JP4146497B1 - 建築物基礎補強方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】立ち上がり部に開口部が形成された基礎を補強するための建築物基礎補強方法を提供する。
【解決手段】
建築物の基礎立ち上がり部1に新たに開口部10を形成する、又は既存の開口部10の内側を削って拡大する。その後、開口部10の形状と同じ形状の枠体である補強構造体40を開口部10に嵌め込む。嵌め込まれた補強構造体40に複数のアンカーボルト43を挿通し、補強構造体40を開口部の内側面に固定する。補強構造体40により、開口部周辺の基礎部分の剛性が向上するため、基礎が補強される。
【選択図】図5

Description

本発明は、建築物基礎補強方法に関し、さらに詳しくは、木造建築物の基礎の立ち上がり部に新たな開口部が形成されたり、既存の開口部が拡大されたりした場合に、その基礎を補強するための建築物補強方法に関する。
木造建築物の床下空間で蟻害や腐朽の点検補修作業や設備配管類の設置作業等を行う場合、作業者は床下空間に進入して作業を行う。このとき、基礎立ち上がり部に、作業員が通れる程度の寸法を有する開口部が設けられていなかったり、開口部が設けられていても、その寸法が小さくて作業者が通れない場合がある。このような場合、基礎の立ち上がり部の一部を削って新たな開口部を形成したり、既存の開口部を削って拡大したりする。
このように、基礎立ち上がり部に新たに開口部を形成したり、既存の開口部を拡大したりすれば、基礎の強度は低下する。コンクリートを充填して開口部を塞げば、基礎の強度はある程度改善されるが、次回の点検補修作業や配管類の設置作業時に、基礎立ち上がり部を削って再び開口部を形成しなければならない。点検補修作業等は定期的に行われるため、一度形成された開口部は残しておいた方が好ましい。
特開2007−40103号公報
本発明の目的は、立ち上がり部に開口部が形成された基礎を補強するための建築物基礎補強方法を提供することである。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明による建築物基礎補強方法は、上面に土台が固定され基礎の立ち上がり部に、人が通れる寸法を有し、内側の上面が土台の下面で構成される矩形状の開口部を形成する工程と、開口部の内側の下面に固定される下枠部材と、開口部の内側の側面に固定される2つの側枠部材と、内側の上面に相当する土台下面に固定される上枠部材とを備え、前記開口部の周辺の剛性を向上する枠体を準備する工程と、開口部の内側に、枠体を固定する工程とを備える。
本発明では、開口部に枠体を嵌めて固定するため、開口部周辺の基礎部分の剛性が向上する。そのため、基礎の強度を改善できる。
本発明による建築物基礎補強方法は、上面に土台が固定される基礎の立ち上がり部に、人が通れる寸法を有し、内側の上面が土台の下面で構成される矩形状の開口部を形成する工程と、開口部の内側の下面に固定される下枠部材と、開口部の内側の側面に固定される2つの側枠部材とを備え、上部が開口している、開口部の周辺の剛性を向上するための枠体を準備する工程と、開口部に枠体を固定する工程とを備える
好ましくは、建築物基礎補強方法はさらに、枠体の内側を塞ぐ板状の蓋材を枠体の内側に着脱自在に取り付ける工程を備える。
この場合、基礎が外力を受けたときに開口部に発生するモーメントを蓋材が受ける。これにより、開口部のモーメントが緩和され、基礎の強度及び靭性が改善される。
好ましくは、蓋材はさらに、基礎立ち上がり部で囲まれた床下空間を換気するための貫通孔を有する。
この場合、貫通孔により床下空間を換気することができる。
好ましくは、建築物基礎補強方法はさらに、開口部の縁にアラミド繊維シートを貼り付ける工程を備える。さらに好ましくは、アラミド繊維シートを貼り付ける工程では、開口部の側面の縁から前記土台の表面に至るまでアラミドシートを貼り付ける。
アラミド繊維シートを開口部の縁に貼り付けることで、開口部周辺の基礎立ち上がり部分の強度及び靭性が向上する。
好ましくは、土台は貫通孔を有する。土台は、基礎立ち上がり部に植設されたアンカーボルトを貫通孔に挿通して基礎立ち上がり部に固定される。建築物基礎補強方法はさらに、貫通孔と貫通孔に挿通されたアンカーボルトとの間に形成された隙間に樹脂を充填する工程を備える。
この場合、アンカーボルトは土台に強固に固定される。そのため、土台は基礎に強固に固定され、基礎の強度が改善される。
本発明による建築物基礎補強方法は、基礎の立ち上がり部に開口部を新たに形成する、又は、基礎の立ち上がり部に既に形成されている開口部を拡大する工程と、開口部の縁に複数の貫通孔を有する金属番を固定する工程と、金属板上にアラミド繊維シートを貼り付ける工程とを備える。
本発明では、アラミド繊維シートを貼り付けることにより、開口部周辺の基礎部分の強度が向上する。そのため、基礎の強度が改善される。また、貫通孔を有する金属板は、せん断抵抗に優れる。したがって、開口部周辺の基礎部分の強度及び靭性がさらに改善される。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[第1の実施の形態]
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態による建築物基礎補強方法を説明する。
一般的に、木造建築物の基礎には、立ち上がり部1の上に土台2が載置されている(図1(a))。まず、基礎立ち上がり部1に、作業員が通れる程度の寸法の開口部10を形成する(図1(b))。具体的には、ハンマードリル等を用いて、基礎立ち上がり部1の一部を削って新たな開口部10を形成する。又は、基礎立ち上がり部1に既に形成されている開口部10の内側を削って開口部10の寸法をさらに拡大する。ハンマードリルによる開削では、開口部の内側に凹凸が生じる場合もあるが、その場合、モルタル等を用いて開口部の形状を矩形状に整えても良い。

続いて、形成された開口部10の縁にアラミド繊維シート20を貼り付ける(図1(c))。基礎立ち上がり部1に形成された開口部10の縁のうち、左右及び下側の縁にアラミド繊維シート20を貼り付ける。アラミド繊維シート20の貼り付けには、エポキシ樹脂等の接着剤を用いる。図1(c)において、開口部10の左右の縁のアラミド繊維シート20は、土台2の上面に至るまで貼り付けてあるが、土台2に至るまで貼り付けずに、開口部10の左右の縁部分のみに貼り付けても良い。また、アラミド繊維シート20を開口部10の縁に厳密に貼り付ける必要はなく、開口部10の縁近傍に貼り付けてもよい。
開口部10は、基礎立ち上がり部1の正面から背面に至るまで貫通しているため、開口部10の縁は、正面及び背面に形成される。そのため、アラミド繊維シート20は、基礎立ち上がり部1の正面及び背面ともに貼り付けるのが好ましい。ただし、一方の面のみにアラミド繊維シート20を貼り付けても、以下に示す本発明の効果は得られる。
アラミド繊維シート20は、アラミド繊維を1方向又は複数の方向に配列させた繊維シートであり、特に、引張強と靭性に優れる。このような特性を有するアラミド繊維シート20を開口部10の縁に貼り付けることにより、開口部10周辺の基礎部分の引張強度及び靭性が改善される。そのため、基礎の強度が改善する。
図2に示すように、基礎立ち上がり部1の正面の縁11と、開口部10の内側面13と、基礎立ち上がり部1の背面の縁12とを覆うように、アラミド繊維シート20を貼り付けても良い。この場合、開口部10周辺の基礎部分の強度及び靭性がより改善される。また、複数のアラミド繊維シートを上下に重ねて貼り付けて、いわゆる多層貼りにしても良い。
以上のように、開口部10の縁にアラミド繊維シート20を貼り付けることにより、開口部10を残したままであっても、基礎を補強することができ、基礎の強度を改善できる。
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態による建築物基礎補強方法では、上述のアラミド繊維シート20に加え、補強用の板材を貼り付ける。
図3(a)及び(b)に示すように、基礎立ち上がり部1の開口部10の縁に、補強用の板材30を貼り付ける。本実施の形態では、補強用板材として、複数の貫通孔を有する金属板であるパンチングメタル30を用いる。パンチングメタル30は、エポキシ樹脂等の接着剤を用いて、開口部10の左右の縁及び下側縁に貼り付けられる。図3(c)及び(d)に示すように、パンチングメタル30を貼り付けた後、パンチングメタル30の上にアラミド繊維シート20を貼り付ける。
パンチングメタル30は、複数の貫通孔を有するために、せん断抵抗に優れる。そのため、パンチングメタル30が貼り付けられた基礎コンクリート部分の耐力及び靭性が向上される。
なお、上述の説明では、補強用の板材としてパンチングメタル30を用いたが、他の金属板でもよし、木製の合板等を利用してもよい。
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態による建築物基礎補強方法では、補強構造体を開口部に嵌めて固定することで、基礎を補強する。
図4を参照して、補強構造体40は、開口部10の形状と同じ形状の枠体からなる。本実施の形態では、開口部10は矩形であるため、補強構造体40は、矩形状の枠体である。補強構造体40は、木材や金属、FRP(Fiber Reinforced Plastics)に代表される強化プラスチック等で構成される。
図4に示す補強構造体40は、上枠部材、左右枠部材、下枠部材の4つの枠部材41で構成される。各枠部材41は直線状であり、その端部は、隣り合う他の枠部材41の端部と略垂直に接合される。補強構造体40は、互いに独立した4つの枠部材41を組み合わせて形成されてもよいし、一体成型されてもよい。
各枠部材41には、アンカーボルトが挿通される1又は複数の貫通孔42が形成されている。補強構造体40は、図5に示すように、開口部10に嵌められ、アンカーボルト43で、開口部10の内側面に固定される。
補強構造体40を開口部10に嵌め込んで固定することにより、開口部周辺の基礎部分の剛性が向上する。さらに、補強構造体40を開口部10に嵌め込むことで、基礎立ち上がり部1の断面積が大きくなるため、せん断力を低下することができる。その結果、基礎の耐力及び靭性が向上し、外力によるひび割れの発生や破壊を抑制できる。
図5では補強構造体40をアンカーボルト43で固定したが、他の方法で固定してもよい。たとえば、アラミド繊維シート20と同様に、エポキシ樹脂等の接着剤により、補強構造体40を開口部10の内側面に貼り付けてもよい。
上述の補強構造体40は、4つの枠部材41で囲んだ枠体としたが、たとえば、図6に示すように、上部が開放された、コの字型の枠体であってもよい。このような形状であっても、開口部10の内側に固定されれば、基礎の剛性を向上できる。また、補強構造体40は、矩形状、又はコの字状以外の他の形状であってもよい。たとえば、枠部材41が曲線状であってもよい。補強構造体40の枠体の形状が開口部10と同じ形状であり、補強構造体40が開口部10に嵌め込んで固定可能となるのであれば、基礎の強度の改善に寄与することができる。
図7に示すように、補強構造体40は、枠部材41で囲まれた枠体内側を塞ぐ板状の蓋材45を備えても良い。蓋材45は、着脱自在に取り付けられる。具体的には、補強構造体40の内側に、蓋材45と当接される柱状凸部46が設けられ、柱状凸部46のうち蓋材と当接される面にはねじ孔47が設けられている。また、蓋材45のうちねじ孔47と対向する部分にねじ49を挿通するための貫通孔48が形成されている。蓋材45は、ねじ49でねじ止めされることにより補強構造体40の内側に固定される。また、ねじ49を外すことにより、補強構造体40から容易に外される。
蓋材45により補強構造体40の内側を塞ぐことにより、基礎が受ける外力により開口部10及び補強構造体40に発生するモーメントを蓋材45が受ける。そのため、開口部10にかかるモーメントが緩和され、基礎の強度及び靭性が改善される。また、蓋材45は着脱自在であるため、床下空間の点検補修作業時や配管類の設置作業時に蓋材45を取り外せば、開口部10を利用して作業員が床下空間に進入できる。
なお、図7では、蓋材45を柱状凸部46にねじ止めして固定したが、補強構造体40の内側に着脱自在に固定するのであれば、固定手段は問わない。つまり、図7と異なる他の固定方法により、蓋材45を着脱自在に固定してもよい。
また、床下空間の換気を目的として、図8に示すように、蓋材45に1又は複数の貫通孔50を設けてもよい。
上述の説明では、補強構造体40を開口部10に嵌め込んで固定することにより、基礎の強度を改善したが、図9に示すように、補強構造体40に加えて、アラミド繊維シート20を開口部10の縁に貼り付けてもよい。この場合、基礎の強度及び靭性がさらに向上する。また、補強構造体40の枠部材41の表面にアラミド繊維シート20を貼り付けても良い。この場合、補強構造体40の強度が向上し、それに伴って基礎の強度も向上する。
[第4の実施の形態]
基礎立ち上がり部1の上面には、土台2が載置される。図10(a)に示すように、一般的に、土台2には複数の貫通孔21が形成されており、基礎立ち上がり部1に植設されたアンカーボルト22を貫通孔21に挿通して、土台2を基礎立ち上がり部1に固定する。
上述のとおり、貫通孔21には、アンカーボルト22が挿通されるが、アンカーボルト22と貫通孔21の内側面との間には、隙間が発生する。本発明の第4の実施の形態では、上述の第1〜第3の実施の形態の補強方法に加えて、図10(b)に示すように、貫通孔21とアンカーボルト22との隙間にエポキシ樹脂23を充填する。たとえば、土台2の上面又は側面から貫通孔21に通じる他の貫通孔を作製し、作製された貫通孔からエポキシ樹脂23を注入する。
以上の工程により、アンカーボルト22は土台2に強固に固定され、それによって土台2は基礎立ち上がり部1に強固に固定される。その結果、土台2が、基礎立ち上がり部1を補強するフレームの役割を果たし、基礎の強度が改善される。
図11に示すような寸法(単位はmm)の無筋及び有筋基礎コンクリート100と、土台101とで構成される、複数の基礎試験体を準備した。各基礎コンクリート100は、幅を120mm、高さを600mm、長さを3900mmとした。各基礎コンクリート試験体のコンクリート強度は18N/mmであった。
各基礎コンクリート100の上面に載置された土台101は、幅105mm、高さ105mm、長さ3900mmとした。土台101には所定の間隔で4つの貫通孔が形成されており、各貫通孔にアンカーボルト102を挿通して、土台101を基礎コンクリート100に固定した。このとき、貫通孔とアンカーボルト102との隙間にエポキシ樹脂を充填し、土台101を基礎コンクリート100に強固に固定した。
準備された基礎試験体に表1に示す種々の補強を施して、その強度を調査した。
Figure 0004146497
番号1及び3の基礎試験体は、従来の基礎コンクリートを想定して準備した。番号1は無筋基礎コンクリートであり、開口部を設けず、補強もしなかった。
番号3は、有筋基礎コンクリートであり、開口部を設けず、補強もしなかった。有筋基礎コンクリートには、主筋にD13(SD295A)、せん断補強筋にD10(SD295A)を用いた。図12に番号3の基礎試験体に用いた有筋基礎コンクリートの配筋図(図中の寸法の単位はmm)を示す。
番号2、4〜6の基礎試験体は、基礎コンクリートに高さ300mm、幅500mmの開口部を形成し、かつ、種々の補強を施した。
番号2の基礎試験体では、無筋基礎コンクリートに、補強材としてアラミド繊維シート及びパンチングメタルを用いた。具体的には、図13に示すように、基礎コンクリート100の正面110において、開口部200の左右の縁に幅100mmのパンチングメタル105を貼り付け、その上に幅100mmのアラミド繊維シート106を貼り付けた(図13(a))。パンチングメタル105及びアラミド繊維シート106の接着剤にはエポキシ樹脂を用いた。同様に、開口部200の下側の縁に幅100mmのパンチングメタル105を貼り付け、その上にアラミド繊維シート106を貼り付けた。基礎コンクリート100の背面120には、パンチングメタル及びアラミド繊維シートを貼り付けず、補強を施さなかった(図13(b))。
番号4の基礎試験体では、有筋基礎コンクリート100に、補強材としてアラミド繊維シートを用いた。図14(a)に示すように、基礎コンクリート100の正面110において、開口部200の左右の縁の各々に、幅100mmのアラミド繊維シート106を2列に並べて貼り付けた。つまり、左右の縁の各々に貼り付けられたアラミド繊維シート106の幅は200mmであった。その後、開口部200の下側の縁に、幅100mmのアラミド繊維シート106を上下に2枚重ねて貼り付けた。つまり、アラミド繊維シート106を2層貼りした。一方、図14(b)に示すように、基礎コンクリート100の背面120には、アラミド繊維シートを貼り付けず、補強を施さなかった。なお、番号4の有筋基礎コンクリートの配筋図は、図14(c)に示すとおりであった(寸法単位はmm)。
番号5の基礎試験体では、有筋基礎コンクリート100に、補強材としてアラミド繊維シート及び補強構造体を用いた。図15に示すように、補強構造体300は、上枠がなく、左右の枠部材及び下枠部材で構成されたコの字型の枠体とし、素材は木材とした。各枠部材の幅は105mmであり、厚さは45mmであった。また、各枠部材の表面(4面)にアラミド繊維シートを貼り付けた。
図16(a)に示すように、基礎コンクリート100の正面110において、補強構造体300を開口部200に嵌め込んだ。そして、補強構造体300の内側面と、正面110及び背面120における開口部200の縁とを覆うように、アラミド繊維シート106を貼り付けた。つまり、アラミド繊維シート106と開口部200の内側面とで補強構造体300を挟み込むように、アラミド繊維シート106を貼り付け、補強構造体300を固定した。また、正面110の開口部200の下側の縁にもアラミド繊維シート106を貼り付けた。
図16(b)に示すように、背面120おける開口部200の下側の縁には、アラミド繊維シート106を貼り付けなかった。なお、番号5の有筋基礎コンクリートの配筋図は、図14(c)と同じであった。
番号6の基礎試験体では、有筋基礎コンクリートに、補強材として、蓋材付きの補強構造体を用いた。図17及び図18を参照して、補強構造体300に、補強構造体300の内側を塞ぐ蓋材310と、蓋材310を補強構造体300の内側に固定するための固定用枠材320とを準備した。番号5と同様に、補強構造体300の表面にはアラミド繊維シートを貼り付けた。蓋材310には、ウレタン塗料でコーティングされた化粧合板を用いた。
蓋材310を2つの固定用枠材320(素材は木材)で挟み、補強構造体300の内側に嵌め込んだ(図18)。長さ65mmのビス330を用いて、各固定用枠材320の左右枠及び下枠を、補強構造体300の内側面に固定した。
以上の工程により蓋材310が取り付けられた補強構造体300を、図19に示すように、有筋基礎コンクリート100の開口部200に固定した。具体的には、補強構造体300を開口部200に嵌め込んで、エポキシ樹脂を用いて開口部200の内側面に貼り付けた。なお、番号6では、開口部200の縁にアラミド繊維シート106を貼り付けなかった。番号6の有筋基礎コンクリートの配筋図は、図14(c)に示すとおりであった。
[試験方法]
以上の構成を有する各基礎試験体に対して、曲げ試験を実施し、各基礎試験体の荷重変位曲線を調査した。試験には、3000kNの容量を有するアムスラー型万能試験機を用い、試験方法として、2点集中荷重を単調載荷によって与える4点加力方法を採用した。各基礎試験体における載荷点LP及び支点SPの位置は図11に示したとおりであった。
試験中の変位の測定には、高感度変位計を用いた。高感度変位計DG1〜3を図20に示す位置(寸法単位はmm)に取り付け、各位置での変位を測定した。得られた値を用いて、各基礎試験体の変位を以下の式(1)により求めた。
変位=(DG1の測定値+DG3の測定値)/2+DG2の測定値 (1)
[試験結果]
各番号1〜6の基礎試験体の荷重変位曲線を図21〜図26に示す。図中の縦軸は荷重(kN)であり、横軸は変位(mm)である。図21は番号1の基礎試験体の荷重変位曲線、図22は番号2の基礎試験体の荷重変位曲線、図23は番号3の基礎試験体の荷重変位曲線、図24は番号4の基礎試験体の荷重変位曲線、図25は番号5の基礎試験体の荷重変位曲線、図26は番号6の基礎試験体の荷重変位曲線である。
図21〜図26を参照して、アラミド繊維シート、パンチングメタル、補強構造体で補強された番号2、4〜6の基礎試験体の最大荷重は、いずれも195kNを超えた。これに対して、番号1の基礎試験体(無筋基礎コンクリート)の最大荷重は41kN、番号3基礎試験体(有筋基礎コンクリート)の最大荷重は132kNであった。つまり、本発明の補強方法により補強された基礎試験体(番号2、4〜6)は、開口部200を有するものの、開口部のない基礎試験体(試験番号1及び3)よりも高い強度を示した。
さらに、図24の曲線と図25の曲線とを比較した場合、荷重50kN〜100kNにおける曲線の傾きは図25の方が大きかった。また、図24では破断時の変位が80mmを超えたのに大して、図25では破断時の変位が70mm未満であった。つまり、番号5の基礎試験体の方が番号4の基礎試験体よりも靭性に優れていた。番号5の基礎試験体では、補強構造体300がひび割れの進展を抑制したため、変位をより抑えることができたと考えられる。
さらに、図25の曲線と図26の曲線とを比較した場合、荷重50kN〜100kNにおける曲線の傾きは図26の方が大きく、破断時の変位は図26の方が小さかった。つまり、番号6の基礎試験体は、番号4及び5の基礎試験体よりも靭性に優れていた。番号6の基礎試験体では、蓋材310が開口部200に生じるモーメントを受けるため、他の基礎試験体と比較して開口部200のモーメントが小さくなり、その結果、変位が抑制されたと考えられる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
本発明の第1の実施の形態による建築物基礎補強方法の工程を示す図である。 基礎立ち上がり部の開口部へのアラミド繊維シートの貼り付け方法を示す模式図である。 本発明の第2の実施の形態による建築物基礎補強方法の工程を示す図である。 本発明の第3の実施の形態による建築物基礎補強方法に用いられる、補強構造体の斜視図である。 図4に示す補強構造体を開口部に取り付けた基礎立ち上がり部の正面図である。 図4に示した補強構造体と異なる、他の補強構造体の斜視図である。 図4及び図6と異なる、他の補強構造体の分解斜視図及び斜視図である。 図7に示した補強構造体と異なる別の補強構造体の斜視図である。 本発明の第3の実施の形態による建築物基礎補強方法の別の例を示す図である。 本発明の第4の実施の形態による建築物補強方法を説明するための図である。 本発明の実施例で使用された番号1及び番号3の基礎試験体の正面図である。 本発明の実施例で使用された番号3の有筋基礎コンクリートの配筋図である。 本発明の実施例で使用された番号2の基礎試験体の正面図及び背面図である。 本発明の実施例で使用された番号4の基礎試験体の正面図、背面図及び配筋図である。 本発明の実施例の番号5で使用された補強構造体の斜視図である。 本発明の実施例で使用された番号5の基礎試験体の正面図及び背面図である。 本発明の実施例の番号6で使用された補強構造体の分解斜視図である。 図17に示した補強構造体の斜視図である。 本発明の実施例で使用された番号6の基礎試験体の正面図である。 曲げ試験実施時における、上述の番号1〜6の基礎試験体の変位測定位置を示す図である。 上述の番号1の基礎試験体の荷重変位曲線を示す図である。 上述の番号2の基礎試験体の荷重変位曲線を示す図である。 上述の番号3の基礎試験体の荷重変位曲線を示す図である。 上述の番号4の基礎試験体の荷重変位曲線を示す図である。 上述の番号5の基礎試験体の荷重変位曲線を示す図である。 上述の番号6の基礎試験体の荷重変位曲線を示す図である。
符号の説明
1 基礎立ち上がり部
2 土台
10 開口部
20 アラミド繊維シート
21 貫通孔
22 アンカーボルト
23 エポキシ樹脂
30 パンチングメタル
40 補強構造体
45 蓋材

Claims (8)

  1. 上面に土台が固定され基礎の立ち上がり部に、人が通れる寸法を有し、内側の上面が前記土台の下面で構成される矩形状の開口部を形成する工程と、
    前記開口部の内側の下面に固定される下枠部材と、前記開口部の内側の側面に固定される2つの側枠部材と、前記内側の上面に相当する土台下面に固定される上枠部材とを備え、前記開口部の周辺の剛性を向上する枠体を準備する工程と、
    前記開口部の内側に、前記枠体を固定する工程とを備えることを特徴とする建築物基礎補強方法。
  2. 上面に土台が固定される基礎の立ち上がり部に、人が通れる寸法を有し、内側の上面が前記土台の下面で構成される矩形状の開口部を形成する工程と、
    記開口部の内側の下面に固定される下枠部材と、前記開口部の内側の側面に固定される2つの側枠部材とを備え、上部が開口している、前記開口部の周辺の剛性を向上するための枠体を準備する工程と、
    前記開口部に前記枠体を固定する工程とを備えることを特徴とする建築物基礎補強方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の建築物基礎補強方法であってさらに、
    前記枠体の内側を塞ぐ板状の蓋材を前記枠体の内側に着脱自在に取り付ける工程を備えることを特徴とする建築物基礎補強方法。
  4. 請求項3に記載の建築物基礎補強方法であって、
    前記蓋材はさらに、前記立ち上がり部で囲まれた床下空間を換気するための貫通孔を有することを特徴とする建築物基礎補強方法。
  5. 請求項1又は請求項2に記載の建築物基礎補強方法であってさらに、
    前記開口部の縁にアラミド繊維シートを貼り付ける工程を備えることを特徴とする建築物基礎補強方法。
  6. 請求項5に記載の建築物基礎補強方法であって、
    前記アラミド繊維シートを貼り付ける工程では、前記開口部の側面の縁から前記土台の表面に至るまで前記アラミドシートを貼り付けることを特徴とする建築物基礎補強方法。
  7. 請求項1又は請求項2に記載の建築物基礎補強方法であって、
    前記土台は貫通孔を有し、前記立ち上がり部に植設されたアンカーボルトを前記貫通孔に挿通して前記立ち上がり部に固定され、
    前記建築物基礎補強方法はさらに、
    前記貫通孔と前記貫通孔に挿通されたアンカーボルトとの間に形成された隙間に樹脂を充填する工程を備えることを特徴とする建築物基礎補強方法。
  8. 基礎の立ち上がり部に開口部を新たに形成する、又は、前記立ち上がり部に既に形成されている開口部を拡大する工程と、
    前記開口部の縁に、複数の貫通孔を有する金属板を固定する工程と、
    前記金属板上にアラミド繊維シートを貼り付ける工程とを備えることを特徴とする建築物基礎補強方法。
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