JP4146761B2 - 蛍光測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、励起光源からの励起光を分光用ミラーに反射させるとともに、反射させた励起光を試料ガスに照射し、そのときに発生する蛍光の強度を蛍光検出器で検出する蛍光測定装置に関する。本発明の蛍光測定装置は、例えば、紫外線蛍光方式によるSO2(二酸化硫黄)測定装置として好適に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
試薬を用いずに大気中や工場排ガス中に含まれるSO2濃度を測定する乾式測定装置として、紫外線蛍光方式による測定装置がある。このSO2測定装置は、試料ガス中のSO2に波長220nm付近の紫外線を照射すると、SO2が励起されて波長300〜400nmの蛍光を発することを利用するもので、上記蛍光の強度を光電子増倍管等の蛍光検出器で検出し、その値から試料ガス中のSO2濃度を求めるものである。
【0003】
紫外線蛍光方式によるSO2測定装置において、励起光源としてはキセノンフラッシュランプを用いるのが一般的である。しかし、キセノンフラッシュランプは、紫外から赤外域まで連続したスペクトルを持つ光源であるため、目的の励起波長の光を得るためには分光が必要である。現在では、波長220nm付近の光は100%に近い反射率、その他の波長の光は反射率10%以下という特性を有する誘電体多層膜ミラーを分光用ミラーとして使用し、光源からの光を上記分光用ミラーに複数回反射させることで、分光を行って波長220nm付近の光のみを試料ガスに照射するのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図1は従来の紫外線蛍光方式によるSO2測定装置の一例を示す概略図である。図1の装置において、2は光源セル、4は分光セル、6は測定セル、8は制御部を示す。光源セル2は、箱体10の内部にキセノンフラッシュランプ12が設置されたものである。分光セル4は、箱体14の内部に4枚の平板状の反射型分光用ミラー16a〜16dが配設されたもので、該セル4のセル入口19及びセル出口21には、光源12からの光を平行光線にする入口部レンズ18及び分光セル4内を通った平行光線を測定セル6内で収束させる出口部レンズ20(いずれも凸レンズ)がそれぞれ装着されている。なお、図中17は各反射型分光用ミラー16をセル4内に固定するための固定用具を示す。
【0005】
反射型分光用ミラー16a〜16dは、隣接するフィルタ同士の角度が約90度となるように略四角枠状に配置されている。そして、入口部レンズ18を通ってほぼ平行光線となった光源12からの光が1番目の反射型分光用ミラー16aに45度の入射角度で入射し、その中の220nm付近の波長の紫外線が45度の反射角度で反射する。さらに、この紫外線が2、3、4番目の反射型分光用ミラー16b、16c、16dに順次反射した後、出口部レンズ20を通って測定セル6内に入るものである。この場合、フィルタ16b、16c、16dにおける光の入射角度、反射角度は、いずれも45度である。
【0006】
測定セル6は、内部に導入した試料ガスに分光セル4から出た紫外線を照射するもので、そのときに発生する蛍光25の強度を蛍光検出器22で検出するものである。測定セル6において、23は検出器セル、24は蛍光を集光するために検出器22の前に設けられた集光レンズ、26は波長300〜400nmの紫外線を選択的に透過させる光学フィルタ、36は試料ガス入口、38は試料ガス出口を示す。制御部8は、蛍光検出器22で検出した蛍光強度に基づいて試料ガス中のSO2濃度を求めるものである。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−115584号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述した誘電体多層膜ミラーからなる反射型分光用ミラーにおいて、波長220nm付近の光はミラー表面で反射されるが、それ以外の波長の光はミラー基材を透過し、ミラー基材の裏面で反射・散乱される。ミラー基材には合成石英や一般の光学ガラスが使用されるが、これらは波長300〜400nmの光の透過性が良いものが多い。このため、非常に微弱ではあるが、ミラー基材の裏面で反射・散乱された波長300〜400nmの光が試料ガスに照射され、測定に対し妨害となる光(迷光)が生じる原因となっていた。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、反射型分光用ミラーを用いた蛍光測定装置であって、迷光を低減させ、より正確な測定を行うことが可能な蛍光測定装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するため、励起光源からの励起光を分光用ミラーの表面で反射させるとともに、反射させた励起光を試料ガスに照射し、そのときに発生する蛍光の強度を蛍光検出器で検出する蛍光測定装置において、前記分光用ミラーがミラーと光学ガラスまたは樹脂からなるミラー基材とからなり、かつ、前記ミラー基材が、前記蛍光検出器で検出する波長域の光を吸収することを特徴とする蛍光測定装置を提供する。
【0011】
本発明では、反射型分光用ミラーを用いた蛍光測定装置において、分光用ミラーのミラー基材に、蛍光検出器で検出する波長域の光を吸収する材質のものを用いる。これにより、ミラー基材の裏面での反射・散乱による迷光の発生を抑制することができる。
【0012】
この場合、本発明では、分光用ミラーのミラー基材として、例えば、UVカットガラス、ロングパスフィルタ(色ガラスフィルタ)等の光学ガラスや、樹脂からなるものを用いることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につきさらに詳しく説明する。本発明では、例えば、蛍光測定装置が紫外線蛍光方式によるSO2測定装置であり、励起光源がキセノンフラッシュランプであるときには、分光用ミラーとして表面で波長220nmの光が反射するものを用い、かつ、分光用ミラーの基材に波長400nm以下の光を吸収する材質のもの、より好ましくは波長300〜400nmの光を吸収する材質のものを用いる。これにより、SO2測定装置の蛍光検出器が感度を持つ波長300〜400nmの光がミラー基材に吸収され、ミラー基材の裏面での反射・散乱による迷光の発生が抑えられる。
【0014】
より具体的には、本発明では、蛍光測定装置が紫外線蛍光方式によるSO2測定装置であり、励起光源がキセノンフラッシュランプである場合、分光用ミラーとして、Schott社から販売されている光学ガラスSF11(ガラス分類名)をミラー基材に用いた誘電体多層膜ミラー(表面に誘電体タイプ高反射コーティングを施した反射型分光用ミラー)を好適に使用することができる。この誘電体多層膜ミラーは、ミラー表面で波長220nmの光が確実に反射し、かつ、ミラー基材(SF11)が波長400nm以下の光、特に波長300〜400nmの光を確実に吸収するものである。
【0015】
ここで、本発明の効果を示す実験結果について述べる。紫外線蛍光方式によるSO2測定装置において、反射型分光用ミラーとして、ミラー基材が合成石英である誘電体多層膜ミラーを用いた場合と、ミラー基材がSF11である誘電体多層膜ミラーを用いた場合とを比較した。前者ではミラー基材の裏面で波長300〜400nmの光が反射・散乱されるが、後者ではミラー基材に波長300〜400nmの光が吸収されるため、ミラー基材の裏面では上記光は反射・散乱されない。
【0016】
本実験では、SO2測定装置の迷光量をSO2濃度換算で比較した。その結果、迷光量は、ミラー基材に合成石英を使用した場合では11ppb、SF11を使用した場合では3ppbであり、本発明により迷光による妨害が大幅に改善されることが確認された。また、従来、迷光低減のため8枚の反射型分光用ミラーを使うことも提案されているが、SF11を基材とする分光用ミラーを使用することにより、4枚の分光用ミラーで高感度タイプのSO2測定装置としての十分な性能が得られることが確認された。さらに、SF11は合成石英に比べ安価であることなどから、コストダウンにも貢献するものであった。
【0017】
【発明の効果】
以上のように、本発明の蛍光測定装置によれば、迷光を低減させ、より正確な測定を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の紫外線蛍光方式によるSO2測定装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
2 光源セル
4 分光セル
6 測定セル
12 キセノンフラッシュランプ
16a〜16d 反射型分光用ミラー
22 蛍光検出器
25 蛍光
Claims (3)
- 励起光源からの励起光を分光用ミラーの表面で反射させるとともに、反射させた励起光を試料ガスに照射し、そのときに発生する蛍光の強度を蛍光検出器で検出する蛍光測定装置において、前記分光用ミラーがミラーと光学ガラスまたは樹脂からなるミラー基材とからなり、かつ、前記ミラー基材が、前記蛍光検出器で検出する波長域の光を吸収することを特徴とする蛍光測定装置。
- 蛍光測定装置が紫外線蛍光方式によるSO2測定装置であり、励起光源がキセノンフラッシュランプであり、分光用ミラーの表面で波長220nmの光が反射し、分光用ミラーのミラー基材が波長400nm以下の光を吸収することを特徴とする請求項1に記載の蛍光測定装置。
- 分光用ミラーは、光学ガラスからなるミラー基材の表面に誘電体タイプ高反射コーティングを施したものであることを特徴とする請求項2に記載の蛍光測定装置。
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