JP4146598B2 - ユニット建物の断熱構造および断熱施工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はユニット建物の断熱構造およびユニット建物の断熱施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
建物の工業生産化率を高める一方式として、ユニット建物が普及している。このユニット建物は、1棟の建物を予めいくつかの運搬可能な大きさの建物ユニットや屋根ユニット・屋根パネル等の屋根構造体に別けて工場で生産した後、この複数個の建物ユニットや屋根構造体を施工現場に運搬し、予め準備した基礎の上に据え付け、組み立てる方式の建物である。
【0003】
このユニット建物の組立は、先ず、複数個の建物ユニットを基礎の上に据え付け相互に連結して1階を形成し、次に、据え付けられた建物ユニットの上に複数個の建物ユニットを据え付け相互に連結して上階を形成し、更に、最上階の建物ユニットの上に屋根ユニットや屋根パネルを取り付け、相互に連結することで行われる。
【0004】
このように、複数個の建物ユニットを組み立てたユニット建物では、隣接する建物ユニット間に隙間が形成され、この隙間から空気が出入して、断熱性が劣るという問題がある。
そこで、従来は、発泡性ウレタン樹脂等の発泡性合成樹脂を隣接する建物ユニット間に吹き付けて、この隙間を塞ぐことが多く行われている。
【0005】
又、特開平9−250179号公報には、吐出用のガンの先端に柔軟性を有する長尺のホースを接続し、このホースの先端を隣接する建物ユニット間の隙間の奥端まで挿入し、吐出用のガンの先端から発泡性ウレタン樹脂等の発泡性合成樹脂を隙間の中に吐出させながら、ホースを手前側に引き出して、隣接する建物ユニット間の隙間内に、発泡性ウレタン樹脂等の発泡性合成樹脂を注入し、この隙間内で、この発泡性合成樹脂が発泡し硬化した合成樹脂発泡体で隙間を塞ぐ方法が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記隣接する建物ユニット間に発泡性合成樹脂を吹き付ける方法では、隣接する建物ユニット間の隙間が小さく、しかも、この発泡性合成樹脂は吐出用のガンから吐出すると直ぐに発泡するので、建物ユニット間の隙間の上からでは発泡性合成樹脂を隙間の内部まで十分な量を注入できない。その結果、建物ユニット間の隙間に形成される発泡体の厚みが小さく、建物の断熱性が不十分であるいう問題がある。
【0007】
又、前記公報記載の方法では、吐出用のガンの先端に隙間の中に入る大きさのホースを付け、このホースで発泡性合成樹脂を注入する必要があるが、ホースを小さな隙間内に入れることが困難であるし、隣接する建物ユニットの間の隙間に入る大きさのホースでは径が小さく、従って、十分な断熱性を確保するために多量の発泡性合成樹脂を注入しようとすると、長時間を要し、施工時間が長くなるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、隣接する建物ユニット間の隙間に十分な厚みの断熱材を簡単に、且つ、速く形成させることのできるユニット建物の断熱構造およびこのユニット建物の断熱構造に施工するユニット建物の断熱施工方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するためになしたものであって、請求項1記載の発明は、複数個の建物ユニットを組み立てたユニット建物の建物ユニット間の隙間を断熱材で断熱するユニット建物の断熱構造であって、隣接する一方の建物ユニットに取り付けられた断熱材と他方の建物ユニットとが樹脂発泡体で接着されているものである。
【0010】
請求項2記載の発明は、複数個の建物ユニットを組み立てたユニット建物の建物ユニット間の隙間を断熱材で断熱するユニット建物の断熱施工方法であって、断熱材が取り付けられた状態に据え付けられた第一建物ユニットの断熱材の側面に発泡性樹脂を吹き付け、この発泡性樹脂が硬化する前に、この第一建物ユニットの隣に第二建物ユニットを据え付けて、発泡性樹脂が発泡し硬化た樹脂発泡体で第一建物ユニットの断熱材と第二建物ユニットとを接着するものである。
【0011】
本発明における樹脂発泡体は発泡性樹脂を発泡させ硬化させたものであり、通常、この発泡性樹脂を例えば、断熱材や建物の部材に接触させた状態で発泡させ硬化させると、この発泡性樹脂が発泡し硬化した樹脂発泡体が断熱材や建物の部材に接着した状態になる。
かかる樹脂発泡体としてはウレタン樹脂発泡体が好適である。
即ち、このウレタン樹脂発泡体は、発泡性ウレタン樹脂を発泡させ硬化させたものであり、硬質ウレタン樹脂発泡体でもよいし、軟質ウレタン樹脂発泡体でもよい。この際使用する発泡性ウレタン樹脂は、発泡性樹脂の中でも特に接着性が良好で、しかも、通常、弾性を有するものである。従って、この発泡性ウレタン樹脂を例えば断熱材や建物の部材等に接触した状態で発泡させ硬化させると、この発泡性ウレタン樹脂が発泡し硬化したウレタン樹脂発泡体が断熱材や建物の部材に強固に接着した状態になる。
【0012】
本発明に使用する断熱材とは、ガラスウール、岩綿、スチレン樹脂発泡体等適宜のものでよいが、ウレタン樹脂発泡体が、発泡性ウレタン樹脂に対する接着性がよいし、しかも、発泡性ウレタン樹脂が発泡し硬化すると、同じウレタン樹脂発泡体であるので強固に接着するので好ましい。
この断熱材を一方の建物ユニットまたは第一建物ユニットに取り付ける手段は、接着剤で接着してもよいし、粘着剤で貼り付けてもよいし、釘や針金等の取付具で取り付けてもよい。断熱材がウレタン樹脂発泡体の場合には、ウレタン樹脂系接着剤や発泡性ウレタン樹脂等で接着すると強固に接着できるので好ましい。
【0013】
請求項1記載の発明では、この隣接する一方の建物ユニットに取り付けられた断熱材と他方の建物ユニットとが樹脂発泡体で接着されているが、このようにするには、断熱材が取り付けられた一方の建物ユニットの隣に別の建物ユニットを据え付けた後に、この建物ユニットの断熱材と別の建物ユニットとの間に形成された隙間に発泡性樹脂を注入して、この発泡性樹脂が発泡し硬化した樹脂発泡体で断熱材と別の建物ユニットとを接着させてもよいし、請求項2記載のように、建物ユニットに取り付けられた断熱材の側面に発泡性樹脂を吹き付け、発泡性樹脂が硬化する前に別の建物ユニットを据え付けることによって、発泡性樹脂が発泡し硬化した樹脂発泡体で一方の建物ユニットの断熱材と別の建物ユニットとを接着させてもよい。
【0014】
又、断熱材が取り付けられた状態に据え付けられた第一建物ユニットを使用するが、この第一建物ユニットの断熱材の取り付ける工程と第一建物ユニットの据え付ける工程とは順序不同である。即ち、第一建物ユニットを据え付けた後に断熱材を取り付けてもよいし、又、工場等で予め断熱材を第一建物ユニットに取り付け、この第一建物ユニットを施工現場で据え付けてもよい。
【0015】
(作用)
請求項1記載の発明では、隣接する一方の建物ユニットに取り付けられた断熱材と他方の建物ユニットとが樹脂発泡体で接着されているので、断熱材が取り付けられた建物ユニットの隣に別の建物ユニットを据え付けた後に、この建物ユニットの断熱材と別の建物ユニットの間に発泡性樹脂を注入して、この発泡性樹脂が発泡し硬化した樹脂発泡体で一方の建物ユニットの断熱材と他の建物ユニットとを接着したり、あるいは、断熱材が取り付けられた建物ユニットを据え付けた後に、この断熱材の側面に発泡性樹脂を吹き付け、この発泡性樹脂が硬化する前に別の建物ユニットを隣接させて据え付けるだけで、請求項1記載の構造になる。従って、請求項1記載の発明の構造にする施工方法は、速く、且つ、簡単である。
【0016】
しかも、建物ユニットを据え付ける際の施工の誤差等で、建物ユニットと隣の建物ユニットとの隙間が大きくなったり小さくなっていても、発泡性樹脂が発泡する際に体積が増加するので、この隙間内が発泡性樹脂で充満され、この充満した発泡性樹脂が隙間の両側即ち一方の建物ユニットの断熱材と他方の建物ユニットに密着した状態で硬化する。その結果、この発泡性樹脂が発泡し硬化した樹脂発泡体で両者が強固に接着され、隣接する建物ユニット間の隙間から空気の出入がなくなり優れた断熱性を有する建物となる。
【0017】
このように施工すると、建物ユニットに予め取り付けられている断熱材の厚みを適宜にすることにより、建物ユニット間の隙間を十分な厚みを有する断熱材で塞ぐことができる。従って、この請求項1記載のユニット建物は、断熱性の良好な建物である。
【0018】
請求項2記載の発明では、断熱材が取り付けられた状態に据え付けられた第一建物ユニットの断熱材の側面に発泡性樹脂を吹き付け、この発泡性樹脂が硬化する前に、この第一建物ユニットの隣に第二建物ユニットを据え付けて、発泡性樹脂が発泡し硬化した樹脂発泡体で第一建物ユニットの断熱材と第二建物ユニットとを接着するので、発泡性樹脂を吹き付ける際には未だ第二建物ユニットが据え付けられてなく、即ち、邪魔するものがなく、第一建物ユニットの外側から発泡性樹脂を吹き付け易くすることができ施工し易い。しかも、その後に、第二建物ユニットを据え付けるだけでよい。従って、この施工方法は速く、且つ、容易である。
【0019】
更に、建物ユニットを据え付ける際の誤差で、第一建物ユニットと第二建物ユニットとの間の隙間が大きくなったり小さくなったりしていても、発泡性樹脂が発泡する際に体積が増加したり伸縮するので、この隙間内が発泡性樹脂で充満され、この充満した発泡性樹脂が隙間の両側即ち第一建物ユニットの断熱材と第二建物ユニットに密着した状態で硬化し、その結果、この発泡性樹脂が発泡し硬化した樹脂発泡体で両者が強固に接着されると同時に、この間の隙間から空気の出入がなくなり優れた断熱性を有する建物となる。
【0020】
又、第一建物ユニットに予め取り付けられている断熱材の厚みを適当にし、この断熱材の側面全体に発泡性樹脂を吹き付けることにより、断熱材と発泡性樹脂が発泡し硬化した樹脂発泡体の両方の厚みを十分な厚みとすることができ、断熱性の良好な建物とすることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例で説明する。
(実施例1)
図1〜図4は本発明の一実施例を示すもので、図1(イ)はユニット建物を示す斜視図、(ロ)は1階の建物ユニットの配置を示す平面図、図2(イ)は建物ユニットの一部切欠斜視図、(ロ)は間仕切り壁パネルの一部切欠斜視図、図3は図1(ロ)のA部分の建物ユニットと基礎との連結部分を示す断面図、図4は施工方法を示すもので、(イ)は床パネルの端面に硬質ウレタン樹脂発泡体を取り付けている状態を示す斜視図、(ロ)は硬質ウレタン樹脂発泡体の側面に発泡性硬質ウレタン樹脂を吹き付けている状態を示す斜視図である。
【0022】
図1〜図4において、Uはユニット建物であり、このユニット建物Uは、図1に示すように、基礎5の上に9個の1階の建物ユニット1が据え付けられ、相互に連結されて1階が形成され、この建物ユニット1の上に9個の建物ユニット1が据え付けられ、相互に連結されて2階が形成され、最上階の建物ユニット1の上に複数個の屋根ユニット2(境界を省略)が取り付けられ、この屋根ユニット2の上に屋根材3が葺かれたものである。
【0023】
建物ユニット1は、図2(イ)に示すように、矩形状に組み立てられた4本の床梁15と、この矩形状のコーナー部に立設された4本の柱16と、4本の床梁15の中に取り付けられた矩形状の床パネル11と、壁部分の両側の柱16の間に取り付けられた壁パネル12とからなる。
なお、ユニット建物UのA部分の両側には、図3に示すように、床パネル11の上に間仕切り壁パネル4が立設されている。
【0024】
床パネル11は、図2に示すように、ほぼ四角形に枠組された枠材111と、この枠の相対する枠材111に差し渡された桟材112とからなる骨格を有し、この骨格の上面に上面材113が取り付けられたものである。そして、1階の床パネル11の下面には、図3に一部が示されているように、ほぼ9mmの合板の下面材114が取り付けられ、上面材113と下面材114との間にはガラスウールの断熱材115が取り付けられている。
【0025】
壁パネル12は、ほぼ四角形に枠組された枠材121と、この枠の相対する枠材121に差し渡された桟材122とからなる骨格を有し、この骨格の両面または片面に石膏ボードや硬質木片セメント板等の壁面材123が取り付けられたものである。
間仕切り壁パネル4は壁パネル12とほぼ同じ構造になっている。即ち、ほぼ四角形に枠組された枠材41と、この枠の相対する枠材41に差し渡された桟材42とからなる骨格を有し、この骨格の両面または片面に石膏ボード等の壁面材43が取り付けられたものである。
【0026】
尚、この壁パネル12や間仕切り壁パネル4には必要に応じて出入口や窓等の開口が設けられている。
基礎5はコンクリート製であり、矩形状の建物ユニット1の長辺(以後桁側と称する)の下方に設けられている基礎5には、アンカーボルト51が埋め込まれている。そして、予め床梁15に取り付けられている基礎プレート55の通孔にアンカーボルト51を通しながら、この基礎5の上に建物ユニット1を据え付けた後に、アンカーボルト51にナットを螺入して床梁15が基礎5に固定されている。
【0027】
6は硬質ウレタン樹脂発泡体であり、この硬質ウレタン樹脂発泡体6は1階の隣接する一方の建物ユニット1の床梁15に発泡性ウレタン樹脂で接着される。その後、この硬質ウレタン樹脂発泡体6の側面に発泡性ウレタン樹脂を吹き付けた後に他方の建物ユニット1を据え付ける。即ち、この硬質ウレタン樹脂発泡体6は1階の隣接する建物ユニット1間の床梁15の間に設けられている。
7は発泡性硬質ウレタン樹脂71が入っているスプレー式の容器であり、このスプレー式の容器の押さえ片72を押さえると、中から発泡性硬質ウレタン樹脂71が吹き出すようになっている。この発泡性硬質ウレタン樹脂71は硬質ウレタン樹脂発泡体6を床梁15に接着する際に使用する。
【0028】
次に、このユニット建物Uの施工方法および作用につてい説明する。
工場で、建物ユニット1、屋根ユニット2等を製造する。
この建物ユニット1、屋根ユニット2等を施工現場に運搬する。
施工現場では、図1に示すように、予め、基礎5が設けられていて、この基礎5の上に9個の1階の建物ユニット1を据え付けて基礎5と建物ユニット1の床梁15を連結すると同時に建物ユニット1同士を連結して1階を形成し、この建物ユニット1の上に9個の2階の建物ユニット1を据え付け、建物ユニット1同士を連結して2階を形成し、この2階の建物ユニット1の上に屋根ユニット2を取り付け、建物ユニット1と屋根ユニット2を連結すると同時に、屋根ユニット2同士を連結し、この屋根ユニット2の上に屋根材3を葺き、種々な仕上げを行うと、図1に示すユニット建物Uが完成する。
【0029】
この際の1階の建物ユニット1を据え付ける施工方法をA部分を例に挙げて、詳細に説明する。
なお、先に据え付けられている建物ユニット1を第一建物ユニット1−1と称し、この第一建物ユニット1−1の隣に据え付ける建物ユニット1を第二建物ユニット1−2と称して説明する。
【0030】
基礎5の上に第一建物ユニット1−1を、予め床梁15に取り付けられている基礎プレート55の通孔にアンカーボルト51を通しながら、据え付ける。
次に、この第一建物ユニット1−1の床梁15の側面と基礎5の上面に、図4(イ)に示すように、スプレー式の容器7から発泡性硬質ウレタン樹脂71を吹き付け、この発泡性ウレタン樹脂71が硬化する前に硬質ウレタン樹脂発泡体6を押し付ける。
【0031】
この発泡性硬質ウレタン樹脂71が発泡しながら硬化すると、この発泡性硬質ウレタン樹脂71が発泡し硬化した硬質ウレタン樹脂によって、硬質ウレタン樹脂発泡体6が第一建物ユニット1−1の床梁に強固に接着される。
この際、図4(イ)に示すように、アンカーボルト51が基礎5から突出している場所には、硬質ウレタン樹脂発泡体6を取り付けないでおく。
尚、ウレタン樹脂発泡体6が表面に予め粘着剤層を設け、この上に離型紙を貼り付けたものである場合には、この離型紙を剥がすと共に発泡性ウレタン樹脂71を基礎5の上面に設け、その後、ウレタン樹脂発泡体6を床梁15に貼り付けると同時に基礎5に押し付けて接着させればよい。
【0032】
次に、この第一建物ユニット1−1の断熱材の側面に、図4(ロ)に示すように、スプレー式容器7から発泡性硬質ウレタン樹脂71を吹き付け、この発泡性硬質ウレタン樹脂71が硬化する前に、基礎5の上に第二建物ユニット1−2を、床梁15に予め取り付けられている基礎プレート55の通孔にアンカーボルト51を通しながら、第一建物ユニット1−1の隣に据え付ける。すると、この発泡性硬質ウレタン樹脂71が発泡し、硬化したウレタン樹脂発泡体で第一建物ユニット1−1の断熱材である硬質ウレタン樹脂発泡体6と第二建物ユニット1−2との床梁15が接着される。
【0033】
このように、第一建物ユニット1−1のウレタン樹脂発泡体6の側面に発泡性ウレタン樹脂71を吹き付け、この発泡性ウレタン樹脂71が硬化する前に、この第一建物ユニット1−1の隣に第二建物ユニット1−2を据え付けるだけで、第一建物ユニットのウレタン樹脂発泡体6と第二建物ユニット1−2とを発泡性ウレタン樹脂71が発泡し硬化たウレタン樹脂発泡体で接着できる。しかも、発泡性ウレタン樹脂71を吹き付ける際には未だ第二建物ユニット1−2が据え付けられてなく、即ち、邪魔するものがないので、第一建物ユニット1−1の外側から発泡性ウレタン樹脂71を吹き付けることができ施工し易い。
【0034】
このように、第一建物ユニット1の隣に第二建物ユニット1を据え付け、この間をウレタン樹脂発泡体6で塞ぐ施工方法は、速く、且つ、容易である。
又、建物ユニット1を据え付ける際の誤差で、第一建物ユニット1−1と第二建物ユニット1−2との間の隙間が大きくなったり小さくなったりしても、発泡性硬質ウレタン樹脂71が発泡する際に体積が増加したり伸縮するので、発泡性硬質ウレタン樹脂が発泡し硬化した硬質ウレタン樹脂発泡体でこの隙間内を完全に充満させることができ、この硬化した硬質ウレタン樹脂発泡体で第一建物ユニット1−1のウレタン樹脂発泡体6と第二建物ユニット1−2の床梁15とが強固に接着すると同時に、この隙間から空気の出入がなくなり優れた断熱性を有する。
【0035】
次に、予め床材に設けられているナット螺入用の蓋を取り外し、アンカーボルト51にナットを螺入して第一建物ユニット1−1の床梁15と第二建物ユニット1−2の床梁15を基礎5に固定し、アンカーボルト51の部分(ウレタン樹脂発泡体6が取り付けられていない部分)に、スプレー式の容器7から発泡性硬質ウレタン樹脂71を吹き付けて、この発泡性硬質ウレタン樹脂が発泡し硬化したウレタン樹脂発泡体で部分をアンカーボルト51の上方部分を塞いだ後、床材に設けられているナット螺入用の蓋を閉じる。
【0036】
このようにして完成したユニット建物Uは、硬質ウレタン樹脂発泡体6の側面に発泡性硬質ウレタン樹脂71を吹き付けるので、断熱材の厚みを適当にし、この硬質ウレタン発泡体6の側面全体に発泡性ウレタン樹脂71を吹き付けることにより、硬質ウレタン樹脂発泡体6と発泡性硬質ウレタン樹脂71が発泡し硬化した硬質ウレタン樹脂発泡体(どちらも断熱材である)の厚みを十分な厚みとすることができる。
【0037】
このように、硬質ウレタン樹脂発泡体6と発泡性ウレタン樹脂が発泡した硬質ウレタン樹脂発泡体の厚みを十分な厚みにすることができるし、この硬質ウレタン樹脂発泡体6と建物ユニット1との隙間を、硬化した発泡性ウレタン樹脂71で隙間なく塞ぐことができ、このユニット建物Uは、断熱性の良好な建物である。
【0038】
(実施例2)
図5〜図7は本発明の他の実施例を示すもので、図5は1階の建物ユニットの配置を示す平面図、図6は図5のB部分の建物ユニットと基礎との連結部分を示す断面図、図7は施工方法を示すもので、(イ)は床パネルの端面に硬質ウレタン樹脂発泡体を取り付けている状態を示す斜視図、(ロ)は硬質ウレタン樹脂発泡体の側面に発泡性硬質ウレタン樹脂を吹き付けている状態を示す斜視図である。
【0039】
この図5〜図7に示す実施例2を図1〜図4に示す実施例1と比較すると、実施例1では建物ユニットの桁側の構造および施工方法を示しているが、実施例2では、図5のBで示すように、ユニット建物Uaの建物ユニット1aの短辺(妻側と称する)部分の構造および施工方法であることが異なる。
更に詳細に説明すると、建物ユニット1aの妻側の下方の基礎5aにはアンカーボルトが設けられてないこと、および、妻側の壁パネル12aは床パネル11aの側面に取り付けられている構造が異なる。
従って、硬質ウレタン樹脂発泡体6aは壁パネル12aの下端部側面に取り付けられている。
【0040】
次に、施工方法の主な異なる点を説明する。
第一建物ユニット1a−1の壁パネル12aの下部に、図7(イ)に示すように、スプレー式の容器7aから発泡性硬質ウレタン樹脂71aを吹き付け、この発泡性硬質ウレタン樹脂71aが硬化する前に硬質ウレタン樹脂発泡体6aを押し付けて、発泡性硬質ウレタン樹脂71aで硬質ウレタン樹脂発泡体6aを接着すること、この際、基礎5aにはアンカーボルトが設けられてないので、硬質ウレタン樹脂発泡体6aを隙間なく取り付けること、従って、この硬質ウレタン樹脂発泡体6aの隙間を発泡性硬質ウレタン樹脂で塞ぐ必要がないことが異なる。
【0041】
そして、この硬質ウレタン樹脂発泡体6aの側面に発泡性硬質ウレタン樹脂71aを吹き付け、この発泡性硬質ウレタン樹脂71aが硬化する前に、第二建物ユニット1a−2を据え付ける。すると、発泡性硬質ウレタン樹脂71aが発泡し硬化した硬質ウレタン樹脂発泡体で、第一建物ユニット1a−1に取り付けられたウレタン樹脂発泡体6aと第二建物ユニット1a−2の壁パネル12aとが接着されることは実施例1と同じである。
その他の構造、施工方法および作用は実施例1とほぼ同じであるので、説明を省略する。
【0042】
【発明の効果】
請求項1記載の発明は、隣接する一方の建物ユニットに取り付けられた断熱材と他方の建物ユニットとが樹脂発泡体で接着されているから、一方の建物ユニットに取り付けられている断熱材の側面に発泡性ウレタン樹脂を吹き付け、この発泡性樹脂が硬化する前に別の建物ユニットを隣接させて据え付けるだけで、この請求項1記載の構造になる。従って、この請求項1記載の構造にする施工方法は、速く、且つ、簡単である。
【0043】
しかも、建物ユニットを据え付ける際の施工の誤差等で、建物ユニットと隣の建物ユニットとの隙間が大きくなったり小さくなっていても、発泡性樹脂が発泡する際に体積が増加するので、この隙間内が発泡性樹脂で充満され、この充満した発泡性ウレタン樹脂が隙間の両側即ち一方の建物ユニットの断熱材と他方の建物ユニットに密着した状態で硬化し、両者が強固に接着されると同時に、隣接する建物ユニット間の隙間から空気の出入がなくなり優れた断熱性を有する建物となる。
このように施工すると、建物ユニットに予め取り付けられている断熱材の厚みを適宜にすることにより、建物ユニット間の隙間を十分な厚みを有する断熱材で塞ぐことができる。従って、このユニット建物は断熱性の良好な建物である。
【0044】
請求項2記載の発明は、断熱材が取り付けられた状態に据え付けられた第一建物ユニットの断熱材の側面に発泡性樹脂を吹き付け、この発泡性樹脂が硬化する前に、この第一建物ユニットの隣に第二建物ユニットを据え付けて、発泡性樹脂が発泡し硬化した樹脂発泡体で第一建物ユニットの断熱材と第二建物ユニットとを接着するから、発泡性ウレタン樹脂を吹き付ける際には未だ第二建物ユニットが据え付けられてなく、第一建物ユニットの外側から発泡性樹脂を吹き付けることができ施工し易い。しかも、その後に、第二建物ユニットを据え付けるだけでよく、この請求項2記載の施工方法は、速く、且つ、容易である。
【0045】
更に、建物ユニットを据え付ける際の誤差で、第一建物ユニットと第二建物ユニットとの間の隙間が大きくなったり小さくなったりしていても、発泡性樹脂が発泡する際に体積が増加するので、この発泡性樹脂が発泡し硬化した樹脂発泡体で両者が強固に接着されると同時に、この間の隙間から空気の出入がなくなり優れた断熱性を有する建物となる。
又、第一建物ユニットに取り付けられている断熱材の厚みを適当にし、この断熱材の側面全体に発泡性樹脂を吹き付けることにより、断熱材と発泡性樹脂が発泡し硬化した樹脂発泡体の両方の厚みを十分な厚みとすることができ、断熱性の良好な建物とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、(イ)はユニット建物を示す斜視図、(ロ)は1階の建物ユニットの配置を示す平面図である。
【図2】(イ)は建物ユニットの一部切欠斜視図、(ロ)は間仕切りパネルの一部切欠斜視図である。
【図3】図1(ロ)のA部分の建物ユニットと基礎との連結部分を示す断面図である。
【図4】施工方法を示すもので、(イ)は床パネルの端面にウレタン樹脂発泡体を取り付けている状態を示す斜視図、(ロ)はウレタン樹脂発泡体の側面に発泡性ウレタン樹脂を吹き付けている状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の他の実施例を示すもので、1階の建物ユニットの配置を示す平面図である。
【図6】図5のB部分の建物ユニットと基礎との連結部分を示す断面図である。
【図7】施工方法を示すもので、(イ)は床パネルの端面に硬質ウレタン樹脂発泡体を取り付けている状態を示す斜視図、(ロ)は硬質ウレタン樹脂発泡体の側面に発泡性硬質ウレタン樹脂を吹き付けている状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
U、Ua ユニット建物
1、1a 建物ユニット
11、11a 床パネル
12、12a 壁パネル
2 屋根ユニット
4 間仕切り壁パネル
5、5a 基礎
51 アンカーボルト
6、6a 断熱材(硬質ウレタン樹脂発泡体)
7、7a スプレー式の容器
71、71a 発泡性樹脂(発泡性硬質ウレタン樹脂)
Claims (2)
- 複数個の建物ユニットを組み立てたユニット建物の建物ユニット間の隙間を断熱材で断熱するユニット建物の断熱構造であって、隣接する一方の建物ユニットに取り付けられた断熱材と他方の建物ユニットとが樹脂発泡体で接着されていることを特徴とするユニット建物の断熱構造。
- 複数個の建物ユニットを組み立てたユニット建物の建物ユニット間の隙間を断熱材で断熱するユニット建物の断熱施工方法であって、断熱材が取り付けられた状態に据え付けられた第一建物ユニットの断熱材の側面に発泡性樹脂を吹き付け、この発泡性樹脂が硬化する前に、この第一建物ユニットの隣に第二建物ユニットを据え付けて、発泡性樹脂が発泡し硬化した樹脂発泡体で第一建物ユニットの断熱材と第二建物ユニットとを接着することを特徴とするユニット建物の断熱施工方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000091666A JP4146598B2 (ja) | 2000-03-29 | 2000-03-29 | ユニット建物の断熱構造および断熱施工方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000091666A JP4146598B2 (ja) | 2000-03-29 | 2000-03-29 | ユニット建物の断熱構造および断熱施工方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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