JP4146536B2 - 低滲出性(low−bleeding)カチオン交換体の調製方法 - Google Patents

低滲出性(low−bleeding)カチオン交換体の調製方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、周囲へ不純物を放出する性質を低下された強酸性カチオン交換体の調製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日では、カチオン交換体については多数の興味ある用途がある。かくして、それらは、例えば、飲料水の処理に、超純水(コンピューター産業のためのマイクロチップ製造に必要である)の製造に、グルコースおよびフルクトースのクロマトグラフィーによる分離に、そしてほとんどの種類の化学反応(例えば、フェノールとアセトンからビスフェニオールの調製におけるような)の触媒として用いられる。これらの用途のほとんどでは、カチオン交換体が、意図された仕事を実際に遂行するが、それらの製造に由来するか、または使用中にポリマーの分解によって形成される不純物を、それらの周囲に全く放出しないか、出来る限り最少量で放出することが望ましい。
【0003】
過去において、抗酸化剤によってイオン交換体を処理すること(欧州特許出願公開第366 258号)、またはそれらを化学的に改変すること(米国特許第3 342 755号明細書および欧州特許出願公開第502 619号)によって問題を解決する試みがなされてきた。これらの方法は、ポリマーの分解を減じることができるけれども、それらは、イオン交換体の製造の間に形成される成分には作用しない−これらは,出発材料にも低分子量の架橋されてないポリマーにも反応しない。水を用いて繰り返し洗浄することによってこれらの不純物を除去する試みがなされるが、それは、費用がかかるし、部分的な成功しかもたらさない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かくして、本発明の目的は、最初から、滲出する不純物のレベルを大きく減少されたイオン交換体の調製方法を提供することであった。驚くべきことに、この目的が、高温における未官能化ポリマーのスルホン化および酸素を除外してのスルホン化によって達成されることが発見された。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明は、スルホン化が、温度125〜150、好ましくは130〜145℃で、そして酸素不在下で実施されることを特徴とする、高温における架橋スチレンポリマーのスルホン化による強酸性カチオン交換体の調製方法に関する。また、本発明の文脈上、用語「イオン交換体」および「カチオン交換体」は、イオン交換体の目的だけではなく、酸触媒として用いられるスルホン化樹脂をも含む。
【0006】
使用される基礎ポリマーは、エチレン結合のモノ不飽和モノマーの架橋されたポリマーであって、スチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、α−メチルスチレン、および核においてハロゲン化されているそれらの誘導体、例えばクロロスチレンからなるシリーズからの少なくとも1種の化合物を主に含み;それに加えてまた、それらは、塩化ビニルベンジル、アクリル酸、その塩およびそのエステル、特にそのメチルエステル、そしてさらに、ビニルナフタレン、ビニルキシレン、ならびにアクリル酸およびメタクリル酸のニトリルおよびアミドからなるシリーズからの1種以上の化合物を含む。
【0007】
ポリマーは、好ましくは、1分子当たり共重合可能なC=C二重結合を、2個以上をもつ、好ましくは2または3個をもつ架橋性モノマー(crosslinking monomer)による共重合によって架橋される。そのような架橋性モノマーは、例えば、多官能ビニル芳香族化合物、例えばジ−およびトリビニルベンゼン、ジビニルエチルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ジビニルエチルベンゼンおよびジビニルナフタレン、多官能アリル芳香族化合物、例えばジ−およびトリアリルベンゼン、多官能ビニル−およびアリル複素環式化合物、例えばトリビニルおよびトリアリルシアヌレートおよびイソシアヌレート、N,N’−C1−C6−アルキレンジアクリルアミドおよび−ジメタクリルアミド、例えばN,N’−メチレンジアクリルアミドおよび−ジメタクリルアミドならびにN,N’−エチレンジアクリルアミドおよび−ジメタクリルアミド、1分子当たりOH基2〜4個をもつ飽和C2−C20−ポリオールのポリビニルおよびポリアリルエーテル、例えばエチレングリコールジビニルおよびジアリルエーテルならびにジエチレングリコールジビニルおよびジアリルエーテル、1分子当たりOH基2〜4個をもつ不飽和C3−C12−アルコールもしくは飽和C2−C20−ポリオールのエステル、例えばアリルメタクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレートおよびペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジビニルエチレン尿素、ジビニルプロピレン尿素、アジピン酸ジビニル、および分離されたC=C二重結合2または3個をもつ脂肪族および脂環式オレフィン、例えばヘキサ−1,5−ジエン、2,5−ジメチルヘキサ−1,5−ジエン、オクタ−1,7−ジエンおよび1,2,4−トリビニルシクロヘキサンを含む。特に好適であることが分かった架橋性モノマーは、ジビニルベンゼン(異性体混合物として)およびジビニルベンゼンとC=C二重結合2または3個をもつ脂肪族C6−C12−炭化水素の混合物である。架橋性モノマーは、一般に、使用される重合可能なモノマーの総量に基づいて、重量で1〜80%、好ましくは重量で2〜25%の量で使用される。
【0008】
架橋性モノマーは、純粋な形で使用されるだけでなく、またそれらの工業的に取り扱われるより純度の低い混合物の形(例えば、エチルスチレンと混合されたジビニルベンゼンのように)でも使用できる。
【0009】
モノマーと架橋剤の共重合は、通常、遊離基を生成し、そしてモノマーに可溶である薬剤によって開始される。遊離基を生成する好適な触媒は、例えば、過酸化ジアシル、例えば過酸化ジアセチル、過酸化ジベンゾイル、過酸化ジ−p−クロロベンゾイルおよび過酸化ラウロイル、ペルオキシエステル、例えばペルオキシ酢酸tert−ブチル、ペルオクタン酸tert−ブチル、ペルオキシピバル酸tert−ブチル、ペルオキシ−2−エチルヘキサン酸tert−ブチル、ペルオキシ安息香酸tert−ブチルおよびペルオキシジカルボン酸ジシクロヘキシル、過酸化アルキル、例えばビス−(tert−ブチルペルオキシブタン)、過酸化ジクミルおよび過酸化tert−ブチルクミル、ヒドロペルオキシド、例えばクメンヒドロペルオキシドおよびtert−ブチルヒドロペルオキシド、ケトンペルオキシド、例えばシクロヘキサノンヒドロペルオキシド、メチルエチルケトンヒドロペルオキシドおよびアセチルアセトンペルオキシド、または−好ましくは−アゾイソブチロジニトリルを含む。
【0010】
遊離基を生成する薬剤は、触媒量、すなわち、モノマーと架橋剤の合計量に基づいて、重量で好ましくは0.01〜2.5、特に0.12〜1.5%量で使用できる。
【0011】
架橋された基礎ポリマーは、懸濁重合の既知の方法によって調製できる; Ullmann'S Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th Edition, Volume A21, 363-373, VCH Verlagsgesellscaft mbH, Weinheim 1992、参照。水不溶性モノマー/架橋剤混合物が、水相に添加されるが、その水相は、好ましくは、分散相のモノマー/架橋剤小滴の、そしてそれから形成される粒状ポリマーの安定化のために、少なくとも1種の保護コロイドを含有する。好適な保護コロイドは、天然に存在する、また合成の水溶性ポリマー、例えばゼラチン、デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸および(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルのコポリマーである。また具体的には、セルロース誘導体、特にセルロースエーテルおよびセルロースエステル、例えばメチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースもしくはカルボキシメチルセルロースが、適切である。使用される保護コロイドの量は、水相に基づいて、重量で一般に0.02〜1、好ましくは0.05〜0.3%である。
【0012】
水相/有機相の重量比は、好ましくは0.5〜20、特に0.75〜5の範囲内である。
【0013】
本発明の特定の実施態様によれば、重合は、バッファー系の存在下で実施される。水相のpHを14〜6、好ましくは12〜8の値に調整するバッファー系が、重合の開始時には好適である。これらの条件下で、カルボン酸基をもつ保護コロイドは、完全にまたは部分的に塩の形で存在する。保護コロイドの作用は、この方式で好適に作用する。水相におけるバッファー濃度は、水相1リットル当たり好ましくは0.5〜500、特に2.5〜100mmolである。
【0014】
有機相は、撹拌によって水相中に分散されるので、形成される小滴の粒径は、撹拌速度に大きく依存する。できるだけ均一な粒径(一般に、「単分散(monodisperse)」)をもつ粒状ポリマーが望まれる場合には、これに適切な方法は、次のものが好適であろう;この目的のために、モノマー液が、水相中に吹き込まれ、噴流の振動刺激による崩壊そして/または形成されるモノマー小滴のミクロカプセル化によって合体を回避して、均一サイズの小滴の生成が確保される(欧州特許明細書第46 535号および同第51 210号)。
【0015】
マクロ多孔性粒状ポリマーが所望されるならば、例えば、Seidl et al., Adv. Polym. Sci., Vol. 5 (1967), pages 113-213に記載のようなポロゲン(porogen)、例えば脂肪族炭化水素、アルコール、エステル、エーテル、ケトン、トリアルキルアミンもしくは窒素化合物、好ましくはイソドデカン、イソデカン、メチルイソブチルケトンもしくはメチルイソブチルカルボノールが、モノマーと架橋剤の合計量に基づいて、重量で1〜150、好ましくは40〜100%、特に重量で50〜80%量で、モノマー/架橋剤混合物に添加できる。
【0016】
重合温度は、使用される開始剤の解離温度に依存する。それは、一般に50〜150℃、好ましくは55〜100℃である。重合は、0.5時間ないし数時間継続する。重合が低温、例えば60℃で開始され、そして反応温度が重合転化の進行にしたがって増大される温度プログラムを使用することが適当であることが明らかになった。
【0017】
得られる粒状ポリマーは、それだけで、またはいわゆるシード(seed)/フィード(feed)工程によって得られる粒径増加の中間段階を経て、官能化に供せられる。シード/フィード工程は、最初に得られたポリマー(「シード」)を、共重合できるモノマー(「フィード」)によって膨潤すること、そしてポリマー中に浸透したモノマーを重合することの工程段階を含む。適切なシード/フィード工程は、例えば、欧州特許明細書第98 130号および同第101 943号に記されている。
【0018】
好適なスルホン化剤は、クロロスルホン酸、硫酸、三酸化硫黄および発煙硫酸を含み、発煙硫酸については、好ましくは、硫酸に基づいて、重量で1〜100%量で遊離の三酸化硫黄を含むことが可能である。
【0019】
ポリマーの置換度(1芳香環当たりのSO3H基)は、硫酸もしくは発煙硫酸濃度を変えることによって調整できる。本発明により調製されたカチオン交換体の平均置換度は、好ましくは0.6〜2、特に0.8〜1.8である。
【0020】
スルホン化の前に、あらゆる領域のポリマービーズの均一なスルホン化を達成するために、粒状ポリマーは、膨潤剤を用いて膨潤される。好適な膨潤剤は、塩素化脂肪族および芳香族炭化水素、例えば塩化メチレン、ジクロロメタンおよびクロロベンゼンを含む。
【0021】
スルホン化を促進するその他の方法は、モノマーと架橋剤の合計量に基づいて、共重合されたアクリロニトリルおよび/またはメタクリロニトリルの重量で0.5〜20%を含むような基礎ポリマーを、スルホン化のために用いることを含む; German Auslegungsschrift 1 227 431および同1 233 143、参照。
【0022】
不活性ガス雰囲気、例えば窒素雰囲気下のスルホン化が、本発明により好適である。
【0023】
スルホン化温度は、50〜200℃であってもよい。しかしながら、スルホン化は、好ましくは、温度125〜150、特に130〜145℃で実施される。
場合によって使用される膨潤剤は、スルホン化が終了した時点での水を用いる洗浄によって完全には除去できないばかりか、他方では、膨潤剤を含有するイオン交換体は、多くの目的(例えば、食品加工のために)には使用できないので、それらは、原則として、スルホン化後に蒸留によるか、またはガス流により放出される。場合によって使用される膨潤剤の不活性ガス流、例えば窒素ガス流による除去が、本発明により好適である。
【0024】
スルホン化剤不含の形でカチオン交換体を得るために、それらは、種々の洗浄にかけられる。例えば、それらは、徐々に低い濃度の硫酸で洗浄され、最後に水で洗浄される。所望されれば、次いで、最初に水素型で存在するカチオン交換体は、塩水溶液での処理によって対応する塩型に変換できる。かくして、例えば、塩化ナトリウム水溶液/水酸化ナトリウム水溶液による処理の後には、それらは、ナトリウム型になる。
【0025】
かくして、本発明は、
1.スルホン化が125〜150、好ましくは130〜145℃で実施される工程、
2.酸素を排除してのスルホン化の工程、そして
3.特徴1)および2)の両方を組み合わせた工程
に関する。
【0026】
本発明により調製されたカチオン交換体は、増大された総交換能力(イオン交換体1リットル当たりのSO3Hのmol)をもつ。
【0027】
一般に、本発明により調製されたカチオン交換体は、平均粒径50〜2000、好ましくは200〜1200μmをもつ。平均粒径は、それ以下およびそれ以上の直径が、各場合、ビーズの重量で50%存在する直径である。
【0028】
本発明による方法によって調製されたカチオン交換体は、滲出される不純物をほとんど完全に含有しない;比較的短時間それらを洗浄することによって、それらは、本発明者らの経験では、先行技術のカチオン交換体が長時間の洗浄後でさえも到達されない純度を獲得する。
【0029】
かくして、また本発明は、伝導率プロフィル50未満、好ましくは40未満、そしてもっとも好ましくは30μS/cm未満をもつカチオン交換体に関する。本文脈上、用語「伝導率プロフィル」は、次の工程によって得られた洗浄水の電気伝導率を指す:少なくとも1カ月間抗酸化剤不在下で貯蔵されたカチオン交換体100mlが、水に懸濁され、そしてガラスカラム(長さ30cmおよび直径2cm)中に導入される。次いで、熱脱イオン水が、速度0.2ベッドボリューム/hでカラムを通して濾過される;流入する水の温度は、溶出液が、カラム流出時に温度70℃をもつように調整される。洗浄水の3ベッドボリュームが廃棄される;カラムから流出する溶出液は、その後直ちに20℃に冷却され、そしてその電気伝導率が、この温度で測定される。
【0030】
また、本発明は、ほとんどの種類の化学反応に対する触媒としての本発明によるカチオン交換体の使用に関する。そのような反応の例は、例えば、アルケンによるフェノールのアルキル化反応−例えばノニルフェニルを生成するためのフェノールとノネンの反応;例えば、アルコールによるカルボン酸のエステル化反応−例えばアクリル酸メチルを生成するためのアクリル酸とメタノールの反応;他のアルコール、カルボン酸もしくはエステルによるエステルのエステル交換反応−例えばメタクリル酸ブチルを生成するためのメタクリル酸メチルとブタノールの反応;例えば、アルコールもしくは水によるアルケンのエーテル化反応−例えばMTBEを生成するためのメタノールとイソブテンの反応、またはTAMEを生成するためのメタノールと2−メチル−2−ブテンの反応;例えば、ケトンとフェノールの縮合反応−例えばビスフェノールAを生成するためのアセトンとフェノールの反応である。
【0031】
また、本発明によるカチオン交換体は、捕捉剤としての使用、例えば、糖の脱色または高度純水の製造のために等しく適切である。
【0032】
さらなる重要な用途は、例えば、食料および飲料、特に飲料水のような高純度な製品の調製のためのカチオン交換体としてのそれらの使用である。
【0033】
次の実施例のパーセンテージデータは、各場合、重量でのパーセンテージを示す。
【0034】
【実施例】
ゲル形態での粒状ポリマーの調製(官能化未了)
セルロースによる保護コロイド3.7gおよびリン酸水素二ナトリウム17gを、重合反応器中の脱塩水1830mlに溶解する。その水溶液を室温で8時間撹拌する。次いで、スチレン936.5g、工業用ジビニルベンゼン(純度63%)63.5gおよび過酸化ジベンゾイル(純度75%)7.4gを添加する。その混合液を70℃で6時間、そして90℃でさらに3時間撹拌する。得られる粒状ポリマーを水で洗浄し、次いで、乾燥器中80℃で乾燥する。
【0035】
収量:98.1重量%。
【0036】
(実施例1)
空気中120℃での粒状ポリマーのスルホン化
78%濃度の硫酸367.5gを、まず、空気雰囲気への開口部をもつ反応容器中に、室温で導入する。粒状ポリマー150gを添加する。1,2−ジクロロエタン37.5mlを、撹拌しながら定量添加し、そしてその混合液を室温でさらに3時間撹拌する。次いで、硫酸一水和物783gを定量添加する。混合液を120℃に加熱する。ジクロロエタンは、すでに加熱中に溜出する。混合液を、120℃でさらに4時間撹拌する。120℃で3.5時間撹拌後、空気をその懸濁液中に120℃で30分間吹き込んで、なお存在する残留ジクロロエタンを除去する。
【0037】
その懸濁液をカラムに移送し、その上部から添加し、そして徐々に低い濃度の種々の硫酸で、そして最後に水で水和させる。
【0038】
H型のカチオン交換体の収量:1050ml
総交換能力:1.28mol/l
(実施例2)
空気の排除による120℃での粒状ポリマーのスルホン化
全操作を窒素下(すなわち空気を排除して)で実施する。78%濃度の硫酸367.5gを、まず、窒素によって不活性にした反応容器中に、室温で導入する。粒状ポリマー150gを添加する。1,2−ジクロロエタン37.5mlを、撹拌しながら定量添加し、そしてその混合液を室温でさらに3時間撹拌する。次いで、硫酸一水和物783gを定量添加する。混合液を120℃に加熱する。ジクロロエタンは、すでに加熱中に溜出する。混合液を120℃でさらに4時間撹拌する。120℃で3.5時間撹拌後、窒素をその懸濁液中に120℃で30分間吹き込んで、なお存在する残留ジクロロエタンを除去する。
【0039】
その懸濁液をカラムに移送し、その上部から添加し、そして徐々に低い濃度の種々の硫酸で、そして最後に水で水和させる。
【0040】
H型のカチオン交換体の収量:990ml
総交換能力:1.37mol/l
(実施例3)
空気中130℃での粒状ポリマーのスルホン化
78%濃度の硫酸367.5gを、まず、空気雰囲気への開口部をもつ反応容器中に、室温で導入する。粒状ポリマー150gを添加する。1,2−ジクロロエタン37.5mlを、撹拌しながら定量添加し、そしてその混合液を室温でさらに3時間撹拌する。次いで、硫酸一水和物783gを定量添加する。混合液を130℃に加熱する。ジクロロエタンは、すでに加熱中に溜出する。混合液を、130℃でさらに4時間撹拌する。130℃で3.5時間撹拌後、空気をその懸濁液中に130℃で30分間吹き込んで、なお存在する残留ジクロロエタンを除去する。
【0041】
その懸濁液をカラムに移送し、その上部から添加し、そして徐々に低い濃度の種々の硫酸で、そして最後に水で水和させる。
【0042】
H型のカチオン交換体の収量:1050ml
総交換能力:1.30mol/l
(実施例4)
空気の排除による130℃での粒状ポリマーのスルホン化
全操作を窒素下(すなわち空気を排除して)で実施する。78%濃度の硫酸367.5gを、まず、窒素によって不活性にした反応容器中に、室温で導入する。粒状ポリマー150gを添加する。1,2−ジクロロエタン37.5mlを、撹拌しながら定量添加し、そしてその混合液を室温でさらに3時間撹拌する。次いで、硫酸一水和物783gを定量添加する。混合液を130℃に加熱する。ジクロロエタンは、すでに加熱中に溜出する。混合液を130℃でさらに4時間撹拌する。130℃で3.5時間撹拌後、窒素をその懸濁液中に130℃で30分間吹き込んで、なお存在する残留ジクロロエタンを除去する。
【0043】
その懸濁液をカラムに移送し、その上部から添加し、そして徐々に低い濃度の種々の硫酸で、そして最後に水で水和させる。
【0044】
H型のカチオン交換体の収量:1050ml
総交換能力:1.36mol/l
(実施例5)
空気中140℃での粒状ポリマーのスルホン化
78%濃度の硫酸367.5gを、まず、空気雰囲気への開口部をもつ反応容器中に、室温で導入する。粒状ポリマー150gを添加する。1,2−ジクロロエタン37.5mlを、撹拌しながら定量添加し、そしてその混合液を室温でさらに3時間撹拌する。次いで、硫酸一水和物783gを定量添加する。混合液を140℃に加熱する。ジクロロエタンは、すでに加熱中に溜出する。混合液を、140℃でさらに4時間撹拌する。140℃で3.5時間撹拌後、空気をその懸濁液中に140℃で30分間吹き込んで、なお存在する残留ジクロロエタンを除去する。
【0045】
その懸濁液をカラムに移送し、その上部から添加し、そして徐々に低い濃度の種々の硫酸で、そして最後に水で水和させる。
【0046】
H型のカチオン交換体の収量:1050ml
総交換能力:1.31mol/l
(実施例6)
空気の排除による140℃での粒状ポリマーのスルホン化
全操作を窒素下(すなわち空気を排除して)で実施する。78%濃度の硫酸367.5gを、まず、窒素によって不活性にした反応容器中に、室温で導入する。粒状ポリマー150gを添加する。1,2−ジクロロエタン37.5mlを、撹拌しながら定量添加し、そしてその混合液を室温でさらに3時間撹拌する。次いで、硫酸一水和物783gを定量添加する。混合液を140℃に加熱する。ジクロロエタンは、すでに加熱中に溜出する。混合液を140℃でさらに4時間撹拌する。140℃で3.5時間撹拌後、窒素をその懸濁液中に140℃で30分間吹き込んで、なお存在する残留ジクロロエタンを除去する。
【0047】
その懸濁液をカラムに移送し、その上部から添加し、そして徐々に低い濃度の種々の硫酸で、そして最後に水で水和させる。
【0048】
H型のカチオン交換体の収量:1030ml
総交換能力:1.34mol/l
【0049】
【表1】
Figure 0004146536
【0050】
総交換能力(TC):
H型のカチオン交換体1リットル当たりSO3H基の量(mol)
交換能力収量:
カチオン交換体のTCと容量収量の積
本発明の特徴および態様は以下のとおりである。
【0051】
1. スルホン化が、温度125〜150℃で、そして/または酸素不在下で実施されることを特徴とする、高温における架橋スチレンポリマーのスルホン化による強酸性カチオン交換体の調製方法。
【0052】
2. スルホン化が、温度125150℃、そして酸素不在下で実施される、第1項記載の方法。
【0053】
3. スルホン化が、温度125〜150℃、そして酸素存在下で実施される、第1項記載の方法。
【0054】
4. スルホン化が、温度125〜150℃、そして酸素不在下で実施される、第1項記載の方法。
【0055】
5. スルホン化が、温度130〜145℃で実施される、第3および4項記載の方法。
【0056】
6. 膨潤剤により膨潤された架橋スチレンポリマーがスルホン化され、そしてスルホン化の後、膨潤剤が不活性ガスにより吹き出される、第1〜5項記載の方法。
【0057】
7. モノマーと架橋剤の合計量に基づいて、共重合されたアクリロニトリルおよび/またはメタクリロニトリルの重量で0.5〜20%を含有する架橋スチレンポリマーがスルホン化される、第1〜6項記載の方法。
【0058】
8. 粒径を増加させる目的のシード/フィード工程によって基礎ポリマーから得られたスチレンポリマーが、スルホン化のために使用される、第1〜7項記載の方法。
【0059】
9. 50μS/cm未満の伝導率プロフィルをもつカチオン交換体。
【0060】
10.カチオン交換体、触媒または吸着装置樹脂としての第9項記載の生成物の使用。
【図面の簡単な説明】
【図1】雰囲気酸素の存在または不在下で調製されたカチオン交換体の伝導率プロフィルを示す。
伝導率プロフィルを決定するためには、水がカチオン交換体上で濾過され、そして伝導率(S/cm)が、溶出液において測定される。
図1は、窒素下で調製されたカチオン交換体が、有意に、伝導率に寄与する物質のより少ない量を放出し、それ故実質的に、より純粋な水を放出することを示している。
【図2】より高い温度でスルホン化された生産物が、低温でスルホン化された生成物よりも、少ない量の物質を放出することを示している。

Claims (7)

  1. 架橋スチレンポリマーを不活性ガス雰囲気下、および温度130〜150℃で、クロロスルホン酸、硫酸、または硫酸−水和物により、塩素化脂肪族及び芳香族炭化水素からなる群から選択される膨潤剤の存在下、カチオン交換体を製造するのに充分な時間スルホン化することを含んでなる、50〜2000μmの粒径を有する強酸性カチオン交換体の調製方法であって、該カチオン交換体が、
    脱イオン水3ベッドボリュームで、該カチオン交換体100mlを含むカラムを、0.2ベッドボリューム/hの速度で、70℃の温度を有する溶出液を得るのに充分な温度で洗滌したとき、50μs/cm未満の伝導率プロフィルを有する、方法。
  2. スルホン化が130〜145℃の温度で行なわれる、請求項1記載の方法。
  3. スルホン化後、膨潤剤が不活性ガスにより吹き出される、請求項1記載の方法。
  4. モノマーと架橋剤の合計に対し0.5〜20重量%の共重合されたアクリロニトリル、メタクロロニトリル、又はその両方を含んでなる架橋スチレンポリマーがスルホン化される、請求項1記載の方法。
  5. 該架橋スチレンポリマーがビーズの形であり、その粒径が共重合し得るモノマーをビーズの中に呼吸してこれを膨潤させ、次いでビーズの中に浸透したモノマーを重合させる、請求項1記載の方法。
  6. スチレンポリマーが、1分子当り1個以上の共重合可能なC=C二重結合を有するモノマーにより架橋される、請求項1記載の強酸性カチオン交換体の調製方法。
  7. 1分子当り1個以上の共重合可能なC=C二重結合を有するモノマーがジビニルベンゼンである、請求項6記載の方法。
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