が、ダイヤフラム92によってソレノイド部14の内部へと進入することが確実に防止されるため、磁性金属製材料からなる可動コア36と非磁性金属製材料からなるシャフト46とに錆び等が生じることがなく耐久性を向上させることができる。
【0053】
さらにまた、シャフト46がシャフトガイド40の挿通孔66の内部を摺動して摩耗粉が発生した際、その摩耗粉等の塵埃がダイヤフラム92によって第2連通室84の内部へと進入することが防止される。その結果、前記摩耗粉が第2連通室84から第2ポート18を介して燃料電池システム200(図1参照)における下流側へ流出することがない。
【0054】
また、ダイヤフラム92の屈曲部96とフランジ部62の上面との間の空間は、第2連通路74を介して流体通路70と連通している(図5参照)。
【0055】
第2バルブボディ22の上部には、環状凹部102を介して断面略ハ字状の弁座104が装着され、その周縁部が第1バルブボディ20の下面との間に挟持されている。その際、弁座104の上面の環状溝に装着されたシール部材60cによって第1バルブボディ20の内部の気密が保持される。
【0056】
弁座104は、上方に向かって段階的に縮径するように形成され、その上端面には、前記弁体126が着座する着座部106が略水平に形成されている。
【0057】
また、前記環状凹部102の下面には、環状溝を介してシール部材60dが装着され、弁座104の下面が当接することにより弁座104の内部と連通する第2連通室84の内部の気密を保持している。
【0058】
さらに、前記着座部106は、その上面が第1ポート16の第1通路123における内周面の下側よりも上側となるように設けられている。
【0059】
そして、燃料電池スタック202(図1参照)から第1連通室116の内部に導入される水素は、加湿されているため水分が含有されており、前記水分が第1連通室116の内部に溜まるおそれがある。その際、第1連通室116の内部に溜まった前記水分の水面位置は、第1通路123における下側の内周面と略同一高さとなる。換言すると、第1連通室116の内部に溜まった水分が、着座部106に着座する弁体126と接触することがない。
【0060】
そのため、寒冷地等の低温状況下に前記水分が第1連通室116の内部で仮に凍結した場合であっても、前記弁体126および着座部106が前記水分によって凍結することがなく、低温状況下においてもシャフト46の変位作用下に確実に弁体126を変位させることができる。
【0061】
一方、図5に示されるように、第2バルブボディ22の側面に形成されるエア抜きポート86には、図示しないチューブが接続される継手部材108が外部より装着されている。
【0062】
エア抜きポート86の内部には、前記エア抜きポート86と略直交し、かつフランジ部62に形成される第1連通路72と対向する位置に第3連通路110が形成される。前記第3連通路110は第1連通路72と連通するように形成されている。
【0063】
すなわち、ダイヤフラム92の屈曲部96とフランジ部62の上面との間の空間は、第2連通路74、流体通路70、第1連通路72および第3連通路110を介して継手部材108の内部と連通している。
【0064】
継手部材108は金属製材料からなり、エア抜きポート86に装着される接続部112が略水平に形成されるとともに、前記接続部112より上方に向かって所定角度傾斜するように傾斜部114が形成されている。継手部材108は、その内部に形成される通路115を介してエア抜きポート86と連通している。なお、前記継手部材108は、前記傾斜部114に接続される図示しないチューブを介して大気開放されている。
【0065】
そして、図3〜図5に示されるように、ソレノイド部14のコイル32に電流が供給されて該コイル32が励磁状態になる際に前記コイル32が発熱する。その場合、ダイヤフラム92の屈曲部96とフランジ部62の上面との間に画成される空間の内部の流体がコイル32の発熱作用下に温度上昇して膨張し、その体積が増大する。
【0066】
その際、前記空間は、第2連通路74、流体通路70、第1および第3連通路72、110、継手部材108を介して大気と連通しているため、前記空間の内部で膨張した流体が外部へと排気される。
【0067】
その結果、空間の内部で膨張した流体の圧力作用下にダイヤフラム92が上方へと変位し、それに伴ってシャフト46が上方へと変位することにより弁体126が着座部106から離間して弁開状態となることを防止することができる。
【0068】
断面略コ字状に形成される磁性金属製材料からなるケーシング12は、第2バルブボディ22の下部に一体的に連結され、その略中央部には下方に向かって所定長だけ突出した薄肉円筒部26が設けられている。そして、前記薄肉円筒部26の内周径は、後述する可動コア36の外周径よりも大きく形成される。この場合、前記可動コア36がソレノイド部14の励磁作用下に変位する際、前記可動コア36が薄肉円筒部26の内部を軸線方向に沿って変位可能な直径に形成されている。
【0069】
すなわち、ケーシング12の内部を軸線方向に沿って変位する可動コア36の直径に対応した薄肉円筒部26のみを下方に突出させることにより、前記ケーシング12全体を下方に突出させた場合と比較して小型化することができる。
【0070】
また、薄肉円筒部26の内部には、その略中央部に上方に向かって突出したばねガイド部28が形成されている。前記ばねガイド部28には、後述する第1ばね部材42の一端部が係着される。
【0071】
さらに、ケーシング12の側面には、図示しない電源よりソレノイド部14に電流を供給するための図示しないリード線が接続されるコネクタ部30(図2および図5参照)が設けられている。
【0072】
ソレノイド部14は、前記ケーシング12の内部に配設され、コイル32が巻回されたボビン34と、前記コイル32の励磁作用下に軸線方向に沿って変位自在に設けられる円筒状の可動コア36と、前記コイル32が巻回されたボビン34を囲繞するカバー部材38と、前記ケーシング12の上端部を閉塞するように配設されるシャフトガイド40と、前記可動コア36とケーシング12のばねガイド部28との間に介装され、前記可動コア36を前記薄肉円筒部26から離間する方向に付勢する第1ばね部材42とからなる。
【0073】
ボビン34の下面が、ケーシング12の下部に載置されるように配設されるとともに、前記ボビン34の内周径は、ケーシング12における薄肉円筒部26の内周径と略同等となるように形成されている。
【0074】
ボビン34の内部には、磁性金属製材料からなる円筒状の可動コア36が軸線方向に沿って挿通自在に設けられている。そして、可動コア36の外周面は、ボビン34の内周面と所定間隔離間するように設けられている。すなわち、可動コア36が軸線方向に沿って変位する際、該可動コア36の外周面がボビン34の内周面に接触することがなく摩耗が防止される。
【0075】
そして、可動コア36の略中央部には、軸線方向に沿って形成された貫通孔44を介して長尺なシャフト46の一端部が挿通されている。
【0076】
前記シャフト46は、その一端部側に形成され、可動コア36の内部に挿通される第1軸部48と、他端部側に形成され、弁体126に係合される第2軸部50と、前記第1軸部48と第2軸部50との間に形成され、シャフトガイド40の内部を挿通する第3軸部52とからなる。そして、第3軸部52と第2軸部50との間には、段差部54を介して拡径部46aが形成されている。なお、シャフト46の直径は、第2軸部50、第1軸部48、第3軸部52の順番に大きくなるように形成されている。
【0077】
なお、前記貫通孔44の内周径は、該貫通孔44の内部に挿通される第1軸部48の軸径よりも若干大きく形成されている。そのため、シャフト46に対して可動コア36を組み付ける際、前記可動コア36の貫通孔44を第1軸部48へと挿通し、該可動コア36の上端面を第3軸部52の下面に当接させる。
【0078】
そして、ばね受孔56とばねガイド部28との間に第1ばね部材42を介装することにより、前記可動コア36の上端面が第1ばね部材42のばね力によってシャフト46の第3軸部52の下面へと押圧された状態で組み付けられる。すなわち、可動コア36をシャフト46に対して簡便に組み付けることができる。
【0079】
また、シャフト46の外周面には、フッ素コーティングが施されている。その結果、前記シャフト46が変位する際、前記第3軸部52が摺動するシャフトガイド40の挿通孔66との摺動抵抗が低減するため、シャフト46およびシャフトガイド40の摩耗が低減し、耐久性を向上させることができる。また同時に、シャフト46が前記挿通孔66の内部を摺動する際に発生する摩耗粉の発生を抑制することができる。
【0080】
さらに、シャフト46の外周面に施されたフッ素コーティングには、水分をはじく撥水効果があるため、シャフト46の外周面に水分が付着することがなくシャフト46の錆びを防止し、前記シャフト46の耐久性を向上させることができる。
【0081】
一方、可動コア36の貫通孔44の下方には、ケーシング12のばねガイド部28と対向する位置にばね受孔56が形成されている。前記ばね受孔56は、貫通孔44より半径外方向に拡径し、下方に向かって徐々に拡径するテーパ状に形成される。前記ばね受孔56には、ケーシング12のばねガイド部28に係着される第1ばね部材42の他端部側が係着されている。
【0082】
また、可動コア36の上部には、その略中央部に所定長だけ突出した凸部58が形成されている。
【0083】
カバー部材38は樹脂製材料からなり、その上部側がボビン34の上部とシャフトガイド40との間に挟持され、その下部側がケーシング12とボビン34の下部との間に挟持され、そして、その外周側がボビン34とケーシング12の内周面との間に挟持されている。そのため、カバー部材38によってコイル32が巻回されたボビン34が囲繞される。
【0084】
また、カバー部材38の下面には、環状溝を介してシール部材60eが装着され、そのシール部材60eがケーシング12に当接することにより前記ケーシング12の内部の気密が保持されるとともに、カバー部材38の上部側の内周側端部とシャフトガイド40のフランジ部62との間に装着されるシール部材60fによってケーシング12の内部の気密を保持している。
【0085】
シャフトガイド40は、磁性金属製材料により断面略T字状に形成され、その上部側に半径外方向に拡径して形成されるフランジ部62によってケーシング12の上部を閉塞するように配設されている。また、前記フランジ部62の下方側には、前記フランジ部62より半径内方向に縮径したガイド部64が形成され、前記ガイド部64はボビン34の内部に挿入されている。
【0086】
前記シャフトガイド40の略中央部には、軸線方向に沿って形成される挿通孔66を介してシャフト46の第3軸部52が変位自在にガイドされている。
【0087】
その際、第3軸部52の外周面と挿通孔66の内周面との間に画成されるクリアランスを微小(例えば、10〜50μmの範囲内とする。なお、10μm未満でシャフト46の作動限界となる。)とすることにより、一層確実にシャフト46を軸線方向に沿って変位させることができる。そのため、弁体126を着座部106に対してより一層確実に着座させることができるとともに、前記弁体126の着座部106への着座位置を安定させることができる。これにより、弁体126の低温状況下における再着座性を良好とすることができる。
【0088】
また、前記シャフトガイド40の下面には、前記可動コア36の凸部58に対向する位置に凹部68が形成されている。前記凹部68の軸線方向に沿った高さは、前記凸部58の軸線方向に沿った高さと略同等もしくは若干高くなるように形成されている。そして、前記凹部68の直径を凸部58の直径よりも大きく形成することにより、可動コア36の上方への変位作用下に凸部58が凹部68へと挿入される。
【0089】
フランジ部62の内部には、図5に示されるように、その側面から半径内方向に向かって略水平方向に延在する流体通路70が形成されている。
【0090】
また、フランジ部62の外周側には、前記流体通路70と略直交するように第1連通路72が上方へ向かって形成されるとともに、内周には、前記流体通路70と略直交するように第2連通路74が上方に向かって形成されている。そして前記第1および第2連通路72、74は、それぞれ流体通路70と連通している。
【0091】
前記流体通路70には、フランジ部62の外周側より球状の閉塞プラグ76が内部へと圧入されている。すなわち、前記閉塞プラグ76の直径は、前記流体通路70の直径よりも若干大きく形成されているため、前記閉塞プラグ76を流体通路70の内部へと圧入することによって流体通路70の外部との連通状態が遮断され、流体が前記流体通路70を介してフランジ部62の側面から外部へと漏出することが防止される。なお、前記閉塞プラグ76は、流体通路70において第1連通路72よりフランジ部62の外周側に圧入される。
【0092】
また、フランジ部62には、軸線方向に沿って貫通した孔部78aが形成され、前記孔部78aには円柱状の係止ピン80が装着されている。そして、前記孔部78aに装着された前記係止ピン80の上部が、第1バルブボディ20の下面に形成される孔部78bに挿入される。その結果、フランジ部62に対する第1バルブボディ20の位置決めが確実に行われる。
【0093】
弁機構部24は、第2バルブボディ22の第1連通室116の内部に配設され、シャフト46の軸線方向に沿った変位作用下に変位する弁体126と、前記弁体126の上面と蓋部材120との間に介装される第2ばね部材128とからなる。なお、第2ばね部材128は、弁体126を蓋部材120から離間する方向に付勢するとともに、蓋部材120の下面から弁体126に向かって徐々に縮径するテーパ状に形成されている。
【0094】
弁体126には、その下面の着座部106と対向する位置に所定深さだけ窪んだ第1溝部130が形成され、前記第1溝部130には弾性材料から環状に形成される第1弾性部材132が装着されている。第1弾性部材132に採用される弾性材料は、低温状況下(例えば、氷点下20℃)においてもその弾性特性が保持される。
【0095】
そして、弁体126がシャフト46の変位作用下に下方へと変位し、第1弾性部材132が着座部106に着座した際、第1弾性部材132が弾性材料で形成されているため、着座部106に着座して確実にシールすることができる。なお、前記第1弾性部材132は、寒冷地等の低温状況下においてもその弾性機能が低下することがないため、低温状況下においても確実にシールすることができる。
【0096】
また、弁体126の上面の略中央部には、所定深さだけ窪んだ第2溝部134を介して弾性材料からなる第2弾性部材136が装着される。
【0097】
すなわち、シャフト46の変位作用下に弁体126が上方へと変位した際、前記弁体126の上面に設けられた第2弾性部材136がストッパ部122に当接することにより、該第2弾性部材136によって弁体126が当接した際の衝撃を緩和し、弁体126がストッパ部122に当接した際に発生する衝撃音を低減することができる。換言すると、第2弾性部材136は、弁体126がストッパ部122に当接した際の衝撃を吸収するアブソーバ機能を有している。
【0098】
さらに、前記第1および第2弾性部材132、136は、それぞれ弁体126の下面および上面から軸線方向に若干突出するように設けられている。すなわち、第1弾性部材132を所定長だけ下面から突出させることにより、一層確実に着座部106に着座させてシールすることができる。なお、第1弾性部材132を予め下面から突出するように成形した後、切削等の後加工によって着座部106に着座する第1弾性部材132の当接面を略平面状となるように加工してもよい。
【0099】
すなわち、弾性材料により成形された第1弾性部材132の当接面の状態にかかわらず、後加工によって前記当接面を略平面状とすることにより、略平面状に加工された当接面によって一層確実にシールすることができる。そのため、第1弾性部材132の当接面が着座部106に確実に着座し、第1連通室116の内部を流通する水素の漏出を防止することができる。
【0100】
一方、第1弾性部材132の着座部106との当接面および第2弾性部材136のストッパ部122との当接面には、フッ素コーティングが施されている。すなわち、弾性材料からなる第1および第2弾性部材132、136の表面にフッ素コーティングを施すことにより、その変位作用下に第1および第2弾性部材132、136の当接面がそれぞれストッパ部122および着座部106に当接した際に貼着することを防止することができる。
【0101】
また、第1および第2弾性部材132、136に施されたフッ素コーティングは、水分をはじく撥水効果を有するため、第1および第2弾性部材132、136に水分が付着することを防止することができる。すなわち、燃料電池用電磁弁10を寒冷地等の低温状況下で使用した場合においても、第1および第2弾性部材132、136に水分が付着して凍結することがないため、凍結によって弁体126の円滑な動作が妨げられることがない。
【0102】
なお、前記フッ素コーティングは、第1および第2弾性部材132、136の当接面にのみ施される場合に限定されるものではなく、前記第1および第2弾性部材132、136の表面全体にフッ素コーティングを施してもよいし、第1および第2弾性部材132、136の全体をフッ素系のゴム材料で形成するようにしてもよい。
【0103】
さらに、弁体126の上面に形成される第1溝部130と、前記弁体126の下面に形成される第2溝部134とは、図3および図4に示されるように、前記弁体126の軸線方向に沿って形成される成形通路138を介して連通している。すなわち、第1および第2弾性部材132、136を成形する際、第1溝部130または第2溝部134のいずれか一方に弾性材料を充填することにより、前記弾性材料が成形通路138を介して第2または第1溝部130にも充填される。その結果、第1および第2弾性部材132、136を成形通路138を介して一体的に成形することができるため、コストを低減することができるとともに、第1および第2弾性部材132、136の成形工程を短縮化することができる。
【0104】
そして、第1および第2弾性部材132、136は、成形通路138の内部に充填された弾性材料によって連結された状態にあるため、前記連結部位によって第1および第2弾性部材132、136がそれぞれ第1溝部130および第2溝部134から脱落することが防止される。
【0105】
また、弁体126の下面には、その略中央部に係合孔140が形成され、前記係合孔140には、シャフト46の他端部側に形成される第2軸部50が挿入されている。なお、係合孔140の直径は、前記第2軸部50の軸径よりも大きく形成されているため、前記第2軸部50の外周面と係合孔140の内周面との間に半径方向のクリアランスを有する状態で係合されている。
【0106】
その際、第2ばね部材128が、蓋部材120から弁体126に向かって縮径するテーパ状に形成されているため、前記第2ばね部材128のばね力は、弁体126をシャフト46の上部へと押圧する方向と、弁体126を外周側から半径内方向へと押圧する方向とが合わされた状態で付勢されている。
【0107】
そして、弁体126には、第2ばね部材128によって係合孔140を介して常にシャフト46の上部に押圧力が付勢されるとともに、常に半径内方向へと押圧されているため略中央部に係合されたシャフト46の上部が係合孔140の内部に好適に保持される。そのため、係合孔140の内部に係合されたシャフト46の上部が該係合孔140より脱抜することがない。
【0108】
その結果、ソレノイド部14の励磁作用下に変位するシャフト46が何らかの原因により軸線に対して傾斜した場合においても、前記弁体126は係合孔140とシャフト46との間に画成されたクリアランスによって前記シャフト46の傾きを吸収することができる。そのため、シャフト46が傾斜した際、前記シャフト46の傾斜の影響を受けることなく第2ばね部材128のばね力によって弁体126を着座部106に確実に着座させることができる。
【0109】
また同様に、弁体126が何らかの原因により軸線に対して傾斜した場合においても、係合孔140とシャフト46との間に画成されたクリアランスによって弁体126の傾きを吸収することができる。そのため、シャフト46が軸線方向に変位する際に前記弁体126の傾斜の影響を受けることなく軸線方向に沿って円滑に変位させることができる。
【0110】
本発明の実施の形態に係る燃料電池用電磁弁10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。
【0111】
図1に示されるように、燃料電池システム200において、燃料電池用電磁弁10の第1ポート16は、図示しないチューブを介して燃料電池スタック202の内部の水素を排気するための水素排出口218(図1参照)に接続される。
【0112】
図3は、コイル32に対してコネクタ部30より電流を供給していない非励磁状態にあり、弁体126の第1弾性部材132が着座部106に着座して第2ポート18と第1ポート16との連通が遮断されたオフ状態(弁閉状態)を示している。
【0113】
このようなオフ状態において、図示しない電源を付勢してコイル32に通電することにより前記コイル32が励磁され、その励磁作用下に磁束がコイル32から可動コア36へと向かい、再びコイル32に復帰して周回するように発生する。
【0114】
そして、図4に示されるように、可動コア36が軸線方向に沿った上方へと変位し、前記可動コア36に挿通されたシャフト46を介して弁体126が第2ばね部材128のばね力に抗して着座部106から離間する。
【0115】
その際、弁体126が上方へ変位して第2弾性部材136がストッパ部122へと当接することにより、前記第2弾性部材136によって弁体126への衝撃が緩衝されるとともに、当接時に発生する衝撃音が低減される。
【0116】
その結果、燃料電池用電磁弁10がオフ状態からオン状態(弁開状態)に切り換わる。従って、燃料電池スタック202の内部において余剰した水素が前記燃料電池スタック202の水素排出口218から導出され、前記水素が図示しないチューブを介して第1ポート16から導入される。前記第1ポート16から導入された水素は、絞り部材127のオリフィス125によって所定の流量に絞られて減圧された後、第1連通室116から弁座104の内部を介して第2連通室84へと流通して第2ポート18から導出される。
【0117】
また、このようなオン状態において、再び弁体126が着座部106に着座して第2ポート18と第1ポート16との連通が遮断されたオフ状態とする場合には、図示しない電源よりコイル32に通電されていた電流を停止することにより前記コイル32が非励磁状態となり、可動コア36が下方へと変位する。また略同時に、前記弁体126が第2ばね部材128のばね力によって下方へと押圧される。そして、前記第2ばね部材128のばね力によって弁体126が着座部106へと着座することにより、第2連通室84と第1連通室116との連通が遮断される。すなわち、第2ポート18と第1ポート16との連通が遮断された状態となる。
【0118】
本実施の形態では、フィルタ124の上流側の第1ポート16に、オリフィス125を有する絞り部材127を配設することにより、第1ポート16から第2ポート18側に向かって流通する圧力流体の流量が絞られ、該圧力流体が減圧される。従って、第2連通室84に設けられたダイヤフラム92に付与される荷重を低減することができ、前記ダイヤフラム92が許容範囲以上に変形することが阻止され、該ダイヤフラム92の耐久性を向上させることができる。
【0119】
また、本実施の形態では、絞り部材127によってフィルタ124側に余分な加湿水分が導入されることが抑制されるため、該フィルタ124が目詰まりすることを低減することができる。
【0120】
さらに、本実施の形態では、フィルタ124の拡径端部124aが第1環状段差部129aに突き当たるまで圧入して該フィルタ124を装着するとともに、絞り部材127の端部127aが第2環状段差部129bに突き当たるまで圧入して該絞り部材127を前記フィルタ124と同軸状に直列に装着している。従って、フィルタ124および絞り部材127の圧入部位や該フィルタ124および絞り部材127を係止する第1および第2環状段差部129a、129bをそれぞれ同軸加工することができるため加工性を向上させることができるとともに、圧入方向を一致させることにより組み付け工程が容易となり、良好な組み付け性を得ることができる。
【0121】
さらにまた本実施の形態では、例えば、高強度の基布をニトリルゴム(NBR)からなる薄肉のゴム状弾性体によって被覆した二層一体構造からなるダイヤフラム92を設けることにより、耐圧性を向上させることができる。従って、オリフィス125を有する絞り部材127による圧力流体の減圧作用と共働してダイヤフラム92の耐久性をより一層向上させることができる。
【0122】
またさらに本実施の形態では、シャフト46に形成された段差部54と、該シャフト46の拡径部46aに圧入される圧入固定部材93の端部とによって前記ダイヤフラム92の略中央を挟持することによりシール機能が発揮され、第2連通室84の気密性を好適に保持することができる。
【0123】
またさらに本実施の形態では、弁体126をソレノイド部14の軸線と同軸状で第1バルブボディ20の内部に設けることにより、前記弁体126を介して第2バルブボディ22の内部に導入される反応ガスに含有される塵埃がダイヤフラム92によってソレノイド部14の内部に進入することを阻止することができる。その際、弁体126をダイヤフラム92よりも第1ポート16から第2ポート18へと流通する反応ガスの上流側に設けることにより、前記ダイヤフラム92を前記弁体126よりも低圧に配設することができるため、該ダイヤフラム92に付勢される圧力の影響を抑制することができる。そのため、可動コア36を介してシャフト46を変位させるソレノイド部14を小型化することができる。
【0124】
さらにまた本実施の形態では、絞り部材127に形成されたオリフィス125を着座部106から略水平方向に沿って所定距離離間させて配置している。すなわち、弁体126の着座部106に対してオリフィス125の位置が近接しすぎるとエゼクタ作用(吸引作用)が営まれるため、オリフィス125の絞り作用を適正とすることができないからである。そこで、絞り部材127に形成されたオリフィス125と着座部106とを、エゼクタ作用が発揮されないような所定距離離間した位置にそれぞれ配置するとよい。この場合、所定距離離間した絞り部材127と着座部106との間に、例えば、フィルタ124を配設することにより、前記離間スペースの有効利用がなされ、小型化を図ることができる。
【0125】
なお、本実施の形態に係る燃料電池用電磁弁10では、反応ガスとして水素排出部216から排気される余剰水素を用いて説明しているが、これに限定されるものではなく、例えば、エアー排出部208から排気されるエアーを用いるようにしてもよい。
【0126】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0127】
すなわち、フィルタの上流側の第1ポートに、オリフィスを有する絞り部材を配設することにより、第1ポートから第2ポート側に向かって流通する反応ガスの流量が絞られ、該反応ガスが減圧される。従って、前記反応ガスの流通路に設けられたダイヤフラムに付与される荷重を低減することができ、前記ダイヤフラムが許容範囲以上に変形することが阻止され、該ダイヤフラムの耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る燃料電池用電磁弁が組み込まれた燃料電池システムの構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る燃料電池用電磁弁の平面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿った縦断面図である。
【図4】図3における燃料電池用電磁弁の弁開状態を示す縦断面図である。
【図5】図2のV−V線に沿った縦断面図である。
【図6】図3に示す第1ポートに装着された絞り部材の一部省略拡大縦断面図である。
【図7】図3に示すダイヤフラムおよびシャフトの一部省略拡大縦断面図である。
【符号の説明】
10…燃料電池用電磁弁 12…ケーシング
14…ソレノイド部 16…第1ポート
18…第2ポート 24…弁機構部
32…コイル 40…シャフトガイド
42…第1ばね部材 46…シャフト
62…フランジ部 70…流体通路
92…ダイヤフラム 104…弁座
106…着座部 124…フィルタ
125…オリフィス 126…弁体
127…絞り部材 129a、129b…環状段差部
Claims (4)
- 燃料電池から反応ガスを排気する燃料電池用電磁弁において、
前記反応ガスが導入される第1ポートと、前記第1ポートから導入された反応ガスが排気される第2ポートとを有する本体部と、
前記本体部と連結されるケーシングの内部に配設され、電流により励磁作用を伴うソレノイド部と、
前記ソレノイド部の励磁作用下に軸線方向に沿って変位するシャフトと、
前記ケーシングに連結される前記本体部の内部に配設され、前記シャフトの一端部に係合される弁体と、
前記弁体が前記シャフトの変位作用下に着座・離間する弁座と、
前記シャフトに係着されて該シャフトの変位動作に伴って撓曲するダイヤフラムと、
前記第1ポートに配設され、導入される反応ガスの流量を絞るオリフィスが形成された絞り部材と、
を備えることを特徴とする燃料電池用電磁弁。 - 請求項1記載の燃料電池用電磁弁において、
前記第1ポートには弁体が配設された室に連通する通路が形成され、前記通路にはフィルタが装着され、絞り部材は、前記フィルタの上流側に隣接して配設されることを特徴とする燃料電池用電磁弁。 - 請求項1記載の燃料電池用電磁弁において、
前記ダイヤフラムは、基布を薄肉の弾性材料によって被覆して形成され、該ダイヤフラムの略中央は、シャフトの段差部と、前記シャフトの拡径部に圧入される圧入固定部材とによって挟持されることを特徴とする燃料電池用電磁弁。 - 請求項1記載の燃料電池用電磁弁において、
前記弁体は、前記ソレノイド部の軸線と同軸上で前記本体部の内部に設けられるとともに、前記本体部内において前記弁体が、前記ダイヤフラムに対して前記第1ポートから前記第2ポートへと流通する反応ガスの上流側となる位置に設けられることを特徴とする燃料電池用電磁弁。
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