JP4146216B2 - 横行移動式ホイスト - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は吊り荷を上げ下げするホイストに係わり、特に水平方向に横行移動する横行移動式ホイストに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の横行移動式ホイストを概略的に説明する。
【0003】
I形鉄鋼の軌道レールを基準にして左右に各二個づつ前後に従動ホィール、駆動ホィールが平行に平板なフレームに取付けてある。
【0004】
駆動ホィール側のフレームには減速部、マグネットブレーキ、トロリーモートルの組物が付けてある。フレームの下方にはホイスト本体との連結の為の連結ピンが二本平行に取付けられてあり、各先端部をナットで固定して構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
巻上機の代表機種である電気ホイストは、衝突による吊荷の落下等にともなう事故を考慮した安全対策が必要とされている。電気ホイストはI形鉄鋼の軌道レールの上で重量物を運ぶ場合が多いので、もし吊荷の衝突やホイスト同士の衝突等が生じた場合は、吊荷が落下するという非常事態に至る。又、近年のホイスト操作法においてホイスト本体と操作者が同時に移動しなくてもよい無線操作のホイストが多くなっている事や、将来のホイストの自動運転化等を考えるとホイストの横行位置検出は大変重要なことである。
【0006】
従来の横行装置には位置検出の機能が付いておらず、無線等の操作機能を有する場合には本体と操作者が同時に移動しないと吊荷の衝突が起こる事や、一つのI形鉄鋼の軌道レールには複数台のホイストが設置されている場合が多いので、ホイスト同士の衝突が起こる等の問題があった。
【0007】
また、従来技術よりエンコーダを、駆動ホィールに動力を伝達する電動機等に取付けて位置検出や速度制御(以下省略)を行う方法が考えられるが、駆動ホィールのすべりや浮き上がりにより正確な位置検出が行えない問題が発生する。
【0008】
本発明は、上記の問題に対処し、その目的とするところは横行移動位置の検知がより正確に行えるようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、トロリモートルで駆動されて軌道レール上を転がりながら横行移動し、かつ横行装置部を支持する駆動ホィールと、同じく前記横行装置部を支持し、かつ横行装置部の横行移動に伴って前記軌道レール上を転がりながら横行移動する従動ホィールとを有する横行移動式ホイストにおいて、従動ホィールの回転を検知して横行装置部の横行移動を検知する横行移動検知手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面により説明する。
【0011】
まず、横行移動式ホイストの全体概要について、図7および図8に沿って説明する。
【0012】
この横行移動式ホイストは、軌道レール2に吊り下げ支持された状態で横行移動する。軌道レール2は、通称、I形鉄鋼と称される鋼材が用いられ、建屋の上側に水平に置かれる。
【0013】
ホイスト本体1は横行装置部3に吊り下げ支持される。ホイスト本体1は吊り荷を上げ下げするホイストモートル、ワイヤーロープを巻き取るドラム、マグネットブレーキ等を有する。
【0014】
横行装置部3は、枠組を構成する二枚のフレーム板3Aを有する。二枚のフレーム板3Aは、前記軌道レール2の横幅より少し間隔を開けて対向するように平行に配置される。
【0015】
二枚のフレーム板3Aは、前後を二本の連結ピン21で転結することで、平行状態が保たれた枠組になる。連結ピン21はナット22でフレーム板3Aに締結される。連結ピン21はホイスト本体1を吊り下げ支持する支持部材をも兼ねる。
【0016】
トロリーモートル20は、一方のフレーム板3Aに外面側に取り付けられる。トロリーモートル20が取り付けられたフレーム板3Aには、駆動ホィール17が回転自在に支持される。トロリーモートル20とは反対側(フレーム板3Aに内面側)に置かれる駆動ホィール17は駆動用アクセルシャフト24bを介して支持される。二つの駆動ホィール17はフレーム板3Aの前後に離して設けられる。
【0017】
駆動ホィール17には、トロリーモートル20の駆動力が減速手段(減速部18)を介して減速されて伝えられる。またトロリーモートル20はマグネットブレーキ19を有する。
【0018】
他方のフレーム板3Aには、二つの従動ホィール4が前後に離して設けられる。この従動ホィール4は、前記駆動ホィール17と向き合うようにフレーム板3Aの内面側に置かれる。従動ホィール4は、従動用アクセルシャフト24aを介してフレーム板3Aに回転自在に支持される。従動用アクセルシャフト24aに設けたボールベアリング24cを介して支持されるので、従動ホィール4は円滑に回転する。
【0019】
従動ホィール4および駆動ホィール17は、軌道レール2のレール部に乗せられた状態に置かれ、この状態で従動ホィール4および駆動ホィール17は軌道レール2上を転がりながら横行移動する。
【0020】
軌道レール2はI形鉄鋼であるので、中央縦部の下側左右がレール部になり、中央縦部の左右に荷重がバランスよく懸かり、安定した状態で横行移動式ホイストは吊られるのである。
【0021】
次に本発明の主要部について図1から図5を引用して説明する。
【0022】
従動ホィール4に取り付けられるキャップ12は、中央に歯車11が設けられる。二つの歯車11の間には、連結ベルト13が掛け渡される。連結ベルト13に代えてローラチェンであってもよい。
【0023】
キャップ12は、従動ホィール4の開口部6に嵌め込んで取り付けられる。開口部6は、フレーム板3Aと向き合う面の反対側にあたる外側面に存在するので、キャップ12も外側面に位置することになる。
【0024】
キャップ12は円筒状のガイド8を有する。ガイド8減速部の外周には、位置決めガイド9が設けられる。ガイド8は4つの切り欠27で撓むようになっている。押し込むことで、ガイド8は撓んで開口部6に嵌合する。従動ホィール4の外側面に位置決めガイド9が当接するまで押し込む。開口部6の寸法L1、ガイド8の外径寸法L2、位置決めガイド9の外径寸法L3は、L3>L2>L1の関係になっているので、キャップ12は開口部6に確実に保持され、かつ所定の位置に位置決めされるのである。これにより、従動ホィール4の回転は、連結ベルト13に確実に伝達されるのである。
【0025】
またキャップ12は従動ホィール4に容易に着脱できるので、この従動ホィール4はキャップ12を必要としない機種と互換性を持たせることができる。
【0026】
中間歯車14は、二つの従動ホィール4の間に位置する。中間歯車14のシャフト15はフレーム板3Aに設けたベアリング26に回転自在に支持される。シャフト15の内側端(フレーム板3Aの内側面側)には、エンコーダ16が設けられる。
【0027】
二つの従動ホィール4の歯車11に掛け渡された連結ベルト13は、中間歯車14にも掛けられているので、二つの従動ホィール4の回転は中間歯車14を介してエンコーダ16を回動するように伝えられる。このエンコーダ16(横行移動検知手段)の回転で出力される出力信号を算定して横行装置部3の横行移動位置を検知する。
【0028】
従動ホィール4は、横行装置部3の横行移動に伴って回転するので、従動ホィール4の回転より取り出すエンコーダ16の出力信号は、横行移動位置を正確に示し、狂いが少ない。
【0029】
トロリーモートル20や駆動ホィール17を含む駆動系の回転を利用すると、空回/すべり(トロリーモートル20の起動時の高トルクによる駆動ホィールの空転)や浮き上がり(軌道レールの変形やレール部の面荒れ等で駆動ホィール17が浮いて空転する)等により、実際の横行移動位置との関係で狂いが生じる。このような狂いは、従動ホィール4の回転を利用するものにあっては生じないのである。
【0030】
また二つの従動ホィール4に掛け渡した連結ベルト13を介してエンコーダ16(横行移動検知手段)を回すようにしたので、一方の従動ホィール4が浮いて横行移動に伴う回転が止まっても、他方の従動ホィール4は止まらずに回転するため確実に横行移動位置が検出される。
【0031】
また歯車を有するキャップ12、中間歯車14、連結ベルト13がフレーム板3Aの外面側に、エンコーダ16がフレーム板3Aの内面側になるように配置したので、構成が簡単、構成部品が安価、軽微な構造変更で実現できるのである。
【0032】
次にホイスト制御基板の回路について図6に沿い説明する。
【0033】
ホイスト制御基板は、横行移動制御装置の電気回路を構成するものである。
【0034】
ホイスト制御基板25は、巻上用インバータモジュール101、横行用インバータモジュール102を有する。巻上用インバータモジュール101はホイストモートル、マグネットブレーキに接続される。
【0035】
横行用インバータモジュール102は、トロリーモートル、マグネットブレーキに接続される。横行用インバータモジュール102、巻上用インバータモジュール101は電源接続回路103を介して三相電源ライン104に接続される。
【0036】
制御回路105は、横行用インバータモジュール102、巻上用インバータモジュール101に接続され、横行用インバータモジュール102、巻上用インバータモジュール101を制御する。
【0037】
エンコーダ16、有線リモコン106は、制御回路105に接続される。有線リモコン106の操作信号を受け、制御回路105は横行用インバータモジュール102、巻上用インバータモジュール101に横行移動,横行速度、横行停止、上下動、上下速度、上下停止を含む各種の制御指示をする。エンコーダ16、制御回路105は、横行移動検知手段としての機能を担う。
【0038】
制御回路105は、横行移動に伴い、エンコーダ16から送られて来る出力信号をもとに横行移動の方向、移動速度、横行移動位置を算定し、予め定められた位置に停止させたり、定められた移動範囲で横行移動させる制御指示をする。この算定や制御指示による横行移動は、前述した狂いのない正確なエンコーダ16の出力信号によるので、極めて制御精度の高いものになる。
【0039】
受信機回路107は、無線用回路108を介して制御回路105に接続される。受信機回路107および無線用回路108は、電源接続回路103を介して三相電源ライン104に接続される。
【0040】
無線リモコン109の操作信号は、アンテナ200を経由して受信機回路107に受信される。そして、無線用回路108を介して制御回路105に送られた操作信号で、制御回路105は各種の制御指示や算定を行なう。
【0041】
無線リモコン109による操作は、遠隔操作も出来るので有線リモコン106によるものよりも横行移動を十分に確認できない見込み運転になることも予想される。しかし、前述したように狂いの少ない正確なエンコーダ16の出力信号による極めて制御精度の高い運転操作が期待できるので、安全性の高い無線リモコン操作を実現できる。
【0042】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、横行移動位置の検知がより正確に行える横行移動式ホイストを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係わるもので、横行装置部の要部拡大斜視図。
【図2】本発明の実施例に係わるもので、従動ホィールのところを断面し、かつキャップを外したところを示す図である。
【図3】本発明の実施例に係わるもので、キャップをしたままの従動ホィールのところを断面した図である。
【図4】本発明の実施例に係わるもので、キャップの正面図。
【図5】本発明の実施例に係わるもので、キャップの下面図。
【図6】本発明の実施例に係わるもので、ホイスト制御基板の回路図である。
【図7】本発明の実施例に係わるもので、横行移動式ホイストの全体概略図。
【図8】本発明の実施例に係わるもので、従動ホィール側の横行装置部の分解図。
【符号の説明】
1…ホイスト本体、2…I形鉄鋼の軌道レール、3…横行装置部、3A…フレーム板、4…従動ホィール、8…ガイド、9…位置決めガイド、11…歯車、12…キャップ、13…連結ベルト、14…中間歯車、15…シャフト、16…エンコーダ、17…駆動ホィール、18…減速部、19…ブレーキ、20…トロリーモートル、21…連結ピン、22…ナット、24a…従動側アクセルシャフト、24b…駆動側アクセルシャフト、25…制御板、26…ベアリング、27…切り欠き。

Claims (5)

  1. 吊り荷を上げ下げするホイストモートルを有するホイスト本体と、このホイスト本体を支持して水平方向に横行移動し、かつ横行移動の駆動源となるトロリモートルを有する横行装置部と、前記トロリモートルで駆動されて軌道レール上を転がりながら横行移動し、かつ前記横行装置部を支持する駆動ホィールと、同じく前記横行装置部を支持し、かつ横行装置部の横行移動に伴って前記軌道レール上を転がりながら横行移動する従動ホィールとを有する横行移動式ホイストにおいて、
    前記複数の従動ホィール内の少なくとも二つの従動ホィールの前記軌道レールと接触しない箇所であるとともに、従動ホィールの最大の径よりも小さい径の箇所に掛け渡した連結ベルトまたはローラチェンの回転に伴って回転する前記いずれかの従動ホィールとも接触せず、前記連結ベルトまたはローラチェンと2点において接触する中間歯車を前記複数の従動ホィールのうちの何れか二つの間に設け、前記中間歯車を介して前記従動ホィールの回転を検知するエンコーダを有する前記横行装置部の横行移動を検知する横行移動検知手段を備えたことを特徴とする横行移動式ホイスト。
  2. 吊り荷を上げ下げするホイストモートルを有するホイスト本体と、このホイスト本体を支持して水平方向に横行移動し、かつ横行移動の駆動源となるトロリモートルを有する横行装置部と、向き合うようにほぼ平行に配置される前記横行装置部を形成する2枚のフレーム板と、一方のフレーム板に回転自在に支持され、かつ前記トロリモートルの駆動でI形鉄鋼の軌道レールの上を転がりながら横行移動する少なくとも二つの駆動ホィールと、前記軌道レールを間に前記駆動ホィールと向き合うようにして他方のフレーム板に回転自在に支持され、かつ横行装置部の横行移動に伴って前記軌道レールの上を転がる少なくとも二つの従動ホィールと、前記2枚のフレーム板に掛け渡すように取り付けられ、かつ前記ホイスト本体を吊り下げるように支持する連結ピンとを有する横行移動式ホイストにおいて、
    前記複数の従動ホィール内の少なくとも二つの従動ホィールの前記軌道レールと接触しない箇所であるとともに、従動ホィールの最大の径よりも小さい径の箇所に掛け渡した連結ベルトまたはローラチェンの回転に伴って回転する前記いずれかの従動ホィールとも接触せず、前記連結ベルトまたはローラチェンと2点において接触する中間歯車を前記複数の従動ホィールのうちの何れか二つの間に設け、前記中間歯車を介して前記従動ホィールの回転を検知するエンコーダを有する前記横行装置部の横行移動を検知する横行移動検知手段を備えたことを特徴とする横行移動式ホイスト。
  3. 請求項2に記載された横行移動式ホイストにおいて、
    前記従動ホィールに着脱自在キャップを備えるとともに、
    前記従動ホィールは、前記フレーム板と向き合う面の反対側にあたる外側面に開口部を設け、
    前記キャップには、前記開口部に着脱自在に嵌合するガイドを設け、前記ガイドの外周に位置決めガイドを設けたことを特徴とする横行移動式ホイスト。
  4. 吊り荷を上げ下げするホイストモートルを有するホイスト本体と、このホイスト本体を支持して水平方向に横行移動し、かつ横行移動の駆動源となるトロリモートルを有する横行装置部と、前記トロリモートルで駆動されて軌道レール上を転がりながら横行移動し、かつ前記横行装置部を支持する駆動ホィールと、同じく前記横行装置部を支持し、かつ横行装置部の横行移動に伴って前記軌道レール上を転がりながら横行移動する従動ホィールと、前記従動ホィールの回転を検知して前記横行装置部の横行移動を検知する横行移動検知手段と、この横行移動検知手段の検知信号を取り込んで横行移動の制御を行なう制御回路とを有するホイストの横行移動制御装置において、
    前記複数の従動ホィール内の少なくとも二つの従動ホィールの前記軌道レールと接触し ない箇所であるとともに、従動ホィールの最大の径よりも小さい径の箇所に掛け渡した連結ベルトまたはローラチェンの回転に伴って回転する前記いずれかの従動ホィールとも接触せず、前記連結ベルトまたはローラチェンと2点において接触する中間歯車を前記複数の従動ホィールのうちの何れか二つの間に設け、前記中間歯車を介して前記従動ホィールの回転を検知するエンコーダを有する前記横行装置部の横行移動を検知する横行移動検知手段を備えたことを特徴とする横行移動式ホイスト。
  5. 吊り荷を上げ下げするホイストモートルを有するホイスト本体と、このホイスト本体を支持して水平方向に横行移動し、かつ横行移動の駆動源となるトロリモートルを有する横行装置部と、前記トロリモートルで駆動されて軌道レール上を転がりながら横行移動し、かつ前記横行装置部を支持する駆動ホィールと、同じく前記横行装置部を支持し、かつ横行装置部の横行移動に伴って前記軌道レール上を転がりながら横行移動する従動ホィールと、前記従動ホィールの回転を検知して前記横行装置部の横行移動を検知する横行移動検知手段と、この横行移動検知手段の検知信号を取り込んで横行移動の制御を行なう制御回路と、前記横行移動を含む上げ下げ移動の遠隔操作指示をする無線リモコンとを有するホイストの横行移動制御装置において、
    前記複数の従動ホィール内の少なくとも二つの従動ホィールの前記軌道レールと接触しない箇所であるとともに、従動ホィールの最大の径よりも小さい径の箇所に掛け渡した連結ベルトまたはローラチェンの回転に伴って回転する前記いずれかの従動ホィールとも接触せず、前記連結ベルトまたはローラチェンと2点において接触する中間歯車を前記複数の従動ホィールのうちの何れか二つの間に設け、前記中間歯車を介して前記従動ホィールの回転を検知するエンコーダを有する前記横行装置部の横行移動を検知する横行移動検知手段を備えたことを特徴とする横行移動式ホイスト。
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